開港港則
法令番号: 勅令第百三十九號
公布年月日: 明治31年7月8日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ開港港則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年七月七日
外務大臣 伯爵 大隈重信
內務大臣 伯爵 板垣退助
大藏大臣 松田正久
遞信大臣 林有造
勅令第百三十九號
開港港則
第一條 左ニ記載スル外國通商ヲ許シタル諸港ノ經界ハ左ノ如ク之ヲ定ム
橫濱ノ港界ハ十二天(マンダリン、ブラフ)ヨリ燈船マテ夫ヨリ正北ニ向ヒ鶴見川口ノ東岸マテ引キタル一線內ニ含マル
神戶ノ港界ハ生田川ノ舊口ヨリ南方ニ向ヒ引キタル一線ト和田崎ヨリ北東ニ向ヒ引キタル他ノ一線トノ二線ヲ經界トナシタル面積內ニ含マル
新潟ノ港界ハ燈臺ヲ中心トシ二海哩半ノ半徑ヲ有スル圓圏ノ一弧內ニ含マル
夷港ノ港界ハ椎泊村ヨリ北五十里村外堺マテ引キタル一線ト加茂湖東岸港町ヨリ同湖北西岸加茂村マテ引キタル一線トノ內ニ含マル
大阪ノ港界ハ武庫川口目標(ツリー、ポイント)ヨリ南微西ニ向ヒ引キタル一線ト大和川口ヨリ引キタル一線ト武庫川口目標(ツリー、ポイント)ヨリ六海哩大和川口ヨリ五海哩ノ所ニ於テ相接スル其二線內ニ含マル
長崎ノ港界ハ神崎ヨリ女神ニ引キタル一線內ニ含マル
函館ノ港界ハ阿野間崎ヨリ南方沖合半海哩ノ所ヨリ上磯村有川口ノ東岸マテ引キタル一線內ニ含マル
第二條 各船舶ハ入港スルニ當リ其國旗及信號符字ヲ揚クヘシ定期郵便船ハ會社旗ヲ以テ信號符字ニ代用スルコトヲ得
右國旗及信號符字又ハ會社旗ハ船舶ノ著港ヲ港長ニ屆出タル後ニアラサレハ之ヲ引下スヘカラス
著港屆ハ日曜日及大祭日ヲ除クノ外著港後二十四時間內ニ之ヲ差出スヘシ但シ著港屆ヲ差出シタル後ニアラサレハ如何ナル船舶タリトモ稅關手續ノ便利ヲ與ヘサルモノトス
第三條 各船長ハ其著港ニ際シ自由交通ノ許可ヲ受クルマテハ其船舶ト他ノ船舶或ハ陸地トノ間ニ於ケル一切ノ交通ヲ差止ムヘシ
第四條 港長ノ端艇ハ港ノ入口近傍ニ出向キ居リ港長ハ各船舶ノ入港スルニ當リ其泊船所ヲ示定スヘシ而シテ各船舶ハ止ムコトヲ得サル場合ヲ除クノ外特許ナクシテ其泊船所ヲ去ルヘカラス但シ港長ニ於テ必要ト認ムルトキハ船舶ヲシテ其泊船所ヲ移サシムルコトヲ得
第五條 港長ハ其執務ノ間常ニ制服ヲ著ケ其端艇ニハ別紙雛形ノ如キ旗ヲ揭クヘシ
港長ハ何時タリトモ船舶ノ運動繫船ノ適否及碇泊所ニ關スル指揮カ果シテ實行セラレ居ルヤ否ヲ檢査スルコトヲ得
第六條 如何ナル船舶モ公ケノ航路ニ投錨シ若クハ其他航海ノ自由ヲ障碍スヘカラス
「ヂブ、ブームス」ヲ接キ出シタル船舶ニシテ其「ヂブ、ブームス」カ航海ノ自由ヲ障碍スルトキハ港長ノ請求ニ從ヒ之ヲ取込ムヘシ
第七條 港界內ニ碇泊シ又ハ運航スル各船舶ハ日沒ト日出ノ間ニハ海上衝突豫防ニ關スル法令ニ規定シタル各種ノ船燈ヲ揭クヘシ
第八條 暴風雨ノ來ラムトスルトキ或ハ警報信號ヲ揭ケタルトキハ各船舶ニ於テ直ニ一箇又ハ一箇以上ノ豫備錨ヲ投下スルノ準備ヲ爲スヘシ尤モ汽船ハ此外別ニ蒸氣ヲ發生セシムヘシ
第九條 常用ニ超過シ爆發物又ハ容易ニ燃燒スヘキ物料ヲ積載シタル一切ノ船舶ハ港界外ニ來リ其處ニテ港長ノ指揮ヲ待ツヘシ斯ク指揮ヲ待ツ間右船舶ハ日出ト日沒ノ間ニハBノ信號日沒ト日出ノ間ニハ紅燈ヲ前檣ノ頂上ニ揭クヘシ
各船舶ハ港長ノ指定シタル場所ニアラサレハ前記ノ物料ヲ積入レ又ハ荷卸スヘカラス
第十條 休繫中又ハ修繕中ノ船舶及總テ「ヤツト」、倉庫船、貨船及端艇等ハ特ニ港長ノ指定シタル泊船所ニ碇泊スヘシ
第十一條 船舶カ港界內ニ於テ火ヲ失シタルトキハ救援ノ來ルマテ船鐘ヲ打鳴スヘシ且ツ日出ト日沒ノ間ニハNMノ信號ヲ揭ケ日沒ト日出ノ間ニハ斷エス紅燈ヲ上下スヘシ
警察官ノ救援ヲ要スルトキハ日出ト日沒ノ間ニハGノ信號ヲ揭ケ日沒ト日出ノ間ニハ藍火若クハ閃火ヲ示スヘシ
前記ノ如キ信號ニ用ユル場合ノ外港長ノ允許ヲ得ルニアラサレハ港界內ニ於テ銃砲及煙火等ヲ發スルコトヲ得ス
第十二條 帝國政府ニ於テ流行病若クハ傳染病(虎烈剌、天然痘、黃熱、猩紅熱、「ペスト」ノ類)アル地ト布吿シタル地ヨリ來著シ又ハ航海中船中ニ該病アリタル船舶ハ港界外ニ來リ日出ト日沒ノ間ニハ黃旗ヲ日沒ト日出ノ間ニハ紅白二燈ヲ上下ニ連ネ前檣ノ頂上ニ揭クヘシ又前記ノ船舶ハ當該衞生官吏ノ臨檢ヲ受クヘシ
衞生官吏臨檢ノ爲メ其船舶ニ近寄リタルトキハ適當ノ豫防ヲ施シ得ル爲メニ航海中現ニ該病發生ノ有無及該病ノ性質如何ヲ該官吏ニ通知スヘシ
右船舶ハ自由交通ノ允許ヲ受クルマテ黃旗若クハ前記ノ燈火ヲ引下スヘカラス且ツ當該衞生官吏ノ允許ヲ得ルニアラサレハ何人タリトモ上陸セシメ又ハ一切他ノ船舶ト交通スルヲ許サス
前數項ノ規定ハ港界內ニ碇泊スル船舶中ニ於テ前記ノ流行病及傳染病ノ內何病ニテモ發生シタルトキニ之ヲ適用ス
右船舶ハ港長ヨリ其旨命令ニ接スルトキハ其泊船所ヲ移轉スヘシ
牛羊等傳染病アル地ヨリ來著シ又ハ航海中該病ヲ發生シタル船舶ハ當該衞生官吏ノ允許ヲ得ルニアラサレハ牛羊等又ハ其死體、皮革又ハ骨ヲ陸揚シ又ハ他船ニ積換ユルコトヲ許サス
第十三條 港界內ニ於テ死體、荷足、灰燼、塵芥等ヲ海中ニ投棄スヘカラス
石炭、荷足其他之ニ類スル物料ヲ積卸スルトキハ其海中ニ脫落スルヲ防ク爲メ必要ノ豫防ヲ爲スヘシ
何船舶ニテモ港ニ害アル一切ノ物料ヲ海中ニ投棄シ又ハ怠慢ニ依リ脫落セシメタルトキハ港長ヨリ其旨命令ニ接セハ該船舶ニ於テ之ヲ取除クヘシ若シ取除カサルニ於テハ港長ハ該船舶ノ費用ヲ以テ之ヲ取除カシムルコトヲ得
第十四條 船舶出港セントスルトキハ其旨港務局ニ屆出テ且ツ出帆旗ヲ引揚クヘシ
一定ノ時日ニ出帆スル汽船ハ其著港及出帆ニ對シ單ニ一囘ノ屆出ヲ爲スヲ以テ足レリトス
第十五條 一港內又ハ其附近ノ公ケノ航路ノ妨害トナルヘキ總テノ難破物又ハ其他ノ物件ハ港長ノ指定セル時間內ニ其所有主ニ於テ之ヲ取除クヘシ若シ港長ノ指定セル時間內ニ此命令ヲ遵行セサルニ於テハ港長ハ所有主ノ費用ヲ以テ之ヲ取除カシメ又ハ破壞セシムルコトヲ得
第十六條 港務局ハ定期郵便汽船ノ爲メニ適切ニシテ且ツ充分ナル浮標ノ繫船器若干ヲ備ヘ置キ之ヲ使用スル所ノ船舶ヲシテ成規ノ使用料ヲ拂ハシムヘシ
第十七條 燈船、信號用浮標又ハ立標ニハ鏈、綱其他ノ船具ヲ繫クヘカラス
船舶若シ燈船、浮標、立標、埠頭及其他ノ造營物ニ乘掛ケ又ハ之ヲ毀損シタルトキハ其修繕又ハ再設ノ爲メニ必要ノ費用ハ該船舶ニ於テ之ヲ支辨スヘシ
第十八條 本則ノ規定ヲ犯シタルトキハ二圓以上二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條 船舶ニ科スル罰金、使用料又ハ費用ニ付テハ船長モ亦其責ヲ負フモノトス
第二十條 本則ニ依リ船舶ニ科シタル罰金、使用料又ハ費用ヲ完納スルカ或ハ之ニ對シ港長ノ滿足スヘキ擔保物ヲ港長ニ差出スニアラサレハ其船舶ノ出港ヲ許サス
第二十一條 本則ニ於テ港長ト稱スルハ助役及代理者ヲモ包含シ船長ト稱スルハ其名稱ノ何タルヲ問ハス船舶ヲ指揮監督スル者ノ義ニシテ港ト稱スルハ本則第一條中ニ列記セル諸港ノ一ヲ指ス
第二十二條 各港ニ於テ其一部分ヲ軍艦ノ碇泊所トシテ取除ケ置クヘシ
第二十三條 本則ノ規定中軍艦ニ適用セラルヘキモノハ第四條、六條、十二條、二十一條ノ規定及第十三條第一項及二項ノ規定ニ限ル
第二十四條 本則施行ノ時期及場所ハ遞信大臣之ヲ吿示ス
本則實施ニ關スル細則ハ遞信大臣之ヲ發布ス
(別紙)
第五條ノ旗章雛形
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ開港港則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年七月七日
外務大臣 伯爵 大隈重信
内務大臣 伯爵 板垣退助
大蔵大臣 松田正久
逓信大臣 林有造
勅令第百三十九号
開港港則
第一条 左ニ記載スル外国通商ヲ許シタル諸港ノ経界ハ左ノ如ク之ヲ定ム
横浜ノ港界ハ十二天(マンダリン、ブラフ)ヨリ灯船マテ夫ヨリ正北ニ向ヒ鶴見川口ノ東岸マテ引キタル一線内ニ含マル
神戸ノ港界ハ生田川ノ旧口ヨリ南方ニ向ヒ引キタル一線ト和田崎ヨリ北東ニ向ヒ引キタル他ノ一線トノ二線ヲ経界トナシタル面積内ニ含マル
新潟ノ港界ハ灯台ヲ中心トシ二海哩半ノ半径ヲ有スル円圏ノ一弧内ニ含マル
夷港ノ港界ハ椎泊村ヨリ北五十里村外堺マテ引キタル一線ト加茂湖東岸港町ヨリ同湖北西岸加茂村マテ引キタル一線トノ内ニ含マル
大阪ノ港界ハ武庫川口目標(ツリー、ポイント)ヨリ南微西ニ向ヒ引キタル一線ト大和川口ヨリ引キタル一線ト武庫川口目標(ツリー、ポイント)ヨリ六海哩大和川口ヨリ五海哩ノ所ニ於テ相接スル其二線内ニ含マル
長崎ノ港界ハ神崎ヨリ女神ニ引キタル一線内ニ含マル
函館ノ港界ハ阿野間崎ヨリ南方沖合半海哩ノ所ヨリ上磯村有川口ノ東岸マテ引キタル一線内ニ含マル
第二条 各船舶ハ入港スルニ当リ其国旗及信号符字ヲ揚クヘシ定期郵便船ハ会社旗ヲ以テ信号符字ニ代用スルコトヲ得
右国旗及信号符字又ハ会社旗ハ船舶ノ著港ヲ港長ニ届出タル後ニアラサレハ之ヲ引下スヘカラス
著港届ハ日曜日及大祭日ヲ除クノ外著港後二十四時間内ニ之ヲ差出スヘシ但シ著港届ヲ差出シタル後ニアラサレハ如何ナル船舶タリトモ税関手続ノ便利ヲ与ヘサルモノトス
第三条 各船長ハ其著港ニ際シ自由交通ノ許可ヲ受クルマテハ其船舶ト他ノ船舶或ハ陸地トノ間ニ於ケル一切ノ交通ヲ差止ムヘシ
第四条 港長ノ端艇ハ港ノ入口近傍ニ出向キ居リ港長ハ各船舶ノ入港スルニ当リ其泊船所ヲ示定スヘシ而シテ各船舶ハ止ムコトヲ得サル場合ヲ除クノ外特許ナクシテ其泊船所ヲ去ルヘカラス但シ港長ニ於テ必要ト認ムルトキハ船舶ヲシテ其泊船所ヲ移サシムルコトヲ得
第五条 港長ハ其執務ノ間常ニ制服ヲ著ケ其端艇ニハ別紙雛形ノ如キ旗ヲ掲クヘシ
港長ハ何時タリトモ船舶ノ運動繋船ノ適否及碇泊所ニ関スル指揮カ果シテ実行セラレ居ルヤ否ヲ検査スルコトヲ得
第六条 如何ナル船舶モ公ケノ航路ニ投錨シ若クハ其他航海ノ自由ヲ障碍スヘカラス
「ヂブ、ブームス」ヲ接キ出シタル船舶ニシテ其「ヂブ、ブームス」カ航海ノ自由ヲ障碍スルトキハ港長ノ請求ニ従ヒ之ヲ取込ムヘシ
第七条 港界内ニ碇泊シ又ハ運航スル各船舶ハ日没ト日出ノ間ニハ海上衝突予防ニ関スル法令ニ規定シタル各種ノ船灯ヲ掲クヘシ
第八条 暴風雨ノ来ラムトスルトキ或ハ警報信号ヲ掲ケタルトキハ各船舶ニ於テ直ニ一箇又ハ一箇以上ノ予備錨ヲ投下スルノ準備ヲ為スヘシ尤モ汽船ハ此外別ニ蒸気ヲ発生セシムヘシ
第九条 常用ニ超過シ爆発物又ハ容易ニ燃焼スヘキ物料ヲ積載シタル一切ノ船舶ハ港界外ニ来リ其処ニテ港長ノ指揮ヲ待ツヘシ斯ク指揮ヲ待ツ間右船舶ハ日出ト日没ノ間ニハBノ信号日没ト日出ノ間ニハ紅灯ヲ前檣ノ頂上ニ掲クヘシ
各船舶ハ港長ノ指定シタル場所ニアラサレハ前記ノ物料ヲ積入レ又ハ荷卸スヘカラス
第十条 休繋中又ハ修繕中ノ船舶及総テ「ヤツト」、倉庫船、貨船及端艇等ハ特ニ港長ノ指定シタル泊船所ニ碇泊スヘシ
第十一条 船舶カ港界内ニ於テ火ヲ失シタルトキハ救援ノ来ルマテ船鐘ヲ打鳴スヘシ且ツ日出ト日没ノ間ニハNMノ信号ヲ掲ケ日没ト日出ノ間ニハ断エス紅灯ヲ上下スヘシ
警察官ノ救援ヲ要スルトキハ日出ト日没ノ間ニハGノ信号ヲ掲ケ日没ト日出ノ間ニハ藍火若クハ閃火ヲ示スヘシ
前記ノ如キ信号ニ用ユル場合ノ外港長ノ允許ヲ得ルニアラサレハ港界内ニ於テ銃砲及煙火等ヲ発スルコトヲ得ス
第十二条 帝国政府ニ於テ流行病若クハ伝染病(虎烈剌、天然痘、黄熱、猩紅熱、「ペスト」ノ類)アル地ト布告シタル地ヨリ来著シ又ハ航海中船中ニ該病アリタル船舶ハ港界外ニ来リ日出ト日没ノ間ニハ黄旗ヲ日没ト日出ノ間ニハ紅白二灯ヲ上下ニ連ネ前檣ノ頂上ニ掲クヘシ又前記ノ船舶ハ当該衛生官吏ノ臨検ヲ受クヘシ
衛生官吏臨検ノ為メ其船舶ニ近寄リタルトキハ適当ノ予防ヲ施シ得ル為メニ航海中現ニ該病発生ノ有無及該病ノ性質如何ヲ該官吏ニ通知スヘシ
右船舶ハ自由交通ノ允許ヲ受クルマテ黄旗若クハ前記ノ灯火ヲ引下スヘカラス且ツ当該衛生官吏ノ允許ヲ得ルニアラサレハ何人タリトモ上陸セシメ又ハ一切他ノ船舶ト交通スルヲ許サス
前数項ノ規定ハ港界内ニ碇泊スル船舶中ニ於テ前記ノ流行病及伝染病ノ内何病ニテモ発生シタルトキニ之ヲ適用ス
右船舶ハ港長ヨリ其旨命令ニ接スルトキハ其泊船所ヲ移転スヘシ
牛羊等伝染病アル地ヨリ来著シ又ハ航海中該病ヲ発生シタル船舶ハ当該衛生官吏ノ允許ヲ得ルニアラサレハ牛羊等又ハ其死体、皮革又ハ骨ヲ陸揚シ又ハ他船ニ積換ユルコトヲ許サス
第十三条 港界内ニ於テ死体、荷足、灰燼、塵芥等ヲ海中ニ投棄スヘカラス
石炭、荷足其他之ニ類スル物料ヲ積卸スルトキハ其海中ニ脱落スルヲ防ク為メ必要ノ予防ヲ為スヘシ
何船舶ニテモ港ニ害アル一切ノ物料ヲ海中ニ投棄シ又ハ怠慢ニ依リ脱落セシメタルトキハ港長ヨリ其旨命令ニ接セハ該船舶ニ於テ之ヲ取除クヘシ若シ取除カサルニ於テハ港長ハ該船舶ノ費用ヲ以テ之ヲ取除カシムルコトヲ得
第十四条 船舶出港セントスルトキハ其旨港務局ニ届出テ且ツ出帆旗ヲ引揚クヘシ
一定ノ時日ニ出帆スル汽船ハ其著港及出帆ニ対シ単ニ一回ノ届出ヲ為スヲ以テ足レリトス
第十五条 一港内又ハ其附近ノ公ケノ航路ノ妨害トナルヘキ総テノ難破物又ハ其他ノ物件ハ港長ノ指定セル時間内ニ其所有主ニ於テ之ヲ取除クヘシ若シ港長ノ指定セル時間内ニ此命令ヲ遵行セサルニ於テハ港長ハ所有主ノ費用ヲ以テ之ヲ取除カシメ又ハ破壊セシムルコトヲ得
第十六条 港務局ハ定期郵便汽船ノ為メニ適切ニシテ且ツ充分ナル浮標ノ繋船器若干ヲ備ヘ置キ之ヲ使用スル所ノ船舶ヲシテ成規ノ使用料ヲ払ハシムヘシ
第十七条 灯船、信号用浮標又ハ立標ニハ鏈、綱其他ノ船具ヲ繋クヘカラス
船舶若シ灯船、浮標、立標、埠頭及其他ノ造営物ニ乗掛ケ又ハ之ヲ毀損シタルトキハ其修繕又ハ再設ノ為メニ必要ノ費用ハ該船舶ニ於テ之ヲ支弁スヘシ
第十八条 本則ノ規定ヲ犯シタルトキハ二円以上二百円以下ノ罰金ニ処ス
第十九条 船舶ニ科スル罰金、使用料又ハ費用ニ付テハ船長モ亦其責ヲ負フモノトス
第二十条 本則ニ依リ船舶ニ科シタル罰金、使用料又ハ費用ヲ完納スルカ或ハ之ニ対シ港長ノ満足スヘキ担保物ヲ港長ニ差出スニアラサレハ其船舶ノ出港ヲ許サス
第二十一条 本則ニ於テ港長ト称スルハ助役及代理者ヲモ包含シ船長ト称スルハ其名称ノ何タルヲ問ハス船舶ヲ指揮監督スル者ノ義ニシテ港ト称スルハ本則第一条中ニ列記セル諸港ノ一ヲ指ス
第二十二条 各港ニ於テ其一部分ヲ軍艦ノ碇泊所トシテ取除ケ置クヘシ
第二十三条 本則ノ規定中軍艦ニ適用セラルヘキモノハ第四条、六条、十二条、二十一条ノ規定及第十三条第一項及二項ノ規定ニ限ル
第二十四条 本則施行ノ時期及場所ハ逓信大臣之ヲ告示ス
本則実施ニ関スル細則ハ逓信大臣之ヲ発布ス
(別紙)
第五条ノ旗章雛形