朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ樺太廳官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年三月十四日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
內務大臣 原敬
勅令第三十三號
樺太廳官制
第一條 樺太廳ニ左ノ職員ヲ置ク
長官
事務官
警視
支廳長
技師
通譯官
警部
技手
通譯
第二條 長官ハ勅任トス
長官ハ樺太守備隊司令官タル陸軍將官ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第三條 事務官ハ專任四人奏任トス但シ其ノ中一人ハ勅任ト爲スコトヲ得
第四條 警視ハ專任一人奏任トス
第五條 支廳長ハ專任三人奏任トス
第六條 技師ハ專任六人ヲ以テ定員トス
第七條 通譯官ハ專任一人奏任トス
第八條 屬、警部及通譯ハ判任トス
屬、警部、技手及通譯ハ通シテ百十六人ヲ以テ定員トシ其ノ各官ノ定員ハ長官之ヲ定ム
第九條 長官ハ內務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部內ノ行政事務ヲ管理ス但シ郵便電信及電話ニ關スル事務ニ付テハ遞信大臣、銀行及關稅ニ關スル事務ニ付テハ大藏大臣ノ監督ヲ承ク
第十條 長官ハ其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ廳令ヲ發シ之ニ禁錮二十五日以下又ハ罰金二十五圓以內ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第十一條 長官ハ非常急變ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ爲兵備ヲ要スルトキハ樺太守備隊司令官ニ移牒シ出兵ヲ請フコトヲ得
第十二條 長官ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ高等官ノ功過ハ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退懲戒ハ之ヲ行フ
第十三條 長官ハ所轄官廳ノ處分又ハ命令ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分又ハ命令ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第十四條 長官事故アルトキハ第一部長タル事務官其ノ職務ヲ代理ス
長官及第一部長タル事務官共ニ事故アルトキハ內務大臣ニ於テ他ノ事務官ノ一人ヲシテ長官ノ職務ヲ代理セシム
長官ハ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十五條 長官ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ支廳長ニ委任スルコトヲ得
第十六條 樺太廳ニ長官官房及第一部第二部ヲ置キ事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
長官官房
一 官吏ノ進退及身分ニ關スル事項
二 文書ノ徃復及記錄編纂ニ關スル事項
三 官印廳印ノ管守ニ關スル事項
四 褒賞ニ關スル事項
五 會計ニ關スル事項
六 外國人ニ關スル事項
第一部
一 敎育ニ關スル事項
二 商工業水產漁獵ニ關スル事項
三 警察及衞生ニ關スル事項
四 氣象測候ニ關スル事項
五 他部ノ主掌ニ屬セサル事項
第二部
一 拓殖ニ關スル事項
二 土木ニ關スル事項
三 鑛山森林農業牧畜ニ關スル事項
長官ハ內務大臣ノ認可ヲ經テ前項事務ノ分掌ヲ變更スルコトヲ得
第十七條 部長ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ長官ノ命ヲ承ケ部下ノ官吏ヲ指揮監督シ所部ノ事務ヲ掌理ス
第十八條 部長事故アルトキハ長官ニ於テ廳官吏ノ一人ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第十九條 第一部長タル事務官ハ長官ヲ佐ケ廳務ヲ整理シ官房及各部ノ事務ヲ監督ス
第二十條 部長ニ充テラレサル事務官ハ長官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
長官ハ事務官ノ一人ヲシテ審議立案ヲ掌ラシムルコトヲ得
第二十一條 支廳長ハ長官ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部內ニ執行シ部內ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第二十二條 支廳長ハ法律命令ニ依リ又ハ長官ヨリ委任セラレタル事件ニ付支廳令ヲ發スルコトヲ得
第二十三條 支廳長事故アルトキハ其ノ廳勤務ノ上席屬又ハ警部其ノ職務ヲ代理ス
第二十四條 支廳長ハ其ノ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第二十五條 警視ハ第一部ニ屬シ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ部ノ事務ヲ分掌ス
第二十六條 通譯官ハ上官ノ命ヲ承ケ翻譯通辯ヲ掌ル
第二十七條 屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十八條 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察事務ヲ分掌シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十九條 通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻譯通辯ニ從事ス
第三十條 樺太廳管內ニ樺太廳支廳ヲ置ク其ノ位置、名稱及管轄區域ハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ長官之ヲ定ム
第三十一條 長官必要ト認ムルトキハ支廳ノ下ニ支廳出張所ヲ置クコトヲ得其ノ位置、名稱及管轄區域ハ長官之ヲ定ム
支廳出張所長ハ屬又ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
第三十二條 樺太廳ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ關スル規定ハ別ニ定ムル所ニ依ル
附 則
本令ハ明治四十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ樺太庁官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十年三月十四日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
内務大臣 原敬
勅令第三十三号
樺太庁官制
第一条 樺太庁ニ左ノ職員ヲ置ク
長官
事務官
警視
支庁長
技師
通訳官
警部
技手
通訳
第二条 長官ハ勅任トス
長官ハ樺太守備隊司令官タル陸軍将官ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第三条 事務官ハ専任四人奏任トス但シ其ノ中一人ハ勅任ト為スコトヲ得
第四条 警視ハ専任一人奏任トス
第五条 支庁長ハ専任三人奏任トス
第六条 技師ハ専任六人ヲ以テ定員トス
第七条 通訳官ハ専任一人奏任トス
第八条 属、警部及通訳ハ判任トス
属、警部、技手及通訳ハ通シテ百十六人ヲ以テ定員トシ其ノ各官ノ定員ハ長官之ヲ定ム
第九条 長官ハ内務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ執行シ部内ノ行政事務ヲ管理ス但シ郵便電信及電話ニ関スル事務ニ付テハ逓信大臣、銀行及関税ニ関スル事務ニ付テハ大蔵大臣ノ監督ヲ承ク
第十条 長官ハ其ノ職権又ハ特別ノ委任ニ依リ庁令ヲ発シ之ニ禁錮二十五日以下又ハ罰金二十五円以内ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第十一条 長官ハ非常急変ノ場合ニ臨ミ兵力ヲ要シ又ハ警護ノ為兵備ヲ要スルトキハ樺太守備隊司令官ニ移牒シ出兵ヲ請フコトヲ得
第十二条 長官ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ高等官ノ功過ハ内務大臣ニ具状シ判任官以下ノ進退懲戒ハ之ヲ行フ
第十三条 長官ハ所轄官庁ノ処分又ハ命令ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ処分又ハ命令ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第十四条 長官事故アルトキハ第一部長タル事務官其ノ職務ヲ代理ス
長官及第一部長タル事務官共ニ事故アルトキハ内務大臣ニ於テ他ノ事務官ノ一人ヲシテ長官ノ職務ヲ代理セシム
長官ハ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十五条 長官ハ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ支庁長ニ委任スルコトヲ得
第十六条 樺太庁ニ長官官房及第一部第二部ヲ置キ事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
長官官房
一 官吏ノ進退及身分ニ関スル事項
二 文書ノ徃復及記録編纂ニ関スル事項
三 官印庁印ノ管守ニ関スル事項
四 褒賞ニ関スル事項
五 会計ニ関スル事項
六 外国人ニ関スル事項
第一部
一 教育ニ関スル事項
二 商工業水産漁猟ニ関スル事項
三 警察及衛生ニ関スル事項
四 気象測候ニ関スル事項
五 他部ノ主掌ニ属セサル事項
第二部
一 拓殖ニ関スル事項
二 土木ニ関スル事項
三 鉱山森林農業牧畜ニ関スル事項
長官ハ内務大臣ノ認可ヲ経テ前項事務ノ分掌ヲ変更スルコトヲ得
第十七条 部長ハ事務官ヲ以テ之ニ充ツ長官ノ命ヲ承ケ部下ノ官吏ヲ指揮監督シ所部ノ事務ヲ掌理ス
第十八条 部長事故アルトキハ長官ニ於テ庁官吏ノ一人ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第十九条 第一部長タル事務官ハ長官ヲ佐ケ庁務ヲ整理シ官房及各部ノ事務ヲ監督ス
第二十条 部長ニ充テラレサル事務官ハ長官ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス
長官ハ事務官ノ一人ヲシテ審議立案ヲ掌ラシムルコトヲ得
第二十一条 支庁長ハ長官ノ指揮監督ヲ承ケ法律命令ヲ部内ニ執行シ部内ノ行政事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第二十二条 支庁長ハ法律命令ニ依リ又ハ長官ヨリ委任セラレタル事件ニ付支庁令ヲ発スルコトヲ得
第二十三条 支庁長事故アルトキハ其ノ庁勤務ノ上席属又ハ警部其ノ職務ヲ代理ス
第二十四条 支庁長ハ其ノ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第二十五条 警視ハ第一部ニ属シ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ部ノ事務ヲ分掌ス
第二十六条 通訳官ハ上官ノ命ヲ承ケ翻訳通弁ヲ掌ル
第二十七条 属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二十八条 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察事務ヲ分掌シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十九条 通訳ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻訳通弁ニ従事ス
第三十条 樺太庁管内ニ樺太庁支庁ヲ置ク其ノ位置、名称及管轄区域ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ長官之ヲ定ム
第三十一条 長官必要ト認ムルトキハ支庁ノ下ニ支庁出張所ヲ置クコトヲ得其ノ位置、名称及管轄区域ハ長官之ヲ定ム
支庁出張所長ハ属又ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
第三十二条 樺太庁ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ関スル規定ハ別ニ定ムル所ニ依ル
附 則
本令ハ明治四十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス