国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年六月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十一号
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律
(目的)
第一條 この法律は、国際通貨基金(以下「基金」という。)及び国際復興開発銀行(以下「銀行」という。)へ加盟するために必要な措置を講じ、並びに国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定の円滑な履行を確保することを目的とする。
(出資額)
第二條 政府は、基金及び銀行に対し、それぞれ、この法律施行の日における基準外国為替相場(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七條第一項の基準外国為替相場をいう。)で換算した本邦通貨の金額が九百億円に相当する国際通貨基金協定第四條第一項(a)に規定する合衆国ドルの金額の範囲内において、出資することができる。
(出資の方法)
第三條 政府は、基金に対しては、金及び本邦通貨で、銀行に対しては、金又はアメリカ合衆国通貨その他の外国通貨及び本邦通貨で、前條の規定による出資をすることができる。
(日本銀行所有金地金の買入)
第四條 政府は、前條の規定により基金に出資する金の一部に充てるため、日本銀行に対し、その所有する金地金を、必要な量に限り、売渡を命じた時における帳簿価格で、政府に売り渡すことを命ずることができる。
2 前項の規定により日本銀行から買い入れた金地金に係る同項に規定する価格による金額と同項の規定により売渡を命じた時における金管理法(昭和二十五年法律第百二十八号)第六條に規定する価格による金額との差額については、別に法律で定めるところにより、処理するものとする。
(国債による出資)
第五條 政府は、第三條の規定により基金及び銀行に出資する本邦通貨に代えて、その一部を国債で出資することができる。
2 前項の規定により出資するため、政府は、必要な額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債には、利子を付けない。
4 第二項の規定により発行する国債は、第七條第一項の命令に従い買い取る場合を除く外、何人も、基金又は銀行から譲り受けることができない。
5 第二項の規定により発行する国債の交付価格は、額面百円につき百円とする。
(国債の償還)
第六條 政府は、基金又は銀行から前條第一項の規定により基金又は銀行に出資した国債の全部又は一部につき償還の請求を受けたときは、直ちにその償還をしなければならない。
(償還財源が不足する場合の措置)
第七條 政府は、第五條第一項の規定により基金又は銀行に出資した国債につき償還の請求を受けた場合において、緊急やむをえない事由があるため又は償還財源に不足があるため当該請求に係る金額の全部又は一部の償還を行うことができないときは、日本銀行に対し、政府が償還を行うことのできない金額に相当する額に限り、当該国債を基金又は銀行から買い取ることを命ずることができる。
2 政府は、前項の命令に従い日本銀行が買い取つた国債については、第五條第三項の規定にかかわらず、日本銀行が買い取つた日から利子を付け、及び償還期限を定めることができる。
3 前項の場合において、当該国債の償還期限及び利率は、第一項の規定により日本銀行が国債を買い取つた日の現況による他の国債の発行條件に準じて、大蔵大臣が定める。
(国債に関する細目)
第八條 前三條に規定するものの外、第五條第二項の規定により発行する国債(前條第一項の規定により日本銀行が買い取つた国債を含む。以下同じ。)に関し必要な事項は、大蔵大臣が定める。
(国債整理基金特別会計への繰入)
第九條 政府は、第五條第二項の規定により発行する国債の償金及び第七條第二項の規定による利子の支出に必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(国債整理基金特別会計法の適用)
第十條 第五條第二項の規定により発行する国債は、国債整理基金特別会計法(明治三十九年法律第六号)第二條第二項の規定の適用については、国債とみなさない。
(基金との取引)
第十一條 外国為替管理委員会は、大蔵大臣の同意を得て、外国為替資金特別会計の負担において、基金との間に左に掲げる取引を行うことができる。
一 本邦通貨による他の基金加盟国通貨の基金からの買入
二 金による他の基金加盟国通貨の基金からの買入
三 基金の保有する本邦通貨の買いもどし
四 前各号に掲げるものの外、大蔵大臣の指定する取引
(寄託所の指定)
第十二條 政府は、国際通貨基金協定第十三條第二項及び国際復興開発銀行協定第五條第十一項の規定に従い、基金及び銀行の保有するすべての本邦通貨の寄託所として日本銀行を指定する。この場合においては、日本銀行は、日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)第二十七條の規定にかかわらず、基金及び銀行の保有する本邦通貨の寄託所としての業務を行うものとする。
(実施規定)
第十三條 前各條に定めるものの外、国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定の履行のため必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年六月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百九十一号
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、国際通貨基金(以下「基金」という。)及び国際復興開発銀行(以下「銀行」という。)へ加盟するために必要な措置を講じ、並びに国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定の円滑な履行を確保することを目的とする。
(出資額)
第二条 政府は、基金及び銀行に対し、それぞれ、この法律施行の日における基準外国為替相場(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項の基準外国為替相場をいう。)で換算した本邦通貨の金額が九百億円に相当する国際通貨基金協定第四条第一項(a)に規定する合衆国ドルの金額の範囲内において、出資することができる。
(出資の方法)
第三条 政府は、基金に対しては、金及び本邦通貨で、銀行に対しては、金又はアメリカ合衆国通貨その他の外国通貨及び本邦通貨で、前条の規定による出資をすることができる。
(日本銀行所有金地金の買入)
第四条 政府は、前条の規定により基金に出資する金の一部に充てるため、日本銀行に対し、その所有する金地金を、必要な量に限り、売渡を命じた時における帳簿価格で、政府に売り渡すことを命ずることができる。
2 前項の規定により日本銀行から買い入れた金地金に係る同項に規定する価格による金額と同項の規定により売渡を命じた時における金管理法(昭和二十五年法律第百二十八号)第六条に規定する価格による金額との差額については、別に法律で定めるところにより、処理するものとする。
(国債による出資)
第五条 政府は、第三条の規定により基金及び銀行に出資する本邦通貨に代えて、その一部を国債で出資することができる。
2 前項の規定により出資するため、政府は、必要な額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債には、利子を付けない。
4 第二項の規定により発行する国債は、第七条第一項の命令に従い買い取る場合を除く外、何人も、基金又は銀行から譲り受けることができない。
5 第二項の規定により発行する国債の交付価格は、額面百円につき百円とする。
(国債の償還)
第六条 政府は、基金又は銀行から前条第一項の規定により基金又は銀行に出資した国債の全部又は一部につき償還の請求を受けたときは、直ちにその償還をしなければならない。
(償還財源が不足する場合の措置)
第七条 政府は、第五条第一項の規定により基金又は銀行に出資した国債につき償還の請求を受けた場合において、緊急やむをえない事由があるため又は償還財源に不足があるため当該請求に係る金額の全部又は一部の償還を行うことができないときは、日本銀行に対し、政府が償還を行うことのできない金額に相当する額に限り、当該国債を基金又は銀行から買い取ることを命ずることができる。
2 政府は、前項の命令に従い日本銀行が買い取つた国債については、第五条第三項の規定にかかわらず、日本銀行が買い取つた日から利子を付け、及び償還期限を定めることができる。
3 前項の場合において、当該国債の償還期限及び利率は、第一項の規定により日本銀行が国債を買い取つた日の現況による他の国債の発行条件に準じて、大蔵大臣が定める。
(国債に関する細目)
第八条 前三条に規定するものの外、第五条第二項の規定により発行する国債(前条第一項の規定により日本銀行が買い取つた国債を含む。以下同じ。)に関し必要な事項は、大蔵大臣が定める。
(国債整理基金特別会計への繰入)
第九条 政府は、第五条第二項の規定により発行する国債の償金及び第七条第二項の規定による利子の支出に必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(国債整理基金特別会計法の適用)
第十条 第五条第二項の規定により発行する国債は、国債整理基金特別会計法(明治三十九年法律第六号)第二条第二項の規定の適用については、国債とみなさない。
(基金との取引)
第十一条 外国為替管理委員会は、大蔵大臣の同意を得て、外国為替資金特別会計の負担において、基金との間に左に掲げる取引を行うことができる。
一 本邦通貨による他の基金加盟国通貨の基金からの買入
二 金による他の基金加盟国通貨の基金からの買入
三 基金の保有する本邦通貨の買いもどし
四 前各号に掲げるものの外、大蔵大臣の指定する取引
(寄託所の指定)
第十二条 政府は、国際通貨基金協定第十三条第二項及び国際復興開発銀行協定第五条第十一項の規定に従い、基金及び銀行の保有するすべての本邦通貨の寄託所として日本銀行を指定する。この場合においては、日本銀行は、日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)第二十七条の規定にかかわらず、基金及び銀行の保有する本邦通貨の寄託所としての業務を行うものとする。
(実施規定)
第十三条 前各条に定めるものの外、国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定の履行のため必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人