第十二條 第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ノ監視及砂防設備ノ管理、維持竝砂防工事ニ要スル費用ハ府縣ノ負擔トス
第十三條 砂防工事ニ要スル費用ハ其ノ一部ヲ國庫ヨリ府縣ニ補助スルコトヲ得
前項國庫ノ補助額ハ工費豫算ノ三分ノ二ヲ超過スルコトヲ得ス
本條ノ補助金ハ精算ノ上其ノ費用ノ三分ノ二ヲ超過スルコトアルモ其ノ超過額ヲ還付セシメサルコトヲ得
災害ニ因リ必要ヲ生シタル砂防工事ニ要スル費用ハ本條ニ依ルノ限ニ在ラス
第十四條 第六條ニ依リ主務大臣ニ於テ砂防設備ノ管理及維持ヲナシ又ハ砂防工事ヲ施行スル場合ニ於テハ其ノ費用ハ國庫ノ負擔トス
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ府縣ヲシテ前項費用ノ三分ノ一以內ヲ負擔セシムルコトヲ得
前項ニ依リ府縣ノ負擔スヘキ金額竝其ノ年度割及納付期限等ハ主務大臣之ヲ定ム
第十五條 地方行政廳ハ其ノ管內ノ下級公共團體ヲシテ砂防ニ關スル費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第十六條 砂防工事ニシテ他ノ工事、作業其ノ他ノ行爲ニ因リ必要ヲ生スルモノナルトキハ其ノ費用ハ工事ノ必要ヲ生スル程度ニ於テ其ノ原因タル工事、作業其ノ他ノ行爲ニ關シ費用ヲ負擔スル者ヲシテ之ヲ負擔セシムルコトヲ得但シ河川法第三十二條第二項ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十七條 砂防工事ニシテ他ノ府縣若ハ他府縣內ノ公共團體ニ於テ著シク利益ヲ受クルモノナルトキハ其ノ府縣若ハ其ノ府縣內ノ公共團體ヲシテ其ノ費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第十八條 此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ノ命シタル事項ヲ遵守スル爲ニ要スル費用ハ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ除クノ外其ノ命ヲ受ケタル者ノ負擔トス
主務大臣若ハ地方行政廳ニ於テ義務者ノ履行スヘキ義務ヲ自ラ執行シ又ハ第三者ヲシテ執行セシメタルカ爲ニ要シタル費用ハ其ノ義務者ヨリ之ヲ追徵スルコトヲ得
第十九條 公共團體ハ砂防工事若ハ砂防ニ關スル費用ノ爲寄付ヲナスコトヲ得
第二十條 公共團體ハ砂防ニ關スル費用ニ付キ私人若ハ其ノ區域內ノ下級公共團體ニ補助ヲナスコトヲ得
第二十一條 公共團體ハ砂防ニ關スル費用ニ付キ利害關係ノ厚薄ヲ標準トシテ其ノ區域內ニ於テ不均一ノ賦課ヲナスコトヲ得
第二十二條 砂防工事ノ爲必要ナルトキハ地方行政廳ハ管內ノ土地若ハ森林ノ所有者ニ命シ補償金トシテ時價相當ノ金額ヲ下付シテ其ノ所有ニ係ル土石、砂礫、芝草、竹木及運搬具ヲ供給セシムルコトヲ得但シ時價ニ關シテ協議整ハサルトキ又ハ所有者不明ナルトキ若ハ其ノ所在不明ナルトキハ地方行政廳ハ相當ト認ムル金額ヲ供託シテ本條ノ供給ヲナサシムルコトヲ得
第二十三條 砂防ノ爲必要ナルトキハ行政廳ハ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地又ハ之ニ鄰接スル土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ材料置場等ニ供シ又ハ已ムヲ得サルトキハ其ノ土地ニ現在スル障害物ヲ除却スルコトヲ得
前項ノ適用ニ依リ損害ヲ受ケタル者ハ使用若ハ除却ノ後三箇月以內ニ補償金ヲ請求スルコトヲ得
第二十四條 第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ノ所有者若ハ關係人ハ行政廳若ハ其ノ命ヲ受ケタル私人ニ於テ其ノ土地ニ砂防工事ヲ施行シ又ハ砂防設備ノ維持ヲナスコトヲ拒ムコトヲ得ス
第二十五條 法律、命令若ハ許可認可ノ條件ニ違背シタル工事、設備若ハ工作物ノ管理ニ因リ損害ヲ受ケシメタル者ハ其ノ損害ヲ賠償スヘシ
第二十六條 此ノ法律ニ依リ行政廳ニ於テ下付スヘキ補償金若ハ賠償金ハ其ノ行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ノ負擔トス
第二十七條 砂防設備ヨリ生スル收入ハ府縣ニ歸ス但シ地方行政廳ハ其ノ收入ヲ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地若ハ其ノ土地ニ在ル森林ノ所有者又ハ其ノ砂防設備ノ施設者ニ下付スルコトヲ得
第二十八條 砂防設備ニシテ其ノ公用ヲ廢シタルトキハ地方行政廳ハ之ヲ其ノ砂防設備ノ現在スル土地若ハ森林ノ所有者ニ下付スルコトヲ得