朕海軍高等武官准士官服役令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正二年十一月二十九日
內閣總理大臣 伯爵 山本權兵衞
海軍大臣 男爵 齋藤實
勅令第三百七號
海軍高等武官准士官服役令
第一條 海軍高等武官及准士官ノ服役ヲ分チテ現役豫備役及後備役トス
第二條 高等武官及准士官ハ現役定限年齡ニ滿ツル迄之ヲ現役ニ服セシム但シ特ニ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第三條 高等武官及准士官ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
六十五歲
六十二歲
六十歲
五十八歲
五十六歲
五十四歲
五十二歲
五十歲
四十八歲
四十七歲
四十五歲
四十四歲
四十三歲
四十歲
三十八歲
大將
中將
少將
大佐
中佐
少佐
大尉
機關中將
機關少將
機關大佐
機關中佐
機關少佐
機關大尉
機關
高等官一等ノ軍醫總監
高等官二等ノ軍醫總監
軍醫大監
軍醫中監
軍醫少監
大軍醫
軍醫
藥劑大監
藥劑中監
藥劑少監
大藥劑士
藥劑士
高等官一等ノ主計總監
高等官二等ノ主計總監
主計大監
主計中監
主計少監
大主計
主計
高等官一等ノ造船總監
高等官二等ノ造船總監
造船大監
造船中監
造船少監
造船大技士
造船
技士
高等官一等ノ造兵總監
高等官二等ノ造兵總監
造兵大監
造兵中監
造兵少監
造兵大技士
造兵
技士
水路大監
水路中監
水路少監
水路大技士
水路
技士
兵曹長同相當官
准士官
元帥タル大將ニハ前項ノ規定ヲ適用セス
第四條 待命ハ現役高等武官及准士官ニシテ一時職務ニ服セシメサル者ニ之ヲ命ス
第五條 休職ハ現役高等武官及准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ之ヲ命ス
一 待命一年ヲ經過シタル者
二 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ六月ヲ經過スルモ快復ノ徵候ナキ者
三 海軍部內ノ文官ニ任セラレタル者但シ海軍大臣又ハ海軍次官ニ任セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
四 禁錮ニ處セラレ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケタル者
第六條 停職ハ現役高等武官及准士官ニシテ懲戒スヘキ行爲アル者ニ之ヲ命ス
停職ヲ命セラレタル者ハ六月ヲ經過スルニ非サレハ之ヲ就職セシムルコトヲ得ス但シ戰時又ハ事變ノ際ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 現役高等武官及准士官餘人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ルトキハ現役定限年齡ニ滿ツルモ之ニ留任ヲ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ留任ヲ命セラレタル者ハ其ノ身分取扱ニ付テハ戰時又ハ事變ノ際召集セラレタル者ニ同シ
第八條 職務ヲ有セサル現役高等武官及准士官ニシテ退職恩給ヲ受クヘキ服役年數ニ達シ現役ニ適セスト認ムル者ハ將官同相當官ニ在リテハ上諭ニ依リ其ノ他ノ者ニ在リテハ海軍大臣ノ諭吿ニ依リ其ノ現役ヲ退カシムルコトヲ得
第九條 高等武官及准士官傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ永久服役ニ堪ヘサルトキハ服役ヲ免ス
第十條 高等武官及准士官左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ現役定限年齡ニ滿ツル迄豫備役ニ服セシム
一 第八條ノ規定ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職二年ヲ經過シタルトキ
三 停職一年ヲ經過シタルトキ
四 待命、休職及停職ヲ通シテ三年ヲ經過シ又ハ休職及停職ヲ通シテ二年ヲ經過シタルトキ
五 海軍部外ノ文官又ハ宮內官ニ任セラレタルトキ但シ特ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
六 貴族院令第四條ノ規定ニ依リ貴族院議員ト爲リタルトキ
第十一條 高等武官及准士官ハ現役定限年齡ニ滿ツル日ノ翌日ヨリ起算シ五年間後備役ニ服セシム
第十二條 現役高等武官及准士官現役定限年齡ニ滿チ又ハ豫備役後備役高等武官及准士官其ノ服役期間滿チタル場合ニ於テ戰時若ハ事變ノ際又ハ航海中若ハ外國駐在中ナルトキハ其ノ服役期間ヲ延長スルコトヲ得但シ之カ爲他ノ服役期間ノ終期ヲ變更スルコトナシ
第十三條 高等武官及准士官ニシテ現役ヲ退キタル際若ハ服役延期中進級シタル者又ハ豫備役後備役高等武官及准士官ニシテ進級シタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官ノ例ニ依ル但シ兵曹長又ハ機關兵曹長ニシテ中尉又ハ機關中尉ニ進級シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四條 下士ニシテ現役ヲ退キタル際准士官ニ任用セラレタル者又ハ豫備役後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官ノ例ニ依ル
第十五條 高等武官及准士官左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ退役トス
一 後備役ヲ終リタルトキ
二 第九條ノ規定ニ依リ服役ヲ免セラレタルトキ
三 下士ニシテ現役ヲ退キタル際准士官ニ任用セラレタル者又ハ豫備役後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタル者其ノ任用セラレサル場合ニ於テ免官トナルヘキトキ
第十六條 豫備役後備役高等武官及准士官ハ戰時又ハ事變ノ際ニ在リテハ必要ニ應シ、平時ニ在リテハ演習ノ爲之ヲ召集ス
第十七條 豫備役後備役高等武官及准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ演習ノ爲之ヲ召集スルコトナシ
一 餘人ヲ以テ代フヘカラサル官職ニ在ル者
二 市町村長、助役、收入役其ノ他之ニ準スヘキ職ニ在ル者
三 帝國議會、府縣會、郡會、市町村會其ノ他之ニ準スヘキモノノ議員タル者但シ開會中ニ限ル
四 外國ニ旅行シ又ハ在留スル者
第十八條 前條第一號ニ該當スル者ニ付テハ當該官廳ハ豫メ理由ヲ附シテ內閣ニ具狀シ演習召集免除ノ認可ヲ受クヘシ
第十九條 豫備役後備役高等武官及准士官ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ付テハ海軍大臣上裁ヲ經テ充員召集ヲ猶豫スルコトヲ得
一 官吏又ハ公吏ニシテ餘人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ル者
二 運輸其ノ他戰役ニ關シ緊要ナル職ニ在ル者
附 則
本令ハ大正三年三月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際旣ニ本令ニ依ル現役定限年齡ニ滿チタル者ニ付テハ後備役ノ終期ハ本令ニ依リ之ヲ定メ終期ニ達セサル者ハ其ノ殘期間後備役ニ服セシメ終期ニ達シタル者ハ之ヲ退役トス
朕海軍高等武官准士官服役令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正二年十一月二十九日
内閣総理大臣 伯爵 山本権兵衛
海軍大臣 男爵 斎藤実
勅令第三百七号
海軍高等武官准士官服役令
第一条 海軍高等武官及准士官ノ服役ヲ分チテ現役予備役及後備役トス
第二条 高等武官及准士官ハ現役定限年齢ニ満ツル迄之ヲ現役ニ服セシム但シ特ニ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第三条 高等武官及准士官ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
六十五歳
六十二歳
六十歳
五十八歳
五十六歳
五十四歳
五十二歳
五十歳
四十八歳
四十七歳
四十五歳
四十四歳
四十三歳
四十歳
三十八歳
大将
中将
少将
大佐
中佐
少佐
大尉
機関中将
機関少将
機関大佐
機関中佐
機関少佐
機関大尉
機関
高等官一等ノ軍医総監
高等官二等ノ軍医総監
軍医大監
軍医中監
軍医少監
大軍医
軍医
薬剤大監
薬剤中監
薬剤少監
大薬剤士
薬剤士
高等官一等ノ主計総監
高等官二等ノ主計総監
主計大監
主計中監
主計少監
大主計
主計
高等官一等ノ造船総監
高等官二等ノ造船総監
造船大監
造船中監
造船少監
造船大技士
造船
技士
高等官一等ノ造兵総監
高等官二等ノ造兵総監
造兵大監
造兵中監
造兵少監
造兵大技士
造兵
技士
水路大監
水路中監
水路少監
水路大技士
水路
技士
兵曹長同相当官
准士官
元帥タル大将ニハ前項ノ規定ヲ適用セス
第四条 待命ハ現役高等武官及准士官ニシテ一時職務ニ服セシメサル者ニ之ヲ命ス
第五条 休職ハ現役高等武官及准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ之ヲ命ス
一 待命一年ヲ経過シタル者
二 傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ六月ヲ経過スルモ快復ノ徴候ナキ者
三 海軍部内ノ文官ニ任セラレタル者但シ海軍大臣又ハ海軍次官ニ任セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
四 禁錮ニ処セラレ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケタル者
第六条 停職ハ現役高等武官及准士官ニシテ懲戒スヘキ行為アル者ニ之ヲ命ス
停職ヲ命セラレタル者ハ六月ヲ経過スルニ非サレハ之ヲ就職セシムルコトヲ得ス但シ戦時又ハ事変ノ際ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 現役高等武官及准士官余人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ルトキハ現役定限年齢ニ満ツルモ之ニ留任ヲ命スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ留任ヲ命セラレタル者ハ其ノ身分取扱ニ付テハ戦時又ハ事変ノ際召集セラレタル者ニ同シ
第八条 職務ヲ有セサル現役高等武官及准士官ニシテ退職恩給ヲ受クヘキ服役年数ニ達シ現役ニ適セスト認ムル者ハ将官同相当官ニ在リテハ上諭ニ依リ其ノ他ノ者ニ在リテハ海軍大臣ノ諭告ニ依リ其ノ現役ヲ退カシムルコトヲ得
第九条 高等武官及准士官傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ永久服役ニ堪ヘサルトキハ服役ヲ免ス
第十条 高等武官及准士官左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ現役定限年齢ニ満ツル迄予備役ニ服セシム
一 第八条ノ規定ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職二年ヲ経過シタルトキ
三 停職一年ヲ経過シタルトキ
四 待命、休職及停職ヲ通シテ三年ヲ経過シ又ハ休職及停職ヲ通シテ二年ヲ経過シタルトキ
五 海軍部外ノ文官又ハ宮内官ニ任セラレタルトキ但シ特ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
六 貴族院令第四条ノ規定ニ依リ貴族院議員ト為リタルトキ
第十一条 高等武官及准士官ハ現役定限年齢ニ満ツル日ノ翌日ヨリ起算シ五年間後備役ニ服セシム
第十二条 現役高等武官及准士官現役定限年齢ニ満チ又ハ予備役後備役高等武官及准士官其ノ服役期間満チタル場合ニ於テ戦時若ハ事変ノ際又ハ航海中若ハ外国駐在中ナルトキハ其ノ服役期間ヲ延長スルコトヲ得但シ之カ為他ノ服役期間ノ終期ヲ変更スルコトナシ
第十三条 高等武官及准士官ニシテ現役ヲ退キタル際若ハ服役延期中進級シタル者又ハ予備役後備役高等武官及准士官ニシテ進級シタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官ノ例ニ依ル但シ兵曹長又ハ機関兵曹長ニシテ中尉又ハ機関中尉ニ進級シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十四条 下士ニシテ現役ヲ退キタル際准士官ニ任用セラレタル者又ハ予備役後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタル者ノ服役及其ノ期間ハ前官ノ例ニ依ル
第十五条 高等武官及准士官左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ退役トス
一 後備役ヲ終リタルトキ
二 第九条ノ規定ニ依リ服役ヲ免セラレタルトキ
三 下士ニシテ現役ヲ退キタル際准士官ニ任用セラレタル者又ハ予備役後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタル者其ノ任用セラレサル場合ニ於テ免官トナルヘキトキ
第十六条 予備役後備役高等武官及准士官ハ戦時又ハ事変ノ際ニ在リテハ必要ニ応シ、平時ニ在リテハ演習ノ為之ヲ召集ス
第十七条 予備役後備役高等武官及准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ演習ノ為之ヲ召集スルコトナシ
一 余人ヲ以テ代フヘカラサル官職ニ在ル者
二 市町村長、助役、収入役其ノ他之ニ準スヘキ職ニ在ル者
三 帝国議会、府県会、郡会、市町村会其ノ他之ニ準スヘキモノノ議員タル者但シ開会中ニ限ル
四 外国ニ旅行シ又ハ在留スル者
第十八条 前条第一号ニ該当スル者ニ付テハ当該官庁ハ予メ理由ヲ附シテ内閣ニ具状シ演習召集免除ノ認可ヲ受クヘシ
第十九条 予備役後備役高等武官及准士官ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ付テハ海軍大臣上裁ヲ経テ充員召集ヲ猶予スルコトヲ得
一 官吏又ハ公吏ニシテ余人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ル者
二 運輸其ノ他戦役ニ関シ緊要ナル職ニ在ル者
附 則
本令ハ大正三年三月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際既ニ本令ニ依ル現役定限年齢ニ満チタル者ニ付テハ後備役ノ終期ハ本令ニ依リ之ヲ定メ終期ニ達セサル者ハ其ノ残期間後備役ニ服セシメ終期ニ達シタル者ハ之ヲ退役トス