台湾島及澎湖島駐剳陸軍部隊給与規則
法令番号: 勅令第七十號
公布年月日: 明治29年3月30日
法令の形式: 勅令
朕臺灣島及澎湖島駐劄陸軍部隊給與規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月二十九日
陸軍大臣 侯爵 大山巖
勅令第七十號
臺灣島及澎湖島駐劄陸軍部隊給與規則
第一條 臺灣島及澎湖島ニ駐劄スル陸軍部隊及軍人軍屬ノ給與ハ本規則ニ依ル但本規則ニ明文ナキモノハ陸軍給與令ノ規程ヲ適用ス
第二條 內地ニ於テ經理ヲ委任セラレタル軍隊ニシテ本規則ニ依リ給與ヲ受クルトキハ其ノ期間委任經理ニ屬スル給與ヲ停止ス
第三條 本規則ニ於テ俸給ト稱スルハ陸軍給與令第一表ノ俸給ニ職務俸若クハ特別俸、上級ノ職務心得勤加給俸ヲ加算シタルモノ、給料ト稱スルハ同令第三表ノ給料ニ增俸及加俸ヲ加算シタルモノ及諸生徒手當金ヲ云フ
第四條 陸軍給與令第八條第一項職員ノ外左ノ職員ノ職務俸ハ甲額トス
軍務局陸軍部部長、同課長、同課員、同副官、混成旅團司令部監督部長、同軍醫部長
士官ノ階級ニアラスシテ士官ノ勤務ニ服スル者ノ給料ハ特務曹長ノ二等給ニ該ル金額トス
第五條 駐劄地ニ向ヒ內地ヲ出發スル准士官特務曹長ヲ除ク以上外宿加俸ヲ受クル下士以下及文官ニハ手當トシテ其ノ俸給若クハ給料ノ一箇月分ヲ給ス出發ノ際手當ヲ受ケサル者駐劄地ニ於テ士官ニ昇進シタルトキ亦同シ但一箇年以內ニ在テ數囘往復スルト雖再給セス
第六條 駐劄地ニ出發ノ者ハ其ノ出發ノ日ヨリ歸著ノ日マテ准士官特務曹長ヲ除ク以上及文官ニハ俸給五分ノ一、特務曹長、下士以下ニハ給料四分ノ一ヲ增給ス
第七條 准士官特務曹長ヲ除ク以上及高等文官ハ廠舍及必要ナル家具ヲ貸與シ食料ヲ給ス其ノ馬匹ノ飼料ハ實費ヲ給ス但時宜ニ依リ食料及馬匹ノ飼料ハ現品ヲ給スルコトヲ得
特務曹長、下士以下及判任文官ノ糧食竝ニ隊馬ノ飼料ハ總テ現品ヲ給ス
食料ノ金額現品ノ定量及家具ノ種類ハ陸軍大臣之ヲ定ム
軍人軍屬外ノ者ニシテ糧食給與ノ必要アルトキハ適宜現品ヲ給與スルコトヲ得
定額馬飼料ノ支給ハ第六條ノ增給ヲ受クル期間之ヲ停止ス但裝蹄其ノ他器具ノ保續等ハ該期間官費トス
第八條 特務曹長、下士以下ノ被服ハ外宿加俸ヲ受クル者ト受ケサルモノトニ拘ラス第六條ノ增給ヲ受クル期間實際ノ所要ニ應シ現品ヲ給ス但陸軍給與令ニ於テ定額ヲ以テ交付スヘキ金額ハ出發ノ翌月ヨリ歸著ノ前月マテ之ヲ停止ス
第九條 軍人軍屬ニハ必要ニ應シ特種ノ被服ヲ給與シ若クハ貸與スルコトヲ得軍人軍屬外ト雖駐劄部隊ニ屬スル者亦同シ
第十條 上長官以上ノ自馬廢斃等ニ至リタルトキハ駐劄中代馬ヲ貸與ス
第十一條 上長官以上駐劄地ニ於テ昇進轉職等ニ依リ要スル馬匹ハ駐劄中貸與ス
駐劄地ニ於テ上長官ニ昇進シ若クハ上長官ノ職務心得勤ヲ命セラレタルニ依リ要スル馬匹ハ前項ニ同シ
陸軍給與令第四十八條ノ馬匹手當ハ內地ニ歸著ノ上支給ス
第十二條 士官ノ馬匹ハ內地出發ノ際之ヲ貸與ス
第十三條 軍人軍屬ノ旅費ハ總テ實費拂トス但內地旅行ニシテ隊伍ヲ爲スモノハ陸軍給與令第三十八表、單獨者ハ同令第三十二表ノ定額ヲ給スルコトヲ得
前項但書ノ定額旅費ヲ給スル場合ニ於テ馬匹ノ旅費ハ總テ實費拂トス
第十四條 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍屬ノ藥餌ハ總テ官給トス軍人軍屬外ト雖時宜ニ依リ官給スルコトヲ得
第十五條 軍人軍屬死亡スルトキハ其ノ埋葬若クハ遺骸遺物輸送ニ係ル諸費ハ官費トス軍人軍屬外ト雖官ニ於テ埋葬若クハ遺骸遺物輸送ヲ要スルトキ亦同シ
第十六條 駐劄部隊ニ要スル筆紙墨文具其ノ他消耗品等ハ總テ現品ヲ給ス
第十七條 駐劄部隊ニ屬スル雇員其ノ他傭役者ノ給與ハ本規則ニ準シ陸軍大臣之ヲ定ム
第十八條 駐劄部隊ニ屬スル者ニアラサルモ駐劄地ニ往復スル軍人軍屬ノ給與ハ本規則ヲ適用ス
第十九條 本規則ニ依レル給與ノ停止減額及本規則ノ施行細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第二十條 本規則ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス
朕台湾島及澎湖島駐箚陸軍部隊給与規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十九年三月二十九日
陸軍大臣 侯爵 大山巌
勅令第七十号
台湾島及澎湖島駐箚陸軍部隊給与規則
第一条 台湾島及澎湖島ニ駐箚スル陸軍部隊及軍人軍属ノ給与ハ本規則ニ依ル但本規則ニ明文ナキモノハ陸軍給与令ノ規程ヲ適用ス
第二条 内地ニ於テ経理ヲ委任セラレタル軍隊ニシテ本規則ニ依リ給与ヲ受クルトキハ其ノ期間委任経理ニ属スル給与ヲ停止ス
第三条 本規則ニ於テ俸給ト称スルハ陸軍給与令第一表ノ俸給ニ職務俸若クハ特別俸、上級ノ職務心得勤加給俸ヲ加算シタルモノ、給料ト称スルハ同令第三表ノ給料ニ増俸及加俸ヲ加算シタルモノ及諸生徒手当金ヲ云フ
第四条 陸軍給与令第八条第一項職員ノ外左ノ職員ノ職務俸ハ甲額トス
軍務局陸軍部部長、同課長、同課員、同副官、混成旅団司令部監督部長、同軍医部長
士官ノ階級ニアラスシテ士官ノ勤務ニ服スル者ノ給料ハ特務曹長ノ二等給ニ該ル金額トス
第五条 駐箚地ニ向ヒ内地ヲ出発スル准士官特務曹長ヲ除ク以上外宿加俸ヲ受クル下士以下及文官ニハ手当トシテ其ノ俸給若クハ給料ノ一箇月分ヲ給ス出発ノ際手当ヲ受ケサル者駐箚地ニ於テ士官ニ昇進シタルトキ亦同シ但一箇年以内ニ在テ数回往復スルト雖再給セス
第六条 駐箚地ニ出発ノ者ハ其ノ出発ノ日ヨリ帰著ノ日マテ准士官特務曹長ヲ除ク以上及文官ニハ俸給五分ノ一、特務曹長、下士以下ニハ給料四分ノ一ヲ増給ス
第七条 准士官特務曹長ヲ除ク以上及高等文官ハ廠舎及必要ナル家具ヲ貸与シ食料ヲ給ス其ノ馬匹ノ飼料ハ実費ヲ給ス但時宜ニ依リ食料及馬匹ノ飼料ハ現品ヲ給スルコトヲ得
特務曹長、下士以下及判任文官ノ糧食並ニ隊馬ノ飼料ハ総テ現品ヲ給ス
食料ノ金額現品ノ定量及家具ノ種類ハ陸軍大臣之ヲ定ム
軍人軍属外ノ者ニシテ糧食給与ノ必要アルトキハ適宜現品ヲ給与スルコトヲ得
定額馬飼料ノ支給ハ第六条ノ増給ヲ受クル期間之ヲ停止ス但装蹄其ノ他器具ノ保続等ハ該期間官費トス
第八条 特務曹長、下士以下ノ被服ハ外宿加俸ヲ受クル者ト受ケサルモノトニ拘ラス第六条ノ増給ヲ受クル期間実際ノ所要ニ応シ現品ヲ給ス但陸軍給与令ニ於テ定額ヲ以テ交付スヘキ金額ハ出発ノ翌月ヨリ帰著ノ前月マテ之ヲ停止ス
第九条 軍人軍属ニハ必要ニ応シ特種ノ被服ヲ給与シ若クハ貸与スルコトヲ得軍人軍属外ト雖駐箚部隊ニ属スル者亦同シ
第十条 上長官以上ノ自馬廃斃等ニ至リタルトキハ駐箚中代馬ヲ貸与ス
第十一条 上長官以上駐箚地ニ於テ昇進転職等ニ依リ要スル馬匹ハ駐箚中貸与ス
駐箚地ニ於テ上長官ニ昇進シ若クハ上長官ノ職務心得勤ヲ命セラレタルニ依リ要スル馬匹ハ前項ニ同シ
陸軍給与令第四十八条ノ馬匹手当ハ内地ニ帰著ノ上支給ス
第十二条 士官ノ馬匹ハ内地出発ノ際之ヲ貸与ス
第十三条 軍人軍属ノ旅費ハ総テ実費払トス但内地旅行ニシテ隊伍ヲ為スモノハ陸軍給与令第三十八表、単独者ハ同令第三十二表ノ定額ヲ給スルコトヲ得
前項但書ノ定額旅費ヲ給スル場合ニ於テ馬匹ノ旅費ハ総テ実費払トス
第十四条 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リタル軍人軍属ノ薬餌ハ総テ官給トス軍人軍属外ト雖時宜ニ依リ官給スルコトヲ得
第十五条 軍人軍属死亡スルトキハ其ノ埋葬若クハ遺骸遺物輸送ニ係ル諸費ハ官費トス軍人軍属外ト雖官ニ於テ埋葬若クハ遺骸遺物輸送ヲ要スルトキ亦同シ
第十六条 駐箚部隊ニ要スル筆紙墨文具其ノ他消耗品等ハ総テ現品ヲ給ス
第十七条 駐箚部隊ニ属スル雇員其ノ他傭役者ノ給与ハ本規則ニ準シ陸軍大臣之ヲ定ム
第十八条 駐箚部隊ニ属スル者ニアラサルモ駐箚地ニ往復スル軍人軍属ノ給与ハ本規則ヲ適用ス
第十九条 本規則ニ依レル給与ノ停止減額及本規則ノ施行細則ハ陸軍大臣之ヲ定ム
附 則
第二十条 本規則ハ明治二十九年四月一日ヨリ施行ス