産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第64号
公布年月日: 平成3年5月2日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

近年の技術革新の進展により、産業技術の研究開発が高度化し、国際共同研究の必要性が増大している。しかし、政府等の委託による産業技術研究開発において、研究成果の取り扱いが諸外国と異なることが外国企業の参加を妨げ、円滑な研究開発の遂行を困難にしている。そこで、政府等の委託による産業技術に関する国際共同研究を促進するため、研究成果として得られた特許権等の一部を研究実施企業等に帰属させ、無償または低廉な対価での実施を認めるなどの措置を講ずることを目的として、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第120回国会 衆議院 商工委員会 第8号

審議経過

第120回国会

参議院
(平成3年3月12日)
衆議院
(平成3年3月13日)
(平成3年3月15日)
(平成3年3月27日)
参議院
(平成3年4月18日)
(平成3年4月23日)
(平成3年4月24日)
産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成三年五月二日
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 坂本三十次
法律第六十四号
産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律
産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律(昭和六十三年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
題名中「整備」を「整備等」に改める。
第一条中「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の下に「(以下「機構」という。)」を、「行わせるための」の下に「措置を講ずるとともに、政府又は機構の委託に係る産業技術に関する国際共同研究を促進するための」を加える。
第二条に次の一項を加える。
3 この法律において「国際共同研究」とは、本邦法人と外国法人、外国の政府機関若しくは公共的団体又は国際機関(以下「外国法人等」という。)とが共同して行う研究開発をいう。
第三条第一項中「新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)」を「機構」に改め、同条第二項中「定める」を「定め、又は変更する」に、「行われるよう」を「行われ、かつ、国際的な産業技術水準の向上に貢献するよう」に改める。
第十条を第十二条とし、第九条の次に次の二条を加える。
(国際共同研究の成果に係る特許権等の取扱い)
第十条 政府は、その委託に係る産業技術に関する国際共同研究を促進するため、その成果について、次に掲げる取扱いをすることができる。
一 当該成果に係る特許権若しくは実用新案権(以下「特許権等」という。)又は特許を受ける権利若しくは実用新案登録を受ける権利のうち政令で定めるものについて、政令で定めるところにより、その一部のみを受託者から譲り受けること。
二 当該成果に係る特許権等のうち政令で定めるものが政府と政府以外の者であつて政令で定めるものとの共有に係る場合において、当該政府以外の者のその特許発明又は登録実用新案の実施について、政府の持分に係る対価を受けず、又は時価よりも低い対価を受けること。
三 当該成果に係る政府所有の特許権等のうち政令で定めるものについて、当該特許に係る発明又は実用新案登録に係る考案をした者が所属する本邦法人又は外国法人等その他の政令で定める者に対し、通常実施権の許諾を無償とし、又はその許諾の対価を時価よりも低く定めること。
2 機構は、その委託に係る産業技術に関する国際共同研究の成果について、業務方法書で定めるところにより、前項に規定する取扱いに準ずる取扱いをするものとする。
(国際共同研究における配慮)
第十一条 政府及び機構は、その委託に係る産業技術に関する国際共同研究が、我が国の産業技術に関する知識の外国法人等における活用を促進し、産業技術の分野における国際的な貢献に資するよう特に配慮しなければならない。
附 則
この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 井上裕
通商産業大臣臨時代理 国務大臣 下条進一郎
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 坂本三十次