毒物及び劇物取締法
法令番号: 法律第303号
公布年月日: 昭和25年12月28日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

現行の毒物劇物営業取締法では、製造業者等の届出や販売業者の許可制度はあるものの、毒物・劇物の取扱基準が不十分で、四エチル鉛などの強毒物への規制も不備である。また営業者以外の業務上の取扱者が規制対象外のため、工場等からの横流れによる犯罪利用の危険性がある。そこで、製造・輸入業は厚生大臣、販売業は都道府県知事への登録制とし、定期的な更新や取扱基準への適合を義務付ける。さらに営業者以外への販売授与を禁止し、強毒物への技術基準の設定、有資格管理人の配置、容器表示の厳格化等により、営業者以外の取扱者も規制対象とする必要がある。

参照した発言:
第9回国会 衆議院 厚生委員会 第3号

審議経過

第9回国会

衆議院
(昭和25年12月1日)
(昭和25年12月4日)
参議院
(昭和25年12月4日)
衆議院
(昭和25年12月5日)
参議院
(昭和25年12月5日)
(昭和25年12月6日)
(昭和25年12月7日)
衆議院
(昭和25年12月8日)
(昭和25年12月8日)
(昭和25年12月10日)
参議院
(昭和25年12月10日)
毒物及び劇物取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年十二月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百三号
毒物及び劇物取締法
(目的)
第一條 この法律は、毒物及び劇物について、保健衞生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「毒物」とは、別表第一に掲げる物であつて、医薬品以外のものをいう。
2 この法律で「劇物」とは、別表第二に掲げる物であつて、医薬品以外のものをいう。
(禁止規定)
第三條 毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授與の目的で製造してはならない。
2 毒物又は劇物の輸入業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授與の目的で輸入してはならない。
3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売し、授與し、又は販売若しくは授與の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。但し、毒物又は劇物の製造業者又は輸入業者が、その製造し、又は輸入した毒物又は劇物を、他の毒物又は劇物の製造業者、輸入業者又は販売業者に販売し、授與し、又はこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
(登録)
第四條 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録は、製造所又は営業所ごとに厚生大臣が、販売業の登録は、店舖ごとにその店舖の所在地の都道府県知事が行う。
2 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けようとする者は、製造業者にあつては製造所、輸入業者にあつては営業所ごとに、その製造所又は営業所の所在地の都道府県知事を経て、厚生大臣に申請書を出さなければならない。
3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けようとする者は、店舖ごとに、その店舖の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。
4 製造業又は輸入業の登録は、五年ごとに、販売業の登録は、二年ごとに、更新を受けなければ、その効力を失う。
(登録基準)
第五條 厚生大臣又は都道府県知事は、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者の設備が、左の各号に掲げる基準に適合しないと認めるときは、前條の登録をしてはならない。
一 毒物又は劇物を貯蔵するタンク、ドラムかん、その他の容器は、毒物又は劇物が漏れ、又はしみ出るおそれがないものであること。
二 貯水池その他容器を用いないで毒物又は劇物を貯蔵する設備は、毒物又は劇物が地下にしみ込み、又は流れ出るおそれがないものであること。
三 毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所にかぎをかける設備があること。但し、貯蔵の場所が性質上かぎをかけることのできないものであるときを除く。
四 毒物又は劇物を貯蔵する場所が性質上かぎをかけることのできないものであるときは、その周囲に、堅固なさくが設けてあること。
五 毒物又は劇物の運搬用具は、毒物又は劇物が漏れ、又はしみ出るおそれがないものであること。
(登録事項)
第六條 第四條の登録は、左の各号に掲げる事項について行うものとする。
一 申請者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
二 製造し、輸入し、又は販売しようとする毒物又は劇物の名称
三 製造所、営業所又は店舖の所在地
(事業管理人)
第七條 第四條の登録を受けて、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業を営む者(以下「毒物劇物営業者」という。)は、毒物又は劇物の取扱に関する実務を管理させるため、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舖ごとに、專任の事業管理人を置かなければならない。但し、自ら事業管理人として管理する製造所、営業所又は店舖については、この限りでない。
2 毒物劇物営業者が毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業のうち二以上を併せ営む場合において、その製造所、営業所又は店舖が互に隣接しているときは、事業管理人は、前項の規定にかかわらず、これらの施設を通じて一人で足りる。
3 毒物劇物営業者は、事業管理人を置いたときは、三十日以内に、製造業又は輸入業の登録を受けている者にあつては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあつては都道府県知事に、その事業管理人の氏名を届け出なければならない。事業管理人を変更したときも、同様とする。
(事業管理人の資格)
第八條 左の各号に掲げる者でなければ、前條の事業管理人となることができない。
一 薬剤師
二 厚生省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
三 厚生省令で定める課目につき、都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
2 左に掲げる者は、前條の事業管理人となることができない。
一 年齢十八年に満たない者
二 精神病者又は麻薬若しくは大麻の中毒者
三 おし、つんぼ又は盲の者
四 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、懲役に処せられた者
(登録の変更)
第九條 第四條第二項及び第三項の規定は、毒物劇物営業者が第六條第二号に掲げる事項につき登録の変更を受けようとする場合に準用する。
(届出)
第十條 毒物劇物営業者は、左の各号の一に該当する場合には、三十日以内に、製造業又は輸入業の登録を受けている者にあつては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあつては都道府県知事に、その旨を届け出なければならない。
一 氏名又は住所(法人にあつては、その名称又は主たる事務所の所在地)を変更したとき。
二 毒物又は劇物を貯蔵し、又は運搬する設備の重要な部分を変更したとき。
三 当該製造所、営業所又は店舖における営業を廃止したとき。
(毒物又は劇物の取扱)
第十一條 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を貯蔵し、運搬し、又は陳列する場合には、堅固な容器又は被包を用い、かぎをかけ、さくを施す等、毒物又は劇物が盜難にあい、紛失し、漏れ、流れ、又はしみ出ることを防ぐのに必要な方法を講じなければならない。
2 毒物劇物営業者は、毒物又は厚生省令で定める劇物については、その容器として、飮食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
(毒物又は劇物の表示)
第十二條 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。
2 毒物劇物営業者は、その容器及び被包に、左に掲げる事項を表示しなければ、毒物又は劇物を販売し、又は授與してはならない。
一 毒物又は劇物の名称
二 毒物又は劇物の成分及びその含量
三 厚生省令で定める毒物又は劇物については、それぞれ厚生省令で定めるその解毒剤の名称
四 毒物又は劇物の取扱及び使用上特に必要と認めて、厚生省令で定める事項
3 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
(農業用毒物又は劇物の着色)
第十三條 毒物劇物営業者は、左に掲げる毒物又は劇物については、厚生省令で定める方法により着色したものでなければ、これを農業用として販売し、又は授與してはならない。
一 液剤用水銀製剤
二 塗まつ用水銀製剤
三 砒酸鉛及びその製剤
四 砒酸石灰及びその製剤
五 弗化砒酸石灰及びその製剤
六 その他政令で定める毒物又は劇物
(毒物又は劇物の讓渡手続)
第十四條 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を他の毒物劇物営業者に販売し、又は授與したときは、その都度、左に掲げる事項を書面に記載しておかなければならない。
一 毒物又は劇物の名称及び数量
二 販売又は授與の年月日
三 讓受人の氏名、職業及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
2 毒物劇物営業者は、讓受人から前項各号に掲げる事項を記載し、印をおした書面の提出を受けなければ、毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売し、又は授與してはならない。
3 毒物劇物営業者は、販売又は授與の日から五年間、前二項の書面を保存しなければならない。
(毒物又は劇物の交付の制限)
第十五條 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を左に掲げる者に交付してはならない。
一 年齢十八年に満たない者
二 精神病者又は麻薬若しくは大麻の中毒者
(四エチル鉛その他の取扱等)
第十六條 四エチル鉛、モノフルオール醋酸ナトリウムその他これらと同等以上の毒性を有する毒物であつて、政令で指定するものについては、政令で、その製造、貯蔵、運搬、他の物との混入及び使用の方法に関して技術上の基準を定めることができる。
2 前項の規定により政令で技術上の基準が定められたときは、同項の毒物は、その基準によらなければ、製造し、貯蔵し、運搬し、他の物と混入し、又は使用してはならない。
3 第一項の政令で指定された毒物は、同項の規定により政令で技術上の基準が定められるまでの間、製造し、輸入し、他の物と混入し、販売し、又は授與してはならない。
(立入検査等)
第十七條 厚生大臣又は都道府県知事は、保健衞生上必要があると認めるときは、毒物劇物営業者から必要な報告を徴し、又は当該職員に、これらの者の製造所、営業所、店舖その他業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、試験のため必要な最小限度の分量に限り、毒物、劇物若しくはその疑のある物を收去させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帶し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(毒物劇物監視員)
第十八條 前條第一項に規定する当該職員の職務を行わせるために、国及び都道府県に毒物劇物監視員を置く。
(登録の取消)
第十九條 厚生大臣は、毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は、販売業の登録を受けている者について、これらの者の有する設備が第五條各号の基準に適合しなくなつたと認めるときは、相当の期間を定めて、その設備を同條各号の基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 前項の命令を受けた者が、その指定された期間内に必要な措置をとらないときは、厚生大臣又は都道府県知事は、その者の登録を取り消さなければならない。
3 厚生大臣は、毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は、販売業の登録を受けている者について、これらの者がこの法律の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
(聽聞)
第二十條 厚生大臣又は都道府県知事は、前條第三項の処分をしようとする場合においては、あらかじめ、その毒物劇物営業者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聽聞を行わなければならない。
2 前項の場合において、厚生大臣又は都道府県知事は、処分をしようとする事由並びに聽聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに、その毒物劇物営業者に通知し、且つ、聽聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 聽聞の場合においては、その毒物劇物営業者は、自己のために釈明をし、且つ、証拠を提出することができる。
(登録の取消又は廃業の場合の措置)
第二十一條 毒物劇物営業者は、登録を取り消され、又はその営業を廃止したときは、その所有する毒物若しくは劇物又はその営業の設備を他の毒物劇物営業者に讓り渡し、又は保健衞生上危害を生ずるおそれのない方法により処置しなければならない。この場合には、第三條第三項の規定を適用しない。
(毒物劇物営業者以外の者に対する準用)
第二十二條 第十一條第一項、第十二條第一項及び第三項、第十七條並びに前條の規定は、毒物劇物営業者以外の者であつて、厚生省令で定める毒物又は劇物を業務上取り扱う者に準用する。
(手数料)
第二十三條 左の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める額の手数料を納めなければならない。
一 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を申請する者 千円
二 毒物又は劇物の販売業の登録を申請する者 五百円
三 第一号の登録の更新を申請する者 三百円
四 第二号の登録の更新を申請する者 二百円
五 毒物劇物取扱者試験を受けようとする者 五百円
六 第一号の登録の変更を申請する者 二百円
七 第二号の登録の変更を申請する者 百円
2 前項第一号、第三号及び第六号の手数料のうち、その半額は、国庫の收入とし、その残額並びに同項第二号、第四号、第五号及び第七号の手数料は、都道府県の收入とする。
(罰則)
第二十四條 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三條の規定に違反した者
二 第十二條(第二十二條で準用する場合を含む。)の表示をせず、又は虚僞の表示をした者
三 第十三條又は第十五條の規定に違反した者
四 第十四條第一項又は第二項の規定に違反した者
五 第十六條第二項又は第三項の規定に違反した者
六 第十九條第三項の規定による業務の停止命令に違反した者
第二十五條 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第十條第三号に規定する事項につき、その届出を怠り、又は虚僞の届出をした者
二 第十四條第三項の規定に違反した者
三 第十七條第一項(第二十二條で準用する場合を含む。)の規定による厚生大臣又は都道府県知事の要求があつた場合に、報告をせず、又は虚僞の報告をした者
四 第十七條第一項(第二十二條で準用する場合を含む。)の規定による立入、検査、質問又は收去を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第二十一條(第二十二條で準用する場合を含む。)の規定に違反した者
第二十六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が盡されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(毒物劇物営業取締法の廃止)
2 毒物劇物営業取締法(昭和二十二年法律第二百六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(経過規定)
3 この法律の施行の際、現に旧法の規定により都道府県知事に届け出て、又はその許可を受けて毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業を営んでいる者については、この法律の施行の日から一年を限り、それぞれこの法律による毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録があるものとみなす。
4 毒物劇物営業取締法施行規則(昭和二十二年厚生省令第三十八号)第四條の事業管理人試験に合格した者は、第八條の毒物劇物取扱者試験に合格した者とみなす。
5 この法律の施行の際、現に旧法の規定により表示のされている毒物又は劇物については、この法律の施行の日から一年を限り、この法律の規定による表示がされているものとみなす。
6 この法律の施行の際、現に旧法第十條第二項の規定により保存されている文書の保存については、なお従前の例による。
7 この法律の施行前、旧法の規定により、毒物劇物営業を営んでいる者についてした処分その他の行為で、この法律に相当規定のあるものは、この法律の当該規定によつてした処分その他の行為とみなす。
8 この法律の施行前になされた違反行為に対する罰則の適用については、この法律の施行後も、旧法は、なおその効力を有する。
9 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五條第五十号を次のように改める。
五十 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を行い、その登録を取り消し、及び営業の停止を命ずること。
第二十九條第一項の表薬事審議会の項目的の欄中「再審査を行うこと。」を「再審査を行い、並びに毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)に定める事項について厚生大臣に建議すること。」に改める。
10 薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の一部を次のように改正する。
第七條中「及び新医薬品その他薬事に関し」を「並びにこの法律に規定する薬事に関し、又は毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)に定める事項に関して、」に改める。
別表第一
一 黄燐、硫化燐及びこれらのいずれかを含有する製剤
二 クラーレ及びこれを含有する製剤
三 シアン化合物及びこれを含有する製剤。但し、ベルリン青、黄血塩、赤血塩、ロダン化合物及び石灰窒素並びにこれらのいずれかを含有する製剤を除く。
四 水銀化合物及びこれを含有する製剤。但し、朱、甘汞、黄色ヨード汞、オレイン酸水銀、白降汞、雷汞及びこれらのいずれかを含有する製剤を除く。
五 セレン化合物及びこれを含有する製剤
六 四エチル鉛
七 ニコチン、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤。但し、ニコチンとして一〇%以下を含有するものを除く。
八 砒素、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
九 弗化水素酸
十 モノフルオール醋酸その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤
十一 前各号に掲げる物の外、毒性のある物であつて政令で定めるもの
別表第二
一 亜硝酸塩類
二 アニリン及びその化合物
三 亜鉛塩類。但し、炭酸亜鉛及び雷酸亜鉛を除く。
四 アンチモン化合物及びこれを含有する製剤。但し、金硫黄を除く。
五 アンモニア水。但し、アンモニア一〇%以下を含有するものを除く。
六 塩酸及びその含有物。但し、塩化水素一〇%以下を含有するものを除く。
七 塩素酸塩類及びこれを含有する製剤。但し、爆発薬を除く。
八 過酸化水素を含有する製剤。但し、過酸化水素三・三%以下を含有するものを除く。
九 過酸化ソーダ及びこれを含有する製剤。但し、過酸化ナトリウム五%以下を含有するものを除く。
十 苛性カリ及びこれを含有する製剤。但し、水酸化カリウム五%以下を含有するものを除く。
十一 苛性ソーダ及びこれを含有する製剤。但し、水酸化ナトリウム五%以下を含有するものを除く。
十二 カドミウム化合物
十三 可溶性ウラン化合物及びこれを含有する製剤
十四 カリウム
十五 甘汞及びこれを含有する製剤
十六 金化合物。但し、雷金を除く。
十七 銀の無機酸塩類。但し、塩化銀及び雷酸銀を除く。
十八 クロム酸塩類、重クロム酸塩類、無水クロム酸及びこれらのいずれかを含有する製剤
十九 クロルエチル
二十 クロル醋酸類
二十一 クロルピクリン及びこれを含有する製剤
二十二 クロロホルム
二十三 硅弗化水素酸塩類
二十四 蓚酸、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤。但し、蓚酸として一〇%以下を含有するものを除く。
二十五 四塩化炭素及びこれを含有する製剤
二十六 しきみの実
二十七 錫塩類
二十八 スルホナール、メチルスルホナール及びこれらのいずれかを含有する製剤
二十九 石炭酸及びこれを含有する製剤。但し、石炭酸五%以下を含有するものを除く。
三十 硝酸及びその含有物。但し、硝酸一〇%以下を含有するものを除く。
三十一 銅塩類。但し、雷銅を除く。
三十二 トルイジン、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
三十三 ナトリウム
三十四 鉛化合物。但し、鉛丹、硫酸鉛、鉛白及び四エチル鉛を除く。
三十五 ニコチンとして一〇%以下を含有する製剤
三十六 ニトロベンゾール
三十七 二硫化炭素及びこれを含有する製剤
三十八 発煙硫酸
三十九 バリウム化合物。但し、硫酸バリウムを除く。
四十 パラフエニレンヂアミン、パラトルイレンヂアミン、その各化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
四十一 ピクリン酸及びその塩類。但し、爆発薬を除く。
四十二 ヒドロキシルアミン、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤
四十三 ブロム
四十四 ブロムエチル
四十五 ブロム水素酸
四十六 ベタナフトール及びこれを含有する製剤。但し、ベタナフトール一%以下を含有するものを除く。
四十七 ホルムアルデヒド含有物。但し、ホルムアルデヒド一%以下を含有するものを除く。
四十八 メタノール
四十九 ヨード及びこれを含有する製剤
五十 ヨード水素酸
五十一 ロテノン及びロテノンを含有する生薬(デリス根、魚藤根の類)並びにこれらのいずれかを含有する製剤。但し、ロテノン二%以下を含有するものを除く。
五十二 硫酸及びその含有物。但し、硫酸一〇%以下を含有するものを除く。
五十三 前各号に掲げる物の外、劇性のある物であつて政令で定めるもの。
厚生大臣 黒川武雄
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂
毒物及び劇物取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年十二月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百三号
毒物及び劇物取締法
(目的)
第一条 この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「毒物」とは、別表第一に掲げる物であつて、医薬品以外のものをいう。
2 この法律で「劇物」とは、別表第二に掲げる物であつて、医薬品以外のものをいう。
(禁止規定)
第三条 毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で製造してはならない。
2 毒物又は劇物の輸入業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で輸入してはならない。
3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。但し、毒物又は劇物の製造業者又は輸入業者が、その製造し、又は輸入した毒物又は劇物を、他の毒物又は劇物の製造業者、輸入業者又は販売業者に販売し、授与し、又はこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
(登録)
第四条 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録は、製造所又は営業所ごとに厚生大臣が、販売業の登録は、店舗ごとにその店舗の所在地の都道府県知事が行う。
2 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けようとする者は、製造業者にあつては製造所、輸入業者にあつては営業所ごとに、その製造所又は営業所の所在地の都道府県知事を経て、厚生大臣に申請書を出さなければならない。
3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けようとする者は、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。
4 製造業又は輸入業の登録は、五年ごとに、販売業の登録は、二年ごとに、更新を受けなければ、その効力を失う。
(登録基準)
第五条 厚生大臣又は都道府県知事は、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者の設備が、左の各号に掲げる基準に適合しないと認めるときは、前条の登録をしてはならない。
一 毒物又は劇物を貯蔵するタンク、ドラムかん、その他の容器は、毒物又は劇物が漏れ、又はしみ出るおそれがないものであること。
二 貯水池その他容器を用いないで毒物又は劇物を貯蔵する設備は、毒物又は劇物が地下にしみ込み、又は流れ出るおそれがないものであること。
三 毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所にかぎをかける設備があること。但し、貯蔵の場所が性質上かぎをかけることのできないものであるときを除く。
四 毒物又は劇物を貯蔵する場所が性質上かぎをかけることのできないものであるときは、その周囲に、堅固なさくが設けてあること。
五 毒物又は劇物の運搬用具は、毒物又は劇物が漏れ、又はしみ出るおそれがないものであること。
(登録事項)
第六条 第四条の登録は、左の各号に掲げる事項について行うものとする。
一 申請者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
二 製造し、輸入し、又は販売しようとする毒物又は劇物の名称
三 製造所、営業所又は店舗の所在地
(事業管理人)
第七条 第四条の登録を受けて、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業を営む者(以下「毒物劇物営業者」という。)は、毒物又は劇物の取扱に関する実務を管理させるため、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、専任の事業管理人を置かなければならない。但し、自ら事業管理人として管理する製造所、営業所又は店舗については、この限りでない。
2 毒物劇物営業者が毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業のうち二以上を併せ営む場合において、その製造所、営業所又は店舗が互に隣接しているときは、事業管理人は、前項の規定にかかわらず、これらの施設を通じて一人で足りる。
3 毒物劇物営業者は、事業管理人を置いたときは、三十日以内に、製造業又は輸入業の登録を受けている者にあつては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあつては都道府県知事に、その事業管理人の氏名を届け出なければならない。事業管理人を変更したときも、同様とする。
(事業管理人の資格)
第八条 左の各号に掲げる者でなければ、前条の事業管理人となることができない。
一 薬剤師
二 厚生省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
三 厚生省令で定める課目につき、都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
2 左に掲げる者は、前条の事業管理人となることができない。
一 年齢十八年に満たない者
二 精神病者又は麻薬若しくは大麻の中毒者
三 おし、つんぼ又は盲の者
四 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、懲役に処せられた者
(登録の変更)
第九条 第四条第二項及び第三項の規定は、毒物劇物営業者が第六条第二号に掲げる事項につき登録の変更を受けようとする場合に準用する。
(届出)
第十条 毒物劇物営業者は、左の各号の一に該当する場合には、三十日以内に、製造業又は輸入業の登録を受けている者にあつては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあつては都道府県知事に、その旨を届け出なければならない。
一 氏名又は住所(法人にあつては、その名称又は主たる事務所の所在地)を変更したとき。
二 毒物又は劇物を貯蔵し、又は運搬する設備の重要な部分を変更したとき。
三 当該製造所、営業所又は店舗における営業を廃止したとき。
(毒物又は劇物の取扱)
第十一条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を貯蔵し、運搬し、又は陳列する場合には、堅固な容器又は被包を用い、かぎをかけ、さくを施す等、毒物又は劇物が盗難にあい、紛失し、漏れ、流れ、又はしみ出ることを防ぐのに必要な方法を講じなければならない。
2 毒物劇物営業者は、毒物又は厚生省令で定める劇物については、その容器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
(毒物又は劇物の表示)
第十二条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。
2 毒物劇物営業者は、その容器及び被包に、左に掲げる事項を表示しなければ、毒物又は劇物を販売し、又は授与してはならない。
一 毒物又は劇物の名称
二 毒物又は劇物の成分及びその含量
三 厚生省令で定める毒物又は劇物については、それぞれ厚生省令で定めるその解毒剤の名称
四 毒物又は劇物の取扱及び使用上特に必要と認めて、厚生省令で定める事項
3 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
(農業用毒物又は劇物の着色)
第十三条 毒物劇物営業者は、左に掲げる毒物又は劇物については、厚生省令で定める方法により着色したものでなければ、これを農業用として販売し、又は授与してはならない。
一 液剤用水銀製剤
二 塗まつ用水銀製剤
三 砒酸鉛及びその製剤
四 砒酸石灰及びその製剤
五 弗化砒酸石灰及びその製剤
六 その他政令で定める毒物又は劇物
(毒物又は劇物の譲渡手続)
第十四条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を他の毒物劇物営業者に販売し、又は授与したときは、その都度、左に掲げる事項を書面に記載しておかなければならない。
一 毒物又は劇物の名称及び数量
二 販売又は授与の年月日
三 譲受人の氏名、職業及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
2 毒物劇物営業者は、譲受人から前項各号に掲げる事項を記載し、印をおした書面の提出を受けなければ、毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売し、又は授与してはならない。
3 毒物劇物営業者は、販売又は授与の日から五年間、前二項の書面を保存しなければならない。
(毒物又は劇物の交付の制限)
第十五条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を左に掲げる者に交付してはならない。
一 年齢十八年に満たない者
二 精神病者又は麻薬若しくは大麻の中毒者
(四エチル鉛その他の取扱等)
第十六条 四エチル鉛、モノフルオール醋酸ナトリウムその他これらと同等以上の毒性を有する毒物であつて、政令で指定するものについては、政令で、その製造、貯蔵、運搬、他の物との混入及び使用の方法に関して技術上の基準を定めることができる。
2 前項の規定により政令で技術上の基準が定められたときは、同項の毒物は、その基準によらなければ、製造し、貯蔵し、運搬し、他の物と混入し、又は使用してはならない。
3 第一項の政令で指定された毒物は、同項の規定により政令で技術上の基準が定められるまでの間、製造し、輸入し、他の物と混入し、販売し、又は授与してはならない。
(立入検査等)
第十七条 厚生大臣又は都道府県知事は、保健衛生上必要があると認めるときは、毒物劇物営業者から必要な報告を徴し、又は当該職員に、これらの者の製造所、営業所、店舗その他業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、試験のため必要な最小限度の分量に限り、毒物、劇物若しくはその疑のある物を収去させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(毒物劇物監視員)
第十八条 前条第一項に規定する当該職員の職務を行わせるために、国及び都道府県に毒物劇物監視員を置く。
(登録の取消)
第十九条 厚生大臣は、毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は、販売業の登録を受けている者について、これらの者の有する設備が第五条各号の基準に適合しなくなつたと認めるときは、相当の期間を定めて、その設備を同条各号の基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 前項の命令を受けた者が、その指定された期間内に必要な措置をとらないときは、厚生大臣又は都道府県知事は、その者の登録を取り消さなければならない。
3 厚生大臣は、毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は、販売業の登録を受けている者について、これらの者がこの法律の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
(聴聞)
第二十条 厚生大臣又は都道府県知事は、前条第三項の処分をしようとする場合においては、あらかじめ、その毒物劇物営業者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の場合において、厚生大臣又は都道府県知事は、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに、その毒物劇物営業者に通知し、且つ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 聴聞の場合においては、その毒物劇物営業者は、自己のために釈明をし、且つ、証拠を提出することができる。
(登録の取消又は廃業の場合の措置)
第二十一条 毒物劇物営業者は、登録を取り消され、又はその営業を廃止したときは、その所有する毒物若しくは劇物又はその営業の設備を他の毒物劇物営業者に譲り渡し、又は保健衛生上危害を生ずるおそれのない方法により処置しなければならない。この場合には、第三条第三項の規定を適用しない。
(毒物劇物営業者以外の者に対する準用)
第二十二条 第十一条第一項、第十二条第一項及び第三項、第十七条並びに前条の規定は、毒物劇物営業者以外の者であつて、厚生省令で定める毒物又は劇物を業務上取り扱う者に準用する。
(手数料)
第二十三条 左の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める額の手数料を納めなければならない。
一 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を申請する者 千円
二 毒物又は劇物の販売業の登録を申請する者 五百円
三 第一号の登録の更新を申請する者 三百円
四 第二号の登録の更新を申請する者 二百円
五 毒物劇物取扱者試験を受けようとする者 五百円
六 第一号の登録の変更を申請する者 二百円
七 第二号の登録の変更を申請する者 百円
2 前項第一号、第三号及び第六号の手数料のうち、その半額は、国庫の収入とし、その残額並びに同項第二号、第四号、第五号及び第七号の手数料は、都道府県の収入とする。
(罰則)
第二十四条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の規定に違反した者
二 第十二条(第二十二条で準用する場合を含む。)の表示をせず、又は虚偽の表示をした者
三 第十三条又は第十五条の規定に違反した者
四 第十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
五 第十六条第二項又は第三項の規定に違反した者
六 第十九条第三項の規定による業務の停止命令に違反した者
第二十五条 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第十条第三号に規定する事項につき、その届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
二 第十四条第三項の規定に違反した者
三 第十七条第一項(第二十二条で準用する場合を含む。)の規定による厚生大臣又は都道府県知事の要求があつた場合に、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第十七条第一項(第二十二条で準用する場合を含む。)の規定による立入、検査、質問又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
五 第二十一条(第二十二条で準用する場合を含む。)の規定に違反した者
第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(毒物劇物営業取締法の廃止)
2 毒物劇物営業取締法(昭和二十二年法律第二百六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(経過規定)
3 この法律の施行の際、現に旧法の規定により都道府県知事に届け出て、又はその許可を受けて毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業を営んでいる者については、この法律の施行の日から一年を限り、それぞれこの法律による毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録があるものとみなす。
4 毒物劇物営業取締法施行規則(昭和二十二年厚生省令第三十八号)第四条の事業管理人試験に合格した者は、第八条の毒物劇物取扱者試験に合格した者とみなす。
5 この法律の施行の際、現に旧法の規定により表示のされている毒物又は劇物については、この法律の施行の日から一年を限り、この法律の規定による表示がされているものとみなす。
6 この法律の施行の際、現に旧法第十条第二項の規定により保存されている文書の保存については、なお従前の例による。
7 この法律の施行前、旧法の規定により、毒物劇物営業を営んでいる者についてした処分その他の行為で、この法律に相当規定のあるものは、この法律の当該規定によつてした処分その他の行為とみなす。
8 この法律の施行前になされた違反行為に対する罰則の適用については、この法律の施行後も、旧法は、なおその効力を有する。
9 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第五十号を次のように改める。
五十 毒物又は劇物の製造業又は輸入業の登録を行い、その登録を取り消し、及び営業の停止を命ずること。
第二十九条第一項の表薬事審議会の項目的の欄中「再審査を行うこと。」を「再審査を行い、並びに毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)に定める事項について厚生大臣に建議すること。」に改める。
10 薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の一部を次のように改正する。
第七条中「及び新医薬品その他薬事に関し」を「並びにこの法律に規定する薬事に関し、又は毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)に定める事項に関して、」に改める。
別表第一
一 黄燐、硫化燐及びこれらのいずれかを含有する製剤
二 クラーレ及びこれを含有する製剤
三 シアン化合物及びこれを含有する製剤。但し、ベルリン青、黄血塩、赤血塩、ロダン化合物及び石灰窒素並びにこれらのいずれかを含有する製剤を除く。
四 水銀化合物及びこれを含有する製剤。但し、朱、甘汞、黄色ヨード汞、オレイン酸水銀、白降汞、雷汞及びこれらのいずれかを含有する製剤を除く。
五 セレン化合物及びこれを含有する製剤
六 四エチル鉛
七 ニコチン、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤。但し、ニコチンとして一〇%以下を含有するものを除く。
八 砒素、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
九 弗化水素酸
十 モノフルオール醋酸その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤
十一 前各号に掲げる物の外、毒性のある物であつて政令で定めるもの
別表第二
一 亜硝酸塩類
二 アニリン及びその化合物
三 亜鉛塩類。但し、炭酸亜鉛及び雷酸亜鉛を除く。
四 アンチモン化合物及びこれを含有する製剤。但し、金硫黄を除く。
五 アンモニア水。但し、アンモニア一〇%以下を含有するものを除く。
六 塩酸及びその含有物。但し、塩化水素一〇%以下を含有するものを除く。
七 塩素酸塩類及びこれを含有する製剤。但し、爆発薬を除く。
八 過酸化水素を含有する製剤。但し、過酸化水素三・三%以下を含有するものを除く。
九 過酸化ソーダ及びこれを含有する製剤。但し、過酸化ナトリウム五%以下を含有するものを除く。
十 苛性カリ及びこれを含有する製剤。但し、水酸化カリウム五%以下を含有するものを除く。
十一 苛性ソーダ及びこれを含有する製剤。但し、水酸化ナトリウム五%以下を含有するものを除く。
十二 カドミウム化合物
十三 可溶性ウラン化合物及びこれを含有する製剤
十四 カリウム
十五 甘汞及びこれを含有する製剤
十六 金化合物。但し、雷金を除く。
十七 銀の無機酸塩類。但し、塩化銀及び雷酸銀を除く。
十八 クロム酸塩類、重クロム酸塩類、無水クロム酸及びこれらのいずれかを含有する製剤
十九 クロルエチル
二十 クロル醋酸類
二十一 クロルピクリン及びこれを含有する製剤
二十二 クロロホルム
二十三 硅弗化水素酸塩類
二十四 蓚酸、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤。但し、蓚酸として一〇%以下を含有するものを除く。
二十五 四塩化炭素及びこれを含有する製剤
二十六 しきみの実
二十七 錫塩類
二十八 スルホナール、メチルスルホナール及びこれらのいずれかを含有する製剤
二十九 石炭酸及びこれを含有する製剤。但し、石炭酸五%以下を含有するものを除く。
三十 硝酸及びその含有物。但し、硝酸一〇%以下を含有するものを除く。
三十一 銅塩類。但し、雷銅を除く。
三十二 トルイジン、その化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
三十三 ナトリウム
三十四 鉛化合物。但し、鉛丹、硫酸鉛、鉛白及び四エチル鉛を除く。
三十五 ニコチンとして一〇%以下を含有する製剤
三十六 ニトロベンゾール
三十七 二硫化炭素及びこれを含有する製剤
三十八 発煙硫酸
三十九 バリウム化合物。但し、硫酸バリウムを除く。
四十 パラフエニレンヂアミン、パラトルイレンヂアミン、その各化合物及びこれらのいずれかを含有する製剤
四十一 ピクリン酸及びその塩類。但し、爆発薬を除く。
四十二 ヒドロキシルアミン、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤
四十三 ブロム
四十四 ブロムエチル
四十五 ブロム水素酸
四十六 ベタナフトール及びこれを含有する製剤。但し、ベタナフトール一%以下を含有するものを除く。
四十七 ホルムアルデヒド含有物。但し、ホルムアルデヒド一%以下を含有するものを除く。
四十八 メタノール
四十九 ヨード及びこれを含有する製剤
五十 ヨード水素酸
五十一 ロテノン及びロテノンを含有する生薬(デリス根、魚藤根の類)並びにこれらのいずれかを含有する製剤。但し、ロテノン二%以下を含有するものを除く。
五十二 硫酸及びその含有物。但し、硫酸一〇%以下を含有するものを除く。
五十三 前各号に掲げる物の外、劇性のある物であつて政令で定めるもの。
厚生大臣 黒川武雄
通商産業大臣 横尾龍
運輸大臣 山崎猛
内閣総理大臣 吉田茂