大東亜戦争陸軍給与令
法令番号: 勅令第六百二十五號
公布年月日: 昭和18年7月29日
法令の形式: 勅令
朕大東亞戰爭陸軍給與令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年七月二十八日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第六百二十五號
大東亞戰爭陸軍給與令目次
第一章
總則
第二章
俸給及手當金
第三章
加俸
第四章
手當
第五章
戰時增俸
第六章
賜金
第七章
被服
第八章
糧食及馬糧
第九章
戰地給與
第十章
雜則
大東亞戰爭陸軍給與令
第一章 總則
第一條 陸軍軍人軍屬諸生徒等及陸軍部隊ニ係ル給與ハ別ニ定ムルモノノ外大東亞戰爭中本令ニ依ル
第二條 本令ニ於テ地域ヲ區別スルコト左ノ如シ
一 內地トハ戰地ヲ除クノ外千島及樺太以外ノ內地ヲ謂フ
二 外地トハ戰地ヲ除クノ外千島、樺太、朝鮮、臺灣及南洋群島竝ニ滿洲(關東州及滿洲國ヲ謂フ以下同ジ)ヲ謂フ
三 戰地トハ帝國陸軍部隊ノ作戰行動スル地域ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノヲ謂フ
第三條 前條ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ニ於テ名稱ヲ區別スルコト左ノ如シ
一 軍隊トハ陸軍平時編制ニ謂フ軍隊(司令部、陸軍敎化隊及憲兵隊ヲ除ク)及之ニ準ズル部隊ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノヲ謂フ
二 軍人トハ陸軍ノ現役ニ在ル者(未ダ入營セザル者及歸休兵竝ニ諸生徒ヲ除ク)及召集中ノ者(明治四十年勅令第二百六十號又ハ昭和八年勅令第十二號ニ依リ充用セラレタル者ヲ含ム)ヲ謂フ
三 軍屬トハ陸軍文官、陸軍監獄看守、陸軍警査竝ニ宣誓シテ陸軍ノ勤務ニ服スル其ノ他ノ文官及同待遇者(陸軍大臣ノ指定スル勅令ニ依リ文官ノ待遇ヲ受クル者ヲ含ム)ヲ謂フ
四 諸生徒トハ陸軍補充令第百十五條第一項ニ揭グル者、技術候補生、軍醫候補生、特別操縱見習士官、軍醫豫備員候補者及陸地測量部生徒ヲ謂フ
五 營內居住トハ曹長三等給以下ノ下士官兵及諸生徒屯營、官衙、學校等ノ內ニ居住スルヲ謂フ
六 外宿トハ營內居住者官ノ都合ニ依リ屯營、官衙、學校等ノ外ニ宿泊スルヲ謂フ
第二章 俸給及手當金
第四條 軍人ニハ第一表ニ依リ俸給ヲ給ス
第五條 諸生徒ニハ第二表ニ依リ手當金ヲ給ス但シ現役ノ實役ニ就カシメラレタル者及見習士官トシテ將校ノ勤務ニ服スル者ニハ第一表ニ依リ俸給ヲ給ス
第六條 本令中俸給トアルハ文官待遇者ニ付テハ本俸給ニ準ズル給與ヲ謂ヒ軍人ニ付テハ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外本令ニ依ル年功加俸及勤續加俸ヲ含ムモノトス
第七條 待命中ノ軍人ニハ俸給十分ノ八、休職中ノ軍人及外國留學ヲ許可セラレタル軍人ニハ俸給十分ノ六、停職中ノ軍人ニハ恩給法別表第一號表ノ假定俸給三分ノ一ヲ給ス
第八條 陸軍部內ニ於ケル兼職者ノ俸給ハ其ノ多額ニ就キ之ヲ給スルコトヲ得
武官ニシテ陸軍部內ノ文官ニ專任セラレタルモノニハ武官トシテノ俸給ハ之ヲ給セズ
第九條 年俸ハ十二分シテ每月下旬之ヲ給ス
月俸及手當金ハ每月下旬之ヲ給ス但シ兵ノ俸給ハ每旬之ヲ給スルコトヲ得
演習、防衞又ハ特別任務ノ爲屯營等ヲ離ルルトキ其ノ他必要アルトキハ適宜ノ時期ニ於テ其ノ月分ノ俸給及手當金ヲ給スルコトヲ得
演習、防衞又ハ特別任務ノ爲翌月ニ亙リ屯營等ヲ離ルルトキハ翌月分ノ俸給ヲモ給スルコトヲ得
第十條 軍人現役ヲ離レタルトキ若ハ召集ヲ解除セラレタルトキ、諸生徒之ヲ免ゼラレタルトキ又ハ軍人及諸生徒死亡シタルトキハ其ノ月末日迄ノ俸給及手當金ヲ給スルコトヲ得
第十一條 待命、休職若ハ停職ト爲リ又ハ現役ヲ離レ若ハ召集ヲ解除セラレタル軍人ニハ事務引繼殘務整理中在職中、現役中又ハ召集中ニ準ジ俸給ヲ給ス
第十二條 軍人及諸生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ俸給及手當金ヲ減額シ又ハ之ガ支給ヲ停止スルコトヲ得但シ外地又ハ戰地ニ於テ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者第一號ニ該當スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 請願休暇又ハ病氣引籠中ナルトキ
二 拘禁留置中ナルトキ又ハ陸軍懲罰令ニ依リ謹愼若ハ營倉ニ處セラレタルトキ
三 擅ニ職役屯營本隊ヲ離レ又ハ他方ニ赴キ故ナク歸着ノ期ニ後レタルトキ
四 生死分明ナラザルトキ
軍屬前項各號(文官タル者ニ在リテハ第二號乃至第四號)ノ一ニ該當スルトキ亦前項ニ同ジ
第三章 加俸
第十三條 軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)ニハ左ノ各號ニ依リ諸加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第三表ニ依ル
一 軍隊中獨立隊ノ隊長ニシテ編制上佐官ヲ以テ充ツベキモノノ職ニ在ル佐官又ハ其ノ職ニ充テラレタル大尉ニハ隊長加俸
二 准士官又ハ下士官ヨリ將校ニ任ゼラレタル者ニシテ下士官ニ任ゼラレタル後在職六年(憲兵ニ在リテハ憲兵兵長タリシ期間ノ二分ノ一ヲ加算シ在職年數ヲ定ム)ヲ經過シタルモノニハ年功加俸
三 准士官ニシテ四年以上、曹長又ハ軍曹ニシテ二年以上其ノ階級ニ於ケル俸給ノ最上給ヲ受ケタルモノニハ勤續加俸
四 憲兵准士官下士官兵ニハ憲兵加俸
五 憲兵准士官下士官兵ニシテ通譯ヲ命ゼラレタルモノニハ憲兵通譯加俸
六 營內居住下士官兵(憲兵及外宿ノ者ヲ除ク)ニシテ通譯ヲ命ゼラレタルモノニハ營內者通譯加俸
七 准士官及營外居住下士官ニシテ技術ニ從事スルモノニハ技術加俸
陸軍敎化隊ノ勤務ニ服スル軍人ニハ前項ノ外准士官以上ニ在リテハ俸給ノ六分ノ一、下士官兵ニ在リテハ俸給ノ四分ノ一ヲ加給ス
第九條乃至第十二條ノ規定ハ第一項ノ諸加俸及前項ノ加給ニ之ヲ準用ス
第十四條 軍人軍屬及諸生徒(第五條但書ノ規定ニ該當スル者ニ限ル)ニシテ軍用ノ船舶ノ乘員ヲ命ゼラレタルモノ又ハ其ノ乘組ヲ命ゼラレ海上勤務ニ服スルモノニハ航海加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第四表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第十五條 外地ニ在ル部隊ニ屬スル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍屬及諸生徒(第五條但書ノ規定ニ該當スル者竝ニ其ノ他ノ幹部候補生及操縱候補生ニシテ見習士官タラザルモノニ限ル)ニハ左ノ區分ニ依リ外地在勤加俸ヲ給ス
一 將校及高等文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ六以內但シ月額九十五圓ニ滿タザル者ニハ月額九十五圓迄ヲ給スルコトヲ得
二 准士官、下士官兵、諸生徒及判任文官同待遇者ニハ俸給又ハ手當金ノ十分ノ九以內
北海道ニ在ル部隊ニ屬スル准士官以上、營外居住又ハ外宿ノ下士官兵及軍屬ニハ北海道在勤加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第五表ニ依ル
第九條乃至第十二條ノ規定ハ前二項ノ在勤加俸ニ之ヲ準用ス
第四章 手當
第十六條 軍人ニハ左ノ各號ニ依リ諸手當ヲ給ス其ノ定額ハ第三號但書及第四號ニ定ムルモノヲ除クノ外第六表ニ依ル
一 外宿ノ下士官兵ニハ外宿手當但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ關スル勅令ニ依リ陸軍文官ヨリ現役下士官ニ任ゼラレタル者ニシテ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クルモノヲ除ク
二 志願ニ依リ初メテ現役下士官ト爲リタル者ニハ其ノ際初任手當但シ諸生徒ニシテ下士官ノ階級ニ進メラレタルモノヲ除ク
三 初メテ將校又ハ准士官ニ任ゼラレタル者(准士官ヨリ尉官ニ任ゼラレタル者ヲ除ク)ニハ其ノ際軍裝手當但シ豫備役ノ將校又ハ准士官ニ任ゼラレタル者及技術候補生又ハ軍醫候補生ヨリ將校ニ任ゼラレタル者ニ給スル軍裝手當ハ第六表定額ノ半額トス
四 前號但書ノ規定ニ該當スル者ニシテ初メテ召集(明治四十年勅令第二百六十號又ハ昭和八年勅令第十二號ニ依リ充用セラルル場合ヲ含ム)セラレ又ハ技術候補生若ハ軍醫候補生ヨリ將校ニ任ゼラレ現役滿期ト爲ル際引續キ現役ニ服スルコトヲ許可セラレタルモノニハ其ノ際更ニ軍裝手當但シ其ノ額ハ第六表定額ノ半額トス
五 初メテ近衞騎兵聯隊ノ勤務ヲ命ゼラレタル兵科准士官以上ニハ其ノ際供奉用軍裝手當
六 軍隊(敎導聯隊、敎導隊、練習隊、幹部候補生隊、下士官候補者隊及生徒隊ヲ含ム)勤務ノ尉官及准士官ニシテ中隊(之ニ準ズルモノヲ含ム)ニ於テ服務スルモノニハ被服手當
第九條第二項乃至第四項及第十條乃至第十二條ノ規定ハ前項第一號ノ外宿手當ニ之ヲ準用ス
第十七條 戰鬪其ノ他戰爭ニ關スル公務ニ起因スル傷痍疾病ニ因リ休職ヲ命ゼラレタル軍人ニハ休職中俸給十分ノ四以內ノ公務傷病手當ヲ給スルコトヲ得
第九條乃至第十二條ノ規定ハ公務傷病手當ニ之ヲ準用ス
第十八條 樺太及滿洲ノ中特別ノ地方ニ在ル部隊ニ屬スル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍屬及諸生徒(第五條但書ノ規定ニ該當スル者竝ニ其ノ他ノ幹部候補生及操縱候補生ニシテ見習士官タラザルモノニ限ル)ニハ俸給又ハ手當金ノ十分ノ三以內ノ特別手當ヲ給スルコトヲ得
前項ノ特別ノ地方ハ治安狀態不良ナル地方、陸接國境地方、交通不便ナル地方其ノ他特殊ノ事情アル地方ニ就キ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九條乃至第十二條ノ規定ハ特別手當ニ之ヲ準用ス
第五章 戰時增俸
第十九條 內地又ハ外地ニ在ル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍屬及諸生徒(第五條但書ノ規定ニ該當スル者ニ限ル)ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル部隊ニ屬スルモノニハ戰時增俸ヲ給ス
一 出戰又ハ戰備ノ態勢ヲ完成シタル部隊
二 前號ニ揭グルモノヲ除クノ外戰爭ニ關スル繁劇ノ勤務ニ服スル部隊
前項ノ戰時增俸ノ額ハ左ノ各號ノ定ムル所ニ依ル
一 准士官以上及軍屬ニハ俸給ノ十分ノ二以內但シ尉官及准士官竝ニ高等文官及同待遇者ニシテ月額二十圓ニ滿タザルモノニ付テハ月額二十圓迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ二・五以內但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ關スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ俸給ノ十分ノ二以內
第一項第一號ノ部隊ニ係ル戰時增俸ハ其ノ態勢完成ノ日ヨリ復員又ハ復歸ノ完結ノ日迄之ヲ給ス但シ第三十七條ニ規定スル戰地增俸ヲ受クル期間ヲ除ク
第一項第二號ノ部隊及其ノ部隊ニ係ル戰時增俸ノ給與期間ハ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九條乃至第十二條ノ規定ハ第一項ノ戰時增俸ニ之ヲ準用ス
第二十條 軍人軍屬及諸生徒(第五條但書ノ規定ニ該當スル者ニ限ル)ニシテ內地又ハ外地ニ於テ特別ノ命令ニ依リ對敵ノ行動ヲ取リ若ハ對敵ノ配置ニ就ク部隊又ハ戒嚴ノ勤務ニ服スル部隊ニ屬スルモノ(此等ノ部隊ニ派遣セラルルモノヲ含ム)ニハ左ノ區分ニ依リ戰時增俸ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ前條ノ戰時增俸ハ之ヲ給セズ
一 准士官以上及軍屬ニハ俸給ノ十分ノ三以內但シ尉官及准士官竝ニ高等文官及同待遇者ニシテ月額三十二圓ニ滿タザルモノニ付テハ月額三十二圓迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ四以內但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ關スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ俸給ノ十分ノ三以內
前項ノ部隊及其ノ部隊ニ係ル戰時增俸ノ給與期間ハ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九條乃至第十二條ノ規定ハ第一項ノ戰時增俸ニ之ヲ準用ス
第六章 賜金
第二十一條 勤功章ヲ有スル現役下士官ニハ在營中每年第七表ニ依リ勤功褒賞金ヲ給ス
第二十二條 營內居住五年(外宿ノ期間ヲ除ク)以上ニ及ブ現役下士官ニハ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタル際第八表ニ依リ退營賜金ヲ給ス
一 曹長二等給以上ノ俸給ヲ受クルニ至リタルトキ
二 現役ヲ離レタルトキ
三 死亡シタルトキ
失官ト爲リタル者及陸軍懲罰令ニ依リ免官ト爲リタル者竝ニ犯罪若ハ犯行ニ關シ現ニ取調中退營賜金ヲ給スベキ事由發生シタル下士官ニシテ失官又ハ免官ト爲リタルモノ及聯隊長若ハ之ト同等以上ノ權アル長官ニ於テ失官若ハ免官ニ該當スト認メタルモノニハ退營賜金ハ之ヲ給セズ
第二十三條 軍人及諸生徒(見習士官及陸軍補充令第百十五條第一項第四號乃至第六號ニ揭グル者ニ限ル)死亡シタルトキハ死亡賜金ヲ其ノ遺族ニ給ス其ノ定額ハ第九表ニ依ル
前項ノ遺族トハ妻、子、父、母、孫、祖父、祖母及兄弟姉妹ニシテ死亡者ノ死亡當時之ト同一戶籍內ニ在ルモノヲ謂フ本人ノ死亡後二年以內ニ昭和十五年法律第四號(委託又ハ郵便ニ依ル戶籍屆出ニ關スル法律)ニ基キ本人死亡ノ當時之ト同一戶籍內ニ在リタルモノト爲ルニ至リタル妻、子、父、母、孫、祖父、祖母及兄弟姉妹亦同ジ
第一項ノ死亡賜金ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前項ニ揭ゲタル順位ニ依リ同一順位內ニ在リテハ家督相續人ハ其ノ他ノ者ニ、男ハ女ニ、長ハ幼ニ先ヅ
第二十四條 前條ノ遺族ナキ場合ニ於テハ本人死亡ノ當時實家ニ在ル實父母、死亡者ノ家督相續人、本人死亡當時ニ於ケル戶主ノ順位ニ依リ第九表ノ金額ノ二分ノ一ヲ給スルコトヲ得
前條第二項後段ニ規定スル者ニ對シテハ旣ニ死亡賜金ヲ給セラレタル者ナキトキニ限リ之ヲ給ス但シ前項ノ規定ニ依リ死亡賜金ヲ給セラレタル者アルトキハ其ノ差額ヲ給スルコトヲ得
第七章 被服
第二十五條 下士官(營外居住又ハ外宿ノ現役下士官ヲ除ク)、兵及諸生徒(陸軍幼年學校生徒ヲ含ム以下同ジ)ニハ第十表ニ揭グル被服ノ中所要ノ物ヲ支給又ハ貸與ス
營外居住又ハ外宿ノ現役下士官ニハ第十表ニ揭グル被服ノ中特ニ必要トスル物ニ限リ之ヲ支給又ハ貸與スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ被服料ヲ給スルコトヲ得
軍人軍屬及諸生徒ニハ地方ノ狀況又ハ勤務若ハ修學ノ必要ニ應ジ第十一表ニ揭グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸與スルコトヲ得
第二十六條 第十六條第一項第六號ノ規定ニ該當スル尉官及准士官ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノニハ第十表ニ揭グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸與スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ同號ノ被服手當ヲ減額シ又ハ之ガ支給ヲ停止スルコトアルベシ
第二十七條 看護婦長ニハ第十一表ニ揭グル被服ヲ除クノ外看護勤務上所要ノ被服ヲ支給又ハ貸與スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ被服料ヲ給スルコトヲ得
第八章 糧食及馬糧
第二十八條 營內居住下士官兵(外宿ノ者ヲ除ク)及諸生徒ノ糧食ハ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外官給トス
陸軍大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ前項ニ揭グル以外ノ者ノ糧食ヲモ官給ト爲スコトヲ得
第二十九條 前條ノ糧食ハ基本糧食ノ外左ニ揭グルモノトス其ノ定額ハ第十二表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
一 宮闕守衞ノ衞兵及陸軍大臣ノ指定スル諸生徒其ノ他ノ者ニ付テハ增賄料
二 防衞勤務、野外演習、軍隊旅行等ノ爲屯營外ニ於テ部隊自炊ヲ爲スノ必要アル者ニ付テハ野外增賄料
三 夜間ニ於テ警備、演習、作業其ノ他ノ勤務ニ服スルノ必要アル者ニ付テハ夜食料
第三十條 軍隊、陸軍敎化隊及陸軍大臣ノ指定スル官衙學校ニ對シテハ第二十八條ノ規定ニ依リ糧食ノ官給ヲ受クベキ者ノ現人員數ニ應ジ前條ニ規定スル區分ニ從ヒ糧食ノ定額ヲ交付シ當該部隊長ニ其ノ經理ヲ委任ス
前項ノ規定ハ陸軍大臣別段ノ定ヲ爲ス場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十一條 軍隊及病院以外ノ部隊ニ於テ營內居住下士官兵(外宿ノ者ヲ除ク)及諸生徒少數ニシテ部隊自炊ヲ適當トセザル事情アルトキハ陸軍大臣ハ此等ノ者ニ對シ基本糧食ニ代ヘ食料ヲ給スルコトヲ得其ノ定額ハ第十二表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
前條第一項ノ規定ハ前項ノ場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十二條 出師準備品ニ屬スル糧食品ハ新陳交換ノ爲必要アルトキハ第十二表備考第一號ノ定ムル所ニ依リ第二十九條ノ規定ニ依ル糧食ニ代ヘ之ヲ給スルコトヲ得
第三十三條 新設又ハ增設ニ係ル部隊ニハ第三十條第一項ノ規定ニ依リ交付スル糧食ノ外其ノ際特ニ必要トスル糧食ヲ交付スルコトヲ得
第三十四條 第十九條又ハ第二十條ノ規定ニ依リ戰時增俸ヲ受クル軍人軍屬及諸生徒ニハ第二十九條ニ規定スルモノノ外陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ適宜必要ト認ムル糧食品等ヲ給シ又ハ其ノ代金ヲ給スルコトヲ得
第三十五條 部隊ノ保管馬(軍馬補充部ニ於テ育成中ノモノヲ除ク)ニ付テハ陸軍大臣別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外該馬ヲ繫畜スル部隊ニ對シ繫畜中ノ現馬數ニ應ジ定額ノ馬糧ヲ交付シ當該部隊長ニ其ノ經理ヲ委任ス
軍隊旅行、演習旅行、陣營移轉等ノトキハ前項ノ馬糧ノ外增飼ヲ交付スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル馬糧及增飼ノ一頭當定額ハ第十三表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第三十六條 委任經理ニ屬スル基本糧食及馬糧ハ一月分以內ノ數額ニ依リ槪算渡ヲ爲スコトヲ得
第九章 戰地給與
第三十七條 戰地ニ在ル軍人、軍屬及諸生徒ニハ左ノ區分ニ依リ戰地增俸ヲ給ス
一 准士官以上及軍屬ニハ俸給ノ十分ノ十一以內但シ尉官准士官又ハ軍屬ニシテ月額百八十圓ニ滿タザルモノニ付テハ月額百八十圓迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ十五以內但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ關スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ前號ノ軍屬ニ付定ムル所ニ依ル
前項ノ戰地增俸ハ戰地外ヨリ戰地ニ出發スル者ニ在リテハ出發ノ日ヨリ之ヲ給シ戰地外ニ歸着又ハ赴任スル者ニ在リテハ其ノ地ニ到着ノ日迄之ヲ給ス但シ內地及外地途中ニ在ル期間ニ付テハ陸軍大臣ハ定額ヲ減ズルコトヲ得
第二條第三號ノ規定ニ依リ新ニ戰地ノ指定アリタル場合ニ於テ其ノ際現ニ當該地域ニ在ル者ニハ指定ノ日ノ屬スル月ノ初ヨリ第一項ノ戰地增俸ヲ給ス
敵ニ捕ヘラレ又ハ生死不明ト爲リタル者ニハ其ノ期間第一項ノ戰地增俸ノ支給ハ之ヲ停止ス
第九條第一項、第十一條及第十二條ノ規定ハ第一項ノ戰地增俸ニ之ヲ準用ス
第三十八條 戰地ニ在ル部隊ニ屬スル軍人軍屬及諸生徒ノ俸給、諸加俸及戰地增俸ノ支給ニ關シテハ左ノ各號ノ定ムル所ニ依ル
一 每月十五日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ月分ノ全額ヲ給ス
二 月ノ十六日以後ニ於テ新ニ軍人軍屬トシテ部隊ノ勤務ニ服スルニ至リタル者ノ其ノ月分ハ其ノ勤務ニ服スルニ至リタル日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ月額ノ半額トス
三 前二號ノ規定ハ陸軍部外ノ官署ニ在官若ハ在職ノ儘又ハ該官署ヨリ轉官若ハ轉職シ部隊ノ勤務ニ服スルニ至リタル者ノ其ノ月分ノ支給ニ付テハ之ヲ適用セズ
四 月ノ十四日以前ニ於テ現役ヲ離レ、歸休ヲ命ゼラレ、召集ヲ解除セラレ、諸生徒ヲ免ゼラレ若ハ免官退官等ニ依リ部隊ノ勤務ヲ離レタル者又ハ死亡シタル者ノ其ノ月分ハ部隊ノ勤務ヲ離レタル日又ハ死亡シタル日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ月分ノ全額トス但シ部隊ノ勤務ヲ離レタル日又ハ死亡シタル日ニ昇給シタル者ニ付テハ昇給前ノ額ニ依ル
五 每月十六日以後ニ於テ其ノ月分ヲ支給ス但シ必要アルトキハ其ノ月分ヲ含ム三月分以內ニ於テ前金拂ヲ爲シ又ハ翌月以後適宜ノ時期迄之ガ支給ヲ繰延ブルコトヲ得
六 戰地ニ於テ死亡シタル者ニハ死亡判明ノ日ノ屬スル月分迄ノ俸給及諸加俸(前號但書ノ規定ニ依リ前金拂ヲ爲シタル俸給、諸加俸及戰地增俸ニ付テハ前金拂ノ日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ前金拂ニ係ル月分迄)ヲ給スルコトヲ得
七 前各號ニ定ムル場合ヲ除クノ外戰地ニ入リタル月又ハ戰地ヲ離レタル月ノ戰地增俸ハ前條第二項ノ規定ニ拘ラズ其ノ月分ノ全額ヲ給スルコトヲ得
第三十九條 戰地ニ出發スル軍人軍屬及諸生徒ノ俸給及諸加俸ハ必要アルトキハ其ノ月分ヲ含ム三月分以內ニ於テ前金拂ヲ爲スコトヲ得
戰地ニ往復途中(內地及外地內ヲ除ク)ニ於テ死亡シタル軍人軍屬及諸生徒ノ俸給及諸加俸ハ死亡判明ノ日ノ屬スル月分迄(前條第五號但書又ハ前項ノ規定ニ依リ前金拂ヲ爲シタル俸給及諸加俸ニ付テハ其ノ前金拂ニ係ル月分迄)之ヲ給スルコトヲ得
第四十條 准士官以上、營外居住又ハ外宿ノ下士官兵及軍屬左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ際出戰手當ヲ給ス
一 戰地ニ出發スルトキ
二 所屬ノ部隊ガ出戰ノ態勢ヲ完成シテ衞戍地又ハ編成地ヲ出發スルトキ
三 前號ニ揭グル部隊出發ノ後ニ於テ之ニ屬セシメラレタルトキ
四 前二號ニ該當スル場合ヲ除クノ外第二條第三號ノ規定ニ依リ新ニ戰地ノ指定アリタル場合ニ於テ現ニ當該地域ニ在ルトキ
戰地ニ於テ新ニ准士官以上、營外居住下士官又ハ軍屬ト爲リタル者ニハ其ノ際出戰手當ヲ給ス
前二項ノ出戰手當ノ定額ハ第十四表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十一條 前條ノ出戰手當ヲ受クベキ軍屬ニシテ從軍ノ爲一定ノ制服ヲ着用スベキモノニハ之ニ出戰手當ヲ給スル際第十五表ノ從軍軍屬服裝手當ヲ給ス
第四十二條 准士官以上及軍屬ニシテ戰地及戰地往復途中(內地及外地內ヲ除ク)ニ於テ船舶ノ破壞、沈沒其ノ他公務上非常ノ災害ニ因リ被服裝具ヲ亡失シタルモノニハ現品ヲ給シ又ハ被服裝具亡失手當ヲ給スルコトヲ得毀損シテ使用ニ堪ヘザルニ至リタル被服裝具ニ付亦同ジ
前項ノ被服裝具亡失手當ノ定額ハ第十五表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十三條 戰地ニ在ル部隊ニ屬スル判任文官及同待遇者ニシテ許可ヲ受ケ其ノ家族ヲ招致シタルモノニハ家族招致手當ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ第四十五條及第四十七條ニ定ムル糧食、日用品其ノ他ノ消耗品ハ之ヲ給セズ
前項ノ家族招致手當ノ定額ハ第十五表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十四條 戰地ニ在ル營外居住下士官ニハ第十表及第十一表ニ揭グル被服ノ中所要ノ物ヲ支給又ハ貸與ス
戰地ニ在ル准士官以上及軍屬ニハ必要ニ應ジ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ一時第十表ニ揭グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸與スルコトヲ得
第四十五條 戰地ニ在ル軍人軍屬及諸生徒ノ糧食ハ總テ官給トシ現品ヲ以テ之ヲ給ス但シ便宜ニ依リ代金ヲ以テ之ヲ給スルコトヲ得
第四十六條 第二十九條乃至第三十六條ノ規定ハ戰地ニ在ル部隊ニハ之ヲ適用セズ
第四十七條 戰地ニ在ル軍人軍屬及諸生徒ニハ日用品及其ノ他ノ消耗品ヲ給ス但シ准士官以上及軍屬ニ給スルハ特ニ必要アル場合ニ限ル
第十章 雜則
第四十八條 軍人軍屬ニハ必要ニ應ジ官舍ヲ貸渡スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ職務上官舍ニ居住スルコトヲ命ゼラレタル者ヲ除クノ外官舍貸渡料ヲ納付セシム
外地ニ在ル軍人軍屬ニハ必要ニ應ジ宿舍及家具ヲ貸與スルコトヲ得但シ宿舍及家具ノ貸與ニ代ヘ宿舍料ヲ給スルコトヲ得
戰地ニ在ル部隊ニ屬スル判任文官及同待遇者ニシテ許可ヲ受ケ其ノ家族ヲ招致シタルモノニハ宿舍ヲ貸與ス但シ宿舍ノ貸與ニ代ヘ宿舍料ヲ給スルコトヲ得
官舍貸渡料及宿舍料ニ關スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十九條 外地ニ在ル部隊ニ屬スル軍人軍屬ニハ必要ニ應ジ防寒用薪炭ヲ給スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ代金ヲ給スルコトヲ得
第五十條 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍屬(內地ニ在ル部隊ニ屬スル准士官以上及軍屬ニ在リテハ第十九條第一項第一號及第二十條ニ揭グル部隊ニ屬スル者、公務ヲ以テ外地若ハ戰地ニ往復スル者又ハ其ノ傷病公務ニ基因スル者ニ限ル)及諸生徒ノ治療ニ要スル諸費ハ官費トス
前項ノ規定ニ依リ官費治療ヲ受クベキ者同一ノ原因ニ付他ノ法令ニ依ル給與ヲ受ケタルトキハ陸軍大臣ノ定ムル金額ヲ納付セシム
第五十一條 軍人軍屬及諸生徒死亡シタル場合(內地ニ在ル部隊ニ屬スル准士官以上及軍屬ニ在リテハ第十九條第一項第一號及第二十條ニ揭グル部隊ニ屬スル者、公務ヲ以テ外地若ハ戰地ニ往復スル者又ハ其ノ死亡公務ニ起因スル者ニ係ル場合ニ限ル)ニ於テハ官ニ於テ埋葬シ又ハ其ノ死體、遺骨、遺物等ヲ親族ニ引渡ス爲必要ナル諸費ハ官費トス
軍人軍屬(准士官以上及軍屬ニ在リテハ戰地ニ在ル部隊ニ屬スル者及陸軍大臣ノ定ムル者ニ限ル)及諸生徒死亡シ其ノ死體、遺骨、遺物等ヲ親族ニ引渡ストキハ其ノ際第十六表ニ依ル葬祭料ヲ其ノ親族ニ給ス
第五十二條 內地又ハ外地ニ在リテ防衞、匪徒鎭壓其ノ他ノ特別ノ任務ヲ以テ行動スル部隊、特ニ僻陬ノ地ニ在ル部隊又ハ戒嚴ノ勤務ニ服スル部隊ニ屬スル軍人軍屬及諸生徒ノ給與ニ關シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ第四十二條及第四十四條乃至第四十七條ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
第五十三條 前條ニ規定スルモノヲ除クノ外陸軍大臣ハ特別ノ任務ヲ以テ行動スル部隊竝ニ軍人軍屬及諸生徒ニ係ル給與ニ付本令ノ特例ヲ設クルコトヲ得
陸軍大臣前項ノ特例ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ適用ノ地域及期間竝ニ給與ノ種類及額ニ付大藏大臣ニ協議スベシ
第五十四條 陸軍部內ノ者ニシテ軍人軍屬及諸生徒以外ノモノニ係ル給與ニ關シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ軍屬ニ關スル規定ヲ準用スルコトヲ得
第二十五條第三項、第二十八條、第三十四條、第四十四條第二項、第四十五條、第四十七條、第五十條及第五十一條第一項ノ規定ハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ陸軍部外ノ者ニ係ル給與ニ付之ヲ準用スルコトヲ得
第五十五條 本令ニ定ムルモノノ外給與ノ定額、受給者ノ範圍、給與現品ノ品目及員數、給與期限、支給又ハ貸與ノ區分、給與ノ停止及減額其ノ他本令施行ニ關シ必要ナル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
大東亞戰爭中左ニ揭グル勅令ハ其ノ適用ヲ停止ス
陸軍給與令
陸軍戰時給與規則
朝鮮滿洲駐箚陸軍部隊給與令
臺灣駐箚陸軍部隊給與規則
在樺太陸軍部隊給與令
左ニ揭グル勅令ハ之ヲ廢止ス
在滿陸軍部隊臨時給與令
在支陸軍部隊臨時給與令
大東亞戰爭ニ關スル陸軍戰時給與規則ノ特例
大東亞戰爭陸軍軍人軍屬俸給支給特例
陸軍軍人俸給臨時特例
明治三十七年勅令第二百十六號(國民軍ノ給與ニ關スル件)
昭和八年勅令第七十五號(陸軍衞生部士官ノ補充及現役期間ノ臨時特例ニ規定スル軍醫候補生及衞生部士官ノ給與ニ關スル件)
昭和八年勅令第九十一號(昭和八年勅令第十二號ニ依リ充用セラレタル豫備役士官ノ給與ニ關スル件)
昭和十四年勅令第三百二十九號(豫備役將校ニ任ゼラレタル者ノ服裝手當ニ關スル件)
昭和十四年勅令第五百九十五號(技術將校タルベキ陸軍各兵科將校ノ補充及現役期間ノ臨時特例ニ規定スル技術候補生等ノ給與ニ關スル件)
昭和十五年勅令第六百九十三號(戰時又ハ事變中陸軍部隊ノ糧食、馬糧及裝蹄料ノ定額增加ノ件)
昭和十五年勅令第八百三十七號(特別ノ任務ヲ以テ行動スル陸軍部隊及軍人軍屬ノ給與ノ特例ニ關スル件)
昭和十六年勅令第千二百二十四號(支那ニ在ル陸軍部隊ニ屬スル陸軍軍屬ニ對スル戰時給與ノ特例ニ關スル件)
昭和十七年勅令第四百三十七號(現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ關スル勅令ニ依リ陸軍文官ヨリ現役陸軍武官ニ任ゼラレタル者ノ給與ニ關スル件)
本令施行ノ際現ニ昭和十四年勅令第四百九十號附則第二項表上欄ノ俸給ヲ受クル者別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ第一表ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ額ニ依リ之ニ俸給ヲ給ス
本令施行ノ際現ニ召集中ノ豫備役ノ佐官及大尉一等給ヲ受クル者(明治四十年勅令第二百六十號又ハ昭和八年勅令第十二號ニ依リ充用セラレタル者ヲ含ム)ニ付亦前項ニ同ジ
前二項ニ揭グル者ヲ除クノ外本令施行ノ際現ニ左ノ上欄ニ揭グル給與ヲ受クル者ニ付其ノ現ニ受クル額本令ニ依ル各相當ノ下欄ニ揭グル給與ノ額ヨリ多キトキハ仍從前ノ額ニ依リ之ニ各相當ノ下欄ノ給與ヲ給ス
【表】
曹長三等給以下ノ下士官兵ニシテ本令施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ依ル營外居住ヲ命ゼラレアルモノニハ仍從前ノ例ニ依リ營外加俸及技術加俸ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ本令中俸給トアルハ此等ノ者ニ付テハ營外加俸ヲモ含ムモノトス
本令施行前豫備役ノ將校若ハ准士官ニ任ゼラレタル者ニシテ本令施行後ニ至リ初メテ召集(明治四十年勅令第二百六十號又ハ昭和八年勅令第十二號ニ依ル充用ヲ含ム)セラレタルモノ又ハ本令施行前技術候補生若ハ軍醫候補生ヨリ將校ニ任ゼラレタル者ニシテ本令施行後現役滿期ト爲リ其ノ際引續キ現役ニ服スルコトヲ許可セラレタルモノニハ軍裝手當ノ半額ヲ給ス
昭和十八年七月一日以後本令施行前ノ分ノ委任經理ニ屬スル糧食ニ付テハ當該部隊ニ對シ第十二表ノ範圍內ニ於テ陸軍大臣ノ定ムル額ヲ基準トシテ算定シタル額ト從前ノ規定ニ依ル額トノ差額ヲ交付ス
陸軍大臣別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外他ノ命令中左ノ上欄ニ揭グル給與ニ關スル規定ハ各相當ノ下欄ニ揭グル給與ニ關スル規定トス
【表】
第四項乃至前項ニ定ムルモノノ外本令施行ノ際必要ナル規定ハ陸軍大臣之ヲ定ム
(別表)
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
朕大東亜戦争陸軍給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年七月二十八日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第六百二十五号
大東亜戦争陸軍給与令目次
第一章
総則
第二章
俸給及手当金
第三章
加俸
第四章
手当
第五章
戦時増俸
第六章
賜金
第七章
被服
第八章
糧食及馬糧
第九章
戦地給与
第十章
雑則
大東亜戦争陸軍給与令
第一章 総則
第一条 陸軍軍人軍属諸生徒等及陸軍部隊ニ係ル給与ハ別ニ定ムルモノノ外大東亜戦争中本令ニ依ル
第二条 本令ニ於テ地域ヲ区別スルコト左ノ如シ
一 内地トハ戦地ヲ除クノ外千島及樺太以外ノ内地ヲ謂フ
二 外地トハ戦地ヲ除クノ外千島、樺太、朝鮮、台湾及南洋群島並ニ満洲(関東州及満洲国ヲ謂フ以下同ジ)ヲ謂フ
三 戦地トハ帝国陸軍部隊ノ作戦行動スル地域ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノヲ謂フ
第三条 前条ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ニ於テ名称ヲ区別スルコト左ノ如シ
一 軍隊トハ陸軍平時編制ニ謂フ軍隊(司令部、陸軍教化隊及憲兵隊ヲ除ク)及之ニ準ズル部隊ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノヲ謂フ
二 軍人トハ陸軍ノ現役ニ在ル者(未ダ入営セザル者及帰休兵並ニ諸生徒ヲ除ク)及召集中ノ者(明治四十年勅令第二百六十号又ハ昭和八年勅令第十二号ニ依リ充用セラレタル者ヲ含ム)ヲ謂フ
三 軍属トハ陸軍文官、陸軍監獄看守、陸軍警査並ニ宣誓シテ陸軍ノ勤務ニ服スル其ノ他ノ文官及同待遇者(陸軍大臣ノ指定スル勅令ニ依リ文官ノ待遇ヲ受クル者ヲ含ム)ヲ謂フ
四 諸生徒トハ陸軍補充令第百十五条第一項ニ掲グル者、技術候補生、軍医候補生、特別操縦見習士官、軍医予備員候補者及陸地測量部生徒ヲ謂フ
五 営内居住トハ曹長三等給以下ノ下士官兵及諸生徒屯営、官衙、学校等ノ内ニ居住スルヲ謂フ
六 外宿トハ営内居住者官ノ都合ニ依リ屯営、官衙、学校等ノ外ニ宿泊スルヲ謂フ
第二章 俸給及手当金
第四条 軍人ニハ第一表ニ依リ俸給ヲ給ス
第五条 諸生徒ニハ第二表ニ依リ手当金ヲ給ス但シ現役ノ実役ニ就カシメラレタル者及見習士官トシテ将校ノ勤務ニ服スル者ニハ第一表ニ依リ俸給ヲ給ス
第六条 本令中俸給トアルハ文官待遇者ニ付テハ本俸給ニ準ズル給与ヲ謂ヒ軍人ニ付テハ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外本令ニ依ル年功加俸及勤続加俸ヲ含ムモノトス
第七条 待命中ノ軍人ニハ俸給十分ノ八、休職中ノ軍人及外国留学ヲ許可セラレタル軍人ニハ俸給十分ノ六、停職中ノ軍人ニハ恩給法別表第一号表ノ仮定俸給三分ノ一ヲ給ス
第八条 陸軍部内ニ於ケル兼職者ノ俸給ハ其ノ多額ニ就キ之ヲ給スルコトヲ得
武官ニシテ陸軍部内ノ文官ニ専任セラレタルモノニハ武官トシテノ俸給ハ之ヲ給セズ
第九条 年俸ハ十二分シテ毎月下旬之ヲ給ス
月俸及手当金ハ毎月下旬之ヲ給ス但シ兵ノ俸給ハ毎旬之ヲ給スルコトヲ得
演習、防衛又ハ特別任務ノ為屯営等ヲ離ルルトキ其ノ他必要アルトキハ適宜ノ時期ニ於テ其ノ月分ノ俸給及手当金ヲ給スルコトヲ得
演習、防衛又ハ特別任務ノ為翌月ニ亘リ屯営等ヲ離ルルトキハ翌月分ノ俸給ヲモ給スルコトヲ得
第十条 軍人現役ヲ離レタルトキ若ハ召集ヲ解除セラレタルトキ、諸生徒之ヲ免ゼラレタルトキ又ハ軍人及諸生徒死亡シタルトキハ其ノ月末日迄ノ俸給及手当金ヲ給スルコトヲ得
第十一条 待命、休職若ハ停職ト為リ又ハ現役ヲ離レ若ハ召集ヲ解除セラレタル軍人ニハ事務引継残務整理中在職中、現役中又ハ召集中ニ準ジ俸給ヲ給ス
第十二条 軍人及諸生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ俸給及手当金ヲ減額シ又ハ之ガ支給ヲ停止スルコトヲ得但シ外地又ハ戦地ニ於テ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者第一号ニ該当スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 請願休暇又ハ病気引籠中ナルトキ
二 拘禁留置中ナルトキ又ハ陸軍懲罰令ニ依リ謹慎若ハ営倉ニ処セラレタルトキ
三 擅ニ職役屯営本隊ヲ離レ又ハ他方ニ赴キ故ナク帰着ノ期ニ後レタルトキ
四 生死分明ナラザルトキ
軍属前項各号(文官タル者ニ在リテハ第二号乃至第四号)ノ一ニ該当スルトキ亦前項ニ同ジ
第三章 加俸
第十三条 軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)ニハ左ノ各号ニ依リ諸加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第三表ニ依ル
一 軍隊中独立隊ノ隊長ニシテ編制上佐官ヲ以テ充ツベキモノノ職ニ在ル佐官又ハ其ノ職ニ充テラレタル大尉ニハ隊長加俸
二 准士官又ハ下士官ヨリ将校ニ任ゼラレタル者ニシテ下士官ニ任ゼラレタル後在職六年(憲兵ニ在リテハ憲兵兵長タリシ期間ノ二分ノ一ヲ加算シ在職年数ヲ定ム)ヲ経過シタルモノニハ年功加俸
三 准士官ニシテ四年以上、曹長又ハ軍曹ニシテ二年以上其ノ階級ニ於ケル俸給ノ最上給ヲ受ケタルモノニハ勤続加俸
四 憲兵准士官下士官兵ニハ憲兵加俸
五 憲兵准士官下士官兵ニシテ通訳ヲ命ゼラレタルモノニハ憲兵通訳加俸
六 営内居住下士官兵(憲兵及外宿ノ者ヲ除ク)ニシテ通訳ヲ命ゼラレタルモノニハ営内者通訳加俸
七 准士官及営外居住下士官ニシテ技術ニ従事スルモノニハ技術加俸
陸軍教化隊ノ勤務ニ服スル軍人ニハ前項ノ外准士官以上ニ在リテハ俸給ノ六分ノ一、下士官兵ニ在リテハ俸給ノ四分ノ一ヲ加給ス
第九条乃至第十二条ノ規定ハ第一項ノ諸加俸及前項ノ加給ニ之ヲ準用ス
第十四条 軍人軍属及諸生徒(第五条但書ノ規定ニ該当スル者ニ限ル)ニシテ軍用ノ船舶ノ乗員ヲ命ゼラレタルモノ又ハ其ノ乗組ヲ命ゼラレ海上勤務ニ服スルモノニハ航海加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第四表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第十五条 外地ニ在ル部隊ニ属スル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍属及諸生徒(第五条但書ノ規定ニ該当スル者並ニ其ノ他ノ幹部候補生及操縦候補生ニシテ見習士官タラザルモノニ限ル)ニハ左ノ区分ニ依リ外地在勤加俸ヲ給ス
一 将校及高等文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ六以内但シ月額九十五円ニ満タザル者ニハ月額九十五円迄ヲ給スルコトヲ得
二 准士官、下士官兵、諸生徒及判任文官同待遇者ニハ俸給又ハ手当金ノ十分ノ九以内
北海道ニ在ル部隊ニ属スル准士官以上、営外居住又ハ外宿ノ下士官兵及軍属ニハ北海道在勤加俸ヲ給ス其ノ定額ハ第五表ニ依ル
第九条乃至第十二条ノ規定ハ前二項ノ在勤加俸ニ之ヲ準用ス
第四章 手当
第十六条 軍人ニハ左ノ各号ニ依リ諸手当ヲ給ス其ノ定額ハ第三号但書及第四号ニ定ムルモノヲ除クノ外第六表ニ依ル
一 外宿ノ下士官兵ニハ外宿手当但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ関スル勅令ニ依リ陸軍文官ヨリ現役下士官ニ任ゼラレタル者ニシテ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クルモノヲ除ク
二 志願ニ依リ初メテ現役下士官ト為リタル者ニハ其ノ際初任手当但シ諸生徒ニシテ下士官ノ階級ニ進メラレタルモノヲ除ク
三 初メテ将校又ハ准士官ニ任ゼラレタル者(准士官ヨリ尉官ニ任ゼラレタル者ヲ除ク)ニハ其ノ際軍装手当但シ予備役ノ将校又ハ准士官ニ任ゼラレタル者及技術候補生又ハ軍医候補生ヨリ将校ニ任ゼラレタル者ニ給スル軍装手当ハ第六表定額ノ半額トス
四 前号但書ノ規定ニ該当スル者ニシテ初メテ召集(明治四十年勅令第二百六十号又ハ昭和八年勅令第十二号ニ依リ充用セラルル場合ヲ含ム)セラレ又ハ技術候補生若ハ軍医候補生ヨリ将校ニ任ゼラレ現役満期ト為ル際引続キ現役ニ服スルコトヲ許可セラレタルモノニハ其ノ際更ニ軍装手当但シ其ノ額ハ第六表定額ノ半額トス
五 初メテ近衛騎兵連隊ノ勤務ヲ命ゼラレタル兵科准士官以上ニハ其ノ際供奉用軍装手当
六 軍隊(教導連隊、教導隊、練習隊、幹部候補生隊、下士官候補者隊及生徒隊ヲ含ム)勤務ノ尉官及准士官ニシテ中隊(之ニ準ズルモノヲ含ム)ニ於テ服務スルモノニハ被服手当
第九条第二項乃至第四項及第十条乃至第十二条ノ規定ハ前項第一号ノ外宿手当ニ之ヲ準用ス
第十七条 戦闘其ノ他戦争ニ関スル公務ニ起因スル傷痍疾病ニ因リ休職ヲ命ゼラレタル軍人ニハ休職中俸給十分ノ四以内ノ公務傷病手当ヲ給スルコトヲ得
第九条乃至第十二条ノ規定ハ公務傷病手当ニ之ヲ準用ス
第十八条 樺太及満洲ノ中特別ノ地方ニ在ル部隊ニ属スル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍属及諸生徒(第五条但書ノ規定ニ該当スル者並ニ其ノ他ノ幹部候補生及操縦候補生ニシテ見習士官タラザルモノニ限ル)ニハ俸給又ハ手当金ノ十分ノ三以内ノ特別手当ヲ給スルコトヲ得
前項ノ特別ノ地方ハ治安状態不良ナル地方、陸接国境地方、交通不便ナル地方其ノ他特殊ノ事情アル地方ニ就キ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九条乃至第十二条ノ規定ハ特別手当ニ之ヲ準用ス
第五章 戦時増俸
第十九条 内地又ハ外地ニ在ル軍人(演習召集中ノ者ヲ除ク)、軍属及諸生徒(第五条但書ノ規定ニ該当スル者ニ限ル)ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル部隊ニ属スルモノニハ戦時増俸ヲ給ス
一 出戦又ハ戦備ノ態勢ヲ完成シタル部隊
二 前号ニ掲グルモノヲ除クノ外戦争ニ関スル繁劇ノ勤務ニ服スル部隊
前項ノ戦時増俸ノ額ハ左ノ各号ノ定ムル所ニ依ル
一 准士官以上及軍属ニハ俸給ノ十分ノ二以内但シ尉官及准士官並ニ高等文官及同待遇者ニシテ月額二十円ニ満タザルモノニ付テハ月額二十円迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ二・五以内但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ関スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ俸給ノ十分ノ二以内
第一項第一号ノ部隊ニ係ル戦時増俸ハ其ノ態勢完成ノ日ヨリ復員又ハ復帰ノ完結ノ日迄之ヲ給ス但シ第三十七条ニ規定スル戦地増俸ヲ受クル期間ヲ除ク
第一項第二号ノ部隊及其ノ部隊ニ係ル戦時増俸ノ給与期間ハ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九条乃至第十二条ノ規定ハ第一項ノ戦時増俸ニ之ヲ準用ス
第二十条 軍人軍属及諸生徒(第五条但書ノ規定ニ該当スル者ニ限ル)ニシテ内地又ハ外地ニ於テ特別ノ命令ニ依リ対敵ノ行動ヲ取リ若ハ対敵ノ配置ニ就ク部隊又ハ戒厳ノ勤務ニ服スル部隊ニ属スルモノ(此等ノ部隊ニ派遣セラルルモノヲ含ム)ニハ左ノ区分ニ依リ戦時増俸ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ前条ノ戦時増俸ハ之ヲ給セズ
一 准士官以上及軍属ニハ俸給ノ十分ノ三以内但シ尉官及准士官並ニ高等文官及同待遇者ニシテ月額三十二円ニ満タザルモノニ付テハ月額三十二円迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ四以内但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ関スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ俸給ノ十分ノ三以内
前項ノ部隊及其ノ部隊ニ係ル戦時増俸ノ給与期間ハ陸軍大臣之ヲ指定ス
第九条乃至第十二条ノ規定ハ第一項ノ戦時増俸ニ之ヲ準用ス
第六章 賜金
第二十一条 勤功章ヲ有スル現役下士官ニハ在営中毎年第七表ニ依リ勤功褒賞金ヲ給ス
第二十二条 営内居住五年(外宿ノ期間ヲ除ク)以上ニ及ブ現役下士官ニハ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ至リタル際第八表ニ依リ退営賜金ヲ給ス
一 曹長二等給以上ノ俸給ヲ受クルニ至リタルトキ
二 現役ヲ離レタルトキ
三 死亡シタルトキ
失官ト為リタル者及陸軍懲罰令ニ依リ免官ト為リタル者並ニ犯罪若ハ犯行ニ関シ現ニ取調中退営賜金ヲ給スベキ事由発生シタル下士官ニシテ失官又ハ免官ト為リタルモノ及連隊長若ハ之ト同等以上ノ権アル長官ニ於テ失官若ハ免官ニ該当スト認メタルモノニハ退営賜金ハ之ヲ給セズ
第二十三条 軍人及諸生徒(見習士官及陸軍補充令第百十五条第一項第四号乃至第六号ニ掲グル者ニ限ル)死亡シタルトキハ死亡賜金ヲ其ノ遺族ニ給ス其ノ定額ハ第九表ニ依ル
前項ノ遺族トハ妻、子、父、母、孫、祖父、祖母及兄弟姉妹ニシテ死亡者ノ死亡当時之ト同一戸籍内ニ在ルモノヲ謂フ本人ノ死亡後二年以内ニ昭和十五年法律第四号(委託又ハ郵便ニ依ル戸籍届出ニ関スル法律)ニ基キ本人死亡ノ当時之ト同一戸籍内ニ在リタルモノト為ルニ至リタル妻、子、父、母、孫、祖父、祖母及兄弟姉妹亦同ジ
第一項ノ死亡賜金ヲ受クベキ遺族ノ順位ハ前項ニ掲ゲタル順位ニ依リ同一順位内ニ在リテハ家督相続人ハ其ノ他ノ者ニ、男ハ女ニ、長ハ幼ニ先ヅ
第二十四条 前条ノ遺族ナキ場合ニ於テハ本人死亡ノ当時実家ニ在ル実父母、死亡者ノ家督相続人、本人死亡当時ニ於ケル戸主ノ順位ニ依リ第九表ノ金額ノ二分ノ一ヲ給スルコトヲ得
前条第二項後段ニ規定スル者ニ対シテハ既ニ死亡賜金ヲ給セラレタル者ナキトキニ限リ之ヲ給ス但シ前項ノ規定ニ依リ死亡賜金ヲ給セラレタル者アルトキハ其ノ差額ヲ給スルコトヲ得
第七章 被服
第二十五条 下士官(営外居住又ハ外宿ノ現役下士官ヲ除ク)、兵及諸生徒(陸軍幼年学校生徒ヲ含ム以下同ジ)ニハ第十表ニ掲グル被服ノ中所要ノ物ヲ支給又ハ貸与ス
営外居住又ハ外宿ノ現役下士官ニハ第十表ニ掲グル被服ノ中特ニ必要トスル物ニ限リ之ヲ支給又ハ貸与スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ被服料ヲ給スルコトヲ得
軍人軍属及諸生徒ニハ地方ノ状況又ハ勤務若ハ修学ノ必要ニ応ジ第十一表ニ掲グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸与スルコトヲ得
第二十六条 第十六条第一項第六号ノ規定ニ該当スル尉官及准士官ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノニハ第十表ニ掲グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸与スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ同号ノ被服手当ヲ減額シ又ハ之ガ支給ヲ停止スルコトアルベシ
第二十七条 看護婦長ニハ第十一表ニ掲グル被服ヲ除クノ外看護勤務上所要ノ被服ヲ支給又ハ貸与スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ被服料ヲ給スルコトヲ得
第八章 糧食及馬糧
第二十八条 営内居住下士官兵(外宿ノ者ヲ除ク)及諸生徒ノ糧食ハ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外官給トス
陸軍大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ前項ニ掲グル以外ノ者ノ糧食ヲモ官給ト為スコトヲ得
第二十九条 前条ノ糧食ハ基本糧食ノ外左ニ掲グルモノトス其ノ定額ハ第十二表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
一 宮闕守衛ノ衛兵及陸軍大臣ノ指定スル諸生徒其ノ他ノ者ニ付テハ増賄料
二 防衛勤務、野外演習、軍隊旅行等ノ為屯営外ニ於テ部隊自炊ヲ為スノ必要アル者ニ付テハ野外増賄料
三 夜間ニ於テ警備、演習、作業其ノ他ノ勤務ニ服スルノ必要アル者ニ付テハ夜食料
第三十条 軍隊、陸軍教化隊及陸軍大臣ノ指定スル官衙学校ニ対シテハ第二十八条ノ規定ニ依リ糧食ノ官給ヲ受クベキ者ノ現人員数ニ応ジ前条ニ規定スル区分ニ従ヒ糧食ノ定額ヲ交付シ当該部隊長ニ其ノ経理ヲ委任ス
前項ノ規定ハ陸軍大臣別段ノ定ヲ為ス場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十一条 軍隊及病院以外ノ部隊ニ於テ営内居住下士官兵(外宿ノ者ヲ除ク)及諸生徒少数ニシテ部隊自炊ヲ適当トセザル事情アルトキハ陸軍大臣ハ此等ノ者ニ対シ基本糧食ニ代ヘ食料ヲ給スルコトヲ得其ノ定額ハ第十二表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
前条第一項ノ規定ハ前項ノ場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第三十二条 出師準備品ニ属スル糧食品ハ新陳交換ノ為必要アルトキハ第十二表備考第一号ノ定ムル所ニ依リ第二十九条ノ規定ニ依ル糧食ニ代ヘ之ヲ給スルコトヲ得
第三十三条 新設又ハ増設ニ係ル部隊ニハ第三十条第一項ノ規定ニ依リ交付スル糧食ノ外其ノ際特ニ必要トスル糧食ヲ交付スルコトヲ得
第三十四条 第十九条又ハ第二十条ノ規定ニ依リ戦時増俸ヲ受クル軍人軍属及諸生徒ニハ第二十九条ニ規定スルモノノ外陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ適宜必要ト認ムル糧食品等ヲ給シ又ハ其ノ代金ヲ給スルコトヲ得
第三十五条 部隊ノ保管馬(軍馬補充部ニ於テ育成中ノモノヲ除ク)ニ付テハ陸軍大臣別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外該馬ヲ繋畜スル部隊ニ対シ繋畜中ノ現馬数ニ応ジ定額ノ馬糧ヲ交付シ当該部隊長ニ其ノ経理ヲ委任ス
軍隊旅行、演習旅行、陣営移転等ノトキハ前項ノ馬糧ノ外増飼ヲ交付スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル馬糧及増飼ノ一頭当定額ハ第十三表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第三十六条 委任経理ニ属スル基本糧食及馬糧ハ一月分以内ノ数額ニ依リ概算渡ヲ為スコトヲ得
第九章 戦地給与
第三十七条 戦地ニ在ル軍人、軍属及諸生徒ニハ左ノ区分ニ依リ戦地増俸ヲ給ス
一 准士官以上及軍属ニハ俸給ノ十分ノ十一以内但シ尉官准士官又ハ軍属ニシテ月額百八十円ニ満タザルモノニ付テハ月額百八十円迄ヲ給スルコトヲ得
二 下士官兵及諸生徒ニハ俸給ノ十分ノ十五以内但シ現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ関スル勅令ニ依リ陸軍文官トシテノ最終ノ俸給額ヲ受クル現役下士官ニ在リテハ前号ノ軍属ニ付定ムル所ニ依ル
前項ノ戦地増俸ハ戦地外ヨリ戦地ニ出発スル者ニ在リテハ出発ノ日ヨリ之ヲ給シ戦地外ニ帰着又ハ赴任スル者ニ在リテハ其ノ地ニ到着ノ日迄之ヲ給ス但シ内地及外地途中ニ在ル期間ニ付テハ陸軍大臣ハ定額ヲ減ズルコトヲ得
第二条第三号ノ規定ニ依リ新ニ戦地ノ指定アリタル場合ニ於テ其ノ際現ニ当該地域ニ在ル者ニハ指定ノ日ノ属スル月ノ初ヨリ第一項ノ戦地増俸ヲ給ス
敵ニ捕ヘラレ又ハ生死不明ト為リタル者ニハ其ノ期間第一項ノ戦地増俸ノ支給ハ之ヲ停止ス
第九条第一項、第十一条及第十二条ノ規定ハ第一項ノ戦地増俸ニ之ヲ準用ス
第三十八条 戦地ニ在ル部隊ニ属スル軍人軍属及諸生徒ノ俸給、諸加俸及戦地増俸ノ支給ニ関シテハ左ノ各号ノ定ムル所ニ依ル
一 毎月十五日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ月分ノ全額ヲ給ス
二 月ノ十六日以後ニ於テ新ニ軍人軍属トシテ部隊ノ勤務ニ服スルニ至リタル者ノ其ノ月分ハ其ノ勤務ニ服スルニ至リタル日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ月額ノ半額トス
三 前二号ノ規定ハ陸軍部外ノ官署ニ在官若ハ在職ノ儘又ハ該官署ヨリ転官若ハ転職シ部隊ノ勤務ニ服スルニ至リタル者ノ其ノ月分ノ支給ニ付テハ之ヲ適用セズ
四 月ノ十四日以前ニ於テ現役ヲ離レ、帰休ヲ命ゼラレ、召集ヲ解除セラレ、諸生徒ヲ免ゼラレ若ハ免官退官等ニ依リ部隊ノ勤務ヲ離レタル者又ハ死亡シタル者ノ其ノ月分ハ部隊ノ勤務ヲ離レタル日又ハ死亡シタル日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ月分ノ全額トス但シ部隊ノ勤務ヲ離レタル日又ハ死亡シタル日ニ昇給シタル者ニ付テハ昇給前ノ額ニ依ル
五 毎月十六日以後ニ於テ其ノ月分ヲ支給ス但シ必要アルトキハ其ノ月分ヲ含ム三月分以内ニ於テ前金払ヲ為シ又ハ翌月以後適宜ノ時期迄之ガ支給ヲ繰延ブルコトヲ得
六 戦地ニ於テ死亡シタル者ニハ死亡判明ノ日ノ属スル月分迄ノ俸給及諸加俸(前号但書ノ規定ニ依リ前金払ヲ為シタル俸給、諸加俸及戦地増俸ニ付テハ前金払ノ日ノ現在ニ於テ受クベキ額ニ依リ其ノ前金払ニ係ル月分迄)ヲ給スルコトヲ得
七 前各号ニ定ムル場合ヲ除クノ外戦地ニ入リタル月又ハ戦地ヲ離レタル月ノ戦地増俸ハ前条第二項ノ規定ニ拘ラズ其ノ月分ノ全額ヲ給スルコトヲ得
第三十九条 戦地ニ出発スル軍人軍属及諸生徒ノ俸給及諸加俸ハ必要アルトキハ其ノ月分ヲ含ム三月分以内ニ於テ前金払ヲ為スコトヲ得
戦地ニ往復途中(内地及外地内ヲ除ク)ニ於テ死亡シタル軍人軍属及諸生徒ノ俸給及諸加俸ハ死亡判明ノ日ノ属スル月分迄(前条第五号但書又ハ前項ノ規定ニ依リ前金払ヲ為シタル俸給及諸加俸ニ付テハ其ノ前金払ニ係ル月分迄)之ヲ給スルコトヲ得
第四十条 准士官以上、営外居住又ハ外宿ノ下士官兵及軍属左ノ各号ノ一ニ該当スルニ至リタルトキハ其ノ際出戦手当ヲ給ス
一 戦地ニ出発スルトキ
二 所属ノ部隊ガ出戦ノ態勢ヲ完成シテ衛戍地又ハ編成地ヲ出発スルトキ
三 前号ニ掲グル部隊出発ノ後ニ於テ之ニ属セシメラレタルトキ
四 前二号ニ該当スル場合ヲ除クノ外第二条第三号ノ規定ニ依リ新ニ戦地ノ指定アリタル場合ニ於テ現ニ当該地域ニ在ルトキ
戦地ニ於テ新ニ准士官以上、営外居住下士官又ハ軍属ト為リタル者ニハ其ノ際出戦手当ヲ給ス
前二項ノ出戦手当ノ定額ハ第十四表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十一条 前条ノ出戦手当ヲ受クベキ軍属ニシテ従軍ノ為一定ノ制服ヲ着用スベキモノニハ之ニ出戦手当ヲ給スル際第十五表ノ従軍軍属服装手当ヲ給ス
第四十二条 准士官以上及軍属ニシテ戦地及戦地往復途中(内地及外地内ヲ除ク)ニ於テ船舶ノ破壊、沈没其ノ他公務上非常ノ災害ニ因リ被服装具ヲ亡失シタルモノニハ現品ヲ給シ又ハ被服装具亡失手当ヲ給スルコトヲ得毀損シテ使用ニ堪ヘザルニ至リタル被服装具ニ付亦同ジ
前項ノ被服装具亡失手当ノ定額ハ第十五表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十三条 戦地ニ在ル部隊ニ属スル判任文官及同待遇者ニシテ許可ヲ受ケ其ノ家族ヲ招致シタルモノニハ家族招致手当ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ第四十五条及第四十七条ニ定ムル糧食、日用品其ノ他ノ消耗品ハ之ヲ給セズ
前項ノ家族招致手当ノ定額ハ第十五表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十四条 戦地ニ在ル営外居住下士官ニハ第十表及第十一表ニ掲グル被服ノ中所要ノ物ヲ支給又ハ貸与ス
戦地ニ在ル准士官以上及軍属ニハ必要ニ応ジ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ一時第十表ニ掲グル被服ノ中所要ノ物ヲ貸与スルコトヲ得
第四十五条 戦地ニ在ル軍人軍属及諸生徒ノ糧食ハ総テ官給トシ現品ヲ以テ之ヲ給ス但シ便宜ニ依リ代金ヲ以テ之ヲ給スルコトヲ得
第四十六条 第二十九条乃至第三十六条ノ規定ハ戦地ニ在ル部隊ニハ之ヲ適用セズ
第四十七条 戦地ニ在ル軍人軍属及諸生徒ニハ日用品及其ノ他ノ消耗品ヲ給ス但シ准士官以上及軍属ニ給スルハ特ニ必要アル場合ニ限ル
第十章 雑則
第四十八条 軍人軍属ニハ必要ニ応ジ官舎ヲ貸渡スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ職務上官舎ニ居住スルコトヲ命ゼラレタル者ヲ除クノ外官舎貸渡料ヲ納付セシム
外地ニ在ル軍人軍属ニハ必要ニ応ジ宿舎及家具ヲ貸与スルコトヲ得但シ宿舎及家具ノ貸与ニ代ヘ宿舎料ヲ給スルコトヲ得
戦地ニ在ル部隊ニ属スル判任文官及同待遇者ニシテ許可ヲ受ケ其ノ家族ヲ招致シタルモノニハ宿舎ヲ貸与ス但シ宿舎ノ貸与ニ代ヘ宿舎料ヲ給スルコトヲ得
官舎貸渡料及宿舎料ニ関スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第四十九条 外地ニ在ル部隊ニ属スル軍人軍属ニハ必要ニ応ジ防寒用薪炭ヲ給スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ代金ヲ給スルコトヲ得
第五十条 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍属(内地ニ在ル部隊ニ属スル准士官以上及軍属ニ在リテハ第十九条第一項第一号及第二十条ニ掲グル部隊ニ属スル者、公務ヲ以テ外地若ハ戦地ニ往復スル者又ハ其ノ傷病公務ニ基因スル者ニ限ル)及諸生徒ノ治療ニ要スル諸費ハ官費トス
前項ノ規定ニ依リ官費治療ヲ受クベキ者同一ノ原因ニ付他ノ法令ニ依ル給与ヲ受ケタルトキハ陸軍大臣ノ定ムル金額ヲ納付セシム
第五十一条 軍人軍属及諸生徒死亡シタル場合(内地ニ在ル部隊ニ属スル准士官以上及軍属ニ在リテハ第十九条第一項第一号及第二十条ニ掲グル部隊ニ属スル者、公務ヲ以テ外地若ハ戦地ニ往復スル者又ハ其ノ死亡公務ニ起因スル者ニ係ル場合ニ限ル)ニ於テハ官ニ於テ埋葬シ又ハ其ノ死体、遺骨、遺物等ヲ親族ニ引渡ス為必要ナル諸費ハ官費トス
軍人軍属(准士官以上及軍属ニ在リテハ戦地ニ在ル部隊ニ属スル者及陸軍大臣ノ定ムル者ニ限ル)及諸生徒死亡シ其ノ死体、遺骨、遺物等ヲ親族ニ引渡ストキハ其ノ際第十六表ニ依ル葬祭料ヲ其ノ親族ニ給ス
第五十二条 内地又ハ外地ニ在リテ防衛、匪徒鎮圧其ノ他ノ特別ノ任務ヲ以テ行動スル部隊、特ニ僻陬ノ地ニ在ル部隊又ハ戒厳ノ勤務ニ服スル部隊ニ属スル軍人軍属及諸生徒ノ給与ニ関シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ第四十二条及第四十四条乃至第四十七条ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
第五十三条 前条ニ規定スルモノヲ除クノ外陸軍大臣ハ特別ノ任務ヲ以テ行動スル部隊並ニ軍人軍属及諸生徒ニ係ル給与ニ付本令ノ特例ヲ設クルコトヲ得
陸軍大臣前項ノ特例ヲ設クル場合ニ於テハ其ノ適用ノ地域及期間並ニ給与ノ種類及額ニ付大蔵大臣ニ協議スベシ
第五十四条 陸軍部内ノ者ニシテ軍人軍属及諸生徒以外ノモノニ係ル給与ニ関シテハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ軍属ニ関スル規定ヲ準用スルコトヲ得
第二十五条第三項、第二十八条、第三十四条、第四十四条第二項、第四十五条、第四十七条、第五十条及第五十一条第一項ノ規定ハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ陸軍部外ノ者ニ係ル給与ニ付之ヲ準用スルコトヲ得
第五十五条 本令ニ定ムルモノノ外給与ノ定額、受給者ノ範囲、給与現品ノ品目及員数、給与期限、支給又ハ貸与ノ区分、給与ノ停止及減額其ノ他本令施行ニ関シ必要ナル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
大東亜戦争中左ニ掲グル勅令ハ其ノ適用ヲ停止ス
陸軍給与令
陸軍戦時給与規則
朝鮮満洲駐箚陸軍部隊給与令
台湾駐箚陸軍部隊給与規則
在樺太陸軍部隊給与令
左ニ掲グル勅令ハ之ヲ廃止ス
在満陸軍部隊臨時給与令
在支陸軍部隊臨時給与令
大東亜戦争ニ関スル陸軍戦時給与規則ノ特例
大東亜戦争陸軍軍人軍属俸給支給特例
陸軍軍人俸給臨時特例
明治三十七年勅令第二百十六号(国民軍ノ給与ニ関スル件)
昭和八年勅令第七十五号(陸軍衛生部士官ノ補充及現役期間ノ臨時特例ニ規定スル軍医候補生及衛生部士官ノ給与ニ関スル件)
昭和八年勅令第九十一号(昭和八年勅令第十二号ニ依リ充用セラレタル予備役士官ノ給与ニ関スル件)
昭和十四年勅令第三百二十九号(予備役将校ニ任ゼラレタル者ノ服装手当ニ関スル件)
昭和十四年勅令第五百九十五号(技術将校タルベキ陸軍各兵科将校ノ補充及現役期間ノ臨時特例ニ規定スル技術候補生等ノ給与ニ関スル件)
昭和十五年勅令第六百九十三号(戦時又ハ事変中陸軍部隊ノ糧食、馬糧及装蹄料ノ定額増加ノ件)
昭和十五年勅令第八百三十七号(特別ノ任務ヲ以テ行動スル陸軍部隊及軍人軍属ノ給与ノ特例ニ関スル件)
昭和十六年勅令第千二百二十四号(支那ニ在ル陸軍部隊ニ属スル陸軍軍属ニ対スル戦時給与ノ特例ニ関スル件)
昭和十七年勅令第四百三十七号(現役陸軍武官ノ補充ノ特例ニ関スル勅令ニ依リ陸軍文官ヨリ現役陸軍武官ニ任ゼラレタル者ノ給与ニ関スル件)
本令施行ノ際現ニ昭和十四年勅令第四百九十号附則第二項表上欄ノ俸給ヲ受クル者別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ第一表ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ額ニ依リ之ニ俸給ヲ給ス
本令施行ノ際現ニ召集中ノ予備役ノ佐官及大尉一等給ヲ受クル者(明治四十年勅令第二百六十号又ハ昭和八年勅令第十二号ニ依リ充用セラレタル者ヲ含ム)ニ付亦前項ニ同ジ
前二項ニ掲グル者ヲ除クノ外本令施行ノ際現ニ左ノ上欄ニ掲グル給与ヲ受クル者ニ付其ノ現ニ受クル額本令ニ依ル各相当ノ下欄ニ掲グル給与ノ額ヨリ多キトキハ仍従前ノ額ニ依リ之ニ各相当ノ下欄ノ給与ヲ給ス
【表】
曹長三等給以下ノ下士官兵ニシテ本令施行ノ際現ニ従前ノ規定ニ依ル営外居住ヲ命ゼラレアルモノニハ仍従前ノ例ニ依リ営外加俸及技術加俸ヲ給ス此ノ場合ニ於テハ本令中俸給トアルハ此等ノ者ニ付テハ営外加俸ヲモ含ムモノトス
本令施行前予備役ノ将校若ハ准士官ニ任ゼラレタル者ニシテ本令施行後ニ至リ初メテ召集(明治四十年勅令第二百六十号又ハ昭和八年勅令第十二号ニ依ル充用ヲ含ム)セラレタルモノ又ハ本令施行前技術候補生若ハ軍医候補生ヨリ将校ニ任ゼラレタル者ニシテ本令施行後現役満期ト為リ其ノ際引続キ現役ニ服スルコトヲ許可セラレタルモノニハ軍装手当ノ半額ヲ給ス
昭和十八年七月一日以後本令施行前ノ分ノ委任経理ニ属スル糧食ニ付テハ当該部隊ニ対シ第十二表ノ範囲内ニ於テ陸軍大臣ノ定ムル額ヲ基準トシテ算定シタル額ト従前ノ規定ニ依ル額トノ差額ヲ交付ス
陸軍大臣別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外他ノ命令中左ノ上欄ニ掲グル給与ニ関スル規定ハ各相当ノ下欄ニ掲グル給与ニ関スル規定トス
【表】
第四項乃至前項ニ定ムルモノノ外本令施行ノ際必要ナル規定ハ陸軍大臣之ヲ定ム
(別表)
【表】
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