(建造、改造及び転用の許可)
第三條 船舶製造業者その他の者に注文して、左に掲げる動力漁船を建造し、又は船舶を左に掲げる動力漁船に改造しようとする者は、その動力漁船が第一号又は第二号に該当する場合にあつては農林大臣の許可を受け、その動力漁船が第三号に該当する場合にあつてはその主たる根拠地(改造の場合にあつては改造後の主たる根拠地)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。動力漁船以外の船舶を改造しないで左に掲げる動力漁船として転用しようとする者についても、同樣とする。
二 長さ十五メートル未満の動力漁船で漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十五條の規定に基く命令により農林大臣の許可を要する漁業に従事するもの
2 前項の場合の外、同項各号に掲げる動力漁船を建造し、又は船舶を同項各号に掲げる動力漁船に改造しようとする者についても、同項と同樣とする。
3 前二項の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項について記載した申請書を農林大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
二 船名(改造又は転用の場合にあつては改造又は転用前及び改造又は転用後の船名)
三 漁業種類又は用途、操業区域及び主たる根拠地(改造の場合にあつては改造前及び改造後の漁業種類又は用途、操業区域及び主たる根拠地)
四 計画総トン数(改造の場合にあつては改造前の総トン数及び改造後の計画総トン数、転用の場合にあつては総トン数)
五 船舶の長さ、幅及び深さ(改造の場合にあつては改造前及び改造後の長さ、幅及び深さ)
八 推進機関の種類及び馬力数並びにシリンダの数及び直径(改造の場合にあつては改造前及び改造後の推進機関の種類及び馬力数並びにシリンダの数及び直径)
十 起工、進水及びしゆん工、改造工事の着手及び完成又は転用の予定期日
十一 建造、改造又は転用に要する費用及びその調達方法の概要
4 農林大臣又は都道府県知事は、第一項又は第二項の許可の申請者に、図面、仕樣書その他第一項又は第二項の許可に関し必要な書類を提出させることができる。
5 第三項の申請書の提出があつたときは、農林大臣又は都道府県知事は、その申請書を受理した後、第一項又は第二項の許可に関してした照会中の期間を除いて二箇月以内に、その申請者に対し、許可又は不許可の通知を発しなければならない。
6 都道府県知事は、第一項又は第二項の許可をしたときは、その旨を農林大臣に報告しなければならない。
7 第一項又は第二項の許可を受けた者は、その許可に係る建造、改造又は転用について第三項第三号から第八号までに掲げる事項のいずれかを変更しようとするときは、その変更につき、その許可をした行政庁の許可を受けなければならない。
8 前項の場合には、第四項から第六項までの規定を準用する。
9 第一項又は第二項の許可を受けた者は、その許可に係る建造、改造又は転用について第三項第一号、第二号及び第九号から第十一号までに掲げる事項のいずれかに変更を生じたときは、遅滯なくその旨をその許可をした行政庁に報告しなければならない。
(許可の基準)
第四條 農林大臣又は都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合を除き、前條第一項又は第二項の許可をしなければならない。
一 農林大臣が、漁業法第百十二條の規定により設置される中央漁業調整審議会の意見をきき、漁業種類別、操業区域別、根拠地の属する都道府県の区域別又は動力漁船の種類別に漁業(漁場から漁獲物又はその製品を運搬する事業を含む。以下本号において同じ。)に従事することができる動力漁船の隻数又は総トン数の最高限度を定めた場合において、その申請に係る前條第一項又は第二項の許可をすることによつてその漁業に従事する動力漁船の隻数又は総トン数がその最高限度をこえることとなるとき。
二 農林大臣が、中央漁業調整審議会の意見をきき、動力漁船の性能につき漁業種類別又は操業区域別に基準を定めた場合において、その申請に係る動力漁船の性能がその基準に適合しないとき。
三 その申請に係る動力漁船の従事する漁業が漁業法第五十二條の指定遠洋漁業又は同法第六十五條の規定に基く命令により許可を要する漁業に該当し、且つ、同法第五十四條の規定又は同法第六十五條の規定に基く命令により起業の認可を要する場合において、その漁業につき起業の認可がないとき。
四 その申請に係る建造又は改造をその造船所又は推進機関製作所において行うことが技術的に著しく困難と認められるとき。
五 その申請に係る建造、改造又は転用に要する費用の調達が著しく困難と認められるとき。
(許可の失効)
第五條 左の各号の一に該当する場合には、第三條第一項又は第二項の許可は、その効力を失う。
一 その許可が建造に係る場合にあつては、その許可の日から一年以内にしゆん工しないとき。
二 その許可が改造に係る場合にあつては、その許可の日から六箇月以内にその改造の工事が完成しないとき。
三 その許可が転用に係る場合にあつては、その許可の日から二箇月以内に転用による使用を開始しないとき。
四 その許可に係る漁船の従事する漁業が前條第三号の漁業に該当し、且つ、同号の起業の許可を要する場合において、その起業の認可が取り消されたとき。
2 農林大臣又は都道府県知事は、やむを得ない事由があると認めるときは、第三條第一項又は第二項の許可を受けた者の申請により、前項第一号から第三号までの期間を延長することができる。
(許可の取消)
第六條 農林大臣又は都道府県知事は、第三條第一項又は第二項の許可を受けた者が同條第七項の規定に違反したときは、その許可を取り消すことができる。
2 農林大臣又は都道府県知事は、前項の規定による許可の取消をしようとするときは、あらかじめ、その許可を受けた者に対し、取消の理由並びに聽聞の期日及び場所を文書をもつて通知し、その許可を受けた者又はその代理人が公開の聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。
(完了報告)
第七條 第三條第一項又は第二項の許可を受けた者は、省令の定めるところにより、その許可に係る建造若しくは改造の工事の状況又は転用による使用開始につき、その許可をした行政庁に報告しなければならない。
(臨時船舶管理法の適用除外)
第八條 漁船の建造及び改造並びに漁船にするための船舶の改造については、臨時船舶管理法(昭和十二年法律第九十三号)第八條の規定に基く命令の規定による運輸大臣の許可を受けることを要しない。但し、左に掲げる漁船については、この限りでない。
一 母船式漁業(製造、冷蔵その他の処理設備を有する母船又はその附属漁船により営む漁業をいう。)に従事する母船
二 捕鯨業(もりづつを使用してミンクを除くひげ鯨又はまつこう鯨をとる漁業をいう。)に従事する動力漁船
三 トロール漁業(オツタートロール又はビームトロールを使用して営む漁業をいう。)に従事する動力漁船
四 もつぱら漁場から前二号の漁業の漁獲物又はその製品を運搬する動力漁船