福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
法令番号: 法律第三十八号
公布年月日: 平成5年5月6日
法令の形式: 法律
福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成五年五月六日
内閣総理大臣 宮澤喜一
法律第三十八号
福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
基本方針等(第三条―第六条)
第三章
指定法人(第七条―第十九条)
第四章
新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務(第二十条・第二十一条)
第五章
地方公共団体の講ずる措置等(第二十二条―第二十四条)
第六章
雑則(第二十五条―第二十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人及び心身障害者の自立の促進並びにこれらの者の介護を行う者の負担の軽減を図るため、福祉用具の研究開発及び普及を促進し、もってこれらの者の福祉の増進に寄与し、あわせて産業技術の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「福祉用具」とは、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人(以下単に「老人」という。)又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。
第二章 基本方針等
(基本方針)
第三条 厚生大臣及び通商産業大臣は、福祉用具の研究開発及び普及を促進するための措置に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
一 福祉用具の研究開発及び普及の動向に関する事項
二 福祉用具の研究開発及び普及の目標に関する事項
三 福祉用具の研究開発及び普及を促進するため講じようとする施策の基本となるべき事項
四 福祉用具の研究開発及び普及を促進するため第五条各項に規定する事業者及び施設の開設者が講ずべき措置に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する重要事項
3 厚生大臣及び通商産業大臣は、基本方針を定めるに当たっては、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境並びに福祉用具に係る技術の動向を十分に踏まえるとともに、福祉用具の研究開発と普及が相互に連携して行われるように留意しなければならない。
4 厚生大臣及び通商産業大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、この法律の目的を達成するために必要な福祉用具の研究開発及び普及の促進を図るための財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 地方公共団体は、福祉用具の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、福祉用具に対する国民の関心と理解を深めるように努めなければならない。
(事業者等の責務)
第五条 福祉用具の製造の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その製造する福祉用具の品質の向上及び利用者等からの苦情の適切な処理に努めなければならない。
2 福祉用具の販売又は賃貸の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その管理に係る福祉用具を衛生的に取り扱うとともに、福祉用具の利用者の相談に応じて、当該利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じた福祉用具を適切に利用できるように努めなければならない。
3 老人福祉施設、身体障害者更生施設その他の厚生省令で定める施設の開設者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びに当該施設の入所者等の心身の状況を踏まえ、必要な福祉用具の導入に努めなければならない。
(国有施設の使用)
第六条 国は、政令の定めるところにより、福祉用具の研究開発を行う者に国有の試験研究施設を使用させる場合において、福祉用具の研究開発を促進するため特に必要があると認めるときは、その使用の対価を時価よりも低く定めることができる。
第三章 指定法人
(指定等)
第七条 厚生大臣は、社会福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一に限り、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
2 厚生大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 指定法人は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生大臣に届け出なければならない。
4 厚生大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第八条 指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 次条第一項に規定する業務を行うこと。
二 福祉用具に係る情報であって老人及び必身障害者の福祉の増進に関するものの収集並びに次条第一項に規定する業務の対象となる者に対する当該情報の提供その他の援助を行うこと。
三 第五条第三項に規定する施設等における福祉用具の利用が老人及び心身障害者の心身の状況又はこれらの者の介護を行う者の負担に及ぼす効果に関する評価を行うこと。
四 都道府県の第二十三条に規定する措置の実施に関し、第二号の規定により収集した情報の提供その他の協力を行うこと。
五 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
(指定法人による助成業務の実施)
第九条 社会福祉・医療事業団は、第七条第一項の規定による指定がされたときは、社会福祉・医療事業団法(昭和五十九年法律第七十五号)第二十一条第一項第二号の二の規定による助成の業務のうち、福祉用具の研究開発及び普及に係るもの(以下「助成業務」という。)の全部又は一部を指定法人に行わせるものとする。
2 前項の規定により指定法人が行う助成業務に係る助成に関する基準は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、前項の厚生省令を定めようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(業務規程の認可)
第十条 指定法人は、助成業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 厚生大臣は、前項の認可をした業務規程が助成業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 業務規程に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
(事業計画等)
第十一条 指定法人は、毎事業年度、厚生省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定法人は、厚生省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(区分経理)
第十二条 指定法人は、助成業務を行う場合には、助成業務に係る経理とその他の経理とを区分して整理しなければならない。
(交付金)
第十三条 社会福祉・医療事業団は、予算の範囲内において、指定法人に対して、助成業務に必要な資金に充てるため、社会福祉・医療事業団法第三十三条の二第一項の基金の運用によって得られた収益の一部を交付金として交付することができる。
(厚生省令への委任)
第十四条 この章に定めるもののほか、指定法人が助成業務を行う場合における指定法人の財務及び会計に関し、必要な事項は、厚生省令で定める。
(解任命令)
第十五条 厚生大臣は、指定法人の役員が、この章の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、第十条第一項の認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第八条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定法人に対して、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の公務員たる地位)
第十六条 助成業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(報告及び検査)
第十七条 厚生大臣は、第八条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、指定法人に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち人り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第十八条 厚生大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、指定法人に対して、第八条に規定する業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第十九条 厚生大臣は、指定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、第七条第一項の規定による指定を取り消し、又は期間を定めて第八条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 指定に関し不正な行為があったとき。
二 この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。
三 第十条第一項の認可を受けた業務規程によらないで助成業務を行ったときその他第八条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
2 厚生大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第八条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
第四章 新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務
(新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務)
第二十条 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)は、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和五十五年法律第七十一号。以下「石油代替エネルギー法」という。)第三十九条第一項及び第二項に規定する業務のほか、福祉用具に関する産業技術の研究開発を促進するため、次の業務を行う。
一 産業技術の実用化に関する研究開発であって、福祉用具に係る技術の向上に資するものを助成すること。
二 福祉用具に関する産業技術に係る情報の収集及び前号の業務の対象となる者に対する当該情報の提供その他の援助を行うこと。
三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。
(石油代替エネルギー法等の特例)
第二十一条 前条の規定により機構の業務が行われる場合には、石油代替エネルギー法第四十一条第一項中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(以下「福祉用具法」という。)第二十条」と、石油代替エネルギー法第五十二条中「政令」とあるのは「政令並びに福祉用具法」と、石油代替エネルギー法第五十三条第二項及び第五十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は福祉用具法」と、石油代替エネルギー法第五十九条第三号中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び福祉用具法第二十条」とし、産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律(昭和六十三年法律第三十三号)第六条第一項中「第四条第一号、第二号及び第四号に掲げる業務」とあるのは「第四条第一号、第二号及び第四号に掲げる業務並びに福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律第二十条第一号及び第二号に掲げる業務」とする。
第五章 地方公共団体の講ずる措置等
(市町村の講ずる措置)
第二十二条 市町村は、福祉用具の利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じて、福祉用具を適切に利用できるよう、福祉用具に関する情報の提供、相談その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(都道府県の講ずる措置)
第二十三条 都道府県は、福祉用具に関する情報の提供及び相談のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うとともに、前条に規定する措置の実施に関し助言その他の援助を行うように努めなければならない。
(関係機関等との連携)
第二十四条 都道府県及び市町村は、前二条に規定する措置の実施に当たっては、関係機関及び関係団体等との連携に努めなければならない。
第六章 雑則
(指定法人及び機構の業務における配慮)
第二十五条 指定法人及び機構は、第八条及び第二十条に規定する業務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
(罰則)
第二十六条 第十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十七条 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(厚生省設置法の一部改正)
第三条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第六十五号中「及び民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)」を「、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)及び福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年法律第三十八号)」に改める。
第六条第五十七号の二の次に次の一号を加える。
五十七の三 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の定めるところにより、基本方針を定め、並びに同法の規定に基づき指定法人を指定し、及び指定法人に対し、認可、承認その他監督を行うこと。
(工業技術院設置法の一部改正)
第四条 工業技術院設置法(昭和二十三年法律第二百七号)の一部を次のように改正する。
第三条各号列記以外の部分中「左の通り」を「次のとおり」に、「基く」を「基づく」に改め、同条第六号中「の外」を「のほか」に改め、同号を同条第十号とし、同条第五号の三中「産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律」を「産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律」に改め、同号を同条第八号とし、同号の次に次の一号を加える。
九 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年法律第三十八号)の施行に関すること。
第三条第五号の二を同条第七号とし、同条第五号中「及び」を「、及び」に、「行なう」を「行う」に改め、同号を同条第六号とし、同条第四号の二中「基く」を「基づく」に改め、同号を同条第五号とする。
厚生大臣 丹羽雄哉
通商産業大臣 森喜朗
内閣総理大臣 宮澤喜一
福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
平成五年五月六日
内閣総理大臣 宮沢喜一
法律第三十八号
福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
基本方針等(第三条―第六条)
第三章
指定法人(第七条―第十九条)
第四章
新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務(第二十条・第二十一条)
第五章
地方公共団体の講ずる措置等(第二十二条―第二十四条)
第六章
雑則(第二十五条―第二十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人及び心身障害者の自立の促進並びにこれらの者の介護を行う者の負担の軽減を図るため、福祉用具の研究開発及び普及を促進し、もってこれらの者の福祉の増進に寄与し、あわせて産業技術の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「福祉用具」とは、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人(以下単に「老人」という。)又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。
第二章 基本方針等
(基本方針)
第三条 厚生大臣及び通商産業大臣は、福祉用具の研究開発及び普及を促進するための措置に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
一 福祉用具の研究開発及び普及の動向に関する事項
二 福祉用具の研究開発及び普及の目標に関する事項
三 福祉用具の研究開発及び普及を促進するため講じようとする施策の基本となるべき事項
四 福祉用具の研究開発及び普及を促進するため第五条各項に規定する事業者及び施設の開設者が講ずべき措置に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する重要事項
3 厚生大臣及び通商産業大臣は、基本方針を定めるに当たっては、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境並びに福祉用具に係る技術の動向を十分に踏まえるとともに、福祉用具の研究開発と普及が相互に連携して行われるように留意しなければならない。
4 厚生大臣及び通商産業大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、この法律の目的を達成するために必要な福祉用具の研究開発及び普及の促進を図るための財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 地方公共団体は、福祉用具の普及の促進を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、福祉用具に対する国民の関心と理解を深めるように努めなければならない。
(事業者等の責務)
第五条 福祉用具の製造の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その製造する福祉用具の品質の向上及び利用者等からの苦情の適切な処理に努めなければならない。
2 福祉用具の販売又は賃貸の事業を行う者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びにこれらの者の置かれている環境を踏まえ、その管理に係る福祉用具を衛生的に取り扱うとともに、福祉用具の利用者の相談に応じて、当該利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じた福祉用具を適切に利用できるように努めなければならない。
3 老人福祉施設、身体障害者更生施設その他の厚生省令で定める施設の開設者は、常に、老人及び心身障害者の心身の特性並びに当該施設の入所者等の心身の状況を踏まえ、必要な福祉用具の導入に努めなければならない。
(国有施設の使用)
第六条 国は、政令の定めるところにより、福祉用具の研究開発を行う者に国有の試験研究施設を使用させる場合において、福祉用具の研究開発を促進するため特に必要があると認めるときは、その使用の対価を時価よりも低く定めることができる。
第三章 指定法人
(指定等)
第七条 厚生大臣は、社会福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一に限り、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
2 厚生大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 指定法人は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生大臣に届け出なければならない。
4 厚生大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第八条 指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 次条第一項に規定する業務を行うこと。
二 福祉用具に係る情報であって老人及び必身障害者の福祉の増進に関するものの収集並びに次条第一項に規定する業務の対象となる者に対する当該情報の提供その他の援助を行うこと。
三 第五条第三項に規定する施設等における福祉用具の利用が老人及び心身障害者の心身の状況又はこれらの者の介護を行う者の負担に及ぼす効果に関する評価を行うこと。
四 都道府県の第二十三条に規定する措置の実施に関し、第二号の規定により収集した情報の提供その他の協力を行うこと。
五 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
(指定法人による助成業務の実施)
第九条 社会福祉・医療事業団は、第七条第一項の規定による指定がされたときは、社会福祉・医療事業団法(昭和五十九年法律第七十五号)第二十一条第一項第二号の二の規定による助成の業務のうち、福祉用具の研究開発及び普及に係るもの(以下「助成業務」という。)の全部又は一部を指定法人に行わせるものとする。
2 前項の規定により指定法人が行う助成業務に係る助成に関する基準は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、前項の厚生省令を定めようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(業務規程の認可)
第十条 指定法人は、助成業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 厚生大臣は、前項の認可をした業務規程が助成業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 業務規程に記載すべき事項は、厚生省令で定める。
(事業計画等)
第十一条 指定法人は、毎事業年度、厚生省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定法人は、厚生省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(区分経理)
第十二条 指定法人は、助成業務を行う場合には、助成業務に係る経理とその他の経理とを区分して整理しなければならない。
(交付金)
第十三条 社会福祉・医療事業団は、予算の範囲内において、指定法人に対して、助成業務に必要な資金に充てるため、社会福祉・医療事業団法第三十三条の二第一項の基金の運用によって得られた収益の一部を交付金として交付することができる。
(厚生省令への委任)
第十四条 この章に定めるもののほか、指定法人が助成業務を行う場合における指定法人の財務及び会計に関し、必要な事項は、厚生省令で定める。
(解任命令)
第十五条 厚生大臣は、指定法人の役員が、この章の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、第十条第一項の認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第八条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定法人に対して、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の公務員たる地位)
第十六条 助成業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(報告及び検査)
第十七条 厚生大臣は、第八条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、指定法人に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち人り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第十八条 厚生大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、指定法人に対して、第八条に規定する業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第十九条 厚生大臣は、指定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、第七条第一項の規定による指定を取り消し、又は期間を定めて第八条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 指定に関し不正な行為があったとき。
二 この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。
三 第十条第一項の認可を受けた業務規程によらないで助成業務を行ったときその他第八条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
2 厚生大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第八条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
第四章 新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務
(新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務)
第二十条 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)は、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和五十五年法律第七十一号。以下「石油代替エネルギー法」という。)第三十九条第一項及び第二項に規定する業務のほか、福祉用具に関する産業技術の研究開発を促進するため、次の業務を行う。
一 産業技術の実用化に関する研究開発であって、福祉用具に係る技術の向上に資するものを助成すること。
二 福祉用具に関する産業技術に係る情報の収集及び前号の業務の対象となる者に対する当該情報の提供その他の援助を行うこと。
三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。
(石油代替エネルギー法等の特例)
第二十一条 前条の規定により機構の業務が行われる場合には、石油代替エネルギー法第四十一条第一項中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(以下「福祉用具法」という。)第二十条」と、石油代替エネルギー法第五十二条中「政令」とあるのは「政令並びに福祉用具法」と、石油代替エネルギー法第五十三条第二項及び第五十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は福祉用具法」と、石油代替エネルギー法第五十九条第三号中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び福祉用具法第二十条」とし、産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律(昭和六十三年法律第三十三号)第六条第一項中「第四条第一号、第二号及び第四号に掲げる業務」とあるのは「第四条第一号、第二号及び第四号に掲げる業務並びに福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律第二十条第一号及び第二号に掲げる業務」とする。
第五章 地方公共団体の講ずる措置等
(市町村の講ずる措置)
第二十二条 市町村は、福祉用具の利用者がその心身の状況及びその置かれている環境に応じて、福祉用具を適切に利用できるよう、福祉用具に関する情報の提供、相談その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(都道府県の講ずる措置)
第二十三条 都道府県は、福祉用具に関する情報の提供及び相談のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うとともに、前条に規定する措置の実施に関し助言その他の援助を行うように努めなければならない。
(関係機関等との連携)
第二十四条 都道府県及び市町村は、前二条に規定する措置の実施に当たっては、関係機関及び関係団体等との連携に努めなければならない。
第六章 雑則
(指定法人及び機構の業務における配慮)
第二十五条 指定法人及び機構は、第八条及び第二十条に規定する業務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
(罰則)
第二十六条 第十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十七条 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(厚生省設置法の一部改正)
第三条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第六十五号中「及び民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)」を「、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)及び福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年法律第三十八号)」に改める。
第六条第五十七号の二の次に次の一号を加える。
五十七の三 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の定めるところにより、基本方針を定め、並びに同法の規定に基づき指定法人を指定し、及び指定法人に対し、認可、承認その他監督を行うこと。
(工業技術院設置法の一部改正)
第四条 工業技術院設置法(昭和二十三年法律第二百七号)の一部を次のように改正する。
第三条各号列記以外の部分中「左の通り」を「次のとおり」に、「基く」を「基づく」に改め、同条第六号中「の外」を「のほか」に改め、同号を同条第十号とし、同条第五号の三中「産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律」を「産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律」に改め、同号を同条第八号とし、同号の次に次の一号を加える。
九 福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(平成五年法律第三十八号)の施行に関すること。
第三条第五号の二を同条第七号とし、同条第五号中「及び」を「、及び」に、「行なう」を「行う」に改め、同号を同条第六号とし、同条第四号の二中「基く」を「基づく」に改め、同号を同条第五号とする。
厚生大臣 丹羽雄哉
通商産業大臣 森喜朗
内閣総理大臣 宮沢喜一