日本通運株式会社法
法令番号: 法律第四十六號
公布年月日: 昭和12年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル日本通運株式會社法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年四月二日
內閣總理大臣 林銑十郞
鐵道大臣 伍堂卓雄
大藏大臣 結城豊太郞
法律第四十六號
日本通運株式會社法
第一條 日本通運株式會社ハ小運送業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲左ノ事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
一 小運送業者ノ取引ヨリ生ズル債權債務ノ決濟ニ關スル事業
二 貨物引換證ノ整理及保證ニ關スル事業
三 小運送業ノ助長ニ必要ナル事業
四 小運送業及之ニ附帶スル事業
日本通運株式會社ハ小運送業又ハ之ニ關聯スル事業ニ投資スルコトヲ得
第二條 日本通運株式會社ノ資本ハ三千五百萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第三條 日本通運株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四條 政府ハ日本通運株式會社ノ資本ノ半額ヲ限リ其ノ株式ノ引受ヲ爲スコトヲ得
前項ノ株式引受ニ因ル拂込金ハ帝國鐵道會計ノ資本勘定ノ歲出トシ政府ガ該引受ニ因リ取得シタル株式ハ同會計ノ資本所屬物件トス
第一項ノ規定ニ依ル株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ得
第五條 日本通運株式會社ニ社長副社長各一人、理事五人以上及監事二人以上ヲ置ク
第六條 社長ハ日本通運株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ日本通運株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本通運株式會社ノ業務ヲ監査ス
第七條 社長、副社長、理事及監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ選任ス
社長、副社長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第八條 日本通運株式會社ノ社長、副社長及理事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 日本通運株式會社ハ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ第四條第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年六分ノ割合ニ達スル迄第四條第一項ノ規定ニ依ル株式ニ對シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ第四條第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年六分ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ總株式ニ對スル利益配當ガ拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ達スル迄第四條第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ拂込ミタル株金額及第四條第一項ノ規定ニ依ル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第十條 主務大臣ハ日本通運株式會社ノ業務ヲ監督ス
主務大臣ハ部下ノ官吏ヲシテ何時ニテモ日本通運株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十一條 主務大臣ハ日本通運株式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十二條 定款ノ變更、社債ノ募集、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十三條 日本通運株式會社其ノ事業ヲ休止セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十四條 主務大臣ハ日本通運株式會社ノ決議又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ノ行爲ガ法令、法令ニ基ク命令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ヲ解任スルコトヲ得
第十五條 日本通運株式會社本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
第十六條 社長、副社長又ハ理事第八條ノ規定ニ違反シタルトキハ二百圓以下ノ過料ニ處ス
第十七條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第十八條 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十九條 日本通運株式會社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル稅額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ稅額ニ依ル
一 設立
金錢出資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
二 設立ノ際ニ於ケル出資ノ目的タル不動產又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得
不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ日本通運株式會社ニ對シ前項ニ規定スル不動產又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十條 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ日本通運株式會社ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第二十一條 日本通運株式會社ノ設立ニ際シ金錢以外ノ財產ヲ出資ノ目的ト爲ス者アル場合ニ於テハ設立委員ハ出資ノ目的タル財產ノ價格ニ付評價委員會ニ諮問スベシ
前項ノ評價委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツベキ株式及前條ノ金錢以外ノ財產ノ出資ニ對シテ割當ツベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第二十三條 株式申込證ニハ定款認可ノ年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第二號、第四號及第五號ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第二十四條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第二十五條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク各株式ニ付第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
創立總會ニ於テハ第七條第一項ノ規定ニ準ジ社長、副社長、理事及監事ヲ選任スベシ
第二十六條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本通運株式會社社長ニ引渡スベシ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル日本通運株式会社法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年四月二日
内閣総理大臣 林銑十郎
鉄道大臣 伍堂卓雄
大蔵大臣 結城豊太郎
法律第四十六号
日本通運株式会社法
第一条 日本通運株式会社ハ小運送業ノ健全ナル発達ヲ図ル為左ノ事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス
一 小運送業者ノ取引ヨリ生ズル債権債務ノ決済ニ関スル事業
二 貨物引換証ノ整理及保証ニ関スル事業
三 小運送業ノ助長ニ必要ナル事業
四 小運送業及之ニ附帯スル事業
日本通運株式会社ハ小運送業又ハ之ニ関連スル事業ニ投資スルコトヲ得
第二条 日本通運株式会社ノ資本ハ三千五百万円トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第三条 日本通運株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人若ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四条 政府ハ日本通運株式会社ノ資本ノ半額ヲ限リ其ノ株式ノ引受ヲ為スコトヲ得
前項ノ株式引受ニ因ル払込金ハ帝国鉄道会計ノ資本勘定ノ歳出トシ政府ガ該引受ニ因リ取得シタル株式ハ同会計ノ資本所属物件トス
第一項ノ規定ニ依ル株式ノ株金払込ハ其ノ他ノ株式ノ株金払込ト之ヲ異ニスルコトヲ得
第五条 日本通運株式会社ニ社長副社長各一人、理事五人以上及監事二人以上ヲ置ク
第六条 社長ハ日本通運株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ日本通運株式会社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本通運株式会社ノ業務ヲ監査ス
第七条 社長、副社長、理事及監事ハ株主中ヨリ株主総会ニ於テ之ヲ選任ス
社長、副社長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第八条 日本通運株式会社ノ社長、副社長及理事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 日本通運株式会社ハ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ第四条第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年六分ノ割合ニ達スル迄第四条第一項ノ規定ニ依ル株式ニ対シ利益ノ配当ヲ為スコトヲ要セズ
毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ第四条第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ年六分ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ総株式ニ対スル利益配当ガ払込ミタル株金額ニ対シ均一ノ割合ニ達スル迄第四条第一項ノ規定ニ依ル株式以外ノ株式ノ払込ミタル株金額及第四条第一項ノ規定ニ依ル株式ノ払込ミタル株金額ニ対シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配当スベシ
第十条 主務大臣ハ日本通運株式会社ノ業務ヲ監督ス
主務大臣ハ部下ノ官吏ヲシテ何時ニテモ日本通運株式会社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ検査セシムルコトヲ得
第十一条 主務大臣ハ日本通運株式会社ノ業務ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十二条 定款ノ変更、社債ノ募集、利益金ノ処分、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十三条 日本通運株式会社其ノ事業ヲ休止セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十四条 主務大臣ハ日本通運株式会社ノ決議又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ノ行為ガ法令、法令ニ基ク命令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ社長、副社長、理事若ハ監事ヲ解任スルコトヲ得
第十五条 日本通運株式会社本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ千円以下ノ過料ニ処ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
第十六条 社長、副社長又ハ理事第八条ノ規定ニ違反シタルトキハ二百円以下ノ過料ニ処ス
第十七条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
第十八条 本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十九条 日本通運株式会社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登録税ノ額ハ左ノ額トス但シ登録税法ニ依リ算出シタル税額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ税額ニ依ル
一 設立
金銭出資ニ依ル払込株金額ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル払込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
二 設立ノ際ニ於ケル出資ノ目的タル不動産又ハ船舶ニ関スル権利ノ取得
不動産又ハ船舶ノ価格ノ千分ノ三
北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ日本通運株式会社ニ対シ前項ニ規定スル不動産又ハ船舶ニ関スル権利ノ取得ニ関シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十条 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ日本通運株式会社ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第二十一条 日本通運株式会社ノ設立ニ際シ金銭以外ノ財産ヲ出資ノ目的ト為ス者アル場合ニ於テハ設立委員ハ出資ノ目的タル財産ノ価格ニ付評価委員会ニ諮問スベシ
前項ノ評価委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ株式総数ヨリ政府ニ割当ツベキ株式及前条ノ金銭以外ノ財産ノ出資ニ対シテ割当ツベキ株式ヲ控除シタル残余ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第二十三条 株式申込証ニハ定款認可ノ年月日並ニ商法第百二十六条第二項第二号、第四号及第五号ニ規定スル事項ヲ記載スベシ
第二十四条 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
第二十五条 設立委員ハ前条ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク各株式ニ付第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
前項ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
創立総会ニ於テハ第七条第一項ノ規定ニ準ジ社長、副社長、理事及監事ヲ選任スベシ
第二十六条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本通運株式会社社長ニ引渡スベシ