海軍下士官任用臨時特例
法令番号: 勅令第九十三號
公布年月日: 昭和20年3月5日
法令の形式: 勅令
朕海軍下士官任用特例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月三日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
勅令第九十三號
海軍下士官任用臨時特例
第一條 當分ノ內海軍下士官ハ海軍武官任用令第二十二條ノ二ノ規定ニ拘ラズ海軍幹部練習生ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第二條 幹部練習生ハ左ニ揭グル資格ヲ具ヘ下士官タランコトヲ志願スル者ヨリ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ銓衡ノ上ヲ採用ス
一 中等學校ヲ卒業シタル者又ハ海軍大臣ニ於テ之ト同等以上ノ學力ヲ有スト認ムル者
二 採用ノ年ノ十二月一日ニ於テ海軍兵(現役又ハ召集中ノ者ニ限ル以下同ジ)ニ在リテハ年齡四十三年未滿ノ者、其ノ他ノ者ニ在リテハ年齡十七年以上二十年未滿ノ者
第三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ幹部練習生ニ之ヲ採用スルコトヲ得ズ
一 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三 前二號ニ揭グル者ノ外下士官タルニ適セズト認ムル者
第四條 海軍兵ヨリ採用セラレタル幹部練習生ノ兵役及兵種ニ關シテハ採用前ノ兵役及兵種ニ同ジ但シ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ採用ノ際其ノ兵種ヲ變更スルコトヲ得
海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラレタル幹部練習生ノ兵役ニ關シテハ海軍大臣ノ特ニ定ムル場合ヲ除クノ外兵役法ノ定ムル所ニ依リ現役兵トシテ徵集セラレタル者ノ兵役ニ同ジキモノトシ其ノ兵種ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五條 海軍大臣ハ幹部練習生ノ兵種別採用員數ヲ定メ其ノ都度之ヲ鎭守府司令長官ニ吿達ス
第六條 海軍大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ鎭守府司令長官ヲシテ幹部練習生ノ採用ヲ掌理セシム
第七條 幹部練習生ハ採用ト同時ニ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ海軍部內ノ學校又ハ海軍練習航空隊、海兵團其ノ他ノ部隊ニ入校、入隊又ハ入團セシメ之ニ兵長ヲ命ズ
第八條 幹部練習生ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ下士官ニ必要ナル敎育ノ課程ヲ修業セシム
第九條 幹部練習生前條ノ課程ヲ修了シタルトキハ其ノ兵種別ニ從ヒ之ヲ各科ノ二等下士官ニ任用ス但シ成績特ニ優秀ナル者ハ特ニ一等下士官ニ任用スルコトヲ得
第十條 幹部練習生ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノハ幹部練習生ヲ免ズ
一 傷痍又ハ疾病ノ爲下士官タルニ適セザル者
二 軍紀ヲ紊リ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
三 成績不良ニシテ成業ノ目途ナキ者
四 前各號ニ揭グルモノノ外將來下士官タルニ適セズト認ムル者
前項ノ規定ニ依リ幹部練習生ヲ免ゼラレタル者ノ身分取扱ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十一條 海軍大臣ハ地方長官及市町村長(東京都ノ區ノ存スル區域、京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市又ハ神戶市ニ在リテハ區長トシ町村長ニ準ズベキ者ヲ含ム)ヲシテ海軍兵以外ノ者ヨリスル幹部練習生ノ採用ニ屬スル事務ノ一部ヲ擔任セシムルコトヲ得
第十二條 海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラルル幹部練習生ノ採用檢査ニ要スル檢査所ノ諸費、幹部練習生ヲ志願スル者ノ檢査ヲ受クル爲ノ旅費、幹部練習生ノ入校、入隊又ハ入團ノ爲ノ旅費及引卒者タル官吏吏員又ハ學校職員ノ旅費ハ之ヲ官給トス
第十三條 海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラレタル幹部練習生ヲ必要ニ應ジ特別幹部練習生ト稱スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍下士官候補者タル者ハ海軍幹部練習生ト爲リタルモノトス
從前ノ海軍下士官候補者ノ課程ヲ修了シタルモノハ之ヲ幹部練習生ノ課程ヲ修了シタルモノト看做ス
本令施行前現役兵タル下士官候補者ヨリ任用セラレタル下士官ノ服役ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
海軍武官服役令中左ノ通改正ス
第十八條第一項但書中「下士官候補者」ヲ「幹部練習生」ニ改ム
朕海軍下士官任用特例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月三日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
勅令第九十三号
海軍下士官任用臨時特例
第一条 当分ノ内海軍下士官ハ海軍武官任用令第二十二条ノ二ノ規定ニ拘ラズ海軍幹部練習生ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第二条 幹部練習生ハ左ニ掲グル資格ヲ具ヘ下士官タランコトヲ志願スル者ヨリ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ銓衡ノ上ヲ採用ス
一 中等学校ヲ卒業シタル者又ハ海軍大臣ニ於テ之ト同等以上ノ学力ヲ有スト認ムル者
二 採用ノ年ノ十二月一日ニ於テ海軍兵(現役又ハ召集中ノ者ニ限ル以下同ジ)ニ在リテハ年齢四十三年未満ノ者、其ノ他ノ者ニ在リテハ年齢十七年以上二十年未満ノ者
第三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ幹部練習生ニ之ヲ採用スルコトヲ得ズ
一 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
三 前二号ニ掲グル者ノ外下士官タルニ適セズト認ムル者
第四条 海軍兵ヨリ採用セラレタル幹部練習生ノ兵役及兵種ニ関シテハ採用前ノ兵役及兵種ニ同ジ但シ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ採用ノ際其ノ兵種ヲ変更スルコトヲ得
海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラレタル幹部練習生ノ兵役ニ関シテハ海軍大臣ノ特ニ定ムル場合ヲ除クノ外兵役法ノ定ムル所ニ依リ現役兵トシテ徴集セラレタル者ノ兵役ニ同ジキモノトシ其ノ兵種ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五条 海軍大臣ハ幹部練習生ノ兵種別採用員数ヲ定メ其ノ都度之ヲ鎮守府司令長官ニ告達ス
第六条 海軍大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ鎮守府司令長官ヲシテ幹部練習生ノ採用ヲ掌理セシム
第七条 幹部練習生ハ採用ト同時ニ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ海軍部内ノ学校又ハ海軍練習航空隊、海兵団其ノ他ノ部隊ニ入校、入隊又ハ入団セシメ之ニ兵長ヲ命ズ
第八条 幹部練習生ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ下士官ニ必要ナル教育ノ課程ヲ修業セシム
第九条 幹部練習生前条ノ課程ヲ修了シタルトキハ其ノ兵種別ニ従ヒ之ヲ各科ノ二等下士官ニ任用ス但シ成績特ニ優秀ナル者ハ特ニ一等下士官ニ任用スルコトヲ得
第十条 幹部練習生ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノハ幹部練習生ヲ免ズ
一 傷痍又ハ疾病ノ為下士官タルニ適セザル者
二 軍紀ヲ紊リ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
三 成績不良ニシテ成業ノ目途ナキ者
四 前各号ニ掲グルモノノ外将来下士官タルニ適セズト認ムル者
前項ノ規定ニ依リ幹部練習生ヲ免ゼラレタル者ノ身分取扱ニ付テハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十一条 海軍大臣ハ地方長官及市町村長(東京都ノ区ノ存スル区域、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市又ハ神戸市ニ在リテハ区長トシ町村長ニ準ズベキ者ヲ含ム)ヲシテ海軍兵以外ノ者ヨリスル幹部練習生ノ採用ニ属スル事務ノ一部ヲ担任セシムルコトヲ得
第十二条 海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラルル幹部練習生ノ採用検査ニ要スル検査所ノ諸費、幹部練習生ヲ志願スル者ノ検査ヲ受クル為ノ旅費、幹部練習生ノ入校、入隊又ハ入団ノ為ノ旅費及引卒者タル官吏吏員又ハ学校職員ノ旅費ハ之ヲ官給トス
第十三条 海軍兵以外ノ者ヨリ採用セラレタル幹部練習生ヲ必要ニ応ジ特別幹部練習生ト称スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ海軍下士官候補者タル者ハ海軍幹部練習生ト為リタルモノトス
従前ノ海軍下士官候補者ノ課程ヲ修了シタルモノハ之ヲ幹部練習生ノ課程ヲ修了シタルモノト看做ス
本令施行前現役兵タル下士官候補者ヨリ任用セラレタル下士官ノ服役ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル
海軍武官服役令中左ノ通改正ス
第十八条第一項但書中「下士官候補者」ヲ「幹部練習生」ニ改ム