朕海軍武官服役令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年十一月三十日
內閣總理大臣 男爵 田中義一
海軍大臣 岡田啓介
勅令第三百三十三號
海軍武官服役令
第一章 總則
第一條 武官ノ服役ヲ分チテ現役、豫備役及後備役トス
第二條 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外武官ニシテ現役ヲ退キタル者ハ豫備役ニ、豫備役ヲ終リタル者ハ後備役ニ別ニ辭令ヲ用ヒズ服セシム
第三條 武官現役定限年齡ニ達シ又ハ服役期間滿ツト雖モ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ服役期間ヲ延長スルコトヲ得
一 戰時又ハ事變ニ際スルトキ
二 出師ノ準備又ハ守備若ハ警備ノ爲必要アルトキ
三 航海中又ハ外國ニ於テ勤務中ナルトキ
四 重要ナル演習又ハ特別ニ觀艦式アルトキ
五 天災其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ已ムヲ得ザルトキ
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間ハ次ノ服役期間ニ之ヲ通算ス
第一項ノ規定ニ依ル服役期間ノ延長及其ノ解止ニ關シテハ海軍大臣臨時之ヲ定ム但シ航海中又ハ外國ニ於テ勤務中ノ特務士官、准士官及下士官ノ服役期間ノ延長及其ノ解止ハ鎭守府司令長官之ヲ爲スコトヲ得
時機切迫シ海軍大臣又ハ鎭守府司令長官ノ命ヲ待チ難キ場合ニ於テハ艦隊司令長官、艦隊司令官、鎭守府司令長官、要港部司令官、特命司令官又ハ分遣艦船部隊指揮官ハ其ノ部下ノ者ニ對シ必要ノ期間ヲ限リ服役期間ノ延長ヲ專行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ事實ヲ具シ速ニ海軍大臣ニ報告スベシ
第四條 武官ニシテ現役ヲ退ク際、歸休中、服役延期中又ハ現役ヲ退キタル後任用又ハ進級シタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官又ハ前等級ノ例ニ依ル
第五條 服役期間ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外任用、進級又ハ服役ノ月ノ一日ヨリ之ヲ起算ス
第六條 士官ノ兵籍ハ之ヲ海軍省ニ、特務士官、准士官及下士官ノ兵籍ハ之ヲ下士官ニ任用シタル時ノ在籍鎭守府ニ置ク
海軍大臣ハ必要ニ應ジ特務士官、准士官及下士官ノ兵籍ノ所在ヲ變更スルコトヲ得
歸休中ノ下士官及現役ヲ退キタル下士官ノ兵籍ハ之ヲ其ノ本籍地ノ海軍志願兵徵募區ヲ管轄スル鎭守府ニ置ク
第七條 海軍豫備員ノ服役ハ海軍豫備員令ノ定ムル所ニ依ル
第二章 士官、特務士官及准士官ノ服役
第八條 現役ノ士官、特務士官及准士官ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外現役定限年齡ニ滿ツル日迄之ヲ現役ニ服セシム
現役士官ノ現役定限年齡左ノ如シ
【表】
現役ノ特務士官及准士官ノ現役定限年齡左ノ如シ
各科特務大尉
各科特務中、少尉
准士官
五十二年
五十年
四十八年
元帥タル大將ノ現役定限年齡ハ之ヲ定メズ
特務士官ヨリ任用シタル佐官(各科大佐ヲ除ク)ノ現役定限年齡ハ各科特務大尉ノ例ニ依ル
第九條 待命ハ現役士官、特務士官及准士官ニシテ一時職務ニ服セシメザル者ニ之ヲ命ズ
第十條 休職ハ現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ之ヲ命ズ
一 待命一年ヲ經過シタル者
二 海軍部內ノ文官(海軍大臣又ハ海軍次官ヲ除ク)ニ任ゼラレタル者
三 海軍刑法又ハ陸軍刑法ニ依リ一年未滿ノ禁錮ニ處セラレタル者
四 配員上ノ必要ニ因リ職務ニ服セシメザル者
前項ノ外現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ公務ニ因ラザル疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異常ニ因リ服役ニ堪ヘザル者六月ヲ經過スルモ恢復ノ徵候ナキトキハ之ニ休職ヲ命ズルコトヲ得
第十一條 停職ハ現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ懲戒スベキ行爲アル者ニ之ヲ命ズ
停職ヲ命ゼラレタル者ハ六月ヲ經過スルニ非ザレバ之ヲ就職セシムルコトヲ得ズ但シ戰時又ハ事變ノ際ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 現役ノ士官、特務士官及准士官餘人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ルトキハ現役停限年齡ニ滿ツルモ之ニ留任ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ留任ヲ命ゼラレタル者ノ身分取扱ニ付テハ戰時又ハ事變ノ際召集セラレタル者ニ同ジ
第十三條 待命、休職又ハ停職中ノ士官、特務士官及准士官ニシテ普通恩給ヲ受クベキ服役年數ニ達シタル者ハ健康狀態又ハ配員上ノ必要ニ基キ將官ニ在リテハ上諭ニ依リ、其ノ他ノ士官及特務士官ニ在リテハ海軍大臣、准士官(現役ヲ退ク際特務士官ニ任用セラルル者ヲ含ム)ニ在リテハ鎭守府司令長官ノ諭告ニ依リ現役ヲ退カシムルコトヲ得
第十四條 現役、豫備役又ハ後備役ノ士官、特務士官及准士官疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異常ニ因リ永久服役ニ堪ヘザルトキハ服役ヲ免ズ
第十五條 現役ノ士官、特務士官及准士官左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ現役定限年齡ニ滿ツル日迄之ヲ豫備役ニ服セシム
一 第十三條ノ規定ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職二年ヲ經過シタルトキ
三 停職一年ヲ經過シタルトキ
四 待命、休職及停職ヲ通ジテ三年ヲ經過シ又ハ休職及停職ヲ通ジテ二年ヲ經過シタルトキ
五 別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外海軍部外ノ文官又ハ宮內官ニ任ゼラレタルトキ
六 貴族院令第四條ノ規定ニ依リ貴族院議員ト爲リタルトキ
前項ノ規定ニ依ルノ外將官又ハ休職若ハ停職中ノ佐、尉官、特務士官及准士官ニシテ現役ニ堪ヘザル者ハ本人ノ願ニ依リ現役定限年齡ニ滿ツル日迄之ヲ豫備役ニ服セシムルコトヲ得
第十六條 士官、特務士官及准士官ハ現役定限年齡ニ滿ツル日ノ翌日ヨリ起算シ五年間之ヲ後備役ニ服セシム
第十七條 士官、特務士官及准士官左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ退役トス
一 後備役ヲ終リタルトキ
二 第十四條ノ規定ニ依リ服役ヲ免ゼラレタルトキ
三 現役ヲ退ク際、歸休中、服役延期中又ハ現役ヲ退キタル後准士官ニ進級シタル者其ノ進級ヲ爲サザリシ場合ニ於テハ第一國民兵役ニ入リ又ハ服役免除若ハ兵役免除ト爲ルベキトキ
第三章 下士官ノ服役
第十八條 下士官ノ現役ハ六年、豫備役ハ四年、後備役ハ三年トス
第十九條 下士官ノ現役定限年齡ハ四十年トス
第二十條 現役下士官ハ第十八條ニ規定スル現役期間滿ツルモ引續キ數次再現役ヲ志願スルコトヲ得
再現役ハ二年ヲ一期トシ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ許可ス但シ二年以內ニ現役定限年齡ニ達スル者ハ其ノ定限年齡ニ達スル日迄ヲ一期トス
海軍特修兵令ニ依リ服役ノ義務ヲ有スル者ハ第十八條ニ規定スル現役期間滿ツル日ノ翌日ヨリ其ノ義務ノ終ル日迄ヲ一期トシ當然再現役ニ入リタルモノト看做ス
第二十一條 再現役ヲ許可セラレタル下士官再現役ニ入ル前禁錮以上ノ刑ニ處セラレ又ハ逃亡シタルトキハ其ノ許可ヲ無效トス
再現役ヲ許可セラレタル下士官再現役中禁錮以上ノ刑ニ處セラレ又ハ逃亡シタルトキハ再現役ノ許可ハ將來ニ向テ其ノ效力ヲ失フ
第二十二條 下士官ニシテ後備役ヲ終リタル日ニ於テ年齡四十年未滿ノ者ハ年齡四十年ニ滿ツル日迄引續キ之ヲ第一國民兵役ニ服セシム
第二十三條 下士官ニシテ後備役ヲ終リタル日ニ於テ年齡四十年以上四十五年未滿ノ者ハ其ノ翌日ヲ以テ服役ヲ免ズ
下士官ニシテ服役中年齡四十五年ニ達スル者ハ服役ノ期間ニ拘ラズ四十五年ニ達スル日ノ翌日ヲ以テ服役ヲ免ズ
第二十四條 現役下士官ニシテ海軍兵學校、海軍機關學校又ハ海軍經理學校ノ生徒ニ採用セラレタル者ハ其ノ入校ノ日ヲ以テ其ノ官及服役ヲ免ズ
前項ノ規定ニ該當スル者生徒ヲ免ゼラレタルトキハ前ニ免ゼラレタル官ニ復シ前ノ服役ヲ繼續セシム
第二十五條 現役下士官ニシテ成績不良ノ者ハ之ヲ現役滿期ト爲スコトヲ得
第二十六條 現役下士官本人ニ依ルニ非ザレバ一家ノ生計ヲ營ミ難キ事故ヲ生ジタルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免ジ之ヲ豫備役ニ服セシムルコトヲ得
第二十七條 現役下士官ニシテ戰地ニ臨ミ、沈沒シタル艦船中ニ在リ又ハ其ノ他死亡ノ原因タルベキ危難ニ遭遇シ戰爭止ミタル後、艦船ノ沈沒シタル後又ハ其ノ他ノ危難ノ去リタル後三年ヲ經過スルモ尙所在不明ナル者ハ其ノ現役ヲ免ジ之ヲ豫備役ニ服セシムルコトヲ得
第二十八條 現役下士官ニシテ疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異常ニ因リ現役ニ堪ヘザル者ハ現役ヲ、現役、豫備役及後備役ニ堪ヘザル者ハ現役、豫備役及後備役ヲ、永久服役ニ堪ヘザル者ハ兵役ヲ免ズ
豫備役又ハ後備役ノ下士官在鄕中疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異常ニ因リ永久服役ニ堪ヘザルトキハ兵役ヲ免ズ
第二十九條 下士官ノ免官、再現役ノ許否、轉役及免役ノ處分ハ在籍鎭守府司令長官之ヲ行フ
第三十條 鎭守府司令長官ハ下士官ニシテ一年以內ニ現役滿期ト爲ル者アルトキハ之ニ歸休ヲ命ズルコトヲ得
歸休ヲ命ゼラルル下士官ニ關シテハ海軍大臣上裁ヲ經テ之ヲ定ム
第四章 召集
第三十一條 豫備役若ハ後備役ノ武官又ハ歸休中ノ下士官ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ニ應ジ之ヲ召集ス
第三十二條 前條ニ揭グル武官ハ演習ノ爲之ヲ召集スルコトヲ得
第三十三條 歸休中ノ下士官ハ臨時補充ノ爲其ノ他必要アル場合ニ之ヲ召集スルコトヲ得
服役第一年次ノ豫備役下士官ハ警備其ノ他ノ必要ニ因リ歸休中ノ下士官ヲ召集スルモ尙兵員ヲ要スル場合ニ之ヲ召集スルコトヲ得
第三十四條 士官ノ召集ハ海軍大臣之ヲ掌ル
特務士官、准士官及下士官ノ召集竝ニ下士官ノ簡閱點呼ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ在籍鎭守府司令長官之ヲ掌ル
第三十五條 豫備役又ハ後備役ノ士官、特務士官及准士官帝國外ノ地ニ旅行シ又ハ在留セントスルトキハ目的、國名及期間ヲ具シ士官ニ在リテハ海軍大臣ニ、特務士官及准士官ニ在リテハ在籍鎭守府司令長官ニ申告スベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ但シ官廳ノ命ニ依リ旅行シ又ハ在留スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ニ揭グル者前項ニ規定スル申告ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ申告ヲ爲シタルトキハ士官ニ在リテハ海軍大臣、特務士官及准士官ニ在リテハ在籍鎭守府司令長官之ヲ召還スルコトヲ得
第三十六條 兵役法第六十條乃至第六十三條竝ニ兵役法施行令第四章(第百十九條乃至第百二十一條及第百三十四條ヲ除ク)ノ規定ハ本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外武官ノ召集又ハ下士官ノ簡閱點呼ニ之ヲ準用ス
第五章 雜則
第三十七條 下士官左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ別ニ辭令ヲ用ヒズ其ノ官ヲ免ゼラレタルモノトス
一 第一國民兵役ヲ終リタルトキ
二 兵役ヲ免ゼラレタルトキ
三 年齡四十年ヲ過ギ服役ヲ免ゼラレタルトキ
第三十八條 下士官ニシテ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ハ其ノ官ヲ失ヒ之ヲ當該科ノ一等兵ト爲ス
前項ノ規定ハ海軍刑法又ハ陸軍刑法ニ依リ一年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ニ之ヲ適用セズ
附 則
本令ハ昭和二年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
海軍士官特務士官准士官服役令ハ之ヲ廢止ス
本令施行前下士官ニ任ゼラレタル者ノ服役ハ現役及豫備役トシ豫備役ヲ終リタル者ハ本令ノ適用ニ付テハ之ヲ後備役ヲ終リタル者ト看做ス
大正九年四月一日前下士官ニ任ゼラレタル者ノ豫備役期間ハ仍從前ノ例ニ依ル
朕海軍武官服役令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年十一月三十日
内閣総理大臣 男爵 田中義一
海軍大臣 岡田啓介
勅令第三百三十三号
海軍武官服役令
第一章 総則
第一条 武官ノ服役ヲ分チテ現役、予備役及後備役トス
第二条 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外武官ニシテ現役ヲ退キタル者ハ予備役ニ、予備役ヲ終リタル者ハ後備役ニ別ニ辞令ヲ用ヒズ服セシム
第三条 武官現役定限年齢ニ達シ又ハ服役期間満ツト雖モ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ服役期間ヲ延長スルコトヲ得
一 戦時又ハ事変ニ際スルトキ
二 出師ノ準備又ハ守備若ハ警備ノ為必要アルトキ
三 航海中又ハ外国ニ於テ勤務中ナルトキ
四 重要ナル演習又ハ特別ニ観艦式アルトキ
五 天災其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ已ムヲ得ザルトキ
前項ノ規定ニ依リ延長シタル期間ハ次ノ服役期間ニ之ヲ通算ス
第一項ノ規定ニ依ル服役期間ノ延長及其ノ解止ニ関シテハ海軍大臣臨時之ヲ定ム但シ航海中又ハ外国ニ於テ勤務中ノ特務士官、准士官及下士官ノ服役期間ノ延長及其ノ解止ハ鎮守府司令長官之ヲ為スコトヲ得
時機切迫シ海軍大臣又ハ鎮守府司令長官ノ命ヲ待チ難キ場合ニ於テハ艦隊司令長官、艦隊司令官、鎮守府司令長官、要港部司令官、特命司令官又ハ分遣艦船部隊指揮官ハ其ノ部下ノ者ニ対シ必要ノ期間ヲ限リ服役期間ノ延長ヲ専行スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ事実ヲ具シ速ニ海軍大臣ニ報告スベシ
第四条 武官ニシテ現役ヲ退ク際、帰休中、服役延期中又ハ現役ヲ退キタル後任用又ハ進級シタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官又ハ前等級ノ例ニ依ル
第五条 服役期間ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外任用、進級又ハ服役ノ月ノ一日ヨリ之ヲ起算ス
第六条 士官ノ兵籍ハ之ヲ海軍省ニ、特務士官、准士官及下士官ノ兵籍ハ之ヲ下士官ニ任用シタル時ノ在籍鎮守府ニ置ク
海軍大臣ハ必要ニ応ジ特務士官、准士官及下士官ノ兵籍ノ所在ヲ変更スルコトヲ得
帰休中ノ下士官及現役ヲ退キタル下士官ノ兵籍ハ之ヲ其ノ本籍地ノ海軍志願兵徴募区ヲ管轄スル鎮守府ニ置ク
第七条 海軍予備員ノ服役ハ海軍予備員令ノ定ムル所ニ依ル
第二章 士官、特務士官及准士官ノ服役
第八条 現役ノ士官、特務士官及准士官ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外現役定限年齢ニ満ツル日迄之ヲ現役ニ服セシム
現役士官ノ現役定限年齢左ノ如シ
【表】
現役ノ特務士官及准士官ノ現役定限年齢左ノ如シ
各科特務大尉
各科特務中、少尉
准士官
五十二年
五十年
四十八年
元帥タル大将ノ現役定限年齢ハ之ヲ定メズ
特務士官ヨリ任用シタル佐官(各科大佐ヲ除ク)ノ現役定限年齢ハ各科特務大尉ノ例ニ依ル
第九条 待命ハ現役士官、特務士官及准士官ニシテ一時職務ニ服セシメザル者ニ之ヲ命ズ
第十条 休職ハ現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ之ヲ命ズ
一 待命一年ヲ経過シタル者
二 海軍部内ノ文官(海軍大臣又ハ海軍次官ヲ除ク)ニ任ゼラレタル者
三 海軍刑法又ハ陸軍刑法ニ依リ一年未満ノ禁錮ニ処セラレタル者
四 配員上ノ必要ニ因リ職務ニ服セシメザル者
前項ノ外現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ公務ニ因ラザル疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異常ニ因リ服役ニ堪ヘザル者六月ヲ経過スルモ恢復ノ徴候ナキトキハ之ニ休職ヲ命ズルコトヲ得
第十一条 停職ハ現役ノ士官、特務士官及准士官ニシテ懲戒スベキ行為アル者ニ之ヲ命ズ
停職ヲ命ゼラレタル者ハ六月ヲ経過スルニ非ザレバ之ヲ就職セシムルコトヲ得ズ但シ戦時又ハ事変ノ際ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条 現役ノ士官、特務士官及准士官余人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ルトキハ現役停限年齢ニ満ツルモ之ニ留任ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ留任ヲ命ゼラレタル者ノ身分取扱ニ付テハ戦時又ハ事変ノ際召集セラレタル者ニ同ジ
第十三条 待命、休職又ハ停職中ノ士官、特務士官及准士官ニシテ普通恩給ヲ受クベキ服役年数ニ達シタル者ハ健康状態又ハ配員上ノ必要ニ基キ将官ニ在リテハ上諭ニ依リ、其ノ他ノ士官及特務士官ニ在リテハ海軍大臣、准士官(現役ヲ退ク際特務士官ニ任用セラルル者ヲ含ム)ニ在リテハ鎮守府司令長官ノ諭告ニ依リ現役ヲ退カシムルコトヲ得
第十四条 現役、予備役又ハ後備役ノ士官、特務士官及准士官疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異常ニ因リ永久服役ニ堪ヘザルトキハ服役ヲ免ズ
第十五条 現役ノ士官、特務士官及准士官左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ現役定限年齢ニ満ツル日迄之ヲ予備役ニ服セシム
一 第十三条ノ規定ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職二年ヲ経過シタルトキ
三 停職一年ヲ経過シタルトキ
四 待命、休職及停職ヲ通ジテ三年ヲ経過シ又ハ休職及停職ヲ通ジテ二年ヲ経過シタルトキ
五 別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外海軍部外ノ文官又ハ宮内官ニ任ゼラレタルトキ
六 貴族院令第四条ノ規定ニ依リ貴族院議員ト為リタルトキ
前項ノ規定ニ依ルノ外将官又ハ休職若ハ停職中ノ佐、尉官、特務士官及准士官ニシテ現役ニ堪ヘザル者ハ本人ノ願ニ依リ現役定限年齢ニ満ツル日迄之ヲ予備役ニ服セシムルコトヲ得
第十六条 士官、特務士官及准士官ハ現役定限年齢ニ満ツル日ノ翌日ヨリ起算シ五年間之ヲ後備役ニ服セシム
第十七条 士官、特務士官及准士官左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ退役トス
一 後備役ヲ終リタルトキ
二 第十四条ノ規定ニ依リ服役ヲ免ゼラレタルトキ
三 現役ヲ退ク際、帰休中、服役延期中又ハ現役ヲ退キタル後准士官ニ進級シタル者其ノ進級ヲ為サザリシ場合ニ於テハ第一国民兵役ニ入リ又ハ服役免除若ハ兵役免除ト為ルベキトキ
第三章 下士官ノ服役
第十八条 下士官ノ現役ハ六年、予備役ハ四年、後備役ハ三年トス
第十九条 下士官ノ現役定限年齢ハ四十年トス
第二十条 現役下士官ハ第十八条ニ規定スル現役期間満ツルモ引続キ数次再現役ヲ志願スルコトヲ得
再現役ハ二年ヲ一期トシ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ許可ス但シ二年以内ニ現役定限年齢ニ達スル者ハ其ノ定限年齢ニ達スル日迄ヲ一期トス
海軍特修兵令ニ依リ服役ノ義務ヲ有スル者ハ第十八条ニ規定スル現役期間満ツル日ノ翌日ヨリ其ノ義務ノ終ル日迄ヲ一期トシ当然再現役ニ入リタルモノト看做ス
第二十一条 再現役ヲ許可セラレタル下士官再現役ニ入ル前禁錮以上ノ刑ニ処セラレ又ハ逃亡シタルトキハ其ノ許可ヲ無効トス
再現役ヲ許可セラレタル下士官再現役中禁錮以上ノ刑ニ処セラレ又ハ逃亡シタルトキハ再現役ノ許可ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フ
第二十二条 下士官ニシテ後備役ヲ終リタル日ニ於テ年齢四十年未満ノ者ハ年齢四十年ニ満ツル日迄引続キ之ヲ第一国民兵役ニ服セシム
第二十三条 下士官ニシテ後備役ヲ終リタル日ニ於テ年齢四十年以上四十五年未満ノ者ハ其ノ翌日ヲ以テ服役ヲ免ズ
下士官ニシテ服役中年齢四十五年ニ達スル者ハ服役ノ期間ニ拘ラズ四十五年ニ達スル日ノ翌日ヲ以テ服役ヲ免ズ
第二十四条 現役下士官ニシテ海軍兵学校、海軍機関学校又ハ海軍経理学校ノ生徒ニ採用セラレタル者ハ其ノ入校ノ日ヲ以テ其ノ官及服役ヲ免ズ
前項ノ規定ニ該当スル者生徒ヲ免ゼラレタルトキハ前ニ免ゼラレタル官ニ復シ前ノ服役ヲ継続セシム
第二十五条 現役下士官ニシテ成績不良ノ者ハ之ヲ現役満期ト為スコトヲ得
第二十六条 現役下士官本人ニ依ルニ非ザレバ一家ノ生計ヲ営ミ難キ事故ヲ生ジタルトキハ本人ノ願ニ依リ現役ヲ免ジ之ヲ予備役ニ服セシムルコトヲ得
第二十七条 現役下士官ニシテ戦地ニ臨ミ、沈没シタル艦船中ニ在リ又ハ其ノ他死亡ノ原因タルベキ危難ニ遭遇シ戦争止ミタル後、艦船ノ沈没シタル後又ハ其ノ他ノ危難ノ去リタル後三年ヲ経過スルモ尚所在不明ナル者ハ其ノ現役ヲ免ジ之ヲ予備役ニ服セシムルコトヲ得
第二十八条 現役下士官ニシテ疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異常ニ因リ現役ニ堪ヘザル者ハ現役ヲ、現役、予備役及後備役ニ堪ヘザル者ハ現役、予備役及後備役ヲ、永久服役ニ堪ヘザル者ハ兵役ヲ免ズ
予備役又ハ後備役ノ下士官在郷中疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異常ニ因リ永久服役ニ堪ヘザルトキハ兵役ヲ免ズ
第二十九条 下士官ノ免官、再現役ノ許否、転役及免役ノ処分ハ在籍鎮守府司令長官之ヲ行フ
第三十条 鎮守府司令長官ハ下士官ニシテ一年以内ニ現役満期ト為ル者アルトキハ之ニ帰休ヲ命ズルコトヲ得
帰休ヲ命ゼラルル下士官ニ関シテハ海軍大臣上裁ヲ経テ之ヲ定ム
第四章 召集
第三十一条 予備役若ハ後備役ノ武官又ハ帰休中ノ下士官ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ニ応ジ之ヲ召集ス
第三十二条 前条ニ掲グル武官ハ演習ノ為之ヲ召集スルコトヲ得
第三十三条 帰休中ノ下士官ハ臨時補充ノ為其ノ他必要アル場合ニ之ヲ召集スルコトヲ得
服役第一年次ノ予備役下士官ハ警備其ノ他ノ必要ニ因リ帰休中ノ下士官ヲ召集スルモ尚兵員ヲ要スル場合ニ之ヲ召集スルコトヲ得
第三十四条 士官ノ召集ハ海軍大臣之ヲ掌ル
特務士官、准士官及下士官ノ召集並ニ下士官ノ簡閲点呼ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ在籍鎮守府司令長官之ヲ掌ル
第三十五条 予備役又ハ後備役ノ士官、特務士官及准士官帝国外ノ地ニ旅行シ又ハ在留セントスルトキハ目的、国名及期間ヲ具シ士官ニ在リテハ海軍大臣ニ、特務士官及准士官ニ在リテハ在籍鎮守府司令長官ニ申告スベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ但シ官庁ノ命ニ依リ旅行シ又ハ在留スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ニ掲グル者前項ニ規定スル申告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ申告ヲ為シタルトキハ士官ニ在リテハ海軍大臣、特務士官及准士官ニ在リテハ在籍鎮守府司令長官之ヲ召還スルコトヲ得
第三十六条 兵役法第六十条乃至第六十三条並ニ兵役法施行令第四章(第百十九条乃至第百二十一条及第百三十四条ヲ除ク)ノ規定ハ本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外武官ノ召集又ハ下士官ノ簡閲点呼ニ之ヲ準用ス
第五章 雑則
第三十七条 下士官左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ別ニ辞令ヲ用ヒズ其ノ官ヲ免ゼラレタルモノトス
一 第一国民兵役ヲ終リタルトキ
二 兵役ヲ免ゼラレタルトキ
三 年齢四十年ヲ過ギ服役ヲ免ゼラレタルトキ
第三十八条 下士官ニシテ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ハ其ノ官ヲ失ヒ之ヲ当該科ノ一等兵ト為ス
前項ノ規定ハ海軍刑法又ハ陸軍刑法ニ依リ一年未満ノ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ニ之ヲ適用セズ
附 則
本令ハ昭和二年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
海軍士官特務士官准士官服役令ハ之ヲ廃止ス
本令施行前下士官ニ任ゼラレタル者ノ服役ハ現役及予備役トシ予備役ヲ終リタル者ハ本令ノ適用ニ付テハ之ヲ後備役ヲ終リタル者ト看做ス
大正九年四月一日前下士官ニ任ゼラレタル者ノ予備役期間ハ仍従前ノ例ニ依ル