日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十九号
日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定を実施するため、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)、通行税法(昭和十五年法律第四十三号)、印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)、しやし繊維品の課税に関する法律(昭和二十九年法律第▲▲▲号)、入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)、噸税法(明治三十二年法律第八十八号)、酒税法(昭和二十八年法律第六号)、砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)、骨牌税法(明治三十五年法律第四十四号)、国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)、たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)及び塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)の特例を設けることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において左の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
一 国際連合の軍隊 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定第一条(定義)に規定する国際連合の諸決議に従つて朝鮮に軍隊を派遣しており、又は将来派遣する国で、その政府が同協定の当事者であるもの(以下この条において「派遣国」という。)の陸軍、海軍又は空軍で、当該国際連合の諸決議に従う行動に従事するために派遣されているものをいう。
二 国際連合の軍隊の構成員 国際連合の軍隊に属し、現に服役中の軍人で、日本国内にある間におけるものをいう。
三 軍属 派遣国の国籍を有し、且つ、国際連合の軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴する文民で、日本国内にある間におけるもの(日本国に通常居住する者を除く。)をいう。
四 家族 国際連合の軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一歳未満の子並びに父母及び二十一歳以上の子のうちその生計費の十分の五以上を国際連合の軍隊の構成員又は軍属が負担するもので、日本国内にある間におけるものをいう。
五 軍人用販売機関等 派遣国の歳出外資金により国際連合の軍隊の使用する施設内に設置された諸機関のうち国際連合の軍隊が公認し、且つ、規制するもので、国際連合の軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの者の家族の利用に供されるものをいう。
(所得税法等の特例)
第三条 国際連合の軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族、軍人用販売機関等、国際連合の軍隊又はその公認調達機関に対する所得税法、相続税法、通行税法、印紙税法、物品税法、揮発油税法、しやし繊維品の課税に関する法律又は入場税法の適用については、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十一号)の規定を準用する。
2 前項において準用する日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第九条第一項第一号、第十条第一項第一号又は第十条の二第一項第一号(軍用品についての物品税、揮発油税又は繊維品消費税の免除)の規定により物品税、揮発油税又は繊維品消費税の免除を受けた物品、揮発油又は繊維製品については、同法第九条第二項、第十条第二項又は第十条の二第二項(証明がない場合の物品税、揮発油税又は繊維品消費税の徴収)及び同法第十一条(免税物品等の譲渡禁止及び違反した場合の罰則)の規定を準用する。
(関税法等の特例)
第四条 国際連合の軍隊、その構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は軍人用販売機関等の輸入に係る物品に対する関税法、関税定率法、酒税法、砂糖消費税法、物品税法、揮発油税法、しやし繊維品の課税に関する法律又は骨牌税法の適用及び国際連合の軍隊が所有している船舶若しくは航空機又は全部用船契約により用船している船舶若しくは借り上げている航空機で、国際連合の軍隊のために又はその管理の下に、公の目的をもつて運航されているものに対する関税法又は噸税法の適用については、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十二号)の規定を準用する。
(国税犯則取締法等の特例)
第五条 国際連合の軍隊が使用し、且つ、その権限に基いて警備している施設内における、又は国際連合の軍隊の構成員、軍属若しくはこれらの者の家族の身体若しくは財産若しくは国際連合の軍隊の財産についての国税犯則取締法又は関税法(たばこ専売法、アルコール専売法(昭和十二年法律第三十二号)、噸税法、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)その他の法律において準用する場合を含む。)の適用については、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十三号)の規定を準用する。
(たばこ専売法等の特例)
第六条 国際連合の軍隊、その構成員、軍属若しくはこれらの者の家族又は軍人用販売機関等に対するたばこ専売法又は塩専売法の適用については、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴うたばこ専売法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十四号)の規定を準用する。
附 則
1 この法律は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の最初の効力発生の日から施行し、同協定第二十一条4(署名国についての適用期日)及び第二十二条4(加入国についての適用期日)においてそ及されないこととされる場合を除き、同協定の最初の署名の日又はその日の後六箇月以内に同協定の当事者となる国については、昭和二十七年四月二十八日(入場税及び繊維品消費税に係る部分については、それぞれ入場税法又はしやし繊維品の課税に関する法律の施行の日)から適用する。
2 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の施行の日の前日までにおけるこの法律の適用については、第一条中「関税法(昭和二十九年法律第六十一号)」とあるのは「関税法(明治三十二年法律第六十一号)」と、第五条中「噸税法、」とあるのは「噸税法、保税倉庫法(明治三十年法律第十五号)、」とする。
大蔵大臣 小笠原三九郎
内閣総理大臣 吉田茂