(監理委員会の委員及び総裁の任命の事前措置)
第一條 内閣は、日本國有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)施行前に、同法第十二條の例により、日本國有鉄道の監理委員会の委員となるべき者を指名することができる。
2 内閣は、日本國有鉄道法施行前に、同法第二十條第一項及び第二項並びに同法第二十一條の例により、前項の規定による委員となるべき者の推薦に基き、日本國有鉄道の総裁となるべき者を指名することができる。
3 前二項において日本國有鉄道法第十二條又は同法第二十一條の例による場合において、同法第十二條第三項第五号中「日本國有鉄道」とあるのは「國有鉄道、國有鉄道に関連する國営船舶及び國営自動車並びにこれらの附帶事業に関して運輸省」と読み替えるものとする。
4 日本國有鉄道法第十七條の規定は、第一項の規定による委員となるべき者に準用する。
5 第一項又は第二項の規定により指名された委員となるべき者及び総裁となるべき者は、日本國有鉄道法施行の時において、同法の規定によりそれぞれ日本國有鉄道の最初の監理委員会の委員又は総裁に任命されたものとする。
(職員の引継)
第二條 日本國有鉄道法施行の際、現に運輸省職員(運輸部内の官吏、官吏の待遇を受ける者、雇員及び見習雇員をいう。以下同じ。)であつて、運輸省鉄道総局等主として國有鉄道、國有鉄道に関連する國営船舶及び國営自動車並びにこれらの附帶事業に関する事務を所掌する部局その他の機関であつて運輸大臣の定めるものに勤務するものは、運輸大臣の指名する者を除き、同法施行の際運輸省職員としての身分を失い、日本國有鉄道に引き継がれるものとする。
2 日本國有鉄道法施行の際、現に運輸省職員であつて、大臣官房等國有鉄道、國有鉄道に関連する國営船舶及び國営自動車並びにこれらの附帶事業に関する事務を所掌する部局その他の機関(前項の規定により運輸大臣の定めるものを除く。)に勤務するものは、運輸大臣の指名する者に限り、同法施行の際運輸省職員としての身分を失い、日本國有鉄道に引き継がれるものとする。
3 前二項の規定により、運輸省職員が、日本國有鉄道に引き継がれる場合においては、その者に対する退官退職手当は、支給しない。
4 前項に規定する者が政府の職員として勤務した期間は、退職金の計算については、日本國有鉄道に勤務した期間とみなす。
(地方公共團体の議会の議員たる者の暫定措置)
第三條 前條第一項又は第二項の規定により日本國有鉄道の職員となつた者であつて、日本國有鉄道法施行の際現に地方公共團体の議会の議員であるものは、その任期中は引き続きその議員であることができる。
(権利義務の承継)
第四條 國有鉄道、國有鉄道に関連する國営船舶及び國営自動車並びにこれらの附帶事業に関し、日本國有鉄道法施行の際現に國が有する権利義務は、別に定めるものを除く外、その時において日本國有鉄道が承継する。
(訴訟の受継)
第五條 前條に規定する事業に関し、國を当事者とする訴訟であつて、日本國有鉄道法施行の際現に係属しているものは、その時において日本國有鉄道が受け継ぐ。同條に規定する事業に関し、これを所管する行政廳を当事者とする訴訟で前段と同樣なものは、日本國有鉄道の総裁が受け継ぐ。
(共済組合に関する暫定措置)
第六條 日本國有鉄道法施行の際、現に國家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)第二條第二項第八号の規定による共済組合の組合員であつて、第二條第一項又は第二項の規定により日本國有鉄道に引き継がれないものは、日本國有鉄道法施行後当分の間、引き続き日本國有鉄道法第五十七條第二項の規定により日本國有鉄道に設けられる共済組合(以下「國鉄共済組合」という。)の組合員とする。
2 國庫は、前項に規定する者に係る國家公務員共済組合法第六十九條第一項各号及び同法第九十二條に掲げる費用を負担するものとし、政府は、これを國鉄共済組合に拂い込まなければならない。
(不動産に関する登記の手続)
第七條 日本國有鉄道が第四條の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきすべき登記の嘱託書には、不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)第三十一條第一項の規定にかかわらず、登記義務者の承諾書を添付することを要しない。
2 日本國有鉄道の総裁が不動産に関する権利につき登記を嘱託する場合において、その役員又は職員を代理人と定め、その旨を官報で公告したときは、当該代理人は、不動産登記法第三十五條第一項第五号に掲げる書面を提出することを要しない。
(日本國有鉄道が引き継ぐ財産の範囲)
第八條 日本國有鉄道法施行の日において日本國有鉄道が政府から引き継ぐ財産は、昭和二十四年五月三十一日における國有鉄道事業特別会計の資産並びに公債及び借入金以外の負債とする。
(公債及び借入金の処理)
第九條 昭和二十四年五月三十一日において國有鉄道事業特別会計が負担する公債及び借入金は、日本國有鉄道法施行の日において、一般会計に帰属せしめる。
2 日本國有鉄道は、日本國有鉄道法施行の日において、前項に規定する公債及び借入金の金額に相当する額の債務を政府に対し負うものとする。
3 前項に規定する債務については、日本國有鉄道は、政府に対しその債務を表示する証書を交付するものとする。
4 第二項の規定により日本國有鉄道が政府に対し負う債務の償還期限、利率及び利子支拂期日は、第一項の規定により一般会計に帰属した公債及び借入金の償還期限、利率及び利子支拂期日によるものとする。
5 政府は、第一項の規定により一般会計に帰属した公債及び借入金の借換をした場合においては、その償還期限、利率及び利子支拂期日並びに公債についてはその発行價格に基き、第二項の規定により日本國有鉄道が政府に対し負う債務の償還期限、利率及び利子支拂期日を変更することができる。
(國庫余裕金の貸付)
第十條 政府は、日本國有鉄道において支拂上現金に不足があるときは、日本國有鉄道法第四十五條の規定による貸付として國庫余裕金を一時貸し付けることができる。
(資本金の額)
第十一條 日本國有鉄道法第五條に規定する資本金は、昭和二十四年五月三十一日における國有鉄道事業特別会計の資産の價額(調整勘定に計上する額を含む。)から負債の金額を控除した額に相当する金額とする。
(國有鉄道事業特別会計の残務の処理)
第十二條 國有鉄道事業特別会計における昭和二十三年度及び昭和二十四年度の予備費の使用、決算、財産及び出納その他会計に関する事務は、日本國有鉄道法施行の日以後は、從前の例により日本國有鉄道が行う。
(廳舎の無償貸付)
第十三條 日本國有鉄道は、日本國有鉄道法施行の際現に政府が使用している廳舎を政府に無償で貸し付けることができる。
(他の法令の改廃等)
第十四條 鉄道敷設法(大正十一年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
第一條中「帝國」を「本邦」に、「政府」を「日本國有鉄道」に改める。
第二條、第四條及び第五條を削り、第三條を第二條とする。
第十五條 國有鉄道運賃法(昭和二十三年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
第一條第一項中「國有鉄道(國有鉄道に関連する國営船舶を含む。)」を「日本國有鉄道の鉄道及び連絡船」に改める。
第五條、第七條第三項、第八條及び第九條中「運輸大臣」を、第八條中「國有鉄道」をそれぞれ「日本國有鉄道」に改める。
第九條の次に次の一條を加える。
第九條の二 第五條、第七條第三項及び第九條の規定により日本國有鉄道が左の各号に掲げる運賃及び料金を定める場合においては、運輸大臣の認可を受けなければならない。
第十六條 日本通運株式会社法(昭和十二年法律第四十六号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項中「政府」を「日本國有鉄道」に、同條第三項中「第一項」を「前項」に改め、同條第二項を削る。
第十七條 帝都高速度交通営團法(昭和十六年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。
第五條第一項中「政府」を「日本國有鉄道」に改め、同條第二項を削る。
第二十四條中「帝國鉄道会計」を「日本國有鉄道」に改め、同條後段を削る。
第十八條 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第十九條 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第二十條 通行税法(昭和十五年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。
附則中「國有鉄道(國有鉄道ニ関連スル國営船舶ヲ含ム以下同ジ)」を「日本國有鉄道ノ鉄道及連絡船」に、「運輸大臣」を「日本國有鉄道」に、「國有鉄道ノ乘客」を「日本國有鉄道ノ鉄道及連絡船ノ乘客」に改める。
第二十一條 國家公務員共済組合法の一部を次のように改正する。
第二十二條 大藏省預金部特別会計、國有鉄道事業特別会計、通信事業特別会計並びに簡易生命保險及び郵便年金特別会計の保險勘定及び年金勘定の昭和二十二年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律(昭和二十二年法律第百七十号)、政府職員の俸給等の支給に関する措置等に伴う大藏省預金部外三特別会計に対する一般会計の繰入金に関する法律(昭和二十三年法律第十三号)及び大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律(昭和二十三年法律第十八号)の一部をそれぞれ次のように改正する。
國有鉄道事業特別会計法(昭和二十二年法律第四十号)
地方鉄道及軌道に於ける納付金等に関する法律(昭和二十年法律第十九号)
地方鉄道軌道納付金委員会官制(昭和二十年勅令第二百九十号)
鉄道大臣に於て委託に依り陸運に関する機械器具等の製作、修理又は調達を爲すの件(昭和十七年勅令第三百六十九号)