絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月五日
内閣総理大臣 宮澤喜一
法律第七十五号
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
個体の取扱いに関する規制
第一節
個体の所有者の義務等(第七条・第八条)
第二節
個体の捕獲、譲渡し等の禁止(第九条―第十九条)
第三節
国際希少野生動植物種の個体の登録(第二十条―第二十九条)
第四節
特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に係る事業の規制(第三十条―第三十三条)
第三章
生息地等の保護に関する規制
第一節
土地の所有者の義務等(第三十四条・第三十五条)
第二節
生息地等保護区(第三十六条―第四十四条)
第四章
保護増殖事業(第四十五条―第四十八条)
第五章
雑則(第四十九条―第五十七条)
第六章
罰則(第五十八条―第六十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、野生動植物が、生態系の重要な構成要素であるだけでなく、自然環境の重要な一部として人類の豊かな生活に欠かすことのできないものであることにかんがみ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(責務)
第二条 国は、野生動植物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)が置かれている状況を常に把握するとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 地方公共団体は、その区域内の自然的社会的諸条件に応じて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策を策定し、及び実施するように努めるものとする。
3 国民は、前二項の国及び地方公共団体が行う施策に協力する等絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に寄与するように努めなければならない。
(財産権の尊重等)
第三条 この法律の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(定義等)
第四条 この法律において「絶滅のおそれ」とは、野生動植物の種について、種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと、その種の個体の数が著しく減少しつつあること、その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること、その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあることその他のその種の存続に支障を来す事情があることをいう。
2 この法律において「希少野生動植物種」とは、次項の国内希少野生動植物種、第四項の国際希少野生動植物種及び次条第一項の緊急指定種をいう。
3 この法律において「国内希少野生動植物種」とは、その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるものをいう。
4 この法律において「国際希少野生動植物種」とは、国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内希少野生動植物種を除く。)であって、政令で定めるものをいう。
5 この法律において「特定国内希少野生動植物種」とは、次に掲げる要件のいずれにも該当する国内希少野生動植物種であって、政令で定めるものをいう。
一 商業的に個体の繁殖をさせることができるものであること。
二 国際的に協力して種の保存を図ることとされているものでないこと。
6 内閣総理大臣は、前三項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、自然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。
(緊急指定種)
第五条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指定種として指定することができる。
2 環境庁長官は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 指定の期間は、三年を超えてはならない。
4 環境庁長官は、指定をするときは、その旨及び指定に係る野生動植物の種を官報で公示しなければならない。
5 指定は、前項の規定による公示の日の翌々日からその効力を生ずる。
6 環境庁長官は、指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
7 第二項、第四項及び第五項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第五項中「前項の規定による公示の日の翌々日から」とあるのは、「第七項において準用する前項の規定による公示によって」と読み替えるものとする。
(希少野生動植物種保存基本方針)
第六条 内閣総理大臣は、自然環境保全審議会の意見を聴いて希少野生動植物種の保存のための基本方針の案を作成し、これについて閣議の決定を求めるものとする。
2 前項の基本方針(以下この条において「希少野生動植物種保存基本方針」という。)は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する基本構想
二 希少野生動植物種の選定に関する基本的な事項
三 希少野生動植物種の個体(卵及び種子並びに個体、卵及び種子の加工品で、政令で定めるもの(第三十条第二項において「加工品等」という。)を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
四 国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
五 保護増殖事業(国内希少野生動植物種の個体の繁殖の促進、その生息地又は生育地の整備その他の国内希少野生動植物種の保存を図るための事業をいう。第四章において同じ。)に関する基本的な事項
六 前各号に掲げるもののほか、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、希少野生動植物種保存基本方針について第一項の閣議の決定があったときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
4 第一項及び前項の規定は、希少野生動植物種保存基本方針の変更について準用する。
5 この法律の規定に基づく処分その他絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策及び事業の内容は、希少野生動植物種保存基本方針と調和するものでなければならない。
第二章 個体の取扱いに関する規制
第一節 個体の所有者の義務等
(個体の所有者等の義務)
第七条 希少野生動植物種の個体の所有者又は占有者は、希少野生動植物種を保存することの重要性を自覚し、その個体を適切に取り扱うように努めなければならない。
(助言又は指導)
第八条 環境庁長官は、希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、希少野生動植物種の個体の所有者又は占有者に対し、その個体の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 個体の捕獲、譲渡し等の禁止
(捕獲等の禁止)
第九条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第五十四条第二項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項又は第二項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
二 生計の維持のため特に必要があり、かつ、種の保存に支障を及ぼすおそれのない場合として総理府令で定める場合
三 人の生命又は身体の保護その他の総理府令で定めるやむを得ない事由がある場合
(捕獲等の許可)
第十条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で国内希少野生動植物種等の生きている個体の捕獲等をしようとする者(次項に規定する者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 第三十条第一項の事業に係る譲渡し又は引渡しのためにする繁殖の目的で特定国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、環境庁長官及び農林水産大臣の許可を受けなければならない。
3 第一項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
4 環境庁長官は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 捕獲等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 捕獲等によって国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすおそれがあること。
三 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
5 環境庁長官は、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の許可に条件を付することができる。
6 環境庁長官は、第一項の許可をしたときは、総理府令で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
7 第一項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして総理府令で定めるものは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
8 第一項の許可を受けた者は、その者若しくはその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者が第六項の許可証若しくは前項の従事者証を亡失し、又はその許可証若しくは従事者証が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その許可証又は従事者証の再交付を受けることができる。
9 第一項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者は、捕獲等をするときは、第六項の許可証又は第七項の従事者証を携帯しなければならない。
10 第一項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の総理府令で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
11 第三項から第六項までの規定は第二項の許可について、第七項及び第八項の規定は第二項の許可を受けた者について、第九項の規定は第二項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者について、前項の規定は第二項の許可を受けて捕獲等をした者について準用する。この場合において、第三項、第六項から第八項まで及び前項中「総理府令」とあるのは「総理府令、農林水産省令」と、第三項から第八項までの規定中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第四項第一号中「第一項に規定する目的」とあるのは「第二項に規定する目的」と、第五項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と読み替えるものとする。
(捕獲等許可者に対する措置命令等)
第十一条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第十項の規定に違反し、又は同条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命令することができる。
2 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすと認めるときは、その許可を取り消すことができる。
3 前二項の規定は、前条第二項の許可を受けた者について準用する。この場合において、前二項中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第一項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と、前項中「国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼす」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資することに支障を及ぼす」と読み替えるものとする。
(譲渡し等の禁止)
第十二条 希少野生動植物種の個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合
二 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
三 第九条第二号に規定する場合に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体の譲渡し等をする場合
四 第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
五 希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする当事者の一方又は双方が国の機関又は地方公共団体である場合であって総理府令で定める場合
六 前各号に掲げるもののほか、希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合
2 環境庁長官は、前項第五号又は第六号の総理府令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、農林水産大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
(譲渡し等の許可)
第十三条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で希少野生動植物種の個体の譲渡し等をしようとする者(前条第一項第二号から第六号までに掲げる場合のいずれかに該当して譲渡し等をしようとする者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
3 環境庁長官は、前項の申請に係る譲渡し等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 譲渡し等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 譲受人又は引取人が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により譲受け又は引取りに係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
4 第十条第五項の規定は第一項の許可について、同条第十項の規定は第一項の許可を受けて譲受け又は引取りをした者について、前条第二項の規定は第一項の総理府令の制定又は改廃について準用する。この場合において、第十条第十項中「その捕獲等に係る個体」とあるのは、「その譲受け又は引取りに係る個体」と読み替えるものとする。
(譲渡し等許可者に対する措置命令)
第十四条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第四項において準用する第十条第十項の規定に違反し、又は前条第四項において準用する第十条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(輸出入の禁止)
第十五条 特定国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体は、輸出し、又は輸入してはならない。ただし、その輸出又は輸入が、国際的に協力して学術研究をする目的でするものその他の特に必要なものであること、国内希少野生動植物種の本邦における保存に支障を及ぼさないものであることその他の政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
2 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸出し、又は輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第三項又は第五十二条の規定により、輸出又は輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
(違法輸入者に対する措置命令等)
第十六条 通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体が輸入された場合において必要があると認めるときは、その個体を輸入した者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
2 環境庁長官及び通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者からその個体がその承認を受けないで輸入されたものであることを知りながら第十二条第一項の規定に違反してその個体の譲受けをした者がある場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
3 通商産業大臣が第一項の規定による命令をした場合又は環境庁長官及び通商産業大臣が前項の規定による命令をした場合において、その命令をされた者がその命令に係る返送をしないときは、通産業大臣又は環境庁長官及び通商産業大臣(第五十二条において「通商産業大臣等」という。)は、自らその個体を前二項に規定する施設その他の場所に返送するとともに、その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。
(陳列の禁止)
第十七条 希少野生動植物種の個体は、販売又は頒布をする目的で陳列をしてはならない。ただし、特定国内希少野生動植物種の個体、第九条第二号に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体及び第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の陳列をする場合その他希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合は、この限りでない。
(陣列をしている者に対する措置命令)
第十八条 環境庁長官は、前条の規定に違反して希少野生動植物種の個体の陳列をしている者に対し、陳列の中止その他の同条の規定が遵守されることを確保するため必要な事項を命ずることができる。
(報告徴収及び立入検査)
第十九条 次の各号に掲げる大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ当該各号に規定する者に対し、希少野生動植物種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、希少野生動植物種の個体の捕獲等、譲渡し等、輸入若しくは陣列に係る施設に立ち入り、希少野生動植物種の個体、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
一 環境庁長官 第十条第一項若しくは第十三条第一項の許可を受けている者又は販売若しくは頒布をする目的で希少野生動植物種の個体の陳列をしている者
二 環境庁長官及び農林水産大臣 第十条第二項の許可を受けている者
三 環境庁長官及び通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体で輸入されたものの譲受けをした者
四 通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第三節 国際希少野生動植物種の個体の登録
(個体の登録)
第二十条 国際希少野生動植物種の個体で商業的目的で繁殖させたものであることその他の要件で政令で定めるものに該当するものの正当な権原に基づく占有者は、その個体について環境庁長官の登録を受けることができる。
2 前項の登録(以下この節において「登録」という。)を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に登録の申請をしなければならない。
3 環境庁長官は、登録をしたときは、その申請をした者に対し、総理府令で定めるところにより、登録票を交付しなければならない。
4 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の正当な権原に基づく占有者は、前項の登録票(以下この節において「登録票」という。)でその個体に係るものを亡失し、又は登録票が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、登録票の再交付を受けることができる。
5 第十二条第二項の規定は、第二項の総理府令の制定又は改廃について準用する。
(登録個体及び登録票の管理等)
第二十一条 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体は、販売又は頒布をする目的で陳列をするときは、その個体に係る登録票を備え付けておかなければならない。
2 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲渡し等は、その個体に係る登録票とともにしなければならない。
3 登録票は、その登録票に係る国際希少野生動植物種の個体とともにする場合を除いては、譲渡し等をしてはならない。
4 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲受け又は引取りをした者は、総理府令で定めるところにより、その日から起算して三十日を経過する日までの間に環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
(登録票の返納等)
第二十二条 登録票(第二号に掲げる場合にあっては、回復した登録票)は、次に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、その日から起算して三十日を経過する日までの間に環境庁長官に返納しなければならない。
一 登録票に係る国際希少野生動植物種の個体を占有しないこととなった場合(登録票とともにその登録票に係る国際希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しをした場合を除く。)
二 第二十条第四項の登録票の再交付を受けた後亡失した登録票を回復した場合
2 第二十条第四項の規定は、盗難その他の事由により登録を受けた国際希少野生動植物種の個体を亡失したことによって前項第一号に掲げる場合に該当して同項の規定により登録票を環境庁長官に返納した後その個体を回復した場合について準用する。
(指定登録機関)
第二十三条 環境庁長官は、総理府令で定めるところにより、前三条に規定する環境庁長官の事務(以下この節及び第六十三条第一号において「登録関係事務」という。)のうち総理府令で定める個体に関するものを、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人でその登録関係事務を適正かつ確実に実施することができるものとして環境庁長官がその申請により指定するものに行わせることができる。
2 環境庁長官は、前項の申請をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の規定による指定(以下第二十六条までにおいて「指定」という。)をしてはならない。
一 この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者であること。
二 第二十六条第三項又は第四項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
三 その役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者があること。
イ この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
ロ 第二十六条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
3 環境庁長官は、指定をしたときは、指定に係る個体に関する登録関係事務を行わないものとする。
4 環境庁長官は、指定をしたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
5 指定を受けた法人(以下この節及び第六十三条において「指定登録機関」という。)がその登録関係事務を行う場合における前三条の規定の適用については、これらの規定中「環境庁長官」とあるのは、「指定登録機関」とする。
(指定登録機関の遵守事項等)
第二十四条 指定登録機関は、その登録関係事務の開始前に、総理府令で定めるところにより、その登録関係事務の実施に関する規程を定め、環境庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定登録機関は、毎事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、その事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、指定を受けた後遅滞なく)環境庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 指定登録機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、環境庁長官に提出しなければならない。
4 指定登録機関は、環境庁長官の許可を受けなければ、その登録関係事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
5 環境庁長官は、指定登録機関が前項の許可を受けてその登録関係事務の全部若しくは一部を休止したとき、又は指定登録機関が天災その他の事由によりその登録関係事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、その登録関係事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
6 環境庁長官が前項の規定により登録関係事務の全部若しくは一部を自ら行う場合、指定登録機関が第四項の許可を受けてその登録関係事務の全部若しくは一部を廃止する場合又は環境庁長官が第二十六条第三項若しくは第四項の規定により指定を取り消した場合における登録関係事務の引継ぎその他の必要な事項は、総理府令で定める。
(秘密保持義務等)
第二十五条 指定登録機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その登録関係事務に関し知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 登録関係事務に従事する指定登録機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(指定登録機関に対する監督命令等)
第二十六条 環境庁長官は、この節の規定の施行に必要な限度において、指定登録機関に対し、その登録関係事務に関し監督上必要な事項を命ずることができる。
2 環境庁長官は、指定登録機関の役員が第二十四条第一項から第四項まで若しくは前条第一項の規定に違反する行為をしたとき、第二十四条第一項の規程によらないでその登録関係事務を実施したとき、又は前項の規定による命令に違反する行為をしたときは、指定登録機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
3 環境庁長官は、指定登録機関が第二十三条第二項第一号又は第三号に該当するに至ったときは、指定を取り消さなければならない。
4 環境庁長官は、指定登録機関が第二十四条第一項から第四項までの規定に違反したとき、同条第一項の規程によらないでその登録関係事務を実施したとき、第一項又は第二項の規定による命令に違反したときその他その登録関係事務を適正かつ確実に実施することができないと認めるときは、指定を取り消すことができる。
5 第二十三条第四項の規定は、前二項の規定による指定の取消しについて準用する。
(報告徴収及び立入検査)
第二十七条 環境庁長官は、この節の規定の施行に必要な限度において、指定登録機関に対し、その登録関係事務に関し報告を求め、又はその職員に、指定登録機関の事務所に立ち入り、指定登録機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(指定登録機関がした処分等に係る不服申立て)
第二十八条 指定登録機関が行う登録関係事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、環境庁長官に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(手数料)
第二十九条 次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定登録機関が登録関係事務を行う場合にあっては、指定登録機関)に納めなければならない。
一 登録を受けようとする者
二 登録票の再交付を受けようとする者
2 前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
第四節 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に係る事業の規制
(特定事業の届出)
第三十条 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業(以下この節及び第六十一条第二号において「特定事業」という。)を行おうとする者(次項に規定する者を除く。)は、あらかじめ、次に掲げる事項を環境庁長官及び農林水産大臣に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務を行うための施設の名称及び所在地
三 譲渡し又は引渡しの業務の対象とする特定国内希少野生動植物種
四 前三号に掲げるもののほか、総理府令、農林水産省令で定める事項
2 特定事業のうち加工品等に係るものを行おうとする者は、あらかじめ、次に掲げる事項を、環境庁長官及び加工品等の種別に応じて政令で定める大臣(以下この節において「特定大臣」という。)に届け出なければならない。
一 前項第一号から第三号までに掲げる事項
二 前号に掲げるもののほか、内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令で定める事項
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項に変更があったとき、又は特定事業を廃止したときは、その日から起算して三十日を経過する日までの間に、その旨を環境庁長官及び農林水産大臣に届け出なければならない。
4 第一項及び前項に定めるもののほか、これらの規定による届出に関し必要な事項は、総理府令、農林水産省令で定める。
5 第三項の規定は第二項の規定による届出をした者について、前項の規定は第二項の規定による届出について準用する。この場合において、第三項中「農林水産大臣」とあるのは「特定大臣」と、前項中「総理府令、農林水産省令」とあるのは「内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令」と読み替えるものとする。
(特定事業を行う者の遵守事項)
第三十一条 前条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者は、その特定事業に関し特定国内希少野生動植物種の個体の譲受け又は引取りをするときは、その個体の譲渡人又は引渡人の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者が法人である場合にはその代表者の氏名を確認するとともに、次に掲げる事項についてその譲渡人又は引渡人から聴取しなければならない。
一 その個体が繁殖させたものであるか又は捕獲され、若しくは採取されたものであるかの別
二 その個体が繁殖させたものであるときは、繁殖させた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
三 その個体が捕獲され、又は採取されたものであるときは、捕獲され、又は採取された場所並びに捕獲し、又は採取した者の氏名及び住所
2 前条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者は、総理府令、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定により確認し又は聴取した事項その他特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に関する事項を書類に記載し、及びこれを保存しなければならない。
3 前二項の規定は、前条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。
この場合において、前項中「総理府令、農林水産省令」とあるのは、「内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令」と読み替えるものとする。
(特定事業を行う者に対する指示等)
第三十二条 環境庁長官及び農林水産大臣は、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者が前条第一項又は第二項の規定に違反した場合においてその特定事業を適正化して希少野生動植物種の保存に資するため必要があると認めるときは、その者に対し、これらの規定が遵守されることを確保するため必要な事項について指示をすることができる。
2 環境庁長官及び農林水産大臣は、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者が前項の指示に違反した場合においてその特定事業を適正化して希少野生動植物種の保存に資することに支障を及ぼすと認めるときは、その者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、その特定事業に係る特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
3 前二項の規定は、第三十条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。この場合において、前二項中「農林水産大臣」とあるのは「特定大臣」と、第一項中「前条第一項又は第二項」とあるのは「前条第三項において準用する同条第一項又は第二項」と読み替えるものとする。
(報告徴収及び立入検査)
第三十三条 環境庁長官及び農林水産大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者に対し、その特定事業に関し報告を求め、又はその職員に、その特定事業を行うための施設に立ち入り、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定は、第三十条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。この場合において、前項中「農林水産大臣」とあるのは、「特定大臣」と読み替えるものとする。
3 第一項(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第三章 生息地等の保護に関する規制
第一節 土地の所有者の義務等
(土地の所有者等の義務)
第三十四条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。
(助言又は指導)
第三十五条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、土地の所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 生息地等保護区
(生息地等保護区)
第三十六条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息又は生育の状況を勘案してその国内希少野生動植物種の保存のため重要と認めるものを、生息地等保護区として指定することができる。
2 前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)は、指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針を定めてするものとする。
3 環境庁長官は、指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、自然環境保全審議会及び関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
4 環境庁長官は、指定をしようとするときは、あらかじめ、総理府令で定めるところにより、その旨を公告し、公告した日から起算して十四日を経過する日までの間、指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針の案(次項及び第六項において「指定案」という。)を公衆の縦覧に供しなければならない。
5 前項の規定による公告があったときは、指定をしようとする区域の住民及び利害関係人は、同項に規定する期間が経過する日までの間に、環境庁長官に指定案についての意見書を提出することができる。
6 環境庁長官は、指定案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
7 環境庁長官は、指定をするときは、その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針を官報で公示しなければならない。
8 指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
9 環境庁長官は、生息地等保護区に係る国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
10 第三項、第七項及び第八項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは「その旨及び解除に係る指定の区域」と、第八項中「前項の規定による公示」とあるのは「第十項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
11 生息地等保護区の区域内(次条第四項第八号に掲げる行為については、同号に規定する湖沼又は湿原の周辺一キロメートルの区域内)において同項各号に掲げる行為をする者は、第二項の指針に留意しつつ、国内希少野生動植物種の保存に支障を及ぼさない方法でその行為をしなければならない。
(管理地区)
第三十七条 環境庁長官は、生息地等保護区の区域内で国内希少野生動植物種の保存のため特に必要があると認める区域を管理地区として指定することができる。
2 環境庁長官は、管理地区に係る国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
3 前条第二項から第八項までの規定は第一項の規定による指定について、同条第三項、第七項及び第八項の規定は前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、同条第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは前項の規定による指定の解除については「その旨及び解除に係る指定の区域」と、同条第八項中「前項の規定による公示」とあるのは「次条第三項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
4 管理地区の区域内(第八号に掲げる行為については、同号に規定する湖沼又は湿原の周辺一キロメートルの区域内。第四十条第一項及び第四十一条第一項において同じ。)においては、次に掲げる行為(第十号から第十四号までに掲げる行為については、環境庁長官が指定する区域内及びその区域ごとに指定する期間内においてするものに限る。)は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。
一 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
三 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 木竹を伐採すること。
七 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に必要なものとして環境庁長官が指定する野生動植物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。
八 管理地区の区域内の湖沼若しくは湿原であって環境庁長官が指定するもの又はこれらに流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
九 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地の区域以外の環境庁長官が指定する区域内において、車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十 第七号の規定により環境庁長官が指定した野生動植物の種の個体その他の物以外の野生動植物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。
十一 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある動植物の種として環境庁長官が指定するものの個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと。
十二 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものとして環境庁長官が指定する物質を散布すること。
十三 火入れ又はたき火をすること。
十四 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある方法として環境庁長官が定める方法によりその個体を観察すること。
5 前項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
6 環境庁長官は、前項の申請に係る行為が第三項において準用する前条第二項の指針に適合しないものであるときは、第四項の許可をしないことができる。
7 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第四項の許可に条件を付することができる。
8 第四項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなった時において既に同項各号に掲げる行為に着手している者は、その規制されることとなった日から起算して三月を経過する日までの間に環境庁長官に総理府令で定める事項を届け出たときは、同項の規定にかかわらず、引き続きその行為をすることができる。
9 次に掲げる行為については、第四項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるもの
三 木竹の伐採で、環境庁長官が農林水産大臣と協議して管理地区ごとに指定する方法及び限度内においてするもの
10 前項第一号に掲げる行為であって第四項各号に掲げる行為に該当するものをした者は、その日から起算して十四日を経過する日までの間に環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
(立入制限地区)
第三十八条 環境庁長官は、管理地区の区域内で国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育のため特にその保護を図る必要があると認める場所を、立入制限地区として指定することができる。
2 環境庁長官は、前項の規定による指定をしようとするときは、その場所の土地の所有者又は占有者(正当な権原を有する者に限る。次項及び第四十二条第二項において同じ。)の同意を得るとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 環境庁長官は、土地の所有者又は占有者が正当な理由により第一項の規定による指定を解除するよう求めたとき、又はその指定の必要がなくなったと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
4 何人も、環境庁長官が定める期間内は、立入制限地区の区域内に立ち入ってはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為をするために立ち入る場合
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるものをするために立ち入る場合
三 前二号に掲げるもののほか、環境庁長官がやむを得ない事由があると認めて許可をした場合
5 第三十六条第七項及び第八項の規定は第一項の規定による指定及び第三項の規定による指定の解除について、前条第五項及び第七項の規定は前項第三号の許可について準用する。この場合において、第三十六条第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは、第一項の規定による指定については「その旨及び指定の区域」と、第三項の規定による指定の解除については「その旨及び解除に係る指定の区域」と、同条第八項中「前項の規定による公示」とあるのは、「第三十八条第五項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
(監視区域)
第三十九条 生息地等保護区の区域で管理地区の区域に属さない部分(次条第一項及び第四十一条第一項において「監視地区」という。)の区域内において第三十七条第四項第一号から第五号までに掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、環境庁長官に総理府令で定める事項を届け出なければならない。
2 環境庁長官は、前項の規定による届出(以下この条において「届出」という。)があった場合において届出に係る行為が第三十六条第二項の指針に適合しないものであるときは、届出をした者に対し、届出に係る行為をすることを禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による命令は、届出があった日から起算して三十日(三十日を経過する日までの間に同項の規定による命令をすることができない合理的な理由があるときは、届出があった日から起算して六十日を超えない範囲内で環境庁長官が定める期間)を経過した後又は第五項ただし書の規定による通知をした後は、することができない。
4 環境庁長官は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なくその旨及びその理由を通知しなければならない。
5 届出をした者は、届出をした日から起算して三十日(第三項の規定により環境庁長官が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る行為に着手してはならない。ただし、環境庁長官が国内希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。
6 次に掲げる行為については、第一項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるもの
三 第三十六条第一項の規定による指定がされた時において既に着手している行為
(措置命令等)
第四十条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、管理地区の区域内において第三十七条第四項各号に掲げる行為をしている者又は監視地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。
2 環境庁長官は、第三十七条第四項若しくは第三十八条第四項の規定に違反した者、第三十七条第七項(第三十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により付された条件に違反した者、前条第一項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をした者又は同条第二項の規定による命令に違反した者がその違反行為によって国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、その他国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 環境庁長官は、前項の規定による命令をした場合において、その命令をされた者がその命令に係る期限までにその命令に係る措置をとらないときは、自ら原状回復をし、その他国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるとともに、その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。
(報告徴収及び立入検査等)
第四十一条 環境庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、管理地区の区域内において第三十七条第四項各号に掲げる行為をした者又は監視地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をした者に対し、その行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 環境庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、生息地等保護区の区域内において前項に規定する者が所有し、又は占有する土地に立ち入り、その者がした行為の実施状況について検査させ、若しくは関係者に質問させ、又はその行為が国内希少野生動植物種の保存に及ぼす影響について調査をさせることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(実地調査)
第四十二条 環境庁長官は、第三十六条第一項、第三十七条第一項又は第三十八条第一項の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。
2 環境庁長官は、その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者又は占有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 第一項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(公害等調整委員会の裁定)
第四十三条 第三十七条第四項、第三十九条第二項又は第四十条第二項の規定による処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項の処分について、処分庁が誤って審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。
(損失の補償)
第四十四条 国は、第三十七条第四項の許可を受けることができないため、同条第七項の規定により条件を付されたため又は第三十九条第二項の規定による命令をされたため損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をする。
2 前項の補償を受けようとする者は、環境庁長官にその請求をしなければならない。
3 環境庁長官は、前項の請求を受けたときは、補償をすべき金額を決定し、その請求をした者に通知しなければならない。
4 前項の規定による金額の決定に不服がある者は、同項の規定による通知を受けた日から起算して三月を経過する日までの間に、訴えをもってその増額の請求をすることができる。
5 前項の訴えにおいては、国を被告とする。
第四章 保護増殖事業
(保護増殖事業計画)
第四十五条 環境庁長官及び保護増殖事業を行おうとする国の行政機関の長(第三項において「環境庁長官等」という。)は、保護増殖事業の適正かつ効果的な実施に資するため、自然環境保全審議会の意見を聴いて保護増殖事業計画を定めるものとする。
2 前項の保護増殖事業計画は、保護増殖事業の対象とすべき国内希少野生動植物種ごとに、保護増殖事業の目標、保護増殖事業が行われるべき区域及び保護増殖事業の内容その他保護増殖事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。
3 環境庁長官等は、第一項の保護増殖事業計画を定めたときは、その概要を官報で公示し、かつ、その保護増殖事業計画を一般の閲覧に供しなければならない。
4 第一項及び前項の規定は、第一項の保護増殖事業計画の変更について準用する。
(認定保護増殖事業等)
第四十六条 国は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、保護増殖事業を行うものとする。
2 地方公共団体は、その行う保護増殖事業であってその事業計画が前条第一項の保護増殖事業計画に適合するものについて、環境庁長官のその旨の確認を受けることができる。
3 国及び地方公共団体以外の者は、その行う保護増殖事業について、その者がその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその保護増殖事業の事業計画が前条第一項の保護増殖事業計画に適合している旨の環境庁長官の認定を受けることができる。
4 環境庁長官は、前項の認定をしたときは、総理府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。第四十八条第二項又は第三項の規定によりこれを取り消したときも、同様とする。
第四十七条 認定保護増殖事業等(国の保護増殖事業、前条第二項の確認を受けた保護増殖事業及び同条第三項の認定を受けた保護増殖事業をいう。以下この条において同じ。)は、第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行われなければならない。
2 認定保護増殖事業等として実施する行為については、第九条、第三十七条第四項及び第十項、第三十八条第四項、第三十九条第一項並びに第五十四条第二項及び第三項の規定は、適用しない。
3 生息地等保護区の区域内の土地の所有者又は占有者は、認定保護増殖事業等として実施される給餌設備その他の保護増殖事業のために必要な施設の設置に協力するように努めなければならない。
4 環境庁長官は、前条第三項の認定を受けて保護増殖事業を行う者に対し、その保護場殖事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
第四十八条 第四十六条第二項の確認又は同条第三項の認定を受けて保護増殖事業を行う者は、その保護増殖事業を廃止したとき、又はその保護増殖事業を第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行うことができなくなったときは、その旨を環境庁長官に通知しなければならない。
2 環境庁長官は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る第四十六条第二項の確認又は同条第三項の認定を取り消すものとする。
3 環境庁長官は、第四十六条第三項の認定を受けた保護増殖事業が第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行われていないと認めるとき、又はその保護増殖事業を行う者がその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき若しくは前条第四項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたときは、その認定を取り消すことができる。
第五章 雑則
(調査)
第四十九条 環境庁長官は、野生動植物の種の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について定期的に調査をし、その結果を、この法律に基づく命令の改廃、この法律に基づく指定又はその解除その他この法律の適正な運用に活用するものとする。
(取締りに従事する職員)
第五十条 環境庁長官又は農林水産大臣は、その職員のうち政令で定める要件を備えるものに、第八条、第十一条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十四条、第十八条、第十九条第一項、第三十五条、第四十条第一項若しくは第二項又は第四十一条第一項に規定する権限(農林水産大臣にあっては、第十一条第三項において準用する同条第一項及び第十九条第一項に規定する権限に限る。)の一部を行わせることができる。
2 前項の規定により環境庁長官又は農林水産大臣の権限の一部を行う職員(次項において「希少野生動植物種保存取締官」という。)は、その権限を行うときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、希少野生動植物種保存取締官に関し必要な事項は、政令で定める。
(希少野生動植物種保存推進員)
第五十一条 環境庁長官は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に熱意と識見を有する者のうちから、希少野生動植物種保存推進員を委嘱することができる。
2 希少野生動植物種保存推進員は、次に掲げる活動を行う。
一 絶滅のおそれのある野生動植物の種が置かれている状況及びその保存の重要性について啓発をすること。
二 絶滅のおそれのある野生動植物種の種の個体の生息若しくは生育の状況又はその生息地若しくは生育地の状況について調査をすること。
三 希少野生動植物種の個体の所有若しくは占有者又はその生息地若しくは生育地の土地の所有者若しくは占有者に対し、その求めに応じ希少野生動植物種の保存のため必要な助言をすること。
四 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のために国又は地方公共団体が行う施策に必要な協力をすること。
3 希少野生動植物種保存推進員は、名誉職とし、その任期は三年とする。
4 希少野生動植物種保存推進員が希少野生動植物種の個体に関する調査で総理府令で定めるもののためにする捕獲等については、第九条の規定は、適用しない。
5 環境庁長官は、希少野生動植物種保存推進員が、その職務の遂行に支障があるとき、その職務を怠ったとき、又はこの法律の規定に違反し、その他希少野生動植物種保存推進員たるにふさわしくない非行があったときは、これを解嘱することができる。
(負担金の徴収方法)
第五十二条 環境庁長官が第四十条第三項の規定により、又は通商産業大臣等が第十六条第三項の規定により費用を負担させようとするときは、総理府令、通商産業令で定めるところにより、その負担させようとする費用(以下この条において「負担金」という。)の額及びその納付期限を定めて、文書でその納付を命じなければならない。
2 環境庁長官又は通商産業大臣等は、前項の納付期限までに負担金を納付しない者があるときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、督促状で期限を指定して督促しなければならない。
3 環境庁長官又は通商産業大臣等は、前項の規定による督促をしたときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、負担金の額に、年十四・五パーセントを超えない割合を乗じて、第一項の納付期限の翌日からその負担金の完納の日又はその負担金に係る財産差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。
4 環境庁長官又は通商産業大臣等は、第二項の規定による督促を受けた者が、同項の督促状で指定した期限までにその納付すべき負担金及びその負担金に係る前項の延滞金(以下この条において「延滞金」という。)を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、その負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
5 延滞金は、負担金に先立つものとする。
(地方公共団体に対する助言その他の措置)
第五十三条 国は、地方公共団体が絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策を円滑に実施することができるよう、地方公共団体に対し、助言その他の措置を構ずるように努めなければならない。
(国等に関する特例)
第五十四条 国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業については、第八条、第九条、第十二条第一項、第三十五条、第三十七条第四項及び第十項、第三十八条第四項、第三十九条第一項、第四十条第一項並びに第四十一条第一項及び第二項の規定は、適用しない。
2 国の機関又は地方公共団体は、第九条第二号及び第三号に掲げる場合以外の場合に国内希少野生動植物種等の生きている個体の捕獲等をしようとするとき、第十二条第一項第二号から第六号までに掲げる場合以外の場合に希少野生動植物種の個体の譲渡し等をしようとするとき、又は第三十七条第四項若しくは第三十八条第四項第三号の許可を受けるべき行為に該当する行為をしようとするときは、総理府令で定める場合を除き、あらかじめ環境庁長官に協議しなければならない。
3 国の機関又は地方公共団体は、第三十七条第八項の規定により届出をして引き続き同条第四項各号に掲げる行為をすることができる場合に該当する場合にその行為をするとき、又は同条第十項若しくは第三十九条第一項の規定により届出をすべき行為に該当する行為をし、若しくはしようとするときは、総理府令で定める場合を除き、これらの規定による届出の例により、環境庁長官にその旨を通知しなければならない。
(権限の委任)
第五十五条 この法律に定める環境庁長官の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
(経過措置)
第五十六条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(総理府令への委任)
第五十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 罰則
第五十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第九条、第十二条第一項、第十五条第一項又は第三十七条第四項の規定に違反した者
二 第十一条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十四条、第十六条第一項若しくは第二項又は第四十条第二項の規定による命令に違反した者
第五十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第五項(同条第十一項及び第十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十七条第七項の規定により付された条件に違反した者
二 第十八条又は第三十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
三 偽りその他不正の手段により第二十条第一項の登録を受けた者
四 第三十八条第四項の規定に違反した者
第六十条 第二十五条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十七条又は第三十九条第五項の規定に違反した者
二 第三十条第一項又は第二項の規定による届出をしないで特定事業を行い、又は虚偽の届出をした者
三 第三十八条第五項において準用する第三十七条第七項の規定により付された条件に違反した者
四 第三十九条第一項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をし、又は虚偽の届出をした者
五 第三十九条第二項の規定による命令に違反した者
第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第九項(同条第十一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して許可証又は従事者証を携帯しないで捕獲等をした者
二 第十九条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
三 偽りその他不正の手段により第二十条第四項(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の登録票の再交付を受けた者
四 第二十一条、第二十二条第一項又は第三十条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
五 第三十三条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
六 第四十一条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第二項の規定による立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
七 第四十二条第四項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
第六十三条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定登録機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第二十四条第四項の許可を受けないで登録関係事務の全部を廃止したとき。
二 第二十七条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第六十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五十八条、第五十九条、第六十一条又は第六十二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成五年四月一日から施行する。ただし、第一章並びに附則第九条及び第十二条の規定は、公布の日から施行する。
(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律等の廃止)
第二条 次に掲げる法律は、廃止する。
一 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)
二 絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)
(経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前の特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(以下「旧鳥類法」という。)第三条第一項ただし書の規定によりされている許可又は前条の規定による廃止前の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(以下「旧野生動植物法」という。)第三条第一項第一号の規定によりされている許可は、第十三条第一項の許可とみなす。
第四条 この法律の施行の際現に旧野生動植物法第六条第一項の登録を受けている旧野生動植物法第二条第一項の希少野生動植物(以下「希少野生動植物」という。)で国際希少野生動植物種の個体であるものは第二十条第一項の登録を受けているものと、当該個体に係る旧野生動植物法第六条第三項又は第五項(旧野生動植物法第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により交付された登録票は第二十条第三項の規定により交付された登録票とみなす。
第五条 前二条に規定するもののほか、旧鳥類法若しくは旧野生動植物法の規定により環境庁長官がした処分その他の行為又は旧野生動植物法の規定により環境庁長官に対してされている許可若しくは登録若しくは登録票の再交付の申請は、この法律の相当規定に基づいて環境庁長官がした処分その他の行為又は環境庁長官に対してされている許可若しくは登録若しくは登録票の再交付の申請とみなす。
第六条 この法律の施行前に、旧野生動植物法第六条第一項の登録を受けた希少野生動植物を譲り受け、又はその引渡しを受けた者に係る環境庁長官への届出及び当該登録を受けた希少野生動植物を所持する者で旧野生動植物法第八条第一項各号のいずれかに該当するに至ったものに係る登録票の返納については、なお従前の例による。
第七条 この法律の施行前にした行為及び前条の規定によりなお従前の例によるものとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)
第八条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「行なう」を「行う」に改め、同項第二号に次のように加える。
ワ 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四十三条第一項
第一条第一項第三号及び同条第二項を削る。
第二条第一項中「前条第一項第二号の裁定及び同項第三号の裁決」を「前条第二号の裁定」に、「行なう」を「行う」に改める。
第二十五条第一項中「第一条第一項第二号」を「第一条第二号」に改め、同項ただし書中「やむをえない」を「やむを得ない」に改める。
第四十五条第一項中「左に」を「次に」に、「基く」を「基づく」に、「自然環境保全法」を
自然環境保全法
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
に改め、同条中第七項を第九項とし、第六項を第八項とし、第五項の次に次の二項を加える。
6 第一項の規定により絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の規定による許可があつたものとみなされる場合においては、裁定で、国内希少野生動植物種の保存のため必要な限度において、鉱業権者若しくは租鉱権者又は採石業者が守るべき事項を定めることができる。
7 前項の規定により国内希少野生動植物種の保存のために定められた事項は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の規定の適用については、同法第三十七条第七項(同法第三十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付された条件とみなす。
第五十八条の二中「第一条第一項各号」を「第一条各号」に改める。
(自然環境保全法の一部改正)
第九条 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「及び絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を「、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)」に改める。
第十条 自然環境保全法の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を削る。
(松くい虫被害対策特別措置法の一部改正)
第十一条 松くい虫被害対策特別措置法(昭和五十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「特殊鳥類(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)第二条第一項に規定する特殊鳥類をいう。)」を「国内希少野生動植物種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種をいう。)」に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第十二条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第七号中「及び絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を「、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)」に改める。
第十三条 環境庁設置法の一部を次のように改正する。
第四条第七号中「、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を削る。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十四条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第百六十一号の次に次の一号を加える。
百六十一の二 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
第二十九条中「第百六十二号」を「第百六十一号の二」に改める。
(通商産業省設置法の一部改正)
第十五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)の施行に関すること。
内閣総理大臣 宮澤喜一
農林水産大臣 田名部匡省
通商産業大臣 渡部恒三
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成四年六月五日
内閣総理大臣 宮沢喜一
法律第七十五号
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
個体の取扱いに関する規制
第一節
個体の所有者の義務等(第七条・第八条)
第二節
個体の捕獲、譲渡し等の禁止(第九条―第十九条)
第三節
国際希少野生動植物種の個体の登録(第二十条―第二十九条)
第四節
特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に係る事業の規制(第三十条―第三十三条)
第三章
生息地等の保護に関する規制
第一節
土地の所有者の義務等(第三十四条・第三十五条)
第二節
生息地等保護区(第三十六条―第四十四条)
第四章
保護増殖事業(第四十五条―第四十八条)
第五章
雑則(第四十九条―第五十七条)
第六章
罰則(第五十八条―第六十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、野生動植物が、生態系の重要な構成要素であるだけでなく、自然環境の重要な一部として人類の豊かな生活に欠かすことのできないものであることにかんがみ、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(責務)
第二条 国は、野生動植物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)が置かれている状況を常に把握するとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
2 地方公共団体は、その区域内の自然的社会的諸条件に応じて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策を策定し、及び実施するように努めるものとする。
3 国民は、前二項の国及び地方公共団体が行う施策に協力する等絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に寄与するように努めなければならない。
(財産権の尊重等)
第三条 この法律の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、住民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮し、並びに国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(定義等)
第四条 この法律において「絶滅のおそれ」とは、野生動植物の種について、種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと、その種の個体の数が著しく減少しつつあること、その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること、その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあることその他のその種の存続に支障を来す事情があることをいう。
2 この法律において「希少野生動植物種」とは、次項の国内希少野生動植物種、第四項の国際希少野生動植物種及び次条第一項の緊急指定種をいう。
3 この法律において「国内希少野生動植物種」とは、その個体が本邦に生息し又は生育する絶滅のおそれのある野生動植物の種であって、政令で定めるものをいう。
4 この法律において「国際希少野生動植物種」とは、国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物の種(国内希少野生動植物種を除く。)であって、政令で定めるものをいう。
5 この法律において「特定国内希少野生動植物種」とは、次に掲げる要件のいずれにも該当する国内希少野生動植物種であって、政令で定めるものをいう。
一 商業的に個体の繁殖をさせることができるものであること。
二 国際的に協力して種の保存を図ることとされているものでないこと。
6 内閣総理大臣は、前三項の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、自然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。
(緊急指定種)
第五条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指定種として指定することができる。
2 環境庁長官は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 指定の期間は、三年を超えてはならない。
4 環境庁長官は、指定をするときは、その旨及び指定に係る野生動植物の種を官報で公示しなければならない。
5 指定は、前項の規定による公示の日の翌々日からその効力を生ずる。
6 環境庁長官は、指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
7 第二項、第四項及び第五項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第五項中「前項の規定による公示の日の翌々日から」とあるのは、「第七項において準用する前項の規定による公示によって」と読み替えるものとする。
(希少野生動植物種保存基本方針)
第六条 内閣総理大臣は、自然環境保全審議会の意見を聴いて希少野生動植物種の保存のための基本方針の案を作成し、これについて閣議の決定を求めるものとする。
2 前項の基本方針(以下この条において「希少野生動植物種保存基本方針」という。)は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する基本構想
二 希少野生動植物種の選定に関する基本的な事項
三 希少野生動植物種の個体(卵及び種子並びに個体、卵及び種子の加工品で、政令で定めるもの(第三十条第二項において「加工品等」という。)を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的な事項
四 国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護に関する基本的な事項
五 保護増殖事業(国内希少野生動植物種の個体の繁殖の促進、その生息地又は生育地の整備その他の国内希少野生動植物種の保存を図るための事業をいう。第四章において同じ。)に関する基本的な事項
六 前各号に掲げるもののほか、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、希少野生動植物種保存基本方針について第一項の閣議の決定があったときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
4 第一項及び前項の規定は、希少野生動植物種保存基本方針の変更について準用する。
5 この法律の規定に基づく処分その他絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策及び事業の内容は、希少野生動植物種保存基本方針と調和するものでなければならない。
第二章 個体の取扱いに関する規制
第一節 個体の所有者の義務等
(個体の所有者等の義務)
第七条 希少野生動植物種の個体の所有者又は占有者は、希少野生動植物種を保存することの重要性を自覚し、その個体を適切に取り扱うように努めなければならない。
(助言又は指導)
第八条 環境庁長官は、希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、希少野生動植物種の個体の所有者又は占有者に対し、その個体の取扱いに関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 個体の捕獲、譲渡し等の禁止
(捕獲等の禁止)
第九条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第五十四条第二項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項又は第二項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
二 生計の維持のため特に必要があり、かつ、種の保存に支障を及ぼすおそれのない場合として総理府令で定める場合
三 人の生命又は身体の保護その他の総理府令で定めるやむを得ない事由がある場合
(捕獲等の許可)
第十条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で国内希少野生動植物種等の生きている個体の捕獲等をしようとする者(次項に規定する者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 第三十条第一項の事業に係る譲渡し又は引渡しのためにする繁殖の目的で特定国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、環境庁長官及び農林水産大臣の許可を受けなければならない。
3 第一項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
4 環境庁長官は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 捕獲等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 捕獲等によって国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすおそれがあること。
三 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
5 環境庁長官は、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の許可に条件を付することができる。
6 環境庁長官は、第一項の許可をしたときは、総理府令で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
7 第一項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして総理府令で定めるものは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
8 第一項の許可を受けた者は、その者若しくはその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者が第六項の許可証若しくは前項の従事者証を亡失し、又はその許可証若しくは従事者証が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その許可証又は従事者証の再交付を受けることができる。
9 第一項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者は、捕獲等をするときは、第六項の許可証又は第七項の従事者証を携帯しなければならない。
10 第一項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の総理府令で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
11 第三項から第六項までの規定は第二項の許可について、第七項及び第八項の規定は第二項の許可を受けた者について、第九項の規定は第二項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者について、前項の規定は第二項の許可を受けて捕獲等をした者について準用する。この場合において、第三項、第六項から第八項まで及び前項中「総理府令」とあるのは「総理府令、農林水産省令」と、第三項から第八項までの規定中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第四項第一号中「第一項に規定する目的」とあるのは「第二項に規定する目的」と、第五項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と読み替えるものとする。
(捕獲等許可者に対する措置命令等)
第十一条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第十項の規定に違反し、又は同条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命令することができる。
2 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすと認めるときは、その許可を取り消すことができる。
3 前二項の規定は、前条第二項の許可を受けた者について準用する。この場合において、前二項中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第一項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と、前項中「国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼす」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資することに支障を及ぼす」と読み替えるものとする。
(譲渡し等の禁止)
第十二条 希少野生動植物種の個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合
二 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
三 第九条第二号に規定する場合に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体の譲渡し等をする場合
四 第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
五 希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする当事者の一方又は双方が国の機関又は地方公共団体である場合であって総理府令で定める場合
六 前各号に掲げるもののほか、希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合
2 環境庁長官は、前項第五号又は第六号の総理府令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、農林水産大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
(譲渡し等の許可)
第十三条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で希少野生動植物種の個体の譲渡し等をしようとする者(前条第一項第二号から第六号までに掲げる場合のいずれかに該当して譲渡し等をしようとする者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
3 環境庁長官は、前項の申請に係る譲渡し等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 譲渡し等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 譲受人又は引取人が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により譲受け又は引取りに係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
4 第十条第五項の規定は第一項の許可について、同条第十項の規定は第一項の許可を受けて譲受け又は引取りをした者について、前条第二項の規定は第一項の総理府令の制定又は改廃について準用する。この場合において、第十条第十項中「その捕獲等に係る個体」とあるのは、「その譲受け又は引取りに係る個体」と読み替えるものとする。
(譲渡し等許可者に対する措置命令)
第十四条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第四項において準用する第十条第十項の規定に違反し、又は前条第四項において準用する第十条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(輸出入の禁止)
第十五条 特定国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体は、輸出し、又は輸入してはならない。ただし、その輸出又は輸入が、国際的に協力して学術研究をする目的でするものその他の特に必要なものであること、国内希少野生動植物種の本邦における保存に支障を及ぼさないものであることその他の政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
2 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸出し、又は輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第三項又は第五十二条の規定により、輸出又は輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
(違法輸入者に対する措置命令等)
第十六条 通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体が輸入された場合において必要があると認めるときは、その個体を輸入した者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
2 環境庁長官及び通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者からその個体がその承認を受けないで輸入されたものであることを知りながら第十二条第一項の規定に違反してその個体の譲受けをした者がある場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
3 通商産業大臣が第一項の規定による命令をした場合又は環境庁長官及び通商産業大臣が前項の規定による命令をした場合において、その命令をされた者がその命令に係る返送をしないときは、通産業大臣又は環境庁長官及び通商産業大臣(第五十二条において「通商産業大臣等」という。)は、自らその個体を前二項に規定する施設その他の場所に返送するとともに、その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。
(陳列の禁止)
第十七条 希少野生動植物種の個体は、販売又は頒布をする目的で陳列をしてはならない。ただし、特定国内希少野生動植物種の個体、第九条第二号に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体及び第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の陳列をする場合その他希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合は、この限りでない。
(陣列をしている者に対する措置命令)
第十八条 環境庁長官は、前条の規定に違反して希少野生動植物種の個体の陳列をしている者に対し、陳列の中止その他の同条の規定が遵守されることを確保するため必要な事項を命ずることができる。
(報告徴収及び立入検査)
第十九条 次の各号に掲げる大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ当該各号に規定する者に対し、希少野生動植物種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、希少野生動植物種の個体の捕獲等、譲渡し等、輸入若しくは陣列に係る施設に立ち入り、希少野生動植物種の個体、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
一 環境庁長官 第十条第一項若しくは第十三条第一項の許可を受けている者又は販売若しくは頒布をする目的で希少野生動植物種の個体の陳列をしている者
二 環境庁長官及び農林水産大臣 第十条第二項の許可を受けている者
三 環境庁長官及び通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体で輸入されたものの譲受けをした者
四 通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第三節 国際希少野生動植物種の個体の登録
(個体の登録)
第二十条 国際希少野生動植物種の個体で商業的目的で繁殖させたものであることその他の要件で政令で定めるものに該当するものの正当な権原に基づく占有者は、その個体について環境庁長官の登録を受けることができる。
2 前項の登録(以下この節において「登録」という。)を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に登録の申請をしなければならない。
3 環境庁長官は、登録をしたときは、その申請をした者に対し、総理府令で定めるところにより、登録票を交付しなければならない。
4 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の正当な権原に基づく占有者は、前項の登録票(以下この節において「登録票」という。)でその個体に係るものを亡失し、又は登録票が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、登録票の再交付を受けることができる。
5 第十二条第二項の規定は、第二項の総理府令の制定又は改廃について準用する。
(登録個体及び登録票の管理等)
第二十一条 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体は、販売又は頒布をする目的で陳列をするときは、その個体に係る登録票を備え付けておかなければならない。
2 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲渡し等は、その個体に係る登録票とともにしなければならない。
3 登録票は、その登録票に係る国際希少野生動植物種の個体とともにする場合を除いては、譲渡し等をしてはならない。
4 登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲受け又は引取りをした者は、総理府令で定めるところにより、その日から起算して三十日を経過する日までの間に環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
(登録票の返納等)
第二十二条 登録票(第二号に掲げる場合にあっては、回復した登録票)は、次に掲げる場合のいずれかに該当することとなったときは、その日から起算して三十日を経過する日までの間に環境庁長官に返納しなければならない。
一 登録票に係る国際希少野生動植物種の個体を占有しないこととなった場合(登録票とともにその登録票に係る国際希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しをした場合を除く。)
二 第二十条第四項の登録票の再交付を受けた後亡失した登録票を回復した場合
2 第二十条第四項の規定は、盗難その他の事由により登録を受けた国際希少野生動植物種の個体を亡失したことによって前項第一号に掲げる場合に該当して同項の規定により登録票を環境庁長官に返納した後その個体を回復した場合について準用する。
(指定登録機関)
第二十三条 環境庁長官は、総理府令で定めるところにより、前三条に規定する環境庁長官の事務(以下この節及び第六十三条第一号において「登録関係事務」という。)のうち総理府令で定める個体に関するものを、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人でその登録関係事務を適正かつ確実に実施することができるものとして環境庁長官がその申請により指定するものに行わせることができる。
2 環境庁長官は、前項の申請をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の規定による指定(以下第二十六条までにおいて「指定」という。)をしてはならない。
一 この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者であること。
二 第二十六条第三項又は第四項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
三 その役員のうちに次のイ又はロのいずれかに該当する者があること。
イ この法律に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
ロ 第二十六条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
3 環境庁長官は、指定をしたときは、指定に係る個体に関する登録関係事務を行わないものとする。
4 環境庁長官は、指定をしたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
5 指定を受けた法人(以下この節及び第六十三条において「指定登録機関」という。)がその登録関係事務を行う場合における前三条の規定の適用については、これらの規定中「環境庁長官」とあるのは、「指定登録機関」とする。
(指定登録機関の遵守事項等)
第二十四条 指定登録機関は、その登録関係事務の開始前に、総理府令で定めるところにより、その登録関係事務の実施に関する規程を定め、環境庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定登録機関は、毎事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、その事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、指定を受けた後遅滞なく)環境庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 指定登録機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、環境庁長官に提出しなければならない。
4 指定登録機関は、環境庁長官の許可を受けなければ、その登録関係事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
5 環境庁長官は、指定登録機関が前項の許可を受けてその登録関係事務の全部若しくは一部を休止したとき、又は指定登録機関が天災その他の事由によりその登録関係事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、その登録関係事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
6 環境庁長官が前項の規定により登録関係事務の全部若しくは一部を自ら行う場合、指定登録機関が第四項の許可を受けてその登録関係事務の全部若しくは一部を廃止する場合又は環境庁長官が第二十六条第三項若しくは第四項の規定により指定を取り消した場合における登録関係事務の引継ぎその他の必要な事項は、総理府令で定める。
(秘密保持義務等)
第二十五条 指定登録機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その登録関係事務に関し知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 登録関係事務に従事する指定登録機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(指定登録機関に対する監督命令等)
第二十六条 環境庁長官は、この節の規定の施行に必要な限度において、指定登録機関に対し、その登録関係事務に関し監督上必要な事項を命ずることができる。
2 環境庁長官は、指定登録機関の役員が第二十四条第一項から第四項まで若しくは前条第一項の規定に違反する行為をしたとき、第二十四条第一項の規程によらないでその登録関係事務を実施したとき、又は前項の規定による命令に違反する行為をしたときは、指定登録機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
3 環境庁長官は、指定登録機関が第二十三条第二項第一号又は第三号に該当するに至ったときは、指定を取り消さなければならない。
4 環境庁長官は、指定登録機関が第二十四条第一項から第四項までの規定に違反したとき、同条第一項の規程によらないでその登録関係事務を実施したとき、第一項又は第二項の規定による命令に違反したときその他その登録関係事務を適正かつ確実に実施することができないと認めるときは、指定を取り消すことができる。
5 第二十三条第四項の規定は、前二項の規定による指定の取消しについて準用する。
(報告徴収及び立入検査)
第二十七条 環境庁長官は、この節の規定の施行に必要な限度において、指定登録機関に対し、その登録関係事務に関し報告を求め、又はその職員に、指定登録機関の事務所に立ち入り、指定登録機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(指定登録機関がした処分等に係る不服申立て)
第二十八条 指定登録機関が行う登録関係事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、環境庁長官に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(手数料)
第二十九条 次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定登録機関が登録関係事務を行う場合にあっては、指定登録機関)に納めなければならない。
一 登録を受けようとする者
二 登録票の再交付を受けようとする者
2 前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
第四節 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に係る事業の規制
(特定事業の届出)
第三十条 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業(以下この節及び第六十一条第二号において「特定事業」という。)を行おうとする者(次項に規定する者を除く。)は、あらかじめ、次に掲げる事項を環境庁長官及び農林水産大臣に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務を行うための施設の名称及び所在地
三 譲渡し又は引渡しの業務の対象とする特定国内希少野生動植物種
四 前三号に掲げるもののほか、総理府令、農林水産省令で定める事項
2 特定事業のうち加工品等に係るものを行おうとする者は、あらかじめ、次に掲げる事項を、環境庁長官及び加工品等の種別に応じて政令で定める大臣(以下この節において「特定大臣」という。)に届け出なければならない。
一 前項第一号から第三号までに掲げる事項
二 前号に掲げるもののほか、内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令で定める事項
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項に変更があったとき、又は特定事業を廃止したときは、その日から起算して三十日を経過する日までの間に、その旨を環境庁長官及び農林水産大臣に届け出なければならない。
4 第一項及び前項に定めるもののほか、これらの規定による届出に関し必要な事項は、総理府令、農林水産省令で定める。
5 第三項の規定は第二項の規定による届出をした者について、前項の規定は第二項の規定による届出について準用する。この場合において、第三項中「農林水産大臣」とあるのは「特定大臣」と、前項中「総理府令、農林水産省令」とあるのは「内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令」と読み替えるものとする。
(特定事業を行う者の遵守事項)
第三十一条 前条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者は、その特定事業に関し特定国内希少野生動植物種の個体の譲受け又は引取りをするときは、その個体の譲渡人又は引渡人の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者が法人である場合にはその代表者の氏名を確認するとともに、次に掲げる事項についてその譲渡人又は引渡人から聴取しなければならない。
一 その個体が繁殖させたものであるか又は捕獲され、若しくは採取されたものであるかの別
二 その個体が繁殖させたものであるときは、繁殖させた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
三 その個体が捕獲され、又は採取されたものであるときは、捕獲され、又は採取された場所並びに捕獲し、又は採取した者の氏名及び住所
2 前条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者は、総理府令、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定により確認し又は聴取した事項その他特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等に関する事項を書類に記載し、及びこれを保存しなければならない。
3 前二項の規定は、前条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。
この場合において、前項中「総理府令、農林水産省令」とあるのは、「内閣総理大臣及び特定大臣の発する命令」と読み替えるものとする。
(特定事業を行う者に対する指示等)
第三十二条 環境庁長官及び農林水産大臣は、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者が前条第一項又は第二項の規定に違反した場合においてその特定事業を適正化して希少野生動植物種の保存に資するため必要があると認めるときは、その者に対し、これらの規定が遵守されることを確保するため必要な事項について指示をすることができる。
2 環境庁長官及び農林水産大臣は、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者が前項の指示に違反した場合においてその特定事業を適正化して希少野生動植物種の保存に資することに支障を及ぼすと認めるときは、その者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、その特定事業に係る特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し又は引渡しの業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
3 前二項の規定は、第三十条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。この場合において、前二項中「農林水産大臣」とあるのは「特定大臣」と、第一項中「前条第一項又は第二項」とあるのは「前条第三項において準用する同条第一項又は第二項」と読み替えるものとする。
(報告徴収及び立入検査)
第三十三条 環境庁長官及び農林水産大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、第三十条第一項の規定による届出をして特定事業を行う者に対し、その特定事業に関し報告を求め、又はその職員に、その特定事業を行うための施設に立ち入り、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定は、第三十条第二項の規定による届出をして特定事業を行う者について準用する。この場合において、前項中「農林水産大臣」とあるのは、「特定大臣」と読み替えるものとする。
3 第一項(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第三章 生息地等の保護に関する規制
第一節 土地の所有者の義務等
(土地の所有者等の義務)
第三十四条 土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。
(助言又は指導)
第三十五条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、土地の所有者又は占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言又は指導をすることができる。
第二節 生息地等保護区
(生息地等保護区)
第三十六条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息又は生育の状況を勘案してその国内希少野生動植物種の保存のため重要と認めるものを、生息地等保護区として指定することができる。
2 前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)は、指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針を定めてするものとする。
3 環境庁長官は、指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、自然環境保全審議会及び関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
4 環境庁長官は、指定をしようとするときは、あらかじめ、総理府令で定めるところにより、その旨を公告し、公告した日から起算して十四日を経過する日までの間、指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針の案(次項及び第六項において「指定案」という。)を公衆の縦覧に供しなければならない。
5 前項の規定による公告があったときは、指定をしようとする区域の住民及び利害関係人は、同項に規定する期間が経過する日までの間に、環境庁長官に指定案についての意見書を提出することができる。
6 環境庁長官は、指定案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。
7 環境庁長官は、指定をするときは、その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針を官報で公示しなければならない。
8 指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
9 環境庁長官は、生息地等保護区に係る国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
10 第三項、第七項及び第八項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは「その旨及び解除に係る指定の区域」と、第八項中「前項の規定による公示」とあるのは「第十項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
11 生息地等保護区の区域内(次条第四項第八号に掲げる行為については、同号に規定する湖沼又は湿原の周辺一キロメートルの区域内)において同項各号に掲げる行為をする者は、第二項の指針に留意しつつ、国内希少野生動植物種の保存に支障を及ぼさない方法でその行為をしなければならない。
(管理地区)
第三十七条 環境庁長官は、生息地等保護区の区域内で国内希少野生動植物種の保存のため特に必要があると認める区域を管理地区として指定することができる。
2 環境庁長官は、管理地区に係る国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
3 前条第二項から第八項までの規定は第一項の規定による指定について、同条第三項、第七項及び第八項の規定は前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、同条第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは前項の規定による指定の解除については「その旨及び解除に係る指定の区域」と、同条第八項中「前項の規定による公示」とあるのは「次条第三項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
4 管理地区の区域内(第八号に掲げる行為については、同号に規定する湖沼又は湿原の周辺一キロメートルの区域内。第四十条第一項及び第四十一条第一項において同じ。)においては、次に掲げる行為(第十号から第十四号までに掲げる行為については、環境庁長官が指定する区域内及びその区域ごとに指定する期間内においてするものに限る。)は、環境庁長官の許可を受けなければ、してはならない。
一 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。
三 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 木竹を伐採すること。
七 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に必要なものとして環境庁長官が指定する野生動植物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。
八 管理地区の区域内の湖沼若しくは湿原であって環境庁長官が指定するもの又はこれらに流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
九 道路、広場、田、畑、牧場及び宅地の区域以外の環境庁長官が指定する区域内において、車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十 第七号の規定により環境庁長官が指定した野生動植物の種の個体その他の物以外の野生動植物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。
十一 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある動植物の種として環境庁長官が指定するものの個体を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと。
十二 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのあるものとして環境庁長官が指定する物質を散布すること。
十三 火入れ又はたき火をすること。
十四 国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育に支障を及ぼすおそれのある方法として環境庁長官が定める方法によりその個体を観察すること。
5 前項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
6 環境庁長官は、前項の申請に係る行為が第三項において準用する前条第二項の指針に適合しないものであるときは、第四項の許可をしないことができる。
7 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第四項の許可に条件を付することができる。
8 第四項の規定により同項各号に掲げる行為が規制されることとなった時において既に同項各号に掲げる行為に着手している者は、その規制されることとなった日から起算して三月を経過する日までの間に環境庁長官に総理府令で定める事項を届け出たときは、同項の規定にかかわらず、引き続きその行為をすることができる。
9 次に掲げる行為については、第四項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるもの
三 木竹の伐採で、環境庁長官が農林水産大臣と協議して管理地区ごとに指定する方法及び限度内においてするもの
10 前項第一号に掲げる行為であって第四項各号に掲げる行為に該当するものをした者は、その日から起算して十四日を経過する日までの間に環境庁長官にその旨を届け出なければならない。
(立入制限地区)
第三十八条 環境庁長官は、管理地区の区域内で国内希少野生動植物種の個体の生息又は生育のため特にその保護を図る必要があると認める場所を、立入制限地区として指定することができる。
2 環境庁長官は、前項の規定による指定をしようとするときは、その場所の土地の所有者又は占有者(正当な権原を有する者に限る。次項及び第四十二条第二項において同じ。)の同意を得るとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 環境庁長官は、土地の所有者又は占有者が正当な理由により第一項の規定による指定を解除するよう求めたとき、又はその指定の必要がなくなったと認めるときは、その指定を解除しなければならない。
4 何人も、環境庁長官が定める期間内は、立入制限地区の区域内に立ち入ってはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為をするために立ち入る場合
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるものをするために立ち入る場合
三 前二号に掲げるもののほか、環境庁長官がやむを得ない事由があると認めて許可をした場合
5 第三十六条第七項及び第八項の規定は第一項の規定による指定及び第三項の規定による指定の解除について、前条第五項及び第七項の規定は前項第三号の許可について準用する。この場合において、第三十六条第七項中「その旨並びに指定の区域、指定に係る国内希少野生動植物種及び指定の区域の保護に関する指針」とあるのは、第一項の規定による指定については「その旨及び指定の区域」と、第三項の規定による指定の解除については「その旨及び解除に係る指定の区域」と、同条第八項中「前項の規定による公示」とあるのは、「第三十八条第五項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。
(監視区域)
第三十九条 生息地等保護区の区域で管理地区の区域に属さない部分(次条第一項及び第四十一条第一項において「監視地区」という。)の区域内において第三十七条第四項第一号から第五号までに掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、環境庁長官に総理府令で定める事項を届け出なければならない。
2 環境庁長官は、前項の規定による届出(以下この条において「届出」という。)があった場合において届出に係る行為が第三十六条第二項の指針に適合しないものであるときは、届出をした者に対し、届出に係る行為をすることを禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による命令は、届出があった日から起算して三十日(三十日を経過する日までの間に同項の規定による命令をすることができない合理的な理由があるときは、届出があった日から起算して六十日を超えない範囲内で環境庁長官が定める期間)を経過した後又は第五項ただし書の規定による通知をした後は、することができない。
4 環境庁長官は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なくその旨及びその理由を通知しなければならない。
5 届出をした者は、届出をした日から起算して三十日(第三項の規定により環境庁長官が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る行為に着手してはならない。ただし、環境庁長官が国内希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。
6 次に掲げる行為については、第一項の規定は、適用しない。
一 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
二 通常の管理行為又は軽易な行為で総理府令で定めるもの
三 第三十六条第一項の規定による指定がされた時において既に着手している行為
(措置命令等)
第四十条 環境庁長官は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、管理地区の区域内において第三十七条第四項各号に掲げる行為をしている者又は監視地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。
2 環境庁長官は、第三十七条第四項若しくは第三十八条第四項の規定に違反した者、第三十七条第七項(第三十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により付された条件に違反した者、前条第一項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をした者又は同条第二項の規定による命令に違反した者がその違反行為によって国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、その他国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3 環境庁長官は、前項の規定による命令をした場合において、その命令をされた者がその命令に係る期限までにその命令に係る措置をとらないときは、自ら原状回復をし、その他国内希少野生動植物種の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置をとるとともに、その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。
(報告徴収及び立入検査等)
第四十一条 環境庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、管理地区の区域内において第三十七条第四項各号に掲げる行為をした者又は監視地区の区域内において同項第一号から第五号までに掲げる行為をした者に対し、その行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 環境庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、生息地等保護区の区域内において前項に規定する者が所有し、又は占有する土地に立ち入り、その者がした行為の実施状況について検査させ、若しくは関係者に質問させ、又はその行為が国内希少野生動植物種の保存に及ぼす影響について調査をさせることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(実地調査)
第四十二条 環境庁長官は、第三十六条第一項、第三十七条第一項又は第三十八条第一項の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。
2 環境庁長官は、その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者又は占有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 第一項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(公害等調整委員会の裁定)
第四十三条 第三十七条第四項、第三十九条第二項又は第四十条第二項の規定による処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項の処分について、処分庁が誤って審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。
(損失の補償)
第四十四条 国は、第三十七条第四項の許可を受けることができないため、同条第七項の規定により条件を付されたため又は第三十九条第二項の規定による命令をされたため損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をする。
2 前項の補償を受けようとする者は、環境庁長官にその請求をしなければならない。
3 環境庁長官は、前項の請求を受けたときは、補償をすべき金額を決定し、その請求をした者に通知しなければならない。
4 前項の規定による金額の決定に不服がある者は、同項の規定による通知を受けた日から起算して三月を経過する日までの間に、訴えをもってその増額の請求をすることができる。
5 前項の訴えにおいては、国を被告とする。
第四章 保護増殖事業
(保護増殖事業計画)
第四十五条 環境庁長官及び保護増殖事業を行おうとする国の行政機関の長(第三項において「環境庁長官等」という。)は、保護増殖事業の適正かつ効果的な実施に資するため、自然環境保全審議会の意見を聴いて保護増殖事業計画を定めるものとする。
2 前項の保護増殖事業計画は、保護増殖事業の対象とすべき国内希少野生動植物種ごとに、保護増殖事業の目標、保護増殖事業が行われるべき区域及び保護増殖事業の内容その他保護増殖事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。
3 環境庁長官等は、第一項の保護増殖事業計画を定めたときは、その概要を官報で公示し、かつ、その保護増殖事業計画を一般の閲覧に供しなければならない。
4 第一項及び前項の規定は、第一項の保護増殖事業計画の変更について準用する。
(認定保護増殖事業等)
第四十六条 国は、国内希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、保護増殖事業を行うものとする。
2 地方公共団体は、その行う保護増殖事業であってその事業計画が前条第一項の保護増殖事業計画に適合するものについて、環境庁長官のその旨の確認を受けることができる。
3 国及び地方公共団体以外の者は、その行う保護増殖事業について、その者がその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができ、及びその保護増殖事業の事業計画が前条第一項の保護増殖事業計画に適合している旨の環境庁長官の認定を受けることができる。
4 環境庁長官は、前項の認定をしたときは、総理府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。第四十八条第二項又は第三項の規定によりこれを取り消したときも、同様とする。
第四十七条 認定保護増殖事業等(国の保護増殖事業、前条第二項の確認を受けた保護増殖事業及び同条第三項の認定を受けた保護増殖事業をいう。以下この条において同じ。)は、第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行われなければならない。
2 認定保護増殖事業等として実施する行為については、第九条、第三十七条第四項及び第十項、第三十八条第四項、第三十九条第一項並びに第五十四条第二項及び第三項の規定は、適用しない。
3 生息地等保護区の区域内の土地の所有者又は占有者は、認定保護増殖事業等として実施される給餌設備その他の保護増殖事業のために必要な施設の設置に協力するように努めなければならない。
4 環境庁長官は、前条第三項の認定を受けて保護増殖事業を行う者に対し、その保護場殖事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
第四十八条 第四十六条第二項の確認又は同条第三項の認定を受けて保護増殖事業を行う者は、その保護増殖事業を廃止したとき、又はその保護増殖事業を第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行うことができなくなったときは、その旨を環境庁長官に通知しなければならない。
2 環境庁長官は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る第四十六条第二項の確認又は同条第三項の認定を取り消すものとする。
3 環境庁長官は、第四十六条第三項の認定を受けた保護増殖事業が第四十五条第一項の保護増殖事業計画に即して行われていないと認めるとき、又はその保護増殖事業を行う者がその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき若しくは前条第四項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたときは、その認定を取り消すことができる。
第五章 雑則
(調査)
第四十九条 環境庁長官は、野生動植物の種の個体の生息又は生育の状況、その生息地又は生育地の状況その他必要な事項について定期的に調査をし、その結果を、この法律に基づく命令の改廃、この法律に基づく指定又はその解除その他この法律の適正な運用に活用するものとする。
(取締りに従事する職員)
第五十条 環境庁長官又は農林水産大臣は、その職員のうち政令で定める要件を備えるものに、第八条、第十一条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十四条、第十八条、第十九条第一項、第三十五条、第四十条第一項若しくは第二項又は第四十一条第一項に規定する権限(農林水産大臣にあっては、第十一条第三項において準用する同条第一項及び第十九条第一項に規定する権限に限る。)の一部を行わせることができる。
2 前項の規定により環境庁長官又は農林水産大臣の権限の一部を行う職員(次項において「希少野生動植物種保存取締官」という。)は、その権限を行うときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、希少野生動植物種保存取締官に関し必要な事項は、政令で定める。
(希少野生動植物種保存推進員)
第五十一条 環境庁長官は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に熱意と識見を有する者のうちから、希少野生動植物種保存推進員を委嘱することができる。
2 希少野生動植物種保存推進員は、次に掲げる活動を行う。
一 絶滅のおそれのある野生動植物の種が置かれている状況及びその保存の重要性について啓発をすること。
二 絶滅のおそれのある野生動植物種の種の個体の生息若しくは生育の状況又はその生息地若しくは生育地の状況について調査をすること。
三 希少野生動植物種の個体の所有若しくは占有者又はその生息地若しくは生育地の土地の所有者若しくは占有者に対し、その求めに応じ希少野生動植物種の保存のため必要な助言をすること。
四 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のために国又は地方公共団体が行う施策に必要な協力をすること。
3 希少野生動植物種保存推進員は、名誉職とし、その任期は三年とする。
4 希少野生動植物種保存推進員が希少野生動植物種の個体に関する調査で総理府令で定めるもののためにする捕獲等については、第九条の規定は、適用しない。
5 環境庁長官は、希少野生動植物種保存推進員が、その職務の遂行に支障があるとき、その職務を怠ったとき、又はこの法律の規定に違反し、その他希少野生動植物種保存推進員たるにふさわしくない非行があったときは、これを解嘱することができる。
(負担金の徴収方法)
第五十二条 環境庁長官が第四十条第三項の規定により、又は通商産業大臣等が第十六条第三項の規定により費用を負担させようとするときは、総理府令、通商産業令で定めるところにより、その負担させようとする費用(以下この条において「負担金」という。)の額及びその納付期限を定めて、文書でその納付を命じなければならない。
2 環境庁長官又は通商産業大臣等は、前項の納付期限までに負担金を納付しない者があるときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、督促状で期限を指定して督促しなければならない。
3 環境庁長官又は通商産業大臣等は、前項の規定による督促をしたときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、負担金の額に、年十四・五パーセントを超えない割合を乗じて、第一項の納付期限の翌日からその負担金の完納の日又はその負担金に係る財産差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。
4 環境庁長官又は通商産業大臣等は、第二項の規定による督促を受けた者が、同項の督促状で指定した期限までにその納付すべき負担金及びその負担金に係る前項の延滞金(以下この条において「延滞金」という。)を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、その負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
5 延滞金は、負担金に先立つものとする。
(地方公共団体に対する助言その他の措置)
第五十三条 国は、地方公共団体が絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のための施策を円滑に実施することができるよう、地方公共団体に対し、助言その他の措置を構ずるように努めなければならない。
(国等に関する特例)
第五十四条 国の機関又は地方公共団体が行う事務又は事業については、第八条、第九条、第十二条第一項、第三十五条、第三十七条第四項及び第十項、第三十八条第四項、第三十九条第一項、第四十条第一項並びに第四十一条第一項及び第二項の規定は、適用しない。
2 国の機関又は地方公共団体は、第九条第二号及び第三号に掲げる場合以外の場合に国内希少野生動植物種等の生きている個体の捕獲等をしようとするとき、第十二条第一項第二号から第六号までに掲げる場合以外の場合に希少野生動植物種の個体の譲渡し等をしようとするとき、又は第三十七条第四項若しくは第三十八条第四項第三号の許可を受けるべき行為に該当する行為をしようとするときは、総理府令で定める場合を除き、あらかじめ環境庁長官に協議しなければならない。
3 国の機関又は地方公共団体は、第三十七条第八項の規定により届出をして引き続き同条第四項各号に掲げる行為をすることができる場合に該当する場合にその行為をするとき、又は同条第十項若しくは第三十九条第一項の規定により届出をすべき行為に該当する行為をし、若しくはしようとするときは、総理府令で定める場合を除き、これらの規定による届出の例により、環境庁長官にその旨を通知しなければならない。
(権限の委任)
第五十五条 この法律に定める環境庁長官の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。
(経過措置)
第五十六条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(総理府令への委任)
第五十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 罰則
第五十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第九条、第十二条第一項、第十五条第一項又は第三十七条第四項の規定に違反した者
二 第十一条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第十四条、第十六条第一項若しくは第二項又は第四十条第二項の規定による命令に違反した者
第五十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第五項(同条第十一項及び第十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十七条第七項の規定により付された条件に違反した者
二 第十八条又は第三十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
三 偽りその他不正の手段により第二十条第一項の登録を受けた者
四 第三十八条第四項の規定に違反した者
第六十条 第二十五条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十七条又は第三十九条第五項の規定に違反した者
二 第三十条第一項又は第二項の規定による届出をしないで特定事業を行い、又は虚偽の届出をした者
三 第三十八条第五項において準用する第三十七条第七項の規定により付された条件に違反した者
四 第三十九条第一項の規定による届出をしないで同項に規定する行為をし、又は虚偽の届出をした者
五 第三十九条第二項の規定による命令に違反した者
第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第九項(同条第十一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して許可証又は従事者証を携帯しないで捕獲等をした者
二 第十九条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
三 偽りその他不正の手段により第二十条第四項(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の登録票の再交付を受けた者
四 第二十一条、第二十二条第一項又は第三十条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
五 第三十三条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
六 第四十一条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第二項の規定による立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
七 第四十二条第四項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
第六十三条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定登録機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第二十四条第四項の許可を受けないで登録関係事務の全部を廃止したとき。
二 第二十七条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第六十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五十八条、第五十九条、第六十一条又は第六十二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成五年四月一日から施行する。ただし、第一章並びに附則第九条及び第十二条の規定は、公布の日から施行する。
(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律等の廃止)
第二条 次に掲げる法律は、廃止する。
一 特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)
二 絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)
(経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前の特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(以下「旧鳥類法」という。)第三条第一項ただし書の規定によりされている許可又は前条の規定による廃止前の絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(以下「旧野生動植物法」という。)第三条第一項第一号の規定によりされている許可は、第十三条第一項の許可とみなす。
第四条 この法律の施行の際現に旧野生動植物法第六条第一項の登録を受けている旧野生動植物法第二条第一項の希少野生動植物(以下「希少野生動植物」という。)で国際希少野生動植物種の個体であるものは第二十条第一項の登録を受けているものと、当該個体に係る旧野生動植物法第六条第三項又は第五項(旧野生動植物法第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により交付された登録票は第二十条第三項の規定により交付された登録票とみなす。
第五条 前二条に規定するもののほか、旧鳥類法若しくは旧野生動植物法の規定により環境庁長官がした処分その他の行為又は旧野生動植物法の規定により環境庁長官に対してされている許可若しくは登録若しくは登録票の再交付の申請は、この法律の相当規定に基づいて環境庁長官がした処分その他の行為又は環境庁長官に対してされている許可若しくは登録若しくは登録票の再交付の申請とみなす。
第六条 この法律の施行前に、旧野生動植物法第六条第一項の登録を受けた希少野生動植物を譲り受け、又はその引渡しを受けた者に係る環境庁長官への届出及び当該登録を受けた希少野生動植物を所持する者で旧野生動植物法第八条第一項各号のいずれかに該当するに至ったものに係る登録票の返納については、なお従前の例による。
第七条 この法律の施行前にした行為及び前条の規定によりなお従前の例によるものとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)
第八条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「行なう」を「行う」に改め、同項第二号に次のように加える。
ワ 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四十三条第一項
第一条第一項第三号及び同条第二項を削る。
第二条第一項中「前条第一項第二号の裁定及び同項第三号の裁決」を「前条第二号の裁定」に、「行なう」を「行う」に改める。
第二十五条第一項中「第一条第一項第二号」を「第一条第二号」に改め、同項ただし書中「やむをえない」を「やむを得ない」に改める。
第四十五条第一項中「左に」を「次に」に、「基く」を「基づく」に、「自然環境保全法」を
自然環境保全法
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
に改め、同条中第七項を第九項とし、第六項を第八項とし、第五項の次に次の二項を加える。
6 第一項の規定により絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の規定による許可があつたものとみなされる場合においては、裁定で、国内希少野生動植物種の保存のため必要な限度において、鉱業権者若しくは租鉱権者又は採石業者が守るべき事項を定めることができる。
7 前項の規定により国内希少野生動植物種の保存のために定められた事項は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の規定の適用については、同法第三十七条第七項(同法第三十八条第五項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付された条件とみなす。
第五十八条の二中「第一条第一項各号」を「第一条各号」に改める。
(自然環境保全法の一部改正)
第九条 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「及び絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を「、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)」に改める。
第十条 自然環境保全法の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を削る。
(松くい虫被害対策特別措置法の一部改正)
第十一条 松くい虫被害対策特別措置法(昭和五十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「特殊鳥類(特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)第二条第一項に規定する特殊鳥類をいう。)」を「国内希少野生動植物種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種をいう。)」に改める。
(環境庁設置法の一部改正)
第十二条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第七号中「及び絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を「、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)」に改める。
第十三条 環境庁設置法の一部を次のように改正する。
第四条第七号中「、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律(昭和四十七年法律第四十九号)、絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第五十八号)」を削る。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十四条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第百六十一号の次に次の一号を加える。
百六十一の二 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
第二十九条中「第百六十二号」を「第百六十一号の二」に改める。
(通商産業省設置法の一部改正)
第十五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)の施行に関すること。
内閣総理大臣 宮沢喜一
農林水産大臣 田名部匡省
通商産業大臣 渡部恒三