第百十一條 樺太ニ於ケル町村ニ付テハ本章中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村制及本令中府縣知事ニ關スル規定ハ樺太廳長官ニ之ヲ適用ス
前項ノ町村ニ付テハ町村制第百四十七條但書竝ニ本令第七條乃至第十條、第五十九條及第五十九條ノ二ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第一項ノ町村ニ付テハ本章中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村制第二十四條ノ四第一項、第二十九條第一項、第三十一條、第六十三條第六項第七項、第六十四條第一項第二項、第六十六條第一項、第六十七條第六項、第七十五條第一項乃至第三項、第百十七條、第百二十二條第四項及第百二十五條ノ規定竝ニ第百四十七條ノ規定(第四號及第七號ノ規定ヲ除ク)竝ニ本令第一條ノ規定ニ依ル府縣知事ノ職務權限ハ樺太廳支廳長之ヲ行フ
第一項ノ町村ニ付テハ町村制第八條、第十七條ノ二乃至第十八條ノ五、第三十三條、第三十五條、第三十六條、第七十四條、第七十四條ノ二、第八十七條、第九十七條第二項、第百六條、第百九條乃至第百十一條、第百二十七條、第百三十五條、第百三十七條、第百三十八條、第百四十三條、第百五十條及第百五十五條竝ニ本令第三十六條、第四十條及第四十一條第二項ノ規定ニ拘ラズ第百十二條乃至第百十七條及第百十九條乃至第百三十七條ノ規定ニ依ル
第一項ノ町村ニシテ內務大臣ノ指定スルモノ(以下本章中指定町村ト稱ス)ニ付テハ前項ノ規定ニ依ルノ外町村制第七條、第四十七條、第六十條乃至第六十四條、第六十七條、第八十五條及第八十八條ノ規定ニ拘ラズ第百四十一條乃至第百四十六條ノ規定ニ依ル
第百十二條(町村制第八條ニ對スル特例) 町村公民ハ町村ノ選擧ニ參與シ町村ノ名譽職ニ就ク權利ヲ有シ町村ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者ニシテ名譽職ニ就クコトヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ一年以上四年以下其ノ町村公民權ヲ停止スルコトヲ得
五 四年以上名譽職町村吏員、町村會議員又ハ區會議員ノ職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル者
六 其ノ他町村會ノ議決ニ依リ正當ノ理由アリト認ムル者
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村公民租稅滯納處分中ハ町村ノ名譽職ニ就クコトヲ得ズ
第百十三條(町村制第十八條ニ對スル特例) 町村長ハ選擧ノ期日前六十日目ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スベシ
選擧人ノ年齡ハ選擧人名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第百十四條(町村制第十八條ノ二ニ對スル特例) 町村長ハ選擧ノ期日前四十日目ヨリ十五日間町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ吿示スベシ
第百十五條(町村制第十八條ノ三及第三十六條中第十八條ノ三ニ關スル部分ニ對スル特例) 選擧人名簿ニ脫漏又ハ誤載アリト認ムルトキハ關係者ハ名簿ノ縱覽期間內ニ町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定シ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ決定アリタル日ヨリ七日以內ニ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ同項ノ規定ニ依リ名簿ヲ修正シタルトキ亦同ジ
第二項ノ規定ニ依リ裁決ヲ爲シタルトキハ樺太廳支廳長又ハ樺太廳長官ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
第百十六條(町村制第十八條ノ四ニ對スル特例) 選擧人名簿ハ選擧ノ期日前三日目ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ其ノ確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之ヲ用フ但シ町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ樺太廳長官ノ指定スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ指定ヲ爲シタルトキハ樺太廳長官ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
前條第二項ノ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
投票分會ヲ設クル場合ニ於テ必要アルトキハ町村長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄本ヲ調製スベシ
第百十七條(町村制第十八條ノ五ニ對スル特例) 天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
前項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ樺太廳支廳長ノ定ムル所ニ依ル
前項ノ規定ニ依リ期日及期間ヲ定メタルトキハ樺太廳支廳長ハ直ニ之ヲ吿示スベシ
第百十八條 選擧人名簿調製後ニ於テ選擧ノ期日ヲ變更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヒ縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ前ノ選擧ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
第百十九條(町村制第三十三條及第三十六條中第三十三條ニ關スル部分ニ對スル特例) 選擧人又ハ議員候補者選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ、當選ニ關シテハ町村制第二十九條第一項又ハ第三十一條第二項ノ吿示ノ日ヨリ七日以內ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
樺太廳支廳長ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ町村制第二十九條第一項ノ報吿ヲ受ケタル日ヨリ、當選ニ關シテハ同法第二十九條第一項又ハ第三十一條第二項ノ報吿ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル決定アリタルトキハ同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及町村長ノ決定ハ無效トス
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第二項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シタルトキ、樺太廳支廳長第二項若ハ前項ノ規定ニ依リ決定若ハ裁決ヲ爲シタルトキ又ハ樺太廳長官前項ノ規定ニ依リ裁決ヲ爲シタルトキハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
町村制第十七條、第三十條、第三十四條第一項若ハ第三項又ハ第三十四條ノ二ノ選擧ハ之ニ關係アル選擧又ハ當選ニ關スル異議申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決確定セザル間又ハ訴訟ノ繫屬スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
町村會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第百二十條(町村制第三十五條ニ對スル特例) 町村會議員被選擧權ヲ有セザル者ナルトキ又ハ町村制第二十九條第五項ニ揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ同項ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ハ町村會議員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ外町村會之ヲ決定ス
四 選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
町村長ハ町村會議員中被選擧權ヲ有セザル者又ハ町村制第二十九條第五項ニ揭グル者アリト認ムルトキハ之ヲ町村會ノ決定ニ付スベシ町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ町村長ヨリモ樺太廳支廳長ニ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前條第七項ノ規定ハ第一項及前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第百二十一條(町村制第七十四條ニ對スル特例) 町村會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ町村長ハ議決ニ付テハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太廳支廳長ノ裁決ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル町村會ノ議決仍其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ町村長ハ樺太廳支廳長ノ裁決ヲ請フベシ
第一項若ハ第二項ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十二條(町村制第七十四條ノ二ニ對スル特例) 町村會ノ議決明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ町村長ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ樺太廳支廳長ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル町村會ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ町村長ハ樺太廳支廳長ノ指揮ヲ請フベシ
町村會ノ議決收支ニ關シ執行スルコト能ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ揭グル費用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之ニ伴フ收入ニ付亦同ジ
一 法令ニ依リ負擔スル費用、當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ町村ノ義務ニ屬スル費用
二 非常ノ災害ニ因ル應急又ハ復舊ノ施設ノ爲ニ要スル費用、傳染病豫防ノ爲ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避クベカラザル費用
前三項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十三條(町村制第八十七條ニ對スル特例) 費用辨償、退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ關係者町村長ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第三項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十四條(町村制第九十七條第二項及第百五十五條ニ對スル特例) 町村稅及其ノ賦課徵收ニ關シテハ當分ノ內從前ノ例ニ依ル
第百二十五條(町村制第百六條ニ對スル特例) 非常災害ノ爲必要アルトキハ町村ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スベシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ町村長、警察官吏又ハ監督官廳ハ町村內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ樺太廳支廳長之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十六條(町村制第百九條ニ對スル特例) 使用料、手數料及分擔金ニ關スル事項ニ付テハ町村條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐欺其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料、手數料又ハ分擔金ノ徵收ヲ免レタル者ニ付テハ町村條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レタル金額ノ五倍ニ相當スル金額(其ノ金額十圓未滿ナルトキハ十圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及分擔金ノ徵收ニ關シテハ町村條例ヲ以テ二十圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第五項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十七條(町村制第百十條ニ對スル特例) 使用料、手數料、加入金若ハ分擔金ノ徵收又ハ夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ徵收又ハ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ其ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ町村長ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十八條(町村制第百十一條ニ對スル特例) 使用料、手數料、加入金、分擔金、過料、過怠金其ノ他ノ町村ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メザルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ町村條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ府縣ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第七項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第四項ノ處分ハ其ノ町村ノ區域外ニ於テモ亦之ヲ爲スコトヲ得
第百二十九條(町村制第百二十七條ニ對スル特例) 町村制第百二十四條ノ場合ニ於テ町村ノ一部樺太廳支廳長ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ樺太廳長官ノ處分ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百三十條(町村制第百三十五條ニ對スル特例) 町村制第百二十九條第一項及第二項、第百三十條第一項及第二項、第百三十一條第一項及第二項、第百三十三條第一項竝ニ第百三十四條第二項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村組合ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
組合費ノ分賦ニ關シ違法又ハ錯誤アリト認ムル町村ハ其ノ吿知アリタル日ヨリ三十日以內ニ組合ノ管理者ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ組合ノ管理者ノ決定ヲ受ケタル町村其ノ決定ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
組合ノ管理者前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百三十一條(町村制第百三十七條ニ對スル特例) 町村ハ第一次ニ於テ樺太廳支廳長、第二次ニ於テ樺太廳長官、第三次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
第百三十二條(町村制第百三十八條ニ對スル特例) 本章中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ノ監督ニ關スル樺太廳支廳長ノ處分ニ不服アル町村ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ樺太廳長官ノ處分ニ不服アル町村ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百三十三條(町村制第百四十三條ニ對スル特例) 町村ニ於テ法令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用ヲ豫算ニ載セザルトキハ樺太廳支廳長ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
町村長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件ヲ執行セザルトキハ樺太廳支廳長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ町村ノ負擔トス
前二項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル町村又ハ町村長其ノ他ノ吏員ハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百三十四條(町村制第百五十條ニ對スル特例) 樺太廳長官又ハ樺太廳支廳長ハ町村長、助役、收入役、副收入役、區長、區長代理者及町村制第七十一條ノ吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、五十圓以下ノ過怠金及解職トス但シ町村長、助役、收入役及副收入役ニ對スル解職ハ懲戒審査會ノ議決ヲ經テ樺太廳長官之ヲ行フ
懲戒審査會ハ內務大臣ノ指定スル職ニ在ル樺太廳高等官五人ヲ以テ其ノ會員トシ樺太廳長官ヲ以テ會長トス樺太廳長官故障アルトキハ其ノ代理者會長ノ職務ヲ行フ
懲戒審査會ノ招集及會議ニ關シテハ內務大臣ノ定ムル所ニ依ル
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ノ處分ニ付テハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ又ハ樺太廳長官ノ處分ニ付テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
樺太廳長官ハ町村長、助役、收入役及副收入役ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間北海道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第百三十五條(第三十六條ニ對スル特例) 第三十三條乃至第三十五條ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ樺太廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第二項ノ規定ニ依ル裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村長前項ノ規定ニ依ル樺太廳支廳長ノ裁決ニ不服アルトキハ樺太廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル樺太廳長官ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百三十六條(第四十條ニ對スル特例) 分擔金ハ町村制第百二條ノ財產、營造物又ハ事件ニ關シ必要ナル費用ニ充ツル爲之ヲ徵收ス
分擔金ノ徵收額(數年ヲ期シテ徵收スルトキハ其ノ總額)ハ町村制第百二條ノ財產、營造物又ハ事件ニ因ル受益ノ限度ヲ超ユルコトヲ得ズ
町村制第百二條ノ財產、營造物又ハ事件ニ關シ不均一ノ課稅ヲ爲シ若ハ町村ノ一部ニ課稅ヲ爲シ又ハ特別稅ヲ課スルトキハ同一事件ニ關シ分擔金ヲ徵收スルコトヲ得ズ
分擔金ノ徵收ヲ受クル者ノ範圍及其ノ徵收方法ハ町村ニ於テ之ヲ定ム
第百三十七條(第四十一條第二項ニ對スル特例) 第四十一條第一項ノ場合ニ於テ關係アル町村ノ數二十以上ナルトキハ樺太廳長官ハ內務大臣ノ許可ヲ得テ組合規約ヲ定メ町村組合ヲ設クルコトヲ得
第百三十八條 左ニ揭グル事件ハ樺太廳長官ノ許可ヲ受クベシ
一 町村會議員ノ定數增減ニ關スル條例ヲ設ケ又ハ改正スルコト
二 町村制第四十五條第三項ノ規定ニ依リ議長及其ノ代理者ヲ置クコトニ關スル條例ヲ設クルコト
三 有給町村長又ハ有給助役ヲ置クコトニ關スル條例ヲ設ケ又ハ改正スルコト
四 町村助役ノ定數增加ニ關スル條例ヲ設ケ又ハ改正スルコト
第百三十九條 左ニ揭グル事件ハ樺太廳支廳長ノ許可ヲ受クベシ
一 國民學校舍ノ建築費、增築費及改築費竝ニ國民學校設備費ニ充ツル爲借入ルル町村債ニシテ据置期間ヲ通ジ償還期限十年度ヲ超エザルモノニ關スルコト
二 前號ニ揭グル事件ノ外据置期間ヲ通ジ償還期限二年度ヲ超エザル町村債(借入ノ翌年度ニ於テ借入金ヲ以テ償還スルモノヲ除ク)ニ關スルコト
第百四十條 第二十二條第七號中支廳長ノ管轄區域トアルハ樺太ニ於ケル町村ニ付テハ郡ノ區域トス
第百四十一條(町村制第七條ニ對スル特例) 帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ一年以來指定町村住民タル者ハ其ノ町村公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
三 貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭グル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ前項一年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項一年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第百四十二條(町村制第四十七條ニ對スル特例) 指定町村ニ於テハ町村長ハ町村會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ輕易ナルモノニ付テハ町村會ヲ招集セズ期限ヲ指定シ書面決議ノ方法ニ依ルコトヲ得但シ現任議員ノ數議員定數ノ半數以上アル場合ニ非ザレバ此ノ方法ニ依ルコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ町村制第四十九條第一項ノ規定ニ拘ラズ議員三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ否決セラレタルモノト看做ス
第百四十三條(町村制第六十條乃至第六十四條ニ對スル特例) 指定町村ニ町村長及助役一人ヲ置ク
町村長及助役ハ第百四十一條第一項ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ町村ノ公民トス
第百四十四條(町村制第六十七條ニ對スル特例) 指定町村ニ收入役一人ヲ置ク
收入役ハ町村會ノ同意ヲ得樺太廳支廳長ノ認可ヲ得テ町村長之ヲ選任ス
町村制第六十五條及第六十六條第二項竝ニ前條第五項ノ規定ハ收入役ニ之ヲ準用ス
町村長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ收入役ノ職ニ在ルコトヲ得ズ
特別ノ事情アル町村ニ於テハ町村長ハ町村會ノ同意ヲ得樺太廳支廳長ノ許可ヲ得テ收入役ノ事務ヲ兼掌シ又ハ助役ヲシテ之ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第百四十五條(町村制第八十五條ニ對スル特例) 指定町村ノ町村長ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ樺太廳長官之ヲ定メ其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ町村規則ヲ以テ之ヲ規定スベシ
前項ノ町村規則ヲ設ケ又ハ改廢セントスルトキハ樺太廳長官ノ許可ヲ受クベシ
第百四十六條(町村制第八十八條ニ對スル特例) 指定町村ニ於ケル費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ町村ノ負擔トス但シ町村長ノ給料ハ國庫ノ支辨トシ尙其ノ旅費ノ一部ヲ國庫ノ支辨ト爲スコトヲ得
第百四十七條 樺太廳支廳長ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數支廳ニ涉ルモノアルトキハ樺太廳長官ハ關係樺太廳支廳長ノ具狀ニ依リ其ノ事件ヲ管理スベキ樺太廳支廳長ヲ指定スベシ
第百四十八條 本章中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十九條 町村制第百四十條及第百四十條ノ二ノ規定ハ本章ノ規定ニ依ル異議、訴願及訴訟ニ之ヲ準用ス但シ町村制第百四十條ノ二第二項中府縣知事トアルハ樺太廳長官又ハ樺太廳支廳長トス