在満陸軍部隊臨時給与令
法令番号: 勅令第三百二十七號
公布年月日: 昭和9年11月27日
法令の形式: 勅令
朕在滿陸軍部隊臨時給與令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年十一月二十六日
內閣總理大臣 岡田啓介
陸軍大臣 林銑十郞
勅令第三百二十七號
在滿陸軍部隊臨時給與令
第一條 滿洲(關東州及滿洲國ヲ謂フ以下之ニ同ジ)ニ在ル陸軍部隊及之ニ屬スル軍人軍屬ノ給與ハ當分ノ內本令ニ依ル軍人軍屬以外ノ者ニシテ本令中特ニ定メタルモノノ給與ニ付亦同ジ
本令ニ明文ナキモノニ付テハ陸軍給與令ヲ適用ス
第二條 委任經理ニ係ル給與ニ關シテハ陸軍給與令ニ拘ラズ陸軍大臣之ヲ定ム
第三條 陸軍給與令中軍隊ニ關スル規定ハ同令第二條第一號ノ規定ニ該當セザル部隊ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノニ付之ヲ準用ス
第四條 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者ノ俸給ハ之ヲ減給セザルヲ例トス
第五條 將校同相當官及高等文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ五以內、准士官、下士官以下及判任文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ八以內ノ在勤加俸ヲ給ス但シ在勤加俸ノ年額八百四十圓ニ滿タザル者ニハ年額八百四十圓迄ヲ給スルコトヲ得
第六條 軍人軍屬ニシテ治安狀態ノ不良ナル地方、陸接國境地方、交通不便ナル地方其ノ他特殊ノ事情アル地方ニ在勤スルモノニハ俸給ノ十分ノ三以內ノ特別手當ヲ給スルコトヲ得
第七條 豫備役、後備役又ハ補充兵役ニ在リテ勤務演習ノ爲召集中ノ者ニハ在勤加俸及特別手當ヲ給セズ
第八條 營內居住下士官以下ニシテ通譯ヲ命ゼラレタルモノニハ月額一圓二十錢以內ノ通譯加俸ヲ給ス
第九條 下士官退營賜金ノ定額ハ別表ニ依ル但シ內地ニ原駐地ヲ有シ一時滿洲ニ派遣セラレアル部隊ニ屬スル者ニ付テハ陸軍給與令第七表ノ二ニ依ル
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ准士官以上、營外居住ノ下士官以下及軍屬ニ糧食ヲ官給ス但シ第二號ノ場合ニ於テハ特別手當ノ一部ヲ減給スルモノトス
一 匪徒鎭壓、警備等ノ爲必要アルトキ
二 第六條ノ地方ニ於テ糧食ヲ現地ニ於テ調達シ能ハザル場所又ハ部隊ニ勤務スルトキ
軍人軍屬以外ノ者ト雖モ糧食給與ノ必要アルトキハ之ヲ官給スルコトヲ得
第十一條 匪徒鎭壓ニ從事シ又ハ特ニ僻陬ノ地方ニ勤務スル軍人軍屬ニハ特ニ必要アル場合日用品ヲ給スルコトヲ得
第十二條 准士官以上、營外居住ノ下士官以下及軍屬ニハ必要ニ應ジ宿舍及家具ヲ貸與スルコトヲ得但シ宿舍及家具ノ貸與ニ代ヘ宿舍料ヲ給スルコトヲ得
第十三條 准士官以上、營外居住ノ下士官以下及軍屬ニハ必要ニ應ジ防寒用薪炭ヲ支給スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ代金ヲ給スルコトヲ得
第十四條 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍屬ノ治療ニ要スル諸費ハ總テ官費トス軍人軍屬以外ノ者ト雖モ必要アルトキハ官費ト爲スコトヲ得
第十五條 軍人軍屬死亡シタルトキ官ニ於テ埋葬シ又ハ遺骨、遺物等ヲ遺族ニ引渡ス爲ニ要スル諸費ハ官費トス軍人軍屬以外ノ者ニ付必要アルトキ亦同ジ
第十六條 本令ハ第五條、第六條及第九條ノ規定ヲ除クノ外滿洲ニ在ル陸軍部隊ニ屬セザルモ公務ノ爲滿洲ニ往復スル軍人軍屬ノ給與ニ付之ヲ準用ス
第十七條 匪徒鎭壓、警備等ノ爲必要アルトキハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ第一條ニ揭グル部隊及軍人軍屬ニ付陸軍戰時給與規則ヲ準用スルコトヲ得
第十八條 糧食及馬糧ノ定額竝ニ本令ニ依ル給與ノ定額、物件ノ種類員數、給與期限、支給區分、停止及減額其ノ他本令ノ施行ニ關スル細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
【表】
朕在満陸軍部隊臨時給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年十一月二十六日
内閣総理大臣 岡田啓介
陸軍大臣 林銑十郎
勅令第三百二十七号
在満陸軍部隊臨時給与令
第一条 満洲(関東州及満洲国ヲ謂フ以下之ニ同ジ)ニ在ル陸軍部隊及之ニ属スル軍人軍属ノ給与ハ当分ノ内本令ニ依ル軍人軍属以外ノ者ニシテ本令中特ニ定メタルモノノ給与ニ付亦同ジ
本令ニ明文ナキモノニ付テハ陸軍給与令ヲ適用ス
第二条 委任経理ニ係ル給与ニ関シテハ陸軍給与令ニ拘ラズ陸軍大臣之ヲ定ム
第三条 陸軍給与令中軍隊ニ関スル規定ハ同令第二条第一号ノ規定ニ該当セザル部隊ニシテ陸軍大臣ノ指定スルモノニ付之ヲ準用ス
第四条 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル者ノ俸給ハ之ヲ減給セザルヲ例トス
第五条 将校同相当官及高等文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ五以内、准士官、下士官以下及判任文官同待遇者ニハ俸給ノ十分ノ八以内ノ在勤加俸ヲ給ス但シ在勤加俸ノ年額八百四十円ニ満タザル者ニハ年額八百四十円迄ヲ給スルコトヲ得
第六条 軍人軍属ニシテ治安状態ノ不良ナル地方、陸接国境地方、交通不便ナル地方其ノ他特殊ノ事情アル地方ニ在勤スルモノニハ俸給ノ十分ノ三以内ノ特別手当ヲ給スルコトヲ得
第七条 予備役、後備役又ハ補充兵役ニ在リテ勤務演習ノ為召集中ノ者ニハ在勤加俸及特別手当ヲ給セズ
第八条 営内居住下士官以下ニシテ通訳ヲ命ゼラレタルモノニハ月額一円二十銭以内ノ通訳加俸ヲ給ス
第九条 下士官退営賜金ノ定額ハ別表ニ依ル但シ内地ニ原駐地ヲ有シ一時満洲ニ派遣セラレアル部隊ニ属スル者ニ付テハ陸軍給与令第七表ノ二ニ依ル
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ准士官以上、営外居住ノ下士官以下及軍属ニ糧食ヲ官給ス但シ第二号ノ場合ニ於テハ特別手当ノ一部ヲ減給スルモノトス
一 匪徒鎮圧、警備等ノ為必要アルトキ
二 第六条ノ地方ニ於テ糧食ヲ現地ニ於テ調達シ能ハザル場所又ハ部隊ニ勤務スルトキ
軍人軍属以外ノ者ト雖モ糧食給与ノ必要アルトキハ之ヲ官給スルコトヲ得
第十一条 匪徒鎮圧ニ従事シ又ハ特ニ僻陬ノ地方ニ勤務スル軍人軍属ニハ特ニ必要アル場合日用品ヲ給スルコトヲ得
第十二条 准士官以上、営外居住ノ下士官以下及軍属ニハ必要ニ応ジ宿舎及家具ヲ貸与スルコトヲ得但シ宿舎及家具ノ貸与ニ代ヘ宿舎料ヲ給スルコトヲ得
第十三条 准士官以上、営外居住ノ下士官以下及軍属ニハ必要ニ応ジ防寒用薪炭ヲ支給スルコトヲ得但シ現品ノ支給ニ代ヘ代金ヲ給スルコトヲ得
第十四条 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍属ノ治療ニ要スル諸費ハ総テ官費トス軍人軍属以外ノ者ト雖モ必要アルトキハ官費ト為スコトヲ得
第十五条 軍人軍属死亡シタルトキ官ニ於テ埋葬シ又ハ遺骨、遺物等ヲ遺族ニ引渡ス為ニ要スル諸費ハ官費トス軍人軍属以外ノ者ニ付必要アルトキ亦同ジ
第十六条 本令ハ第五条、第六条及第九条ノ規定ヲ除クノ外満洲ニ在ル陸軍部隊ニ属セザルモ公務ノ為満洲ニ往復スル軍人軍属ノ給与ニ付之ヲ準用ス
第十七条 匪徒鎮圧、警備等ノ為必要アルトキハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ第一条ニ掲グル部隊及軍人軍属ニ付陸軍戦時給与規則ヲ準用スルコトヲ得
第十八条 糧食及馬糧ノ定額並ニ本令ニ依ル給与ノ定額、物件ノ種類員数、給与期限、支給区分、停止及減額其ノ他本令ノ施行ニ関スル細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
(別表)
【表】