たばこ事業法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十九年八月十日
内閣総理大臣 中曽根康弘
法律第六十八号
たばこ事業法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
原料用国内産葉たばこの生産及び買入れ(第三条―第七条)
第三章
製造たばこの製造(第八条―第十条)
第四章
製造たばこの販売(第十一条―第三十二条)
第五章
小売定価(第三十三条―第三十七条)
第六章
雑則(第三十八条―第四十六条)
第七章
罰則(第四十七条―第五十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、たばこ専売制度の廃止に伴い、製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等にかんがみ、製造たばこの原料用としての国内産の葉たばこの生産及び買入れ並びに製造たばこの製造及び販売の事業等に関し所要の調整を行うことにより、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 たばこ タバコ属の植物をいう。
二 葉たばこ たばこの葉をいう。
三 製造たばこ 葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。
第二章 原料用国内産葉たばこの生産及び買入れ
(原料用国内産葉たばこの生産及び買入れ)
第三条 日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)は、毎年、その製造する製造たばこの原料の用に供しようとする国内産の葉たばこ(以下「原料用国内産葉たばこ」という。)の買入れを行おうとする場合においては、すべて、あらかじめ、会社に売り渡す目的をもつてたばこを耕作しようとする者(以下「耕作者」という。)と原料用国内産葉たばこの買入れに関する契約を締結するものとする。
2 前項に規定する契約においては、たばこの種類別の耕作面積並びに葉たばこの種類別及び品位別の価格(以下「葉たばこの価格」という。)を定めるものとする。
3 会社は、大蔵省令で定めるところにより、耕作者の会社に対する第一項に規定する契約の申込みに必要な事項を公告するものとする。
4 会社は、第一項に規定する契約に基づいて生産された葉たばこについては、製造たばこの原料の用に適さないものを除き、すべて買い入れるものとする。
5 前項に規定する買入れに際しての葉たばこの品位に係る決定の方法については、大蔵省令で定める。
第四条 会社が前条第一項に規定する契約を締結しようとするときは、会社の代表者は、会社の原料用国内産葉たばこの買入れに係るたばこの種類別の耕作総面積及び葉たばこの価格について、あらかじめ、葉たばこ審議会に諮らなければならない。この場合において、会社は、当該葉たばこ審議会の意見を尊重するものとする。
2 葉たばこ審議会は、前項に規定する葉たばこの価格について、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、葉たばこの再生産を確保することを旨として審議するものとする。
第五条 会社は、毎年、たばこ耕作組合法(昭和三十三年法律第百三十五号)第二条に規定するたばこ耕作組合中央会(次条において「中央会」という。)の意見を聴いて原料用国内産葉たばこの買入れに係るたばこの種類別の耕作総面積の地域別の内訳を定め、大蔵省令で定めるところにより、公告するものとする。
2 会社は、前項の規定により公告されたたばこの種類別の耕作総面積の地域別の内訳の範囲内において、第三条第一項に規定する契約を締結するものとする。
第六条 会社は、たばこ耕作組合法第二条に規定するたばこ耕作組合の組合員である耕作者(以下この条において「組合員である耕作者」という。)と第三条第一項に規定する契約を締結しようとする場合において、当該組合員である耕作者が中央会に対し葉たばこの価格、耕作したたばこ又は収穫した葉たばこが災害により損害を受けた場合の取扱い、代金の支払方法その他の当該契約の基本的事項を約定することを委託したときは、中央会と当該契約の基本的事項を約定するものとする。この場合において、当該約定は、会社と当該組合員である耕作者との間で締結される同項に規定する契約の一部とみなす。
(葉たばこ審議会)
第七条 会社の代表者の諮問に応じ、原料用国内産葉たばこの生産及び買入れに関する重要事項を調査審議するため、会社に葉たばこ審議会(以下この条において「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、前項に規定する事項について、会社の代表者に建議することができる。
3 審議会は、委員十一人以内で組織する。
4 委員は、耕作者を代表する者及び学識経験のある者のうちから大蔵大臣の認可を受けて、会社の代表者が委嘱する。
5 委員は、非常勤とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
第三章 製造たばこの製造
(会社以外の製造の禁止)
第八条 製造たばこは、会社でなければ、製造してはならない。
(製造たばこの販売価格)
第九条 会社は、その製造に係る製造たばこで現に販売をしていない品目の製造たばこを第二十条の登録を受けた者(以下「卸売販売業者」という。)に販売しようとする場合においては、当該製造たばこの品目ごとに一の販売価格の最高額(たばこ消費税法(昭和五十九年法律第七十二号)に規定するたばこ消費税に相当する金額を含む。以下この条において「最高販売価格」という。)を定めて、当該製造たばこを製造場から移出する時までに、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
2 会社が既に前項及びこの項の認可を受けて販売をしている製造たばこがある場合において、当該認可に係る最高販売価格を変更しようとするときは、その実施の時期を定めて、あらかじめ、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
3 大蔵大臣は、前二項の認可の申請があつた場合において、会社が当該申請に係る最高販売価格で当該製造たばこを販売した場合に、消費者の利益を不当に害することとなると認めるときは、前二項の認可をしてはならない。
4 大蔵大臣は、第一項又は第二項の認可をした最高販売価格が経済事情の変動その他の事由により前項の趣旨に照らして不適当となつた認める場合には、会社に対し、相当の期間を定めて、当該最高販売価格の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。
5 会社は、その製造する製造たばこの卸売販売業者に対する販売について、第一項又は第二項の認可を受けた最高販売価格を超える金額を受領してはならない。
6 前各項の規定は、会社がその製造する製造たばこを第二十二条第一項の許可を受けた者(以下「小売販売業者」という。)に販売しようとするときに準用する。この場合において、第一項中「たばこ消費税法(昭和五十九年法律第七十二号)に規定するたばこ消費税に相当する金額」とあるのは「たばこ消費税法(昭和五十九年法律第七十二号)に規定するたばこ消費税、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二章第四節に規定する道府県たばこ消費税及び同法第三章第四節に規定する市町村たばこ消費税に相当する金額」と、第五項中「卸売販売業者」とあるのは「小売販売業者」と読み替えるものとする。
(製造たばこの円滑な供給)
第十条 会社は、製造たばこに係る地域的な需給状況を勘案して、その円滑な供給を図るよう努めるものとする。
第四章 製造たばこの販売)
(製造たばこの特定販売業の登録)
第十一条 自ら輸入(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一項第一号に規定する輸入をいう。以下同じ。)をした製造たばこの販売を業として行おうとする者は、大蔵大臣の登録を受けなければならない。
2 前項の登録を受けようとする者は、大蔵省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。
一 商号、名称又は氏名及び住所
二 法人である場合においては、その代表者の氏名及び住所
三 未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所
四 営業所の所在地
五 その他大蔵省令で定める事項
3 前項の申請書には、第十三条各号に該当しないことを誓約する書面その他大蔵省令で定める書類を添付しなければならない。
(登録の実施)
第十二条 大蔵大臣は、前条第一項の登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除き、次に掲げる事項を製造たばこ特定販売業者登録簿に登録しなければならない。
一 前条第二項各号に掲げる事項
二 登録年月日及び登録番号
(登録の拒否)
第十三条 大蔵大臣は、第十一条第一項の登録を受けようとする者が次の各号の一に該当するときは、その登録を拒否しなければならない。
一 この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
二 第十七条第一項の規定により第十一条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 破産者で復権を得ないもの
四 法人であつて、その代表者のうちに前三号の一に該当する者があるもの
五 未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者であつて、その法定代理人が第一号から第三号までの一に該当するもの
(特定販売業の承継)
第十四条 第十一条第一項の登録を受けた者(以下「特定販売業者」という。)について相続又は合併があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を承継すべき相続人を選定したときは、当該選定された者。以下この条及び第二十七条において同じ。)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、その特定販売業者の地位を承継する。ただし、当該相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人が前条各号の一に該当するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の規定に該当する相続人は、相続後六十日間に限り、引き続きその在庫に係る製造たばこの販売を業として行うことができる。この場合において、この法律の適用に関しては、当該相続人を特定販売業者とみなす。
3 第一項の規定により特定販売業者の地位を承継した者又は前項前段の規定により製造たばこの販売を業として行う者は、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(特定販売業者の商号等の変更の届出)
第十五条 特定販売業者は、第十一条第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(特定販売業の廃止)
第十六条 特定販売業者は、その営業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
2 特定販売業者がその営業を廃止したときは、その者に係る第十一条第一項の登録は、その効力を失う。
(登録の取消し等)
第十七条 大蔵大臣は、特定販売業者が次の各号の一に該当するときは、第十一条第一項の登録を取り消し、又は期間を定めてその営業の停止を命ずることができる。
一 第十三条第一号又は第三号に掲げる者に該当することとなつたとき。
二 第十四条第三項又は第十五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
三 この項又は第三十四条第二項の規定による命令に違反したとき。
四 第三十三条第一項又は第三十九条第一項の規定に違反して製造たばこを製造場から移出し、若しくは輸入し、又は販売したとき。
五 正当な理由がないのに、二年以内にその営業を開始せず、又は二年を超えて引き続きその営業を休止したとき。
六 不正の手段により第十一条第一項の登録を受けたとき。
七 法人であつて、その代表者のうちに第一号に該当する者があるとき。
八 未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者であつて、その法定代理人が第一号に該当する者であるとき。
2 大蔵大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ本人にその旨を通知し、その者又はその代理人の出頭を求め、釈明のための証拠を提出する機会を与えるため、聴聞しなければならない。
(登録等の通知)
第十八条 大蔵大臣は、第十二条の規定による登録、第十三条の規定による登録の拒否又は前条第一項の規定による登録の取消し若しくは営業の停止の命令をしたときは、遅滞なく、その旨を当該処分に係る者に通知しなければならない。この場合において、第十三条の規定による登録の拒否又は前条第一項の規定による登録の取消し若しくは営業の停止の命令の通知にあつては、その理由が示さなければならない。
(登録の抹消)
第十九条 大蔵大臣は、第十六条第二項の規定により登録が効力を失つたとき、又は第十七条第一項の規定により登録を取り消したときは、当該特定販売業者の登録を抹消しなければならない。
(製造たばこの卸売販売業の登録)
第二十条 製造たばこの卸売販売(消費者に対する販売以外の販売をいう。以下同じ。)を業として行おうとする者は、当分の間、大蔵大臣の登録を受けなければならない。ただし、会社又は特定販売業者がその製造し、又は輸入した製造たばこの卸売販売を行おうとする場合は、この限りでない。
(準用)
第二十一条 第十一条第二項及び第三項、第十二条並びに第十三条の規定は前条の規定による製造たばこの卸売販売に係る登録について、第十四条から第十六条までの規定は卸売販売業者について、第十七条から第十九条までの規定は製造たばこの卸売販売に係る登録の取消し等について、それぞれ、準用する。この場合において、第十一条第二項中「前項」とあるのは「第二十条」と、第十二条中「前条第一項」とあるのは「第二十条」と、「製造たばこ特定販売業者登録簿」とあるのは「製造たばこ卸売販売業者登録簿」と、第十三条中「第十一条第一項」とあるのは「第二十条」と、第十四条第一項中「第十一条第一項の登録を受けた者(以下「特定販売業者」という。)」とあるのは「卸売販売業者」と、同条第二項及び第三項中「製造たばこの販売」とあるのは「製造たばこの卸売販売」と、第十六条第二項中「第十一条第一項」とあるのは「第二十条」と、第十七条第一項中「第十一条第一項」とあるのは「第二十条」と、同項第三号中「この項又は第三十四条第二項」とあるのは「この項」と、同項第四号中「第三十三条第一項又は第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第二項」と、「製造場から移出し、若しくは輸入し、又は販売した」とあるのは「販売した」と読み替えるものとする。
(製造たばこの小売販売業の許可)
第二十二条 製造たばこの小売販売(消費者に対する販売をいう。以下同じ。)を業として行おうとする者は、当分の間、その製造たばこに係る営業所(以下第三十七条まで及び第四十九条において「営業所」という。)ごとに大蔵大臣の許可を受けなければならない。会社又は特定販売業者が小売販売を業として行おうとするときも、同様とする。
2 前項の許可を受けようとする者は、大蔵省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。
一 商号、名称又は氏名及び住所
二 法人である場合においては、その代表者の氏名及び住所
三 未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所
四 営業所の所在地
3 前項の申請書には、次条各号に該当しないことを誓約する書面その他大蔵省令で定める書類を添付しなければならない。
(許可の基準)
第二十三条 大蔵大臣は、前条第一項の許可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当するときは、許可をしないことができる。
一 申請書がこの法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者であるとき。
二 申請者が第三十一条第一項の規定により前条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であるとき。
三 営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として大蔵省令で定める場合であるとき。
四 製造たばこの取扱いの予定高が大蔵省令で定める標準に達しないと認められるとき。
五 申請者が破産者で復権を得ていない場合その他小売販売を業として行うのに不適当である場合として大蔵省令で定める場合であるとき。
六 申請者が法人であつて、その代表者のうちに第一号若しくは第二号に規定する者又は破産者で復権を得ないものに該当する者があるとき。
七 申請者が未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者であつて、その法定代理人が第一号若しくは第二号に規定する者又は破産者で復権を得ないものに該当する者であるとき。
(許可の条件等)
第二十四条 大蔵大臣は、第二十二条第一項の許可に際し、許可の条件又は期限を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件又は期限は、第二十二条第一項の許可の趣旨に照らして、必要な最小限度のものでなければならない。
(営業所の移転)
第二十五条 小売販売業者は、その営業所を移転しようとするときは、大蔵省令で定めるところにより、大蔵大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の場合において、その移転先の営業所が第二十三条第三号に該当し、又は移転先での営業が同条第四号に該当するときは、大蔵大臣は、同項の許可をしないことができる。
(出張販売)
第二十六条 小売販売業者は、その営業所以外の場所に出張して製造たばこの小売販売をしようとする場合においては、大蔵省令で定めるところにより、その場所ごとに、大蔵大臣の許可を受けなければならない。
2 第二十四条の規定は、前項の許可を与える場合について準用する。
(小売販売業の承継)
第二十七条 小売販売業者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、その小売販売業者の地位を承継する。ただし、当該相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人が第二十三条各号(第三号及び第四号を除く。)の一に該当するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の規定に該当する相続人は、相続後六十日間に限り、引き続きその在庫に係る製造たばこの小売販売を業として行うことができる。この場合において、この法律の適用に関しては、当該相続人を小売販売業者とみなす。
3 第一項の規定により小売販売業者の地位を承継した者又は前項前段の規定により小売販売を業として行う者は、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
第二十八条 前条第一項及び第三項の規定は、小売販売業者が自らを代表者とする法人(定款に製造たばこの小売販売を業として行う旨の定めがあるものに限る。)を設立した場合その他これに類する場合として大蔵省令で定める場合について準用する。
(小売販売業の休止)
第二十九条 小売販売業者は、その営業所における営業を引き続き一月を超えて休止しようとするときは、あらかじめ、理由を付してその旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(小売販売業者の商号等の変更等の届出)
第三十条 小売販売業者は、第二十二条第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
2 小売販売業者は、その営業所における営業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。第二十六条第一項の許可を受けて行う小売販売を取りやめたときも、同様とする。
(許可の取消し等)
第三十一条 大蔵大臣は、小売販売業者が次の各号の一に該当するときは、第二十二条第一項の許可を取り消し、又は一月以内の期間を定めてその営業の停止を命ずることができる。
一 第二十三条第一号に掲げる者に該当することとなつたとき。
二 第二十四条第一項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反したとき。
三 第二十五条第一項、第二十六条第一項、第三十六条又は第三十九条第二項の規定に違反したとき。
四 第二十七条第三項(第二十八条において準用する場合を含む。)、第二十九条又は第三十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
五 この項の規定による命令に違反したとき。
六 破産者となつたとき。
七 正当な理由がないのに、一月以内にその営業を開始せず、又は一月を超えて引き続きその営業を休止したとき。
八 不正の手段により第二十二条第一項の許可を受けたとき。
九 未成年者喫煙禁止法(明治三十三年法律第三十三号)第四条の規定に違反して処罰されたとき。
十 法人であつて、その代表者のうちに第一号、第六号又は前号に該当する者があるとき。
十一 未成年者(営業に関し成年者と同一の能力を有する者を除く。)又は禁治産者であって、その法定代理人が第一号、第六号又は第九号に該当する者であるとき。
2 第十七条第二項の規定は、前項の規定による処分をする場合について準用する。
(許可等の通知)
第三十二条 大蔵大臣は、第二十二条第一項の規定による許可、第二十三条の規定による不許可又は前条第一項の規定による許可の取消し若しくは営業の停止の命令をしたときは、遅滞なく、その旨を当該処分に係る者に通知しなければならない。この場合において、第二十三条の規定による不許可又は同項の規定による許可の取消し若しくは営業の停止の命令の通知にあつては、その理由を示さなければならない。
第五章 小売定価
(小売定価の認可)
第三十三条 会社又は特定販売業者は、その者の現に販売をしていない品目の製造たばこ(その者が自ら製造し、又は輸入するものに限る。以下この条において同じ。)の販売をしようとする場合においては、当分の間、政令で定めるところにより、その品目ごとに一の小売定価を定めて、当該製造たばこを製造場から移出し、又は輸入する時までに、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
2 会社又は特定販売業者は、既にその者が前項及びこの項の認可を受けて販売をしている製造たばこがある場合において、当該認可に係る小売定価を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、その実施の時期を定めて、あらかじめ、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
3 前二項の場合において、二以上の者から製造たばこの同一の品目について小売定価の認可の申請があつた場合その他これに準ずる場合における認可の方法及び前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第三十四条 大蔵大臣は、前条第一項又は第二項の小売定価の認可の申請があつた場合には、次の各号の一に該当するときを除き、同条第一項又は第二項の認可をしなければならない。
一 当該申請に係る小売定価による販売が消費者の利益を不当に害することとなると認めるとき。
二 当該申請に係る小売定価が、会社にあつては第九条第一項(同条第六項において準用する場合を含む。)に規定する最高販売価格、特定販売業者にあつてはその輸入価格(関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第四条から第四条の八までの規定により計算される価格をいう。)に照らして不当に低いと認めるとき。
2 大蔵大臣は、前条第一項又は第二項の認可をした小売定価が経済事情の変動により前項の趣旨に照らして著しく不適当となつたと認める場合その他政令で定める事由に該当する場合には、当該小売定価の認可を受けた者に対し、相当の期間を定めて、当該小売定価の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。
(小売定価の公告)
第三十五条 大蔵大臣は、第三十三条第一項又は第二項の規定により小売定価を認可したときは、大蔵省令で定めるところにより、当該認可に係る小売定価を公告するものとする。
(小売定価以外による販売等の禁止)
第三十六条 小売販売業者は、第三十三条第一項又は第二項の規定による認可に係る小売定価によらなければ製造たばこを販売してはならない。ただし、小売販売業者が他の小売販売業者に臨時の在庫補充用として製造たばこを販売する場合その他の大蔵省令で定める場合は、この限りでない。
2 小売販売業者は、第三十三条第一項又は第二項の規定による認可に係る小売定価がない製造たばこを販売してはならない。
(小売定価の掲示)
第三十七条 小売販売業者は、その営業所において販売する製造たばこの品目ごとの第三十三条第一項又は第二項の規定による認可に係る小売定価を当該営業所に掲示しなければならない。
第六章 雑則
(製造たばこ代用品)
第三十八条 製造たばこ代用品は、これを製造たばことみなしてこの法律の規定を適用する。
2 前項に規定する製造たばこ代用品とは、製造たばこ以外の物であつて、喫煙用に供されるもの(大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)第一条に規定する大麻、麻薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬、あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)第三条第二号に規定するあへん並びに薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品及び同条第二項に規定する医薬部外品を除く。)をいう。
(注意表示)
第三十九条 会社又は特定販売業者は、製造たばこで大蔵省令で定めるものを販売の用に供するために製造し、又は輸入した場合には、当該製造たばこを販売する時までに、当該製造たばこに、消費者に対し製造たばこの消費と健康との関係に関して注意を促すための大蔵省令で定める文言を、大蔵省令で定めるところにより、表示しなければならない。ただし、輸入した製造たばこを博覧会において展示し即売する場合その他大蔵省令で定める場合は、この限りでない。
2 卸売販売業者又は小売販売業者は、前項本文の規定により製造たばこに表示されている文言を消去し、又は変更して、製造たばこを販売してはならない。
(広告に関する勧告等)
第四十条 製造たばこに係る広告を行う者は、未成年者の喫煙防止及び製造たばこの消費と健康との関係に配慮するとともに、その広告が過度にわたることがないように努めなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定の趣旨に照らして必要があると認める場合には、あらかじめ、政令で定める審議会の意見を聴いて、製造たばこに係る広告を行う者に対し、当該広告を行う際の指針を示すことができる。
3 大蔵大臣は、前項の規定により示された指針に従わずに製造たばこに係る広告を行つた者に対し、必要な勧告をすることができる。
4 大蔵大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、製造たばこの広告を行つた者が、正当な理由がなく、その勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
(報告)
第四十一条 大蔵大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、特定販売業者、卸売販売業者又は小売販売業者に対して、その業務に関する報告を求めることができる。
(立入検査)
第四十二条 大蔵大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その職員に、特定販売業者、卸売販売業者又は小売販売業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(事務の一部委任)
第四十三条 大蔵大臣は、政令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務の一部を会社に取り扱わせることができる。
2 前項の規定により事務の一部を会社に取り扱わせる場合においては、その事務の取扱いに要する経費は、会社の負担とすることができる。
3 第一項の場合において、その事務に従事する会社の職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(権限の委任)
第四十四条 大蔵大臣は、政令で定めるところにより、この法律による権限の一部を財務局長若しくは財務支局長又は税関長に行わせることができる。
(輸出等の適用除外)
第四十五条 製造たばこの輸出(関税法第二条第一項第二号に規定する輸出又はこれに準ずるものとして政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)をし、又は製造たばこを輸出のために販売する場合には、第九条、第十条、第四章、第五章及び第三十九条の規定は適用しない。
(政令への委任)
第四十六条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、政令で定める。
第七章 罰則
第四十七条 第八条の規定に違反して製造たばこを製造した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 前項の犯罪に係る製造たばこは、没収する。ただし、犯罪の後犯人以外の者が情を知らないで当該製造たばこを取得したと認められる場合においては、この限りでない。
第四十八条 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項の規定に違反して、自ら輸入をした製造たばこの販売を業として行つた者
二 第十七条第一項の規定による営業の停止の命令に違反した者
第四十九条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十条の規定に違反して、製造たばこの卸売販売を業として行つた者
二 第二十一条において準用する第十七条第一項の規定による営業の停止の命令に違反した者
三 第二十二条第一項の規定に違反して、製造たばこの小売販売を業として行つた者
四 第二十四条第一項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反した者
五 第二十五条第一項の規定に違反して、営業所を移転して製造たばこの小売販売を行つた者
六 第二十六条第一項の規定に違反して、営業所以外の場所に出張して製造たばこの小売販売を行つた者
七 第三十一条第一項の規定による営業の停止の命令に違反した者
八 第三十六条の規定に違反して、製造たばこの小売販売を行つた者
第五十条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第四十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第四十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第五十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十七条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第五十二条 第十四条第三項(第二十一条において準用する場合を含む。)、第十五条(第二十一条において準用する場合を含む。)、第十六条第一項(第二十一条において準用する場合を含む。)、第二十七条第三項(第二十八条において準用する場合を含む。)、第二十九条又は第三十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十年四月一日から施行する。
(たばこ専売法及び製造たばこ定価法の廃止)
第二条 次に掲げる法律は、廃止する。
一 たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)
二 製造たばこ定価法(昭和四十年法律第百二十二号)
(原料用国内産葉たばこ買入れ契約に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前のたばこ専売法(以下「旧法」という。)第八条第一項の規定によるたばこの耕作の許可を受けている者(旧法第二十六条の二に規定する農薬用たばこ耕作者(以下「農薬用たばこ耕作者」という。)を除く。附則第五条において「耕作許可者」という。)又は旧法第十条第二項の規定によるたばこの耕作の引継ぎの許可を受けている者(農薬用たばこ耕作者のたばこの耕作について同項の許可を受けている者を除く。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において会社と第三条第一項に規定する契約を締結したものとみなす。
2 前項の場合において、旧法第八条第一項の規定により許可された耕作地の位置及び面積並びにたばこの種類(同条第三項の規定によりその変更が許可された場合には、当該変更後の耕作地の位置及び面積並びにたばこの種類)、旧法第十三条の規定により日本専売公社(以下「公社」という。)が定めた耕作及び収穫の方法並びに旧法第十八条第一項の規定により公社が定めた乾燥調理の方法は、前項に規定する契約により定められたものとみなす。
3 第一項の場合において、この法律の施行の際現に旧法第五条第二項の規定により公社が収納の価格を公告しているときは、当該収納の価格は、第一項に規定する契約により定められたものとみなす。
4 第一項の場合において、この法律の施行の際旧法第五条第二項に規定する収納の価格を公社が公告していないときは、会社は、第七条第一項に規定する葉たばこ審議会に諮り、その意見を尊重して第一項に規定する契約に係る葉たばこの価格を定めるものとする。
5 第一項に規定する契約の内容については、前三項に規定するもののほか、旧法第十条第一項及び第二項、第十八条第二項、第十九条第一項ただし書及び第七項並びに第二十四条の規定を参酌して、第一項の規定により会社と第三条第一項に規定する契約を締結したものとみなされる者と会社との間で約定するものとする。この場合において、第六条の規定を準用する。
第四条 施行日前に旧法第八条第三項又は第十条第二項の規定により公社に対しされた許可の申請(農薬用たばこ耕作者が行う申請又は農薬用たばこ耕作者のたばこの耕作を引き継ごうとする者が行う申請を除く。)については、施行日に会社に対しされた前条第一項に規定する契約の変更若しくは解約又は引継ぎの申込みとみなす。
第五条 施行日前に旧法第二十四条に規定する災害にかかりその耕作したたばこ又は収穫した葉たばこが著しい損害を受けた耕作許可者に対し、この法律の施行の際公社が同条の規定による補償金を交付していない場合には、会社は、なお従前の例により当該補償金を交付することができる。
第六条 この法律の施行の際現に旧法第二十六条第一項の規定による試作の許可を受けている者又は同条第二項の規定において準用する旧法第十条第二項の規定による試作の引継ぎの許可を受けている者は、施行日において会社と当該試作に係る原料用国内産葉たばこの買入れに関する契約を締結したものとみなす。
2 附則第三条第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同条第二項中「、旧法第十三条の規定により日本専売公社(以下「公社」という。)が定めた耕作及び収穫の方法並びに」とあるのは「並びに」と、「公社が」とあるのは「日本専売公社(以下「公社」という。)が」と読み替えるものとする。
3 第一項に規定する契約の内容については、前項に規定するもののほか、旧法第二十六条第二項において準用する旧法第五条第一項、第十条第一項及び第二項、第十八条第二項並びに第十九条第一項本文の規定を参酌して、第一項の規定により会社と当該試作に係る原料用国内産葉たばこの買入れに関する契約を締結したものとみなされる者と会社との間で約定するものとする。
(製造たばこの販売価格に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に旧法第三十四条第一項の規定により公社が公告している製造たばこ(公社の製造した製造たばこに限る。)の品目ごとの小売定価から当該小売定価に大蔵大臣の定める率を乗じて得た金額を控除した金額は、施行日に第九条第六項の規定において準用される同条第一項の規定により会社が大蔵大臣の認可を受けた製造たばこの品目ごとの販売価格の最高額とみなす。
(特定販売業の登録に関する経過措置)
第八条 会社は、施行日において第十一条第一項の規定による登録を受けた者とみなす。
2 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第六十九条第二項に規定する政令で定める者で施行日の前日に沖縄県において旧法第二十八条の規定により製造たばこの輸入に関し公社の委託を受けている者は、施行日において第十一条第一項の規定による登録を受けた者とみなす。
3 第二項の規定により第十一条第一項の規定による登録を受けた者とみなされる者は、施行日から起算して三十日以内に同条第二項に掲げる事項を記載した書類及び同条第三項に規定する書類を大蔵大臣に提出しなければならない。
4 前項に規定する書類を提出せず、又は虚偽の記載をした書類を提出した者は、十万円以下の過料に処する。
(登録の拒否等に関する経過措置)
第九条 施行日前に旧法第九章の規定(第七章各条に相当する規定として政令で定めるものに限る。)により処罰(旧法第七十九条第一項において準用する国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)に基づいてされる通告処分を含む。)をされた者又は旧法第四十三条第一項各号に掲げる場合(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含み、第三十一条第一項各号に掲げる場合に相当する場合として政令で定めるものに限る。)の一に該当して旧法第四十三条第一項(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含む。)の規定により小売人(旧法第三十条第一項の規定により公社が指定した製造たばこの小売人をいう。以下同じ。)の指定を取り消された者は、当該処罰又は取消しのあつた日において第七章の規定により処罰をされ、又は第三十一条第一項の規定により許可を取り消された者とみなして、第十三条(第二十一条において準用する場合を含む。)及び第二十三条の規定を適用する。
(小売販売業の許可に関する経過措置)
第十条 この法律の施行の際現に小売人である者は、施行日において第二十二条第一項の規定による許可を受けた者(以下「小売販売業者」という。)とみなす。
2 前項の規定により小売販売業者とみなされる小売人(以下「継続小売販売業者」という。)が博覧会場、海水浴場その他これらに準ずる場所における一時的又は季節的な需要に応ずる目的で旧法第三十二条第一項の規定により期間を定めて旧法第三十条第一項の規定による指定を受けている者として大蔵省令で定める者に該当する場合は、当該継続小売販売業者に対し、施行日において当該期間の満了日を期限とする第二十四条第一項の規定による許可の期限が付されたものとみなす。
3 施行日前に継続小売販売業者に対し旧法第三十九条第一項の規定により公社が指示した事項のうち大蔵省令で定めるものは、当該継続小売販売業者に係る第二十四条第一項の規定による許可の条件とみなす。
(出張販売の許可に関する経過措置)
第十一条 継続小売販売業者がこの法律の施行の際現に旧法第三十条第四項の規定による許可を受けている場合は、施行日において第二十六条第一項の規定による許可を受けたものとみなす。
2 前項の場合において、継続小売販売業者が博覧会場、海水浴場その他これらに準ずる場所における一時的又は季節的な需要に応ずる目的で旧法第三十条第四項の規定により期間を定めて許可を受けている者として大蔵省令で定める者に該当する場合は、当該継続小売販売業者に対し、施行日において当該期間の満了日を期限とする第二十六条第二項において準用する第二十四条第一項の規定による許可の期限が付されたものとみなす。
(小売販売業の許可等の申請に関する経過措置)
第十二条 施行日前に旧法第三十条第一項の規定又は同条第三項若しくは第四項の規定により公社に対しされた指定又は許可の申請については、施行日に第二十二条第一項の規定又は第二十五条第一項若しくは第二十六条第一項の規定により大蔵大臣に対しされた許可の申請とみなす。
(小売人の相続の届出に関する経過措置)
第十三条 施行日前に小売人が死亡した場合において引き続いてその営業所で小売人となろうとする相続人について、旧法第三十三条の規定(同条の規定に係る罰則を含む。)は、この法律の施行後においても、なおその効力を有する。この場合において、同条中「公社」とあるのは、「大蔵大臣」とする。
(商号等を変更した場合の届出に関する経過措置)
第十四条 施行日前に旧法第三十六条第三項に掲げる事項に変更があつた継続小売販売業者について、同項の規定は、この法律の施行後においても、なおその効力を有する。この場合において、同項中「公社」とあるのは、「大蔵大臣」とする。
(小売販売業の許可の取消し等に関する経過措置)
第十五条 施行日前に旧法第四十三条第一項各号に掲げる場合(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含み、第三十一条第一項各号に掲げる場合に相当する場合として政令で定めるものに限る。)の一に該当するに至つた継続小売販売業者に対して、この法律の施行の際公社が旧法第四十三条第一項又は第二項(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含む。)の規定による処分を行つていない場合においては、当該継続小売販売業者を第三十一条第一項各号の規定の一に該当した者とみなして、同項の規定を適用する。
第十六条 施行日前に旧法第四十三条第一項第一号又は第二号に掲げる場合(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含み、第三十一条第一項各号に掲げる場合に相当する場合として政令で定めるものに限る。)に該当して旧法第四十三条第二項(同条第三項の規定により旧法第九条第二項又は第三項の規定を準用する場合を含む。)の規定により施行日以後の日を終期とする期間を定めて製造たばこの販売を差し止められた継続小売販売業者は、施行日において、第三十一条第一項の規定により当該期間の満了日までの期間を定めて営業の停止を命じられた者とみなす。
(製造たばこの小売定価に関する経過措置)
第十七条 この法律の施行の際現に旧法第三十四条第一項の規定により公社が大蔵大臣の認可を受けて公告している製造たばこの品目ごとの小売定価は、施行日において会社又は附則第八条第二項の規定により第十一条第一項の規定による登録を受けた者とみなされる者(以下この条において「継続特定販売業者」という。)が第三十三条第一項の規定による大蔵大臣の認可を受け、第三十五条の規定により大蔵大臣が公告した製造たばこの品目ごとの小売定価とみなす。この場合において、継続特定販売業者が当該認可を受け、大蔵大臣が当該公告をしたものとみなされる製造たばこの品目は、施行日の前日において当該継続特定販売業者が旧法第二十八条の規定により輸入に関し公社の委託を受けている製造たばこの品目に限る。
(製造たばこの引換え等に関する経過措置)
第十八条 施行日前に旧法第四十一条第一項の規定により小売人が公社に製造たばこの引換えの請求をした場合でこの法律の施行の際公社が当該引換えをしていないときは、会社は、なお従前の例により引き換えなければならない。この場合において、引換えの原因が公社若しくは会社の責めに帰すべき場合又は不可抗力による場合を除き、当該請求をした者は、製造たばこの減価に相当する金額を会社に支払わなければならない。
第十九条 施行日前に旧法第四十一条の二第一項に規定する災害によりその所有する製造たばこを滅失した小売人に対し、この法律の施行の際公社が同条の規定による製造たばこの交付を行つていない場合は、会社は、なお従前の例により製造たばこを交付することができる。
第二十条 施行日前に旧法第四十五条第一項に規定する廃業その他の事由により営業を継続することができない事情が生じた小売人がこの法律の施行の際公社に対して同項の規定による請求を行つていない場合は、その者は、なお従前の例により買戻しを会社に請求することができる。この場合において、会社は、買戻しを請求した製造たばこが公社若しくは会社の責めに帰すべき事由又は不可抗力によらないで旧法第四十一条第一項第一号又は第二号に該当するものであるときは、払い戻すべき金額から減価に相当する金額を控除する。
第二十一条 施行日前に輸出のため公社から買い受けた葉たばこ又は製造たばこの輸出を取りやめた者が旧法第四十九条第一項の規定による申請をした場合において、この法律の施行の際公社が同項の処分を行つていないときは、会社は、その使用に適するものを買い戻さなければならない。
(旧法の処分に係る不服申立て等に関する経過措置)
第二十二条 施行日前に旧法第三十条第一項、第三項若しくは第四項又は第四十三条第一項若しくは第二項の規定に基づいて公社が行つた処分(以下この条及び次条において「旧法の処分」という。)についての行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てであつてこの法律の施行の際公社の総裁が裁決又は決定をしていないものは、施行日において大蔵大臣が受け継ぐ。
2 この法律の施行の際旧法の処分についてすることができる行政不服審査法による不服申立ては、大蔵大臣に対しするものとする。
第二十三条 旧法の処分又は旧法の処分についての行政不服審査法による不服申立てに対し公社の総裁がした裁決若しくは決定(次項において「旧法の処分等」という。)に係る行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)による訴訟であつてこの法律の施行の際現に係属しているものは、政令で定めるところにより、施行日において大蔵大臣(第四十四条の規定により権限の委任を受けた者を含む。次項において同じ。)が受け継ぐ。
2 この法律の施行の際旧法の処分等について提起することができる行政事件訴訟法による訴訟は、政令で定めるところにより、大蔵大臣を相手方として提起するものとする。
(罰則に関する経過措置)
第二十四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(国税犯則取締法の準用に関する経過措置)
第二十五条 この法律の施行前における旧法の違反事件及び施行後における附則第十三条においてなおその効力を有するものとされる旧法第三十三条に係る違反事件について、旧法第七十九条第一項の規定は、この法律の施行後においても、なおその効力を有する。
2 前項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧法第七十九条第一項の規定により準用される国税犯則取締法の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(政令への委任)
第二十六条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
大蔵大臣 竹下登
内閣総理大臣 中曽根康弘