甘味資源特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十九年三月三十一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第四十一号
甘味資源特別措置法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
甘味資源作物の生産の振興(第三条―第十二条)
第三章
生産振興地域における国内産糖製造事業(第十三条―第十九条)
第四章
国内産糖の政府買入れ(第二十条―第二十三条)
第五章
国内産ぶどう糖の政府買入れ等(第二十四条―第二十八条)
第六章
甘味資源審議会及び都道府県甘味資源作物生産振興審議会(第二十九条―第三十五条)
第七章
雑則(第三十六条―第三十八条)
第八章
罰則(第三十九条―第四十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、適地における甘味資源作物の生産の振興及び当該生産に係る甘味資源作物又は国内産のでん粉をおもな原料として使用する砂糖類の製造工業の健全な発展を図るために必要な措置を講ずることにより、農業経営の改善と農家所得の安定、砂糖類の自給度の向上及び甘味資源に係る国際競争力の強化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「甘味資源作物」とは、てん菜及びさとうきびをいう。
2 この法律において「国内産糖」とは、国内産の甘味資源作物を原料として製造される砂糖をいう。
3 この法律において「国内産ぶどう糖」とは、国内産の甘しよでん粉又は馬鈴しよでん粉を原料として製造されるぶどう糖をいう。
4 この法律において「砂糖類」とは、砂糖及びぶどう糖をいう。
第二章 甘味資源作物の生産の振興
(需要及び生産の長期見通し)
第三条 政府は、砂糖類及び甘味資源作物を農業基本法(昭和三十六年法律第百二十七号)第八条第一項(重要農産物についての需要及び生産の長期見通しの樹立)の重要な農産物として、これらにつき、同項の規定により需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。
(生産振興地域の指定)
第四条 農林大臣は、てん菜及びさとうきびごとに、次の各号に掲げる要件のすべてを備える一定の区域であつて、当該区域における農業経営の改善を図るため甘味資源作物の生産を計画的に振興することが特に必要であると認められるものをてん菜生産振興地域又はさとうきび生産振興地域(以下「生産振興地域」と総称する。)として指定することができる。
一 当該区域における気象条件及び当該区域内の農地の相当部分に係る土じようその他の自然的条件が甘味資源作物の栽培に適する政令で定める条件に適合していること。
二 当該区域における農作物の作付の体系、競合農作物の状況、農業労働条件その他の農業経営の条件に照らして、当該区域内における甘味資源作物の生産が安定的に増大する見込みが確実であること。
三 当該区域内において生産される甘味資源作物の生産数量が、一又は二以上の合理的な経営規模の国内産糖の製造事業を安定的に成立させるために必要な数量として政令で定める数量に達しており、又はこれに達する見込みが確実であること。
2 農林大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。
(指定の申出)
第五条 都道府県知事は、その区域における農業経営の改善を図るため甘味資源作物の生産を計画的に振興することが特に必要と認められる一定の区域につき、前条第一項の規定による指定をすべき旨を農林大臣に申し出ることができる。
(区域の変更)
第六条 農林大臣は、甘味資源作物の生産事情、経済事情等に変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、生産振興地域の区域を変更することができる。
2 前項の規定による変更は、その変更後の区域が第四条第一項各号に掲げる要件のすべてを備える区域であり、かつ、その区域における農業経営の改善を図るため当該甘味資源作物の生産を計画的に振興することが特に必要と認められる場合でなければ、することができない。
3 第四条第二項及び前条の規定は、第一項の規定による変更について準用する。
(指定の解除)
第七条 農林大臣は、生産振興地域が第四条第一項各号に掲げる要件の全部又は一部を欠くに至つたときは、生産振興地域の指定を解除しなければならない。
2 第四条第二項及び第五条の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。
(指定等の告示)
第八条 第四条第一項の規定による指定、第六条第一項の規定による区域の変更及び前条第一項の規定による指定の解除は、告示してしなければならない。
(生産振興計画の樹立)
第九条 生産振興地域の区域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は、当該区域内において生産される当該甘味資源作物につき、農林省令で定めるところにより、毎年、生産振興計画をたて、農林大臣の承認を受けなければならない。
2 生産振興計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 作付面積及び生産数量に関する事項
二 土地改良その他生産基盤の整備に関する事項
三 優良種苗の生産及び普及に関する事項
四 裁培技術の改善に関する事項
五 農業経営の合理化に関する事項
六 集荷及び販売に関する事項
七 その他必要な事項
3 都道府県知事は、生産振興計画をたてようとするときは、関係市町村及び農林省令で定める農業団体等の意見を聞かなければならない。
4 都道府県知事は、生産振興計画につき第一項の承認を受けたときは、その概要を公示しなければならない。
(生産振興計画の変更)
第十条 都道府県知事は、生産振興計画を変更しようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。
2 前条第三項及び第四項の規定は、生産振興計画の変更について準用する。
(生産振興計画の実施に係る助成)
第十一条 政府は、毎年度、予算の範囲内において、生産振興地域の区域の全部又は一部をその区域の全部又は一部とする都道府県に対し、第九条第一項の承認(生産振興計画を変更した場合にあつては、その変更に係る前条第一項の承認を含む。)を受けた生産振興計画の実施に要する経費の一部を補助することができる。
(生産振興計画の達成のための援助)
第十二条 農林大臣及び都道府県知事は、甘味資源作物を生産する者又はその者の組織する団体に対し、前条の生産振興計画の達成を図るため、助言、指導、資金の融通のあつせんその他必要な援助を行なうよう努めるものとする。
第三章 生産振興地域における国内産糖製造事業
(指定製造施設の設置の承認)
第十三条 甘味資源作物を原料として国内産糖を製造する施設で政令で定めるもの(以下「指定製造施設」という。)を生産振興地域の区域内において新たに設置しようとする者は、農林省令で定める手続により、農林大臣の承認を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の承認の申請が次の各号に掲げる要件のすべてに適合していると認められるときは、同項の承認をしなければならない。
一 当該承認をすることによつて、当該生産振興地域の区域内に設置される指定製造施設についての原料処理能力が、第三条及び農業基本法第八第一項の規定により公表された甘味資原作物に係る長期見通し等から推定される当該区域内における当該甘味資源作物の生産の長期の見通しに照らして著しく過大にならないこと。
二 当該申請に係る指定製造施設についての原料処理能力が当該事業を合理的に経営するために必要と認められる規模のものであり、かつ、その施設が効率的なものであること。
三 当該申請に係る指定製造施設の設置の場所が当該事業の合理的な経営に適する立地条件を備えていること。
四 当該申請に係る指定製造施設についての原料処理能力に見合う当該甘味資源作物の数量を当該生産振興地域の区域内において確保する見込みが確実であること。
五 当該事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
六 その他当該承認をすることによつて、当該生産振興地域の区域内における当該甘味資源作物の生産又はその区域内に設置される指定製造施設による当該事業の健全な発展が阻害されることとならないこと。
(既存指定製造施設に係る届出)
第十四条 生産振興地域の指定又は生産振興地域の区域の変更があつた場合において、その指定又は区域の変更の際現にその区域(区域の変更の場合にあつては、その変更によつて新たに生産振興地域の区域となつた地域)内において指定製造施設を設置している者(当該区域内においてその新設に係る工事が行なわれている場合のその設置者を含む。)は、その指定又は区域の変更があつた日から三十日以内に、農林省令で定める事項を農林大臣に届け出なければならない。
(指定製造施設の変更の承認)
第十五条 生産振興地域の区域内に設置されている指定製造施設(以下「地域内指定製造施設」という。)につき農林省令で定める変更をしようとする者は、農林省令で定める手続により、農林大臣の承認を受けなければならない。
2 第十三条第二項の規定は、前項の承認について準用する。
(承認の条件)
第十六条 第十三条第一項及び前条第一項の承認には、条件を附することができる。
2 前項の条件は、当該承認に係る指定製造施設の適確な設置及び当該指定製造施設による当該事業の適正な運営を確保するため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該承認を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(事業開始等の届出)
第十七条 地域内指定製造施設につき、当該事業を開始し、当該事業を廃止し、又は農林省令で定める一定期間以上継続して当該事業を休止する者は、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
(地域内に国内産糖製造事業者に対する指示及び勧告)
第十八条 農林大臣は、生産振興地域の区域内における農業経営の改善と農家所得の安定を図るため、地域内指定製造施設により当該生産振興地域の区域内において生産される当該甘味資源作物を原料として国内産糖を製造する事業(以下「地域内国内産糖製造事業」という。)を行なう者(以下「地域内国内産糖製造事業者」という。)に対し、当該生産振興地域の区域内において生産される当該甘味資源作物に係るその生産者からの買入れの価格その他その生産者との取引の条件及び方法、その買入れを行なう区域並びにこれを原料とする国内産糖の製造及びその貯蔵に関し、必要な指示をすることができる。
2 農林大臣は、前項の規定による指示をしたときは、その旨を公表するものとする。
第十九条 農林大臣は、地域内国内産糖製造事業の合理化を促進するため必要があるときは、地域内国内産糖製造事業者に対し、当該事業に係る経営の改善、当該事業の休止、当該事業に係る経営の共同化、地域内指定製造施設の譲渡その他の措置を講ずべき旨を勧告することができる。
2 農林大臣は、前項の規定による勧告に従い必要な措置を講ずる者に対し、資金の融通のあつせんその他必要な援助を行なうよう努めるものとする。
第四章 国内産糖の政府買入れ
(政府買入れをする場合)
第二十条 政府は、砂糖の価格が第二十三条第一項の規定により定められている国内産糖の政府の買入れの価格より低落した場合において、必要があるときは、農林省令で定めるところにより、地域内国内産糖製造事業者から、その製造する国内産糖の買入れをすることができる。
(政府買入れの対象となる国内産糖の種類等)
第二十一条 前条の規定により政府が買い入れる国内産糖は、生産振興地域の区域内において生産された当該甘味資源作物で、てん菜及びさとうきびごとにその生産者販売価格の最低基準となるものとして農林大臣が定める価格(以下「最低生産者価格」という。)を下らない価格でその生産者から買い入れられたものを原料として当該地域内指定製造施設により製造された国内産糖であつて、農林省令で定める種類、規格及び生産年のものに限るものとする。
2 前項の場合において、国内産糖が、生産振興地域の区域内において生産された当該甘味資源作物で最低生産者価格を下らない価格でその生産者から買い入れられたものを原料として製造されたものかどうかの認定の手続は、前条の農林省令で定めるものとする。
(最低生産者価格)
第二十二条 最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリテイ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるものとする。
2 最低生産者価格は、てん菜にあつては毎年一月一日から十二月三十一日までには種されるもの、さとうきびにあつては毎年十月一日から翌年九月三十日までに収穫されるものにつき、そのは種又は収穫が開始される時期を基準として政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 最低生産者価格は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があるときは、改定することができる。この場合には、農林大臣は、遅滞なく、改定後の最低生産者価格を告示しなければならない。
(政府買入れの価格)
第二十三条 第二十条の規定による政府の買入れの価格は、その原料たる甘味資源作物の最低生産者価格に、当該甘味資源作物の買入れ並びにこれを原料とする国内産糖の製造及びその政府への売渡しに要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、第十八条第一項の規定による甘味資源作物に係るその生産者からの買入れの価格についての指示をした場合には当該指示に係る事項を参酌して、農林大臣が定める。
2 前項の政府の買入れの価格は、毎年、政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 前条第三項の規定は、第一項の政府の買入れの価格について準用する。
第五章 国内産ぶどう糖の政府買入れ等
(政府買入れをする場合)
第二十四条 政府は、砂糖の価格が著しく低落した場合において、国内産ぶどう糖の生産を維持してその原料でん粉の原料となる国内産の甘しよ及び馬鈴しよの需要の確保を図るため必要があるときは、農林省令で定めるところにより、国内産ぶどう糖の製造事業を行なう者(以下「ぶどう糖製造事業者」という。)から、その製造する国内産ぶどう糖の買入れをすることができる。
(政府買入れの対象となる国内産ぶどう糖の種類等)
第二十五条 前条の規定により政府が買い入れる国内産ぶどう糖は、農林省令で定める種類、規格及び生産年のものに限るものとする。
(政府買入れの価格)
第二十六条 第二十四条の規定による政府の買入れの価格は、政令で定めるところにより、農産物価格安定法(昭和二十八年法律第二百二十五号)第五条第一項(農産物等の買入価格の算定方法)の甘しよでん粉の買入基準価格に運賃その他の諸掛りを加え、これに甘しよでん粉を原料とする国内産ぶどう糖の製造及びその政府への売渡しに要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準として、農林大臣が定める。
2 前項の政府の買入れの価格は、毎年、政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 第二十二条第三項の規定は、第一項の政府の買入れの価格について準用する。
(政府買入れに係る国内産ぶどう糖の売渡し)
第二十七条 政府は、第二十四条の規定により買い入れた国内産ぶどう糖を、政令で定めるところにより、随意契約により売り渡すことができる。
2 前項の規定により国内産ぶどう糖を随意契約により売り渡す場合における予定価格は、政令で定めるところにより、ぶどう糖の市価、砂糖の市価及び物価その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
(ぶどう糖製造事業者に対する勧告)
第二十八条 農林大臣は、国内産ぶどう糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があるときは、ぶどう糖製造事業者に対し、当該事業に係る経営の改善、当該事業に係る経営の共同化、国内産ぶどう糖製造施設の譲渡その他の措置を講ずべき旨を勧告することができる。
2 農林大臣は、前項の規定による勧告に従い必要な措置を講ずる者に対し、資金の融通のあつせんその他必要な援助を行なうよう努めるものとする。
第六章 甘味資源審議会及び都道府県甘味資源作物生産振興審議会
(設置)
第二十九条 農林省に、甘味資源審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(権限)
第三十条 審議会は、農林大臣の諮問に応じ、甘味資源作物の生産の振興、砂糖類の製造事業の合理化、でん粉の原料となる甘しよ及び馬鈴しよの需要の確保その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。
2 審議会は、前項に規定する事項に関し、農林大臣及び関係各大臣に意見を述べることができる。
(組織)
第三十一条 審議会は、委員二十五人以内で組織する。
2 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。
3 委員及び専門委員は、前条第一項に規定する事項に関し学識経験を有する者のうちから、農林大臣が任命する。
4 委員及び専門委員は、非常勤とする。
(会長)
第三十二条 審議会に、会長を置く。
2 会長は、委員が互選する。
3 会長は、会務を総理する。
4 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理する。
(部会)
第三十三条 審議会に、部会を置くことができる。
2 部会に属すべき委員及び専門委員は、会長が指名する。
(農林省令への委任)
第三十四条 この章に規定するもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、農林省令で定める。
(都道府県甘味資源作物生産振興審議会)
第三十五条 生産振興地域の区域の全部又は一部をその区域の全部又は一部とする都道府県は、都道府県知事の諮問に応じ甘味資源作物の生産の振興に関する重要事項を調査審議させるため、条例で、都道府県甘味資源作物生産振興審議会を置くことができる。
2 都道府県甘味資源作物生産振興審議会に関し必要な事項は、条例で定める。
第七章 雑則
(報告及び検査)
第三十六条 農林大臣は、甘味資源作物の生産費の調査に必要な限度において、甘味資源作物の生産者から必要な事項に関する報告をさせることができる。
第三十七条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、地域内国内産糖製造事業者若しくはぶどう糖製造事業者に対し、必要な事項に関する報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(事業の停止命令)
第三十八条 農林大臣は、第十三条第一項又は第十五条第一項の承認を受けた者(その者の一般承継人その他の承継人で、農林省令で定めるものを含む。)が第十六条第一項の規定により当該承認に附された条件に違反したときは、その者に対し、一年以内の期間を定めて、その承認に係る地域内指定製造施設による当該事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
第八章 罰則
第三十九条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条第一項の規定に違反して指定製造施設を新たに設置した者
二 第十五条第一項の規定に違反して地域内指定製造施設につき同項の農林省令で定める変更をした者
三 前条の規定による事業の停止の命令に違反した者
第四十条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十四条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第三十六条若しくは第三十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第三十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第四十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
第四十二条 第十七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(国内産糖の政府買入れに係る特例)
第二条 政府は、当分の間、第二十条の規定による買入れのほか、地域内指定製造施設の新設の当初においてその新設をした者が当該甘味資源作物の集荷等の面で受ける著しい不利を補正する必要がある場合その他政令で定める特別の事由がある場合において、特に必要があるときは、農林省令で定めるところにより、当該地域内国内産糖製造事業者(農林省令で定める特別の事由がある国内産糖の製造事業者を含む。)から、その製造する国内産糖の買入れをすることができる。
2 前項の規定による政府の買入れの価格は、その原料たる甘味資源作物の最低生産者価格に、当該甘味資源作物の買入れ並びにこれを原料とする国内産糖の製造及びその政府への売渡しに要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、当該甘味資源作物の生産事情、集荷事情その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
3 農林大臣は、前項の政府の買入れの価格を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
4 第二十一条の規定は第一項の規定により政府が買い入れる国内産糖について、第二十二条第三項の規定は第二項の政府の買入れの価格について、それぞれ、準用する。この場合において、第二十一条第一項中「生産振興地域の区域内」とあるのは「生産振興地域の区域(農林大臣が指定する区域を含む。以下この条において同じ。)内」と、「当該地域内指定製造施設」とあるのは「当該地域内指定製造施設(農林大臣が指定する指定製造施設を含む。)」と読み替えるものとする。
(国内産ぶどう糖の政府買入れに係る特例)
第三条 政府は、当分の間、第二十四条の規定による買入れのほか、国内産ぶどう糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があるときは、農林省令で定めるところにより、ぶどう糖製造事業者から、その製造する国内産ぶどう糖の買入れをすることができる。
2 前項の規定による政府の買入れ価格は、政令で定めるところにより、農産物価格安定法第五条第一項の甘しよでん粉の買入基準価格に運賃その他の諸掛りを加え、これに甘しよでん粉を原料とする国内産ぶどう糖の製造及びその政府への売渡しに要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、でん粉の需給事情その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
3 農林大臣は、前項の政府の買入れの価格を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
4 第二十五条の規定は第一項の規定により政府が買い入れる国内産ぶどう糖について、第二十六条第三項の規定は第二項の政府の買入れの価格について、第二十七条の規定は第一項の規定により政府が買い入れた国内産ぶどう糖について、それぞれ、準用する。
(奄美群島復興実施計画との関係)
第四条 奄美群島復興特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第一条に規定する奄美群島の区域が生産振興地域の区域の全部又は一部となつた場合においては、鹿児島県知事は、同法第四条第一項の規定により作成する復興実施計画と第九条第一項の規定により当該生産振興地域についてたてる生産振興計画とが相互に矛盾することがないように配意するものとする。
(経過規定)
第五条 昭和三十八年においては種されるてん菜に係る最低生産者価格は、第二十二条第二項の規定にかかわらず、政令で定める期日までに告示するものとする。
(食糧管理特別会計法の一部改正)
第六条 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
第一条中「食糧及」を「食糧、」に改め、「(以下農産物等ト謂フ)」の下に「並甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)第二十条及第二十四条ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル国内産糖及国内産葡萄糖(以下砂糖類ト謂フ)」を加える。
第一条ノ二中「農産物等安定勘定」の下に「、砂糖類勘定」を加える。
第二条、第三条及び第四条ノ三中「及農産物等」を「、農産物等及砂糖類」に改める。
第六条ノ二の次に次の一条を加える。
第六条ノ二ノ二 砂糖類勘定ニ於テハ砂糖類ノ売渡代金、調整勘定ヨリノ受入金、一般会計ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ砂糖類ノ買入代金、砂糖類ノ買入及売渡ニ関スル諸費、業務勘定及調整勘定へノ繰入金其ノ他附属諸費ヲ以て其ノ歳出トス
前項ノ一般会計ヨリノ受入金ハ砂糖類勘定ノ決算上ノ損失ヲ補填スル為予算ノ定ムル所ニ依リ一般会計ヨリ之ヲ繰入ルルモノトス
第六条ノ三及び第六条ノ五第一項中「農産物等安定勘定」の下に、「、砂糖類勘定」を加える。
第六条ノ九中「及農産物等」を「、農産物等及砂糖類」に改める。
第八条ノ四の次に次の一条を加える。
第八条ノ四ノ二 砂糖類勘定ニ付テハ前条ノ規定ヲ準用ス
附則第五項中「及てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)ノ規定ニ依ル甜菜糖」を削り、「保管又ハ検査並飼料需給安定法ノ規定ニ依ル飼料ノ交換」を「交換又ハ保管」に、「ハ当分ノ間」を「及甘味資源特別措置法附則第二条第一項又ハ第三条第一項ノ規定ニ依ル国内産糖又ハ国内産葡萄糖ノ買入、売渡又ハ保管ニ関スル一切ノ歳入歳出ハ当分ノ間夫々」に改め、「農産物等安定勘定」の下に「及砂糖類勘定」を加え、「第二条、」を「第二条中「食糧、農産物等及砂糖類ノ買入代金」トアルハ「食糧、農産物等、砂糖類(甘味資源特別措置法附則第二条第一項及第三条第一項ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル国内産糖及国内産葡萄糖ヲ含ム以下同ジ)及飼料ノ買入代金並飼料ノ交換ニ伴フ支出」ト、」に、「食糧及農産物等」を「食糧、農産物等及砂糖類」に、「飼料及甜菜糖ノ買入代金並」を「砂糖類及飼料ノ買入代金並」に、「、飼料及甜菜糖ノ売渡代金」を「及飼料ノ売渡代金」に、「、飼料及甜菜糖ノ買入代金、」を「及飼料ノ買入代金、」に、「、飼料及甜菜糖ノ買入、」を「及飼料ノ買入、」に、「飼料及甜菜糖」」を「砂糖類及飼料」」に改める。
附則第五項の次に次の一項を加える。
政府ハ当分ノ間第六条ノ二ノ二第二項ノ規定ニ拘ラズ甘味資源特別措置法附則第二条第一項又ハ第三条第一項ノ規定ニ依リ買入レタル砂糖類ニ係ル砂糖類勘定ニ生ズル損失ヲ補填スル為予算ノ定ムル所ニ依リ一般会計ヨリ砂糖類勘定ニ繰入金ヲ為スコトヲ得
(食糧管理特別会計法の一部改正に伴う経過規定)
第七条 改正後の食糧管理特別会計法の規定は、次項に定めるものを除くほか、昭和三十九年度分以降の予算について適用し、昭和三十八年度分以前の予算については、なお従前の例による。ただし、昭和三十八年度分の予算については、改正前の食糧管理特別会計法附則第五項中「及てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)ノ規定ニ依ル甜菜糖」とあるのは「、てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)ノ規定ニ依ル甜菜糖及甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)ノ規定ニ依ル国内産糖又ハ国内産葡萄糖」と、「当分ノ間本会計」とあるのは「本会計」と、「及甜菜糖」とあるのは「、甜菜糖及甘味資源特別措置法ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル国内産糖又ハ国内産葡萄糖」とする。
2 食糧管理特別会計法第六条ノ八第二項第二号又は第三号の規定により食糧管理特別会計の予算に添附すべき前前年度又は前年度に係る書類については、昭和三十九年度分(前前年度に係る当該書類については、昭和四十年度分を含む。)の予算に限り、これらの規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 昭和三十九年三月三十一日における食糧管理特別会計の農産物等安定勘定の資産及び負債は、政令で定めるところにより、同会計の農産物等安定勘定又は砂糖類勘定にそれぞれ帰属するものとする。
(農林省設置法の一部改正)
第八条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四十八条第三号の二を次のように改める。
三の二 農産物等、国内産糖(甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)第二条第二項の国内産糖をいう。)及び国内産ぶどう糖(同条第三項の国内産ぶどう糖をいう。)の買入れ及び売渡しの価格の決定に関すること。
第五十一条第一項中「第五十四条」を「次条」に改め、第五十二条及び第五十三条を削り、第五十一条の次に次の一条を加える。
(米価審議会及び甘味資源審議会)
第五十二条 食糧庁に、附属機関として、米価審議会及び甘味資源審議会を置く。
第五十四条の見出しを削り、同条第一項中「食糧庁の附属機関として、米価審議会を置く。」を削り、同条を第五十三条とし、同条の次に次の一条を加える。
第五十四条 甘味資源審議会は、甘味資源特別措置法によりその権限に属させた事項を行なうことを目的とする機関とする。
2 前項に定めるもののほか、甘味資源審議会については、甘味資源特別措置法の定めるところによる。
大蔵大臣 田中角栄
農林大臣 赤城宗徳
内閣総理大臣 池田勇人