支那事変の勃発以降、軍事目的での船舶徴用が増加し、従来から船腹不足に悩む海運界は一層の圧迫を受けることとなった。このまま放置すれば配船や運賃市況に動揺を招くことが予想されたため、政府は応急措置として外国船等の沿岸貿易特許や業界の自制による配船の合理化を図ってきた。しかし、この状況が長期化あるいは更なる時局の進展により、業界の結束に破綻が生じ、国防上・経済上の障害が起こる恐れがある。そのため、重要物資の輸送、物価の調整、対外航権の維持等、非常時局における国家の必要性に応じて海運を適正に運行させるべく、本法案を提出するものである。
参照した発言:
第72回帝国議会 衆議院 本会議 第2号