第十五條 市町村ハ其ノ市町村內ノ府縣稅ヲ徵收シ之ヲ府縣ニ納入スルノ義務ヲ負フ但シ第十七條第二項、第三十五條第一項又ハ第四十二條第一項ノ規定ニ依リ徵收スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
府縣ハ前項ノ規定ニ依ル徵收ノ費用ヲ補償スル爲徵收金額及徵稅傳令書數ニ應ジ府縣條例ノ定ムル所ニ依リ其ノ市町村ニ對シ取扱費ヲ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル府縣條例ノ規定ハ內務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十六條 市町村避クベカラザル事故ニ因リ旣收ノ府縣稅ヲ失ヒタルトキハ府縣知事ハ其ノ申請ニ依リ稅金納入ノ義務ヲ免除スベシ
府縣知事前項ノ申請ヲ受理シタル日ヨリ三月以內ニ前項ノ規定ニ依ル免除ヲ爲サザルトキハ市町村ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル訴願ノ提起ハ處分ヲ受ケタル日又ハ之ヲ受ケズシテ前項ノ期間ヲ經過シタルトキヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スベシ
內務大臣訴願ヲ受理シタルトキハ三月以內ニ之ヲ裁決スベシ
第十七條 府縣稅ヲ賦課徵收セントスルトキハ府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ府縣吏員ハ市町村ニ對シ徵稅命令書ヲ發シ市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員ハ徵稅命令書ニ依リ徵稅傳令書ヲ調製シ之ヲ納稅者ニ交付スベシ
府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ府縣吏員ハ納稅者ニ對シ直接ニ徵稅令書ヲ交付スルコトヲ得
第十八條 市町村稅ヲ賦課徵收セントスルトキハ市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員ハ徵稅令書ヲ納稅者ニ交付スベシ
第十九條 第十七條第一項ノ徵稅傳令書又ハ前條ノ徵稅令書ヲ受ケタル納稅者ハ其ノ稅金ヲ市町村ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ納稅ノ義務ヲ了ス
第十七條第二項ノ徵稅令書ヲ受ケタル納稅者ハ其ノ稅金ヲ府縣ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ納稅ノ義務ヲ了ス
市町村ハ其ノ徵收シタル府縣稅ヲ府縣ニ拂込ミ其ノ領收證ヲ得テ稅金納入ノ義務ヲ了ス
稅金ノ拂込又ハ納入ニ付郵便振替貯金ノ方法ニ依リタル場合ニ於テハ納稅者又ハ市町村ハ稅金ヲ郵便官署ニ拂込ムニ依リテ其ノ義務ヲ了ス
第二十條 府縣稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ府縣知事ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
市町村稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ市町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ府縣知事又ハ市町村長ハ七日以內ニ之ヲ府縣參事會又ハ市參事會若ハ町村會ノ決定ニ付スベシ
前項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ府縣稅ニ付テハ行政裁判所ニ出訴シ市町村稅ニ付テハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得第六項ノ訴願ニ對スル裁決ニ不服アルトキ亦同ジ
第三項ノ府縣參事會ノ決定ニ付テハ府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ府縣吏員ヨリモ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ市參事會又ハ町村會ノ決定ニ付テハ市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員ヨリモ府縣參事會ニ訴願スルコトヲ得
第四項ノ裁決又ハ前項ノ訴願ニ對スル裁決ニ付テハ市町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員又ハ府縣知事ヨリモ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
府縣制第百二十八條及第百二十八條ノ二ノ規定ハ前七項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十一條 府縣稅ノ徵稅令書若ハ徵稅傳令書又ハ市町村稅ノ徵稅令書ヲ受ケタル納稅者納期限迄ニ稅金ヲ完納セザルトキハ府縣知事若ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ吏員又ハ市町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員ハ遲クトモ納期限後二十日目迄ニ督促狀ヲ發スベシ
督促狀ニハ條例ヲ以テ定ムル期間內ニ於テ相當ノ期限ヲ指定スベシ
特別ノ事情アル地方團體ニ於テハ條例ヲ以テ第一項ニ規定スル期限ト異リタル期限ヲ定ムルコトヲ得
第二十二條 前條ノ督促狀ヲ發シタルトキハ手數料ヲ徵收スベシ
府縣稅ニ關シ市町村吏員ヲシテ督促狀ヲ發セシメタル場合ニ於ケル手數料ハ其ノ市町村ノ收入トス
第二十三條 第二十一條ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者督促狀ノ指定期限迄ニ稅金及督促手數料ヲ完納セザルトキハ府縣知事若ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ吏員又ハ市町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員ハ條例ヲ以テ定ムル期間內ニ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
前項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ府縣稅ニ在リテハ府縣知事又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏若ハ吏員、市町村稅ニ在リテハ市町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル市町村吏員又ハ府縣知事ヨリモ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル處分中差押物件ノ公賣ハ差押處分ノ確定ニ至ル迄之ヲ停止ス
第一項ノ規定ニ依ル處分ハ其ノ地方團體ノ區域外ニ於テモ亦之ヲ爲スコトヲ得
府縣制第三十八條、第百二十八條及第百二十八條ノ二ノ規定ハ第二項及第三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十四條 督促ヲ爲シタル場合ニ於テハ一日ニ付稅金額ノ一萬分ノ四以內ニ於テ條例ノ定ムル割合ヲ以テ納期限ノ翌日ヨリ稅金完納又ハ財產差押ノ日ノ前日迄ノ日數ニ依リ計算シタル延滯金ヲ徵收スベシ但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
一 徵稅令書又ハ徵稅傳令書一通ノ稅金額五圓未滿ナルトキ
三 納稅者ノ住所及居所ガ不明ナル爲又ハ帝國內ニ在ラザル爲公示送達ノ方法ニ依リ納稅ノ命令又ハ督促ヲ爲シタルトキ
督促狀ノ指定期限迄ニ稅金及督促手數料ヲ完納シタルトキハ延滯金ハ之ヲ徵收セズ
第二十五條 府縣ノ徵收金(府縣稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費)ハ國ノ徵收金ニ、市町村ノ徵收金(市町村稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費)ハ府縣ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル但シ附加稅タル地方稅ニシテ本稅ノ決定ニ因リ賦課シ得ルニ至ルモノノ時效ハ本稅決定ノ日ヨリ進行ス
第二十三條第二項及第三項竝ニ府縣制第百二十八條及第百二十八條ノ二ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十六條 納稅者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ旣ニ徵稅令書又ハ徵稅傳令書ヲ交付シタル地方稅ニ付テハ納期前ト雖モ納稅義務ノ確定シタル稅金ノ全額ヲ徵收スルコトヲ得
一 國稅、地方稅其ノ他ノ公課又ハ徵收ノ囑託ヲ受ケタル滿洲國ノ國稅二付滯納處分ヲ受クルトキ
第二十七條 府縣知事又ハ市町村長ハ條例ノ定ムル所ニ依リ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコトヲ得
第二十八條 府縣知事又ハ市町村長ハ特別ノ事情アル場合又ハ特別ノ事情アル者ニ限リ府縣參事會又ハ市町村會ノ議決ヲ經テ地方稅ヲ減免スルコトヲ得
第二十九條 法人合併シタル場合ニ於テ合併ニ因リ消滅シタル法人ノ未納ニ係ル地方稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費アルトキハ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リ設立シタル法人之ヲ納付スル義務ヲ負フ
法人解散シタル場合ニ於テ其ノ法人ノ未納ニ係ル地方稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費ヲ納付セズシテ殘餘財產ヲ分配シタルトキハ淸算人ハ殘餘財產ノ價額ヲ限度トシテ連帶シテ之ヲ納付スル義務ヲ負フ
相續開始アリタル場合ニ於テ相續開始前ノ事實ニ付被相續人ノ未納ニ係ル地方稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費アルトキハ相續人又ハ相續財團之ヲ納付スル義務ヲ負フ伹シ國籍喪失ニ因ル相續人又ハ限定承認ヲ爲シタル相續人ハ相續ニ因リテ得タル財產ノ價額ヲ限度トシテ其ノ義務ヲ負ヒ戶主ノ死亡以外ノ原因ニ因リ家督相續ノ開始アリタルトキハ被相續人モ亦其ノ義務ヲ負フ
第三十條 共有物、共同事業、共同事業ニ因リ生ジタル物件又ハ共同行爲ニ對スル地方稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費ハ納稅者連帶シテ之ヲ納付スル義務ヲ負フ
公賣及競賣以外ノ原因ニ因リ鑛業權ノ移轉アリタル場合ニ於テ未納ニ係ル地方稅竝ニ其ノ督促手數料、延滯金及滯納處分費アルトキハ新鑛業權者ハ舊鑛業權者ト連帶シテ之ヲ納付スル義務ヲ負フ
第三十一條 同一年度ノ地方稅ニシテ旣納ノ稅金過納ナルトキハ爾後ノ納期ニ於テ徵收スベキ同一稅目ノ稅金ニ充ツルコトヲ得
第三十二條 納稅義務者納稅地ニ住所、居所、事務所及營業所ヲ有セザルトキハ納稅ニ關スル事項ヲ處理セシムル爲納稅地ニ於テ納稅管理人ヲ定メ府縣稅ニ付テハ府縣知事ニ、市町村稅ニ付テハ市町村長ニ之ヲ申吿スベシ其ノ納稅管理人ヲ變更シタルトキ亦同ジ
第三十三條 徵稅令書、徵稅傳令書、督促狀及滯納處分ニ關スル書類ハ名宛人ノ住所、居所、事務所又ハ營業所ニ送達ス名宛人ガ相續財團ニシテ財產管理人アルトキハ財產管理人ノ住所又ハ居所ニ送達ス
納稅管理人アルトキハ徵稅令書、徵稅傳令書及督促狀ニ限リ其ノ住所、居所、事務所又ハ營業所ニ送達ス
第三十四條 書類ノ送達ヲ受クベキ者ガ其ノ住所、居所、事務所若ハ營業所ニ於テ書類ノ受取ヲ拒ミタルトキ又ハ其ノ者ノ住所、居所、事務所及營業所ガ不明ナルトキ若ハ帝國內ニ在ラザルトキハ書類ノ要旨ヲ公吿シ公吿ノ初日ヨリ七日ヲ經過シタルトキハ書類ノ送達アリタルモノト看做ス
前項ノ規定ニ依ル公吿ハ地方團體ノ揭示場ニ之ヲ爲スベシ