朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル東京都制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年五月三十一日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
內務大臣 安藤紀三郞
法律第八十九號
東京都制目次
第一章
總則
第一節
都及其ノ區域
第二節
都住民及其ノ權利義務
第三節
都條例及都規則
第二章
都議會
第一節
組織及選擧
第二節
職務權限
第三章
都參事會
第一節
組織及選擧
第二節
職務權限
第四章
都ノ官吏及吏員
第五章
給料及給與
第六章
都ノ財務
第一節
財產、營造物及都稅
第二節
歲入出豫算及決算
第七章
都ノ監督
第八章
區市町村
第一節
第二節
市町村
第九章
雜則
東京都制
第一章 總則
第一節 都及其ノ區域
第一條 東京都ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務及法令ニ依リ都ニ屬スル事務ヲ處理ス
第二條 都ノ區域ハ從來ノ東京府ノ區域ニ依ル
第三條 都ノ境界變更ヲ要スルトキハ法律ヲ以テ之ヲ定ム但シ區市町村ノ設置ヲ伴ハザル場合ニ於テハ都參事會竝ニ關係アル府縣參事會及區市町村會ノ意見ヲ徵シテ內務大臣之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ都參事會竝ニ關係アル府縣參事會及區市町村會ノ意見ヲ徵シテ內務大臣之ヲ定ム但シ特ニ法律ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
都ノ境界變更ニ伴フ府縣又ハ都外ノ市町村ノ廢置分合、境界變更又ハ財產處分ハ前二項ノ規定ニ依ル
所屬未定地ヲ都ノ區域ニ編入セントスルトキハ第一項但書ノ例ニ依ル
第四條 都ト都外ノ市町村トノ境界ニ關スル爭論ハ內務大臣之ヲ裁定ス
都ト都外ノ市町村トノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ爭論ナキトキハ內務大臣之ヲ決定スベシ
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ都及關係アル市町村ニ交付スベシ
市制第五條及町村制第四條ノ規定ハ前三項ノ場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第二節 都住民及其ノ權利義務
第五條 都內ニ住所ヲ有スル者ハ都住民トス
都住民ハ本法ニ從ヒ都ノ營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ都ノ負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
第六條 帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ二年以來都住民タルモノハ都公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治產者及準禁治產者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三 貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭グル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
都ハ都參事會ノ議決ヲ經テ前項ノ規定ニ依ル二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル二年ノ期間ハ都ノ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第七條 都公民ハ都ノ選擧ニ參與シ都ノ名譽職ニ就ク權利ヲ有シ都ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者名譽職ニ就クコトヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ都ハ都參事會ノ議決ヲ經テ一年以上四年以下其ノ都公民權ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ爲常ニ都內ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齡六十年以上ノ者
四 官公職ノ爲都ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上都ノ名譽職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル者
六 其ノ他都參事會ノ議決ニ依リ正當ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
都公民租稅滯納處分中ハ都ノ名譽職ニ就クコトヲ得ズ
第八條 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十五條第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該當スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノハ都ノ公務ニ參與スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)亦同ジ
第三節 都條例及都規則
第九條 都ハ都住民ノ權利義務又ハ都ノ事務ニ關シ都條例ヲ設クルコトヲ得
都ハ都ノ營造物又ハ都ノ事務ニ關シ都條例ヲ以テ規定スルモノノ外都規則ヲ設クルコトヲ得
都條例及都規則ハ一定ノ公吿式ニ依リ之ヲ吿示スベシ
第二章 都議會
第一節 組織及選擧
第十條 都ニ都議會ヲ置ク
都議會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數ハ百人トス
第十一條 都議會議員ハ各選擧區ニ於テ之ヲ選擧ス
選擧區ハ區市ノ區域又ハ地方事務所長若ハ支廳長ノ管轄區域ニ依ル
前項ノ區域ノ人口著シク少キトキハ都條例ヲ以テ其ノ區域ト隣接ノ區域トヲ合セテ一選擧區ヲ設クルコトヲ得
議員ノ任期中新ニ第二項ノ區域ノ設定アリタル場合ニ於テ從前其ノ區域ノ屬シタル選擧區ノ配當議員數同項ノ規定ニ依ル關係選擧區ノ數ニ達セザルトキハ同項ノ規定ノ適用ニ付テハ次ノ總選擧ニ至ル迄ノ間其ノ區域ハ仍設定セラレザルモノト看做ス
前二項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 各選擧區ニ於テ選擧スベキ都議會議員ノ數ハ都條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
議員ノ配當ニ關シ必要ナル事項ハ內務大臣之ヲ定ム
第十三條 都公民ハ總テ都議會議員ノ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第八條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條 都議會議員ノ選擧權ヲ有スル都公民ハ其ノ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テハ被選擧權ヲ有セズ
都ノ官吏及有給ノ吏員、敎員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ都議會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
衆議院議員ハ都議會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十五條 都議會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第十六條 都議會議員中缺員ヲ生ジタルトキハ其ノ缺員ト爲リタル議員ガ選擧ノ期日ヨリ一年以內ニ缺員ト爲リタルモノナル場合ニ於テ第四十四條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキ又ハ選擧ノ期日ヨリ一年經過後ニ於テ缺員ト爲リタルモノナル場合ニ於テ同條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第五十條第四項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ同項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定ムルモ仍其ノ缺員ノ數ガ第五十條第一項ニ謂フ當選者ノ不足數ト通ジテ議員定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ都長官ニ於テ必要アリト認ムルトキハ補缺選擧ヲ行フベシ此ノ場合ニ於テハ第五十條第五項ノ規定ヲ準用ス
議員ノ缺員ノ數第五十條第一項ニ謂フ當選者ノ不足數ト通ジテ議員定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至ラザルモ第五十五條第一項又ハ第三項ノ選擧ノ行ハルル場合ニ於テハ其ノ選擧ト同時ニ補缺選擧ヲ行フベシ但シ第五十五條第一項又ハ第三項ノ選擧ノ吿示アリタル後議員中缺員ヲ生ジタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五十條第七項ノ規定ハ前項ノ補缺選擧ニ之ヲ準用ス
補缺議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第十七條 區市町村長ハ每年九月十五日ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スベシ
名簿ニハ其ノ區市町村內ニ住所ヲ有スル選擧人ヲ登錄スベシ
選擧人ノ年齡ハ名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十八條 區市町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間區役所、市役所、町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
區市町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ吿示スベシ
第十九條 選擧人名簿ニ脫漏又ハ誤載アリト認ムルトキハ關係者ハ縱覽期間內ニ區市町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ區市町村長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ決定シ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ其ノ決定アリタル日ヨリ七日以內ニ都長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シ又ハ名簿ノ修正ヲ爲シタルトキハ區市町村長、前項ノ規定ニ依リ裁決ヲ爲シタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
第二十條 選擧人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定ス
名簿ハ次年ノ十二月十九日迄之ヲ据置クベシ
前條第二項ノ場合ニ於テ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ因リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ區市町村長ハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ノ修正ヲ爲シタルトキハ區市町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
第二十一條 天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ選擧人名簿ヲ調製スベシ
前項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ都長官ノ定ムル所ニ依ル
區市町村ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於テ名簿ニ關シ其ノ分合其ノ他必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 都長官ハ選擧ノ期日前二十日目迄ニ選擧ヲ行フベキ選擧區、投票ノ日時及各選擧區ニ於テ選擧スベキ議員數ヲ吿示スベシ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ都長官ハ當該選擧區又ハ投票區ニ付投票ヲ行フベキ日時ヲ定メ投票ノ期日前七日目迄ニ之ヲ吿示スベシ
第二十三條 議員候補者タラントスル者ハ選擧ノ期日ノ吿示アリタル日ヨリ選擧ノ期日前七日目迄ニ其ノ旨ヲ選擧長ニ屆出ヅベシ
選擧人名簿ニ登錄セラレタル者他人ヲ議員候補者ト爲サントスルトキハ前項ノ期間內ニ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ期間內ニ屆出アリタル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ經過シタル後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ前二項ノ例ニ依リ選擧ノ期日前二日目迄議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲スコトヲ得
議員候補者ハ選擧長ニ屆出ヲ爲スニ非ザレバ議員候補者タルコトヲ辭スルコトヲ得ズ
前四項ノ規定ニ依ル屆出アリタルトキ又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第二十四條 議員候補者ノ屆出又ハ推薦屆出ヲ爲サントスル者ハ議員候補者一人ニ付二百圓又ハ之ニ相當スル額面ノ國債證書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票數其ノ選擧區ノ配當議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ十分ノ一ニ達セザルトキハ前項ノ規定ニ依ル供託物ハ都ニ歸屬ス
前項ノ規定ハ議員候補者選擧ノ期日前十日以內ニ議員候補者タルコトヲ辭シタル場合ニ之ヲ準用ス但シ被選擧權ヲ有セザルニ至リタル爲議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十五條 投票區ハ區市町村ノ區域ニ依ル
都長官必要アリト認ムルトキハ區市町村ノ區域ヲ分チテ數投票區ヲ設ケ又ハ數町村ノ區域ヲ合セテ一投票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票區ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十六條 區市町村長ハ投票管理者ト爲リ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
投票所ハ區役所、市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
投票管理者ハ選擧ノ期日前五日目迄ニ投票所ヲ吿示スベシ
第二十七條 議員候補者ハ各投票區ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立會人一人ヲ定メ選擧ノ期日前二日目迄ニ投票管理者ニ屆出ヅルコトヲ得但シ議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辭シタルトキハ其ノ屆出デタル投票立會人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立會人三人ニ達セザルトキ若ハ三人ニ達セザルニ至リタルトキ又ハ投票立會人ニシテ參會スルモノ投票所ヲ開クベキ時刻ニ至リ三人ニ達セザルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セザルニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ投票區ニ於ケル名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ投票立會人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ投票ニ立會ハシムベシ
投票立會人ハ名譽職トス
第二十八條 選擧人ニ非ザル者ハ投票所ニ入ルコトヲ得ズ但シ投票所ノ事務ニ從事スル者、投票所ヲ監視スル職權ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
投票所ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ投票所外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ得但シ投票管理者投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ爲サシムルヲ妨ゲズ
第二十九條 選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ到リ選擧人名簿ノ對照ヲ經又ハ確定裁決書若ハ判決書ヲ提示シテ投票ヲ爲スベシ
投票時間內ニ投票所ニ入リタル選擧人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ爲スコトヲ得
選擧人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ關スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル點字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
投票用紙ハ都長官ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
名簿調製ノ後選擧人其ノ投票區域外ニ住所ヲ移シタル場合ニ於テ仍選擧權ヲ有スルトキハ前住所地ノ投票所ニ於テ投票ヲ爲スベシ
第三十條 確定名簿ニ登錄セラレザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ但シ選擧人名簿ニ登錄セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日投票所ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登錄セラレタル者名簿ニ登錄セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ選擧ノ當日選擧權ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第三十一條 投票ノ拒否ハ投票立會人ノ意見ヲ聽キ投票管理者之ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票管理者ハ假ニ投票ヲ爲サシムベシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ付亦前二項ニ同ジ
第三十二條 選擧人ニシテ勅令ノ定ムル事由ニ因リ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ投票所ニ到リ投票ヲ爲スコト能ハザルベキコトヲ證スルモノノ投票ニ關シテハ第二十九條第三項及第五項、第三十條第一項但書竝ニ前條ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十三條 投票管理者ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル顚末ヲ記載シ二人以上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
第三十四條 投票管理者ハ其ノ指定シタル投票立會人ト共ニ區市ノ投票區ニ於テハ投票ノ當日、町村ノ投票區ニ於テハ投票ノ翌日迄ニ投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ選擧長ニ送致スベシ
第三十五條 島嶼ニ於テ前條ノ期日ニ投票函ヲ送致スルコト能ハザル情況アリト認ムルトキハ都長官ハ適宜ニ其ノ投票ノ期日ヲ定メ選擧會ノ期日迄ニ其ノ投票函、投票錄及選擧人名簿ヲ送致セシムルコトヲ得
第三十六條 選擧長ハ區長、市長、地方事務所長又ハ支廳長ヲ以テ之ニ充ツ
選擧長ハ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
選擧會ハ區役所、市役所、地方事務所、支廳又ハ選擧長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
選擧長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ吿示スベシ
第三十七條 都長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ區劃ヲ定メテ開票區ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票區ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八條 第二十七條ノ規定ハ選擧立會人ニ之ヲ準用ス
第三十九條 選擧長ハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日選擧會ヲ開クベシ
選擧長ハ選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ先ヅ第三十一條第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ其ノ受理如何ヲ決定スベシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ區市町村其ノ他都長官ノ定ムル區域每ニ投票ヲ點檢スベシ
天災事變等ノ爲選擧會ヲ開クコト能ハザルトキハ選擧長ハ更ニ其ノ期日ヲ定ムベシ
第四十條 選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得
第四十一條 第二十八條第一項及第二項ノ規定ハ選擧會場ノ取締ニ之ヲ準用ス
第四十二條 投票ノ效力ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スベシ
第四十三條 左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 議員候補者ニ非ザル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選擧權ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セザルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 都議會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第八號ノ規定ハ第十六條、第五十條又ハ第五十五條第一項若ハ第三項ノ規定ニ依ル選擧ノ場合ニ限リ之ヲ適用ス
第四十四條 都議會議員ノ選擧ハ有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス但シ其ノ選擧區ノ配當議員數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ五分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齡同ジキトキハ選擧長抽籤シテ之ヲ定ム
第四十五條 當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ當選ヲ失フ
第四十六條 第二十三條第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル屆出アリタル議員候補者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ヲ超エザルトキハ其ノ選擧區ニ於テハ投票ヲ行ハズ
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要セザルトキハ選擧長ハ直ニ其ノ旨ヲ投票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ吿示シ且都長官ニ報吿スベシ
投票管理者前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第一項ノ場合ニ於テハ選擧長ハ選擧ノ期日ヨリ五日以內ニ選擧會ヲ開キ議員候補者ヲ以テ當選者ト定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選擧權ノ有無ハ選擧立會人ノ意見ヲ聽キ選擧長之ヲ決定スベシ
第四十七條 選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル顚末ヲ記載シ二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
選擧錄、投票錄、投票其ノ他ノ關係書類ハ選擧長ニ於テ、選擧人名簿ハ區市町村長ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第四十八條 當選者定マリタルトキハ選擧長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ吿知シ同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ吿示シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添ヘ之ヲ都長官ニ報吿スベシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ吿示シ且選擧錄及投票錄ノ寫ヲ添ヘ之ヲ都長官ニ報吿スベシ
當選者當選ヲ辭セントスルトキハ當選ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ十日以內ニ之ヲ都長官ニ申立ツベシ
一人ニシテ數選擧區ニ於テ當選シタル者ハ最終ニ當選ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ十日以內ニ何レノ當選ニ應ズベキカヲ都長官ニ申立ツベシ其ノ期間內ニ之ヲ申立テザルトキハ都長官抽籤シテ之ヲ定ム
官吏ニシテ當選シタルモノハ所屬長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ應ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ當選ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ニ應ズベキ旨ヲ都長官ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス第三項ノ場合ニ於テ何レノ當選ニ應ズベキカヲ申立テザルトキハ總テ之ヲ辭シタルモノト看做ス
都ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ都ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付都長官若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者又ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ當選シタルモノハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ當選ニ應ズルコトヲ得ズ第二項又ハ第三項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ都長官ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者竝ニ淸算人ヲ謂フ
第四十九條 選擧長ハ前條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲シタルトキハ直ニ選擧人名簿ヲ町村長ニ返付スベシ
第五十條 當選者左ニ揭グル事由ノ一ニ該當スル場合ニ於テ第二項若ハ第三項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク又ハ第二項若ハ第三項ノ規定ノ適用ニ依リ當選者ヲ定ムルモ仍當選者ノ不足數ガ第十六條第二項ニ謂フ議員ノ缺員ノ數ト通ジテ議員定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ都長官ニ於テ必要アリト認ムルトキハ更ニ選擧ヲ行フベシ
一 當選ヲ辭シタルトキ
二 數選擧區ニ於テ當選シタル場合ニ於テ第四十八條第三項ノ規定ニ依リ一ノ選擧區ノ當選ニ應ジ又ハ抽籤ニ依リ一ノ選擧區ノ當選者ト定マリタル爲他ノ選擧區ニ於テ當選者タラザルニ至リタルトキ
三 第四十五條ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
四 死亡者ナルトキ
五 選擧ニ關スル犯罪ニ因リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ但シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ因リ選擧又ハ補缺選擧ノ吿示ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
六 第五十四條ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果當選無效ト爲リタルトキ
前項第一號乃至第四號ノ事由ヲ生ジタル場合ニ於テ第四十四條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ
第一項第五號又ハ第六號ノ事由ヲ生ジタルトキハ其ノ選擧ノ期日ヨリ一年以內ナル場合ニ於テ第四十四條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキ又ハ其ノ選擧ノ期日ヨリ一年經過後ナル場合ニ於テ同條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノアルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テ第四十四條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシモノ選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定ムルコトヲ得ズ
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以內ニ生ジタルトキハ同項ノ選擧ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分ノ二ニ滿タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
當選者ノ不足數第十六條第二項ニ謂フ議員ノ缺員ノ數ト通ジテ議員定數ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至ラザルモ第五十五條第一項又ハ第三項ノ選擧ノ行ハルル場合ニ於テハ其ノ選擧ト同時ニ更ニ選擧ヲ行フベシ但シ第五十五條第一項又ハ第三項ノ選擧ノ吿示アリタル後第一項ノ事由ヲ生ジタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ行フ選擧ノ期日ハ第五十五條第一項又ハ第三項ノ選擧ノ期日ニ依ル
第五十一條 第四十八條第二項ノ期間ヲ經過シタルトキ、同條第三項若ハ第五項ノ規定ニ依ル申立アリタルトキ又ハ同條第三項ノ規定ニ依リ抽籤ヲ爲シタルトキハ都長官ハ直ニ當選者ニ當選證書ヲ付與シ當選者ノ住所氏名ヲ吿示スベシ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第五十二條 選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス但シ當選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ失フコトナシ
第五十三條 選擧人又ハ議員候補者選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ、當選ニ關シテハ第四十八條第一項又ハ第五十一條第二項ノ規定ニ依ル吿示ノ日ヨリ十四日以內ニ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル異議ノ申立アリタルトキハ都長官ハ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依リ決定ヲ爲シタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ要領ヲ吿示スベシ
第二項ノ規定ニ依ル都長官ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
都長官選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ第四十八條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十六條、第五十條、第五十五條第一項若ハ第三項又ハ第五十六條ノ選擧ハ之ニ關係アル選擧又ハ當選ニ關スル異議ノ申立期間、異議ノ決定確定セザル間又ハ訴訟ノ繫屬スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
都議會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル決定確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第五十四條 衆議院議員選擧法第百十條ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無效ナリト認ムルトキハ選擧人又ハ議員候補者ハ當選者ヲ被吿トシ第四十八條第一項ノ規定ニ依ル吿示ノ日ヨリ三十日以內ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大審院ニ上吿スルコトヲ得
檢事ハ衆議院議員選擧法第百十二條乃至第百十三條ノ規定ノ準用ニ依ル罪ニ該ル事件ノ被吿人ガ選擧事務長又ハ選擧事務長ニ非ズシテ事實上選擧運動ヲ總括主宰シタル者ナルニ因リ同法第百三十六條ノ規定ノ準用ニ依リ當選ヲ無效ナリト認ムルトキハ公訴ニ附帶シ當選者ヲ被吿トシテ訴訟ヲ提起スルコトヲ要ス
衆議院議員選擧法第八十五條、第八十七條、第百四十一條及第百四十一條ノ三ノ規定ハ第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル訴訟ニ、同法第百四十一條ノ二及第百四十一條ノ三ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
前條第七項ノ規定ハ第一項乃至第三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十五條 選擧無效ト確定シタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第五十條第四項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルトキ若ハ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
第五十條第五項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第一項及第三項ノ期間ハ第五十三條第六項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第五十六條 左ニ揭グル事由アル場合ニ於テ議員又ハ當選者總テナキトキハ第十六條、第五十條又ハ前條第一項若ハ第三項ノ規定ニ拘ラズ總選擧ヲ行フ但シ左ニ揭グル事由ニ關シ此等ノ規定ニ依ル選擧ノ吿示又ハ第十六條第一項若ハ第五十條第二項若ハ第三項ノ規定ニ依ル選擧會ノ吿示ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 議員中缺員ヲ生ジタルトキ
二 當選者中第五十條第一項ノ事由ニ該當スル者アルトキ
三 前條第一項又ハ第三項ノ規定ニ該當スル事由アルトキ
前項ノ選擧ハ其ノ事由ヲ生ジタル日ヨリ三月以內ニ之ヲ行フベシ此ノ場合ニ於テハ前條第五項ノ規定ヲ準用ス
第五十七條 補缺選擧又ハ第五十條若ハ第五十五條第一項若ハ第三項ノ選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第五十八條 都議會議員被選擧權ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第四十八條第六項ニ揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第四十八條第六項ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ヤハ議員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ外都議會之ヲ決定ス此ノ場合ニ於テ議員ハ第七十二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ會議ニ出席シ自己ノ資格ニ關シ辯明スルコトヲ得ルモ其ノ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
一 禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二 破產者ト爲リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四 選擧ニ關スル犯罪ニ因リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
都長官ハ議員中被選擧權ヲ有セザル者又ハ第四十八條第六項ニ揭グル者アリト認ムルトキハ之ヲ都議會ノ決定ニ付スベシ此ノ場合ニ於テハ都議會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ都長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第五十三條第七項ノ規定ハ第一項及前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第五十九條 衆議院議員選擧法第十章及第十一章竝ニ第百四十條第二項、第百四十二條及第百四十七條ノ規定ハ都議會議員ノ選擧ニ之ヲ準用ス但シ議員候補者一人ニ付定ムベキ選擧委員ノ數、選擧運動ノ爲使用スル勞務者ノ數及選擧運動ノ費用ノ額ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第二節 職務權限
第六十條 都議會ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 都條例ヲ設ケ又ハ改廢スルコト
二 歲入出豫算ヲ定ムルコト
三 決算報吿ヲ認定スルコト
四 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、都稅又ハ分擔金ノ賦課徵收ニ關スルコト
五 財產ノ取得、管理及處分竝ニ都費ヲ以テ支辨スベキ工事ノ執行ニ關スル都規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 基本財產及積立金穀等ノ設置及處分ニ關スルコト
七 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト
八 營造物ノ管理ニ關スル都規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
九 其ノ他法令ニ依リ都議會ノ權限ニ屬スル事項
第六十一條 都議會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ都參事會ニ委任スルコトヲ得
第六十二條 都議會ハ法令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フベシ
第六十三條 都議會ハ都ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ關係行政廳ニ提出スルコトヲ得
第六十四條 都議會ハ官廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
都議會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場合ニ於テ都議會成立セズ、招集ニ應ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ都議會ヲ招集スルコト能ハザルトキハ當該官廳ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第六十五條 都議會ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選擧スベシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第六十六條 議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長及副議長共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧スベシ
前項ノ規定ニ依ル假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七條 都長官及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シテ議事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ依ル列席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ爲議員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第六十八條 都議會ハ通常會及臨時會トス
通常會ハ每年一囘之ヲ開ク其ノ會期ハ三十日以內トス
臨時會ハ必要アル場合ニ於テ其ノ事件ニ限リ之ヲ開ク其ノ會期ハ七日以內トス但シ場合ニ依リ都長官ハ七日以內ニ於テ別ニ會期ヲ定ムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依リ會期ヲ定メタル場合ニ於テハ第六十九條第二項ノ規定ニ依ル吿示ト同時ニ其ノ會期ヲ吿示スベシ
臨時會ニ付スベキ事件ハ都長官豫メ之ヲ吿示スベシ
臨時會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ第三項及前項ノ規定ニ拘ラズ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコトヲ得
都長官必要アリト認ムルトキハ通ジテ三日以內ニ於テ都議會ノ會期ヲ延長スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ都議會ノ會期ヲ延長シタルトキハ都長官ハ直ニ之ヲ吿示スベシ
第六十九條 都議會ハ都長官之ヲ招集ス議員定數ノ三分ノ一以上ヨリ會議ニ付スベキ事件ヲ示シテ臨時會招集ノ請求アルトキハ都長官ハ之ヲ招集スベシ
招集ハ開會ノ日前十四日目迄ニ之ヲ吿示スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
都議會ハ都長官之ヲ開閉ス
第七十條 都議會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ
第七十一條 都議會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失ハズ
第七十二條 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫若ハ兄弟姉妹ノ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ズ但シ都議會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第七十三條 法令ニ依リ都議會ニ於テ行フ選擧ニ付テハ第二十九條、第四十三條及第四十四條第一項ノ規定ヲ準用ス其ノ投票ノ效力ニ關シ異議アルトキハ都議會之ヲ決定ス
前項ノ選擧ニ於テ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
都議會ハ議員中異議ナキトキハ第一項ノ選擧ニ付指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
指名推選ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ被指名者ヲ以テ當選者ト定ムベキヤ否ヤヲ會議ニ付シ議員全員ノ同意ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス
一ノ選擧ヲ以テ二人以上ヲ選擧スル場合ニ於テハ被指名者ヲ區分シテ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得ズ
第七十四條 都議會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 都長官ヨリ傍聽禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二 議長又ハ議員三人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項第二號ノ議長又ハ議員ノ發議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第七十五條 議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定數ノ半數以上ヨリ請求アルトキハ議長ハ其ノ日ノ會議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍會議ヲ開カザルトキハ第六十六條ノ例ニ依ル
前項ノ規定ニ依リ會議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ會議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ會議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第七十六條 都議會議員ハ都議會ノ議決スベキ事件ニ付都議會ニ議案ヲ發スルコトヲ得但シ歲入出豫算ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル發案ハ議員三人以上ヨリ文書ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第七十七條 都議會ハ歲入出豫算ニ付增額シテ之ヲ議決スルコトヲ得ズ
第七十八條 都議會議員ハ選擧人ノ指示又ハ委囑ヲ受クベカラズ
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ得ズ
第七十九條 會議中本法又ハ會議規則ニ違反シ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ命ニ從ハザルトキハ當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得
第八十條 傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騷ニ涉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騷擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第八十一條 議場ノ秩序ヲ紊リ又ハ會議ノ妨害ヲ爲ス者アルトキハ議員又ハ第六十七條第一項ノ規定ニ依ル列席者ハ議長ノ注意ヲ喚起スルコトヲ得
第八十二條 都議會ニ書記ヲ置キ議長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ處理セシム
書記ハ都ノ有給吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
第八十三條 議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ調製シ會議ノ顚末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ都議會ニ於テ之ヲ定ムベシ
議長ハ會議錄ヲ添ヘ會議ノ結果ヲ都長官ニ報吿スベシ
第八十四條 都議會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クベシ
會議規則ニハ本法及會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ都議會ノ議決ニ依リ五日以內出席ヲ停止スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 都參事會
第一節 組織及選擧
第八十五條 都ニ都參事會ヲ置キ議長及參事會員十五人ヲ以テ之ヲ組織ス
參事會員ハ名譽職トス
第八十六條 參事會員ハ都議會ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選擧スベシ
都議會ハ參事會員ト同數ノ補充員ヲ選擧スベシ
參事會員中缺員アルトキハ都長官ハ補充員ノ中ニ就キ之ヲ補缺ス其ノ順序ハ選擧ノ時ヲ異ニスルトキハ選擧ノ前後ニ依リ選擧同時ナルトキハ得票數ニ依リ得票同數ナルトキハ年長者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ニ依ル仍缺員アル場合ニ於テハ臨時補缺選擧ヲ行フベシ
參事會員及其ノ補充員ハ隔年之ヲ選擧スベシ
參事會員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス都議會議員ノ任期滿了シタルトキ亦同ジ
參事會員ハ其ノ選擧ニ關シ第九十七條ノ規定ニ依ル處分確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第八十七條 都參事會ハ都長官ヲ以テ議長トス都長官故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス
第二節 職務權限
第八十八條 都參事會ノ職務權限左ノ如シ
一 都議會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 都議會閉會中重要事件ヲ除クノ外都議會ノ權限ニ屬スル事件ヲ都議會ニ代リテ議決スルコト
三 都議會成立セザルトキ、招集ニ應ゼザルトキ、第七十二條ノ規定ニ依ル除斥ノ爲會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都議會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ都議會ノ權限ニ屬スル事件ヲ都議會ニ代リテ議決スルコト
四 都ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關スル事項ヲ議決スルコト
五 其ノ他法令ニ依リ都參事會ノ權限ニ屬スル事項
前項第二號ノ重要事件ハ都議會ノ議決ヲ經テ都長官之ヲ定ムベシ
第八十九條 都參事會ハ都長官之ヲ招集ス參事會員定數ノ半數以上ヨリ會議ニ付スベキ事件ヲ示シテ都參事會招集ノ請求アルトキハ都長官ハ之ヲ招集スベシ
都參事會ノ會期ハ都長官之ヲ定ム
第九十條 都參事會ハ議長又ハ其ノ代理者及參事會員定數ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ
第三項ノ規定ニ依リ參事會員ノ數減少シテ前項ノ數ヲ得ザルトキハ都長官ハ補充員ニシテ其ノ事件ニ關係ナキモノヲ以テ第八十六條第三項ノ順序ニ依リ臨時之ニ充テ仍其ノ數ヲ得ザルトキハ都議會議員ニシテ其ノ事件ニ關係ナキモノヲ臨時ニ指名シ其ノ缺員ヲ補充スベシ
議長、其ノ代理者及參事會員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫若ハ兄弟姉妹ノ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ズ但シ都參事會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ該ルトキハ年長ノ參事會員議長ノ職務ヲ代理ス
第九十一條 都參事會ノ議事ハ參事會員ノ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第九十二條 都參事會ノ會議ハ傍聽ヲ許サズ
第九十三條 第六十三條、第六十四條、第六十七條、第六十九條第三項、第七十一條第二項、第七十三條、第七十五條第一項、第七十六條乃至第七十九條、第八十二條、第八十三條第一項及第二項竝ニ第八十四條第一項ノ規定ハ都參事會ニ之ヲ準用ス
第四章 都ノ官吏及吏員
第九十四條 都長官ハ都ヲ統轄シ都ヲ代表ス
都長官ノ擔任スル事務ノ槪目左ノ如シ
一 都費ヲ以テ支辨スベキ事件ヲ執行スルコト
二 都議會及都參事會ノ議決ヲ經ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ發スルコト
三 財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者アルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
四 收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スルコト
五 證書及公文書類ヲ保管スルコト
六 法令又ハ都議會若ハ都參事會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、都稅又ハ分擔金ヲ賦課徵收スルコト
七 其ノ他法令ニ依リ都長官ノ職權ニ屬スル事項
第九十五條 都長官ハ都行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ都ノ官吏及吏員ニ委任シ又ハ都吏員ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得
都長官ハ都行政ニ關シ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ市町村吏員ヲシテ補助執行セシメ又ハ之ニ委任スルコトヲ得
第九十六條 都長官ハ都吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒處分ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、五十圓以下ノ過怠金及解職トス
都長官ハ都吏員ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ吏員ノ停職ヲ命ジ之ニ給料ヲ支給セザルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間都北海道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第九十七條 都議會又ハ都參事會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ違反スト認ムルトキハ都長官ハ其ノ意見ニ依リ又ハ內務大臣ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ再議ニ付セズ又ハ再選擧ヲ行ハシメズシテ直ニ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル都議會又ハ都參事會ノ議決又ハ選擧仍其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ違反スト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ取消スベシ
都議會又ハ都參事會前二項ノ規定ニ依ル取消處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及第二項ノ規定ニ依ル取消處分ヲ爲シタル場合ニ於テ都議會又ハ都參事會開會中ニ非ザルトキハ都長官ハ直ニ之ヲ吿示スベシ
第九十八條 都議會又ハ都參事會ノ議決明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ都長官ハ其ノ意見ニ依リ又ハ內務大臣ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ內務大臣ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ爲シタル都議會又ハ都參事會ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ都長官ハ內務大臣ノ指揮ヲ請フベシ
都議會又ハ都參事會ノ議決收支ニ關シ執行スルコト能ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ揭グル費用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之ニ伴フ收入ニ付亦同ジ
一 法令ニ依リ負擔スル費用、當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ都ノ義務ニ屬スル費用
二 非常ノ災害ニ因ル應急又ハ復舊ノ施設ノ爲ニ要スル費用、傳染病豫防ノ爲ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避クベカラザル費用
第九十九條 都議會成立セザルトキ、招集ニ應ゼザルトキ、第七十二條ノ規定ニ依ル除斥ノ爲會議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都議會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ都長官ハ都議會ノ權限ニ屬スル事件ヲ都參事會ノ議決ニ付スルコトヲ得
都參事會成立セザルトキ、招集ニ應ゼザルトキ又ハ第九十條第二項ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルトキハ都長官ハ內務大臣ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ處分スルコトヲ得
都議會又ハ都參事會ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
都議會ノ決定スベキ事件ニ關シテハ前三項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル都參事會ノ決定又ハ都長官ノ處分ニ關シテハ當該規定ニ準ジ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ規定ニ依ル處分ニ付テハ都長官ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ都議會又ハ都參事會ニ報吿スベシ
第百條 都參事會ノ權限ニ屬スル事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ都參事會成立セザルトキ又ハ都長官ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ專決處分シ次ノ會期ニ於テ之ヲ都參事會ニ報吿スベシ
前項ノ規定ニ依リ都長官ノ爲シタル處分ニ關シテハ當該規定ニ準ジ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百一條 都議會及都參事會ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ都長官ニ於テ專決處分スルコトヲ得
第百二條 官吏ノ都行政ニ關スル職務關係ハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ外國ノ行政ニ關スル其ノ職務關係ノ例ニ依ル
第百三條 都ニ有給吏員ヲ置キ都長官之ヲ任免ス
都ノ有給吏員ハ都長官ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
都ノ有給吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國及府縣其ノ他ノ公共團體ノ事務ヲ掌ル
第百四條 都ニ都出納吏ヲ置キ官吏及吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
都出納吏ハ都ノ出納事務ヲ掌ル
第百五條 本法ニ規定スルモノノ外有給吏員ノ組織、任用、分限、給料等ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第百六條 都ハ參與ヲ置クコトヲ得
參與ハ名譽職トス
參與ハ都公民中學識經驗アル者ヨリ都長官之ヲ選任ス
參與ハ都行政ニ關スル重要事項ニ付都長官ノ諮問ニ應ズ
本法ニ規定スルモノノ外參與ニ關シ必要ナル事項ハ內務大臣ノ許可ヲ得テ都長官之ヲ定ム
第百七條 都ハ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス
委員ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ都長官之ヲ選任ス
委員ハ都長官ノ委託ヲ受ケ都ノ事務ニ關シ必要ナル事項ヲ調査ス
第五章 給料及給與
第百八條 都議會議員、參事會員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
委員ニハ費用辨償ノ外勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償及報酬ノ額竝ニ其ノ支給方法ハ都條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百九條 有給吏員ノ給料及旅費ノ額竝ニ其ノ支給方法ハ都規則ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百十條 有給吏員ノ退隱料、退職給與金、死亡給與金及遺族扶助料竝ニ其ノ支給方法ハ都條例ヲ以テ之ヲ定ム
第百十一條 費用辨償、退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ關係者都長官ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百十二條 費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ都ノ負擔トス
第六章 都ノ財務
第一節 財產、營造物及都稅
第百十三條 收益ノ爲ニスル都ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スベシ
都ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第百十四條 都ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
都ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第百十五條 都ハ神社ノ經費ヲ供進スルコトヲ得
第百十六條 都ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得
第百十七條 都ハ其ノ必要ナル費用及法律勅令ニ依リ都ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
都吏員ガ第百三條第三項及第百五十五條第二項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ都ノ負擔トス但シ法令ニ別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
都又ハ都吏員ヲシテ國ノ事務ヲ處理執行セシムル場合ニ於テハ之ガ爲要スル費用ノ財源ニ付必要ナル措置ヲ講ズベキモノトス
第百十八條 都ハ其ノ支出ニ充ツル爲都稅及分擔金ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第百十九條 都稅及其ノ賦課徵收ニ關シテハ地方稅法ノ定ムル所ニ依ル
分擔金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ都ノ一部ヲ利スル營造物又ハ都ノ一部ニ對シ利益アル事件ニ關シ特ニ利益ヲ受クル者ヨリ之ヲ徵收ス
第百二十條 使用料、手數料及分擔金ニ關スル事項ハ都條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料、手數料又ハ分擔金ノ徵收ヲ免レタル者ニ付テハ都條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レタル金額ノ五倍ニ相當スル金額(其ノ金額十圓未滿ナルトキハ十圓)以下ノ過料ヲ科スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及分擔金ノ徵收ニ關シテハ都條例ヲ以テ二十圓以下ノ過料ヲ科スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十一條 使用料、手數料又ハ分擔金ノ徵收ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ其ノ吿知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ都長官ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ都長官ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十二條 使用料、手數料、分擔金、過料其ノ他ノ都ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ都長官ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ場合ニ於テハ都條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケ其ノ指定期限迄ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
第一項及第二項ノ規定ニ依ル徵收金ハ國ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
都長官ノ委任ヲ受ケタル官吏及吏員ガ爲シタル前三項ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ都長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ都長官ノ處分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ規定ニ依ル處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ規定ニ依ル處分ハ都ノ區域外ニ於テモ亦之ヲ爲スコトヲ得
第百二十三條 都ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、都ノ永久ノ利益ト爲ルベキ支出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ爲必要アル場合ニ限リ都議會ノ議決ヲ經テ都債ヲ起スコトヲ得
都債ヲ起スニ付都議會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ニ付議決ヲ經ベシ
都長官ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲都參事會ノ議決ヲ經テ一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ之ヲ償還スベシ
第二節 歲入出豫算及決算
第百二十四條 都長官ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ年度開始前都議會ノ議決ヲ經ベシ
都ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ都議會ニ提出スルトキハ都長官ハ併セテ財產表ヲ提出スベシ
第百二十五條 都長官ハ都議會ノ議決ヲ經テ旣定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得
第百二十六條 都費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ都議會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
第百二十七條 都ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ得
豫備費ハ都議會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百二十八條 豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ內務大臣ニ報吿シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
第百二十九條 都ハ都議會ノ議決ヲ經テ特別會計ヲ設クルコトヲ得
第百三十條 都ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百三十一條 都ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ翌翌年度ノ通常豫算ヲ議スル會議ニ於テ之ヲ都議會ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル都議會ノ議決ト共ニ之ヲ內務大臣ニ報吿シ且其ノ要領ヲ吿示スベシ
第百三十二條 豫算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ內務大臣之ヲ定ム
第七章 都ノ監督
第百三十三條 都ハ內務大臣之ヲ監督ス
第百三十四條 內務大臣ハ都ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報吿ヲ爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
內務大臣ハ都ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條 內務大臣ハ都議會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
都議會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧スベシ
解散後初テ都議會ヲ招集スルトキハ都長官ハ第六十八條第二項及第三項ノ規定ニ拘ラズ別ニ會期ヲ定ムルコトヲ得
第六十八條第四項、第七項及第八項ノ規定ハ前項ノ都議會ニ之ヲ準用ス
第百三十六條 都債ヲ起シ又ハ起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ若ハ變更セントスルトキハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ第百二十三條第三項ノ借入金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百三十七條 主務大臣ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ主務大臣ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ許可ヲ與フルコトヲ得
第百三十八條 主務大臣ノ許可ヲ要スル事件ニシテ輕易ナルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
第百三十九條 都吏員ノ服務紀律竝ニ都出納吏及都吏員ノ賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八章 區市町村
第一節 區
第百四十條 區ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ其ノ財產及營造物ニ關スル事務竝ニ都條例ノ定ムル所ニ依リ區ニ屬スル事務ヲ處理ス
區ノ區域及名稱ハ從來ノ東京市ノ區ノ區域及名稱ニ依ル
第百四十一條 區ノ廢置分合又ハ境界變更ヲ爲サントスルトキハ都長官ハ關係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シ內務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム
都ノ境界變更ニ伴フ區ノ廢置分合又ハ境界變更ニ關シテハ第三條第一項ノ規定ニ依ル
區ノ廢置分合又ハ境界變更ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル區市町村會ノ意見ヲ徵シテ都長官之ヲ定ム但シ前項ノ場合ニ於ケル財產處分ニ關シテハ第三條第二項ノ規定ニ依ル
所屬未定地ヲ都ノ區域ニ編入スル場合ニ於テ其ノ所屬スベキ區ヲ定ムルニ付テハ第三條第四項ノ規定ニ依ル
第百四十二條 區ノ境界ニ關スル爭論ハ都長官之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル區市町村ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
區ノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ爭論ナキトキハ都長官之ヲ決定スベシ其ノ決定ニ不服アル區市町村ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ關係區市町村ニ交付スベシ
都ノ境界ニ涉リテ第一項又ハ第二項ノ場合ヲ生ジタルトキハ第四條ノ規定ニ依ル
第百四十三條 都ハ區ノ營造物又ハ區ノ事務ニ關シ都條例又ハ都規則ヲ設クルコトヲ得
前項ノ都條例ニ付テハ都議會ニ代リテ區會之ヲ議決ス
第百四十四條 區ニ區會ヲ置ク
區會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
一 人口十五萬未滿ノ區 十五人
二 人口十五萬以上二十五萬未滿ノ區 二十人
三 人口二十五萬以上ノ區 二十五人
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ增減セズ
第百四十五條 區內ニ住所ヲ有スル都公民ハ總テ區會議員ノ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第八條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第百四十六條 區會議員ノ選擧權ヲ有スル都公民ハ其ノ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テハ被選擧權ヲ有セズ
都ノ官吏、有給ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ區會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第百四十七條 區會議員ハ都ノ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第百四十八條 區會議員ノ選擧ハ其ノ區ニ於ケル都議會議員選擧人名簿ニ依リ之ヲ行フ
第百四十九條 第五十九條ノ規定ハ區會議員ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第百五十條 區會ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 歲入出豫算ヲ定ムルコト
二 決算報吿ヲ認定スルコト
三 營造物ノ設置及處分ニ關スルコト
四 財產ノ取得、管理及處分竝ニ區費ヲ以テ支辨スベキ工事ノ執行ニ關スル都規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
五 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト
六 營造物ノ管理ニ關スル都規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
七 區ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關スルコト
八 其ノ他法令ニ依リ區會ノ權限ニ屬スル事項
第百五十一條 區會ハ議員中ヨリ議長及其ノ代理者一人ヲ選擧スベシ
議長及其ノ代理者ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第百五十二條 區長ハ區ノ事務及都長官ノ命ヲ承ケ區內ニ關スル都ノ事務ヲ掌ル
區長ハ其ノ事務ノ一部ヲ區所屬ノ官吏及吏員ニ委任シ又ハ吏員ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得
第百五十三條 區長ハ町內會部落會及其ノ聯合會ノ財產及經費ノ管理竝ニ區域ノ變更ニ關シ必要ナル措置ヲ講ズルコトヲ得
區長ノ許可ヲ得タル場合ニ於テハ町內會部落會及其ノ聯合會ハ自己ノ名ヲ以テ財產ヲ所有スルコトヲ得
區長ハ町內會部落會及其ノ聯合會ノ長ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ援助セシムルコトヲ得
第百五十四條 區所屬ノ官吏ノ區行政ニ關スル職務關係ハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ外國ノ行政ニ關スル其ノ職務關係ノ例ニ依ル
第百五十五條 區所屬ノ吏員ハ區長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
區所屬ノ吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國及府縣其ノ他ノ公共團體ノ事務ヲ掌ル
第百五十六條 區ニ區出納吏ヲ置キ區所屬ノ官吏及吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
區出納吏ハ區ノ出納事務ヲ掌ル
第百五十七條 區ハ其ノ必要ナル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
前項ノ規定ニ依ル支出ハ區ノ財產ヨリ生ズル收入其ノ他法令ニ依リ區ニ屬スル收入ヲ以テ之ニ充テ仍不足アルトキハ都ハ都費ヲ以テ之ニ充ツベシ
第百五十八條 區ハ第一次ニ於テ都長官、第二次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
第百五十九條 本法ニ規定スルモノノ外區會議員ノ選擧、區會ノ職務權限、區ノ財務、區ノ監督其ノ他區ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二節 市町村
第百六十條 都內ノ市町村ニ付テハ市制第三條乃至第五條、第九條乃至第十一條、第十四條、第二十條ノ二乃至第二十一條ノ五、第七十六條及第百七十二條竝ニ町村制第三條、第四條、第七條乃至第九條、第十二條、第十七條ノ二乃至第十八條ノ五、第六十三條第九項及第百五十三條ノ規定ニ拘ラズ本法ノ定ムル所ニ依ル
第百六十一條 第百四十一條及第百四十二條ノ規定ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更其ノ他市町村ノ境界ニ關シ之ヲ準用ス
第百六十二條 二年以來市町村內ニ住所ヲ有スル都公民ハ市町村ノ選擧ニ參與シ市町村ノ名譽職ニ就ク權利ヲ有シ市町村ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者名譽職ニ就クコトヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ市町村ハ市町村會ノ議決ヲ經テ一年以上四年以下其ノ市町村ノ公務ニ參與スルノ權ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ爲常ニ市町村內ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齡六十年以上ノ者
四 官公職ノ爲市町村ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上其ノ市町村ノ名譽職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル者
六 其ノ他市町村會ノ議決ニ依リ正當ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ都長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
都公民租稅滯納處分中ハ市町村ノ名譽職ニ就クコトヲ得ズ
第百六十三條 市町村ハ市町村會ノ議決ヲ經テ前條第一項ノ規定ニ依ル二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
前條第一項ノ規定ニ依ル二年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第百六十四條 第八條ノ規定ニ該當スル者ハ市町村ノ公務ニ參與スルコトヲ得ズ
第百六十五條 二年以來市町村內ニ住所ヲ有スル都公民(第百六十三條第一項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタル者ヲ含ム)ハ總テ市町村會議員ノ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者、第百六十二條第二項ノ規定ニ依リ市町村ノ公務ニ參與スルノ權ヲ停止セラレ其ノ停止中ノ者又ハ前條ノ規定ニ依リ市町村ノ公務ニ參與スルコトヲ得ザル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第百六十六條 有給市町村長、有給助役、考査役、收入役及副收入役ハ第百六十二條第一項及前條ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ市町村ノ市町村會議員ノ選擧權ヲ有ス
第百六十七條 市町村會議員ノ選擧ハ其ノ市町村ニ於ケル都議會議員選擧人名簿中其ノ名簿調製期日ニ於テ市町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者ニ關スル部分(以下都議會議員選擧人名簿中關係部分ト稱ス)及第四項ノ選擧人名簿ニ依リ之ヲ行フ
市町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者ノ年齡ハ前項ノ選擧人名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
都議會議員選擧人名簿中關係部分ノ脫漏又ハ誤載ニ關シテハ第十九條ノ例ニ依ル
市町村長ハ前條ノ規定ニ依リ市町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者ノ選擧人名簿ヲ調製スベシ
第十七條第一項及第四項竝ニ第十八條乃至第二十一條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百六十八條 都內ノ市町村ニ付テハ市制及町村制中府縣知事又ハ知事トアルハ都長官、府縣高等官トアルハ都高等官、府縣名譽職參事會員トアルハ都參事會員トス
都內ノ市ニ付テハ市制第十六條第四項中第七十六條又ハ第七十九條第三項ノ規定ニ依リ市公民タル者トアルハ東京都制第百六十六條ノ規定ニ依リ市會議員ノ選擧權ヲ有スル者、市制第十八條第一項中選擧權ヲ有スル市公民トアルハ市會議員ノ選擧權ヲ有スル者、市制第七十三條第五項及第八十二條第二項中市公民中選擧權ヲ有スル者トアルハ市會議員ノ選擧權ヲ有スル者、市制第八十二條ノ二第三項中市公民トアルハ市會議員ノ選擧權ヲ有スル者、市制第八十四條第一項中市公民トアリ市公民タル者トアルハ市會議員ノ選擧權ヲ有スル者、市制第百七十條第三項中府縣制中名譽職參事會員及府縣參事會ニ關スル規定トアルハ東京都制中都參事會員及都參事會ニ關スル規定トス
都內ノ町村ニ付テハ町村制第十五條第一項及第三十八條第一項中選擧權ヲ有スル町村公民トアルハ町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者、町村制第六十三條第八項及第六十八條第二項中町村公民中選擧權ヲ有スル者トアルハ町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者、町村制第六十九條第三項中町村公民トアルハ町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者、町村制第七十條第一項中町村公民トアリ町村公民タル者トアルハ町村會議員ノ選擧權ヲ有スル者、町村制第百五十條第三項中府縣制中名譽職參事會員及府縣參事會ニ關スル規定トアルハ東京都制中都參事會員及都參事會ニ關スル規定トス
第九章 雜則
第百六十九條 都ノ境界變更アリタル場合ニ於テ都ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外命令ヲ以テ之ヲ定ム
第百七十條 都內ノ町村組合ニシテ町村事務ノ全部ヲ共同處理スルモノハ第一章第一節、第二章第一節及第四章ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合會ハ之ヲ町村會、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ吏員ハ之ヲ町村ノ吏員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス但シ第三條第一項又ハ第二十一條第三項中町村トアルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
都內ノ町村組合ニシテ町村ノ役場事務ヲ共同處理スルモノハ第二章第一節及第四章ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ吏員ハ之ヲ町村ノ吏員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス但シ第二十一條第三項中町村トアルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百七十一條 本法中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
第百七十二條 第六十七條第一項(第九十三條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及第百四條第一項ノ規定ニ依ル都長官ノ職權ハ警視總監モ亦之ヲ行フ
第百七十三條 都ト府縣又ハ都外ノ市町村トガ其ノ事務ノ一部ヲ共同處理スル爲組織スル組合ノ設置、管理其ノ他必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ組合ハ法人トス
第百七十四條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧ニ關スル罰則ヲ準用ス
第百七十五條 本法中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百七十六條 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分ヲ受ケ又ハ決定書若ハ裁定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スベシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ處分ヲ受ケ又ハ決定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ但シ第九十七條第四項ノ規定ニ依リ吿示ヲ爲シタル場合ニ於テハ吿示ノ日ヲ以テ處分ヲ受ケタル日ト看做ス
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ關シテハ前二項ノ期間ハ吿示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要アリト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百七十七條 異議ノ決定ハ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ
都長官訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三十日以內ニ之ヲ裁決スベシ
第百七十八條 島嶼ニ關スル行政ノ特例ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
附 則
第百七十九條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八十條 東京府、東京市及東京市ノ區ハ之ヲ廢ス
第百八十一條 本法施行ノ際東京府及東京市ニ屬スル財產、營造物、事業及權利義務ハ都之ヲ承繼ス
第百八十二條 本法施行ニ至ル迄引續キ東京府ノ區域內ニ住所ヲ有シタル者ハ第六條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ期間引續キ都內ニ住所ヲ有シタル者ト看做ス
第百八十三條 舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ本法ノ適用ニ付テハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス但シ復權ヲ得タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
舊刑法ノ禁錮以上ノ刑ハ本法ノ適用ニ付テハ禁錮以上ノ刑ト看做ス
第百八十四條 本法施行前東京府又ハ東京市ノ名譽職ニ任ジタル者ハ第七條第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ都ノ名譽職ニ任ジタルモノト看做ス
第百八十五條 本法施行後初テ議員ヲ選擧スル場合ニ於テ必要ナル選擧人名簿ニ關シテハ命令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
前項ノ選擧人名簿ハ次ノ選擧人名簿確定迄其ノ效力ヲ有ス
第百八十六條 本法施行ノ際東京市ノ區ニ屬スル財產、營造物、事業及權利義務ハ各其ノ區域ヲ以テ區域トスル區之ヲ承繼ス
第百八十七條 本法施行ノ際東京市ノ區ノ區會議員ノ職ニ在ル者ハ各其ノ區域ヲ以テ區域トスル區ノ區會議員ト爲リタルモノトシ其ノ任期ハ昭和十九年三月三十一日迄トス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ職ニ在ル者ノ數第百四十四條ノ定數ヲ超ユルモ其ノ數ヲ以テ議員ノ定數トス但シ議員中缺員ヲ生ジタルトキハ之ニ應ジ其ノ議員ノ定數ハ同條ノ定數ニ至ル迄減少スルモノトス
第百八十八條 本法施行ノ際東京府內ノ市町村ノ市町村住民ニシテ市制第九條第二項又ハ町村制第七條第二項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタルモノハ第百六十三條第一項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタルモノト看做ス
第百八十九條 東京府又ハ東京市ノ有給吏員本法施行ノ際引續キ都ノ官吏ト爲リタルトキハ恩給法ノ適用ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ官吏ノ在職ニ繼續スル有給吏員ノ勤續年月數ハ之ヲ公務員トシテノ在職年ニ通算ス
第百九十條 他ノ法律(市制、町村制、府縣制、北海道會法、北海道地方費法、地方稅法、地方分與稅法及大正十一年法律第一號竝ニ特ニ東京都ニ關スル規定ヲ設ケタルモノヲ除ク以下同ジ)中東京府又ハ東京府知事トアルハ各東京都又ハ東京都長官トス
他ノ法律中府縣制、府縣、府縣廳、府縣條例、府縣會、府縣會議員、府縣參事會、府縣名譽職參事會員、府縣知事、府縣吏員、府縣出納吏、府縣費又ハ府縣稅トアルハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外各東京都制、東京都、東京都廳、東京都條例、東京都議會、東京都議會議員、東京都參事會、東京都參事會員、東京都長官、東京都ノ官吏及吏員、東京都出納吏、東京都費又ハ東京都稅ヲ含ムモノトシ其ノ他府縣ニ係ル規定ニ付之ニ準ズルモノトス
第百九十一條 他ノ法律中東京市トアルハ東京都トス
他ノ法律中市制第六條ノ市トアルハ東京都ヲ含ムモノトス
他ノ法律中市制、市、市役所、市條例、市會、市會議員、市參事會、市名譽職參事會員、市長、市吏員、市收入役、市費又ハ市稅トアルハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外各東京都制、東京都、東京都廳、東京都條例、東京都議會、東京都議會議員、東京都參事會、東京都參事會員、東京都長官、東京都ノ官吏及吏員、東京都出納吏、東京都費又ハ東京都稅ヲ含ムモノトシ其ノ他市ニ係ル規定ニ付之ニ準ズルモノトス
前三項ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外東京都ノ區ノ存スル區域ヲ以テ東京都ノ區域ト看做ス
第百九十二條 他ノ法律中府縣制又ハ市制ノ規定ヲ揭グル場合ニ於テ本法中之ニ相當スル規定アルトキハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲ス場合ヲ除クノ外各之ニ本法ノ相當規定ヲ含ムモノトス
第百九十三條 府縣制中左ノ通改正ス
第四條第二項但書中「東京市」ヲ削ル
第八十一條第三項中「北海道府縣」ヲ「東京都北海道府縣」ニ改ム
第百三十九條ノ二ヲ削ル
第百九十四條 
市制第百七十條第六項及町村制第百五十條第六項中「北海道府縣」ヲ「東京都北海道府縣」ニ改ム
第百九十五條 
大正十一年法律第一號中「東京市、」ヲ削ル
第百九十六條 地方稅法中左ノ通改正ス
第一條第三項中「北海道地方費」ヲ「東京都及北海道地方費」ニ、同條第四項中「北海道地方稅、北海道廳長官、北海道地方費吏員、北海道參事會又ハ北海道條例」ヲ「東京都稅若ハ北海道地方稅、東京都長官若ハ北海道廳長官、東京都吏員若ハ北海道地方費吏員、東京都參事會若ハ北海道參事會又ハ東京都條例若ハ北海道條例」ニ、同條第五項中「北海道ノ市町村」ヲ「東京都又ハ北海道ノ市町村」ニ、「北海道廳長官」ヲ「東京都長官又ハ北海道廳長官」ニ改ム
第八十五條ノ二 東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ第四十六條ノ規定ノ準用ニ付テハ同條中百分ノ百トアルハ百分ノ三百、百分ノ百二十トアルハ百分ノ三百六十、災害應急費トアルハ國民學校營繕費、災害應急費トス
第八十五條ノ三 東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ第四十七條ノ規定ノ準用ニ付テハ同條中百分ノ十トアルハ百分ノ二十トス
第八十五條ノ四 東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ第四十八條ニ揭グルモノノ外獨立稅トシテ左ノ東京都稅ヲ課スルコトヲ得
都民稅
舟稅
自轉車稅
荷車稅
金庫稅
扇風機稅
屠畜稅
犬稅
東京都ハ其ノ區ノ存スル區域ニ於テ前項ニ揭グルモノノ外別ニ稅目ヲ起シテ獨立稅ヲ課スルコトヲ得
前項ノ獨立稅ノ新設及變更ニ付テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八十五條ノ五 第六十四條乃至第七十三條ノ規定ハ前條第一項ノ規定ニ依ル獨立稅ノ課稅ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ東京都ノ區ノ存スル區域ヲ以テ市ト看做ス
第八十五條ノ六 東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ第七十五條第一項ノ規定ノ準用ニ付テハ同項中百分ノ二十五トアルハ百分ノ九十三、百分ノ十三トアルハ百分ノ四十七(第八十五條ノ四ノ獨立稅ニ付テハ百分ノ三十四)トス
第八十五條ノ七 都民稅ニ對シテハ東京都稅獨立稅割ヲ課スルコトヲ得ズ
東京都ハ其ノ區ノ存スル區域ニ於テハ第七十五條第一項ニ揭グルモノノ外別ニ稅目ヲ起シテ都市計畫稅ヲ課スルコトヲ得
前項ノ都市計畫稅ノ新設及變更ニ付テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八十五條ノ八 東京都ハ區ノ存スル區域ニ於テハ水利地益稅ヲ課スルコトヲ得
第七十八條ノ規定ハ前項ノ水利地益稅ノ課稅ニ付之ヲ準用ス
第八十五條ノ九 東京都ハ區ノ存スル區域ニ於テハ共同施設稅ヲ課スルコトヲ得
第七十九條ノ規定ハ前項ノ共同施設稅ノ課稅ニ付之ヲ準用ス
第八十五條ノ十 東京都ノ區ノ存スル區域ニ於ケル東京都稅及之ニ關聯ヲ有スル東京都內ノ市町村ノ市町村稅ニ關スル事項ニシテ本法ニ依リ難キモノニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第百九十七條 地方分與稅法中左ノ通改正ス
第一條中「道府縣」ヲ「都道府縣」ニ改ム
第四條中「道府縣」ヲ「都道府縣」ニ、「北海道廳長官」ヲ「東京都長官及北海道廳長官」ニ改ム
第四章中第四十一條ノ前ニ左ノ一條ヲ加フ
第四十條ノ二 配付稅ノ分與ニ關シテハ東京都ハ其ノ全區域ニ付テハ之ヲ道府縣、其ノ區ノ存スル區域ニ付テハ之ヲ市ト看做ス
第百九十八條 本法施行前東京府會議員又ハ東京市會議員(同市ノ區ノ區會議員ヲ含ム)ノ選擧ニ關シ府縣制第四十條又ハ市制第四十條ニ於テ準用スル衆議院議員選擧ニ關スル罰則ヲ適用スベカリシ行爲ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第百九十九條 本法施行ニ關シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル東京都制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年五月三十一日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
内務大臣 安藤紀三郎
法律第八十九号
東京都制目次
第一章
総則
第一節
都及其ノ区域
第二節
都住民及其ノ権利義務
第三節
都条例及都規則
第二章
都議会
第一節
組織及選挙
第二節
職務権限
第三章
都参事会
第一節
組織及選挙
第二節
職務権限
第四章
都ノ官吏及吏員
第五章
給料及給与
第六章
都ノ財務
第一節
財産、営造物及都税
第二節
歳入出予算及決算
第七章
都ノ監督
第八章
区市町村
第一節
第二節
市町村
第九章
雑則
東京都制
第一章 総則
第一節 都及其ノ区域
第一条 東京都ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範囲内ニ於テ其ノ公共事務及法令ニ依リ都ニ属スル事務ヲ処理ス
第二条 都ノ区域ハ従来ノ東京府ノ区域ニ依ル
第三条 都ノ境界変更ヲ要スルトキハ法律ヲ以テ之ヲ定ム但シ区市町村ノ設置ヲ伴ハザル場合ニ於テハ都参事会並ニ関係アル府県参事会及区市町村会ノ意見ヲ徴シテ内務大臣之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ財産アルトキハ其ノ処分ハ都参事会並ニ関係アル府県参事会及区市町村会ノ意見ヲ徴シテ内務大臣之ヲ定ム但シ特ニ法律ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
都ノ境界変更ニ伴フ府県又ハ都外ノ市町村ノ廃置分合、境界変更又ハ財産処分ハ前二項ノ規定ニ依ル
所属未定地ヲ都ノ区域ニ編入セントスルトキハ第一項但書ノ例ニ依ル
第四条 都ト都外ノ市町村トノ境界ニ関スル争論ハ内務大臣之ヲ裁定ス
都ト都外ノ市町村トノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ争論ナキトキハ内務大臣之ヲ決定スベシ
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ都及関係アル市町村ニ交付スベシ
市制第五条及町村制第四条ノ規定ハ前三項ノ場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第二節 都住民及其ノ権利義務
第五条 都内ニ住所ヲ有スル者ハ都住民トス
都住民ハ本法ニ従ヒ都ノ営造物ヲ共用スル権利ヲ有シ都ノ負担ヲ分任スル義務ヲ負フ
第六条 帝国臣民タル年齢二十五年以上ノ男子ニシテ二年以来都住民タルモノハ都公民トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治産者及準禁治産者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザルモノ
三 貧困ニ因リ生活ノ為公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ掲グル罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相当スル期間ヲ経過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未満ノ禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ前号ニ掲グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
都ハ都参事会ノ議決ヲ経テ前項ノ規定ニ依ル二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル二年ノ期間ハ都ノ境界変更ノ為中断セラルルコトナシ
第七条 都公民ハ都ノ選挙ニ参与シ都ノ名誉職ニ就ク権利ヲ有シ都ノ名誉職ヲ担任スル義務ヲ負フ
左ノ各号ノ一ニ該当セザル者名誉職ニ就クコトヲ辞シ又ハ其ノ職ヲ辞シ若ハ其ノ職務ヲ実際ニ執行セザルトキハ都ハ都参事会ノ議決ヲ経テ一年以上四年以下其ノ都公民権ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ為常ニ都内ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齢六十年以上ノ者
四 官公職ノ為都ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上都ノ名誉職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ経過セザル者
六 其ノ他都参事会ノ議決ニ依リ正当ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル処分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
都公民租税滞納処分中ハ都ノ名誉職ニ就クコトヲ得ズ
第八条 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者及帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ又ハ兵役法第五十五条第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該当スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノハ都ノ公務ニ参与スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル学生生徒(勅令ヲ以テ定ムル者ヲ除ク)亦同ジ
第三節 都条例及都規則
第九条 都ハ都住民ノ権利義務又ハ都ノ事務ニ関シ都条例ヲ設クルコトヲ得
都ハ都ノ営造物又ハ都ノ事務ニ関シ都条例ヲ以テ規定スルモノノ外都規則ヲ設クルコトヲ得
都条例及都規則ハ一定ノ公告式ニ依リ之ヲ告示スベシ
第二章 都議会
第一節 組織及選挙
第十条 都ニ都議会ヲ置ク
都議会議員ハ其ノ被選挙権アル者ニ就キ選挙人之ヲ選挙ス
議員ノ定数ハ百人トス
第十一条 都議会議員ハ各選挙区ニ於テ之ヲ選挙ス
選挙区ハ区市ノ区域又ハ地方事務所長若ハ支庁長ノ管轄区域ニ依ル
前項ノ区域ノ人口著シク少キトキハ都条例ヲ以テ其ノ区域ト隣接ノ区域トヲ合セテ一選挙区ヲ設クルコトヲ得
議員ノ任期中新ニ第二項ノ区域ノ設定アリタル場合ニ於テ従前其ノ区域ノ属シタル選挙区ノ配当議員数同項ノ規定ニ依ル関係選挙区ノ数ニ達セザルトキハ同項ノ規定ノ適用ニ付テハ次ノ総選挙ニ至ル迄ノ間其ノ区域ハ仍設定セラレザルモノト看做ス
前二項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二条 各選挙区ニ於テ選挙スベキ都議会議員ノ数ハ都条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
議員ノ配当ニ関シ必要ナル事項ハ内務大臣之ヲ定ム
第十三条 都公民ハ総テ都議会議員ノ選挙権ヲ有ス但シ公民権停止中ノ者又ハ第八条ノ規定ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十四条 都議会議員ノ選挙権ヲ有スル都公民ハ其ノ被選挙権ヲ有ス
在職ノ検事、警察官吏及収税官吏ハ被選挙権ヲ有セズ
選挙事務ニ関係アル官吏及吏員ハ其ノ関係区域内ニ於テハ被選挙権ヲ有セズ
都ノ官吏及有給ノ吏員、教員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ都議会議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
衆議院議員ハ都議会議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十五条 都議会議員ハ名誉職トス
議員ノ任期ハ四年トシ総選挙ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第十六条 都議会議員中欠員ヲ生ジタルトキハ其ノ欠員ト為リタル議員ガ選挙ノ期日ヨリ一年以内ニ欠員ト為リタルモノナル場合ニ於テ第四十四条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキ又ハ選挙ノ期日ヨリ一年経過後ニ於テ欠員ト為リタルモノナル場合ニ於テ同条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第五十条第四項ノ規定ヲ準用ス
前項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク若ハ同項ノ規定ノ適用ニ依リ当選者ヲ定ムルモ仍其ノ欠員ノ数ガ第五十条第一項ニ謂フ当選者ノ不足数ト通ジテ議員定数ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ都長官ニ於テ必要アリト認ムルトキハ補欠選挙ヲ行フベシ此ノ場合ニ於テハ第五十条第五項ノ規定ヲ準用ス
議員ノ欠員ノ数第五十条第一項ニ謂フ当選者ノ不足数ト通ジテ議員定数ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至ラザルモ第五十五条第一項又ハ第三項ノ選挙ノ行ハルル場合ニ於テハ其ノ選挙ト同時ニ補欠選挙ヲ行フベシ但シ第五十五条第一項又ハ第三項ノ選挙ノ告示アリタル後議員中欠員ヲ生ジタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五十条第七項ノ規定ハ前項ノ補欠選挙ニ之ヲ準用ス
補欠議員ハ其ノ前任者ノ残任期間在任ス
第十七条 区市町村長ハ毎年九月十五日ノ現在ニ依リ選挙人名簿ヲ調製スベシ
名簿ニハ其ノ区市町村内ニ住所ヲ有スル選挙人ヲ登録スベシ
選挙人ノ年齢ハ名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
名簿ニハ選挙人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十八条 区市町村長ハ十一月五日ヨリ十五日間区役所、市役所、町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選挙人名簿ヲ関係者ノ縦覧ニ供スベシ
区市町村長ハ縦覧開始ノ日前三日目迄ニ縦覧ノ場所ヲ告示スベシ
第十九条 選挙人名簿ニ脱漏又ハ誤載アリト認ムルトキハ関係者ハ縦覧期間内ニ区市町村長ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ区市町村長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ決定シ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ニ不服アル者ハ其ノ決定アリタル日ヨリ七日以内ニ都長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ決定ヲ為シ又ハ名簿ノ修正ヲ為シタルトキハ区市町村長、前項ノ規定ニ依リ裁決ヲ為シタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スベシ
第二十条 選挙人名簿ハ十二月二十日ヲ以テ確定ス
名簿ハ次年ノ十二月十九日迄之ヲ据置クベシ
前条第二項ノ場合ニ於テ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ因リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ区市町村長ハ直ニ之ヲ修正スベシ
前項ノ規定ニ依リ名簿ノ修正ヲ為シタルトキハ区市町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スベシ
第二十一条 天災事変等ノ為必要アルトキハ更ニ選挙人名簿ヲ調製スベシ
前項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縦覧、確定及異議ノ決定ニ関スル期日及期間ハ都長官ノ定ムル所ニ依ル
区市町村ノ廃置分合又ハ境界変更アリタル場合ニ於テ名簿ニ関シ其ノ分合其ノ他必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 都長官ハ選挙ノ期日前二十日目迄ニ選挙ヲ行フベキ選挙区、投票ノ日時及各選挙区ニ於テ選挙スベキ議員数ヲ告示スベシ
天災事変等ノ為投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ都長官ハ当該選挙区又ハ投票区ニ付投票ヲ行フベキ日時ヲ定メ投票ノ期日前七日目迄ニ之ヲ告示スベシ
第二十三条 議員候補者タラントスル者ハ選挙ノ期日ノ告示アリタル日ヨリ選挙ノ期日前七日目迄ニ其ノ旨ヲ選挙長ニ届出ヅベシ
選挙人名簿ニ登録セラレタル者他人ヲ議員候補者ト為サントスルトキハ前項ノ期間内ニ其ノ推薦ノ届出ヲ為スコトヲ得
前二項ノ期間内ニ届出アリタル議員候補者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ヲ超ユル場合ニ於テ其ノ期間ヲ経過シタル後議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ前二項ノ例ニ依リ選挙ノ期日前二日目迄議員候補者ノ届出又ハ推薦届出ヲ為スコトヲ得
議員候補者ハ選挙長ニ届出ヲ為スニ非ザレバ議員候補者タルコトヲ辞スルコトヲ得ズ
前四項ノ規定ニ依ル届出アリタルトキ又ハ議員候補者ノ死亡シタルコトヲ知リタルトキハ選挙長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スベシ
第二十四条 議員候補者ノ届出又ハ推薦届出ヲ為サントスル者ハ議員候補者一人ニ付二百円又ハ之ニ相当スル額面ノ国債証書ヲ供託スルコトヲ要ス
議員候補者ノ得票数其ノ選挙区ノ配当議員数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ十分ノ一ニ達セザルトキハ前項ノ規定ニ依ル供託物ハ都ニ帰属ス
前項ノ規定ハ議員候補者選挙ノ期日前十日以内ニ議員候補者タルコトヲ辞シタル場合ニ之ヲ準用ス但シ被選挙権ヲ有セザルニ至リタル為議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十五条 投票区ハ区市町村ノ区域ニ依ル
都長官必要アリト認ムルトキハ区市町村ノ区域ヲ分チテ数投票区ヲ設ケ又ハ数町村ノ区域ヲ合セテ一投票区ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ投票区ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十六条 区市町村長ハ投票管理者ト為リ投票ニ関スル事務ヲ担任ス
投票所ハ区役所、市役所、町村役場又ハ投票管理者ノ指定シタル場所ニ之ヲ設ク
投票管理者ハ選挙ノ期日前五日目迄ニ投票所ヲ告示スベシ
第二十七条 議員候補者ハ各投票区ニ於ケル選挙人名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ本人ノ承諾ヲ得テ投票立会人一人ヲ定メ選挙ノ期日前二日目迄ニ投票管理者ニ届出ヅルコトヲ得但シ議員候補者死亡シ又ハ議員候補者タルコトヲ辞シタルトキハ其ノ届出デタル投票立会人ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ニ依ル投票立会人三人ニ達セザルトキ若ハ三人ニ達セザルニ至リタルトキ又ハ投票立会人ニシテ参会スルモノ投票所ヲ開クベキ時刻ニ至リ三人ニ達セザルトキ若ハ其ノ後三人ニ達セザルニ至リタルトキハ投票管理者ハ其ノ投票区ニ於ケル名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ三人ニ達スル迄ノ投票立会人ヲ選任シ直ニ之ヲ本人ニ通知シ投票ニ立会ハシムベシ
投票立会人ハ名誉職トス
第二十八条 選挙人ニ非ザル者ハ投票所ニ入ルコトヲ得ズ但シ投票所ノ事務ニ従事スル者、投票所ヲ監視スル職権ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
投票所ニ於テ演説討論ヲ為シ若ハ喧擾ニ渉リ又ハ投票ニ関シ協議若ハ勧誘ヲ為シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ投票所外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ為スコトヲ得但シ投票管理者投票所ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ為サシムルヲ妨ゲズ
第二十九条 選挙ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ到リ選挙人名簿ノ対照ヲ経又ハ確定裁決書若ハ判決書ヲ提示シテ投票ヲ為スベシ
投票時間内ニ投票所ニ入リタル選挙人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ為スコトヲ得
選挙人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ議員候補者一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ関スル記載ニ付テハ勅令ヲ以テ定ムル点字ハ之ヲ文字ト看做ス
自ラ議員候補者ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ
投票用紙ハ都長官ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
名簿調製ノ後選挙人其ノ投票区域外ニ住所ヲ移シタル場合ニ於テ仍選挙権ヲ有スルトキハ前住所地ノ投票所ニ於テ投票ヲ為スベシ
第三十条 確定名簿ニ登録セラレザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ但シ選挙人名簿ニ登録セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選挙ノ当日投票所ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登録セラレタル者名簿ニ登録セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ為スコトヲ得ズ選挙ノ当日選挙権ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第三十一条 投票ノ拒否ハ投票立会人ノ意見ヲ聴キ投票管理者之ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル選挙人不服アルトキハ投票管理者ハ仮ニ投票ヲ為サシムベシ
前項ノ投票ハ選挙人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票立会人ニ於テ異議アル選挙人ニ付亦前二項ニ同ジ
第三十二条 選挙人ニシテ勅令ノ定ムル事由ニ因リ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ投票所ニ到リ投票ヲ為スコト能ハザルベキコトヲ証スルモノノ投票ニ関シテハ第二十九条第三項及第五項、第三十条第一項但書並ニ前条ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三十三条 投票管理者ハ投票録ヲ作リ投票ニ関スル顛末ヲ記載シ二人以上ノ投票立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
第三十四条 投票管理者ハ其ノ指定シタル投票立会人ト共ニ区市ノ投票区ニ於テハ投票ノ当日、町村ノ投票区ニ於テハ投票ノ翌日迄ニ投票函、投票録及選挙人名簿ヲ選挙長ニ送致スベシ
第三十五条 島嶼ニ於テ前条ノ期日ニ投票函ヲ送致スルコト能ハザル情況アリト認ムルトキハ都長官ハ適宜ニ其ノ投票ノ期日ヲ定メ選挙会ノ期日迄ニ其ノ投票函、投票録及選挙人名簿ヲ送致セシムルコトヲ得
第三十六条 選挙長ハ区長、市長、地方事務所長又ハ支庁長ヲ以テ之ニ充ツ
選挙長ハ選挙会ニ関スル事務ヲ担任ス
選挙会ハ区役所、市役所、地方事務所、支庁又ハ選挙長ノ指定シタル場所ニ之ヲ開ク
選挙長ハ予メ選挙会ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第三十七条 都長官特別ノ事情アリト認ムルトキハ区画ヲ定メテ開票区ヲ設クルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ開票区ヲ設クル場合ニ於テ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八条 第二十七条ノ規定ハ選挙立会人ニ之ヲ準用ス
第三十九条 選挙長ハ総テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日選挙会ヲ開クベシ
選挙長ハ選挙立会人立会ノ上投票函ヲ開キ先ヅ第三十一条第二項及第四項ノ投票ヲ調査シ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ其ノ受理如何ヲ決定スベシ
選挙長ハ選挙立会人ト共ニ区市町村其ノ他都長官ノ定ムル区域毎ニ投票ヲ点検スベシ
天災事変等ノ為選挙会ヲ開クコト能ハザルトキハ選挙長ハ更ニ其ノ期日ヲ定ムベシ
第四十条 選挙人ハ其ノ選挙会ノ参観ヲ求ムルコトヲ得
第四十一条 第二十八条第一項及第二項ノ規定ハ選挙会場ノ取締ニ之ヲ準用ス
第四十二条 投票ノ効力ハ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ選挙長之ヲ決定スベシ
第四十三条 左ノ投票ハ之ヲ無効トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 議員候補者ニ非ザル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選挙権ナキ議員候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
五 議員候補者ノ氏名ノ外他事ヲ記載シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬称ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 議員候補者ノ氏名ヲ自書セザルモノ
七 議員候補者ノ何人ヲ記載シタルカヲ確認シ難キモノ
八 都議会議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
前項第八号ノ規定ハ第十六条、第五十条又ハ第五十五条第一項若ハ第三項ノ規定ニ依ル選挙ノ場合ニ限リ之ヲ適用ス
第四十四条 都議会議員ノ選挙ハ有効投票ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス但シ其ノ選挙区ノ配当議員数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ五分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
当選者ヲ定ムルニ当リ得票ノ数同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齢同ジキトキハ選挙長抽籤シテ之ヲ定ム
第四十五条 当選者選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ当選ヲ失フ
第四十六条 第二十三条第一項乃至第三項ノ規定ニ依ル届出アリタル議員候補者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ヲ超エザルトキハ其ノ選挙区ニ於テハ投票ヲ行ハズ
前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトヲ要セザルトキハ選挙長ハ直ニ其ノ旨ヲ投票管理者ニ通知シ併セテ之ヲ告示シ且都長官ニ報告スベシ
投票管理者前項ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタルトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示スベシ
第一項ノ場合ニ於テハ選挙長ハ選挙ノ期日ヨリ五日以内ニ選挙会ヲ開キ議員候補者ヲ以テ当選者ト定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ議員候補者ノ被選挙権ノ有無ハ選挙立会人ノ意見ヲ聴キ選挙長之ヲ決定スベシ
第四十七条 選挙長ハ選挙録ヲ作リ選挙会ニ関スル顛末ヲ記載シ二人以上ノ選挙立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
選挙録、投票録、投票其ノ他ノ関係書類ハ選挙長ニ於テ、選挙人名簿ハ区市町村長ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第四十八条 当選者定マリタルトキハ選挙長ハ直ニ当選者ニ当選ノ旨ヲ告知シ同時ニ当選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選挙録及投票録ノ写ヲ添ヘ之ヲ都長官ニ報告スベシ当選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選挙録及投票録ノ写ヲ添ヘ之ヲ都長官ニ報告スベシ
当選者当選ヲ辞セントスルトキハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ之ヲ都長官ニ申立ツベシ
一人ニシテ数選挙区ニ於テ当選シタル者ハ最終ニ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ何レノ当選ニ応ズベキカヲ都長官ニ申立ツベシ其ノ期間内ニ之ヲ申立テザルトキハ都長官抽籤シテ之ヲ定ム
官吏ニシテ当選シタルモノハ所属長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ応ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ニ応ズベキ旨ヲ都長官ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス第三項ノ場合ニ於テ何レノ当選ニ応ズベキカヲ申立テザルトキハ総テ之ヲ辞シタルモノト看做ス
都ニ対シ請負ヲ為シ又ハ都ニ於テ費用ヲ負担スル事業ニ付都長官若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ対シ請負ヲ為ス者又ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ当選シタルモノハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ為ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ当選ニ応ズルコトヲ得ズ第二項又ハ第三項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ都長官ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者並ニ清算人ヲ謂フ
第四十九条 選挙長ハ前条第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ為シタルトキハ直ニ選挙人名簿ヲ町村長ニ返付スベシ
第五十条 当選者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スル場合ニ於テ第二項若ハ第三項ノ規定ノ適用ヲ受クル者ナク又ハ第二項若ハ第三項ノ規定ノ適用ニ依リ当選者ヲ定ムルモ仍当選者ノ不足数ガ第十六条第二項ニ謂フ議員ノ欠員ノ数ト通ジテ議員定数ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至リタルトキ又ハ都長官ニ於テ必要アリト認ムルトキハ更ニ選挙ヲ行フベシ
一 当選ヲ辞シタルトキ
二 数選挙区ニ於テ当選シタル場合ニ於テ第四十八条第三項ノ規定ニ依リ一ノ選挙区ノ当選ニ応ジ又ハ抽籤ニ依リ一ノ選挙区ノ当選者ト定マリタル為他ノ選挙区ニ於テ当選者タラザルニ至リタルトキ
三 第四十五条ノ規定ニ依リ当選ヲ失ヒタルトキ
四 死亡者ナルトキ
五 選挙ニ関スル犯罪ニ因リ刑ニ処セラレ其ノ当選無効ト為リタルトキ但シ同一人ニ関シ前各号ノ事由ニ因リ選挙又ハ補欠選挙ノ告示ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
六 第五十四条ノ規定ニ依ル訴訟ノ結果当選無効ト為リタルトキ
前項第一号乃至第四号ノ事由ヲ生ジタル場合ニ於テ第四十四条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ
第一項第五号又ハ第六号ノ事由ヲ生ジタルトキハ其ノ選挙ノ期日ヨリ一年以内ナル場合ニ於テ第四十四条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキ又ハ其ノ選挙ノ期日ヨリ一年経過後ナル場合ニ於テ同条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノアルトキハ前項ノ規定ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テ第四十四条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシモノ選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ当選者ト定ムルコトヲ得ズ
第一項ノ事由議員ノ任期満了前六月以内ニ生ジタルトキハ同項ノ選挙ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ数其ノ定数ノ三分ノ二ニ満タザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
当選者ノ不足数第十六条第二項ニ謂フ議員ノ欠員ノ数ト通ジテ議員定数ノ六分ノ一ヲ超ユルニ至ラザルモ第五十五条第一項又ハ第三項ノ選挙ノ行ハルル場合ニ於テハ其ノ選挙ト同時ニ更ニ選挙ヲ行フベシ但シ第五十五条第一項又ハ第三項ノ選挙ノ告示アリタル後第一項ノ事由ヲ生ジタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ行フ選挙ノ期日ハ第五十五条第一項又ハ第三項ノ選挙ノ期日ニ依ル
第五十一条 第四十八条第二項ノ期間ヲ経過シタルトキ、同条第三項若ハ第五項ノ規定ニ依ル申立アリタルトキ又ハ同条第三項ノ規定ニ依リ抽籤ヲ為シタルトキハ都長官ハ直ニ当選者ニ当選証書ヲ付与シ当選者ノ住所氏名ヲ告示スベシ
当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ旨ヲ告示スベシ
第五十二条 選挙ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選挙ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選挙ノ全部又ハ一部ヲ無効トス但シ当選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ区分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ当選ヲ失フコトナシ
第五十三条 選挙人又ハ議員候補者選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ選挙ニ関シテハ選挙ノ日ヨリ、当選ニ関シテハ第四十八条第一項又ハ第五十一条第二項ノ規定ニ依ル告示ノ日ヨリ十四日以内ニ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル異議ノ申立アリタルトキハ都長官ハ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ規定ニ依リ決定ヲ為シタルトキハ都長官ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スベシ
第二項ノ規定ニ依ル都長官ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
都長官選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ第四十八条第一項ノ規定ニ依ル報告ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十六条、第五十条、第五十五条第一項若ハ第三項又ハ第五十六条ノ選挙ハ之ニ関係アル選挙又ハ当選ニ関スル異議ノ申立期間、異議ノ決定確定セザル間又ハ訴訟ノ繋属スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
都議会議員ハ選挙又ハ当選ニ関スル決定確定シ又ハ判決アル迄ハ会議ニ参与スルノ権ヲ失ハズ
第五十四条 衆議院議員選挙法第百十条ノ規定ノ準用ニ依リ当選ヲ無効ナリト認ムルトキハ選挙人又ハ議員候補者ハ当選者ヲ被告トシ第四十八条第一項ノ規定ニ依ル告示ノ日ヨリ三十日以内ニ控訴院ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル控訴院ノ判決ニ不服アル者ハ大審院ニ上告スルコトヲ得
検事ハ衆議院議員選挙法第百十二条乃至第百十三条ノ規定ノ準用ニ依ル罪ニ該ル事件ノ被告人ガ選挙事務長又ハ選挙事務長ニ非ズシテ事実上選挙運動ヲ総括主宰シタル者ナルニ因リ同法第百三十六条ノ規定ノ準用ニ依リ当選ヲ無効ナリト認ムルトキハ公訴ニ附帯シ当選者ヲ被告トシテ訴訟ヲ提起スルコトヲ要ス
衆議院議員選挙法第八十五条、第八十七条、第百四十一条及第百四十一条ノ三ノ規定ハ第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル訴訟ニ、同法第百四十一条ノ二及第百四十一条ノ三ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル訴訟ニ之ヲ準用ス
前条第七項ノ規定ハ第一項乃至第三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十五条 選挙無効ト確定シタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
当選無効ト確定シタルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ更ニ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第五十条第四項ノ規定ヲ準用ス
当選者ナキトキ、当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルトキ若ハ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
第五十条第五項ノ規定ハ第一項及前項ノ選挙ニ之ヲ準用ス
第一項及第三項ノ期間ハ第五十三条第六項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選挙ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第五十六条 左ニ掲グル事由アル場合ニ於テ議員又ハ当選者総テナキトキハ第十六条、第五十条又ハ前条第一項若ハ第三項ノ規定ニ拘ラズ総選挙ヲ行フ但シ左ニ掲グル事由ニ関シ此等ノ規定ニ依ル選挙ノ告示又ハ第十六条第一項若ハ第五十条第二項若ハ第三項ノ規定ニ依ル選挙会ノ告示ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 議員中欠員ヲ生ジタルトキ
二 当選者中第五十条第一項ノ事由ニ該当スル者アルトキ
三 前条第一項又ハ第三項ノ規定ニ該当スル事由アルトキ
前項ノ選挙ハ其ノ事由ヲ生ジタル日ヨリ三月以内ニ之ヲ行フベシ此ノ場合ニ於テハ前条第五項ノ規定ヲ準用ス
第五十七条 補欠選挙又ハ第五十条若ハ第五十五条第一項若ハ第三項ノ選挙ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選挙ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第五十八条 都議会議員被選挙権ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第四十八条第六項ニ掲グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選挙権ノ有無又ハ第四十八条第六項ニ掲グル者ニ該当スルヤ否ヤハ議員ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ因リ被選挙権ヲ有セザル場合ヲ除クノ外都議会之ヲ決定ス此ノ場合ニ於テ議員ハ第七十二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ会議ニ出席シ自己ノ資格ニ関シ弁明スルコトヲ得ルモ其ノ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
一 禁治産者又ハ準禁治産者ト為リタルトキ
二 破産者ト為リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
四 選挙ニ関スル犯罪ニ因リ罰金ノ刑ニ処セラレタルトキ
都長官ハ議員中被選挙権ヲ有セザル者又ハ第四十八条第六項ニ掲グル者アリト認ムルトキハ之ヲ都議会ノ決定ニ付スベシ此ノ場合ニ於テハ都議会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル決定ニ付テハ都長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第五十三条第七項ノ規定ハ第一項及前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第五十九条 衆議院議員選挙法第十章及第十一章並ニ第百四十条第二項、第百四十二条及第百四十七条ノ規定ハ都議会議員ノ選挙ニ之ヲ準用ス但シ議員候補者一人ニ付定ムベキ選挙委員ノ数、選挙運動ノ為使用スル労務者ノ数及選挙運動ノ費用ノ額ニ関シテハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第二節 職務権限
第六十条 都議会ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 都条例ヲ設ケ又ハ改廃スルコト
二 歳入出予算ヲ定ムルコト
三 決算報告ヲ認定スルコト
四 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料、都税又ハ分担金ノ賦課徴収ニ関スルコト
五 財産ノ取得、管理及処分並ニ都費ヲ以テ支弁スベキ工事ノ執行ニ関スル都規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六 基本財産及積立金穀等ノ設置及処分ニ関スルコト
七 歳入出予算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負担ヲ為シ及権利ノ抛棄ヲ為スコト
八 営造物ノ管理ニ関スル都規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
九 其ノ他法令ニ依リ都議会ノ権限ニ属スル事項
第六十一条 都議会ハ其ノ権限ニ属スル事項ノ一部ヲ都参事会ニ委任スルコトヲ得
第六十二条 都議会ハ法令ニ依リ其ノ権限ニ属スル選挙ヲ行フベシ
第六十三条 都議会ハ都ノ公益ニ関スル事件ニ付意見書ヲ関係行政庁ニ提出スルコトヲ得
第六十四条 都議会ハ官庁ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
都議会ノ意見ヲ徴シテ処分ヲ為スベキ場合ニ於テ都議会成立セズ、招集ニ応ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ都議会ヲ招集スルコト能ハザルトキハ当該官庁ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ処分ヲ為スコトヲ得
第六十五条 都議会ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選挙スベシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第六十六条 議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長及副議長共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ仮議長ヲ選挙スベシ
前項ノ規定ニ依ル仮議長ノ選挙ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七条 都長官及其ノ委任又ハ嘱託ヲ受ケタル者ハ会議ニ列席シテ議事ニ参与スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ依ル列席者発言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ為議員ノ演説ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第六十八条 都議会ハ通常会及臨時会トス
通常会ハ毎年一回之ヲ開ク其ノ会期ハ三十日以内トス
臨時会ハ必要アル場合ニ於テ其ノ事件ニ限リ之ヲ開ク其ノ会期ハ七日以内トス但シ場合ニ依リ都長官ハ七日以内ニ於テ別ニ会期ヲ定ムルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依リ会期ヲ定メタル場合ニ於テハ第六十九条第二項ノ規定ニ依ル告示ト同時ニ其ノ会期ヲ告示スベシ
臨時会ニ付スベキ事件ハ都長官予メ之ヲ告示スベシ
臨時会開会中急施ヲ要スル事件アルトキハ第三項及前項ノ規定ニ拘ラズ直ニ之ヲ其ノ会議ニ付スルコトヲ得
都長官必要アリト認ムルトキハ通ジテ三日以内ニ於テ都議会ノ会期ヲ延長スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ都議会ノ会期ヲ延長シタルトキハ都長官ハ直ニ之ヲ告示スベシ
第六十九条 都議会ハ都長官之ヲ招集ス議員定数ノ三分ノ一以上ヨリ会議ニ付スベキ事件ヲ示シテ臨時会招集ノ請求アルトキハ都長官ハ之ヲ招集スベシ
招集ハ開会ノ日前十四日目迄ニ之ヲ告示スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
都議会ハ都長官之ヲ開閉ス
第七十条 都議会ハ議員定数ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ
第七十一条 都議会ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ為議員トシテ議決ニ加ハルノ権ヲ失ハズ
第七十二条 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫若ハ兄弟姉妹ノ一身上ニ関スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ズ但シ都議会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
第七十三条 法令ニ依リ都議会ニ於テ行フ選挙ニ付テハ第二十九条、第四十三条及第四十四条第一項ノ規定ヲ準用ス其ノ投票ノ効力ニ関シ異議アルトキハ都議会之ヲ決定ス
前項ノ選挙ニ於テ当選者ヲ定ムルニ当リ得票ノ数同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
都議会ハ議員中異議ナキトキハ第一項ノ選挙ニ付指名推選ノ法ヲ用フルコトヲ得
指名推選ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ被指名者ヲ以テ当選者ト定ムベキヤ否ヤヲ会議ニ付シ議員全員ノ同意ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス
一ノ選挙ヲ以テ二人以上ヲ選挙スル場合ニ於テハ被指名者ヲ区分シテ前項ノ規定ヲ適用スルコトヲ得ズ
第七十四条 都議会ノ会議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 都長官ヨリ傍聴禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二 議長又ハ議員三人以上ノ発議ニ依リ傍聴禁止ヲ可決シタルトキ
前項第二号ノ議長又ハ議員ノ発議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第七十五条 議長ハ会議ヲ総理シ会議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ会議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定数ノ半数以上ヨリ請求アルトキハ議長ハ其ノ日ノ会議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍会議ヲ開カザルトキハ第六十六条ノ例ニ依ル
前項ノ規定ニ依リ会議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ会議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ会議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第七十六条 都議会議員ハ都議会ノ議決スベキ事件ニ付都議会ニ議案ヲ発スルコトヲ得但シ歳入出予算ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル発案ハ議員三人以上ヨリ文書ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第七十七条 都議会ハ歳入出予算ニ付増額シテ之ヲ議決スルコトヲ得ズ
第七十八条 都議会議員ハ選挙人ノ指示又ハ委嘱ヲ受クベカラズ
議員ハ会議中無礼ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ渉リ言論スルコトヲ得ズ
第七十九条 会議中本法又ハ会議規則ニ違反シ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ発言ヲ取消サシメ命ニ従ハザルトキハ当日ノ会議ヲ終ル迄発言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ当日ノ会議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得
第八十条 傍聴人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ渉リ其ノ他会議ノ妨害ヲ為ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
傍聴席騒擾ナルトキハ議長ハ総テノ傍聴人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
第八十一条 議場ノ秩序ヲ紊リ又ハ会議ノ妨害ヲ為ス者アルトキハ議員又ハ第六十七条第一項ノ規定ニ依ル列席者ハ議長ノ注意ヲ喚起スルコトヲ得
第八十二条 都議会ニ書記ヲ置キ議長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ処理セシム
書記ハ都ノ有給吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
第八十三条 議長ハ書記ヲシテ会議録ヲ調製シ会議ノ顛末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
会議録ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ都議会ニ於テ之ヲ定ムベシ
議長ハ会議録ヲ添ヘ会議ノ結果ヲ都長官ニ報告スベシ
第八十四条 都議会ハ会議規則及傍聴人取締規則ヲ設クベシ
会議規則ニハ本法及会議規則ニ違反シタル議員ニ対シ都議会ノ議決ニ依リ五日以内出席ヲ停止スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 都参事会
第一節 組織及選挙
第八十五条 都ニ都参事会ヲ置キ議長及参事会員十五人ヲ以テ之ヲ組織ス
参事会員ハ名誉職トス
第八十六条 参事会員ハ都議会ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選挙スベシ
都議会ハ参事会員ト同数ノ補充員ヲ選挙スベシ
参事会員中欠員アルトキハ都長官ハ補充員ノ中ニ就キ之ヲ補欠ス其ノ順序ハ選挙ノ時ヲ異ニスルトキハ選挙ノ前後ニ依リ選挙同時ナルトキハ得票数ニ依リ得票同数ナルトキハ年長者ヲ取リ年齢同ジキトキハ抽籤ニ依ル仍欠員アル場合ニ於テハ臨時補欠選挙ヲ行フベシ
参事会員及其ノ補充員ハ隔年之ヲ選挙スベシ
参事会員ハ後任者ノ就任スルニ至ル迄在任ス都議会議員ノ任期満了シタルトキ亦同ジ
参事会員ハ其ノ選挙ニ関シ第九十七条ノ規定ニ依ル処分確定シ又ハ判決アル迄ハ会議ニ参与スルノ権ヲ失ハズ
第八十七条 都参事会ハ都長官ヲ以テ議長トス都長官故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス
第二節 職務権限
第八十八条 都参事会ノ職務権限左ノ如シ
一 都議会ノ権限ニ属スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 都議会閉会中重要事件ヲ除クノ外都議会ノ権限ニ属スル事件ヲ都議会ニ代リテ議決スルコト
三 都議会成立セザルトキ、招集ニ応ゼザルトキ、第七十二条ノ規定ニ依ル除斥ノ為会議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都議会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキ都議会ノ権限ニ属スル事件ヲ都議会ニ代リテ議決スルコト
四 都ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ関スル事項ヲ議決スルコト
五 其ノ他法令ニ依リ都参事会ノ権限ニ属スル事項
前項第二号ノ重要事件ハ都議会ノ議決ヲ経テ都長官之ヲ定ムベシ
第八十九条 都参事会ハ都長官之ヲ招集ス参事会員定数ノ半数以上ヨリ会議ニ付スベキ事件ヲ示シテ都参事会招集ノ請求アルトキハ都長官ハ之ヲ招集スベシ
都参事会ノ会期ハ都長官之ヲ定ム
第九十条 都参事会ハ議長又ハ其ノ代理者及参事会員定数ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ
第三項ノ規定ニ依リ参事会員ノ数減少シテ前項ノ数ヲ得ザルトキハ都長官ハ補充員ニシテ其ノ事件ニ関係ナキモノヲ以テ第八十六条第三項ノ順序ニ依リ臨時之ニ充テ仍其ノ数ヲ得ザルトキハ都議会議員ニシテ其ノ事件ニ関係ナキモノヲ臨時ニ指名シ其ノ欠員ヲ補充スベシ
議長、其ノ代理者及参事会員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫若ハ兄弟姉妹ノ一身上ニ関スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ズ但シ都参事会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ該ルトキハ年長ノ参事会員議長ノ職務ヲ代理ス
第九十一条 都参事会ノ議事ハ参事会員ノ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第九十二条 都参事会ノ会議ハ傍聴ヲ許サズ
第九十三条 第六十三条、第六十四条、第六十七条、第六十九条第三項、第七十一条第二項、第七十三条、第七十五条第一項、第七十六条乃至第七十九条、第八十二条、第八十三条第一項及第二項並ニ第八十四条第一項ノ規定ハ都参事会ニ之ヲ準用ス
第四章 都ノ官吏及吏員
第九十四条 都長官ハ都ヲ統轄シ都ヲ代表ス
都長官ノ担任スル事務ノ概目左ノ如シ
一 都費ヲ以テ支弁スベキ事件ヲ執行スルコト
二 都議会及都参事会ノ議決ヲ経ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ発スルコト
三 財産及営造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者アルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
四 収入支出ヲ命令シ及会計ヲ監督スルコト
五 証書及公文書類ヲ保管スルコト
六 法令又ハ都議会若ハ都参事会ノ議決ニ依リ使用料、手数料、都税又ハ分担金ヲ賦課徴収スルコト
七 其ノ他法令ニ依リ都長官ノ職権ニ属スル事項
第九十五条 都長官ハ都行政ニ関シ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ都ノ官吏及吏員ニ委任シ又ハ都吏員ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得
都長官ハ都行政ニ関シ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ市町村吏員ヲシテ補助執行セシメ又ハ之ニ委任スルコトヲ得
第九十六条 都長官ハ都吏員ヲ指揮監督シ之ニ対シ懲戒処分ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒処分ハ譴責、五十円以下ノ過怠金及解職トス
都長官ハ都吏員ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ吏員ノ停職ヲ命ジ之ニ給料ヲ支給セザルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間都北海道府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第九十七条 都議会又ハ都参事会ノ議決又ハ選挙其ノ権限ヲ越エ又ハ法令若ハ会議規則ニ違反スト認ムルトキハ都長官ハ其ノ意見ニ依リ又ハ内務大臣ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選挙ヲ行ハシムベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ再議ニ付セズ又ハ再選挙ヲ行ハシメズシテ直ニ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ為シタル都議会又ハ都参事会ノ議決又ハ選挙仍其ノ権限ヲ越エ又ハ法令若ハ会議規則ニ違反スト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ取消スベシ
都議会又ハ都参事会前二項ノ規定ニ依ル取消処分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及第二項ノ規定ニ依ル取消処分ヲ為シタル場合ニ於テ都議会又ハ都参事会開会中ニ非ザルトキハ都長官ハ直ニ之ヲ告示スベシ
第九十八条 都議会又ハ都参事会ノ議決明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ都長官ハ其ノ意見ニ依リ又ハ内務大臣ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ但シ特別ノ事由アリト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ再議ニ付セズシテ直ニ内務大臣ノ指揮ヲ請フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ為シタル都議会又ハ都参事会ノ議決仍明ニ公益ヲ害スト認ムルトキハ都長官ハ内務大臣ノ指揮ヲ請フベシ
都議会又ハ都参事会ノ議決収支ニ関シ執行スルコト能ハザルモノアリト認ムルトキハ前二項ノ例ニ依ル左ニ掲グル費用ヲ削除シ又ハ減額シタル場合ニ於テ其ノ費用及之ニ伴フ収入ニ付亦同ジ
一 法令ニ依リ負担スル費用、当該官庁ノ職権ニ依リ命ズル費用其ノ他ノ都ノ義務ニ属スル費用
二 非常ノ災害ニ因ル応急又ハ復旧ノ施設ノ為ニ要スル費用、伝染病予防ノ為ニ要スル費用其ノ他ノ緊急避クベカラザル費用
第九十九条 都議会成立セザルトキ、招集ニ応ゼザルトキ、第七十二条ノ規定ニ依ル除斥ノ為会議ヲ開クコト能ハザルトキ又ハ都長官ニ於テ都議会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ都長官ハ都議会ノ権限ニ属スル事件ヲ都参事会ノ議決ニ付スルコトヲ得
都参事会成立セザルトキ、招集ニ応ゼザルトキ又ハ第九十条第二項ノ場合ニ於テ仍会議ヲ開クコト能ハザルトキハ都長官ハ内務大臣ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事件ヲ処分スルコトヲ得
都議会又ハ都参事会ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
都議会ノ決定スベキ事件ニ関シテハ前三項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル都参事会ノ決定又ハ都長官ノ処分ニ関シテハ当該規定ニ準ジ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ規定ニ依ル処分ニ付テハ都長官ハ次回ノ会議ニ於テ之ヲ都議会又ハ都参事会ニ報告スベシ
第百条 都参事会ノ権限ニ属スル事件ニ関シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ都参事会成立セザルトキ又ハ都長官ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ都長官ハ之ヲ専決処分シ次ノ会期ニ於テ之ヲ都参事会ニ報告スベシ
前項ノ規定ニ依リ都長官ノ為シタル処分ニ関シテハ当該規定ニ準ジ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百一条 都議会及都参事会ノ権限ニ属スル事項ノ一部ハ其ノ議決ニ依リ都長官ニ於テ専決処分スルコトヲ得
第百二条 官吏ノ都行政ニ関スル職務関係ハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ外国ノ行政ニ関スル其ノ職務関係ノ例ニ依ル
第百三条 都ニ有給吏員ヲ置キ都長官之ヲ任免ス
都ノ有給吏員ハ都長官ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
都ノ有給吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ国及府県其ノ他ノ公共団体ノ事務ヲ掌ル
第百四条 都ニ都出納吏ヲ置キ官吏及吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
都出納吏ハ都ノ出納事務ヲ掌ル
第百五条 本法ニ規定スルモノノ外有給吏員ノ組織、任用、分限、給料等ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第百六条 都ハ参与ヲ置クコトヲ得
参与ハ名誉職トス
参与ハ都公民中学識経験アル者ヨリ都長官之ヲ選任ス
参与ハ都行政ニ関スル重要事項ニ付都長官ノ諮問ニ応ズ
本法ニ規定スルモノノ外参与ニ関シ必要ナル事項ハ内務大臣ノ許可ヲ得テ都長官之ヲ定ム
第百七条 都ハ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名誉職トス
委員ハ学識経験アル者ノ中ヨリ都長官之ヲ選任ス
委員ハ都長官ノ委託ヲ受ケ都ノ事務ニ関シ必要ナル事項ヲ調査ス
第五章 給料及給与
第百八条 都議会議員、参事会員其ノ他ノ名誉職員ハ職務ノ為要スル費用ノ弁償ヲ受クルコトヲ得
委員ニハ費用弁償ノ外勤務ニ相当スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用弁償及報酬ノ額並ニ其ノ支給方法ハ都条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百九条 有給吏員ノ給料及旅費ノ額並ニ其ノ支給方法ハ都規則ヲ以テ之ヲ規定スベシ
第百十条 有給吏員ノ退隠料、退職給与金、死亡給与金及遺族扶助料並ニ其ノ支給方法ハ都条例ヲ以テ之ヲ定ム
第百十一条 費用弁償、退隠料、退職給与金、死亡給与金又ハ遺族扶助料ノ給与ニ付関係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ関係者都長官ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百十二条 費用弁償、報酬、給料、旅費、退隠料、退職給与金、死亡給与金、遺族扶助料其ノ他ノ給与ハ都ノ負担トス
第六章 都ノ財務
第一節 財産、営造物及都税
第百十三条 収益ノ為ニスル都ノ財産ハ基本財産トシ之ヲ維持スベシ
都ハ特定ノ目的ノ為特別ノ基本財産ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第百十四条 都ハ営造物ノ使用ニ付使用料ヲ徴収スルコトヲ得
都ハ特ニ一個人ノ為ニスル事務ニ付手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第百十五条 都ハ神社ノ経費ヲ供進スルコトヲ得
第百十六条 都ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ為スコトヲ得
第百十七条 都ハ其ノ必要ナル費用及法律勅令ニ依リ都ノ負担ニ属スル費用ヲ支弁スル義務ヲ負フ
都吏員ガ第百三条第三項及第百五十五条第二項ノ事務ヲ執行スル為要スル費用ハ都ノ負担トス但シ法令ニ別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
都又ハ都吏員ヲシテ国ノ事務ヲ処理執行セシムル場合ニ於テハ之ガ為要スル費用ノ財源ニ付必要ナル措置ヲ講ズベキモノトス
第百十八条 都ハ其ノ支出ニ充ツル為都税及分担金ヲ賦課徴収スルコトヲ得
第百十九条 都税及其ノ賦課徴収ニ関シテハ地方税法ノ定ムル所ニ依ル
分担金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ都ノ一部ヲ利スル営造物又ハ都ノ一部ニ対シ利益アル事件ニ関シ特ニ利益ヲ受クル者ヨリ之ヲ徴収ス
第百二十条 使用料、手数料及分担金ニ関スル事項ハ都条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐偽其ノ他ノ不正ノ行為ニ依リ使用料、手数料又ハ分担金ノ徴収ヲ免レタル者ニ付テハ都条例ヲ以テ其ノ徴収ヲ免レタル金額ノ五倍ニ相当スル金額(其ノ金額十円未満ナルトキハ十円)以下ノ過料ヲ科スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料及分担金ノ徴収ニ関シテハ都条例ヲ以テ二十円以下ノ過料ヲ科スル旨ノ規定ヲ設クルコトヲ得営造物ノ使用ニ関シ亦同ジ
過料ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十一条 使用料、手数料又ハ分担金ノ徴収ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ其ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ都長官ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
営造物ヲ使用スル権利ニ関シ異議アル者ハ之ヲ都長官ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ都長官ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百二十二条 使用料、手数料、分担金、過料其ノ他ノ都ノ収入ヲ定期内ニ納メザル者アルトキハ都長官ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
前項ノ場合ニ於テハ都条例ノ定ムル所ニ依リ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
滞納者第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケ其ノ指定期限迄ニ之ヲ完納セザルトキハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分スベシ
第一項及第二項ノ規定ニ依ル徴収金ハ国ノ徴収金ニ次デ先取特権ヲ有シ其ノ追徴、還付及時効ニ付テハ国税ノ例ニ依ル
都長官ノ委任ヲ受ケタル官吏及吏員ガ為シタル前三項ノ規定ニ依ル処分ニ不服アル者ハ都長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ都長官ノ処分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ規定ニ依ル処分中差押物件ノ公売ハ処分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ規定ニ依ル処分ハ都ノ区域外ニ於テモ亦之ヲ為スコトヲ得
第百二十三条 都ハ其ノ負債ヲ償還スル為、都ノ永久ノ利益ト為ルベキ支出ヲ為ス為又ハ天災事変等ノ為必要アル場合ニ限リ都議会ノ議決ヲ経テ都債ヲ起スコトヲ得
都債ヲ起スニ付都議会ノ議決ヲ経ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ニ付議決ヲ経ベシ
都長官ハ予算内ノ支出ヲ為ス為都参事会ノ議決ヲ経テ一時ノ借入金ヲ為スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ会計年度内ノ収入ヲ以テ之ヲ償還スベシ
第二節 歳入出予算及決算
第百二十四条 都長官ハ毎会計年度歳入出予算ヲ調製シ年度開始前都議会ノ議決ヲ経ベシ
都ノ会計年度ハ政府ノ会計年度ニ依ル
予算ヲ都議会ニ提出スルトキハ都長官ハ併セテ財産表ヲ提出スベシ
第百二十五条 都長官ハ都議会ノ議決ヲ経テ既定予算ノ追加又ハ更正ヲ為スコトヲ得
第百二十六条 都費ヲ以テ支弁スル事件ニシテ数年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ都議会ノ議決ヲ経テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ継続費ト為スコトヲ得
第百二十七条 都ハ予算外ノ支出又ハ予算超過ノ支出ニ充ツル為予備費ヲ設クベシ
特別会計ニハ予備費ヲ設ケザルコトヲ得
予備費ハ都議会ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百二十八条 予算ハ議決ヲ経タル後直ニ之ヲ内務大臣ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百二十九条 都ハ都議会ノ議決ヲ経テ特別会計ヲ設クルコトヲ得
第百三十条 都ノ支払金ニ関スル時効ニ付テハ政府ノ支払金ノ例ニ依ル
第百三十一条 都ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ翌翌年度ノ通常予算ヲ議スル会議ニ於テ之ヲ都議会ノ認定ニ付スベシ
決算ハ其ノ認定ニ関スル都議会ノ議決ト共ニ之ヲ内務大臣ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百三十二条 予算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ関シ必要ナル規定ハ内務大臣之ヲ定ム
第七章 都ノ監督
第百三十三条 都ハ内務大臣之ヲ監督ス
第百三十四条 内務大臣ハ都ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ為サシメ、書類帳簿ヲ徴シ及実地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ検閲スルコトヲ得
内務大臣ハ都ノ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第百三十五条 内務大臣ハ都議会ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
都議会解散ノ場合ニ於テハ三月以内ニ議員ヲ選挙スベシ
解散後初テ都議会ヲ招集スルトキハ都長官ハ第六十八条第二項及第三項ノ規定ニ拘ラズ別ニ会期ヲ定ムルコトヲ得
第六十八条第四項、第七項及第八項ノ規定ハ前項ノ都議会ニ之ヲ準用ス
第百三十六条 都債ヲ起シ又ハ起債ノ方法、利息ノ定率若ハ償還ノ方法ヲ定メ若ハ変更セントスルトキハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ第百二十三条第三項ノ借入金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百三十七条 主務大臣ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ主務大臣ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範囲内ニ於テ更正シテ許可ヲ与フルコトヲ得
第百三十八条 主務大臣ノ許可ヲ要スル事件ニシテ軽易ナルモノニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
第百三十九条 都吏員ノ服務紀律並ニ都出納吏及都吏員ノ賠償責任、身元保証及事務引継ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八章 区市町村
第一節 区
第百四十条 区ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ其ノ財産及営造物ニ関スル事務並ニ都条例ノ定ムル所ニ依リ区ニ属スル事務ヲ処理ス
区ノ区域及名称ハ従来ノ東京市ノ区ノ区域及名称ニ依ル
第百四十一条 区ノ廃置分合又ハ境界変更ヲ為サントスルトキハ都長官ハ関係アル区市町村会ノ意見ヲ徴シ内務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム
都ノ境界変更ニ伴フ区ノ廃置分合又ハ境界変更ニ関シテハ第三条第一項ノ規定ニ依ル
区ノ廃置分合又ハ境界変更ノ場合ニ於テ財産アルトキハ其ノ処分ハ関係アル区市町村会ノ意見ヲ徴シテ都長官之ヲ定ム但シ前項ノ場合ニ於ケル財産処分ニ関シテハ第三条第二項ノ規定ニ依ル
所属未定地ヲ都ノ区域ニ編入スル場合ニ於テ其ノ所属スベキ区ヲ定ムルニ付テハ第三条第四項ノ規定ニ依ル
第百四十二条 区ノ境界ニ関スル争論ハ都長官之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル区市町村ハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
区ノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ争論ナキトキハ都長官之ヲ決定スベシ其ノ決定ニ不服アル区市町村ハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル裁定及前項ノ規定ニ依ル決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ関係区市町村ニ交付スベシ
都ノ境界ニ渉リテ第一項又ハ第二項ノ場合ヲ生ジタルトキハ第四条ノ規定ニ依ル
第百四十三条 都ハ区ノ営造物又ハ区ノ事務ニ関シ都条例又ハ都規則ヲ設クルコトヲ得
前項ノ都条例ニ付テハ都議会ニ代リテ区会之ヲ議決ス
第百四十四条 区ニ区会ヲ置ク
区会議員ハ其ノ被選挙権アル者ニ就キ選挙人之ヲ選挙ス
議員ノ定数左ノ如シ
一 人口十五万未満ノ区 十五人
二 人口十五万以上二十五万未満ノ区 二十人
三 人口二十五万以上ノ区 二十五人
議員ノ定数ハ総選挙ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ増減セズ
第百四十五条 区内ニ住所ヲ有スル都公民ハ総テ区会議員ノ選挙権ヲ有ス但シ公民権停止中ノ者又ハ第八条ノ規定ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第百四十六条 区会議員ノ選挙権ヲ有スル都公民ハ其ノ被選挙権ヲ有ス
在職ノ検事、警察官吏及収税官吏ハ被選挙権ヲ有セズ
選挙事務ニ関係アル官吏及吏員ハ其ノ関係区域内ニ於テハ被選挙権ヲ有セズ
都ノ官吏、有給ノ吏員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノモノハ区会議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第百四十七条 区会議員ハ都ノ名誉職トス
議員ノ任期ハ四年トシ総選挙ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第百四十八条 区会議員ノ選挙ハ其ノ区ニ於ケル都議会議員選挙人名簿ニ依リ之ヲ行フ
第百四十九条 第五十九条ノ規定ハ区会議員ノ選挙ニ之ヲ準用ス
第百五十条 区会ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 歳入出予算ヲ定ムルコト
二 決算報告ヲ認定スルコト
三 営造物ノ設置及処分ニ関スルコト
四 財産ノ取得、管理及処分並ニ区費ヲ以テ支弁スベキ工事ノ執行ニ関スル都規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
五 歳入出予算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負担ヲ為シ及権利ノ抛棄ヲ為スコト
六 営造物ノ管理ニ関スル都規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
七 区ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ関スルコト
八 其ノ他法令ニ依リ区会ノ権限ニ属スル事項
第百五十一条 区会ハ議員中ヨリ議長及其ノ代理者一人ヲ選挙スベシ
議長及其ノ代理者ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第百五十二条 区長ハ区ノ事務及都長官ノ命ヲ承ケ区内ニ関スル都ノ事務ヲ掌ル
区長ハ其ノ事務ノ一部ヲ区所属ノ官吏及吏員ニ委任シ又ハ吏員ヲシテ臨時代理セシムルコトヲ得
第百五十三条 区長ハ町内会部落会及其ノ連合会ノ財産及経費ノ管理並ニ区域ノ変更ニ関シ必要ナル措置ヲ講ズルコトヲ得
区長ノ許可ヲ得タル場合ニ於テハ町内会部落会及其ノ連合会ハ自己ノ名ヲ以テ財産ヲ所有スルコトヲ得
区長ハ町内会部落会及其ノ連合会ノ長ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ援助セシムルコトヲ得
第百五十四条 区所属ノ官吏ノ区行政ニ関スル職務関係ハ本法ニ規定アルモノヲ除クノ外国ノ行政ニ関スル其ノ職務関係ノ例ニ依ル
第百五十五条 区所属ノ吏員ハ区長ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
区所属ノ吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ国及府県其ノ他ノ公共団体ノ事務ヲ掌ル
第百五十六条 区ニ区出納吏ヲ置キ区所属ノ官吏及吏員ノ中ニ就キ都長官之ヲ命ズ
区出納吏ハ区ノ出納事務ヲ掌ル
第百五十七条 区ハ其ノ必要ナル費用ヲ支弁スル義務ヲ負フ
前項ノ規定ニ依ル支出ハ区ノ財産ヨリ生ズル収入其ノ他法令ニ依リ区ニ属スル収入ヲ以テ之ニ充テ仍不足アルトキハ都ハ都費ヲ以テ之ニ充ツベシ
第百五十八条 区ハ第一次ニ於テ都長官、第二次ニ於テ内務大臣之ヲ監督ス
第百五十九条 本法ニ規定スルモノノ外区会議員ノ選挙、区会ノ職務権限、区ノ財務、区ノ監督其ノ他区ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二節 市町村
第百六十条 都内ノ市町村ニ付テハ市制第三条乃至第五条、第九条乃至第十一条、第十四条、第二十条ノ二乃至第二十一条ノ五、第七十六条及第百七十二条並ニ町村制第三条、第四条、第七条乃至第九条、第十二条、第十七条ノ二乃至第十八条ノ五、第六十三条第九項及第百五十三条ノ規定ニ拘ラズ本法ノ定ムル所ニ依ル
第百六十一条 第百四十一条及第百四十二条ノ規定ハ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更其ノ他市町村ノ境界ニ関シ之ヲ準用ス
第百六十二条 二年以来市町村内ニ住所ヲ有スル都公民ハ市町村ノ選挙ニ参与シ市町村ノ名誉職ニ就ク権利ヲ有シ市町村ノ名誉職ヲ担任スル義務ヲ負フ
左ノ各号ノ一ニ該当セザル者名誉職ニ就クコトヲ辞シ又ハ其ノ職ヲ辞シ若ハ其ノ職務ヲ実際ニ執行セザルトキハ市町村ハ市町村会ノ議決ヲ経テ一年以上四年以下其ノ市町村ノ公務ニ参与スルノ権ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ為常ニ市町村内ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齢六十年以上ノ者
四 官公職ノ為市町村ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上其ノ市町村ノ名誉職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ経過セザル者
六 其ノ他市町村会ノ議決ニ依リ正当ノ事由アリト認ムル者
前項ノ規定ニ依ル処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ都長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル処分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
都公民租税滞納処分中ハ市町村ノ名誉職ニ就クコトヲ得ズ
第百六十三条 市町村ハ市町村会ノ議決ヲ経テ前条第一項ノ規定ニ依ル二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
前条第一項ノ規定ニ依ル二年ノ期間ハ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更ノ為中断セラルルコトナシ
第百六十四条 第八条ノ規定ニ該当スル者ハ市町村ノ公務ニ参与スルコトヲ得ズ
第百六十五条 二年以来市町村内ニ住所ヲ有スル都公民(第百六十三条第一項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタル者ヲ含ム)ハ総テ市町村会議員ノ選挙権ヲ有ス但シ公民権停止中ノ者、第百六十二条第二項ノ規定ニ依リ市町村ノ公務ニ参与スルノ権ヲ停止セラレ其ノ停止中ノ者又ハ前条ノ規定ニ依リ市町村ノ公務ニ参与スルコトヲ得ザル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第百六十六条 有給市町村長、有給助役、考査役、収入役及副収入役ハ第百六十二条第一項及前条ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ市町村ノ市町村会議員ノ選挙権ヲ有ス
第百六十七条 市町村会議員ノ選挙ハ其ノ市町村ニ於ケル都議会議員選挙人名簿中其ノ名簿調製期日ニ於テ市町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者ニ関スル部分(以下都議会議員選挙人名簿中関係部分ト称ス)及第四項ノ選挙人名簿ニ依リ之ヲ行フ
市町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者ノ年齢ハ前項ノ選挙人名簿確定ノ期日ニ依リ之ヲ算定ス
都議会議員選挙人名簿中関係部分ノ脱漏又ハ誤載ニ関シテハ第十九条ノ例ニ依ル
市町村長ハ前条ノ規定ニ依リ市町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者ノ選挙人名簿ヲ調製スベシ
第十七条第一項及第四項並ニ第十八条乃至第二十一条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百六十八条 都内ノ市町村ニ付テハ市制及町村制中府県知事又ハ知事トアルハ都長官、府県高等官トアルハ都高等官、府県名誉職参事会員トアルハ都参事会員トス
都内ノ市ニ付テハ市制第十六条第四項中第七十六条又ハ第七十九条第三項ノ規定ニ依リ市公民タル者トアルハ東京都制第百六十六条ノ規定ニ依リ市会議員ノ選挙権ヲ有スル者、市制第十八条第一項中選挙権ヲ有スル市公民トアルハ市会議員ノ選挙権ヲ有スル者、市制第七十三条第五項及第八十二条第二項中市公民中選挙権ヲ有スル者トアルハ市会議員ノ選挙権ヲ有スル者、市制第八十二条ノ二第三項中市公民トアルハ市会議員ノ選挙権ヲ有スル者、市制第八十四条第一項中市公民トアリ市公民タル者トアルハ市会議員ノ選挙権ヲ有スル者、市制第百七十条第三項中府県制中名誉職参事会員及府県参事会ニ関スル規定トアルハ東京都制中都参事会員及都参事会ニ関スル規定トス
都内ノ町村ニ付テハ町村制第十五条第一項及第三十八条第一項中選挙権ヲ有スル町村公民トアルハ町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者、町村制第六十三条第八項及第六十八条第二項中町村公民中選挙権ヲ有スル者トアルハ町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者、町村制第六十九条第三項中町村公民トアルハ町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者、町村制第七十条第一項中町村公民トアリ町村公民タル者トアルハ町村会議員ノ選挙権ヲ有スル者、町村制第百五十条第三項中府県制中名誉職参事会員及府県参事会ニ関スル規定トアルハ東京都制中都参事会員及都参事会ニ関スル規定トス
第九章 雑則
第百六十九条 都ノ境界変更アリタル場合ニ於テ都ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外命令ヲ以テ之ヲ定ム
第百七十条 都内ノ町村組合ニシテ町村事務ノ全部ヲ共同処理スルモノハ第一章第一節、第二章第一節及第四章ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合会ハ之ヲ町村会、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ吏員ハ之ヲ町村ノ吏員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス但シ第三条第一項又ハ第二十一条第三項中町村トアルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
都内ノ町村組合ニシテ町村ノ役場事務ヲ共同処理スルモノハ第二章第一節及第四章ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ一町村、其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長、其ノ吏員ハ之ヲ町村ノ吏員、其ノ組合役場ハ之ヲ町村役場ト看做ス但シ第二十一条第三項中町村トアルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第百七十一条 本法中官吏ニ関スル規定ハ待遇官吏ニ之ヲ適用ス
第百七十二条 第六十七条第一項(第九十三条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及第百四条第一項ノ規定ニ依ル都長官ノ職権ハ警視総監モ亦之ヲ行フ
第百七十三条 都ト府県又ハ都外ノ市町村トガ其ノ事務ノ一部ヲ共同処理スル為組織スル組合ノ設置、管理其ノ他必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ組合ハ法人トス
第百七十四条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル勅令ニ依リ設置スル議会ノ議員ノ選挙ニ付テハ衆議院議員選挙ニ関スル罰則ヲ準用ス
第百七十五条 本法中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百七十六条 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ処分ヲ受ケ又ハ決定書若ハ裁定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以内ニ之ヲ為スベシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ処分ヲ受ケ又ハ決定書若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ但シ第九十七条第四項ノ規定ニ依リ告示ヲ為シタル場合ニ於テハ告示ノ日ヲ以テ処分ヲ受ケタル日ト看做ス
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ関シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ関スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ニ依ル
異議ノ申立ハ期限経過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ処分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政庁ハ其ノ職権ニ依リ又ハ関係者ノ請求ニ依リ必要アリト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百七十七条 異議ノ決定ハ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノヲ除クノ外其ノ申立ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ
都長官訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三十日以内ニ之ヲ裁決スベシ
第百七十八条 島嶼ニ関スル行政ノ特例ニ付必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
附 則
第百七十九条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百八十条 東京府、東京市及東京市ノ区ハ之ヲ廃ス
第百八十一条 本法施行ノ際東京府及東京市ニ属スル財産、営造物、事業及権利義務ハ都之ヲ承継ス
第百八十二条 本法施行ニ至ル迄引続キ東京府ノ区域内ニ住所ヲ有シタル者ハ第六条第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ期間引続キ都内ニ住所ヲ有シタル者ト看做ス
第百八十三条 旧刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ本法ノ適用ニ付テハ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ト看做ス但シ復権ヲ得タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
旧刑法ノ禁錮以上ノ刑ハ本法ノ適用ニ付テハ禁錮以上ノ刑ト看做ス
第百八十四条 本法施行前東京府又ハ東京市ノ名誉職ニ任ジタル者ハ第七条第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ都ノ名誉職ニ任ジタルモノト看做ス
第百八十五条 本法施行後初テ議員ヲ選挙スル場合ニ於テ必要ナル選挙人名簿ニ関シテハ命令ヲ以テ特別ノ規定ヲ設クルコトヲ得
前項ノ選挙人名簿ハ次ノ選挙人名簿確定迄其ノ効力ヲ有ス
第百八十六条 本法施行ノ際東京市ノ区ニ属スル財産、営造物、事業及権利義務ハ各其ノ区域ヲ以テ区域トスル区之ヲ承継ス
第百八十七条 本法施行ノ際東京市ノ区ノ区会議員ノ職ニ在ル者ハ各其ノ区域ヲ以テ区域トスル区ノ区会議員ト為リタルモノトシ其ノ任期ハ昭和十九年三月三十一日迄トス
前項ノ場合ニ於テ議員ノ職ニ在ル者ノ数第百四十四条ノ定数ヲ超ユルモ其ノ数ヲ以テ議員ノ定数トス但シ議員中欠員ヲ生ジタルトキハ之ニ応ジ其ノ議員ノ定数ハ同条ノ定数ニ至ル迄減少スルモノトス
第百八十八条 本法施行ノ際東京府内ノ市町村ノ市町村住民ニシテ市制第九条第二項又ハ町村制第七条第二項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタルモノハ第百六十三条第一項ノ規定ニ依リ二年ノ制限ヲ特免セラレタルモノト看做ス
第百八十九条 東京府又ハ東京市ノ有給吏員本法施行ノ際引続キ都ノ官吏ト為リタルトキハ恩給法ノ適用ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ官吏ノ在職ニ継続スル有給吏員ノ勤続年月数ハ之ヲ公務員トシテノ在職年ニ通算ス
第百九十条 他ノ法律(市制、町村制、府県制、北海道会法、北海道地方費法、地方税法、地方分与税法及大正十一年法律第一号並ニ特ニ東京都ニ関スル規定ヲ設ケタルモノヲ除ク以下同ジ)中東京府又ハ東京府知事トアルハ各東京都又ハ東京都長官トス
他ノ法律中府県制、府県、府県庁、府県条例、府県会、府県会議員、府県参事会、府県名誉職参事会員、府県知事、府県吏員、府県出納吏、府県費又ハ府県税トアルハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外各東京都制、東京都、東京都庁、東京都条例、東京都議会、東京都議会議員、東京都参事会、東京都参事会員、東京都長官、東京都ノ官吏及吏員、東京都出納吏、東京都費又ハ東京都税ヲ含ムモノトシ其ノ他府県ニ係ル規定ニ付之ニ準ズルモノトス
第百九十一条 他ノ法律中東京市トアルハ東京都トス
他ノ法律中市制第六条ノ市トアルハ東京都ヲ含ムモノトス
他ノ法律中市制、市、市役所、市条例、市会、市会議員、市参事会、市名誉職参事会員、市長、市吏員、市収入役、市費又ハ市税トアルハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外各東京都制、東京都、東京都庁、東京都条例、東京都議会、東京都議会議員、東京都参事会、東京都参事会員、東京都長官、東京都ノ官吏及吏員、東京都出納吏、東京都費又ハ東京都税ヲ含ムモノトシ其ノ他市ニ係ル規定ニ付之ニ準ズルモノトス
前三項ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外東京都ノ区ノ存スル区域ヲ以テ東京都ノ区域ト看做ス
第百九十二条 他ノ法律中府県制又ハ市制ノ規定ヲ掲グル場合ニ於テ本法中之ニ相当スル規定アルトキハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外各之ニ本法ノ相当規定ヲ含ムモノトス
第百九十三条 府県制中左ノ通改正ス
第四条第二項但書中「東京市」ヲ削ル
第八十一条第三項中「北海道府県」ヲ「東京都北海道府県」ニ改ム
第百三十九条ノ二ヲ削ル
第百九十四条 
市制第百七十条第六項及町村制第百五十条第六項中「北海道府県」ヲ「東京都北海道府県」ニ改ム
第百九十五条 
大正十一年法律第一号中「東京市、」ヲ削ル
第百九十六条 地方税法中左ノ通改正ス
第一条第三項中「北海道地方費」ヲ「東京都及北海道地方費」ニ、同条第四項中「北海道地方税、北海道庁長官、北海道地方費吏員、北海道参事会又ハ北海道条例」ヲ「東京都税若ハ北海道地方税、東京都長官若ハ北海道庁長官、東京都吏員若ハ北海道地方費吏員、東京都参事会若ハ北海道参事会又ハ東京都条例若ハ北海道条例」ニ、同条第五項中「北海道ノ市町村」ヲ「東京都又ハ北海道ノ市町村」ニ、「北海道庁長官」ヲ「東京都長官又ハ北海道庁長官」ニ改ム
第八十五条ノ二 東京都ノ区ノ存スル区域ニ於テハ第四十六条ノ規定ノ準用ニ付テハ同条中百分ノ百トアルハ百分ノ三百、百分ノ百二十トアルハ百分ノ三百六十、災害応急費トアルハ国民学校営繕費、災害応急費トス
第八十五条ノ三 東京都ノ区ノ存スル区域ニ於テハ第四十七条ノ規定ノ準用ニ付テハ同条中百分ノ十トアルハ百分ノ二十トス
第八十五条ノ四 東京都ノ区ノ存スル区域ニ於テハ第四十八条ニ掲グルモノノ外独立税トシテ左ノ東京都税ヲ課スルコトヲ得
都民税
舟税
自転車税
荷車税
金庫税
扇風機税
屠畜税
犬税
東京都ハ其ノ区ノ存スル区域ニ於テ前項ニ掲グルモノノ外別ニ税目ヲ起シテ独立税ヲ課スルコトヲ得
前項ノ独立税ノ新設及変更ニ付テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八十五条ノ五 第六十四条乃至第七十三条ノ規定ハ前条第一項ノ規定ニ依ル独立税ノ課税ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ東京都ノ区ノ存スル区域ヲ以テ市ト看做ス
第八十五条ノ六 東京都ノ区ノ存スル区域ニ於テハ第七十五条第一項ノ規定ノ準用ニ付テハ同項中百分ノ二十五トアルハ百分ノ九十三、百分ノ十三トアルハ百分ノ四十七(第八十五条ノ四ノ独立税ニ付テハ百分ノ三十四)トス
第八十五条ノ七 都民税ニ対シテハ東京都税独立税割ヲ課スルコトヲ得ズ
東京都ハ其ノ区ノ存スル区域ニ於テハ第七十五条第一項ニ掲グルモノノ外別ニ税目ヲ起シテ都市計画税ヲ課スルコトヲ得
前項ノ都市計画税ノ新設及変更ニ付テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八十五条ノ八 東京都ハ区ノ存スル区域ニ於テハ水利地益税ヲ課スルコトヲ得
第七十八条ノ規定ハ前項ノ水利地益税ノ課税ニ付之ヲ準用ス
第八十五条ノ九 東京都ハ区ノ存スル区域ニ於テハ共同施設税ヲ課スルコトヲ得
第七十九条ノ規定ハ前項ノ共同施設税ノ課税ニ付之ヲ準用ス
第八十五条ノ十 東京都ノ区ノ存スル区域ニ於ケル東京都税及之ニ関連ヲ有スル東京都内ノ市町村ノ市町村税ニ関スル事項ニシテ本法ニ依リ難キモノニ付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第百九十七条 地方分与税法中左ノ通改正ス
第一条中「道府県」ヲ「都道府県」ニ改ム
第四条中「道府県」ヲ「都道府県」ニ、「北海道庁長官」ヲ「東京都長官及北海道庁長官」ニ改ム
第四章中第四十一条ノ前ニ左ノ一条ヲ加フ
第四十条ノ二 配付税ノ分与ニ関シテハ東京都ハ其ノ全区域ニ付テハ之ヲ道府県、其ノ区ノ存スル区域ニ付テハ之ヲ市ト看做ス
第百九十八条 本法施行前東京府会議員又ハ東京市会議員(同市ノ区ノ区会議員ヲ含ム)ノ選挙ニ関シ府県制第四十条又ハ市制第四十条ニ於テ準用スル衆議院議員選挙ニ関スル罰則ヲ適用スベカリシ行為ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第百九十九条 本法施行ニ関シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム