(事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継等に関する計画)
第十九条 運輸大臣は、日本国有鉄道の事業等の承継法人への適正かつ円滑な引継ぎを図るため、閣議の決定を経て、その事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継等に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 承継法人に引き継がせる事業等の種類及び範囲に関する基本的な事項
二 承継法人に承継させる資産、債務並びにその他の権利及び義務に関する基本的な事項
三 日本国有鉄道の職員のうち承継法人の職員となるものの総数及び承継法人ごとの数
四 その他承継法人への事業等の適正かつ円滑な引継ぎに関する基本的な事項
3 運輸大臣は、基本計画を定めたときは、日本国有鉄道に対し、承継法人ごとに、その事業等の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する実施計画(以下「実施計画」という。)を作成すべきことを指示しなければならない。
4 実施計画は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項(第二十四条第一項から第三項までの規定により日本国有鉄道が日本鉄道建設公団から承継する資産、債務並びにその他の権利及び義務に関する事項を含む。)について記載するものとする。
一 当該承継法人に引き継がせる事業等の種類及び範囲
三 当該承継法人に承継させる国鉄長期債務その他の債務
四 前二号に掲げるもののほか、当該承継法人に承継させる権利及び義務
五 前各号に掲げるもののほか、当該承継法人への事業等の引継ぎに関し必要な事項
5 日本国有鉄道は、第三項の規定による指示があつたときは、基本計画に従い実施計画を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。
6 日本国有鉄道は、実施計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。ただし、運輸省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
7 日本国有鉄道は、前項ただし書の運輸省令で定める軽微な変更をしようとするときは、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(承継される財産の価格)
第二十条 承継法人が日本国有鉄道から承継する財産(第二十四条第一項及び第二項の規定により日本国有鉄道が日本鉄道建設公団から承継するものを含む。)の価格は、臨時に運輸省に置く評価審査会が決定する。
2 評価審査会は、前項の規定による決定をしようとするときは、その承継の際に見込まれる日本国有鉄道又は日本鉄道建設公団の会計における当該財産の帳簿価額を基準とするものとする。ただし、当該財産の種類、用途その他の事項を勘案して帳簿価額によることが適当でないと認めるときは、当該財産の帳簿価額によらないことができる。
3 前二項に定めるもののほか、評価審査会の組織及び運営並びに財産の価格の決定に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(事業等の引継ぎ)
第二十一条 第十九条第五項の認可を受けた実施計画(同条第六項の認可又は同条第七項の規定による届出があつたときは、変更後の実施計画。以下「承継計画」という。)において定められた日本国有鉄道の事業等は、承継法人の成立の時(当該承継法人が第十一条第一項の規定により運輸大臣が指定する法人である場合にあつては、附則第二項の規定の施行の時。以下同じ。)において、それぞれ、承継法人に引き継がれるものとする。
(権利及び義務の承継)
第二十二条 承継法人は、それぞれ、承継法人の成立の時において、日本国有鉄道の権利及び義務(第二十四条第一項から第三項までの規定により日本国有鉄道が日本鉄道建設公団から承継するものを含む。)のうち承継計画において定められたものを、承継計画において定めるところに従い承継する。
(承継法人の職員)
第二十三条 承継法人の設立委員(当該承継法人が第十一条第一項の規定により運輸大臣が指定する法人である場合にあつては、当該承継法人。以下「設立委員等」という。)は、日本国有鉄道を通じ、その職員に対し、それぞれの承継法人の職員の労働条件及び職員の採用の基準を提示して、職員の募集を行うものとする。
2 日本国有鉄道は、前項の規定によりその職員に対し労働条件及び採用の基準が提示されたときは、承継法人の職員となることに関する日本国有鉄道の職員の意思を確認し、承継法人別に、その職員となる意思を表示した者の中から当該承継法人に係る同項の採用の基準に従い、その職員となるべき者を選定し、その名簿を作成して設立委員等に提出するものとする。
3 前項の名簿に記載された日本国有鉄道の職員のうち、設立委員等から採用する旨の通知を受けた者であつて附則第二項の規定の施行の際現に日本国有鉄道の職員であるものは、承継法人の成立の時において、当該承継法人の職員として採用される。
4 第一項の規定により提示する労働条件の内容となるべき事項、同項の規定による提示の方法、第二項の規定による職員の意思の確認の方法その他前三項の規定の実施に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
5 承継法人(第十一条第一項の規定により運輸大臣が指定する法人を除く。)の職員の採用について、当該承継法人の設立委員がした行為及び当該承継法人の設立委員に対してなされた行為は、それぞれ、当該承継法人がした行為及び当該承継法人に対してなされた行為とする。
6 第三項の規定により日本国有鉄道の職員が承継法人の職員となつた場合には、その者に対しては、国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。
7 承継法人は、前項の規定の適用を受けた承継法人の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の日本国有鉄道の職員としての引き続いた在職期間を当該承継法人の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。
(日本鉄道建設公団の鉄道施設に係る資産及び債務の承継等)
第二十四条 日本国有鉄道は、附則第二項の規定の施行の時において、次に掲げる鉄道施設に係る資産であつて日本鉄道建設公団が所有するものを承継する。
一 日本国有鉄道に貸し付けている新幹線鉄道に係る鉄道施設
二 その建設の工事を完了していない新幹線鉄道に係る鉄道施設のうち、旅客会社が鉄道事業を経営しないものとして運輸大臣が定めるもの
三 日本国有鉄道に有償で貸し付けている鉄道施設(第一号及び第五号に掲げるものを除く。)のうち、北海道旅客会社等が日本国有鉄道から当該鉄道施設に係る鉄道事業を引き継ぐものとして運輸大臣が定めるもの
四 日本国有鉄道に無償で貸し付けている鉄道施設(次号に掲げるものを除く。)
五 日本国有鉄道の鉄道による輸送に代えて旅客自動車運送事業による輸送を行うことが適当であるものとされた鉄道の営業線に係る鉄道施設(当該営業線が廃止されている場合におけるその営業の用に供されていた施設を含む。)として運輸大臣が定めるもの
六 その建設の工事を完了していない鉄道施設(第二号に掲げるものを除く。)であつて、旅客会社又は貨物会社が鉄道事業を経営することとしないもののうち運輸大臣が定めるもの
七 地域における輸送の確保のため特に必要であると認めて運輸大臣が行つたその建設に係る指示を受けて日本鉄道建設公団により建設された鉄道施設であつて、日本国有鉄道以外の鉄道事業者に無償で貸し付けているもの
2 日本国有鉄道は、附則第二項の規定の施行の時において、その時における日本鉄道建設公団の長期借入金及び鉄道建設債券に係る債務のうち、日本鉄道建設公団が所有する次に掲げる鉄道施設の建設に係る部分として運輸大臣が定めるものを承継する。
二 前項第五号及び第六号に掲げる鉄道施設であつて運輸大臣が定めるもの
3 日本国有鉄道は、第一項の規定による資産の承継の時において、当該資産に係る日本鉄道建設公団のその他の権利及び義務を承継する。
4 前三項の規定により日本国有鉄道が承継する日本鉄道建設公団の資産、債務並びにその他の権利及び義務の細目については、日本鉄道建設公団が日本国有鉄道と協議して定めるものとする。
(本州四国連絡橋公団の鉄道施設の建設に関する業務に係る債務の負担等)
第二十五条 日本国有鉄道は、附則第二項の規定の施行の時において、本州四国連絡橋公団に対し、本州四国連絡橋公団が行つた鉄道施設の建設に関する業務であつて同項の規定の施行後においても引き続き行う業務以外のものとして運輸大臣が定めるものに要した費用のうち、借入れに係る部分として運輸大臣が定める本州四国連絡橋公団の債務に相当する額の債務を負担する。
2 事業団は、本州四国連絡橋公団に対し、前項に規定する本州四国連絡橋公団の債務の償還等に係る業務に要する費用の額に相当する金額を支払うものとする。
3 第一項の規定により負担する債務の償還、当該債務に係る利子の支払その他の同項の規定による債務の負担に関し必要な事項及び前項に規定する費用の範囲その他の同項の規定による支払に関し必要な事項は、政令で定める。
(鉄道債券及び鉄道建設債券に係る債務に関する連帯債務)
第二十六条 第二十二条の規定により承継法人が日本国有鉄道の鉄道債券に係る債務の全部又は一部を承継したときは、すべての鉄道債券に係る債務については、鉄道債券に係る債務を承継する承継法人及び事業団が連帯して弁済の責めに任ずる。
2 前項の場合には、鉄道債券の債権者は、鉄道債券に係る債務を承継する承継法人及び事業団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
3 第二十四条第二項の規定により日本国有鉄道が日本鉄道建設公団の鉄道建設債券に係る債務の全部又は一部を承継したときは、当該承継の時において発行されているすべての鉄道建設債券に係る債務については、事業団(第二十二条の規定により承継法人が鉄道建設債券に係る債務の全部又は一部を承継したときは、鉄道建設債券に係る債務を承継する承継法人及び事業団。次項において同じ。)及び日本鉄道建設公団が連帯して弁済の責めに任ずる。
4 前項の場合には、当該承継の時において発行されている鉄道建設債券の債権者は、事業団及び日本鉄道建設公団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 第二項及び前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(大蔵大臣との協議)
第二十七条 運輸大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十九条第五項又は第六項の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十条第三項の規定により財産の価格の決定に関し運輸省令を定めようとするとき。
三 第二十四条第二項又は第二十五条第一項の規定により債務を定めようとするとき。