(捕獲等の禁止)
第九条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第五十四条第二項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項又は第二項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
二 生計の維持のため特に必要があり、かつ、種の保存に支障を及ぼすおそれのない場合として総理府令で定める場合
三 人の生命又は身体の保護その他の総理府令で定めるやむを得ない事由がある場合
(捕獲等の許可)
第十条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で国内希少野生動植物種等の生きている個体の捕獲等をしようとする者(次項に規定する者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 第三十条第一項の事業に係る譲渡し又は引渡しのためにする繁殖の目的で特定国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、環境庁長官及び農林水産大臣の許可を受けなければならない。
3 第一項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
4 環境庁長官は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 捕獲等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 捕獲等によって国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすおそれがあること。
三 捕獲等をする者が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
5 環境庁長官は、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の許可に条件を付することができる。
6 環境庁長官は、第一項の許可をしたときは、総理府令で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
7 第一項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして総理府令で定めるものは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
8 第一項の許可を受けた者は、その者若しくはその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者が第六項の許可証若しくは前項の従事者証を亡失し、又はその許可証若しくは従事者証が滅失したときは、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に申請をして、その許可証又は従事者証の再交付を受けることができる。
9 第一項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者は、捕獲等をするときは、第六項の許可証又は第七項の従事者証を携帯しなければならない。
10 第一項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養栽培施設に収容することその他の総理府令で定める方法により適切に取り扱わなければならない。
11 第三項から第六項までの規定は第二項の許可について、第七項及び第八項の規定は第二項の許可を受けた者について、第九項の規定は第二項の許可を受けた者又はその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者について、前項の規定は第二項の許可を受けて捕獲等をした者について準用する。この場合において、第三項、第六項から第八項まで及び前項中「総理府令」とあるのは「総理府令、農林水産省令」と、第三項から第八項までの規定中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第四項第一号中「第一項に規定する目的」とあるのは「第二項に規定する目的」と、第五項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と読み替えるものとする。
(捕獲等許可者に対する措置命令等)
第十一条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第十項の規定に違反し、又は同条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、国内希少野生動植物種等の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命令することができる。
2 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼすと認めるときは、その許可を取り消すことができる。
3 前二項の規定は、前条第二項の許可を受けた者について準用する。この場合において、前二項中「環境庁長官」とあるのは「環境庁長官及び農林水産大臣」と、第一項中「国内希少野生動植物種等の保存のため必要がある」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資するため必要がある」と、前項中「国内希少野生動植物種等の保存に支障を及ぼす」とあるのは「特定国内希少野生動植物種の個体の繁殖を促進して希少野生動植物種の保存に資することに支障を及ぼす」と読み替えるものとする。
(譲渡し等の禁止)
第十二条 希少野生動植物種の個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合
二 特定国内希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
三 第九条第二号に規定する場合に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体の譲渡し等をする場合
四 第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする場合
五 希少野生動植物種の個体の譲渡し等をする当事者の一方又は双方が国の機関又は地方公共団体である場合であって総理府令で定める場合
六 前各号に掲げるもののほか、希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合
2 環境庁長官は、前項第五号又は第六号の総理府令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、農林水産大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
(譲渡し等の許可)
第十三条 学術研究又は繁殖の目的その他総理府令で定める目的で希少野生動植物種の個体の譲渡し等をしようとする者(前条第一項第二号から第六号までに掲げる場合のいずれかに該当して譲渡し等をしようとする者を除く。)は、環境庁長官の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、総理府令で定めるところにより、環境庁長官に許可の申請をしなければならない。
3 環境庁長官は、前項の申請に係る譲渡し等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第一項の許可をしてはならない。
一 譲渡し等の目的が第一項に規定する目的に適合しないこと。
二 譲受人又は引取人が適当な飼養栽培施設を有しないことその他の事由により譲受け又は引取りに係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。
4 第十条第五項の規定は第一項の許可について、同条第十項の規定は第一項の許可を受けて譲受け又は引取りをした者について、前条第二項の規定は第一項の総理府令の制定又は改廃について準用する。この場合において、第十条第十項中「その捕獲等に係る個体」とあるのは、「その譲受け又は引取りに係る個体」と読み替えるものとする。
(譲渡し等許可者に対する措置命令)
第十四条 環境庁長官は、前条第一項の許可を受けた者が同条第四項において準用する第十条第十項の規定に違反し、又は前条第四項において準用する第十条第五項の規定により付された条件に違反した場合において、希少野生動植物種の保存のため必要があると認めるときは、飼養栽培施設の改善その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(輸出入の禁止)
第十五条 特定国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体は、輸出し、又は輸入してはならない。ただし、その輸出又は輸入が、国際的に協力して学術研究をする目的でするものその他の特に必要なものであること、国内希少野生動植物種の本邦における保存に支障を及ぼさないものであることその他の政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
2 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸出し、又は輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第三項又は第五十二条の規定により、輸出又は輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
(違法輸入者に対する措置命令等)
第十六条 通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体が輸入された場合において必要があると認めるときは、その個体を輸入した者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
2 環境庁長官及び通商産業大臣は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定に基づく政令の規定による承認を受けないで特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者からその個体がその承認を受けないで輸入されたものであることを知りながら第十二条第一項の規定に違反してその個体の譲受けをした者がある場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、輸出国内又は原産国内のその保護のために適当な施設その他の場所を指定してその個体を返送することを命ずることができる。
3 通商産業大臣が第一項の規定による命令をした場合又は環境庁長官及び通商産業大臣が前項の規定による命令をした場合において、その命令をされた者がその命令に係る返送をしないときは、通産業大臣又は環境庁長官及び通商産業大臣(第五十二条において「通商産業大臣等」という。)は、自らその個体を前二項に規定する施設その他の場所に返送するとともに、その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。
(陳列の禁止)
第十七条 希少野生動植物種の個体は、販売又は頒布をする目的で陳列をしてはならない。ただし、特定国内希少野生動植物種の個体、第九条第二号に該当して捕獲等をした国内希少野生動植物種等の個体及び第二十条第一項の登録を受けた国際希少野生動植物種の個体の陳列をする場合その他希少野生動植物種の保存に支障を及ぼすおそれがない場合として総理府令で定める場合は、この限りでない。
(陣列をしている者に対する措置命令)
第十八条 環境庁長官は、前条の規定に違反して希少野生動植物種の個体の陳列をしている者に対し、陳列の中止その他の同条の規定が遵守されることを確保するため必要な事項を命ずることができる。
(報告徴収及び立入検査)
第十九条 次の各号に掲げる大臣は、この法律の施行に必要な限度において、それぞれ当該各号に規定する者に対し、希少野生動植物種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、希少野生動植物種の個体の捕獲等、譲渡し等、輸入若しくは陣列に係る施設に立ち入り、希少野生動植物種の個体、飼養栽培施設、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
一 環境庁長官 第十条第一項若しくは第十三条第一項の許可を受けている者又は販売若しくは頒布をする目的で希少野生動植物種の個体の陳列をしている者
二 環境庁長官及び農林水産大臣 第十条第二項の許可を受けている者
三 環境庁長官及び通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体で輸入されたものの譲受けをした者
四 通商産業大臣 特定国内希少野生動植物種以外の希少野生動植物種の個体を輸入した者
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。