臨時船舶建造調整法
法令番号: 法律第149号
公布年月日: 昭和28年8月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦後の商船隊再建のため、臨時船舶管理法による建造許可制度が実施されてきたが、同法の失効に伴い、新たな規制が必要となった。海運再建には巨額の財政・市中資金が投入され、政府は融資増率や利子補給等の支援を行っている。国際収支の均衡や経済の自立化のためには、商船隊の再建が不可欠である。そのため、国民経済の要請に適合した船舶建造を確保すべく、政府による調整権能を維持する必要がある。本法案では、国際航海に従事する500総トン以上の鋼製船舶の建造・改造に運輸大臣の許可を必要とし、4年間の時限立法として提案するものである。

参照した発言:
第16回国会 参議院 運輸委員会 第2号

審議経過

第16回国会

参議院
(昭和28年6月19日)
衆議院
(昭和28年6月23日)
参議院
(昭和28年6月30日)
衆議院
(昭和28年7月1日)
参議院
(昭和28年7月1日)
(昭和28年7月3日)
衆議院
(昭和28年7月6日)
(昭和28年7月7日)
参議院
(昭和28年7月29日)
(昭和28年7月30日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
臨時船舶建造調整法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年八月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十九号
臨時船舶建造調整法
(目的)
第一条 この法律は、臨時に船舶の建造についての調整を行い、もつてわが国の国際海運の健全な発展に資することを目的とする。
(建造の許可)
第二条 造船事業者が、総トン数五百トン以上又は長さ五十メートル以上の鋼製の船舶であつて、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の規定により遠洋区域又は近海区域の航行区域を定めることのできる構造を有するもののうち政令で定めるものの建造(政令で定める重要な改造を含む。以下同じ。)をしようとするときは、その建造の着手前に運輸大臣の許可を受けなければならない。
(許可の基準)
第三条 運輸大臣は、前条の許可の申請が、左の各号に掲げる基準に適合すると認めるときは、同条の許可をしなければならない。
一 当該船舶の建造によつてわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。
二 当該船舶を建造する造船事業者が、その船舶の建造に必要な技術及び設備を有していること。
2 前項第一号に掲げる基準の適用は、その判断の基礎となる事項につき、運輸大臣が海運造船合理化審議会にはかり、その意見を尊重して決定し、これに従つてしなければならない。
3 前項の規定により運輸大臣が決定した事項は、告示しなければならない。
(許可事項の変更)
第四条 第二条の許可を受けた者が、当該許可に係る船舶の設計のうち運輸省令で定める事項につき変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 前項の規定は、前条の承認をする場合に準用する。
(不服の申立)
第五条 この法律の規定による運輸大臣の処分に関して不服のある者は、運輸大臣に対し、不服の申立をすることができる。
(聴聞)
第六条 運輸大臣は、前条の不服の申立を受理したときは、その不服の申立をした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、聴聞の期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、不服の申立をした者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提出し、及び意見を述べる機会を与えなければならない。
4 運輸大臣は、前項の聴聞を行つた後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
(罰則)
第七条 第二条の規定による許可を受けないで、船舶の建造に着手した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 第四条の規定による承認を受けないで変更した設計に基き、当該変更部分の工事に着手した者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して、同条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内において政令で定める。
2 この法律は、昭和三十二年三月三十一日限り効力を失う。
3 第二条の規定は、この法律の施行の際現に建造に着手している船舶については、適用しない。
4 臨時船舶管理法(昭和十二年法律第九十三号)は、廃止する。
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十六号を次のように改める。
十六 船舶の製造及び改造を許可すること。
6 漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
第八条を次のように改める。
第八条 削除
農林大臣 保利茂
運輸大臣 石井光次郎
内閣総理大臣 吉田茂