屋外広告物法
法令番号: 法律第189号
公布年月日: 昭和24年6月3日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

明治44年制定の広告物取締法は、新憲法及び地方自治法の精神に照らして改正が必要なため、これを廃止し新法を制定する。現行法では広範な行政命令への委任を認めているが、国民の権利保障の観点から、制限態様を法律で明確化する。また広告物規制を国の事務から都道府県の固有事務とし、条例による取扱いに改める。ただし都道府県間で極端な差異が生じないよう、条例制定の基準を法律で明示する。さらに規制目的を美観風致の維持と公衆に対する危害防止に限定し、広告物の内容に関する制限は対象としない。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 建設委員会 第13号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年5月7日)
参議院
(昭和24年5月7日)
衆議院
(昭和24年5月11日)
(昭和24年5月12日)
(昭和24年5月12日)
参議院
(昭和24年5月13日)
(昭和24年5月16日)
衆議院
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
屋外廣告物法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十九号
屋外廣告物法
(目的)
第一條 この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外廣告物の表示の場所及び方法並びに屋外廣告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「屋外廣告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに廣告塔、廣告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
(廣告物等の制限)
第三條 都道府縣は、條例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、市(都の特別区を含む。)及び人口五千以上の市街的町村の区域について、屋外廣告物(以下「廣告物」という。)の表示及び廣告物を掲出する物件の設置を制限することができる。
2 前項に規定する市街的町村は、当該都道府縣の條例で定める。
第四條 都道府縣は、條例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる地域又は場所について、廣告物の表示及び廣告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
一 都市計画法(大正八年法律第三十六号)第十條第二項の規定により指定された風致地区
二 市街地建築物法(大正八年法律第三十七号)第二條第二項又は第十五條の規定により指定された住居專用地区又は美観地区
三 史蹟名勝天然紀念物保存法(大正八年法律第四十四号)第一條の規定により指定された地域
四 國宝保存法(昭和四年法律第十七号)第一條の規定により指定された建造物の周囲で、当該都道府縣が定める範囲内にある地域
五 森林法(明治四十年法律第四十三号)第十四條第九号の規定により保安林に編入された森林のある地域
六 道路、鉄道、軌道、索道又はこれらに接続する地域で、美観風致を維持するために必要があるものとして当該都道府縣が指定するもの
七 公園、緑地、古墳又は墓地
八 前各号に掲げるものの外、当該都道府縣が特に指定する地域又は場所
2 都道府縣は、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる物件に廣告物を表示し、若しくは廣告物を掲出する物件を設置することを禁止し、又は制限することができる。
一 橋りよう
二 街路樹及び路傍樹
三 銅像及び記念碑
四 前各号に掲げるものの外、当該都道府縣が特に指定する物件
第五條 都道府縣は、條例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、廣告物及びこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法について禁止又は制限をすることができる。
第六條 都道府縣は、條例で定めるところにより、公衆に対する危害を防止するために必要があると認めるときは、廣告物の表示及び廣告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
(違反に対する措置)
第七條 都道府縣知事は、條例で定めるところにより、前四條の規定に基く條例に違反した廣告物を表示し、若しくはこれに違反する廣告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者に対し、これらの除却その他美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な措置を命ずることができる。
(訴願)
第八條 この法律に基く條例に基いてした都道府縣知事の処分に対して不服のある者は、当該都道府縣知事に訴願を提起することができる。
(罰則)
第九條 第三條から第七條までの規定に基く條例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して九十日を経過した日から施行する。
2 廣告物取締法(明治四十四年法律第七十号)は、廃止する。
3 この法律施行前にした廣告物取締法に違反する行爲に対する罰則の適用に関しては、なお、從前の例による。
建設大臣 益谷秀次
内閣総理大臣 吉田茂
屋外広告物法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十九号
屋外広告物法
(目的)
第一条 この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所及び方法並びに屋外広告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
(広告物等の制限)
第三条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、市(都の特別区を含む。)及び人口五千以上の市街的町村の区域について、屋外広告物(以下「広告物」という。)の表示及び広告物を掲出する物件の設置を制限することができる。
2 前項に規定する市街的町村は、当該都道府県の条例で定める。
第四条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる地域又は場所について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
一 都市計画法(大正八年法律第三十六号)第十条第二項の規定により指定された風致地区
二 市街地建築物法(大正八年法律第三十七号)第二条第二項又は第十五条の規定により指定された住居専用地区又は美観地区
三 史跡名勝天然紀念物保存法(大正八年法律第四十四号)第一条の規定により指定された地域
四 国宝保存法(昭和四年法律第十七号)第一条の規定により指定された建造物の周囲で、当該都道府県が定める範囲内にある地域
五 森林法(明治四十年法律第四十三号)第十四条第九号の規定により保安林に編入された森林のある地域
六 道路、鉄道、軌道、索道又はこれらに接続する地域で、美観風致を維持するために必要があるものとして当該都道府県が指定するもの
七 公園、緑地、古墳又は墓地
八 前各号に掲げるものの外、当該都道府県が特に指定する地域又は場所
2 都道府県は、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる物件に広告物を表示し、若しくは広告物を掲出する物件を設置することを禁止し、又は制限することができる。
一 橋りよう
二 街路樹及び路傍樹
三 銅像及び記念碑
四 前各号に掲げるものの外、当該都道府県が特に指定する物件
第五条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、広告物及びこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法について禁止又は制限をすることができる。
第六条 都道府県は、条例で定めるところにより、公衆に対する危害を防止するために必要があると認めるときは、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
(違反に対する措置)
第七条 都道府県知事は、条例で定めるところにより、前四条の規定に基く条例に違反した広告物を表示し、若しくはこれに違反する広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者に対し、これらの除却その他美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な措置を命ずることができる。
(訴願)
第八条 この法律に基く条例に基いてした都道府県知事の処分に対して不服のある者は、当該都道府県知事に訴願を提起することができる。
(罰則)
第九条 第三条から第七条までの規定に基く条例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して九十日を経過した日から施行する。
2 広告物取締法(明治四十四年法律第七十号)は、廃止する。
3 この法律施行前にした広告物取締法に違反する行為に対する罰則の適用に関しては、なお、従前の例による。
建設大臣 益谷秀次
内閣総理大臣 吉田茂