第一條 神道敎派、佛敎宗派及基督敎其ノ他ノ宗敎ノ敎團竝ニ寺院及敎會(修道會等ヲ含ム以下同ジ)ハ本令ニ依リ之ヲ法人ト爲スコトヲ得
本令ニ於テ宗敎法人トハ前項ノ規定ニ依ル法人ヲ、敎派、宗派、敎團、寺院及敎會トハ各神道敎派、佛敎宗派及基督敎其ノ他ノ宗敎ノ敎團竝ニ寺院及敎會ニシテ宗敎法人タルモノヲ謂フ
第二條 敎派、宗派又ハ敎團ヲ設立セントスル者ハ敎派、宗派又ハ敎團ノ規則ヲ作ルコトヲ要ス
第三條 寺院又ハ敎會ヲ設立セントスル者ハ寺院又ハ敎會ノ規則ヲ作ルコトヲ要ス
規則ニハ左ノ事項ヲ記載シ設立者之ニ署名スベシ
一 前條第二項第一號、第二號、第四號、第五號、第七號及第八號ニ揭グル事項
敎派、宗派又ハ敎團ニ屬スル寺院又ハ敎會ノ規則ハ所屬敎派、宗派又ハ敎團ノ主管者ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
第四條 敎派、宗派及敎團ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ、寺院及敎會ハ其ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
前項ノ設立ノ登記ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 前條、第十條及第十五條ニ規定スルモノヲ除クノ外宗敎法人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第六條 寺院又ハ敎會ノ規則ヲ變更セントスルトキハ檀徒、敎徒及信徒ノ總代ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス當該寺院又ハ敎會ガ敎派、宗派又ハ敎團ニ屬スルモノナルトキハ尙所屬敎派、宗派又ハ敎團ノ主管者ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
第七條 宗敎法人成立シタルトキハ成立後二週間內ニ主管者ニ於テ規則竝ニ主管者ノ氏名及住所ヲ敎派、宗派及敎團ニ在リテハ文部大臣ニ、寺院及敎會ニ在リテハ地方長官ニ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出ニ係ル事項ニ變更ヲ生ジタルトキハ變更ヲ生ジタル後二週間內ニ主管者ニ於テ前項ノ例ニ準ジ之ヲ屆出ヅベシ
第八條 宗敎法人ニハ一人又ハ數人ノ主管者ヲ置クベシ
主管者缺ケタルトキ、未成年ナルトキ又ハ久シキニ亙リ職務ヲ行フコト能ハザルトキハ代務者ヲ置キ其ノ職務ヲ行ハシムベシ
第九條 寺院及敎會ニハ檀徒、敎徒及信徒ノ總代(以下單ニ總代ト稱ス)三人以上ヲ置クベシ
第十條 寺院又ハ敎會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ寶物其ノ他不動產以外ノ重要ナル財產ニ付寺院又ハ敎會ノ所在地ニ於テ寺院敎會財產登記簿ニ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第十一條 寺院又ハ敎會左ニ揭グル行爲ヲ爲サントスルトキハ總代ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス當該寺院又ハ敎會ガ敎派、宗派又ハ敎團ニ屬スルモノナルトキハ尙所屬敎派、宗派又ハ敎團ノ主管者ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
一 不動產又ハ前條ノ規定ニ依リ登記ヲ爲シタル財產ヲ處分シ又ハ擔保ニ供スルコト
前項ニ規定スル事項ニ付總代ノ同意ヲ得ズ又ハ所屬敎派、宗派若ハ敎團ノ主管者ノ承認ヲ受ケズシテ爲シタル行爲ハ之ヲ無效トス
前項ノ場合ニ於テ相手方ガ善意無過失ナルトキハ其ノ行爲ヲ爲シタル寺院又ハ敎會ノ主管者ハ相手方ノ選擇ニ從ヒ之ニ對シテ履行又ハ損害賠償ノ責ニ任ズ
第十二條 宗敎法人ハ規則ノ定ムル所ニ依リ解散ヲ爲スコトヲ得
寺院及敎會ハ前項ノ解散ニ付總代ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス當該寺院又ハ敎會ガ敎派、宗派又ハ敎團ニ屬スルモノナルトキハ尙所屬敎派、宗派又ハ敎團ノ主管者ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
第十三條 宗敎法人法令ニ違反シ若ハ公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキ又ハ寺院若ハ敎會左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
一 堂宇又ハ會堂ノ滅失後五年內ニ其ノ施設ヲ爲サザルトキ
第十四條 解散シタル宗敎法人ノ殘餘財產ノ處分ハ規則ノ定ムル所ニ依ル其ノ定ナキトキハ淸算人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ裁判所ノ許可ヲ受ケ他ノ宗敎法人又ハ公益事業ノ爲ニ之ヲ處分スルコトヲ得
第十五條 宗敎法人ニ於テ公衆禮拜ノ用ニ供スル建物又ハ其ノ敷地ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲シタルモノハ不動產ノ先取特權、抵當權若ハ質權ノ實行ノ爲ニスル場合又ハ破產ノ場合ヲ除クノ外其ノ登記後ニ原因ヲ生ジタル私法上ノ金錢債權ノ爲ニ之ヲ差押フルコトヲ得ズ寺院敎會財產登記簿ニ登記ヲ爲シタル寶物ニ付亦同ジ
第十六條 宗敎法人ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅及法人稅ヲ課セズ
寺院ノ境內地及敎會ノ構內地ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ地租ヲ免除ス但シ有料借地ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
都道府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ宗敎法人ノ所得ニ對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十七條 民法第四十三條、第四十四條、第五十條、第五十一條第一項、第五十二條第二項、第五十四條、第五十七條及第七十三條乃至第八十三條竝ニ民法施行法第二十四條、第二十六條及第二十七條ノ規定ハ宗敎法人ニ、民法第四十一條及第四十二條ノ規定ハ寺院及敎會ニ付之ヲ準用ス但シ民法第五十七條ノ規定ノ準用ニ依ル特別代理人ノ選任ハ規則ノ定ムル所ニ依ル
第十八條 宗敎法人ノ主管者、代務者又ハ淸算人左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ二百圓以下ノ過料ニ處ス
一 第五條又ハ前條ニ於テ準用スル民法第七十七條ノ規定ニ依ル登記ヲ爲サザルトキ
二 第十四條第一項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズ又ハ裁判所ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ若ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
三 前條ニ於テ準用スル民法第五十一條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ財產目錄ニ虛僞ノ記載ヲ爲シタルトキ
四 前條ニ於テ準用スル民法第八十二條ノ規定ニ依ル裁判所ノ檢查ヲ妨ゲタルトキ
五 前條ニ於テ準用スル民法第八十一條ノ規定ニ依ル破產宣吿ノ請求ヲ爲サザルトキ
六 前條ニ於テ準用スル民法第七十九條又ハ第八十一條ノ規定ニ依ル公吿ヲ爲サズ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ