朕海軍高等武官補充條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月十六日
海軍大臣　侯爵　西鄕從道
勅令第三百十四號
海軍高等武官補充條例
第一章　總則
第一條　本條例ハ海軍高等武官ノ補充ニ關スルコトヲ規定ス
第二條　本條例ニ於テ少尉相當官ト稱スルハ少機關士、少軍醫、少藥劑士、少主計、造船少技士、造兵少技士及水路少技士ヲ謂ヒ兵曹長相當官ト稱スルハ軍樂長、船匠長、機關兵曹長、看護長及筆記長ヲ謂ヒ候補生ト稱スルハ少尉候補生、少機關士候補生、少軍醫候補生、少藥劑士候補生及少主計候補生ヲ謂フ
第二章　候補生ノ補充
第三條　海軍少尉候補生ハ左ニ揭クル者ヨリ採用ス
一　海軍兵學校ノ全學科ヲ卒業シタル者
二　私費ヲ以テ外國ニ留學シ相當ノ學術ヲ修メ卒業シタル海軍出身志願者ニシテ身體檢査及採用試驗ニ合格シタル者
第四條　海軍少機關士候補生ハ左ニ揭クル者ヨリ採用ス
一　海軍機關學校ノ全學科ヲ卒業シタル者
二　第三條第二ニ該當スル者
第五條　海軍少軍醫候補生ハ醫術開業免狀ヲ有シ身體檢査及採用試驗ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第六條　海軍少藥劑士候補生ハ藥劑師免狀ヲ有シ身體檢査及採用試驗ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第七條　海軍少主計候補生ハ官立公立尋常中學校ヲ卒業シ若ハ之ト同等以上ノ學力ヲ有シ且法律及經濟學ヲ敎授スル學校ニ於テ三年以上ノ課程ヲ終ヘタル者ニシテ身體檢査及採用試驗ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第八條　少軍醫候補生、少藥劑士候補生、少主計候補生ヲ採用スルトキハ海軍大臣之ヲ吿示ス
第九條　前條ノ候補生志願者左ノ事項ノ一ニ該當スルトキハ候補生ニ採用スルコトヲ得ス
一　年齡二十年未滿及滿二十八年以上ノ者
二　有妻ノ者
三　禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者又ハ賭博犯ノ處分ヲ受ケタル者
四　復權ヲ得サル家資分散者破產者若ハ身代限ノ處分ヲ受ケ辨償ノ義務ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相續人
第十條　候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十一條　候補生ハ情願ヲ以テ辭スルコトヲ得ス
第十二條　候補生ハ一箇年以上實務練習ヲ爲サシム但シ少機關士候補生ノ實務練習ハ八箇月以上トス
第十三條　候補生前條ノ實務練習ヲ終ヘタルトキハ其ノ練習ヲ擔任スル艦團其ノ他各部ノ長ハ各候補生ノ勤務報吿ヲ作リ意見ヲ附シ第三項ノ報吿ト共ニ之ヲ所管長官ニ進達シ所管長官ハ之ニ意見ヲ附シ海軍大臣ニ進達スヘシ
候補生勤務報吿ニハ各候補生ノ材能、品行、勤惰及傷痍疾病等ノ事實ヲ詳記スルモノトス
候補生實務練習中他ノ艦團若ハ其ノ他ニ轉スルトキ及其ノ長他ニ轉スルトキハ其ノ都度各候補生ノ勤務報吿ヲ作リ之ニ意見ヲ附シ其ノ候補生ノ新所屬長ニ移スヘシ
第十四條　海軍大臣ハ候補生第十二條ノ練習ヲ終リタルトキハ勤務報吿ニ依リ審査ノ上本官ニ任用スヘキ者ニ就キ候補名簿ヲ作リ缺員アル每ニ候補名簿ノ順序ニ從ヒ本官ニ任用ノ事ヲ奏上スヘシ
候補名簿ノ順序ハ海軍兵學校及海軍機關學校卒業ノ者ニ在テハ卒業試驗ノ得㸃ニ實務練習中ノ得㸃ヲ加ヘタル㸃數ニ依リ其ノ他ノ候補生ニ在テハ席次ニ依ル
第十五條　海軍大臣ハ候補生ノ品行不正ニシテ高等武官タルノ資格ヲ缺キ若ハ傷痍疾病ノ爲メ高等武官ニ適セスト認メタルトキハ之ヲ免ス
第三章　士官ノ補充
第十六條　海軍少尉、少機關士ハ各其ノ候補生ヨリ又他ノ少尉相當官ハ各其ノ候補生及左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ任用ス但シ兵曹長及其ノ相當官ノ任用ハ第四章ニ依ル
一　私費ヲ以テ外國ニ留學シ相當ノ學術ヲ修メ卒業シタル海軍出身志願者ニシテ採用試驗ニ合格シタル者但シ適當ノ卒業證書ヲ得タル者ニ在テハ試驗ヲ用井ス採用スルコトヲ得
二　帝國大學元東京大學元工部大學校ニ於テ海軍高等武官タルニ必要ナル學術ヲ修メ卒業シタル者
三　文官高等試驗ノ合格證書ヲ有スル者
前項第一乃至第三ニ該當スル者ヨリ任用スルトキハ官費學生ヲ命シタルトキ身體檢査ヲ行ヒタル者ヲ除ク外身體檢査ヲ行フ
第十七條　左ニ揭クル事項ノ一ニ該當スル者ハ士官ニ任用スルコトヲ得ス但シ候補生ヨリ任用スル者ハ本條ニ依ルノ限ニアラス
一　年齡二十年未滿ノ者
二　採用スヘキ官ノ現役定限年齡前八箇年以內ノ者
三　第九條第三第四ニ該當スル者
第十八條　第十六條第一乃至第三ノ資格ノ一ヲ有シ相當ノ實歷アル者ハ採用委員ノ銓衡ヲ經テ大尉相當官若ハ中尉相當官ニ任用スルコトヲ得
第十九條　海軍軍醫官、藥劑官、主計官、造船官、造兵官ヲ採用スルトキハ海軍大臣之ヲ吿示ス
第四章　兵曹長及其ノ相當官ノ補充
第二十條　海軍兵曹長及其ノ相當官ハ現役准士官中技倆拔群ニシテ實役停年六箇年ヲ超エタル者ヨリ選拔任用ス
第二十一條　海軍大臣ハ前條ニ該當スル者ニ就キ其ノ候補名簿ヲ徵シ之ヲ任用會議ノ調査ニ附シ任用決定候補名簿ヲ作リ敍任ヲ要スル每ニ其ノ順序ニ從ヒ任用ノ事ヲ奏上スヘシ但シ戰時若ハ事變ニ際シテハ其ノ調査ニ附セサルコトヲ得
決定候補名簿ヲ作ルノ法ハ候補名簿中ヨリ任用スヘキ者ヲ選拔シ其ノ列序ヲ定ム
任用會議ハ各司令長官將官會議議員各總監ヲ以テ組織ス但シ海軍大臣ハ必要ニ依リ他ノ職員ニ命シ臨時參與セシムルコトヲ得
第二十二條　兵曹長及相當官任用決定候補名簿ハ其ノ調製ノ時ヨリ次囘決定候補名簿調製ノ時マテ效力ヲ有ス
第二十三條　現役准士官ニシテ戰時若ハ事變ニ際シ勳績アリ准士官任用後實役停年六箇年ヲ超エタル者又ハ多年軍務ニ從事シ勳績アル者現役ヲ退キタルトキハ其ノ際特ニ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相當官ニ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ在テハ前官等ニ依ル
第二十四條　豫備役、後備役准士官ニシテ戰時若ハ事變ニ際シ召集中勳績アリタル者其ノ召集ヲ解キタルトキハ其ノ際特ニ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相當官ニ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ在テハ新官等ニ依ルコトヲ得ス
第五章　雜則
第二十五條　海軍大臣ハ海軍高等武官採用委員若ハ候補生採用委員及身體檢査委員ヲ設ケ第八條第十九條ノ志願者ヲ檢査セシム
採用試驗及身體檢査ニ關スル規定ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十六條　戰時若ハ事變ニ際シ海軍高等武官ノ補充ヲ要シ候補生ニテ所要ノ員數ヲ充タスコト能ハサルトキニ限リ左ノ諸項ノ一ニ該當スル者ニ就キ身體檢査ヲ行ヒ少尉及其ノ相當官ニ任用スルコトヲ得
一　私費ヲ以テ外國ニ留學シ海軍高等武官タルニ必要ナル學術ヲ修得シ其ノ證明書ヲ有スル者
二　醫術開業免狀ヲ有シ軍醫官採用試驗ニ合格シタル者
第二十七條　左ノ場合ニ在テハ定規ニ依ラス候補生ヲ各其ノ本官ニ准士官ヲ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相當官ニ任用スルコトヲ得
一　敵前ニ在テ殊勳ヲ奏シタル者
二　戰地ニ在テ人員缺乏シ敍任ノ定規ヲ履ム能ハサルトキ
第二十八條　實役停年ニ關シテハ海軍高等武官進級條例ノ規程ヲ適用ス
第二十九條　海軍高等武官ニシテ特別ノ學術技能ヲ有シ且其ノ事績顯著ナル者ハ其ノ學術技能ヲ要スル他ノ海軍高等武官ニ轉任セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ實役停年ハ前後通算ス
附　則
第三十條　本令ハ明治三十年十二月一日ヨリ施行ス
第三十一條　海軍高等武官任用條例、海軍高等武官候補生規則及明治二十八年勅令第六十三號ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
第三十二條　第十六條ニ揭クル資格ノ一ヲ有シ本令施行ノ日候補生タル者ハ第十二條ノ規定ニ拘ラス各其ノ本官ニ任用スルコトヲ得
朕海軍高等武官補充条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十年九月十六日
海軍大臣　侯爵　西郷従道
勅令第三百十四号
海軍高等武官補充条例
第一章　総則
第一条　本条例ハ海軍高等武官ノ補充ニ関スルコトヲ規定ス
第二条　本条例ニ於テ少尉相当官ト称スルハ少機関士、少軍医、少薬剤士、少主計、造船少技士、造兵少技士及水路少技士ヲ謂ヒ兵曹長相当官ト称スルハ軍楽長、船匠長、機関兵曹長、看護長及筆記長ヲ謂ヒ候補生ト称スルハ少尉候補生、少機関士候補生、少軍医候補生、少薬剤士候補生及少主計候補生ヲ謂フ
第二章　候補生ノ補充
第三条　海軍少尉候補生ハ左ニ掲クル者ヨリ採用ス
一　海軍兵学校ノ全学科ヲ卒業シタル者
二　私費ヲ以テ外国ニ留学シ相当ノ学術ヲ修メ卒業シタル海軍出身志願者ニシテ身体検査及採用試験ニ合格シタル者
第四条　海軍少機関士候補生ハ左ニ掲クル者ヨリ採用ス
一　海軍機関学校ノ全学科ヲ卒業シタル者
二　第三条第二ニ該当スル者
第五条　海軍少軍医候補生ハ医術開業免状ヲ有シ身体検査及採用試験ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第六条　海軍少薬剤士候補生ハ薬剤師免状ヲ有シ身体検査及採用試験ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第七条　海軍少主計候補生ハ官立公立尋常中学校ヲ卒業シ若ハ之ト同等以上ノ学力ヲ有シ且法律及経済学ヲ教授スル学校ニ於テ三年以上ノ課程ヲ終ヘタル者ニシテ身体検査及採用試験ニ合格シタル者ヨリ採用ス
第八条　少軍医候補生、少薬剤士候補生、少主計候補生ヲ採用スルトキハ海軍大臣之ヲ告示ス
第九条　前条ノ候補生志願者左ノ事項ノ一ニ該当スルトキハ候補生ニ採用スルコトヲ得ス
一　年齢二十年未満及満二十八年以上ノ者
二　有妻ノ者
三　禁錮以上ノ刑ヲ受ケタル者又ハ賭博犯ノ処分ヲ受ケタル者
四　復権ヲ得サル家資分散者破産者若ハ身代限ノ処分ヲ受ケ弁償ノ義務ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相続人
第十条　候補生ハ現役海軍軍人トシ其ノ身分ハ奏任官ノ待遇トス
第十一条　候補生ハ情願ヲ以テ辞スルコトヲ得ス
第十二条　候補生ハ一箇年以上実務練習ヲ為サシム但シ少機関士候補生ノ実務練習ハ八箇月以上トス
第十三条　候補生前条ノ実務練習ヲ終ヘタルトキハ其ノ練習ヲ担任スル艦団其ノ他各部ノ長ハ各候補生ノ勤務報告ヲ作リ意見ヲ附シ第三項ノ報告ト共ニ之ヲ所管長官ニ進達シ所管長官ハ之ニ意見ヲ附シ海軍大臣ニ進達スヘシ
候補生勤務報告ニハ各候補生ノ材能、品行、勤惰及傷痍疾病等ノ事実ヲ詳記スルモノトス
候補生実務練習中他ノ艦団若ハ其ノ他ニ転スルトキ及其ノ長他ニ転スルトキハ其ノ都度各候補生ノ勤務報告ヲ作リ之ニ意見ヲ附シ其ノ候補生ノ新所属長ニ移スヘシ
第十四条　海軍大臣ハ候補生第十二条ノ練習ヲ終リタルトキハ勤務報告ニ依リ審査ノ上本官ニ任用スヘキ者ニ就キ候補名簿ヲ作リ欠員アル毎ニ候補名簿ノ順序ニ従ヒ本官ニ任用ノ事ヲ奏上スヘシ
候補名簿ノ順序ハ海軍兵学校及海軍機関学校卒業ノ者ニ在テハ卒業試験ノ得点ニ実務練習中ノ得点ヲ加ヘタル点数ニ依リ其ノ他ノ候補生ニ在テハ席次ニ依ル
第十五条　海軍大臣ハ候補生ノ品行不正ニシテ高等武官タルノ資格ヲ欠キ若ハ傷痍疾病ノ為メ高等武官ニ適セスト認メタルトキハ之ヲ免ス
第三章　士官ノ補充
第十六条　海軍少尉、少機関士ハ各其ノ候補生ヨリ又他ノ少尉相当官ハ各其ノ候補生及左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ任用ス但シ兵曹長及其ノ相当官ノ任用ハ第四章ニ依ル
一　私費ヲ以テ外国ニ留学シ相当ノ学術ヲ修メ卒業シタル海軍出身志願者ニシテ採用試験ニ合格シタル者但シ適当ノ卒業証書ヲ得タル者ニ在テハ試験ヲ用井ス採用スルコトヲ得
二　帝国大学元東京大学元工部大学校ニ於テ海軍高等武官タルニ必要ナル学術ヲ修メ卒業シタル者
三　文官高等試験ノ合格証書ヲ有スル者
前項第一乃至第三ニ該当スル者ヨリ任用スルトキハ官費学生ヲ命シタルトキ身体検査ヲ行ヒタル者ヲ除ク外身体検査ヲ行フ
第十七条　左ニ掲クル事項ノ一ニ該当スル者ハ士官ニ任用スルコトヲ得ス但シ候補生ヨリ任用スル者ハ本条ニ依ルノ限ニアラス
一　年齢二十年未満ノ者
二　採用スヘキ官ノ現役定限年齢前八箇年以内ノ者
三　第九条第三第四ニ該当スル者
第十八条　第十六条第一乃至第三ノ資格ノ一ヲ有シ相当ノ実歴アル者ハ採用委員ノ銓衡ヲ経テ大尉相当官若ハ中尉相当官ニ任用スルコトヲ得
第十九条　海軍軍医官、薬剤官、主計官、造船官、造兵官ヲ採用スルトキハ海軍大臣之ヲ告示ス
第四章　兵曹長及其ノ相当官ノ補充
第二十条　海軍兵曹長及其ノ相当官ハ現役准士官中技倆抜群ニシテ実役停年六箇年ヲ超エタル者ヨリ選抜任用ス
第二十一条　海軍大臣ハ前条ニ該当スル者ニ就キ其ノ候補名簿ヲ徴シ之ヲ任用会議ノ調査ニ附シ任用決定候補名簿ヲ作リ叙任ヲ要スル毎ニ其ノ順序ニ従ヒ任用ノ事ヲ奏上スヘシ但シ戦時若ハ事変ニ際シテハ其ノ調査ニ附セサルコトヲ得
決定候補名簿ヲ作ルノ法ハ候補名簿中ヨリ任用スヘキ者ヲ選抜シ其ノ列序ヲ定ム
任用会議ハ各司令長官将官会議議員各総監ヲ以テ組織ス但シ海軍大臣ハ必要ニ依リ他ノ職員ニ命シ臨時参与セシムルコトヲ得
第二十二条　兵曹長及相当官任用決定候補名簿ハ其ノ調製ノ時ヨリ次回決定候補名簿調製ノ時マテ効力ヲ有ス
第二十三条　現役准士官ニシテ戦時若ハ事変ニ際シ勲績アリ准士官任用後実役停年六箇年ヲ超エタル者又ハ多年軍務ニ従事シ勲績アル者現役ヲ退キタルトキハ其ノ際特ニ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相当官ニ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ在テハ前官等ニ依ル
第二十四条　予備役、後備役准士官ニシテ戦時若ハ事変ニ際シ召集中勲績アリタル者其ノ召集ヲ解キタルトキハ其ノ際特ニ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相当官ニ任用スルコトヲ得但シ恩給ヲ受クル資格ニ在テハ新官等ニ依ルコトヲ得ス
第五章　雑則
第二十五条　海軍大臣ハ海軍高等武官採用委員若ハ候補生採用委員及身体検査委員ヲ設ケ第八条第十九条ノ志願者ヲ検査セシム
採用試験及身体検査ニ関スル規定ハ海軍大臣之ヲ定ム
第二十六条　戦時若ハ事変ニ際シ海軍高等武官ノ補充ヲ要シ候補生ニテ所要ノ員数ヲ充タスコト能ハサルトキニ限リ左ノ諸項ノ一ニ該当スル者ニ就キ身体検査ヲ行ヒ少尉及其ノ相当官ニ任用スルコトヲ得
一　私費ヲ以テ外国ニ留学シ海軍高等武官タルニ必要ナル学術ヲ修得シ其ノ証明書ヲ有スル者
二　医術開業免状ヲ有シ軍医官採用試験ニ合格シタル者
第二十七条　左ノ場合ニ在テハ定規ニ依ラス候補生ヲ各其ノ本官ニ准士官ヲ各其ノ上級タル兵曹長若ハ其ノ相当官ニ任用スルコトヲ得
一　敵前ニ在テ殊勲ヲ奏シタル者
二　戦地ニ在テ人員欠乏シ叙任ノ定規ヲ履ム能ハサルトキ
第二十八条　実役停年ニ関シテハ海軍高等武官進級条例ノ規程ヲ適用ス
第二十九条　海軍高等武官ニシテ特別ノ学術技能ヲ有シ且其ノ事績顕著ナル者ハ其ノ学術技能ヲ要スル他ノ海軍高等武官ニ転任セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ実役停年ハ前後通算ス
附　則
第三十条　本令ハ明治三十年十二月一日ヨリ施行ス
第三十一条　海軍高等武官任用条例、海軍高等武官候補生規則及明治二十八年勅令第六十三号ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス
第三十二条　第十六条ニ掲クル資格ノ一ヲ有シ本令施行ノ日候補生タル者ハ第十二条ノ規定ニ拘ラス各其ノ本官ニ任用スルコトヲ得