第四十條 市町村ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メザル者ニ對シ附加稅ヲ賦課セントスルトキハ市町村長ハ關係市長又ハ町村長(町村長ニ準ズベキ者ヲ含ム)ト協議ノ上其ノ本稅額ノ步合ヲ定ムベシ
前項ノ協議調ハザルトキハ府縣知事之ヲ定メ其ノ數府縣ニ涉ルモノハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ムベシ
第一項ノ場合ニ於テ直接ニ收入ヲ生ズルコトナキ營業所アルトキハ他ノ營業所ト收入ヲ共通スルモノト認メ前二項ノ規定ニ依リ本稅額ノ步合ヲ定ムベシ
府縣ニ於テ數府縣ニ涉ル營業又ハ其ノ收入ニ對シ營業稅附加稅、營業收益稅附加稅又ハ所得稅附加稅賦課ノ步合ヲ定メタルモノアルトキハ其ノ步合ニ依ル本稅額ヲ以テ其ノ府縣ニ於ケル本稅額ト看做ス
第四十一條 鑛區(砂鑛區域ヲ含ム以下之ニ同ジ)ガ市町村ノ內外ニ涉ル場合ニ於テ鑛區稅(砂鑛區稅ヲ含ム)ノ附加稅ヲ賦課セントスルトキハ鑛區ノ屬スル地表ノ面積ニ依リ其ノ本稅額ヲ分割シ其ノ一部ニノミ賦課スベシ
市町村ノ內外ニ於テ鑛業ニ關スル事務所其ノ他ノ營業所ヲ設ケタル場合ニ於テ鑛產稅ノ附加稅ヲ賦課セントスルトキハ前條ノ例ニ依ル、鑛區ガ營業所所在ノ市町村ノ內外ニ涉ル場合亦同ジ
第四十二條 住所滯在ガ市町村ノ內外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル收入ニ非ザルモノニ對シ市町村稅ヲ賦課セントスルトキハ其ノ收入ヲ平分シ其ノ一部ニノミ賦課スベシ
前項ノ住所又ハ滯在ガ其ノ時ヲ異ニシタルトキハ納稅義務ノ發生シタル翌月ノ初メヨリ其ノ消滅シタル月ノ終迄月割ヲ以テ賦課スベシ但シ賦課後納稅義務者ノ住所又ハ滯在ニ異動ヲ生ズルモ賦課額ハ變更セズ其ノ新ニ住所ヲ有シ又ハ滯在スル市町村ニ於テハ賦課ナキ部分ニノミ賦課スベシ
住所滯在ガ同一府縣內ノ市町村ノ內外ニ涉ル者其ノ住所又ハ滯在ノ時ヲ異ニシタル場合ニ於テ其ノ者ニ對シ戶數割附加稅ヲ賦課セントスルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
第四十三條 市町村稅ヲ徵收セントスルトキハ市町村長ハ徵稅令書ヲ納稅人ニ交付スベシ
第四十四條 徵稅令書ヲ受ケタル納稅人納期內ニ稅金ヲ完納セザルトキハ市町村長ハ直ニ督促狀ヲ發スベシ
第四十五條 督促ヲ爲シタル場合ニ於テハ一日ニ付稅金額ノ萬分ノ四以內ニ於テ市町村ノ定ムル割合ヲ以テ納期限ノ翌日ヨリ稅金完納又ハ財產差押ノ日ノ前日迄ノ日數ニ依リ計算シタル延滯金ヲ徵收スベシ但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合又ハ滯納ニ付市町村長ニ於テ酌量スベキ情狀アリト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラズ
三 納稅者ノ住所及居所ガ帝國內ニ在ラザル爲又ハ共ニ不明ナル爲公示送達ノ方法ニ依リ納稅ノ命令又ハ督促ヲ爲シタルトキ
督促狀ノ指定期限迄ニ稅金及督促手數料ヲ完納シタルトキハ延滯金ハ之ヲ徵收セズ
第四十六條 納稅人左ノ場合ニ該當スルトキハ徵稅令書ヲ交付シタル市町村稅ニ限リ納期前ト雖モ之ヲ徵收スルコトヲ得
六 納稅人脫稅又ハ逋稅ヲ謀ルノ所爲アリト認ムルトキ
第四十七條 相續開始ノ場合ニ於テハ市町村稅、督促手數料、延滯金及滯納處分費ハ相續財團又ハ相續人ヨリ之ヲ徵收スベシ但シ戶主ノ死亡以外ノ原因ニ依リ家督相續ノ開始アリタルトキハ被相續人ヨリモ之ヲ徵收スルコトヲ得
國籍喪失ニ因ル相續人又ハ限定承認ヲ爲シタル相續人ハ相續ニ因リテ得タル財產ヲ限度トシテ市町村稅、督促手數料、延滯金及滯納處分費ヲ納付スルノ義務ヲ有ス
法人合併ノ場合ニ於テハ合併ニ因リ消滅シタル法人ノ納付スベキ市町村稅、督促手數料、延滯金及滯納處分費ハ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人ヨリ之ヲ徵收スベシ
第四十八條 共有物、共同事業、共同事業ニ因リ生ジタル物件又ハ共同行爲ニ係ル市町村稅、督促手數料、延滯金及滯納處分費ハ納稅者連帶シテ其ノ義務ヲ負擔ス
第四十九條 同一年度ノ市町村稅ニシテ旣納ノ稅金過納ナルトキハ爾後ノ納期ニ於テ徵收スベキ同一稅目ノ稅金ニ充ツルコトヲ得
第五十條 納稅義務者納稅地ニ住所又ハ居所ヲ有セザルトキハ納稅ニ關スル事項ヲ處理セシムル爲納稅管理人ヲ定メ市町村長ニ申告スベシ其ノ納稅管理人ヲ變更シタルトキ亦同ジ
第五十一條 徵稅令書、督促狀及滯納處分ニ關スル書類ハ名宛人ノ住所又ハ居所ニ送達ス名宛人ガ相續財團ニシテ財產管理人アルトキハ財產管理人ノ住所又ハ居所ニ送達ス
納稅管理人アルトキハ納稅ノ告知及督促ニ關スル書類ニ限リ其ノ住所又ハ居所ニ送達ス
第五十二條 書類ノ送達ヲ受クベキ者ガ其ノ住所若ハ居所ニ於テ書類ノ受取ヲ拒ミタルトキ又ハ其ノ者ノ住所及居所ガ帝國內ニ在ラザルトキ若ハ共ニ不明ナルトキハ書類ノ要旨ヲ公告シ公告ノ初日ヨリ七日ヲ經過シタルトキハ書類ノ送達アリタルモノト看做ス
第五十三條 市町村ハ內務大臣及大藏大臣ノ指定シタル市町村稅ニ付テハ其ノ徵收ノ便宜ヲ有スル者ヲシテ之ヲ徵收セシムルコトヲ得
前項ノ市町村稅ノ徵收ニ付テハ第四十三條ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
第五十四條 前條第一項ノ規定ニ依リ市町村稅ヲ徵收セシムル場合ニ於テハ納稅人ハ其ノ稅金ヲ徵收義務者ニ拂込ムニ依リテ納稅ノ義務ヲ了ス
第五十五條 第五十三條第一項ノ規定ニ依ル徵收義務者ハ徵收スベキ市町村稅ヲ市町村長ノ指定シタル期日迄ニ市町村ニ拂込ムベシ、其ノ期日迄ニ拂込マザルトキハ市町村長ハ相當ノ期限ヲ指定シ督促狀ヲ發スベシ
第五十六條 市町村ハ前條ノ徵收ノ費用トシテ拂込金額ノ百分ノ四ヲ徵收義務者ニ交付スベシ
第五十七條 第五十三條第一項ノ規定ニ依ル徵收義務者避クベカラザル災害ニ依リ旣收ノ稅金ヲ失ヒタルトキハ其ノ稅金拂込義務ノ免除ヲ市町村長ニ申請スルコトヲ得
市町村長前項ノ申請ヲ受ケタルトキハ七日以內ニ市參事會又ハ町村會ノ決定ニ付スベシ市參事會又ハ町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第二項ノ決定ニ付テハ市町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ市町村長又ハ府縣知事ヨリモ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
府縣參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三月以內ニ之ヲ裁決スベシ
市制第百六十條第一項乃至第三項又ハ町村制第百四十條第一項乃至第三項ノ規定ハ第三項乃至第五項ノ訴願ニ之ヲ準用ス
第二項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第五十八條 第四十五條乃至第四十八條ノ規定ハ第五十三條第一項ノ規定ニ依リ市町村稅ヲ徵收セシムル場合ノ拂込金ニ之ヲ準用ス