農薬取締法
法令番号: 法律第82号
公布年月日: 昭和23年7月1日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

農薬は農業生産における重要な生産資材だが、市販の農薬には殺菌殺虫効果がなく農作物に薬害を及ぼすものや、誇大表示で販売される不正粗悪品が多数出回っている。特に終戦後、工場転換や資材不足により品質低下した製品が増加し、農家に多大な損害を与えているだけでなく、病害虫防除の意欲低下を招き農業生産に悪影響を及ぼしている。そこで農家および農業指導者の要望に応え、不正粗悪な農薬を取り締まり、品質の保持向上を図るため、農薬取締法を制定することとした。これにより農家の利益が擁護され、病害虫防除の普及促進と農業生産の向上に寄与することが期待される。

参照した発言:
第2回国会 衆議院 農林委員会 第12号

審議経過

第2回国会

参議院
(昭和23年5月27日)
衆議院
(昭和23年6月1日)
参議院
(昭和23年6月1日)
衆議院
(昭和23年6月3日)
参議院
(昭和23年6月7日)
衆議院
(昭和23年6月8日)
参議院
(昭和23年6月11日)
(昭和23年6月14日)
衆議院
(昭和23年6月19日)
農藥取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月一日
内閣総理大臣 芦田均
法律第八十二号
農藥取締法
(定義)
第一條 この法律において「農藥」とは、農作物(樹木を含む。以下同じ。)又は農林産物を害する菌、線虫、だに、昆虫、、ねずみその他の動植物(以下病害虫と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の藥剤をいう。
2 前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農藥とみなす。
3 この法律において「製造業者」とは、農藥を製造し、又は加工することを業とする者をいい、「輸入業者」とは、農藥を輸入することを業とする者をいい、、「販賣業者」とは、農藥を販賣することを業とする者をいい、「防除業者」とは、農藥を使用して第一項の防除を行うことを業とする者をいう。
(製造業者及び輸入業者の農藥の登録)
第二條 製造業者又は輸入業者は、その製造し若しくは加工し、又は輸入した農藥について、農林大臣の登録を受けなければ、これを販賣してはならない。
2 前項の登録の申請は、左の事項を記載した書面及び農藥の見本を提出して、これをしなければならない。
一 氏名(法人の場合にあつてはその名称及び代表者の氏名。以下同じ。)及び住所
二 農藥の種類、名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量
三 適用病害虫、使用方法並びに藥効及び藥害に関する試驗成績
四 製造場の名称及び所在地
五 製造業者の製造し、又は加工した農藥については、製造方法及び製造責任者の氏名
3 農林大臣は、前項の申請を受けたときは、農藥檢査所の官吏(以下檢査官吏という。)に農藥の見本について檢査をさせ、その申請を受けた日から二箇月以内に、農藥審議会の議決を経て当該農藥を登録し、且つ、左の事項を記載した登録票を交付しなければならない。
一 登録番号及び登録年月日
二 農業の種類及び名称
三 製造業者又は輸入業者の氏名
四 製造場の名称及び所在地
4 農林大臣は、、前項の檢査につき、省令で定めるところにより、申請者から手数料を徴収することができる。
(記載事項の訂正又は品質改良の指示)
第三條 農林大臣は、前條第三項の檢査の結果、同條第二項の書面の記載事項に虚僞の事実があると認めるとき又はその書面に記載する使用法により当該農藥を使用する場合に農作物、農林産物若しくは使用者に害があると認めるときは、同條第三項の規定にかかわらず、登録を保留して、申請者に対しその書面の記載事項を訂正し、又は当該農藥の品質を改良すべきことを指示することができる。
2 前項の指示を受けた者が、その指示を受けた日から一箇月以内にその指示に基き書面の記載事項の訂正又は品質の改良をしないときは、農林大臣は、その者の登録の申請を却下する。
3 農林大臣は、前二項の処分をするには、農藥審議会の議決を経なければならない。
(異議の申立)
第四條 第二條第一項の登録を申請した者は、前條第一項の規定による処分に不服があるときは、同項の指示を受けた日から二週間以内に、農林大臣に書面をもつて異議の申立をすることができる。
2 農林大臣は、前項の申立を受けたときは、その申立を受けた日から二箇月以内に、農藥審議会の議決を経てこれについて決定をし、その申立を正当と認めたときは速かに当該申請者に登録票を交付し、その申立を正当でないと認めたときは当該申請者にその旨を通知しなければならない。
3 異議の申立をした者が、前項後段の通知を受けた日から一箇月以内に前條第一項の指示に基いて書面の記載事項の訂正又は品質の改良をしないときは、農林大臣は、その者の登録の申請を却下する。
(登録の有効期間)
第五條 第二條の登録の有効期間は三年とする。但し、同條第二項第二号の事項中に変更を生じたときは、登録はその効力を失う。
(記載事項の変更)
第六條 第二條の登録を受けた者は、同條第二項第一号又は第三号から第五号までの事項中に変更を生じたときは、その変更を生じた後二週間以内に、その理由を附してその旨を農林大臣に届け出なければならない。
(製造業者及び輸入業者の農藥の表示)
第七條 製造業者又は輸入業者は、その製造し若しくは加工し、又は輸入した農藥を販賣するときは、その容器(容器に入れないで販賣する場合にあつてはその包裝)に左の事項の眞実な表示をしなければならない。
一 登録番号
二 農藥の種類、名称、内容量、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量
三 適用病害虫及び使用方法
四 人畜に有害な農藥については、その旨及び解毒剤の名称(解毒剤のない場合にあつては、その旨)
五 引火し、爆発し、又は皮膚を害する等の危險のある農藥については、その旨
六 貯藏上又は使用上における注意事項
七 製造場の名称
八 製造業者の製造し、又は加工した農藥については、製造年月及び包裝年月
(販賣業者の届出)
第八條 販賣業者は、その営業所ごとに、左の事項を当該営業所の所在地を管轄する都道府縣知事に届け出なければならない。
一 氏名及び住所
二 当該営業所
三 卸賣業及び小賣業の別
2 販賣業者は、前項の届出事項中に変更を生じたときもまた同項と同樣に届け出なければならない。
3 前二項の規定による届出は、あらたに営業を開始した場合にあつてはその開始後二週間以内に、営業所を増設した場合にあつてはその増設後二週間以内に、第一項の事項中に変更を生じた場合にあつてはその変更を生じた後二週間以内に、これをしなければならない。
(販賣業者と農藥の表示)
第九條 販賣業者は、容器又は包裝に第七條の規定による表示のある農藥(分割して販賣する場合にあつては、その各々につき同條に規定する各事項の外販賣業者の氏名をも表示した農藥)でなければこれを販賣してはならない。
(帳簿)
第十條 製造業者、輸入業者及び販賣業者は、帳簿を備え付け、これに農藥の種類別に、製造業者及び輸入業者にあつてはその製造又は輸入数量及び讓渡先別讓渡数量を、販賣業者にあつてはその讓受数量及び讓渡数量を、眞実且つ完全に記載し、少くとも三年間その帳簿を保存しなければならない。
(防除業者の届出)
第十一條 防除業者は、左の事項を農林大臣に届け出なければならない。
一 氏名及び住所
二 事業の内容
三 営業所
四 防除の方法及び防除に使用する農藥の種類
2 前項の規定による届出については、第八條第二項及び第三項の規定を準用する。
(防除業者に対する監督)
第十二條 前條の規定により届出のあつた方法による防除又は農藥の使用が農作物又は農林産物に害を及ぼすと認められるときは、農林大臣は、農藥審議会の議決を経て、防除業者に対し防除の方法の変更を命じ、又は当該農藥の使用を禁止するものとする。
2 前項の処分に不服がある者は、その処分の通知を受けた日から二週間以内に、農林大臣に書面をもつて異議の申立をすることができる。
3 農林大臣は、前項の申立を受けたときは、その申立を受けた日から二箇月以内に、農藥審議会の議決を経てこれについて決定をし、その申立を正当と認めたときは速かに第一項の処分を取り消し、その申立を正当でないと認めたときは当該申立者にその旨を通知しなければならない。
(登録農藥に関する取締)
第十三條 農林大臣は、製造業者、輸入業者、販賣業者又は防除業者に対し、その業務に関し報告を命じ、又は檢査官吏にこれらの者から第十四條の檢査のため必要な数量の農藥若しくはその原料を集取させ、若しくは必要な場所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。但し、農藥又はその原料を集取させるときは、時價によつてその対價を支拂わなければならない。
2 前項の場合において、同項に掲げる者から要求があつたときは、檢査官吏は、その身分を示す証票を示さなければならない。
第十四條 農林大臣は、その定める檢査方法に從い、檢査官吏に農藥を檢査させ、その結果第七條又は第九條の規定による表示に虚僞の事実があることを発見したときは、農藥審議会の議決を経て、当該農藥の販賣の禁止若しくは停止を命じ、又は第二條の規定による登録を取り消すものとする。
2 前項の処分があつた場合には第十二條第二項及び第三項の規定を準用する。
(農藥檢査所)
第十五條 農藥の檢査に関する事務を掌らせるため、農林省に農藥檢査所を置く。
2 農林大臣は必要と認める地に農藥檢査所の支所を置き、本所の事務を分掌させることができる。
3 農藥檢査所の職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
(農藥審議会)
第十六條 農藥審議会は、十五人から二十人までの委員をもつてこれを組織する。
2 委員は、学識経驗のある者の中から、農林大臣が、これを命ずる。
3 農林大臣は議案の整理に從事させるため、農藥審議会に幹事を置くことができる。
4 この法律に規定するものの外、農藥審議会に対し必要な事項は、省令でこれを定める。
(罰則)
第十七條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。但し、違反行爲に因つて得た対價の額が一万円を超える場合には、罰金は、その対價の額以下とする。
一 第二條第一項、第七條又は第九條の規定に違反した者
二 第十二條第一項の規定による処分に違反した者
三 第十四條第一項の規定による販賣の禁止若しくは停止の命令に從わない者
第十八條 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第六條、第八條第一項若しくは第二項(第十一條第二項において準用する場合を含む。)、第十條又は第十一條第一項の規定に違反した者
二 第十三條第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をし、又は同項の規定による集取若しくは檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第十九條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して、前二條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。
第二十條 第十七條の犯罪に係る農藥で犯人の所有し、又は所持するものは、その全部又は一部を沒收することができる。犯罪の後、犯人以外の者が情を知つてその農藥を取得した場合においても同樣とする。
2 前項の場合において、その農藥の全部又は一部を沒收することができないときは、その價額を追徴することができる。
附 則
1 この法律は、その公布の後一箇月を経過した日から、これを施行する。
2 この法律施行前から製造され、加工され、又は輸入されていた農藥については、この法律施行後三箇月を限り、第二條第一項及び第七條の規定はこれを適用しない。
3 販賣業者が第七條第二号から第七号までに規定する事項を店頭の見易い場所に掲示したときは、この法律施行後六箇月を限り、第九條の規定はこれを適用しない。
4 この法律施行の際現に販賣業者又は防除業者である者は、この法律施行の日から二週間以内に、第八條第一項又は第十一條第一項の規定による届出をしなければならない。
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均
農薬取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月一日
内閣総理大臣 芦田均
法律第八十二号
農薬取締法
(定義)
第一条 この法律において「農薬」とは、農作物(樹木を含む。以下同じ。)又は農林産物を害する菌、線虫、だに、昆虫、、ねずみその他の動植物(以下病害虫と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤をいう。
2 前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。
3 この法律において「製造業者」とは、農薬を製造し、又は加工することを業とする者をいい、「輸入業者」とは、農薬を輸入することを業とする者をいい、、「販売業者」とは、農薬を販売することを業とする者をいい、「防除業者」とは、農薬を使用して第一項の防除を行うことを業とする者をいう。
(製造業者及び輸入業者の農薬の登録)
第二条 製造業者又は輸入業者は、その製造し若しくは加工し、又は輸入した農薬について、農林大臣の登録を受けなければ、これを販売してはならない。
2 前項の登録の申請は、左の事項を記載した書面及び農薬の見本を提出して、これをしなければならない。
一 氏名(法人の場合にあつてはその名称及び代表者の氏名。以下同じ。)及び住所
二 農薬の種類、名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量
三 適用病害虫、使用方法並びに薬効及び薬害に関する試験成績
四 製造場の名称及び所在地
五 製造業者の製造し、又は加工した農薬については、製造方法及び製造責任者の氏名
3 農林大臣は、前項の申請を受けたときは、農薬検査所の官吏(以下検査官吏という。)に農薬の見本について検査をさせ、その申請を受けた日から二箇月以内に、農薬審議会の議決を経て当該農薬を登録し、且つ、左の事項を記載した登録票を交付しなければならない。
一 登録番号及び登録年月日
二 農業の種類及び名称
三 製造業者又は輸入業者の氏名
四 製造場の名称及び所在地
4 農林大臣は、、前項の検査につき、省令で定めるところにより、申請者から手数料を徴収することができる。
(記載事項の訂正又は品質改良の指示)
第三条 農林大臣は、前条第三項の検査の結果、同条第二項の書面の記載事項に虚偽の事実があると認めるとき又はその書面に記載する使用法により当該農薬を使用する場合に農作物、農林産物若しくは使用者に害があると認めるときは、同条第三項の規定にかかわらず、登録を保留して、申請者に対しその書面の記載事項を訂正し、又は当該農薬の品質を改良すべきことを指示することができる。
2 前項の指示を受けた者が、その指示を受けた日から一箇月以内にその指示に基き書面の記載事項の訂正又は品質の改良をしないときは、農林大臣は、その者の登録の申請を却下する。
3 農林大臣は、前二項の処分をするには、農薬審議会の議決を経なければならない。
(異議の申立)
第四条 第二条第一項の登録を申請した者は、前条第一項の規定による処分に不服があるときは、同項の指示を受けた日から二週間以内に、農林大臣に書面をもつて異議の申立をすることができる。
2 農林大臣は、前項の申立を受けたときは、その申立を受けた日から二箇月以内に、農薬審議会の議決を経てこれについて決定をし、その申立を正当と認めたときは速かに当該申請者に登録票を交付し、その申立を正当でないと認めたときは当該申請者にその旨を通知しなければならない。
3 異議の申立をした者が、前項後段の通知を受けた日から一箇月以内に前条第一項の指示に基いて書面の記載事項の訂正又は品質の改良をしないときは、農林大臣は、その者の登録の申請を却下する。
(登録の有効期間)
第五条 第二条の登録の有効期間は三年とする。但し、同条第二項第二号の事項中に変更を生じたときは、登録はその効力を失う。
(記載事項の変更)
第六条 第二条の登録を受けた者は、同条第二項第一号又は第三号から第五号までの事項中に変更を生じたときは、その変更を生じた後二週間以内に、その理由を附してその旨を農林大臣に届け出なければならない。
(製造業者及び輸入業者の農薬の表示)
第七条 製造業者又は輸入業者は、その製造し若しくは加工し、又は輸入した農薬を販売するときは、その容器(容器に入れないで販売する場合にあつてはその包装)に左の事項の真実な表示をしなければならない。
一 登録番号
二 農薬の種類、名称、内容量、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量
三 適用病害虫及び使用方法
四 人畜に有害な農薬については、その旨及び解毒剤の名称(解毒剤のない場合にあつては、その旨)
五 引火し、爆発し、又は皮膚を害する等の危険のある農薬については、その旨
六 貯蔵上又は使用上における注意事項
七 製造場の名称
八 製造業者の製造し、又は加工した農薬については、製造年月及び包装年月
(販売業者の届出)
第八条 販売業者は、その営業所ごとに、左の事項を当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名及び住所
二 当該営業所
三 卸売業及び小売業の別
2 販売業者は、前項の届出事項中に変更を生じたときもまた同項と同様に届け出なければならない。
3 前二項の規定による届出は、あらたに営業を開始した場合にあつてはその開始後二週間以内に、営業所を増設した場合にあつてはその増設後二週間以内に、第一項の事項中に変更を生じた場合にあつてはその変更を生じた後二週間以内に、これをしなければならない。
(販売業者と農薬の表示)
第九条 販売業者は、容器又は包装に第七条の規定による表示のある農薬(分割して販売する場合にあつては、その各々につき同条に規定する各事項の外販売業者の氏名をも表示した農薬)でなければこれを販売してはならない。
(帳簿)
第十条 製造業者、輸入業者及び販売業者は、帳簿を備え付け、これに農薬の種類別に、製造業者及び輸入業者にあつてはその製造又は輸入数量及び譲渡先別譲渡数量を、販売業者にあつてはその譲受数量及び譲渡数量を、真実且つ完全に記載し、少くとも三年間その帳簿を保存しなければならない。
(防除業者の届出)
第十一条 防除業者は、左の事項を農林大臣に届け出なければならない。
一 氏名及び住所
二 事業の内容
三 営業所
四 防除の方法及び防除に使用する農薬の種類
2 前項の規定による届出については、第八条第二項及び第三項の規定を準用する。
(防除業者に対する監督)
第十二条 前条の規定により届出のあつた方法による防除又は農薬の使用が農作物又は農林産物に害を及ぼすと認められるときは、農林大臣は、農薬審議会の議決を経て、防除業者に対し防除の方法の変更を命じ、又は当該農薬の使用を禁止するものとする。
2 前項の処分に不服がある者は、その処分の通知を受けた日から二週間以内に、農林大臣に書面をもつて異議の申立をすることができる。
3 農林大臣は、前項の申立を受けたときは、その申立を受けた日から二箇月以内に、農薬審議会の議決を経てこれについて決定をし、その申立を正当と認めたときは速かに第一項の処分を取り消し、その申立を正当でないと認めたときは当該申立者にその旨を通知しなければならない。
(登録農薬に関する取締)
第十三条 農林大臣は、製造業者、輸入業者、販売業者又は防除業者に対し、その業務に関し報告を命じ、又は検査官吏にこれらの者から第十四条の検査のため必要な数量の農薬若しくはその原料を集取させ、若しくは必要な場所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。但し、農薬又はその原料を集取させるときは、時価によつてその対価を支払わなければならない。
2 前項の場合において、同項に掲げる者から要求があつたときは、検査官吏は、その身分を示す証票を示さなければならない。
第十四条 農林大臣は、その定める検査方法に従い、検査官吏に農薬を検査させ、その結果第七条又は第九条の規定による表示に虚偽の事実があることを発見したときは、農薬審議会の議決を経て、当該農薬の販売の禁止若しくは停止を命じ、又は第二条の規定による登録を取り消すものとする。
2 前項の処分があつた場合には第十二条第二項及び第三項の規定を準用する。
(農薬検査所)
第十五条 農薬の検査に関する事務を掌らせるため、農林省に農薬検査所を置く。
2 農林大臣は必要と認める地に農薬検査所の支所を置き、本所の事務を分掌させることができる。
3 農薬検査所の職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
(農薬審議会)
第十六条 農薬審議会は、十五人から二十人までの委員をもつてこれを組織する。
2 委員は、学識経験のある者の中から、農林大臣が、これを命ずる。
3 農林大臣は議案の整理に従事させるため、農薬審議会に幹事を置くことができる。
4 この法律に規定するものの外、農薬審議会に対し必要な事項は、省令でこれを定める。
(罰則)
第十七条 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。但し、違反行為に因つて得た対価の額が一万円を超える場合には、罰金は、その対価の額以下とする。
一 第二条第一項、第七条又は第九条の規定に違反した者
二 第十二条第一項の規定による処分に違反した者
三 第十四条第一項の規定による販売の禁止若しくは停止の命令に従わない者
第十八条 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第六条、第八条第一項若しくは第二項(第十一条第二項において準用する場合を含む。)、第十条又は第十一条第一項の規定に違反した者
二 第十三条第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による集取若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第二十条 第十七条の犯罪に係る農薬で犯人の所有し、又は所持するものは、その全部又は一部を没収することができる。犯罪の後、犯人以外の者が情を知つてその農薬を取得した場合においても同様とする。
2 前項の場合において、その農薬の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。
附 則
1 この法律は、その公布の後一箇月を経過した日から、これを施行する。
2 この法律施行前から製造され、加工され、又は輸入されていた農薬については、この法律施行後三箇月を限り、第二条第一項及び第七条の規定はこれを適用しない。
3 販売業者が第七条第二号から第七号までに規定する事項を店頭の見易い場所に掲示したときは、この法律施行後六箇月を限り、第九条の規定はこれを適用しない。
4 この法律施行の際現に販売業者又は防除業者である者は、この法律施行の日から二週間以内に、第八条第一項又は第十一条第一項の規定による届出をしなければならない。
農林大臣 永江一夫
内閣総理大臣 芦田均