(退職後禁錮以上の刑に処せられた場合等の退職手当の支給制限)
第十四条 退職をした者に対しまだ当該退職に係る一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者(第一号又は第二号に該当する場合において、当該退職をした者が死亡したときは、当該一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者)に対し、第十二条第一項に規定する政令で定める事情及び同項各号に規定する退職をした場合の一般の退職手当等の額との権衡を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる。
一 当該退職をした者が刑事事件(当該退職後に起訴をされた場合にあつては、基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に限る。)に関し当該退職後に禁錮以上の刑に処せられたとき。
二 当該退職をした者が当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中の行為に関し国家公務員法第八十二条第二項(裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。)、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十六条第二項又は国会職員法第二十八条第二項の規定による懲戒免職等処分(以下「再任用職員等に対する免職処分」という。)を受けたとき。
三 当該退職手当管理機関が、当該退職をした者(再任用職員等に対する免職処分の対象となる者を除く。)について、当該退職後に当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認めたとき。
2 死亡による退職をした者の遺族(退職をした者(死亡による退職の場合には、その遺族)が当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を受ける前に死亡したことにより当該一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者を含む。以下この項において同じ。)に対しまだ当該一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、前項第三号に該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該遺族に対し、第十二条第一項に規定する政令で定める事情を勘案して、当該一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分を行うことができる。
3 退職手当管理機関は、第一項第三号又は前項の規定による処分を行おうとするときは、当該処分を受けるべき者の意見を聴取しなければならない。
4 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章第二節(第二十八条を除く。)の規定は、前項の規定による意見の聴取について準用する。
5 第十二条第二項及び第三項の規定は、第一項及び第二項の規定による処分について準用する。
6 支払差止処分に係る一般の退職手当等に関し第一項又は第二項の規定により当該一般の退職手当等の一部を支給しないこととする処分が行われたときは、当該支払差止処分は、取り消されたものとみなす。
(退職をした者の退職手当の返納)
第十五条 退職をした者に対し当該退職に係る一般の退職手当等の額が支払われた後において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者に対し、第十二条第一項に規定する政令で定める事情のほか、当該退職をした者の生計の状況を勘案して、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が当該一般の退職手当等の支給を受けていなければ第十条第二項、第五項又は第七項の規定による退職手当の支給を受けることができた者(次条及び第十七条において「失業手当受給可能者」という。)であつた場合にあつては、これらの規定により算出される金額(次条及び第十七条において「失業者退職手当額」という。)を除く。)の全部又は一部の返納を命ずる処分を行うことができる。
一 当該退職をした者が基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたとき。
二 当該退職をした者が当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中の行為に関し再任用職員等に対する免職処分を受けたとき。
三 当該退職手当管理機関が、当該退職をした者(再任用職員等に対する免職処分の対象となる職員を除く。)について、当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認めたとき。
2 前項の規定にかかわらず、当該退職をした者が第十条第一項、第四項又は第六項の規定による退職手当の額の支払を受けている場合(受けることができる場合を含む。)における当該退職に係る一般の退職手当等については、当該退職に係る退職手当管理機関は、前項の規定による処分を行うことができない。
3 第一項第三号に該当するときにおける同項の規定による処分は、当該退職の日から五年以内に限り、行うことができる。
4 退職手当管理機関は、第一項の規定による処分を行おうとするときは、当該処分を受けるべき者の意見を聴取しなければならない。
5 行政手続法第三章第二節(第二十八条を除く。)の規定は、前項の規定による意見の聴取について準用する。
6 第十二条第二項の規定は、第一項の規定による処分について準用する。
(遺族の退職手当の返納)
第十六条 死亡による退職をした者の遺族(退職をした者(死亡による退職の場合には、その遺族)が当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を受ける前に死亡したことにより当該一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者を含む。以下この項において同じ。)に対し当該一般の退職手当等の額が支払われた後において、前条第一項第三号に該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該遺族に対し、当該退職の日から一年以内に限り、第十二条第一項に規定する政令で定める事情のほか、当該遺族の生計の状況を勘案して、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部の返納を命ずる処分を行うことができる。
2 第十二条第二項並びに前条第二項及び第四項の規定は、前項の規定による処分について準用する。
3 行政手続法第三章第二節(第二十八条を除く。)の規定は、前項において準用する前条第四項の規定による意見の聴取について準用する。
(退職手当受給者の相続人からの退職手当相当額の納付)
第十七条 退職をした者(死亡による退職の場合には、その遺族)に対し当該退職に係る一般の退職手当等の額が支払われた後において、当該一般の退職手当等の額の支払を受けた者(以下この条において「退職手当の受給者」という。)が当該退職の日から六月以内に第十五条第一項又は前条第一項の規定による処分を受けることなく死亡した場合(次項から第五項までに規定する場合を除く。)において、当該退職に係る退職手当管理機関が、当該退職手当の受給者の相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)に対し、当該退職の日から六月以内に、当該退職をした者が当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたことを疑うに足りる相当な理由がある旨の通知をしたときは、当該退職手当管理機関は、当該通知が当該相続人に到達した日から六月以内に限り、当該相続人に対し、当該退職をした者が当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められることを理由として、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部に相当する額の納付を命ずる処分を行うことができる。
2 退職手当の受給者が、当該退職の日から六月以内に第十五条第五項又は前条第三項において準用する行政手続法第十五条第一項の規定による通知を受けた場合において、第十五条第一項又は前条第一項の規定による処分を受けることなく死亡したとき(次項から第五項までに規定する場合を除く。)は、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職手当の受給者の死亡の日から六月以内に限り、当該退職手当の受給者の相続人に対し、当該退職をした者が当該退職に係る一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められることを理由として、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部に相当する額の納付を命ずる処分を行うことができる。
3 退職手当の受給者(遺族を除く。以下この項から第五項までにおいて同じ。)が、当該退職の日から六月以内に基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し起訴をされた場合(第十三条第一項第一号に該当する場合を含む。次項において同じ。)において、当該刑事事件につき判決が確定することなく、かつ、第十五条第一項の規定による処分を受けることなく死亡したときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職手当の受給者の死亡の日から六月以内に限り、当該退職手当の受給者の相続人に対し、当該退職をした者が当該退職に係る一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められることを理由として、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部に相当する額の納付を命ずる処分を行うことができる。
4 退職手当の受給者が、当該退職の日から六月以内に基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し起訴をされた場合において、当該刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられた後において第十五条第一項の規定による処分を受けることなく死亡したときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職手当の受給者の死亡の日から六月以内に限り、当該退職手当の受給者の相続人に対し、当該退職をした者が当該刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたことを理由として、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部に相当する額の納付を命ずる処分を行うことができる。
5 退職手当の受給者が、当該退職の日から六月以内に当該退職に係る一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中の行為に関し再任用職員等に対する免職処分を受けた場合において、第十五条第一項の規定による処分を受けることなく死亡したときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職手当の受給者の死亡の日から六月以内に限り、当該退職手当の受給者の相続人に対し、当該退職をした者が当該行為に関し再任用職員等に対する免職処分を受けたことを理由として、当該一般の退職手当等の額(当該退職をした者が失業手当受給可能者であつた場合にあつては、失業者退職手当額を除く。)の全部又は一部に相当する額の納付を命ずる処分を行うことができる。
6 前各項の規定による処分に基づき納付する金額は、第十二条第一項に規定する政令で定める事情のほか、当該退職手当の受給者の相続財産の額、当該退職手当の受給者の相続人の生計の状況その他の政令で定める事情を勘案して、定めるものとする。この場合において、当該相続人が二人以上あるときは、各相続人が納付する金額の合計額は、当該一般の退職手当等の額を超えることとなつてはならない。
7 第十二条第二項並びに第十五条第二項及び第四項の規定は、第一項から第五項までの規定による処分について準用する。
8 行政手続法第三章第二節(第二十八条を除く。)の規定は、前項において準用する第十五条第四項の規定による意見の聴取について準用する。
(退職手当・恩給審査会等への諮問)
第十八条 退職手当管理機関(第五項から第七項までに規定する退職手当管理機関を除く。)は、第十四条第一項第三号若しくは第二項、第十五条第一項、第十六条第一項又は前条第一項から第五項までの規定による処分(以下この条において「退職手当の支給制限等の処分」という。)を行おうとするときは、退職手当・恩給審査会に諮問しなければならない。
2 退職手当・恩給審査会は、第十四条第二項、第十六条第一項又は前条第一項から第五項までの規定による処分を受けるべき者から申立てがあつた場合には、当該処分を受けるべき者に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
3 退職手当・恩給審査会は、必要があると認める場合には、退職手当の支給制限等の処分に係る事件に関し、当該処分を受けるべき者又は退職手当管理機関にその主張を記載した書面又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知つている事実の陳述又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。
4 退職手当・恩給審査会は、必要があると認める場合には、退職手当の支給制限等の処分に係る事件に関し、関係機関に対し、資料の提出、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
5 前各項の規定は、国会職員法第一条に規定する国会職員に係る退職手当管理機関が退職手当の支給制限等の処分を行おうとするときについて準用する。この場合において、これらの規定中「退職手当・恩給審査会」とあるのは、「両議院の議長が両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮つて定める機関」と読み替えるものとする。
6 第一項から第四項までの規定は、裁判官又は裁判所の職員に係る退職手当管理機関が退職手当の支給制限等の処分を行おうとするときについて準用する。この場合において、これらの規定中「退職手当・恩給審査会」とあるのは、「最高裁判所規則で定める機関」と読み替えるものとする。
7 第一項から第四項までの規定は、会計検査院の検査官又は職員に係る退職手当管理機関が退職手当の支給制限等の処分を行おうとするときについて準用する。この場合において、これらの規定中「退職手当・恩給審査会」とあるのは、「会計検査院規則で定める機関」と読み替えるものとする。