朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝國議会の協賛を経た財政法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月三十一日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郎
國務大臣 齋藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
國務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
國務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衞門
國務大臣 田中萬逸
國務大臣 高瀬莊太郎
法律第三十四号
財政法目次
第一章
財政総則
第二章
会計区分
第三章
予算
第一節
総則
第二節
予算の作成
第三節
予算の執行
第四章
決算
第五章
雜則
財政法
第一章 財政総則
第一條 國の予算その他財政の基本に関しては、この法律の定めるところによる。
第二條 收入とは、國の各般の需要を充たすための支拂の財源となるべき現金の收納をいい、支出とは、國の各般の需要を充たすための現金の支拂をいう。
前項の現金の收納には、他の財產の処分又は新らたな債務の負担に因り生ずるものをも含み、同項の現金の支拂には、他の財產の取得又は債務の減少を生ずるものをも含む。
なお第一項の收入及び支出には、会計間の繰入その他國庫内において行う移換によるものを含む。
歳入とは、一会計年度における一切の收入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。
第三條 租税を除く外、國が國権に基いて收納する課徴金及び法律上又は事実上國の独占に属する事業における專賣價格若しくは事業料金については、すべて法律又は國会の議決に基いて定めなければならない。
第四條 國の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、國会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を國会に提出しなければならない。
第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、國会の議決を経なければならない。
第五條 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、國会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
第六條 各会計年度において歳入歳出の決算上剩余を生じた場合においては、当該剩余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剩余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。
前項の剩余金の計算については、政令でこれを定める。
第七條 國は、國庫金の出納上必要があるときは、大藏省証券を発行し又は日本銀行から一時借入金をなすことができる。
前項に規定する大藏省証券及び一時借入金は、当該年度の歳入を以て、これを償還しなければならない。
大藏省証券の発行及び一時借入金の借入の最高額については、毎会計年度、國会の議決を経なければならない。
第八條 國の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。
第九條 國の財產は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支拂手段として使用し、又は適正な対價なくしてこれを讓渡し若しくは貸し付けてはならない。
國の財產は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に應じて、最も効率的に、これを運用しなければならない。
第十條 國の特定の事務のために要する費用について、國以外の者にその全部又は一部を負担させるには、法律に基かなければならない。
第二章 会計区分
第十一條 國の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。
第十二條 各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。
第十三條 國の会計を分つて一般会計及び特別会計とする。
國が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。
第三章 予算
第一節 総則
第十四條 歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。
第十五條 法律に基くもの又は歳出予算の金額の範囲内におけるものの外、國が債務を負担する行爲をなすには、予め予算を以て、國会の議決を経なければならない。
前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、國は毎会計年度、國会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行爲をなすことができる。
前二項の規定により國が債務を負担する行爲に因り支出すべき年限は、当該会計年度以降三箇年度以内とする。但し、國会の議決により更にその年限を延長するもの並びに外國人に支給する給料及び恩給、地方公共團体の債務の保証又は債務の元利若しくは利子の補給、土地、建物の借料及び國際條約に基く分担金に関するもの、その他法律で定めるものは、この限りでない。
第二項の規定により國が債務を負担した行爲については、次の常会において國会に報告しなければならない。
第一項又は第二項の規定により國が債務を負担する行爲は、これを國庫債務負担行爲という。
第二節 予算の作成
第十六條 予算は、予算総則、歳入歳出予算及び國庫債務負担行爲とする。
第十七條 衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計檢査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出及び國庫債務負担行爲の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。
内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出及び國庫債務負担行爲の見積に関する書類を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十八條 大藏大臣は、前條の見積を檢討して必要な調整を行い、歳入、歳出及び國庫債務負担行爲の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。
内閣は、前項の決定をしようとするときは、國会、裁判所及び会計檢査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計檢査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。
第十九條 内閣は、國会、裁判所及び会計檢査院の歳出見積を減額した場合においては、國会、裁判所又は会計檢査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、國会が、國会、裁判所又は会計檢査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。
第二十條 大藏大臣は、毎会計年度、第十八條の閣議決定に基いて、歳入予算明細書を作製しなければならない。
衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計檢査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣(以下各省各廳の長という。)は、毎会計年度、第十八條の閣議決定のあつた概算の範囲内で予定経費要求書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第二十一條 大藏大臣は、歳入予算明細書、衆議院、参議院、裁判所、会計檢査院並びに内閣及び各省(以下各省各廳という。)の予定経費要求書及び國庫債務負担行爲要求書に基いて予算を作成し、閣議の決定を経なければならない。
第二十二條 予算総則には、歳入歳出予算及び國庫債務負担行爲に関する総括的規定を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。
一 第四條第一項但書の規定による公債又は借入金の限度額
二 第四條第三項の規定による公共事業費の範囲
三 第五條但書の規定による日本銀行の公債の引受及び借入金の借入の限度額
四 第七條第三項の規定による大藏省証券の発行及び一時借入金の借入の最高額
五 第十五條第二項の規定による國庫債務負担行爲の限度額
六 前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項
第二十三條 歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質、歳出にあつては、その目的に從つて部に大別し、更に、各部中においてはこれを款項に区分し、又、その收入又は支出に関係のある部局等の組織の別を明らかにしなければならない。
第二十四條 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上しなければならない。
第二十五條 歳出予算のうち、経費の性質上年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、特にその旨を歳入歳出予算に明示し、これを翌年度に繰り越して使用することについて、國会の承認を得ることができる。
第二十六條 國庫債務負担行爲は、事項ごとに、その必要の理由を明らかにし、且つ、行爲をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにし、又、必要に應じて行爲に基いて支出をなすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
第二十七條 内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、國会に提出するのを常例とする。
第二十八條 國会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。
一 歳入予算明細書
二 各省各廳の予定経費要求書及び國庫債務負担行爲要求書
三 前前年度歳入歳出決算の総計表及び純計表、前年度歳入歳出決算見込の総計表及び純計表並びに当該年度歳入歳出予算の総計表及び純計表
四 國庫の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における見込に関する調書
五 國債及び借入金の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書
六 國有財產の前前年度末における現在高並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込に関する調書
七 國が、出資している主要な法人の資產、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書
八 國庫債務負担行爲で翌年度以降に亘るものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度に亘る事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況等に関する調書
九 その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類
第二十九條 内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは國庫債務負担行爲又は法律上若しくは契約上國の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、予算作成の手続に準じ、追加予算を作成し、これを國会に提出することができる。
内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を國会に提出することができる。
第三十條 内閣は、必要に應じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを國会に提出することができる。
暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。
第三節 予算の執行
第三十一條 予算が成立したときは、内閣は、國会の議決したところに從い、各省各廳の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算及び國庫債務負担行爲を配賦する。
前項の規定により配賦する歳入歳出予算は、更に、歳入にあつては、項を目に、歳出にあつては、項を目及び節に区分する。
大藏大臣は、第一項の規定による配賦のあつたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
第三十二條 各省各廳の長は、歳出予算については、各項に定める目的の外にこれを使用しすることができない。
第三十三條 各省各廳の長は、歳出予算の定める各項の金額若しくは各部局等の金額を彼此流用することができない。但し、予算の執行上必要がある場合においては、各省各廳内の部局等の間で、政令の定めるところにより、同一名称の項の金額に限り、流用することができる。
各省各廳の長は、目又は節の経費については、政令の定めるところにより、流用することができる。
第一項但書及び前項の規定は、予算において特別の定めをなした場合にはこれを適用しない。
第一項但書及び第二項の規定による流用については、大藏大臣が会計檢査院に通知しなければならない。
第一項但書及び第二項の規定により流用した経費の金額については、歳入歳出の決算において、これを明らかにするとともに、その理由を記載しなければならない。
第三十四條 各省各廳の長は、第三十一條第一項の規定により配賦された予算に基いて、大藏大臣の定める期間に從い支出事務職員及び契約事務職員ごとに、支出の所要額及び國の支出の原因となる契約その他の行爲(以下契約等という。)の所要額を定め、支拂又は契約等の計画に関する書類を作製して、これを大藏大臣に送付し、その承認を経なければならない。
大藏大臣は、國庫金、歳入及び金融の現況並びに経費の支出状況等を勘案して、前項の期間ごとに、支拂又は契約等の計画の承認に関する方針を作製し、閣議の決定を経なければならない。
大藏大臣は、前項の方針に基いて第一項の支拂又は契約等の計画について承認をしたときは、各省各廳の長及び会計檢査院に通知するとともに、支拂計画はこれを日本銀行に通知しなければならない。
第三十五條 予備費は、大藏大臣が、これを管理する。
各省各廳の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
大藏大臣は、前項の要求を調査し、これに所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議の決定を求めなければならない。但し、予め閣議の決定を経て大藏大臣の指定する経費については、閣議を経ることを必要とせず、大藏大臣が予備費使用書を決定することができる。
予備費使用書が決定したときは、当該使用書に掲げる経費については、第三十一條第一項の規定により、予算の配賦があつたものとみなす。
第二項、第三項本文及び前項の規定は、各省各廳の長が第十五條第二項の規定により國庫債務負担行爲をなす場合に、これを準用する。
第三十六條 予備費を以て支弁した金額については、各省各廳の長は、その調書を作製して、次の國会の常会の開会後直ちに、これを大藏大臣に送付しなければならない。
大藏大臣は、前項の調書に基いて予備費を以て支弁した金額の総調書を作製しなければならない。
内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各廳の調書を次の常会において國会に提出して、その承諾を求めなければならない。
大藏大臣は、前項の総調書及び調書を会計檢査院に送付しなければならない。
第四章 決算
第三十七條 各省各廳の長は、毎会計年度、大藏大臣の定めるところにより、その所掌に係る歳入及び歳出の決算報告書並びに國の債務に関する計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
大藏大臣は、前項の歳入決算報告書に基いて、歳入予算明細書と同一の区分により、歳入決算明細書を作製しなければならない。
第三十八條 大藏大臣は、歳入決算明細書及び歳出の決算報告書に基いて、歳入歳出の決算を作成しなければならない。
歳入歳出の決算は、歳入歳出予算と同一の区分により、これを作製し、且つ、これに左の事項を明らかにしなければならない。
(一) 歳入
一 歳入予算額
二 徴收決定済額(徴收決定のない歳入については收納後に徴收済として整理した額)
三 收納済歳入額
四 不納欠損額
五 收納未済歳入額
(二) 歳出
一 歳出予算額
二 前年度繰越額
三 予備費使用額
四 流用等増減額
五 支出済歳出額
六 翌年度繰越額
七 不用額
第三十九條 内閣は 歳入歳出決算に、歳入決算明細書、各省各廳の歳出決算報告書及び國の債務に関する計算書を添附して、これを翌年度の十一月三十日までに会計檢査院に送付しなければならない。
第四十條 内閣は、会計檢査院の檢査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において國会に提出するのを常例とする。
前項の歳入歳出決算には、会計檢査院の檢査報告の外、歳入決算明細書、各省各廳の歳出決算報告書及び國の債務に関する計算書を添附する。
第四十一條 毎会計年度において、歳入歳出の決算上剩余を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
第五章 雜則
第四十二條 毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。但し、歳出予算のうち、第二十五條の規定により繰越について國会の承認を得た経費の金額及び年度内に契約等をなし避け難い事故のため年度内に支出を終らなかつた経費の金額は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
第四十三條 各省各廳の長は、前條の規定による繰越を必要とするときは、繰越計算書を作製し、事項ごとに、その事由及び金額を明らかにして、大藏大臣の承認を経なければならない。
前項の承認があつたときは、当該経費については、第三十一條第一項の規定により、予算の配賦があつたものとみなす。
第四十四條 國は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。
第四十五條 各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。
第四十六條 内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度の歳入歳出決算並びに公債、借入金及び國有財產の現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物、講演その他適当な方法で國民に報告しなければならない。
前項に規定するものの外、内閣は、少くとも毎四半期ごとに、予算使用の状況、國庫の状況その他財政の状況について、國会及び國民に報告しなければならない。
第四十七條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で、これを定める。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、第十七條第一項、第十八條第二項、第十九條、第三十條、第三十一條、第三十五條並びに第三十六條の規定は、日本國憲法施行の日から、これを施行し、第三條、第十條及び第三十四條の規定の施行の日は、政令でこれを定める。
第四條及び第五條の規定は、昭和二十三年度以後の会計年度の予算に計上される公債又は借入金について、第七條、第三章の規定(第十七條第一項、第十八條第二項、第十九條、第二十八條、第三十條、第三十一條並びに第三十四條乃至第三十六條の規定を除く。)及び第四章の規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の予算及び決算について、これを適用する。
第二條 この法律中「國会」、「内閣」、「各省各廳」又は「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを夫ゝ「帝國議会」、「政府」、「各省」又は「勅令」と読み替えるものとする。
日本國憲法施行の日までは、第二十條第二項中「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計檢査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣(以下各省各廳の長という。)」とあるのは「各省大臣」、第二十一條中「衆議院、参議院、裁判所及び会計檢査院並びに内閣及び各省(以下各省各廳という。)」とあるのは「各省」と読み替えるものとする。
第三條 この法律施行前になした予備費の支出並びに昭和二十年度及び同二十一年度の決算に関しては、なお從前の例による。
第四條 從來予算外國庫の負担となるべき契約に関する件として帝國議会の協賛を経た事項は、日本國憲法施行後においては、國庫債務負担行爲となるものとする。但し、この場合においては、改正後の第十五條第三項の規定は、これを適用しない。
第五條 左に掲げる法令は、これを廃止する。
明治四十四年法律第二号(公共團体に対する工事補助費繰越使用に関する法律)
明治五年太政官布告第十七号(政府に対する寄附に関する件)
朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝国議会の協賛を経た財政法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年三月三十一日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
国務大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 木村篤太郎
国務大臣 斎藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
国務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
国務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衛門
国務大臣 田中万逸
国務大臣 高瀬荘太郎
法律第三十四号
財政法目次
第一章
財政総則
第二章
会計区分
第三章
予算
第一節
総則
第二節
予算の作成
第三節
予算の執行
第四章
決算
第五章
雑則
財政法
第一章 財政総則
第一条 国の予算その他財政の基本に関しては、この法律の定めるところによる。
第二条 収入とは、国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納をいい、支出とは、国の各般の需要を充たすための現金の支払をいう。
前項の現金の収納には、他の財産の処分又は新らたな債務の負担に因り生ずるものをも含み、同項の現金の支払には、他の財産の取得又は債務の減少を生ずるものをも含む。
なお第一項の収入及び支出には、会計間の繰入その他国庫内において行う移換によるものを含む。
歳入とは、一会計年度における一切の収入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。
第三条 租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。
第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
第六条 各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。
前項の剰余金の計算については、政令でこれを定める。
第七条 国は、国庫金の出納上必要があるときは、大蔵省証券を発行し又は日本銀行から一時借入金をなすことができる。
前項に規定する大蔵省証券及び一時借入金は、当該年度の歳入を以て、これを償還しなければならない。
大蔵省証券の発行及び一時借入金の借入の最高額については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
第八条 国の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。
第九条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。
国の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければならない。
第十条 国の特定の事務のために要する費用について、国以外の者にその全部又は一部を負担させるには、法律に基かなければならない。
第二章 会計区分
第十一条 国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。
第十二条 各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。
第十三条 国の会計を分つて一般会計及び特別会計とする。
国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。
第三章 予算
第一節 総則
第十四条 歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。
第十五条 法律に基くもの又は歳出予算の金額の範囲内におけるものの外、国が債務を負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない。
前項に規定するものの外、災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、国は毎会計年度、国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をなすことができる。
前二項の規定により国が債務を負担する行為に因り支出すべき年限は、当該会計年度以降三箇年度以内とする。但し、国会の議決により更にその年限を延長するもの並びに外国人に支給する給料及び恩給、地方公共団体の債務の保証又は債務の元利若しくは利子の補給、土地、建物の借料及び国際条約に基く分担金に関するもの、その他法律で定めるものは、この限りでない。
第二項の規定により国が債務を負担した行為については、次の常会において国会に報告しなければならない。
第一項又は第二項の規定により国が債務を負担する行為は、これを国庫債務負担行為という。
第二節 予算の作成
第十六条 予算は、予算総則、歳入歳出予算及び国庫債務負担行為とする。
第十七条 衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。
内閣総理大臣及び各省大臣は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十八条 大蔵大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出及び国庫債務負担行為の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。
内閣は、前項の決定をしようとするときは、国会、裁判所及び会計検査院に係る歳出の概算については、予め衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長に対しその決定に関し意見を求めなければならない。
第十九条 内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。
第二十条 大蔵大臣は、毎会計年度、第十八条の閣議決定に基いて、歳入予算明細書を作製しなければならない。
衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣(以下各省各庁の長という。)は、毎会計年度、第十八条の閣議決定のあつた概算の範囲内で予定経費要求書及び国庫債務負担行為要求書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第二十一条 大蔵大臣は、歳入予算明細書、衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣及び各省(以下各省各庁という。)の予定経費要求書及び国庫債務負担行為要求書に基いて予算を作成し、閣議の決定を経なければならない。
第二十二条 予算総則には、歳入歳出予算及び国庫債務負担行為に関する総括的規定を設ける外、左の事項に関する規定を設けるものとする。
一 第四条第一項但書の規定による公債又は借入金の限度額
二 第四条第三項の規定による公共事業費の範囲
三 第五条但書の規定による日本銀行の公債の引受及び借入金の借入の限度額
四 第七条第三項の規定による大蔵省証券の発行及び一時借入金の借入の最高額
五 第十五条第二項の規定による国庫債務負担行為の限度額
六 前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項
第二十三条 歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質、歳出にあつては、その目的に従つて部に大別し、更に、各部中においてはこれを款項に区分し、又、その収入又は支出に関係のある部局等の組織の別を明らかにしなければならない。
第二十四条 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は、予備費として相当と認める金額を、歳入歳出予算に計上しなければならない。
第二十五条 歳出予算のうち、経費の性質上年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、特にその旨を歳入歳出予算に明示し、これを翌年度に繰り越して使用することについて、国会の承認を得ることができる。
第二十六条 国庫債務負担行為は、事項ごとに、その必要の理由を明らかにし、且つ、行為をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにし、又、必要に応じて行為に基いて支出をなすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
第二十七条 内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。
第二十八条 国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。
一 歳入予算明細書
二 各省各庁の予定経費要求書及び国庫債務負担行為要求書
三 前前年度歳入歳出決算の総計表及び純計表、前年度歳入歳出決算見込の総計表及び純計表並びに当該年度歳入歳出予算の総計表及び純計表
四 国庫の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における見込に関する調書
五 国債及び借入金の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書
六 国有財産の前前年度末における現在高並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込に関する調書
七 国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書
八 国庫債務負担行為で翌年度以降に亘るものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度に亘る事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況等に関する調書
九 その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類
第二十九条 内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは国庫債務負担行為又は法律上若しくは契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、予算作成の手続に準じ、追加予算を作成し、これを国会に提出することができる。
内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。
第三十条 内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。
暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。
第三節 予算の執行
第三十一条 予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算及び国庫債務負担行為を配賦する。
前項の規定により配賦する歳入歳出予算は、更に、歳入にあつては、項を目に、歳出にあつては、項を目及び節に区分する。
大蔵大臣は、第一項の規定による配賦のあつたときは、会計検査院に通知しなければならない。
第三十二条 各省各庁の長は、歳出予算については、各項に定める目的の外にこれを使用しすることができない。
第三十三条 各省各庁の長は、歳出予算の定める各項の金額若しくは各部局等の金額を彼此流用することができない。但し、予算の執行上必要がある場合においては、各省各庁内の部局等の間で、政令の定めるところにより、同一名称の項の金額に限り、流用することができる。
各省各庁の長は、目又は節の経費については、政令の定めるところにより、流用することができる。
第一項但書及び前項の規定は、予算において特別の定めをなした場合にはこれを適用しない。
第一項但書及び第二項の規定による流用については、大蔵大臣が会計検査院に通知しなければならない。
第一項但書及び第二項の規定により流用した経費の金額については、歳入歳出の決算において、これを明らかにするとともに、その理由を記載しなければならない。
第三十四条 各省各庁の長は、第三十一条第一項の規定により配賦された予算に基いて、大蔵大臣の定める期間に従い支出事務職員及び契約事務職員ごとに、支出の所要額及び国の支出の原因となる契約その他の行為(以下契約等という。)の所要額を定め、支払又は契約等の計画に関する書類を作製して、これを大蔵大臣に送付し、その承認を経なければならない。
大蔵大臣は、国庫金、歳入及び金融の現況並びに経費の支出状況等を勘案して、前項の期間ごとに、支払又は契約等の計画の承認に関する方針を作製し、閣議の決定を経なければならない。
大蔵大臣は、前項の方針に基いて第一項の支払又は契約等の計画について承認をしたときは、各省各庁の長及び会計検査院に通知するとともに、支払計画はこれを日本銀行に通知しなければならない。
第三十五条 予備費は、大蔵大臣が、これを管理する。
各省各庁の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
大蔵大臣は、前項の要求を調査し、これに所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議の決定を求めなければならない。但し、予め閣議の決定を経て大蔵大臣の指定する経費については、閣議を経ることを必要とせず、大蔵大臣が予備費使用書を決定することができる。
予備費使用書が決定したときは、当該使用書に掲げる経費については、第三十一条第一項の規定により、予算の配賦があつたものとみなす。
第二項、第三項本文及び前項の規定は、各省各庁の長が第十五条第二項の規定により国庫債務負担行為をなす場合に、これを準用する。
第三十六条 予備費を以て支弁した金額については、各省各庁の長は、その調書を作製して、次の国会の常会の開会後直ちに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
大蔵大臣は、前項の調書に基いて予備費を以て支弁した金額の総調書を作製しなければならない。
内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。
大蔵大臣は、前項の総調書及び調書を会計検査院に送付しなければならない。
第四章 決算
第三十七条 各省各庁の長は、毎会計年度、大蔵大臣の定めるところにより、その所掌に係る歳入及び歳出の決算報告書並びに国の債務に関する計算書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
大蔵大臣は、前項の歳入決算報告書に基いて、歳入予算明細書と同一の区分により、歳入決算明細書を作製しなければならない。
第三十八条 大蔵大臣は、歳入決算明細書及び歳出の決算報告書に基いて、歳入歳出の決算を作成しなければならない。
歳入歳出の決算は、歳入歳出予算と同一の区分により、これを作製し、且つ、これに左の事項を明らかにしなければならない。
(一) 歳入
一 歳入予算額
二 徴収決定済額(徴収決定のない歳入については収納後に徴収済として整理した額)
三 収納済歳入額
四 不納欠損額
五 収納未済歳入額
(二) 歳出
一 歳出予算額
二 前年度繰越額
三 予備費使用額
四 流用等増減額
五 支出済歳出額
六 翌年度繰越額
七 不用額
第三十九条 内閣は 歳入歳出決算に、歳入決算明細書、各省各庁の歳出決算報告書及び国の債務に関する計算書を添附して、これを翌年度の十一月三十日までに会計検査院に送付しなければならない。
第四十条 内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。
前項の歳入歳出決算には、会計検査院の検査報告の外、歳入決算明細書、各省各庁の歳出決算報告書及び国の債務に関する計算書を添附する。
第四十一条 毎会計年度において、歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
第五章 雑則
第四十二条 毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。但し、歳出予算のうち、第二十五条の規定により繰越について国会の承認を得た経費の金額及び年度内に契約等をなし避け難い事故のため年度内に支出を終らなかつた経費の金額は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
第四十三条 各省各庁の長は、前条の規定による繰越を必要とするときは、繰越計算書を作製し、事項ごとに、その事由及び金額を明らかにして、大蔵大臣の承認を経なければならない。
前項の承認があつたときは、当該経費については、第三十一条第一項の規定により、予算の配賦があつたものとみなす。
第四十四条 国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。
第四十五条 各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。
第四十六条 内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度の歳入歳出決算並びに公債、借入金及び国有財産の現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物、講演その他適当な方法で国民に報告しなければならない。
前項に規定するものの外、内閣は、少くとも毎四半期ごとに、予算使用の状況、国庫の状況その他財政の状況について、国会及び国民に報告しなければならない。
第四十七条 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で、これを定める。
附 則
第一条 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、第十七条第一項、第十八条第二項、第十九条、第三十条、第三十一条、第三十五条並びに第三十六条の規定は、日本国憲法施行の日から、これを施行し、第三条、第十条及び第三十四条の規定の施行の日は、政令でこれを定める。
第四条及び第五条の規定は、昭和二十三年度以後の会計年度の予算に計上される公債又は借入金について、第七条、第三章の規定(第十七条第一項、第十八条第二項、第十九条、第二十八条、第三十条、第三十一条並びに第三十四条乃至第三十六条の規定を除く。)及び第四章の規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の予算及び決算について、これを適用する。
第二条 この法律中「国会」、「内閣」、「各省各庁」又は「政令」とあるのは、日本国憲法施行の日までは、これを夫ゝ「帝国議会」、「政府」、「各省」又は「勅令」と読み替えるものとする。
日本国憲法施行の日までは、第二十条第二項中「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣(以下各省各庁の長という。)」とあるのは「各省大臣」、第二十一条中「衆議院、参議院、裁判所及び会計検査院並びに内閣及び各省(以下各省各庁という。)」とあるのは「各省」と読み替えるものとする。
第三条 この法律施行前になした予備費の支出並びに昭和二十年度及び同二十一年度の決算に関しては、なお従前の例による。
第四条 従来予算外国庫の負担となるべき契約に関する件として帝国議会の協賛を経た事項は、日本国憲法施行後においては、国庫債務負担行為となるものとする。但し、この場合においては、改正後の第十五条第三項の規定は、これを適用しない。
第五条 左に掲げる法令は、これを廃止する。
明治四十四年法律第二号(公共団体に対する工事補助費繰越使用に関する法律)
明治五年太政官布告第十七号(政府に対する寄附に関する件)