(生産者補給交付金の交付)
第五条 事業団は、予算の範囲内で、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体(法第六条第一項の生乳生産者団体をいう。以下同じ。)に対し、当該生乳生産者団体の行なう生乳受託販売(委託を受けて行なう生乳の販売又は委託を受けて行なう生乳の処理若しくは加工及び当該処理若しくは加工に係る飲用牛乳若しくは乳製品の販売をいい、生乳生産者団体が直接又は間接の構成員となつており、かつ、全国の区域を地区とする農業協同組合連合会その他の者に対するこれらの委託を含む。以下同じ。)に係る加工原料乳(当該指定に係る都道府県の区域内において生産されるものに限る。)につき、その生産者への生産者補給金に充てるため、生産者補給交付金を交付することができる。
(生乳生産者団体の指定)
第六条 前条の指定は、都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする生乳生産者団体の申請により、当該都道府県知事が行なう。
2 前条の指定を受けようとする生乳生産者団体は、農林省令で定める手続に従い、生乳受託販売に関する規程(以下「受託規程」という。)を定め、これを指定申請書に添えて、当該都道府県知事に提出しなければならない。
3 生乳生産者団体は、第一項の申請をするには、あらかじめ、その申請及び前項の受託規程につき、総会の議決を経なければならない。
(指定の基準)
第七条 第五条の指定は、その申請者が次の各号の要件のすべてに適合している場合でなければ、してはならない。
一 当該都道府県の区域(その区域の自然的経済的条件に照らして、これにより難いと認められる場合において、農林大臣が都道府県知事の意見をきいて当該区域を分けて区域を定めたときは、その区域)内で生産される生乳(以下「当該区域内生産生乳」という。)の販売数量に対し申請者の生乳受託販売に係る当該区域内生産生乳の数量が農林省令で定める相当の割合を占めているか又はその割合を占めることとなる見込みが確実であること。
二 申請者の定款によれば、当該区域内生産生乳の生産者(農林省令で定めるものを除く。)のすべてがその直接又は間接の構成員となることができると認められること。
三 申請者の定款において、その生乳受託販売の事業に係る施設についてその構成員以外の者の利用がその構成員に比して実質的に制限されていないと認められること。
四 申請者の受託規程において、生乳受託販売に係る委託をした者に対して支払う対価の算定の方法、生乳受託販売に係る販売価格の約定の方法その他の事項が農林省令で定める基準に従い定められていること。
五 第十条第一項又は第二項の規定により指定を解除され、その解除の日から二年を経過しない者でないこと。
(指定の公示等)
第八条 都道府県知事は、第五条の指定をしたときは、遅滞なく、その旨を、公示し、かつ、農林大臣に届け出なければならない。
(受託規程の変更)
第九条 第五条の指定を受けた生乳生産者団体(以下「指定生乳生産者団体」という。)は、受託規程を変更する場合には、その変更につき、総会の議決を経なければならない。
2 指定生乳生産者団体は、受託規程を変更したときは、遅滞なく、農林省令で定める手続に従い、その旨を当該指定をした都道府県知事に届け出なければならない。
(指定の解除)
第十条 都道府県知事は、指定生乳生産者団体が次の各号の一に該当するときは、政令で定めるところにより、第五条の指定を解除しなければならない。
一 第七条第一号から第四号までの要件の全部又は一部に適合しなくなつたとき。
二 総会の議決を経て第五条の指定の解除の申出があつたとき。
2 都道府県知事は、指定生乳生産者団体が次の各号の一に該当するときは、政令で定めるところにより、第五条の指定を解除することができる。
一 受託規程に違反して生乳受託販売の事業を行なつたとき。
二 正当な理由がないのにその構成員以外の者にその生乳受託販売の事業に係る施設の利用を拒んだとき
3 第八条の規定は、前二項の規定による指定の解除について準用する。
(生産者補給交付金の金額)
第十一条 事業団が交付する生乳受託販売に係る加工原料乳についての生産者補給交付金の金額は、政令で定める期間ごと及び指定生乳生産者団体ごとに、第一号の保証価格から第二号の基準取引価格を控除した金額に、当該指定生乳生産者団体が生乳の生産者からのその生産に係る生乳受託販売に係る委託(当該委託を受けた者からの当該委託に係る生乳の生乳受託販売に係る委託及び当該生乳につき順次にされる生乳受託販売に係る委託を含む。)を受けて当該政令で定める期間内に行なつた生乳受託販売に係る生乳の数量(他の都道府県の区域内における生産に係るもの及び他の指定生乳生産者団体の委託を受けて行なう生乳受託販売に係るものを除く。次条第一項において同じ。)のうち加工原料乳の数量として政令で定めるところにより都道府県知事が認定する数量(その数量の毎会計年度における合計が、当該年度において事業団が第三条第一項第一号の業務として交付する同号の生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度として農林大臣が定める数量を基礎として農林省令で定めるところにより指定生乳生産者団体ごとに算出される数量をこえる場合にあつては、その算出される数量)に相当する数を乗じて得た額とする。
一 加工原料乳の生産者の販売価格について、生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として農林大臣が定める金額(以下「保証価格」という。)
二 加工原料乳の生産者の販売価格について、主要な乳製品の生産者の販売価格(指定乳製品にあつては、農林大臣が定めるその安定指標価格)から当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額を控除した金額を基準として農林大臣が定める金額(以下「基準取引価格」という。)
2 前項の農林大臣が定める数量は、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮して定めるものとする。
3 農林大臣は、保証価格及び第一項の農林大臣が定める数量を定めるに当たつては、酪農経営の合理化を促進することとなるように配慮するものとする。
4 第一項第二号の安定指標価格(以下「安定指標価格」という。)は、指定乳製品の生産者の販売価格について、当該指定乳製品の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、指定乳製品の消費の安定に資することを旨として定めるものとする。
5 保証価格、基準取引価格、第一項の農林大臣が定める数量及び安定指標価格(以下「保証価格等」という。)は、毎会計年度、当該年度の開始前に定めなければならない。
6 農林大臣は、保証価格等を定めようとするときは、畜産物価格審議会の意見をきかなければならない。
7 農林大臣は、保証価格等を定めたときは、遅滞なく、これを告示するものとする。
8 農林大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、保証価格等を改定することができる。
9 第六項及び第七項の規定は、前項の規定による保証価格等の改定について準用する。
10 畜産物価格審議会は、法第七条第二項の規定にかかわらず、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議する。
11 畜産物価格審議会は、法第七条第三項の規定にかかわらず、前項の事項に関し、農林大臣に意見を述べることができる。
(生産者補給金の交付)
第十二条 指定生乳生産者団体は、事業団から生乳受託販売に係る加工原料乳についての生産者補給交付金の交付を受けたときは、その交付を受けた生産者補給交付金の金額に相当する金額を、生産者補給金として、当該指定生乳生産者団体に前条第一項の生乳受託販売に係る委託をした者に対し、その委託に係る生乳の数量を基準として交付しなければならない。
2 前項の規定により生産者補給金の交付を受けた者(生乳の生産者を除く。)は、その交付を受けた金額に相当する金額を、同項の規定の例により、生産者補給金として、その者に前条第一項の生乳受託販売に係る委託をした者に対し交付しなければならない。この項の規定による生産者補給金の交付を受けた者(生乳の生産者を除く。)についても、同様とする。