通訳案内業法
法令番号: 法律第210号
公布年月日: 昭和24年6月15日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

通訳案内業者は外客接遇の第一線に立ち、その素質は外客誘致事業に大きな影響を与える。特に日本語は欧米の言語と根本的に異なるため、語学力に加え、日本を正しく紹介するための教養と経験が必要である。しかし、従来の案内業者取締規則が1947年末に失効し、現在は無秩序な状態となっている。ガイド団体や観光事業関係機関からも新法律制定の要望があり、これを受けて本法案を提出した。主な改正点は、試験と免許の分離、免許更新制度の導入、業者の取締りの民主化である。また、既存の免許所持者の既得権にも配慮している。

参照した発言:
第5回国会 衆議院 運輸委員会 第10号

審議経過

第5回国会

衆議院
(昭和24年4月23日)
参議院
(昭和24年4月23日)
衆議院
(昭和24年4月25日)
参議院
(昭和24年4月25日)
(昭和24年5月18日)
(昭和24年5月20日)
衆議院
(昭和24年5月21日)
(昭和24年5月22日)
(昭和24年5月31日)
参議院
(昭和24年6月1日)
通訳案内業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百十号
通訳案内業法
(目的)
第一條 この法律は、通訳案内業の健全な発達を図り、外客接遇の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「通訳案内業」とは、報酬を受けて、外國人に附き添い、外國語を用いて、旅行に関する案内をする業をいう。
(免許)
第三條 通訳案内業を営もうとする者は、運輸大臣の行う試驗に合格し、都道府縣知事の免許を受けなければならない。
(欠格條項)
第四條 左の各号の一に該当する者には、免許を與えない。
一 一年以上の懲役又は禁この刑に処せられた者で、刑の執行を終り、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
二 精神病又は傳染性の疾病にかかつている者
三 第十四條第一項第三号又は第四号の規定により免許を取り消された者で、免許を取り消された日から一年を経過しないもの
(試驗)
第五條 第三條の試驗は、左の科目について行う。
一 外國語
二 日本地理
三 日本歴史
四 産業、経済、政治及び文化に関する一般常識
五 人物考査
2 第三條の試驗を受けようとする者は、手数料として五百円を納めなければならない。
(不正受驗者の処分)
第六條 不正な手段により第三條の試驗に合格しようとした者に対しては、その試驗を停止し、又はその合格を無効とする。
2 前項の者に対しては、三年以内において期間を定め、試驗を受けさせないことができる。
(免許証の交付)
第七條 都道府縣知事は、第三條の免許を與えたときは、免許証を交付しなければならない。
(免許の更新)
第八條 第三條の免許は、五年目ごとに、申請により更新を受けなければ、その効力を失う。
(免許証の再交付等)
第九條 通訳案内業を営む者(以下「通訳案内業者」という。)は、免許証を亡失し、若しくは著しく損じたとき、又は免許証の記載事項に変更を生じたときは、直ちに都道府縣知事にその再交付又は書換を申請しなければならない。
(免許手数料等)
第十條 第三條の免許、第八條の免許の更新又は前條の免許証の再交付若しくは書換を受けようとする者は、省令の定めるところにより、手数料を納めなければならない。
2 前項の手数料の額は、三百円以下の範囲内において、省令で定める。
(免許の申請手続等)
第十一條 前八條に規定するものの外、免許の申請及び更新、第三條の試驗並びに免許証の交付、書換、再交付及び返納について必要な事項は、省令で定める。
(免許証の携帶)
第十二條 通訳案内業者は、就業中免許証を携帶し、当該官吏吏員又は通訳案内を受ける者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
2 当該官吏吏員が前項の請求をするには、その身分を示す証票を携帶し、通訳案内業者の要求があるときは、これを示さなければならない。
(禁止行爲)
第十三條 通訳案内業者は、左の行爲をしてはならない。
一 通訳案内を受ける者のためにする物品の購買その他のあつ旋について、販賣業者その他の関係者に対し金品を要求すること。
二 通訳案内を強要すること。
三 免許証を他人に貸與すること。
(免許の取消等)
第十四條 通訳案内業者が左の各号の一に該当するときは、都道府縣知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めて営業の停止を命ずることができる。
一 一年以上の懲役又は禁この刑に処せられたとき。
二 精神病又は傳染病の疾病にかかつたとき。
三 前條の規定に違反したとき。
四 前号の外その業務に関して不正な行爲をしたとき。
2 都道府縣知事は、前項の処分をしようとするときは、当該通訳案内業者に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聽問をしなければならない。当該通訳案内業者又はその代理人は、公開による聽問の場所において、都道府縣知事に対し意見を述べ、又は証拠を提出することができる。
(團体の届出)
第十五條 通訳案内業者の團体は、省令の定めるところにより、行政廳に対し、その成立又は解散の届出をしなければならない。
(訴願及び訴訟の提起)
第十六條 この法律又はこの法律に基く命令により行政廳のした処分に不服のある者は、運輸大臣に訴願をすることができ、又裁判所に違法な処分の取消又は変更の訴訟を提起することができる。
(罰則)
第十七條 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三條の免許を有しないで通訳案内業を営んだ者
二 第十四條の規定による営業の停止の処分に違反して通訳案内業を営んだ者
第十八條 第十三條の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十九條 第十二條第一項の規定に違反した者は、千円以下の過料に処する。
2 通訳案内業者の團体が第十五條の規定による届出を怠り、又は虚僞の届出をしたときは、その團体の代表者又は管理者を千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 旧案内業者取締規則(明治四十年内務省令第二十一号)第一條の規定により免許を受けた者は、この法律により運輸大臣の行う試驗に合格した者とみなす。
3 前項の者でこの法律施行の際現に通訳案内業を営むものは、この法律施行の日から三箇月間は、第三條及び第十二條の規定にかかわらず、免許を受けず且つ免許証を携帶しないでも、通訳案内業を営むことができる。
内閣総理大臣 吉田茂
運輸大臣 大屋晋三
通訳案内業法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年六月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百十号
通訳案内業法
(目的)
第一条 この法律は、通訳案内業の健全な発達を図り、外客接遇の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「通訳案内業」とは、報酬を受けて、外国人に附き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をする業をいう。
(免許)
第三条 通訳案内業を営もうとする者は、運輸大臣の行う試験に合格し、都道府県知事の免許を受けなければならない。
(欠格条項)
第四条 左の各号の一に該当する者には、免許を与えない。
一 一年以上の懲役又は禁この刑に処せられた者で、刑の執行を終り、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
二 精神病又は伝染性の疾病にかかつている者
三 第十四条第一項第三号又は第四号の規定により免許を取り消された者で、免許を取り消された日から一年を経過しないもの
(試験)
第五条 第三条の試験は、左の科目について行う。
一 外国語
二 日本地理
三 日本歴史
四 産業、経済、政治及び文化に関する一般常識
五 人物考査
2 第三条の試験を受けようとする者は、手数料として五百円を納めなければならない。
(不正受験者の処分)
第六条 不正な手段により第三条の試験に合格しようとした者に対しては、その試験を停止し、又はその合格を無効とする。
2 前項の者に対しては、三年以内において期間を定め、試験を受けさせないことができる。
(免許証の交付)
第七条 都道府県知事は、第三条の免許を与えたときは、免許証を交付しなければならない。
(免許の更新)
第八条 第三条の免許は、五年目ごとに、申請により更新を受けなければ、その効力を失う。
(免許証の再交付等)
第九条 通訳案内業を営む者(以下「通訳案内業者」という。)は、免許証を亡失し、若しくは著しく損じたとき、又は免許証の記載事項に変更を生じたときは、直ちに都道府県知事にその再交付又は書換を申請しなければならない。
(免許手数料等)
第十条 第三条の免許、第八条の免許の更新又は前条の免許証の再交付若しくは書換を受けようとする者は、省令の定めるところにより、手数料を納めなければならない。
2 前項の手数料の額は、三百円以下の範囲内において、省令で定める。
(免許の申請手続等)
第十一条 前八条に規定するものの外、免許の申請及び更新、第三条の試験並びに免許証の交付、書換、再交付及び返納について必要な事項は、省令で定める。
(免許証の携帯)
第十二条 通訳案内業者は、就業中免許証を携帯し、当該官吏吏員又は通訳案内を受ける者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
2 当該官吏吏員が前項の請求をするには、その身分を示す証票を携帯し、通訳案内業者の要求があるときは、これを示さなければならない。
(禁止行為)
第十三条 通訳案内業者は、左の行為をしてはならない。
一 通訳案内を受ける者のためにする物品の購買その他のあつ旋について、販売業者その他の関係者に対し金品を要求すること。
二 通訳案内を強要すること。
三 免許証を他人に貸与すること。
(免許の取消等)
第十四条 通訳案内業者が左の各号の一に該当するときは、都道府県知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めて営業の停止を命ずることができる。
一 一年以上の懲役又は禁この刑に処せられたとき。
二 精神病又は伝染病の疾病にかかつたとき。
三 前条の規定に違反したとき。
四 前号の外その業務に関して不正な行為をしたとき。
2 都道府県知事は、前項の処分をしようとするときは、当該通訳案内業者に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聴問をしなければならない。当該通訳案内業者又はその代理人は、公開による聴問の場所において、都道府県知事に対し意見を述べ、又は証拠を提出することができる。
(団体の届出)
第十五条 通訳案内業者の団体は、省令の定めるところにより、行政庁に対し、その成立又は解散の届出をしなければならない。
(訴願及び訴訟の提起)
第十六条 この法律又はこの法律に基く命令により行政庁のした処分に不服のある者は、運輸大臣に訴願をすることができ、又裁判所に違法な処分の取消又は変更の訴訟を提起することができる。
(罰則)
第十七条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三条の免許を有しないで通訳案内業を営んだ者
二 第十四条の規定による営業の停止の処分に違反して通訳案内業を営んだ者
第十八条 第十三条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十九条 第十二条第一項の規定に違反した者は、千円以下の過料に処する。
2 通訳案内業者の団体が第十五条の規定による届出を怠り、又は虚偽の届出をしたときは、その団体の代表者又は管理者を千円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 旧案内業者取締規則(明治四十年内務省令第二十一号)第一条の規定により免許を受けた者は、この法律により運輸大臣の行う試験に合格した者とみなす。
3 前項の者でこの法律施行の際現に通訳案内業を営むものは、この法律施行の日から三箇月間は、第三条及び第十二条の規定にかかわらず、免許を受けず且つ免許証を携帯しないでも、通訳案内業を営むことができる。
内閣総理大臣 吉田茂
運輸大臣 大屋晋三