樺太庁官制
法令番号: 勅令第百九十八號
公布年月日: 大正7年6月6日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ樺太廳官制改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年六月五日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
勅令第百九十八號
樺太廳官制
第一條 樺太ニ樺太廳ヲ置ク
第二條 樺太廳ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
部長 專任三人 奏任
事務官 專任三人 奏任
支廠長 專任五人 奏任
技師 專任二人 奏任
視學
警部
技手
通譯
專任百一人 判任
稅務吏 專任二十五人 判任
森林主事 專任三十人 判任
警部補 專任十人 判任
第三條 長官ハ內閣總理大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ管理ス但シ郵便電信及電話ニ關スル事務ニ付テハ遞信大臣、貨幣銀行及關稅ニ關スル事務ニ付テハ大藏大臣ノ監督ヲ承ク
第四條 長官ハ其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ廳令ヲ發シ之ニ二月以下ノ懲役、禁錮若ハ拘留又ハ七十圓以下ノ罰金若ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五條 長官ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲兵備ヲ要スルトキハ師團長ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第六條 長官ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ高等官ノ功過ハ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ行フ
第七條 長官ハ所部ノ高等官ノ懲戒ヲ內閣總理大臣ニ具狀シ判任官以下ノ懲戒ハ之ヲ行フ
第八條 長官ハ所轄官廳ノ命令又ハ處分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ處分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第九條 長官事故アルトキハ官等ノ順序ニ從ヒ部長其ノ職務ヲ代理ス
長官及部長共ニ事故アルトキハ內閣總理大臣ニ於テ他ノ高等官ノ一人ヲシテ長官ノ職務ヲ代理セシム
長官ハ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十條 長官ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ所轄官廳ニ委任スルコトヲ得
第十一條 樺太廳ニ長官官房及左ノ三部ヲ置ク
內務部
拓殖部
警察部
長官官房及各部ノ事務分掌ハ內閣總理大臣ノ認可ヲ經テ長官之ヲ定ム
第十二條 樺太廳管內須要ノ地ニ樺太廳支廳ヲ置ク其ノ名稱、位置及管轄區域ハ內閣總理大臣ノ認可ヲ經テ長官之ヲ定ム
第十三條 部長ハ長官ノ命ヲ承ケ所部ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十四條 警察部長ハ事務ノ執行ニ關シ長官ノ命ヲ承ケ警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第十五條 事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
第十六條 支廳長ハ長官ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十七條 支廳長ハ法律命令ニ依リ又ハ長官ヨリ委任セラレタル事件ニ付支廳令ヲ發スルコトヲ得
第十八條 支廳長事故アルトキハ其ノ廳勤務ノ上席屬其ノ職務ヲ代理ス
第十九條 支廳長ハ其ノ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第二十條 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第二十一條 屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十二條 視學ハ上官ノ指揮ヲ承ケ學事ニ關スル視察及事務ニ從事ス
第二十三條 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衞生ノ事務ニ從事シ部下ノ警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第二十四條 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第二十五條 通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ通譯ニ從事ス
第二十六條 稅務吏ハ上官ノ指揮ヲ承ケ稅務ニ從事ス
第二十七條 森林主事ハ上官ノ指揮ヲ承ケ營林及林野保護ノ事務ニ從事ス
第二十八條 警部補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衞生ノ事務ニ從事シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十九條 長官ハ支廳ノ事務ヲ分掌セシムル爲支廳出張所ヲ置クコトヲ得其ノ名稱、位置及管轄區域ハ長官之ヲ定ム
第三十條 支廳出張所長ハ屬ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮監督ヲ承ケ所務ヲ掌理ス
第三十一條 樺太廳管內須要ノ地ニ警察署ヲ置ク
長官ハ必要ト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
警察署及警察分署ノ名稱、位置及管轄區域ハ長官之ヲ定ム
第三十二條 警察署長又ハ警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ但シ警察分署長ハ警部補ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
警察署長及警察分署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ部內ノ警察及衞生ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第三十三條 樺太廳ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ關スル規定ハ別ニ定ムル所ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正五年勅令第六十二號及大正五年勅令第二百四十六號ハ之ヲ廢止ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ樺太庁官制改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正七年六月五日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
勅令第百九十八号
樺太庁官制
第一条 樺太ニ樺太庁ヲ置ク
第二条 樺太庁ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
部長 専任三人 奏任
事務官 専任三人 奏任
支廠長 専任五人 奏任
技師 専任二人 奏任
視学
警部
技手
通訳
専任百一人 判任
税務吏 専任二十五人 判任
森林主事 専任三十人 判任
警部補 専任十人 判任
第三条 長官ハ内閣総理大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政事務ヲ管理ス但シ郵便電信及電話ニ関スル事務ニ付テハ逓信大臣、貨幣銀行及関税ニ関スル事務ニ付テハ大蔵大臣ノ監督ヲ承ク
第四条 長官ハ其ノ職権又ハ特別ノ委任ニ依リ庁令ヲ発シ之ニ二月以下ノ懲役、禁錮若ハ拘留又ハ七十円以下ノ罰金若ハ科料ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第五条 長官ハ非常急変ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ為兵備ヲ要スルトキハ師団長ニ移牒シテ出兵ヲ請フコトヲ得
第六条 長官ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ高等官ノ功過ハ内閣総理大臣ニ具状シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ行フ
第七条 長官ハ所部ノ高等官ノ懲戒ヲ内閣総理大臣ニ具状シ判任官以下ノ懲戒ハ之ヲ行フ
第八条 長官ハ所轄官庁ノ命令又ハ処分ニシテ成規ニ違ヒ、公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ命令又ハ処分ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第九条 長官事故アルトキハ官等ノ順序ニ従ヒ部長其ノ職務ヲ代理ス
長官及部長共ニ事故アルトキハ内閣総理大臣ニ於テ他ノ高等官ノ一人ヲシテ長官ノ職務ヲ代理セシム
長官ハ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十条 長官ハ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ所轄官庁ニ委任スルコトヲ得
第十一条 樺太庁ニ長官官房及左ノ三部ヲ置ク
内務部
拓殖部
警察部
長官官房及各部ノ事務分掌ハ内閣総理大臣ノ認可ヲ経テ長官之ヲ定ム
第十二条 樺太庁管内須要ノ地ニ樺太庁支庁ヲ置ク其ノ名称、位置及管轄区域ハ内閣総理大臣ノ認可ヲ経テ長官之ヲ定ム
第十三条 部長ハ長官ノ命ヲ承ケ所部ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十四条 警察部長ハ事務ノ執行ニ関シ長官ノ命ヲ承ケ警部、警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第十五条 事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
第十六条 支庁長ハ長官ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十七条 支庁長ハ法律命令ニ依リ又ハ長官ヨリ委任セラレタル事件ニ付支庁令ヲ発スルコトヲ得
第十八条 支庁長事故アルトキハ其ノ庁勤務ノ上席属其ノ職務ヲ代理ス
第十九条 支庁長ハ其ノ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第二十条 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第二十一条 属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二十二条 視学ハ上官ノ指揮ヲ承ケ学事ニ関スル視察及事務ニ従事ス
第二十三条 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衛生ノ事務ニ従事シ部下ノ警部補及巡査ヲ指揮監督ス
第二十四条 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第二十五条 通訳ハ上官ノ指揮ヲ承ケ通訳ニ従事ス
第二十六条 税務吏ハ上官ノ指揮ヲ承ケ税務ニ従事ス
第二十七条 森林主事ハ上官ノ指揮ヲ承ケ営林及林野保護ノ事務ニ従事ス
第二十八条 警部補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察及衛生ノ事務ニ従事シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十九条 長官ハ支庁ノ事務ヲ分掌セシムル為支庁出張所ヲ置クコトヲ得其ノ名称、位置及管轄区域ハ長官之ヲ定ム
第三十条 支庁出張所長ハ属ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮監督ヲ承ケ所務ヲ掌理ス
第三十一条 樺太庁管内須要ノ地ニ警察署ヲ置ク
長官ハ必要ト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
警察署及警察分署ノ名称、位置及管轄区域ハ長官之ヲ定ム
第三十二条 警察署長又ハ警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ但シ警察分署長ハ警部補ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
警察署長及警察分署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ部内ノ警察及衛生ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第三十三条 樺太庁ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ関スル規定ハ別ニ定ムル所ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正五年勅令第六十二号及大正五年勅令第二百四十六号ハ之ヲ廃止ス