海軍高等武官任用令
法令番号: 勅令第三百六十五號
公布年月日: 大正7年10月2日
法令の形式: 勅令
朕海軍高等武官任用令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年十月一日
內閣總理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郞
勅令第三百六十五號
海軍高等武官任用令
第一章 總則
第一條 海軍高等武官ノ任用ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ニ依ル
第二條 本令ニ於テ候補生トハ少尉候補生、機關少尉候補生及少主計候補生ヲ謂フ
第三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ候補生ニ之ヲ採用スルコトヲ得ス
一 年齡二十年未滿ノ者但シ海軍諸學校ノ生徒ヨリ採用スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
二 年齡二十八年以上ノ者
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
四 復權ヲ得サル家資分散者又ハ破產者
第四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得ス
一 年齡二十年未滿ノ者但シ候補生ヨリ任用スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
二 任用スヘキ官ノ現役定限年齡前八年以內ノ者
三 前條第三號又ハ第四號ニ該當スル者
第五條 軍醫官ニ任用セラルヘキ者ハ醫師免許證ヲ、藥劑官ニ任用セラルヘキ者ハ藥劑師免狀ヲ有スルコトヲ要ス
第二章 候補生ノ採用
第六條 少尉候補生ハ海軍兵學校ヲ卒業シタル者ヨリ之ヲ採用ス
第七條 機關少尉候補生ハ海軍機關學校ノ生徒課程ヲ卒業シタル者ヨリ之ヲ採用ス
第八條 少主計候補生ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヨリ之ヲ採用ス
一 海軍經理學校ノ生徒課程ヲ卒業シタル者
二 中學校又ハ文部大臣ニ於テ之ト同等以上ト認定シタル學校ヲ卒業シ且法律學及經濟學ヲ修メタル者ニシテ採用試驗ニ合格シタルモノ
第九條 候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十條 候補生ハ情願ヲ以テ之ヲ辭スルコトヲ得ス
第十一條 候補生ハ七月以上實務練習ヲ爲サシム
戰時又ハ事變ノ際ニハ定規ノ實務練習ヲ爲サシメサルコトヲ得
實務練習ニ關スル規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十二條 候補生ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ之ヲ免ス
一 傷痍又ハ疾病ノ爲高等武官タルニ適セサル者
二 軍紀ヲ紊リ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 公務ニ原因セサル事由ニ因リ所在不明ナル者
四 實務練習ノ成績劣等ニシテ技能發達ノ目途ナキ者
五 高等武官タルヘキ器量ニ乏シキ者
六 候補生ノ本分ニ背キタル者
第三章 士官ノ任用
第十三條 少尉又ハ機關少尉ハ各其ノ候補生ヨリ之ヲ任用ス
第十四條 少軍醫又ハ少藥劑士ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 海軍軍醫學生又ハ海軍藥劑學生ト爲リ官立公立又ハ醫師法ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ醫學專門學校ヲ卒業シタル者
二 帝國大學附屬醫學專門部、官立公立若ハ醫師法ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ醫學專門學校又ハ官立公立若ハ藥品營業竝藥品取扱規則ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ藥學專門學校ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
第十五條 少主計ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 少主計候補生
二 海軍主計學生ト爲リ高等商業學校ヲ卒業シタル者
三 高等商業學校ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
四 文官高等試驗又ハ高等試驗ニ合格シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
第十六條 造船中技士、造機中技士又ハ造兵中技士ハ左ノ各號ノ一ニ該當シテ必要ナル學術ヲ修メタル者ヨリ之ヲ任用ス
一 海軍造船學生、海軍造機學生又ハ海軍造兵學生ト爲リ帝國大學工科大學又ハ理科大學ヲ卒業シタル者
二 帝國大學工科大學、理科大學又ハ理工科大學ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
第十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ中軍醫又ハ中藥劑士ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 海軍軍醫學生又ハ海軍藥劑學生ト爲リ帝國大學醫科大學ヲ卒業シタル者
二 帝國大學醫科大學ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
第十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ中主計ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 海軍主計學生ト爲リ帝國大學法科大學ヲ卒業シタル者
二 帝國大學法科大學ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
三 高等商業學校專攻部ヲ卒業シタル者ニシテ身體檢査ニ合格シタルモノ
第十九條 海軍大臣ハ第十一條ノ實務練習ヲ修了シタル候補生ノ名簿ヲ調製シ該名簿ノ列序ニ從ヒ士官任用ノ上奏ヲ爲スヘシ
名簿ノ列序ハ左ノ各號ニ依リ之ヲ定ム
一 海軍兵學校、海軍機關學校又ハ海軍經理學校ヲ卒業シタル者ニ在リテハ卒業試驗ノ得點ニ實務練習ノ得點ヲ加ヘタル點數
二 前號ニ該當セサル者ニ在リテハ採用試驗ノ得點ニ實務練習ノ得點ヲ加ヘタル點數
第二十條 戰時又ハ事變ノ際定規ノ實務練習ヲ爲ササル候補生ノ名簿ノ列序ハ實務練習ノ得點ヲ附シ得ヘキ場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ニ依リ其ノ他ノ場合ニ於テハ左ノ各號ニ依リ之ヲ定ム
一 海軍兵學校、海軍機關學校又ハ海軍經理學校ヲ卒業シタル者ニ在リテハ卒業試驗ノ得點
二 前號ニ該當セサル者ニ在リテハ採用試驗ノ得點
第四章 特務士官ノ任用
第二十一條 特務士官ハ現役准士官中伎倆拔群ニシテ實役停年六年ヲ超エタル者ヨリ拔擢シテ之ヲ任用ス但シ戰時又ハ事變ノ際ニハ其ノ年數ヲ半減スルコトヲ得
第二十二條 海軍大臣ハ前條ノ規定ニ該當スル者ノ名簿ヲ調製シ該名簿ノ列序ニ從ヒ特務士官任用ノ上奏ヲ爲スヘシ
第五章 特殊任用
第二十三條 戰時又ハ事變ノ際ニハ候補生又ハ准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ第十一條、第十九條、第二十條、第二十一條及第二十二條ノ規定ニ拘ラス候補生ヲ士官ニ、准士官ヲ特務士官ニ特ニ任用スルコトヲ得
一 敵前ニ在リテ殊勳ヲ奏シタル者
二 殊勳ヲ奏シタル者又ハ勳功顯著ナル者ニシテ傷痍又ハ疾病ノ爲危篤ニ陷リタルモノ
第二十四條 戰時又ハ事變ノ際ニハ召集中ノ豫備役後備役准士官ニ付第四章ヲ準用スルコトヲ得但シ實役停年ニ關シテハ召集中ノ勤務日數ヲ現役中ノ勤務日數ニ通算ス
前項ノ規定ニ依リ任用スル者ノ員數ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十五條 實役停年六年ヲ超エタル現役准士官ニシテ戰時若ハ事變ノ際勳績アル者又ハ多年軍務ニ從事シ勳績アル者ハ現役ヲ退ク際特ニ特務士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ付テハ前官等ニ依ル
第二十六條 戰時又ハ事變ノ際召集中ノ豫備役後備役准士官ニシテ勳績アリ且實役停年六年ヲ超エタル者ハ召集解除ノ際特ニ特務士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ付テハ前官等ニ依ル
前項ノ實役停年ニ關シテハ召集中ノ勤務日數ヲ現役中ノ勤務日數ニ通算ス
第二十七條 外國ノ學校ニ於テ相當ノ課程ヲ修了シタル者ハ採用試驗ヲ行ヒ第二章及第三章ヲ準用シ海軍高等武官任用委員ノ銓衡ヲ經テ特ニ之ヲ候補生ニ採用シ又ハ尉官相當官ニ任用スルコトヲ得但シ海軍高等武官任用委員ニ於テ適當ノ學歷ヲ有スト認ムル者ニ在リテハ採用試驗中ノ學術試驗ヲ省略スルコトヲ得
第二十八條 第十四條第二號ニ該當スル者ニシテ相當ノ實歷ヲ有スルモノハ中軍醫又ハ中藥劑士ニ、第十六條第二號第十七條第二號第十八條第二號又ハ前條ノ規定ニ該當スル者ニシテ相當ノ實歷ヲ有スルモノハ大尉相當官ニ海軍高等武官任用委員ノ銓衡ヲ經テ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
第二十九條 海軍高等武官ニシテ特別ノ學術技能ヲ有シ且其ノ事績顯著ナル者ハ其ノ學術技能ヲ要スル同官等ノ他ノ海軍高等武官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ進級ニ必要ナル實役停年最下期限ヲ超エタル者ニ在リテハ其ノ上級ノ官等ノ官ニ之ヲ任用スルコトヲ得
第四條第二號ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル任用ニ付テハ之ヲ適用セス
第一項ノ規定ニ依リ同官等ノ官ニ任用ノ場合ニ於テハ實役停年ハ前後之ヲ通算ス
第六章 雜則
第三十條 實役停年ノ計算ニ付テハ海軍高等武官進級條例ニ依ル
第三十一條 海軍省ニ海軍高等武官任用委員ヲ置ク海軍部內ノ高等武官中ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
海軍高等武官任用委員ハ第二十七條及第二十八條ノ規定ニ依ル職務ノ外海軍諸學校ノ生徒以外ヨリ候補生ヲ採用スル場合竝候補生及海軍諸學生以外ヨリ士官ヲ任用スル場合ニ於テ必要ナル學術試驗及身體檢査ヲ行フ
學術試驗及身體檢査ニ關スル規定ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
海軍高等武官補充條例ハ之ヲ廢止ス
朕海軍高等武官任用令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年十月一日
内閣総理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郎
勅令第三百六十五号
海軍高等武官任用令
第一章 総則
第一条 海軍高等武官ノ任用ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ニ依ル
第二条 本令ニ於テ候補生トハ少尉候補生、機関少尉候補生及少主計候補生ヲ謂フ
第三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ候補生ニ之ヲ採用スルコトヲ得ス
一 年齢二十年未満ノ者但シ海軍諸学校ノ生徒ヨリ採用スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
二 年齢二十八年以上ノ者
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
四 復権ヲ得サル家資分散者又ハ破産者
第四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得ス
一 年齢二十年未満ノ者但シ候補生ヨリ任用スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
二 任用スヘキ官ノ現役定限年齢前八年以内ノ者
三 前条第三号又ハ第四号ニ該当スル者
第五条 軍医官ニ任用セラルヘキ者ハ医師免許証ヲ、薬剤官ニ任用セラルヘキ者ハ薬剤師免状ヲ有スルコトヲ要ス
第二章 候補生ノ採用
第六条 少尉候補生ハ海軍兵学校ヲ卒業シタル者ヨリ之ヲ採用ス
第七条 機関少尉候補生ハ海軍機関学校ノ生徒課程ヲ卒業シタル者ヨリ之ヲ採用ス
第八条 少主計候補生ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヨリ之ヲ採用ス
一 海軍経理学校ノ生徒課程ヲ卒業シタル者
二 中学校又ハ文部大臣ニ於テ之ト同等以上ト認定シタル学校ヲ卒業シ且法律学及経済学ヲ修メタル者ニシテ採用試験ニ合格シタルモノ
第九条 候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十条 候補生ハ情願ヲ以テ之ヲ辞スルコトヲ得ス
第十一条 候補生ハ七月以上実務練習ヲ為サシム
戦時又ハ事変ノ際ニハ定規ノ実務練習ヲ為サシメサルコトヲ得
実務練習ニ関スル規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十二条 候補生ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ之ヲ免ス
一 傷痍又ハ疾病ノ為高等武官タルニ適セサル者
二 軍紀ヲ紊リ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 公務ニ原因セサル事由ニ因リ所在不明ナル者
四 実務練習ノ成績劣等ニシテ技能発達ノ目途ナキ者
五 高等武官タルヘキ器量ニ乏シキ者
六 候補生ノ本分ニ背キタル者
第三章 士官ノ任用
第十三条 少尉又ハ機関少尉ハ各其ノ候補生ヨリ之ヲ任用ス
第十四条 少軍医又ハ少薬剤士ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 海軍軍医学生又ハ海軍薬剤学生ト為リ官立公立又ハ医師法ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ医学専門学校ヲ卒業シタル者
二 帝国大学附属医学専門部、官立公立若ハ医師法ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ医学専門学校又ハ官立公立若ハ薬品営業並薬品取扱規則ニ依リ文部大臣ノ指定シタル私立ノ薬学専門学校ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
第十五条 少主計ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 少主計候補生
二 海軍主計学生ト為リ高等商業学校ヲ卒業シタル者
三 高等商業学校ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
四 文官高等試験又ハ高等試験ニ合格シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
第十六条 造船中技士、造機中技士又ハ造兵中技士ハ左ノ各号ノ一ニ該当シテ必要ナル学術ヲ修メタル者ヨリ之ヲ任用ス
一 海軍造船学生、海軍造機学生又ハ海軍造兵学生ト為リ帝国大学工科大学又ハ理科大学ヲ卒業シタル者
二 帝国大学工科大学、理科大学又ハ理工科大学ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ中軍医又ハ中薬剤士ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 海軍軍医学生又ハ海軍薬剤学生ト為リ帝国大学医科大学ヲ卒業シタル者
二 帝国大学医科大学ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ中主計ニ之ヲ任用スルコトヲ得
一 海軍主計学生ト為リ帝国大学法科大学ヲ卒業シタル者
二 帝国大学法科大学ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
三 高等商業学校専攻部ヲ卒業シタル者ニシテ身体検査ニ合格シタルモノ
第十九条 海軍大臣ハ第十一条ノ実務練習ヲ修了シタル候補生ノ名簿ヲ調製シ該名簿ノ列序ニ従ヒ士官任用ノ上奏ヲ為スヘシ
名簿ノ列序ハ左ノ各号ニ依リ之ヲ定ム
一 海軍兵学校、海軍機関学校又ハ海軍経理学校ヲ卒業シタル者ニ在リテハ卒業試験ノ得点ニ実務練習ノ得点ヲ加ヘタル点数
二 前号ニ該当セサル者ニ在リテハ採用試験ノ得点ニ実務練習ノ得点ヲ加ヘタル点数
第二十条 戦時又ハ事変ノ際定規ノ実務練習ヲ為ササル候補生ノ名簿ノ列序ハ実務練習ノ得点ヲ附シ得ヘキ場合ニ於テハ前条第二項ノ規定ニ依リ其ノ他ノ場合ニ於テハ左ノ各号ニ依リ之ヲ定ム
一 海軍兵学校、海軍機関学校又ハ海軍経理学校ヲ卒業シタル者ニ在リテハ卒業試験ノ得点
二 前号ニ該当セサル者ニ在リテハ採用試験ノ得点
第四章 特務士官ノ任用
第二十一条 特務士官ハ現役准士官中伎倆抜群ニシテ実役停年六年ヲ超エタル者ヨリ抜擢シテ之ヲ任用ス但シ戦時又ハ事変ノ際ニハ其ノ年数ヲ半減スルコトヲ得
第二十二条 海軍大臣ハ前条ノ規定ニ該当スル者ノ名簿ヲ調製シ該名簿ノ列序ニ従ヒ特務士官任用ノ上奏ヲ為スヘシ
第五章 特殊任用
第二十三条 戦時又ハ事変ノ際ニハ候補生又ハ准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ第十一条、第十九条、第二十条、第二十一条及第二十二条ノ規定ニ拘ラス候補生ヲ士官ニ、准士官ヲ特務士官ニ特ニ任用スルコトヲ得
一 敵前ニ在リテ殊勲ヲ奏シタル者
二 殊勲ヲ奏シタル者又ハ勲功顕著ナル者ニシテ傷痍又ハ疾病ノ為危篤ニ陥リタルモノ
第二十四条 戦時又ハ事変ノ際ニハ召集中ノ予備役後備役准士官ニ付第四章ヲ準用スルコトヲ得但シ実役停年ニ関シテハ召集中ノ勤務日数ヲ現役中ノ勤務日数ニ通算ス
前項ノ規定ニ依リ任用スル者ノ員数ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十五条 実役停年六年ヲ超エタル現役准士官ニシテ戦時若ハ事変ノ際勲績アル者又ハ多年軍務ニ従事シ勲績アル者ハ現役ヲ退ク際特ニ特務士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ付テハ前官等ニ依ル
第二十六条 戦時又ハ事変ノ際召集中ノ予備役後備役准士官ニシテ勲績アリ且実役停年六年ヲ超エタル者ハ召集解除ノ際特ニ特務士官ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ付テハ前官等ニ依ル
前項ノ実役停年ニ関シテハ召集中ノ勤務日数ヲ現役中ノ勤務日数ニ通算ス
第二十七条 外国ノ学校ニ於テ相当ノ課程ヲ修了シタル者ハ採用試験ヲ行ヒ第二章及第三章ヲ準用シ海軍高等武官任用委員ノ銓衡ヲ経テ特ニ之ヲ候補生ニ採用シ又ハ尉官相当官ニ任用スルコトヲ得但シ海軍高等武官任用委員ニ於テ適当ノ学歴ヲ有スト認ムル者ニ在リテハ採用試験中ノ学術試験ヲ省略スルコトヲ得
第二十八条 第十四条第二号ニ該当スル者ニシテ相当ノ実歴ヲ有スルモノハ中軍医又ハ中薬剤士ニ、第十六条第二号第十七条第二号第十八条第二号又ハ前条ノ規定ニ該当スル者ニシテ相当ノ実歴ヲ有スルモノハ大尉相当官ニ海軍高等武官任用委員ノ銓衡ヲ経テ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
第二十九条 海軍高等武官ニシテ特別ノ学術技能ヲ有シ且其ノ事績顕著ナル者ハ其ノ学術技能ヲ要スル同官等ノ他ノ海軍高等武官ニ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得但シ進級ニ必要ナル実役停年最下期限ヲ超エタル者ニ在リテハ其ノ上級ノ官等ノ官ニ之ヲ任用スルコトヲ得
第四条第二号ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル任用ニ付テハ之ヲ適用セス
第一項ノ規定ニ依リ同官等ノ官ニ任用ノ場合ニ於テハ実役停年ハ前後之ヲ通算ス
第六章 雑則
第三十条 実役停年ノ計算ニ付テハ海軍高等武官進級条例ニ依ル
第三十一条 海軍省ニ海軍高等武官任用委員ヲ置ク海軍部内ノ高等武官中ヨリ海軍大臣之ヲ命ス
海軍高等武官任用委員ハ第二十七条及第二十八条ノ規定ニ依ル職務ノ外海軍諸学校ノ生徒以外ヨリ候補生ヲ採用スル場合並候補生及海軍諸学生以外ヨリ士官ヲ任用スル場合ニ於テ必要ナル学術試験及身体検査ヲ行フ
学術試験及身体検査ニ関スル規定ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
海軍高等武官補充条例ハ之ヲ廃止ス