(卸売業務の許可)
第十五条 中央卸売市場において卸売の業務を行なおうとする者は、農林大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、農林省令で定める市場(以下この章において単に「市場」という。)及び農林省令で定める取扱品目の部類(以下この章において単に「取扱品目の部類」という。)ごとに行なう。
(許可の申請)
第十六条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を開設者を経由して農林大臣に提出しなければならない。
二 法人である場合にあつては、資本又は出資の額及び役員の氏名
三 前条第一項の許可を受けて卸売の業務を行なおうとする市場及び取扱品目
2 開設者は、前項の申請書を受理したときは、遅滞なく、申請者が当該中央卸売市場において卸売の業務を行なうことについての意見を附して、その申請書を農林大臣に進達しなければならない。
3 第一項の申請書には、農林省令で定める書類を添附しなければならない。
(許可の基準)
第十七条 農林大臣は、第十五条第一項の許可の申請が次の各号の一に該当するときは、同項の許可をしてはならない。
二 申請者が、禁錮以上の刑に処せられた者又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過しないものであるとき。
三 申請者が、第四十九条第一項の規定による許可の取消しを受け、その取消しの日から起算して三年を経過しない者であるとき。
四 申請者が、第四十九条第一項第二号の規定による許可の取消しを受けた法人のその処分を受ける原因となつた事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員として在任した者(当該事項の発生を防止するため相当の努力をした者でその旨を疎明したものを除く。)又は同項第三号の規定による解任の命令を受けた法人の当該命令により解任されるべきものとされた者で、これらの処分の日から起算して三年を経過しないものであるとき。
五 申請者が法人であつてその業務を執行する役員のうちに前各号の一に該当する者があるものであるとき。
六 申請者が中央卸売市場における卸売の業務を適確に遂行することができる知識及び経験を有する者でないとき。
七 申請者の純資産額がその申請に係る取扱品目の部類につき第十九条第一項の規定により定められた純資産基準額(その者が他の取扱品目の部類について第十五条第一項の許可を受けているか又はその申請をしている場合にあつては、当該取扱品目の部類及び当該他の取扱品目の部類について第十九条第一項の規定により定められた純資産基準額を合算した額)を下つているとき。
八 業務規程で中央卸売市場において卸売の業務を行なう者の数の最高限度が定められている場合にあつては、その許可をすることによつて第十五条第一項の許可を受けた者(以下この章において「卸売業者」という。)の数が当該最高限度をこえることとなるとき。
2 農林大臣は、第十五条第一項の許可の申請が次の各号の一に該当するときは、同項の許可をしないことができる。
一 申請者が、第二十五条第二項の規定による許可の取消しを受け、その取消しの日から起算して一年を経過しない者であるとき。
二 申請者が当該中央卸売市場において卸売の業務を開始するときは、当該中央卸売市場の卸売業者の間において過度の競争が行なわれ、その結果当該中央卸売市場における卸売の業務の適正かつ健全な運営が阻害されるおそれがあると認められるとき。
3 第一項第七号の純資産額は、資産の合計金額から負債の合計金額を控除して得た額とし、農林省令で定めるところにより計算するものとする。
(処分の手続)
第十八条 農林大臣は、第十五条第一項の許可又は許可の拒否の処分をしようとするときは、開設者の意見を尊重しなければならない。
(純資産額)
第十九条 卸売業者の純資産基準額は、取扱品目の部類ごとに、中央卸売市場の業務の規模、卸売の業務を行なう者の数の最高限度その他の事情を考慮して、農林大臣が定める。
2 農林大臣は、卸売業者の純資産額が、その者が卸売の業務を行なう取扱品目の部類について前項の規定により定められた純資産基準額(その者が卸売の業務を行なう取扱品目の部類が二以上ある場合にあつては、その各取扱品目の部類について同項の規定により定められた純資産基準額を合算した額)を下つていることが明らかとなつたときは、当該卸売業者に対し、中央卸売市場における卸売の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
3 農林大臣は、前項の規定による処分の日から起算して六月以内に、当該処分を受けた者から農林省令で定めるところによりその純資産額が同項に規定する純資産基準額以上の額となつた旨の申出があつた場合において、その申出を相当と認めるときは、遅滞なく、その処分を取り消さなければならない。
4 農林大臣は、第二項の規定による処分をした場合において、その処分を受けた者から前項の期間内に同項の申出がないとき、又は当該期間内に当該申出があつても農林大臣がこれを相当と認めることができないとき(当該期間内に二以上の申出があつたときは、その申出のすべてについて農林大臣が相当と認めることができないとき)は、当該期間経過後遅滞なく、その者に係る第十五条第一項の許可を取り消さなければならない。
5 農林大臣は、第二項又は前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分の相手方に対し、相当な期間を置いたうえ、期日、場所及び処分の原因となつた理由を通知して公開による聴聞を行ない、その者又はその代理人が証拠を提示し、意見を陳述する機会を与えなければならない。
6 第十七条第三項の規定は、第二項及び第三項の純資産額について準用する。
第二十条 卸売業者は、農林省令で定めるところにより、毎年二回、農林大臣に対し、その純資産額を報告しなければならない。
2 第十七条第三項の規定は、前項の純資産額について準用する。
(営業の譲渡し及び譲受け並びに合併)
第二十一条 卸売業者が営業(中央卸売市場における卸売の業務に係るものに限る。)の譲渡しをする場合において、譲渡人及び譲受人が譲渡し及び譲受けについて農林大臣の認可を受けたときは、譲受人は、卸売業者の地位を承継する。
2 卸売業者たる法人の合併の場合(卸売業者たる法人と卸売業者でない法人が合併して卸売業者たる法人が存続する場合を除く。)において、当該合併について農林大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、卸売業者の地位を承継する。
3 第一項又は前項の認可を受けようとする者は、農林省令で定めるところにより、開設者を経由して申請書を農林大臣に提出しなければならない。
4 第十六条第二項及び第三項、第十七条並びに第十八条の規定は、第一項又は第二項の認可について準用する。この場合において、第十六条第二項中「前項の申請書」とあるのは「第二十一条第三項の申請書」と、「申請者」とあるのは「その申請に係る譲受人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人」と、同条第三項中「第一項の申請書」とあるのは「第二十一条第三項の申請書」と、第十七条第一項及び第二項中「第十五条第一項の許可の申請」とあるのは「第二十一条第一項又は第二項の認可の申請」と、「申請者」とあるのは「その申請に係る譲受人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人」と、第十八条中「第十五条第一項の許可又は許可の拒否の処分」とあるのは「第二十一条第一項若しくは第二項の認可又は認可の拒否の処分」と読み替えるものとする。
5 第二十九条第一項の認可を受けた営業の譲受けに係る営業の譲渡し及び譲受けは、第一項の規定の適用については、同項の認可を受けた営業の譲渡し及び譲受けとみなし、同条第一項の認可を受けた合併は、第二項の規定の適用については、同項の認可を受けた合併とみなす。
(相続)
第二十二条 卸売業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その協議により当該卸売業者の中央卸売市場における卸売の業務を承継すべき相続人を定めたときは、その者)が被相続人の行なつていた中央卸売市場における卸売の業務を引き続き営もうとするときは、被相続人の死亡後六十日以内に、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 相続人が前項の認可の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその認可があつた旨又はその認可をしない旨の通知を受ける日までの間は、被相続人に対してした第十五条第一項の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3 第一項の認可を受けようとする者は、農林省令で定めるところにより、開設者を経由して申請書を農林大臣に提出しなければならない。
4 第十六条第二項及び第三項、第十七条並びに第十八条の規定は、第一項の認可について準用する。この場合において、第十六条第二項中「前項の申請書」とあり、又は同条第三項中「第一項の申請書」とあるのは「第二十二条第三項の申請書」と、第十七条第一項及び第二項中「第十五条第一項の許可の申請」とあるのは「第二十二条第一項の認可の申請」と、第十八条中「第十五条第一項の許可又は許可の拒否の処分」とあるのは「第二十二条第一項の認可又は認可の拒否の処分」と読み替えるものとする。
5 第一項の認可を受けた者は、卸売業者の地位を承継する。
(兼業業務等の届出)
第二十三条 卸売業者は、中央卸売市場における卸売の業務及びこれに附帯する業務以外の業務(以下この項及び次条において「兼業業務」という。)を営もうとするときは、農林省令で定めるところにより、その兼業業務に関する事業計画を添附し、その旨を開設者を経由して農林大臣に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
2 卸売業者は、他の法人に対する支配関係(他の法人に対する関係で、卸売業者がその法人の発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価額の総額の二分の一以上に相当する数又は額の株式又は出資を所有する関係その他その法人の事業活動を実質的に支配することが可能なものとして農林省令で定める関係をいう。以下同じ。)を持つに至つたときは、農林省令で定めるところにより、その旨を開設者を経由して農林大臣に届け出なければならない。その届け出た事項に変更を生じたときも、同様とする。
(名称変更等の届出)
第二十四条 卸売業者は、次の各号の一に該当するときは、遅滞なく、その旨を開設者を経由して農林大臣に届け出なければならない。
一 第十五条第一項の許可に係る卸売の業務を開始し、休止し、又は再開したとき。
二 第十五条第一項の許可に係る卸売の業務を廃止したとき。
三 第十六条第一項第一号又は第二号に掲げる事項に変更があつたとき。
五 他の法人に対する支配関係の全部がなくなつたとき。
(許可の取消し)
第二十五条 農林大臣は、卸売業者が第十七条第一項第一号又は第二号のいずれかに規定する者に該当することとなつたとき(卸売業者が法人である場合において、その業務を執行する役員のうちにこれらの各号のいずれかに規定する者に該当する者があることとなつたときを含む。)は、第十五条第一項の許可を取り消さなければならない。
2 農林大臣は、卸売業者が次の各号の一に該当するときは、第十五条第一項の許可を取り消すことができる。
一 正当な理由がないのに第十五条第一項の許可の通知を受けた日から起算して一月以内に中央卸売市場における卸売の業務を開始しないとき。
二 正当な理由がないのに引き続き一月以上中央卸売市場における卸売の業務を休止したとき。
3 第十九条第五項の規定は、前項の規定による処分について準用する。
(卸売業者の保証金)
第二十六条 卸売業者は、農林省令で定めるところにより、第十五条第一項の許可に係る市場及び取扱品目の部類ごとに、開設者に保証金を預託した後でなければ、中央卸売市場における卸売の業務を開始してはならない。
2 前項の保証金は、農林省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他農林省令で定める有価証券をもつて、これに充てることができる。
3 開設者は、中央卸売市場につき卸売業者から収受する使用料、保管料及び手数料に関し、当該卸売業者が預託した第一項の保証金について、他の債権者に先だつて弁済を受ける権利を有する。
4 卸売業者に対して中央卸売市場における卸売のための販売又は販売の委託をした者は、当該販売又は販売の委託による債権に関し、当該卸売業者が預託した第一項の保証金について、他の債権者に先だつて弁済を受ける権利を有する。
5 第三項の優先して弁済を受ける権利は、前項の優先して弁済を受ける権利に優先する。
(事業年度)
第二十七条 卸売業者の事業年度は、四月から翌年三月まで又は四月から九月まで及び十月から翌年三月までとする。
(事業報告書の提出)
第二十八条 卸売業者は、事業年度ごとに、農林省令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後九十日以内に、これを開設者を経由して農林大臣に提出しなければならない。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第二十九条 卸売業者の間における過度の競争による弊害を防止し中央卸売市場における卸売の業務の適正かつ健全な運営を確保するため特に必要がある場合において、当該卸売業者があらかじめ農林大臣の認可を受けてこれらの者の間においてする営業の譲受け若しくは合併又はあらかじめ農林大臣の認可を受けてこれらの者の間において締結する卸売の業務に係る取引条件に関する協定(卸売業者の取り扱う生鮮食料品等の価格、品質又は数量に関するものを除く。)及びこれに基づいてする行為並びに卸売業者と当該中央卸売市場の取扱品目につき当該中央卸売市場に係る開設区域内に開設された他の卸売市場において卸売の業務を行なう者(以下この条において「他市場卸売業者」という。)との間における過度の競争による弊害を防止し当該中央卸売市場における卸売の業務の適正かつ健全な運営を確保するため特に必要がある場合において、当該卸売業者があらかじめ農林大臣の認可を受けて当該他市場卸売業者との間においてする営業の譲受け又は合併(他市場卸売業者が営業を譲り受け、又は合併後存続する場合を除く。)には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、適用しない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
二 その認可を受けて締結された協定につき、第三十二条第四項の規定による公示があつた後一月を経過したとき(同条第三項の請求に応じ、農林大臣が当該協定について次条の規定による処分をした場合を除く。)。
2 第三十二条第三項の規定による請求が前項の認可を受けて締結された協定の定めの一部について行なわれたときは、同項第二号の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、当該協定のうちその請求に係る部分以外の部分及びこれに基づいてする行為には、適用しない。
3 農林大臣は、第一項の認可の申請があつた場合において、その申請に係る営業の譲受け若しくは合併又は協定が次の各号に掲げる要件に適合していると認めるときは、これを認可しなければならない。
一 その営業の譲受け若しくは合併又はその協定の内容が当該卸売業者の間又は当該卸売業者と当該他市場卸売業者との間における過度の競争による弊害を防止し当該中央卸売市場における卸売の業務の適正かつ健全な運営を確保するため必要かつ最小限度のものであること。
二 その営業の譲受け若しくは合併又はその協定の内容が不当に差別的でないこと。
三 その協定に参加し又はその協定から脱退することを不当に制限しないこと。
四 一般消費者及び関係事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
五 その営業の譲受けに係る営業の譲渡し及び譲受け又はその合併(卸売業者と他市場卸売業者が合併して卸売業者が存続する場合を除く。)について、第二十一条第一項又は第二項の認可の申請があつたとした場合には、その認可をすることが相当と認められること。
4 第一項の認可を受けようとする者は、農林省令で定めるところにより、当該中央卸売市場の開設者を経由して申請書を農林大臣に提出しなければならない。
5 第十六条第二項及び第三項並びに第十八条の規定は、第一項の認可について準用する。この場合において、第十六条第二項中「前項の申請書」とあるのは「第二十九条第四項の申請書」と、「申請者」とあるのは「その申請に係る営業の譲受け若しくは合併又は協定についての意見及びその申請が営業の譲受け又は合併に係るものである場合にあつては譲受人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人」と、同条第三項中「第一項の申請書」とあるのは「第二十九条第四項の申請書」と、第十八条中「第十五条第一項の許可又は許可の拒否の処分」とあるのは「第二十九条第一項の認可又は認可の拒否の処分」と読み替えるものとする。
(協定の変更命令又は認可の取消し)
第三十条 農林大臣は、前条第一項の認可をした協定が同条第三項第一号から第四号までに掲げる要件の全部又は一部に適合するものでなくなつたと認めるときは、当該協定を締結した者に対し、その変更を命じ、又は同条第一項の認可を取り消さなければならない。
(協定廃止の届出)
第三十一条 卸売業者は、第二十九条第一項の認可を受けて締結した協定を廃止したときは、遅滞なく、その旨を開設者を経由して農林大臣に届け出なければならない。
(公正取引委員会との関係)
第三十二条 農林大臣は、第二十九条第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 農林大臣は、第三十条の規定による処分をしたとき、又は前条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
3 公正取引委員会は、第二十九条第一項の認可を受けて締結された協定が同条第三項第一号から第四号までに掲げる要件の全部又は一部に適合するものでなくなつたと認めるときは、農林大臣に対し、第三十条の規定による処分をすべきことを請求することができる。
4 公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、その旨を官報に公示しなければならない。
(仲卸業務の許可)
第三十三条 中央卸売市場における仲卸しの業務(開設者が中央卸売市場内に設置する店舗において当該中央卸売市場の卸売業者から卸売を受けた生鮮食料品等を仕分けし又は調製して販売する業務をいう。以下同じ。)は、開設者の許可を受けた者でなければ、行なつてはならない。
2 前項の許可は、市場及び取扱品目の部類ごとに行なう。
3 開設者は、次項の規定により仲卸しの業務を行なう者を置かない旨の定めをした市場及び取扱品目の部類を除き、市場及び取扱品目の部類ごとに、業務規程で、仲卸しの業務を行なう者の許可の基準、数の最高限度、保証金その他農林省令で定める事項を定めなければならない。
4 開設者は、市場の業務の規模、取扱品目の性質、取引の状況等に照らし、市場及び取扱品目の全部又は一部について仲卸しの業務を行なう者を置く必要がないと認めるときは、業務規程で、仲卸しの業務を行なう者を置かない市場及び取扱品目の部類を定めることができる。