第一條 本法ニ於テ中央卸賣市場トハ地方公共團體又ハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ民法第三十四條ノ規定ニ依ル法人カ魚類、肉類、鳥類、卵、蔬菜及果實ノ卸賣ヲ爲ス爲主務大臣ノ指定スル都市及其ノ隣接地ニ於テ本法ニ依リ開設スル市場ヲ謂フ
中央卸賣市場ニ於テハ特別ノ事情アル場合ニ於テハ前項ニ揭クル物品ノ一部ノ卸賣ヲ爲サス又ハ其ノ他ノ日用品ノ卸賣ヲ爲スコトヲ得
第二條 中央卸賣市場ヲ開設セムトスルトキハ業務規程及事業計畫ニ關スル書類ヲ具シ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ中央卸賣市場ノ分場ヲ設置セムトスルトキ亦同シ
第三條 左ニ揭クル事項ハ業務規程ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第四條 業務規程又ハ事業計畫ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第五條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ第二條ノ規定ニ依ル認可ヲ與フルニ當リ之ニ制限又ハ條件ヲ附スルコトヲ得
第六條 主務大臣ハ第二條ノ規定ニ依ル認可ヲ與フルトキハ其ノ中央却賣市場ノ業務ノ開始ニ至ル迄ノ間ニ於テ開設者ノ意見ヲ聞キ其ノ中央卸賣市場ノ取扱品目ニ付當該指定區域內ニ於テ中央卸賣市場類似ノ業務ヲ爲ス市場ノ閉鎖ヲ命スルコトヲ得中央卸賣市場ノ取扱品目ヲ追加スルトキ亦同シ
第七條 開設者ハ前條ノ規定ニ依リ閉鎖ヲ命セラレタル市場ノ開設者及卸賣ノ業務ヲ爲ス者ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ損失ヲ補償スヘシ
前項ノ規定ニ依リ補償スヘキ金額ハ當事者ノ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハサルトキハ地方長官ノ決定ヲ求ムヘシ地方長官ノ決定ニ不服アル者ハ決定書ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ起算シ九十日內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第八條 主務大臣ハ開設者ニ對シ命令ノ定ムル設備ニ要スル費用ノ三分ノ一以內ノ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第九條 主務大臣ハ開設者カ法令若ハ補助ニ附シタル條件ニ違反シ又ハ之ニ基キテ爲シタル處分ニ從ハサルトキハ之ニ對シ補助金ノ全部又ハ一部ヲ交付セサルコトヲ得
第十條 地方長官ノ許可ヲ受ケタル者ハ中央卸賣市場ニ於テ卸賣ノ業務ヲ爲スコトヲ得
第十一條 前條ノ規定ニ依リ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ開設者ニ保證金ヲ納付スヘシ
第十二條 開設者ハ中央卸賣市場ノ收受スル使用料、保管料及手數料ニ關シ保證金ニ付他ノ債權者ニ對シ優先權ヲ有ス
第十三條 第十條ノ規定ニ依リ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ニ對シ販賣又ハ販賣ノ委託ヲ爲シタル者ハ販賣又ハ販賣ノ委託ニ因リテ生シタル債權ニ關シ其ノ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ノ保證金ニ付他ノ債權者ニ對シ優先權ヲ有ス
第十四條 中央卸賣市場ニ於テ爲ス賣買ニ付テハ糶賣ノ方法ニ依ルヘシ但シ業務規程ノ定ムル特別ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
第十五條 第十條ノ規定ニ依リ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ開設者ニ對シ賣買値段及取引高ヲ報告スヘシ
第十六條 開設者ハ業務規程ノ定ムル所ニ依リ第十條ノ規定ニ依リ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ニ對シ其ノ業務ヲ停止シ若ハ千圓以下ノ過怠金ヲ課シ又ハ賣買ニ參加スル者ノ入場ヲ停止スルコトヲ得
第十七條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ中央卸賣市場ノ構造、設備、業務規程ノ變更、業務又ハ財產狀況ノ報告其ノ他ニ關シ事業ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十八條 主務大臣ハ開設者又ハ卸賣ノ業務ヲ爲ス者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ、業務規程ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
三 卸賣ノ業務ヲ爲ス者ノ業務許可ノ取消又ハ業務ノ停止
第十九條 主務大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ官吏ヲシテ開設者又ハ卸賣ノ業務ヲ爲ス者ノ業務及之ニ關スル帳簿、財產其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第二十條 中央卸賣市場ノ廢止ハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
第二十一條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第二十二條 第六條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ第十五條ノ規定ニ基ク報告ヲ爲サス若ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十三條 第六條ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ第十五條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲スヘキ義務アル者未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ前條ノ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十四條 第六條ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ第十五條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲スヘキ義務アル者ハ其ノ代理人、戶主、家族同居者、雇人其ノ他ノ從業者右命令又ハ義務ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十五條 法人ノ代表者又ハ其ノ雇人其ノ他ノ從業者第六條ノ規定ニ依ル命令又ハ第十五條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲スヘキ義務ニ違反シタルトキハ第二十二條ノ罰則ハ之ヲ法人ニ適用ス
第二十六條 第一條ノ法人又ハ第十條ノ規定ニ依リ卸賣ノ業務ヲ爲ス者第十九條ノ規定ニ依ル檢査ヲ受クル場合ニ於テ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シタル者又ハ檢査ノ際當該官吏ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十七條 第一條ノ法人ノ役員其ノ職務ニ付賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求シ若ハ約束シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲ササルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第二十八條 前條第一項ノ者ニ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕シ又ハ免除スルコトヲ得