(目的)
第一条 この法律は、石炭鉱業の合理化の円滑な実施に資するため、石炭鉱業を営む会社の経理の適正化を図ることを目的とする。
(指定会社)
第二条 通商産業大臣は、この法律の施行の日から二月以内に、石炭鉱業を営む会社がこの法律の施行の日現在において次の各号に該当するときは、その会社を指定しなければならない。
一 石炭鉱業合理化事業団から借り入れた資金の借入残高があり、かつ、その借入残高又はその借入残高と日本開発銀行から借り入れた石炭鉱業に関する資金の借入残高との合計額が五億円以上において政令で定める額をこえていること。
二 前一年間に掘採した石炭の数量が十五万トン以上において政令で定める数量をこえていること。
2 通商産業大臣は、昭和三十九年以後毎年二月末日までに、石炭鉱業を営む会社(前項又はこの項の規定による指定を受けている会社(以下「指定会社」という。)を除く。)が毎年一月一日現在において前項各号に該当するときは、その会社を指定し、指定会社が同日現在において同項各号に該当しないときは、同項又はこの項の規定による指定を取り消さなければならない。
(利益金の処分)
第三条 指定会社の利益金の処分に関する決議(前条の規定による指定を受けた日の属する営業年度以後の営業年度に係るものに限る。)は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、その申請に係る利益金の処分が次の各号に適合すると認めるときは、同項の認可をしなければならない。
一 その申請に係る営業年度において、政令で定めるところにより、減価償却その他の費用について必要な経理を行なつた後に行なうものであること。
二 石炭鉱業の合理化の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
(事業計画及び資金計画の届出)
第四条 指定会社は、第二条の規定による指定を受けた日の属する営業年度の翌営業年度以後の毎営業年度の開始の日から起算して一月を経過する日までに、その営業年度の事業計画及び資金計画を定め、通商産業大臣に届け出なければならない。
2 指定会社は、前項の事業計画又は資金計画を変更したとき(通商産業省令で定める事項を変更したときに限る。)は、その変更の日から一月以内に、変更後の事業計画又は資金計画を通商産業大臣に届け出なければならない。
(勧告)
第五条 通商産業大臣は、前条の規定による届出があつた場合において、その事業計画又は資金計画(前条第二項の規定による届出の場合にあつては、変更後の事業計画又は資金計画)が石炭鉱業の合理化の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該指定会社に対し、これらの計画の改善に関する勧告をすることができる。
(監査)
第六条 通商産業大臣は、毎年、指定会社の業務及び経理の監査をしなければならない。
(監査の実施)
第七条 通商産業大臣は、前条の規定による監査を行なうため必要があると認めるときは、当該指定会社からその業務若しくは経理に関し報告をさせ、又はその職員に当該指定会社の事務所若しくは事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(罰則)
第八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 前条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第九条 指定会社の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その指定会社の業務又は経理に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その指定会社に対して同条の刑を科する。