土地家屋調査士法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年七月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百二十八号
土地家屋調査士法
(目的)
第一條 この法律は、不動産登記の基礎である土地台帳及び家屋台帳の登録事項の正確さを確保するため、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることを目的とする。
(業務)
第二條 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、他人の依頼を受けて、土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続をすることを業とする。
(資格)
第三條 左の各号の一に該当する者は、調査士となる資格を有する。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校において測量に関する課目を修め、その学校を卒業し、測量に関し二年以上の実務の経験を有する者
二 測量士又は測量士補となる資格を有する者
三 土地家屋調査士試験に合格した者
(欠格事由)
第四條 左に掲げる者は、調査士となる資格を有しない。
一 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
四 第十三條の規定により登録の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
五 測量法(昭和二十四年法律第百八十八号)第五十二條第二号の規定により、登録のまつ消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
(土地家屋調査士試験)
第五條 法務総裁は、毎年一回以上、土地家屋調査士試験を行わなければならない。
2 前項の試験は、土地台帳及び家屋台帳の登録に関して必要な知識及び技能について行う。
3 法務総裁は、第一項の試験の実施について建設大臣の意見を聞かなければならない。
4 第一項の試験を受けようとする者は、政令の定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。
(登録)
第六條 調査士となる資格を有する者が調査士となるには、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局に備えた土地家屋調査士名簿に登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第七條 前條の登録を受けようとする者は、調査士となる資格を証する書類を添えて、当該法務局又は地方法務局の長に登録の申請をしなければならない。
2 登録の申請をするには、政令の定めるところにより、登録手数料を納めなければならない。
(登録の取消)
第八條 調査士が左の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消さなければならない。
一 その業務を廃止したとき
二 死亡したとき
三 調査士となる資格を有しないことが判明したとき
四 第四條第一号、第二号、第四号又は第五号に該当するに至つたとき
(事務所)
第九條 調査士は、法務府令の定める基準に従い、事務所を設けなければならない。
2 調査士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その法務局又は地方法務局の長に登録の移転の申請をしなければならない。
(帳簿及び書類)
第十條 調査士は、法務府令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、且つ、関係書類を保存しなければならない。
(依頼に応ずる義務)
第十一條 調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒んではならない。
(虚僞の調査、測量の禁止)
第十二條 調査士は、その業務に関して虚僞の調査又は測量をしてはならない。
(懲戒)
第十三條 調査士がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 登録の取消
2 法務局又は地方法務局の長は、前項第二号又は第三号の処分をしようとするときは、当該調査士の請求により、その出頭を求めて公開による聽問を行わなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、前項の聽問を行う場合には、その処分の原因と認められる事実並びに聽問の期日及び場所を、その期日の一週間前までに当該調査士に通知しなければならない。
4 法務局又は地方法務局の長は、当該調査士が正当な理由がなくて聽問の期日に出頭しないときは、聽問を行わないで、第一項第二号又は第三号の処分をすることができる。
(調査士会)
第十四條 調査士は、法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)を設けることができる。
2 調査士会は、調査士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(調査士会の会則)
第十五條 調査士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 会の代表者その他役員に関する規定
三 会議に関する規定
四 調査士の報酬の基準に関する規定
五 調査士の業務執行及び品位保持に関する規定
(調査士会の会員)
第十六條 調査士会の区域内に事務所を有する調査士は、その調査士会の会員となることができる。
(調査士会連合会)
第十七條 調査士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を單位とする土地家屋調査士会連合会を設けることができる。
(法務府令への委任)
第十八條 この法律に定めるもののほか、調査士の試験、登録及び業務執行に関し必要な事項は、法務府令で定める。
(非調査士の取締)
第十九條 調査士でない者は、第二條に規定する土地又は家屋に関する調査、測量又はこれらの結果を必要とする申告手続をすることを業とすることができない。
2 調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(罰則)
第二十條 調査士となる資格を有しない者が、法務局又は地方法務局の長に対し、その資格につき虚僞の申請をして土地家屋調査士名簿に登録させたときは、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十一條 第十一條の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。
第二十二條 第十二條の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十三條 第十九條第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 第十九條第二項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附 則
1 この法律は、土地台帳法等の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第二百二十七号)施行の日から施行する。
2 この法律施行の際現に土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続をすることを業としていた者は、昭和二十七年九月三十日までは、この法律の適用については、調査士とみなす。
3 昭和二十六年三月三十一日までに左の各号の一に該当する者は、同年六月三十日までに法務局又は地方法務局の長の選考を受け、調査士となるにふさわしい知識及び技能を有すると認められたときは、第三條の規定にかかわらず、調査士となる資格を有する。
一 土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続に関し七年以上の実務の経験を有する者
二 第三條第一号に規定する学校に準ずる学校において測量に関する課目を修め、その学校を卒業し、測量に関し三年以上の実務の経験を有する者
4 前項の選考を受けようとする者は、政令の定めるところにより、選考手数料を納めなければならない。
5 法務局又は地方法務局の長は、第三項の選考にあたつては、建設省地理調査所の長の意見を聞かなければならない。
6 第三項第二号の学校は、法務総裁が文部大臣の意見を聞いてこれを定める。
7 昭和二十五年においては、第五條第一項の規定にかかわらず、土地家屋調査士試験を行わない。
8 法務府設置法(昭和二十二年法律第百九十三号)の一部を次のように改正する。
第八條第三項第八号を次のように改める。
八 司法書士及び土地家屋調査士に関する事項
別表中「公証人審査会」の項の次に次の一項を加える。
土地家屋調査士試験委員
土地家屋調査士試験に関する事務をつかさどる
法務総裁 大橋武夫
文部大臣 天野貞祐
建設大臣 増田甲子七
内閣総理大臣 吉田茂
土地家屋調査士法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年七月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百二十八号
土地家屋調査士法
(目的)
第一条 この法律は、不動産登記の基礎である土地台帳及び家屋台帳の登録事項の正確さを確保するため、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることを目的とする。
(業務)
第二条 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、他人の依頼を受けて、土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続をすることを業とする。
(資格)
第三条 左の各号の一に該当する者は、調査士となる資格を有する。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校において測量に関する課目を修め、その学校を卒業し、測量に関し二年以上の実務の経験を有する者
二 測量士又は測量士補となる資格を有する者
三 土地家屋調査士試験に合格した者
(欠格事由)
第四条 左に掲げる者は、調査士となる資格を有しない。
一 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつてから二年を経過しない者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
四 第十三条の規定により登録の取消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
五 測量法(昭和二十四年法律第百八十八号)第五十二条第二号の規定により、登録のまつ消の処分を受け、その処分の日から二年を経過しない者
(土地家屋調査士試験)
第五条 法務総裁は、毎年一回以上、土地家屋調査士試験を行わなければならない。
2 前項の試験は、土地台帳及び家屋台帳の登録に関して必要な知識及び技能について行う。
3 法務総裁は、第一項の試験の実施について建設大臣の意見を聞かなければならない。
4 第一項の試験を受けようとする者は、政令の定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。
(登録)
第六条 調査士となる資格を有する者が調査士となるには、その事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局に備えた土地家屋調査士名簿に登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第七条 前条の登録を受けようとする者は、調査士となる資格を証する書類を添えて、当該法務局又は地方法務局の長に登録の申請をしなければならない。
2 登録の申請をするには、政令の定めるところにより、登録手数料を納めなければならない。
(登録の取消)
第八条 調査士が左の各号の一に該当する場合には、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、その登録を取り消さなければならない。
一 その業務を廃止したとき
二 死亡したとき
三 調査士となる資格を有しないことが判明したとき
四 第四条第一号、第二号、第四号又は第五号に該当するに至つたとき
(事務所)
第九条 調査士は、法務府令の定める基準に従い、事務所を設けなければならない。
2 調査士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとするときは、その法務局又は地方法務局の長に登録の移転の申請をしなければならない。
(帳簿及び書類)
第十条 調査士は、法務府令の定めるところにより、業務に関する帳簿を備え、且つ、関係書類を保存しなければならない。
(依頼に応ずる義務)
第十一条 調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒んではならない。
(虚偽の調査、測量の禁止)
第十二条 調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない。
(懲戒)
第十三条 調査士がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、左に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 一年以内の業務の停止
三 登録の取消
2 法務局又は地方法務局の長は、前項第二号又は第三号の処分をしようとするときは、当該調査士の請求により、その出頭を求めて公開による聴問を行わなければならない。
3 法務局又は地方法務局の長は、前項の聴問を行う場合には、その処分の原因と認められる事実並びに聴問の期日及び場所を、その期日の一週間前までに当該調査士に通知しなければならない。
4 法務局又は地方法務局の長は、当該調査士が正当な理由がなくて聴問の期日に出頭しないときは、聴問を行わないで、第一項第二号又は第三号の処分をすることができる。
(調査士会)
第十四条 調査士は、法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)を設けることができる。
2 調査士会は、調査士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
(調査士会の会則)
第十五条 調査士会の会則には、左の事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 会の代表者その他役員に関する規定
三 会議に関する規定
四 調査士の報酬の基準に関する規定
五 調査士の業務執行及び品位保持に関する規定
(調査士会の会員)
第十六条 調査士会の区域内に事務所を有する調査士は、その調査士会の会員となることができる。
(調査士会連合会)
第十七条 調査士会は、共同して特定の事項を行うため、会則を定めて、全国を単位とする土地家屋調査士会連合会を設けることができる。
(法務府令への委任)
第十八条 この法律に定めるもののほか、調査士の試験、登録及び業務執行に関し必要な事項は、法務府令で定める。
(非調査士の取締)
第十九条 調査士でない者は、第二条に規定する土地又は家屋に関する調査、測量又はこれらの結果を必要とする申告手続をすることを業とすることができない。
2 調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(罰則)
第二十条 調査士となる資格を有しない者が、法務局又は地方法務局の長に対し、その資格につき虚偽の申請をして土地家屋調査士名簿に登録させたときは、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十一条 第十一条の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。
第二十二条 第十二条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十三条 第十九条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
2 第十九条第二項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
附 則
1 この法律は、土地台帳法等の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第二百二十七号)施行の日から施行する。
2 この法律施行の際現に土地台帳又は家屋台帳の登録につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続をすることを業としていた者は、昭和二十七年九月三十日までは、この法律の適用については、調査士とみなす。
3 昭和二十六年三月三十一日までに左の各号の一に該当する者は、同年六月三十日までに法務局又は地方法務局の長の選考を受け、調査士となるにふさわしい知識及び技能を有すると認められたときは、第三条の規定にかかわらず、調査士となる資格を有する。
一 土地又は家屋に関する調査、測量又は申告手続に関し七年以上の実務の経験を有する者
二 第三条第一号に規定する学校に準ずる学校において測量に関する課目を修め、その学校を卒業し、測量に関し三年以上の実務の経験を有する者
4 前項の選考を受けようとする者は、政令の定めるところにより、選考手数料を納めなければならない。
5 法務局又は地方法務局の長は、第三項の選考にあたつては、建設省地理調査所の長の意見を聞かなければならない。
6 第三項第二号の学校は、法務総裁が文部大臣の意見を聞いてこれを定める。
7 昭和二十五年においては、第五条第一項の規定にかかわらず、土地家屋調査士試験を行わない。
8 法務府設置法(昭和二十二年法律第百九十三号)の一部を次のように改正する。
第八条第三項第八号を次のように改める。
八 司法書士及び土地家屋調査士に関する事項
別表中「公証人審査会」の項の次に次の一項を加える。
土地家屋調査士試験委員
土地家屋調査士試験に関する事務をつかさどる
法務総裁 大橋武夫
文部大臣 天野貞祐
建設大臣 増田甲子七
内閣総理大臣 吉田茂