日本銀行法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百九十一号
公布年月日: 昭和24年6月3日
法令の形式: 法律
日本銀行法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十一号
日本銀行法の一部を改正する法律
日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第九條第一項第四号の次に次の一号を加える。
四ノ二 政策委員会ニ関スル事項
第一章の次に次の一章を加える。
第一章ノ二 政策委員会
第十三條ノ二 日本銀行ニ政策委員会ヲ置ク政策委員会ハ第十三條ノ三第一号ニ規定スル日本銀行ノ業務ノ運営、中央銀行トシテノ日本銀行ノ機能及他ノ金融機関トノ契約関係ニ関スル基本的ナル通貨信用ノ調節其ノ他ノ金融政策ヲ國民経済ノ要請ニ適合スル如ク作成シ指示シ又ハ監督スルコトヲ任務トス
第十三條ノ三 政策委員会ハ左ノ事項ヲ掌ル
一 第二章ニ規定スル職員ニ依リ行ハルル日本銀行ノ業務ノ運営ニ関スル基本方針ノ決定
二 第二十條第一号ノ割引歩合及同條第二号ノ貸付利子歩合ノ決定及変更
三 第二十條第一号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ割引ク手形ノ種類及條件並ニ同條第二号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ爲ス貸付ノ担保ノ種類、條件及價額ノ決定及変更
四 國内金融機関、外國銀行、商社、法人又ハ個人トノ間ニ於テ第二十條第五号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ賣買スル電信爲替、銀行引受手形、爲替手形及有價証券ニ付行フ公開市場操作ニ於ケル種類、條件及價額並ニ開始及停止ノ時期ノ決定及変更
五 臨時金利調整法第二條ノ規定ニ依ル金利ノ最高限度ノ決定、変更又ハ廃止
六 日本銀行ト契約関係ヲ有スル金融機関ノ日本銀行預ケ金ニ付テノ割合ノ変更
七 銀行(日本銀行ヲ除ク)、信託会社、保險会社、無盡会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫其ノ他貯金ノ受入ヲ爲ス組合ノ証券業者(証券取引法第二條第九項ニ規定スル証券業者ヲ謂フ)ニ対スル貸付及投資並ニ貸付ノ担保ノ種類、條件及價額ノ限度ニ関スル統制ノ決定及変更
八 日本銀行ノ経費ノ予算、資産ノ評價、決算其ノ他経理ニ関スル事項ノ決定
九 前各号ニ掲グルモノノ外法律又ハ契約関係ニ依リ政策委員会ニ委任セラレタル信用ノ調整ニ関スル政策事項及金融機関ノ檢査
十 左ニ掲グル事項ニ関シ主務大臣ヲ経由シテ行フ國会ニ対スル毎年ノ報告
イ 金融機関ノ状態及運営
ロ 必要ナル法律ノ改正
ハ 当該年中ニ於ケル監督政策ノ変更
ニ 実施シタル政策及其ノ理由
第十三條ノ四 政策委員会ハ委員七人ヲ以テ組織ス
委員ハ左ニ掲グル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 日本銀行総裁
二 大藏省ヲ代表スル者一人
三 経済安定本部ヲ代表スル者一人
四 金融業ニ関シ優レタル経驗ト識見ヲ有スル者二人 内一人ハ地方銀行ニ関シ経驗ト識見ヲ有スル者トシ他ノ一人ハ大都市銀行ニ関シ経驗ト識見ヲ有スル者トス
五 商業及工業ニ関シ優レタル経驗ト識見ヲ有スル者一人
六 農業ニ関シ優レタル経驗ト識見ヲ有スル者一人
前項第四号乃至第六号ニ掲グル委員(以下任命委員ト称ス)ハ両議院ノ同意ヲ得テ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
任命委員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル委員ト看做ス
任命委員ノ給與其ノ他政策委員会ノ経費ハ日本銀行ノ負担トス
第十三條ノ五 任命委員ノ任期ハ四年トス但シ補欠ノ任命委員ノ任期ハ前任者ノ残任期間トス
委員ハ再任サルルコトヲ得
第一項ノ規定ニカカハラズ任命委員ハ國会ノ閉会又ハ衆議院ノ解散ノ場合ニ於テ任期満了シタルトキハ其ノ後最初ニ開カルル國会ニ於テ両議院ノ同意ヲ得テ内閣ガ任命委員ヲ命ズル迄ノ間ナホ在任スルモノトス
四年ノ任期ヲ満了セザル任命委員ハ退職後二年間政策委員会ニ依リテ監督サルル金融機関ニ地位ヲ占ムルコトヲ得ズ
第十三條ノ六 任命委員ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除キ在任中其ノ意ニ反シテ罷免セラルルコトナシ
一 禁治産、準禁治産又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ
二 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
三 心身ノ故障ニ因リ職務ノ遂行ニ堪ヘザルモノト内閣ニ於テ認メタルトキ
四 職務上ノ義務ニ違反シ委員ニ適セザルモノト内閣ニ於テ認メタルトキ
前項各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ内閣ハ当該任命委員ヲ罷免スベシ
第十三條ノ七 政策委員会ニ議長ヲ置ク
議長ハ政策委員会ガ設置セラレ又ハ議長ガ欠ケタル後三十日以内ニ委員ノ互選ニ依リ之ヲ定ム当該期間中ニ議長決定セザルトキハ内閣ハ委員中ヨリ議長ヲ指名スベシ
議長ハ政策委員会ノ会務ヲ総理シ之ヲ代表ス
第十三條ノ八 第十三條ノ四第二項第二号及第三号ニ掲グル委員ハ政策委員会ニ於テ議決権ヲ有セズ
政策委員会ノ議事ハ議決権ヲ有スル委員ノ過半数ヲ以テ決ス
第十三條ノ九 任命委員ハ在任中左ノ各号ノ一ニ該当スル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
一 國会若ハ地方公共團体ノ議会ノ議員其ノ他公選ニ依ル公職ノ候補者ト爲リ又ハ積極的ニ政治活動ヲ爲スコト
二 内閣ノ許可アル場合ヲ除クノ外報酬アル他ノ職務ニ從事スルコト
三 商業ヲ営ミ其ノ他金銭上ノ利益ヲ目的トスル業務ヲ行フコト
第十五條第一項中「其ノ業務ヲ総理ス」を「政策委員会ノ定ムル方策ニ從ヒ其ノ業務一般ヲ執行ス」に改め、同條第三項中「掌理ス」を「執行ス」に改める。
第二十條第五号中「又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券」を「其ノ他ノ債券」に改める。
第二十一條第一項中「主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」を「公告スベシ」に改め、同條第二項を削る。
第三十二條第二項第四号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券」を「其ノ他ノ債券」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 政策委員会の第一期の任命委員の任命については、國会閉会中の場合に限り第十三條ノ四第三項の規定にかかわらず任命後最初に開かれる國会において両議院の承認を得れば足りる。
3 内閣は、前項の規定による両議院の承認が得られないときは、その委員を罷免しなければならない。
4 政策委員会の第一期の任命委員の任期は、第十三條ノ五第一項本文の規定にかかわらず、そのうち一人については一年、一人については二年、一人については三年とする。
5 前項に規定する各委員の任期は、内閣が指定する。
6 政策委員会の第一期の任命委員の任命は、この法律の公布の日から六十日以内にしなければならない。
7 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
第二條、第三條及び第六條中「日本銀行総裁」を「日本銀行政策委員会」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大藏大臣 池田勇人
日本銀行法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月三日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十一号
日本銀行法の一部を改正する法律
日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項第四号の次に次の一号を加える。
四ノ二 政策委員会ニ関スル事項
第一章の次に次の一章を加える。
第一章ノ二 政策委員会
第十三条ノ二 日本銀行ニ政策委員会ヲ置ク政策委員会ハ第十三条ノ三第一号ニ規定スル日本銀行ノ業務ノ運営、中央銀行トシテノ日本銀行ノ機能及他ノ金融機関トノ契約関係ニ関スル基本的ナル通貨信用ノ調節其ノ他ノ金融政策ヲ国民経済ノ要請ニ適合スル如ク作成シ指示シ又ハ監督スルコトヲ任務トス
第十三条ノ三 政策委員会ハ左ノ事項ヲ掌ル
一 第二章ニ規定スル職員ニ依リ行ハルル日本銀行ノ業務ノ運営ニ関スル基本方針ノ決定
二 第二十条第一号ノ割引歩合及同条第二号ノ貸付利子歩合ノ決定及変更
三 第二十条第一号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ割引ク手形ノ種類及条件並ニ同条第二号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ為ス貸付ノ担保ノ種類、条件及価額ノ決定及変更
四 国内金融機関、外国銀行、商社、法人又ハ個人トノ間ニ於テ第二十条第五号ノ規定ニ依リ日本銀行ノ売買スル電信為替、銀行引受手形、為替手形及有価証券ニ付行フ公開市場操作ニ於ケル種類、条件及価額並ニ開始及停止ノ時期ノ決定及変更
五 臨時金利調整法第二条ノ規定ニ依ル金利ノ最高限度ノ決定、変更又ハ廃止
六 日本銀行ト契約関係ヲ有スル金融機関ノ日本銀行預ケ金ニ付テノ割合ノ変更
七 銀行(日本銀行ヲ除ク)、信託会社、保険会社、無尽会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫其ノ他貯金ノ受入ヲ為ス組合ノ証券業者(証券取引法第二条第九項ニ規定スル証券業者ヲ謂フ)ニ対スル貸付及投資並ニ貸付ノ担保ノ種類、条件及価額ノ限度ニ関スル統制ノ決定及変更
八 日本銀行ノ経費ノ予算、資産ノ評価、決算其ノ他経理ニ関スル事項ノ決定
九 前各号ニ掲グルモノノ外法律又ハ契約関係ニ依リ政策委員会ニ委任セラレタル信用ノ調整ニ関スル政策事項及金融機関ノ検査
十 左ニ掲グル事項ニ関シ主務大臣ヲ経由シテ行フ国会ニ対スル毎年ノ報告
イ 金融機関ノ状態及運営
ロ 必要ナル法律ノ改正
ハ 当該年中ニ於ケル監督政策ノ変更
ニ 実施シタル政策及其ノ理由
第十三条ノ四 政策委員会ハ委員七人ヲ以テ組織ス
委員ハ左ニ掲グル者ヲ以テ之ニ充ツ
一 日本銀行総裁
二 大蔵省ヲ代表スル者一人
三 経済安定本部ヲ代表スル者一人
四 金融業ニ関シ優レタル経験ト識見ヲ有スル者二人 内一人ハ地方銀行ニ関シ経験ト識見ヲ有スル者トシ他ノ一人ハ大都市銀行ニ関シ経験ト識見ヲ有スル者トス
五 商業及工業ニ関シ優レタル経験ト識見ヲ有スル者一人
六 農業ニ関シ優レタル経験ト識見ヲ有スル者一人
前項第四号乃至第六号ニ掲グル委員(以下任命委員ト称ス)ハ両議院ノ同意ヲ得テ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
任命委員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル委員ト看做ス
任命委員ノ給与其ノ他政策委員会ノ経費ハ日本銀行ノ負担トス
第十三条ノ五 任命委員ノ任期ハ四年トス但シ補欠ノ任命委員ノ任期ハ前任者ノ残任期間トス
委員ハ再任サルルコトヲ得
第一項ノ規定ニカカハラズ任命委員ハ国会ノ閉会又ハ衆議院ノ解散ノ場合ニ於テ任期満了シタルトキハ其ノ後最初ニ開カルル国会ニ於テ両議院ノ同意ヲ得テ内閣ガ任命委員ヲ命ズル迄ノ間ナホ在任スルモノトス
四年ノ任期ヲ満了セザル任命委員ハ退職後二年間政策委員会ニ依リテ監督サルル金融機関ニ地位ヲ占ムルコトヲ得ズ
第十三条ノ六 任命委員ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ヲ除キ在任中其ノ意ニ反シテ罷免セラルルコトナシ
一 禁治産、準禁治産又ハ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ
二 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
三 心身ノ故障ニ因リ職務ノ遂行ニ堪ヘザルモノト内閣ニ於テ認メタルトキ
四 職務上ノ義務ニ違反シ委員ニ適セザルモノト内閣ニ於テ認メタルトキ
前項各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ内閣ハ当該任命委員ヲ罷免スベシ
第十三条ノ七 政策委員会ニ議長ヲ置ク
議長ハ政策委員会ガ設置セラレ又ハ議長ガ欠ケタル後三十日以内ニ委員ノ互選ニ依リ之ヲ定ム当該期間中ニ議長決定セザルトキハ内閣ハ委員中ヨリ議長ヲ指名スベシ
議長ハ政策委員会ノ会務ヲ総理シ之ヲ代表ス
第十三条ノ八 第十三条ノ四第二項第二号及第三号ニ掲グル委員ハ政策委員会ニ於テ議決権ヲ有セズ
政策委員会ノ議事ハ議決権ヲ有スル委員ノ過半数ヲ以テ決ス
第十三条ノ九 任命委員ハ在任中左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為スコトヲ得ズ
一 国会若ハ地方公共団体ノ議会ノ議員其ノ他公選ニ依ル公職ノ候補者ト為リ又ハ積極的ニ政治活動ヲ為スコト
二 内閣ノ許可アル場合ヲ除クノ外報酬アル他ノ職務ニ従事スルコト
三 商業ヲ営ミ其ノ他金銭上ノ利益ヲ目的トスル業務ヲ行フコト
第十五条第一項中「其ノ業務ヲ総理ス」を「政策委員会ノ定ムル方策ニ従ヒ其ノ業務一般ヲ執行ス」に改め、同条第三項中「掌理ス」を「執行ス」に改める。
第二十条第五号中「又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券」を「其ノ他ノ債券」に改める。
第二十一条第一項中「主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」を「公告スベシ」に改め、同条第二項を削る。
第三十二条第二項第四号中「主務大臣ノ認可ヲ受ケタル債券」を「其ノ他ノ債券」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 政策委員会の第一期の任命委員の任命については、国会閉会中の場合に限り第十三条ノ四第三項の規定にかかわらず任命後最初に開かれる国会において両議院の承認を得れば足りる。
3 内閣は、前項の規定による両議院の承認が得られないときは、その委員を罷免しなければならない。
4 政策委員会の第一期の任命委員の任期は、第十三条ノ五第一項本文の規定にかかわらず、そのうち一人については一年、一人については二年、一人については三年とする。
5 前項に規定する各委員の任期は、内閣が指定する。
6 政策委員会の第一期の任命委員の任命は、この法律の公布の日から六十日以内にしなければならない。
7 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
第二条、第三条及び第六条中「日本銀行総裁」を「日本銀行政策委員会」に改める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人