(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給に関し必要な事項を規定するものとする。
(定義)
第二条 この法律において「戦没者等の遺族」とは、死亡した者の死亡に関し、昭和四十年四月一日までに戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号。以下「遺族援護法」という。)による弔慰金(以下「弔慰金」という。)を受ける権利を取得した者で、同日において日本の国籍を有しているもの(同日において離縁によつて死亡した者との親族関係が終了しているものを除く。)をいう。ただし、当該死亡した者の死亡の当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)で、次の各号の一に該当するものを除く。
一 死亡した者の死亡の日以後遺族援護法第三十五条第一項に規定する遺族(以下この項において「遺族」という。)以外の者と婚姻(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情に入つていると認められる場合を含む。以下同じ。)をした配偶者のうち、同法第三十六条第一項第一号括弧中のただし書の規定に該当したため同号の順位の遺族として弔慰金を受ける権利を取得した配偶者(遺族以外の者と法律上の婚姻をした配偶者を除く。)で、その権利を取得した当時同項第二号から第九号までに掲げるいずれかの者があつたもの
二 弔慰金を受ける権利を取得した後昭和四十年四月一日前に遺族以外の者と婚姻をした配偶者(死亡した者と同じ氏を称していた配偶者で、その氏を改めないで法律上の婚姻をしたものを除く。)
2 弔慰金を受ける権利を取得した者が次の各号の一に該当する場合において、昭和四十年四月一日に当該死亡した者の子があるときは、当該死亡した者の子は、前項の規定の適用については、弔慰金を受ける権利を取得した者とみなす。
一 昭和四十年四月一日において、死亡しているとき、日本の国籍を有していないとき、又は離縁によつて死亡した者との親族関係が終了しているとき。
二 配偶者については、前項各号の一に該当するとき。
(特別弔慰金の支給)
第三条 戦没者等の遺族には、特別弔慰金を支給する。ただし、死亡した者の死亡に関し、昭和四十年四月一日において、当該戦没者等の遺族が恩給法(大正十二年法律第四十八号)第七十五条第一項第二号に規定する扶助料、遺族援護法第二十三条第一項第一号又は第二項第一号に掲げる遺族に支給される同法による遺族年金又は遺族給与金その他これらに相当する給付を受ける権利を有する場合又は他にこれらの権利を有する者がある場合は、この限りでない。
(裁定)
第四条 特別弔慰金を受ける権利の裁定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、厚生大臣が行なう。
(特別弔慰金の額及び記名国債の交付)
第五条 特別弔慰金の額は、死亡した者一人につき三万円とし、十年以内に償還すべき記名国債をもつて交付する。
2 前項の規定により交付するため、政府は、必要な金額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債は、無利子とする。
4 第二項の規定により発行する国債については、政令で定める場合を除くほか、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。
5 前四項に定めるもののほか、第二項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
(特別弔慰金を受ける権利を有する者が数人ある場合の請求等)
第六条 同一の死亡した者について特別弔慰金を受ける権利を有する者が数人ある場合においては、その一人のした特別弔慰金の請求は、全員のためにその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした特別弔慰金を受ける権利の裁定は、全員に対してしたものとみなす。
(特別弔慰金を受ける権利の受継)
第七条 特別弔慰金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、死亡した者がその死亡前に特別弔慰金の請求をしていなかつたときは、死亡した者の相続人は、自己の名で、死亡した者の特別弔慰金を請求することができる。
2 前条の規定は、特別弔慰金を受ける権利を有する者がその請求をしないで死亡し、同順位の相続人が数人ある場合における特別弔慰金の請求又はその裁定について準用する。第五条第一項に規定する国債の記名者が死亡し、同順位の相続人が数人ある場合における当該死亡した者の死亡前に支払うべきであつた同項に規定する国債の償還金の請求若しくはその支払又は同項に規定する国債の記名変更の請求若しくはその記名変更についても、同様とする。
(時効)
第八条 特別弔慰金を受ける権利は、三年間行なわないときは、時効によつて消滅する。
(時効の中断)
第九条 特別弔慰金に関する処分についての行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立ては、時効の中断については、裁判上の請求とみなす。
(譲渡又は担保の禁止)
第十条 特別弔慰金を受ける権利は、譲渡し、又は担保に供することができない。
(差押えの禁止)
第十一条 特別弔慰金を受ける権利及び第五条第一項に規定する国債は、差し押えることができない。
(非課税)
第十二条 租税その他の公課は、特別弔慰金を標準として、課することができない。
2 特別弔慰金に関する書類及び第五条第一項に規定する国債の譲渡又は当該国債を担保とする金銭の貸借に関する書類には、印紙税を課さない。
(国債の償還金の支払)
第十三条 第五条第一項に規定する国債の償還金の支払に関する事務は、郵政大臣が取り扱うことができる。
2 郵政大臣は、前項の規定により取り扱う事務を処理する場合において、特に必要があるときは、同項の規定にかかわらず、その事務の一部を政令で定める者に委託して取り扱わせることができる。
3 前項の場合においては、郵政大臣は、同項の政令で定める者に対し、その支払に必要な資金を交付することができる。
4 第二項の規定による支払事務の委託事項及び前項の規定による資金交付の手続は、郵政大臣が大蔵大臣と協議して定める。
5 前三項に定めるもののほか、第一項の規定により郵政大臣が取り扱う事務について必要な事項は、郵政省令で定める。
(権限の委任)
第十四条 この法律により厚生大臣に属する権限は、政令で定めるところにより、都道府県知事その他政令で定める者にその一部を委任することができる。
(省令への委任)
第十五条 この法律に特別の規定がある場合を除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。