朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル通行稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第四十三號
通行稅法
第一條 汽車、電車、乘合自動車及汽船ノ乘客ニハ本法ニ依リ通行稅ヲ課ス
第二條 通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
乘車船區間四十粁以下ナルトキ
一等 十錢
二等 五錢
乘車船區間八十粁以下ナルトキ
一等 二十錢
二等 十錢
三等 二錢
乘車船區間百二十粁以下ナルトキ
一等 三十錢
二等 十五錢
三等 五錢
乘車船區間百六十粁以下ナルトキ
一等 六十錢
二等 三十錢
三等 十錢
乘車船區間三百粁以下ナルトキ
一等 一圓二十錢
二等 六十錢
三等 二十錢
乘車船區間五百粁以下ナルトキ
一等 一圓八十錢
二等 九十錢
三等 三十錢
乘車船區間ハ百粁以下ナルトキ
一等 二圓四十錢
二等 一圓二十錢
三等 四十錢
乘車船區間八百粁ヲ超ユルトキ
一等 三圓
二等 一圓五十錢
三等 五十錢
囘數乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
囘數二十囘以下ナルトキ 前項稅額ノ五倍
囘數五十囘以下ナルトキ 前項稅額ノ十倍
囘數五十囘ヲ超ユルトキ 前項稅額ノ二十倍
定期乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
契約期間一月以內ナルトキ 第一項稅額ノ五倍
契約期間三月以內ナルトキ 第一項稅額ノ十倍
契約期間六月以內ナルトキ 第一項稅額ノ二十倍
契約期間六月ヲ超ユルトキ 第一項稅額ノ三十倍
團體乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
人員五十人以下ナルトキ 第一項稅額ノ五倍
人員百人以下ナルトキ 第一項稅額ノ十倍
人員二百人以下ナルトキ 第一項稅額ノ二十倍
人員二百人ヲ超ユルトキ 第一項稅額ノ三十倍
貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
一等及二等 貸切運賃ノ百分ノ十
三等 貸切運賃ノ百分ノ五
前項ノ規定ニ依ル稅額ハ第一項稅額ニ乘客定員數ヲ乘ジタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行稅ハ十二歲未滿ノ乘客ニ付テハ其ノ半額トス
前項ノ稅額ニ十錢ニ滿タザル端數アル場合ニ於テハ其ノ端數ガ五錢以上ナルトキハ之ヲ五錢トシ五錢ニ滿タザルトキハ之ヲ切捨ツ但シ其ノ全額五錢ニ滿タザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三條 急行車船ニ乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依ルノ外急行料金ノ百分ノ十ノ稅率ニ依リ通行稅ヲ課ス
前條第八項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ算出シタル稅額ニ付之ヲ準用ス
第四條 乘車船區間四十粁以下ノ三等乘客ニハ通行稅ヲ課セズ但シ前條ノ規定ニ依ル通行稅ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 陸海軍ノ團體トシテノ乘車船ニシテ命令ノ定ムルモノニハ通行稅ヲ課セズ
第六條 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ第二條第一項及第四條ノ乘車船區間ノ粁程ノ計算ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
一 往復乘車船又ハ廻遊乘車船ノ契約ヲ爲シタルトキ
二 運賃ガ均一制又ハ區間制ニ依リ定メラレタルトキ
第七條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等ニ分タザルモノニ付テハ第二條第一項、第五項及第四條ノ等級ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム乘客定員數ノ定ナキ車船ニ付貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於ケル第二條第六項ノ乘客定員數ニ付亦同ジ
第八條 通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營ム者(以下運輸業者ト稱ス)運賃又ハ急行料金領收ノ際之ヲ徵收シ翌月末日迄ニ政府ニ納ムベシ
第九條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營マントスル者及運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第十條 運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第十一條 第八條ノ規定ニ依リ徵收スベキ通行稅ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ其ノ徵收義務者ヨリ徵收ス
第十二條 收稅官吏ハ運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 第十條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 前條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ニシテ支那事變特別稅法第二十四條又ハ第二十五條第二項ノ規定ニ依リ申吿シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル通行税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第四十三号
通行税法
第一条 汽車、電車、乗合自動車及汽船ノ乗客ニハ本法ニ依リ通行税ヲ課ス
第二条 通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
乗車船区間四十粁以下ナルトキ
一等 十銭
二等 五銭
乗車船区間八十粁以下ナルトキ
一等 二十銭
二等 十銭
三等 二銭
乗車船区間百二十粁以下ナルトキ
一等 三十銭
二等 十五銭
三等 五銭
乗車船区間百六十粁以下ナルトキ
一等 六十銭
二等 三十銭
三等 十銭
乗車船区間三百粁以下ナルトキ
一等 一円二十銭
二等 六十銭
三等 二十銭
乗車船区間五百粁以下ナルトキ
一等 一円八十銭
二等 九十銭
三等 三十銭
乗車船区間ハ百粁以下ナルトキ
一等 二円四十銭
二等 一円二十銭
三等 四十銭
乗車船区間八百粁ヲ超ユルトキ
一等 三円
二等 一円五十銭
三等 五十銭
回数乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
回数二十回以下ナルトキ 前項税額ノ五倍
回数五十回以下ナルトキ 前項税額ノ十倍
回数五十回ヲ超ユルトキ 前項税額ノ二十倍
定期乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
契約期間一月以内ナルトキ 第一項税額ノ五倍
契約期間三月以内ナルトキ 第一項税額ノ十倍
契約期間六月以内ナルトキ 第一項税額ノ二十倍
契約期間六月ヲ超ユルトキ 第一項税額ノ三十倍
団体乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
人員五十人以下ナルトキ 第一項税額ノ五倍
人員百人以下ナルトキ 第一項税額ノ十倍
人員二百人以下ナルトキ 第一項税額ノ二十倍
人員二百人ヲ超ユルトキ 第一項税額ノ三十倍
貸切乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
一等及二等 貸切運賃ノ百分ノ十
三等 貸切運賃ノ百分ノ五
前項ノ規定ニ依ル税額ハ第一項税額ニ乗客定員数ヲ乗ジタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行税ハ十二歳未満ノ乗客ニ付テハ其ノ半額トス
前項ノ税額ニ十銭ニ満タザル端数アル場合ニ於テハ其ノ端数ガ五銭以上ナルトキハ之ヲ五銭トシ五銭ニ満タザルトキハ之ヲ切捨ツ但シ其ノ全額五銭ニ満タザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三条 急行車船ニ乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ前条ノ規定ニ依ルノ外急行料金ノ百分ノ十ノ税率ニ依リ通行税ヲ課ス
前条第八項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ算出シタル税額ニ付之ヲ準用ス
第四条 乗車船区間四十粁以下ノ三等乗客ニハ通行税ヲ課セズ但シ前条ノ規定ニ依ル通行税ハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 陸海軍ノ団体トシテノ乗車船ニシテ命令ノ定ムルモノニハ通行税ヲ課セズ
第六条 左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ第二条第一項及第四条ノ乗車船区間ノ粁程ノ計算ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
一 往復乗車船又ハ廻遊乗車船ノ契約ヲ為シタルトキ
二 運賃ガ均一制又ハ区間制ニ依リ定メラレタルトキ
第七条 汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等ニ分タザルモノニ付テハ第二条第一項、第五項及第四条ノ等級ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム乗客定員数ノ定ナキ車船ニ付貸切乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於ケル第二条第六項ノ乗客定員数ニ付亦同ジ
第八条 通行税ハ汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ営ム者(以下運輸業者ト称ス)運賃又ハ急行料金領収ノ際之ヲ徴収シ翌月末日迄ニ政府ニ納ムベシ
第九条 汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ営マントスル者及運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ予メ政府ニ申告スベシ之ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第十条 運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第十一条 第八条ノ規定ニ依リ徴収スベキ通行税ヲ徴収セザルトキ又ハ其ノ徴収シタル税金ヲ納付セザルトキハ国税徴収ノ例ニ依リ之ヲ其ノ徴収義務者ヨリ徴収ス
第十二条 収税官吏ハ運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ其ノ業務ニ関スル帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
第十三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第十条第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隠匿シタル者
二 第十条第二項ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 前条ノ規定ニ依ル収税官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ニシテ支那事変特別税法第二十四条又ハ第二十五条第二項ノ規定ニ依リ申告シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申告シタルモノト看做ス