漁船法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第94号
公布年月日: 昭和26年3月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

漁船法の運用実績を踏まえ、以下の改正を行うものである。第一に、漁船の建造等の工事完成後に認定を行うこととし、許可要件の厳守による漁業調整及び取締りの完全化を図る。第二に、登録漁船と登録票について都道府県知事による3年ごとの検認制度を新設し、登録事項と実態の乖離を防止する。第三に、登録手数料を地方財政確保の観点から都道府県の収入とする。その他、合計総トン数の最高限度等について別個規定を設け、造船所等の技術的能力等に関する規定を削除するなど、所要の整理を行う。

参照した発言:
第10回国会 参議院 水産委員会 第19号

審議経過

第10回国会

参議院
(昭和26年3月20日)
(昭和26年3月23日)
衆議院
(昭和26年3月24日)
参議院
(昭和26年3月26日)
衆議院
(昭和26年3月27日)
参議院
(昭和26年3月27日)
衆議院
(昭和26年3月28日)
(昭和26年6月5日)
参議院
(昭和26年6月6日)
漁船法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十四号
漁船法の一部を改正する法律
漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
第二章中第三條を第三條の二とし、第三條として次のように加える。
(動力漁船の合計総トン数の最高限度等)
第三條 農林大臣は、漁業調整その他公益上の見地から漁船の建造を調整する必要があると認めるときは、根拠地の属する都道府県の区域別又は動力漁船の種類別に漁業(漁場から漁獲物又はその製品を運搬する事業を含む。第四條第一号において同じ。)に従事する動力漁船の隻数若しくは合計総トン数の最高限度又は性能の基準を設定するものとする。
2 前項の規定により設定された動力漁船の隻数又は合計総トン数の最高限度は、設定の日から一年を経過したときは、その効力を失う。但し、同項の規定により更に最高限度を設定することを妨げない。
3 第一項の場合には、その最高限度又は基準につき漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百十二條の規定により設置された中央漁業調整審議会の意見をきくことができる。
4 農林大臣は、第一項の隻数若しくは合計総トン数の最高限度又は性能の基準を設定し、又は変更したときは、これを告示しなければならない。
第三條の二第一項第二号中「(昭和二十四年法律第二百六十七号)」を削る。
第三條の二第八項及び第九項を第九項及び第十項とし、第八項として次の一項を加える。
8 前項の場合において、その変更により当該建造、改造又は転用について第一項又は第二項の許可をすべき行政庁が異なることとなる場合には、前項の規定にかかわらず、新たに第一項又は第二項の規定による許可を受けなければならない。
第四條を次のように改める。
(許可の基準)
第四條 農林大臣又は都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合を除き、前條第一項、第二項又は第七項の許可をしなければならない。
一 第三條第一項の規定による隻数又は合計総トン数の最高限度の定がある場合において、その申請に係る前條第一項、第二項又は第七項の許可をすることによつてその漁業に従事する動力漁船の隻数又は合計総トン数がその最高限度をこえることとなるとき。
二 第三條第一項の規定による性能の基準の定がある場合において、その申請に係る動力漁船の性能がその基準に適合しないとき。
三 その申請に係る動力漁船の従事する漁業が漁業法又は同法に基く命令により許可を要する漁業に該当し、且つ、同法若しくは同法に基く命令により起業の認可を要する場合においてその漁業につき起業の認可がないとき、又は起業の認可を必要としない場合においてその漁業につき許可の見込がないとき。
第五條第一項及び第二項中「第三條」を「第三條の二」に、同條第一項第四号中「漁船」を「動力漁船」に、「漁業が」を「漁業が、」に、「その起業の認可が」を「その漁業につき起業の認可が失効し、若しくは取り消され、又は同号の漁業に該当する場合において、同号の許可が」に改め、同号を第五号とし、同項に第四号として次の一号を加える。
四 第三條の二第八項の場合において、新たに同條第一項又は第二項の規定による許可があつたとき。
第六條第一項、第九條第三項、第二十二條第一項、第二十七條第一項、第二十八條第一項及び第二十九條中「第三條」を「第三條の二」に改める。
第七條中「第三條第一項又は第二項の許可を受けた者は、省令の定めるところにより、」を「第三條の二第一項又は第二項の規定により農林大臣又は都道府県知事の許可を受けた者は、省令又は都道府県規則の定めるところにより、」に改める。
第七條の次に次の一條を加える。
(工事完成後の認定)
第七條の二 第三條の二の規定により建造又は改造の許可を受けた者は、その許可に係る動力漁船がしゆん工し、又は改造工事が完成したときは、当該漁船につき、第三條の二第三項第三号から第八号までに掲げる事項に係る許可の要件及び性能の基準と一致しているかどうかについて、省令又は都道府県規則の定めるところにより、農林大臣又は都道府県知事の認定を受けなければならない。但し、計画総トン数五トン未満の動力漁船については、この限りでない。
第十條を次のように改める。
(登録の基準)
第十條 都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合を除き、前條第一項の登録をしなければならない。
一 その申請に係る漁船について第三條の二第一項、第二項又は第七項の規定により許可を受けなければならない場合において、その許可がないとき、又は許可の要件に違反しているとき。
二 その申請に係る漁船の従事する漁業が第四條第三号の漁業に該当する場合において、その漁業につき、起業の認可又は許可がないとき。
三 その申請に係る漁船が第七條の二の規定により認定を要する動力漁船である場合において、その認定がないとき。
四 その申請に係る漁船が第十六條第三号の規定によつて登録の取消を受けたものであるとき。
五 その申請に係る事項が虚僞であるとき。
第十一條の次に次の一條を加える。
(登録票の検認)
第十一條の二 前條第一項又は第十四條第三項の規定により登録票の交付を受けた者は、その交付の日から三年を経過したときは、命令の定めるところにより、その登録をした漁船及び登録票につき当該都道府県知事の検認を受けなければならない。検認の日から三年を経過したときもまた同様とする。
第十六條を次のように改める。
(登録の取消)
第十六條 都道府県知事は、第九條第一項の登録を受けた漁船が左の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。この場合には第六條第二項の規定を準用する。
一 第三條の二の規定に違反して改造されたとき。
二 第十一條の二の規定に違反して検認を受けないとき。
三 老朽、破損等のため漁船として使用することができなくなつたと認められるとき。
第十九條本文中「手数料を」の下に「都道府県規則で定めるところにより都道府県に」を加え、同條の表中
第九條第一項の登録の申請をする者
二千円
第九條第一項の登録の申請をする者
二千円
第十一條の二の検認の申請をする者
百円
に改め、同條に次の但書を加える。
但し、省令で定める場合には、この限りでない。
第二十條中「船舶の積量の測度」の下に「及び船名の標示」を加え、同條の次に次の一條を加える。
(漁船原簿の副本の提出等)
第二十條の二 農林大臣は、都道府県知事に対し、漁船原簿の副本を提出させ、及び登録に関する統計その他登録に関し必要な報告を求めることができる。
第二十二條第四項中「意見をきかなければならない。」を「意見をきくことができる。」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 この法律の施行前に改正前の漁船法第三條の規定に基いてした許可又はその申請は、漁船法第三條の二の規定に基いてしたものとみなす。
3 この法律の施行前に改正前の漁船法第四條第一号の規定に基いて定めた動力漁船の合計総トン数の最高限度及び同條第二号の規定に基いて定めた動力漁船の性能の基準は、漁船法第三條第一項の規定に基いて定めたものとみなす。
4 この法律の施行の際現に漁船法第十一條第一項又は第十四條第三項の規定により登録票の交付を受けている者が受けるべき最初の検認の期日は、同法第十一條の二の規定にかかわらず、省令で定める。
内閣総理大臣 吉田茂
農林大臣 広川弘禪
運輸大臣 山崎猛
漁船法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年三月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第九十四号
漁船法の一部を改正する法律
漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
第二章中第三条を第三条の二とし、第三条として次のように加える。
(動力漁船の合計総トン数の最高限度等)
第三条 農林大臣は、漁業調整その他公益上の見地から漁船の建造を調整する必要があると認めるときは、根拠地の属する都道府県の区域別又は動力漁船の種類別に漁業(漁場から漁獲物又はその製品を運搬する事業を含む。第四条第一号において同じ。)に従事する動力漁船の隻数若しくは合計総トン数の最高限度又は性能の基準を設定するものとする。
2 前項の規定により設定された動力漁船の隻数又は合計総トン数の最高限度は、設定の日から一年を経過したときは、その効力を失う。但し、同項の規定により更に最高限度を設定することを妨げない。
3 第一項の場合には、その最高限度又は基準につき漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百十二条の規定により設置された中央漁業調整審議会の意見をきくことができる。
4 農林大臣は、第一項の隻数若しくは合計総トン数の最高限度又は性能の基準を設定し、又は変更したときは、これを告示しなければならない。
第三条の二第一項第二号中「(昭和二十四年法律第二百六十七号)」を削る。
第三条の二第八項及び第九項を第九項及び第十項とし、第八項として次の一項を加える。
8 前項の場合において、その変更により当該建造、改造又は転用について第一項又は第二項の許可をすべき行政庁が異なることとなる場合には、前項の規定にかかわらず、新たに第一項又は第二項の規定による許可を受けなければならない。
第四条を次のように改める。
(許可の基準)
第四条 農林大臣又は都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合を除き、前条第一項、第二項又は第七項の許可をしなければならない。
一 第三条第一項の規定による隻数又は合計総トン数の最高限度の定がある場合において、その申請に係る前条第一項、第二項又は第七項の許可をすることによつてその漁業に従事する動力漁船の隻数又は合計総トン数がその最高限度をこえることとなるとき。
二 第三条第一項の規定による性能の基準の定がある場合において、その申請に係る動力漁船の性能がその基準に適合しないとき。
三 その申請に係る動力漁船の従事する漁業が漁業法又は同法に基く命令により許可を要する漁業に該当し、且つ、同法若しくは同法に基く命令により起業の認可を要する場合においてその漁業につき起業の認可がないとき、又は起業の認可を必要としない場合においてその漁業につき許可の見込がないとき。
第五条第一項及び第二項中「第三条」を「第三条の二」に、同条第一項第四号中「漁船」を「動力漁船」に、「漁業が」を「漁業が、」に、「その起業の認可が」を「その漁業につき起業の認可が失効し、若しくは取り消され、又は同号の漁業に該当する場合において、同号の許可が」に改め、同号を第五号とし、同項に第四号として次の一号を加える。
四 第三条の二第八項の場合において、新たに同条第一項又は第二項の規定による許可があつたとき。
第六条第一項、第九条第三項、第二十二条第一項、第二十七条第一項、第二十八条第一項及び第二十九条中「第三条」を「第三条の二」に改める。
第七条中「第三条第一項又は第二項の許可を受けた者は、省令の定めるところにより、」を「第三条の二第一項又は第二項の規定により農林大臣又は都道府県知事の許可を受けた者は、省令又は都道府県規則の定めるところにより、」に改める。
第七条の次に次の一条を加える。
(工事完成後の認定)
第七条の二 第三条の二の規定により建造又は改造の許可を受けた者は、その許可に係る動力漁船がしゆん工し、又は改造工事が完成したときは、当該漁船につき、第三条の二第三項第三号から第八号までに掲げる事項に係る許可の要件及び性能の基準と一致しているかどうかについて、省令又は都道府県規則の定めるところにより、農林大臣又は都道府県知事の認定を受けなければならない。但し、計画総トン数五トン未満の動力漁船については、この限りでない。
第十条を次のように改める。
(登録の基準)
第十条 都道府県知事は、左の各号の一に該当する場合を除き、前条第一項の登録をしなければならない。
一 その申請に係る漁船について第三条の二第一項、第二項又は第七項の規定により許可を受けなければならない場合において、その許可がないとき、又は許可の要件に違反しているとき。
二 その申請に係る漁船の従事する漁業が第四条第三号の漁業に該当する場合において、その漁業につき、起業の認可又は許可がないとき。
三 その申請に係る漁船が第七条の二の規定により認定を要する動力漁船である場合において、その認定がないとき。
四 その申請に係る漁船が第十六条第三号の規定によつて登録の取消を受けたものであるとき。
五 その申請に係る事項が虚偽であるとき。
第十一条の次に次の一条を加える。
(登録票の検認)
第十一条の二 前条第一項又は第十四条第三項の規定により登録票の交付を受けた者は、その交付の日から三年を経過したときは、命令の定めるところにより、その登録をした漁船及び登録票につき当該都道府県知事の検認を受けなければならない。検認の日から三年を経過したときもまた同様とする。
第十六条を次のように改める。
(登録の取消)
第十六条 都道府県知事は、第九条第一項の登録を受けた漁船が左の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。この場合には第六条第二項の規定を準用する。
一 第三条の二の規定に違反して改造されたとき。
二 第十一条の二の規定に違反して検認を受けないとき。
三 老朽、破損等のため漁船として使用することができなくなつたと認められるとき。
第十九条本文中「手数料を」の下に「都道府県規則で定めるところにより都道府県に」を加え、同条の表中
第九条第一項の登録の申請をする者
二千円
第九条第一項の登録の申請をする者
二千円
第十一条の二の検認の申請をする者
百円
に改め、同条に次の但書を加える。
但し、省令で定める場合には、この限りでない。
第二十条中「船舶の積量の測度」の下に「及び船名の標示」を加え、同条の次に次の一条を加える。
(漁船原簿の副本の提出等)
第二十条の二 農林大臣は、都道府県知事に対し、漁船原簿の副本を提出させ、及び登録に関する統計その他登録に関し必要な報告を求めることができる。
第二十二条第四項中「意見をきかなければならない。」を「意見をきくことができる。」に改める。
附 則
1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。
2 この法律の施行前に改正前の漁船法第三条の規定に基いてした許可又はその申請は、漁船法第三条の二の規定に基いてしたものとみなす。
3 この法律の施行前に改正前の漁船法第四条第一号の規定に基いて定めた動力漁船の合計総トン数の最高限度及び同条第二号の規定に基いて定めた動力漁船の性能の基準は、漁船法第三条第一項の規定に基いて定めたものとみなす。
4 この法律の施行の際現に漁船法第十一条第一項又は第十四条第三項の規定により登録票の交付を受けている者が受けるべき最初の検認の期日は、同法第十一条の二の規定にかかわらず、省令で定める。
内閣総理大臣 吉田茂
農林大臣 広川弘禅
運輸大臣 山崎猛