朝鮮銀行法
法令番号: 法律第四十八號
公布年月日: 明治44年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル朝鮮銀行法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十四年三月二十八日
內閣總理大臣兼大藏大臣 侯爵 桂太郞
法律第四十八號
朝鮮銀行法
第一章 總則
第一條 朝鮮銀行ハ株式會社トシ其ノ本店ヲ朝鮮京城ニ置ク
第二條 朝鮮銀行ハ朝鮮總督ノ認可ヲ受ケ支店代理店ヲ設置シ又ハ他ノ銀行ト「コルレスポンデンス」ヲ締約スルコトヲ得
朝鮮總督ハ必要アリト認ムルトキハ支店代理店ノ設置ヲ命スルコトヲ得
第三條 朝鮮銀行ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第四條 朝鮮銀行ノ資本金ハ一千萬圓トシ之ヲ十萬株ニ分チ一株ノ金額ヲ百圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ資本金ヲ增加スルコトヲ得
第五條 朝鮮銀行ノ株券ハ記名式トス
帝國臣民ニ非サレハ朝鮮銀行ノ株主ト爲ルコトヲ得ス
第六條 政府ハ朝鮮銀行ノ株式中三萬株ヲ引受クルモノトス
政府ハ前項ノ規定ニ依リ引受ケタル株式ヲ離權スルコトヲ得ス
第二章 重役
第七條 朝鮮銀行ニ總裁一人理事三人以上監事二人以上ヲ置ク
第八條 總裁ハ朝鮮銀行ヲ代表シ其ノ事務ヲ總理ス
總裁事故アルトキハ理事中一人其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ總裁ヲ補佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ朝鮮銀行ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ朝鮮銀行ノ業務ヲ監査ス
第九條 總裁ハ政府之ヲ命シ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ百株以上ヲ有スル株主中ヨリ株主總會ニ於テ選擧シタル二倍ノ候補者中ヨリ朝鮮總督之ヲ命シ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ五十株以上ヲ有スル株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
第十條 總裁及理事ハ何等ノ名稱ヲ以テスルニ拘ラス他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ス但シ朝鮮總督ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三章 株主總會
第十一條 通常株主總會ハ定款ニ定メタル時期ニ於テ總裁之ヲ招集ス
第十二條 臨時株主總會ハ臨時必要アルトキ總裁之ヲ招集ス
第十三條 監事ノ全員又ハ資本ノ五分ノ一以上ニ當ル株主ハ會議ノ目的タル事項ヲ示シテ臨時株主總會ノ招集ヲ總裁ニ請求スルコトヲ得
總裁前項ノ請求ヲ受ケタルトキハ臨時株主總會ヲ招集スヘシ
第十四條 株主ノ議決權ハ一株ニ付一箇トス但シ十一株以上ハ十株ヲ增ス每ニ一箇ヲ加フ
第十五條 株主ハ株主ニ非サル者ヲ代理人トシ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得ス但シ法定代理人ハ此ノ限ニ在ラス
第十六條 定款ノ變更ハ資本ノ半額以上ニ當ル株主出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第四章 營業
第十七條 朝鮮銀行ハ左ノ業務ヲ營ムモノトス
一 爲替手形其ノ他商業手形ノ割引
二 平常取引スル諸會社銀行又ハ商人ノ爲手形金ノ取立
三 爲替及荷爲替
四 確實ナル擔保アル貸付
五 諸預リ金及當座貸越勘定
六 金銀貨、貴金屬及諸證券ノ保護預リ
七 地金銀ノ賣買及貨幣ノ交換
前項ノ外營業ノ都合ニ依リ國債證券、地方債證券其ノ他朝鮮總督ノ指定スル確實ナル有價證券ノ買入ヲ爲スコトヲ得
第十八條 朝鮮銀行ハ前條ニ揭クルモノノ外朝鮮總督ノ認可ヲ受ケ左ノ業務ヲ營ムコトヲ得
一 公共團體ニ對スル無擔保貸付
二 他銀行ノ業務代理
第十九條 朝鮮銀行ハ營業ノ爲必要ナル物件ヲ取得シ又ハ債務辨濟ノ爲物件ヲ引受クル場合ヲ除クノ外動產及不動產ヲ所有スルコトヲ得ス
第二十條 朝鮮銀行ハ本法ニ記載セサル業務ヲ營ムコトヲ得ス但シ朝鮮總督ノ命令ニ基ク場合ハ此ノ限ニ在ラス
第五章 銀行券
第二十一條 朝鮮銀行ハ銀行券ヲ發行スルコトヲ得但シ銀行券ノ樣式及種類ニ關シテハ朝鮮總督ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ銀行券ハ朝鮮銀行ノ本店及支店ニ於テ營業時間中何時ニテモ金貨又ハ日本銀行兌換券ト引換フルモノトス但シ支店ニ於テハ本店ヨリ準備金ノ到達スヘキ時間其ノ引換ヲ延期スルコトヲ得
第二十二條 朝鮮銀行ハ銀行券發行高ニ對シ同額ノ金貨、地金銀又ハ日本銀行兌換券ヲ置キ其ノ仕拂準備ニ充ツヘシ但シ銀地金ハ仕拂準備總額ノ四分ノ一ヲ超過スルコトヲ得ス
前項ノ仕拂準備ニ依ルノ外朝鮮銀行ハ特ニ三千萬圓ヲ限リ國債證券其ノ他確實ナル證券又ハ商業手形ヲ保證トシテ銀行券ヲ發行スルコトヲ得
前二項ニ規定スルモノノ外市場ノ狀況ニ依リ銀行券ノ發行ヲ必要トスルトキハ朝鮮總督ノ認可ヲ受ケ國債證券其ノ他確實ナル證券又ハ商業手形ヲ保證トシテ其ノ發行ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ政府ノ命スル所ニ依リ其ノ發行高ニ對シ一年百分ノ五ヲ下ラサル割合ヲ以テ發行稅ヲ納ムヘシ
第二十三條 朝鮮銀行ノ發行スル銀行券ハ朝鮮總督ノ管轄地域內ニ於テ無制限ニ通用スルモノトス
第二十四條 朝鮮銀行ハ銀行券ノ發行額及仕拂準備ニ關スル每週平均高表ヲ官報ニ公吿スヘシ
第二十五條 銀行券ノ製造、發行、損券引換及銷却等ノ手續ハ朝鮮總督之ヲ定ム
第六章 積立金及納付金
第二十六條 朝鮮銀行ハ每營業年度ニ於テ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配當ノ平均ヲ得セシムル爲利益ノ百分ノ二以上ヲ積立ツヘシ
第二十七條 株主ニ對シ配當シ得ヘキ利益金額カ拂込資本ニ對シ一年百分ノ十二ノ割合ヲ超過スルトキハ朝鮮銀行ハ該超過額ノ二分ノ一ヲ政府ニ納付スヘシ
第七章 政府ノ監督及補助
第二十八條 政府ハ朝鮮銀行ノ業務ヲ監督ス
第二十九條 朝鮮銀行ハ其ノ定款ヲ變更セムトスルトキハ朝鮮總督ノ認可ヲ受クヘシ
第三十條 朝鮮銀行ハ株主ニ配當金ヲ分配セムトスルトキハ朝鮮總督ノ認可ヲ受クヘシ
第三十一條 朝鮮總督ハ必要アリト認ムルトキハ銀行券ノ種類、發行高、貸付割引ノ金額方法利子若ハ步合、爲替料又ハ正貨準備若ハ保證準備ニ關シ制限ヲ付スルコトヲ得
第三十二條 朝鮮銀行ノ營業上法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル事項アリト認ムルトキハ朝鮮總督ハ之ヲ制止スルコトヲ得
第三十三條 朝鮮銀行ハ朝鮮總督ノ定ムル所ニ依リ其ノ營業ニ關スル諸般ノ景況及計算ノ報吿書ヲ差出スヘシ
第三十四條 朝鮮總督ハ特ニ朝鮮銀行監理官ヲ置キ朝鮮銀行ノ業務ヲ監視セシム
第三十五條 朝鮮銀行監理官ハ何時ニテモ朝鮮銀行ノ金庫帳簿及諸般ノ文書ヲ檢査スルコトヲ得
朝鮮銀行監理官ハ監視上必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ朝鮮銀行ニ命シ營業上諸般ノ計算及景況ヲ報吿セシムルコトヲ得
朝鮮銀行監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得但シ議決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第三十六條 朝鮮銀行ノ利益配當金ニシテ政府持株以外ノ株式ニ對シ每營業年度ニ於テ一年百分ノ六ノ割合ニ達スル迄ハ政府持株ニ配當ヲ爲スコトヲ要セス
第三十七條 朝鮮銀行ノ利益配當金ニシテ政府持株以外ノ株式ニ對シ每營業年度ニ於テ一年百分ノ六ノ割合ニ達セサルトキハ政府ハ創立初期ノ末日ヨリ五年ヲ限リ之ニ達スル金額ヲ補給ス
第八章 罰則
第三十八條 朝鮮銀行ニ於テ左ノ事犯アルトキハ總裁又ハ總裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事ヲ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス其ノ事犯ニシテ理事ノ分擔業務ニ係ルトキハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同シ
一 第十九條、第二十條、第二十二條第一項又ハ第二十六條ノ規定ニ違反シタルトキ
二 本法ニ依リ認可ヲ受クヘキ事項ニ關シ其ノ認可ヲ受ケサルトキ
第三十九條 朝鮮銀行ノ總裁又ハ總裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事第十一條又ハ第十三條第二項ノ規定ニ違反シ株主總會ヲ招集セサルトキハ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十條 朝鮮銀行ノ總裁又ハ理事第十條ノ規定ニ違反シタルトキハ二十圓以上二百圓以下ノ過料ニ處ス
第四十一條 前三條ノ過料ニ關シテハ非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ニ依ル
附 則
第四十二條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三條 舊韓國隆煕三年法律第二十二號ニ依ル韓國銀行ハ朝鮮銀行ト稱シ韓國銀行設立ノ日ニ於テ本法ニ依リ設立シタルモノト看做シ韓國銀行ノ爲シタル行爲ハ朝鮮銀行ノ爲シタルモノト看做ス
韓國銀行ニ付爲シタル登記ハ朝鮮銀行ニ付爲シタル登記ト看做シ登記簿ニ於ケル銀行ノ名稱ハ當然變更セラレタルモノトス
第四十四條 韓國銀行ノ總裁、理事及監事ハ朝鮮銀行ノ總裁、理事及監事トシテ就職シタルモノト看做ス
第四十五條 韓國銀行ノ發行シタル韓國銀行券及其ノ發行ト看做シタル株式會社第一銀行ノ銀行券ハ朝鮮銀行ニ於テ發行シタルモノト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル朝鮮銀行法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十四年三月二十八日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵 桂太郎
法律第四十八号
朝鮮銀行法
第一章 総則
第一条 朝鮮銀行ハ株式会社トシ其ノ本店ヲ朝鮮京城ニ置ク
第二条 朝鮮銀行ハ朝鮮総督ノ認可ヲ受ケ支店代理店ヲ設置シ又ハ他ノ銀行ト「コルレスポンデンス」ヲ締約スルコトヲ得
朝鮮総督ハ必要アリト認ムルトキハ支店代理店ノ設置ヲ命スルコトヲ得
第三条 朝鮮銀行ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第四条 朝鮮銀行ノ資本金ハ一千万円トシ之ヲ十万株ニ分チ一株ノ金額ヲ百円トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ資本金ヲ増加スルコトヲ得
第五条 朝鮮銀行ノ株券ハ記名式トス
帝国臣民ニ非サレハ朝鮮銀行ノ株主ト為ルコトヲ得ス
第六条 政府ハ朝鮮銀行ノ株式中三万株ヲ引受クルモノトス
政府ハ前項ノ規定ニ依リ引受ケタル株式ヲ離権スルコトヲ得ス
第二章 重役
第七条 朝鮮銀行ニ総裁一人理事三人以上監事二人以上ヲ置ク
第八条 総裁ハ朝鮮銀行ヲ代表シ其ノ事務ヲ総理ス
総裁事故アルトキハ理事中一人其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ総裁ヲ補佐シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ朝鮮銀行ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ朝鮮銀行ノ業務ヲ監査ス
第九条 総裁ハ政府之ヲ命シ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ百株以上ヲ有スル株主中ヨリ株主総会ニ於テ選挙シタル二倍ノ候補者中ヨリ朝鮮総督之ヲ命シ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ五十株以上ヲ有スル株主中ヨリ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
第十条 総裁及理事ハ何等ノ名称ヲ以テスルニ拘ラス他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ス但シ朝鮮総督ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三章 株主総会
第十一条 通常株主総会ハ定款ニ定メタル時期ニ於テ総裁之ヲ招集ス
第十二条 臨時株主総会ハ臨時必要アルトキ総裁之ヲ招集ス
第十三条 監事ノ全員又ハ資本ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ハ会議ノ目的タル事項ヲ示シテ臨時株主総会ノ招集ヲ総裁ニ請求スルコトヲ得
総裁前項ノ請求ヲ受ケタルトキハ臨時株主総会ヲ招集スヘシ
第十四条 株主ノ議決権ハ一株ニ付一箇トス但シ十一株以上ハ十株ヲ増ス毎ニ一箇ヲ加フ
第十五条 株主ハ株主ニ非サル者ヲ代理人トシ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得ス但シ法定代理人ハ此ノ限ニ在ラス
第十六条 定款ノ変更ハ資本ノ半額以上ニ当ル株主出席シ其ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第四章 営業
第十七条 朝鮮銀行ハ左ノ業務ヲ営ムモノトス
一 為替手形其ノ他商業手形ノ割引
二 平常取引スル諸会社銀行又ハ商人ノ為手形金ノ取立
三 為替及荷為替
四 確実ナル担保アル貸付
五 諸預リ金及当座貸越勘定
六 金銀貨、貴金属及諸証券ノ保護預リ
七 地金銀ノ売買及貨幣ノ交換
前項ノ外営業ノ都合ニ依リ国債証券、地方債証券其ノ他朝鮮総督ノ指定スル確実ナル有価証券ノ買入ヲ為スコトヲ得
第十八条 朝鮮銀行ハ前条ニ掲クルモノノ外朝鮮総督ノ認可ヲ受ケ左ノ業務ヲ営ムコトヲ得
一 公共団体ニ対スル無担保貸付
二 他銀行ノ業務代理
第十九条 朝鮮銀行ハ営業ノ為必要ナル物件ヲ取得シ又ハ債務弁済ノ為物件ヲ引受クル場合ヲ除クノ外動産及不動産ヲ所有スルコトヲ得ス
第二十条 朝鮮銀行ハ本法ニ記載セサル業務ヲ営ムコトヲ得ス但シ朝鮮総督ノ命令ニ基ク場合ハ此ノ限ニ在ラス
第五章 銀行券
第二十一条 朝鮮銀行ハ銀行券ヲ発行スルコトヲ得但シ銀行券ノ様式及種類ニ関シテハ朝鮮総督ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ銀行券ハ朝鮮銀行ノ本店及支店ニ於テ営業時間中何時ニテモ金貨又ハ日本銀行兌換券ト引換フルモノトス但シ支店ニ於テハ本店ヨリ準備金ノ到達スヘキ時間其ノ引換ヲ延期スルコトヲ得
第二十二条 朝鮮銀行ハ銀行券発行高ニ対シ同額ノ金貨、地金銀又ハ日本銀行兌換券ヲ置キ其ノ仕払準備ニ充ツヘシ但シ銀地金ハ仕払準備総額ノ四分ノ一ヲ超過スルコトヲ得ス
前項ノ仕払準備ニ依ルノ外朝鮮銀行ハ特ニ三千万円ヲ限リ国債証券其ノ他確実ナル証券又ハ商業手形ヲ保証トシテ銀行券ヲ発行スルコトヲ得
前二項ニ規定スルモノノ外市場ノ状況ニ依リ銀行券ノ発行ヲ必要トスルトキハ朝鮮総督ノ認可ヲ受ケ国債証券其ノ他確実ナル証券又ハ商業手形ヲ保証トシテ其ノ発行ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ政府ノ命スル所ニ依リ其ノ発行高ニ対シ一年百分ノ五ヲ下ラサル割合ヲ以テ発行税ヲ納ムヘシ
第二十三条 朝鮮銀行ノ発行スル銀行券ハ朝鮮総督ノ管轄地域内ニ於テ無制限ニ通用スルモノトス
第二十四条 朝鮮銀行ハ銀行券ノ発行額及仕払準備ニ関スル毎週平均高表ヲ官報ニ公告スヘシ
第二十五条 銀行券ノ製造、発行、損券引換及銷却等ノ手続ハ朝鮮総督之ヲ定ム
第六章 積立金及納付金
第二十六条 朝鮮銀行ハ毎営業年度ニ於テ資本ノ欠損ヲ補フ為利益ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利益配当ノ平均ヲ得セシムル為利益ノ百分ノ二以上ヲ積立ツヘシ
第二十七条 株主ニ対シ配当シ得ヘキ利益金額カ払込資本ニ対シ一年百分ノ十二ノ割合ヲ超過スルトキハ朝鮮銀行ハ該超過額ノ二分ノ一ヲ政府ニ納付スヘシ
第七章 政府ノ監督及補助
第二十八条 政府ハ朝鮮銀行ノ業務ヲ監督ス
第二十九条 朝鮮銀行ハ其ノ定款ヲ変更セムトスルトキハ朝鮮総督ノ認可ヲ受クヘシ
第三十条 朝鮮銀行ハ株主ニ配当金ヲ分配セムトスルトキハ朝鮮総督ノ認可ヲ受クヘシ
第三十一条 朝鮮総督ハ必要アリト認ムルトキハ銀行券ノ種類、発行高、貸付割引ノ金額方法利子若ハ歩合、為替料又ハ正貨準備若ハ保証準備ニ関シ制限ヲ付スルコトヲ得
第三十二条 朝鮮銀行ノ営業上法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル事項アリト認ムルトキハ朝鮮総督ハ之ヲ制止スルコトヲ得
第三十三条 朝鮮銀行ハ朝鮮総督ノ定ムル所ニ依リ其ノ営業ニ関スル諸般ノ景況及計算ノ報告書ヲ差出スヘシ
第三十四条 朝鮮総督ハ特ニ朝鮮銀行監理官ヲ置キ朝鮮銀行ノ業務ヲ監視セシム
第三十五条 朝鮮銀行監理官ハ何時ニテモ朝鮮銀行ノ金庫帳簿及諸般ノ文書ヲ検査スルコトヲ得
朝鮮銀行監理官ハ監視上必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ朝鮮銀行ニ命シ営業上諸般ノ計算及景況ヲ報告セシムルコトヲ得
朝鮮銀行監理官ハ株主総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得但シ議決ノ数ニ加ハルコトヲ得ス
第三十六条 朝鮮銀行ノ利益配当金ニシテ政府持株以外ノ株式ニ対シ毎営業年度ニ於テ一年百分ノ六ノ割合ニ達スル迄ハ政府持株ニ配当ヲ為スコトヲ要セス
第三十七条 朝鮮銀行ノ利益配当金ニシテ政府持株以外ノ株式ニ対シ毎営業年度ニ於テ一年百分ノ六ノ割合ニ達セサルトキハ政府ハ創立初期ノ末日ヨリ五年ヲ限リ之ニ達スル金額ヲ補給ス
第八章 罰則
第三十八条 朝鮮銀行ニ於テ左ノ事犯アルトキハ総裁又ハ総裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事ヲ百円以上千円以下ノ過料ニ処ス其ノ事犯ニシテ理事ノ分担業務ニ係ルトキハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同シ
一 第十九条、第二十条、第二十二条第一項又ハ第二十六条ノ規定ニ違反シタルトキ
二 本法ニ依リ認可ヲ受クヘキ事項ニ関シ其ノ認可ヲ受ケサルトキ
第三十九条 朝鮮銀行ノ総裁又ハ総裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理事第十一条又ハ第十三条第二項ノ規定ニ違反シ株主総会ヲ招集セサルトキハ百円以上千円以下ノ過料ニ処ス
第四十条 朝鮮銀行ノ総裁又ハ理事第十条ノ規定ニ違反シタルトキハ二十円以上二百円以下ノ過料ニ処ス
第四十一条 前三条ノ過料ニ関シテハ非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ニ依ル
附 則
第四十二条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三条 旧韓国隆煕三年法律第二十二号ニ依ル韓国銀行ハ朝鮮銀行ト称シ韓国銀行設立ノ日ニ於テ本法ニ依リ設立シタルモノト看做シ韓国銀行ノ為シタル行為ハ朝鮮銀行ノ為シタルモノト看做ス
韓国銀行ニ付為シタル登記ハ朝鮮銀行ニ付為シタル登記ト看做シ登記簿ニ於ケル銀行ノ名称ハ当然変更セラレタルモノトス
第四十四条 韓国銀行ノ総裁、理事及監事ハ朝鮮銀行ノ総裁、理事及監事トシテ就職シタルモノト看做ス
第四十五条 韓国銀行ノ発行シタル韓国銀行券及其ノ発行ト看做シタル株式会社第一銀行ノ銀行券ハ朝鮮銀行ニ於テ発行シタルモノト看做ス