(地方税ニ関スル法律)
法令番号: 法律第二十四號
公布年月日: 大正15年3月27日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル地方稅ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年三月二十七日
內閣總理大臣兼內務大臣 若槻禮次郞
大藏大臣 濱口雄幸
法律第二十四號
第一條 北海道、府縣ハ本法ニ依リ特別地稅、家屋稅、營業稅及雜種稅ヲ賦課スルコトヲ得
第二條 特別地稅ハ地租條例第十三條ノ二ノ規定ニ依リテ地租ヲ徵收セサル田畑ニ對シ地租條例第一條ノ地價ヲ標凖トシテ之ヲ賦課ス
特別地稅ノ徵收ニ關シテハ地租條例第十三條ノ規定ヲ準用ス
第三條 特別地稅ノ賦課率ハ北海道ニ在リテハ地價百分ノ二・六以內、府縣ニ在リテハ地價百分ノ三・七以內トス
特別地稅ニ對シ市町村其ノ他ノ公共團體ニ於テ賦課スヘキ附加稅ノ賦課率ハ前項ニ規定スル制限ノ百分ノ八十以內トス
第四條 府縣費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第二條ノ例ニ依リ地價百分ノ二・九ノ外其ノ分賦金額以內ニ限リ前條第一項ニ規定スル制限ニ達スル迄特別地稅ヲ賦課スルコトヲ得
北海道地方費又ハ府縣費ノ一部ノ分賦ヲ受ケタル市町村ハ前條第二項ニ規定スル制限ノ外其ノ分賦金額以內ニ限リ特別地稅附加稅ヲ賦課スルコトヲ得但シ北海道、府縣ノ賦課額ト市町村ノ賦課額トノ合算額ハ前條第一項ニ規定スル制限ヲ超ユルコトヲ得ス
第五條 特別地稅又ハ其ノ附加稅ト段別割トヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ總額ハ第三條又ハ前條ノ規定ニ依リテ其ノ地目ノ土地ニ對シ賦課シ得ヘキ制限額ト特別地稅額又ハ其ノ附加稅額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
第六條 特別地稅又ハ其ノ附加稅ノ賦課カ第三條乃至前條ニ規定スル制限ニ達シタル場合ニ非サレハ明治四十一年法律第三十七號第五條ノ規定ニ依ル地租、營業收益稅又ハ所得稅ノ附加稅ノ制限外課稅ヲ爲スコトヲ得ス
特別地稅又ハ其ノ附加稅ト段別割トヲ併課シタル場合ニ於テ一地目ニ對スル賦課カ前條ニ規定スル制限ニ達シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ特別地稅又ハ其ノ附加稅カ制限ニ達シタルモノト看做ス
第七條 特別ノ必要アル場合ニ於テハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ第三條乃至第五條ニ規定スル制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以內ニ於テ特別地稅又ハ其ノ附加稅ヲ賦課スルコトヲ得
左ニ揭クル場合ニ於テハ特ニ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課稅スルコトヲ得
一 內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ爲費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復舊工事ノ爲費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ爲費用ヲ要スルトキ
四 傳染病豫防ノ爲費用ヲ要スルトキ
前二項ノ規定ニ依リ制限ヲ超過シテ課稅スルハ營業收益稅及所得稅ノ附加稅ノ賦課カ明治四十一年法律第三十七號第二條及第三條ニ規定スル制限ニ達シタルトキニ限ル
第八條 特別地稅及其ノ附加稅ノ賦課率ハ當該年度ノ豫算ニ於テ定メタル田畑ニ對スル地租附加稅ノ賦課率ヲ以テ算定シタル地租附加稅額ノ當該田畑ノ地價ニ對スル比率ヲ超ユルコトヲ得ス
第九條 家屋稅ハ家屋ノ賃貸價格ヲ標準トシテ家屋ノ所有者ニ之ヲ賦課ス
第十條 家屋ノ賃貸價格ハ家屋稅調査委員ノ調査ニ依リ北海道ニ在リテハ北海道廳長官、府縣ニ在リテハ府縣知事之ヲ決定ス
第十一條 左ニ揭クル家屋ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ家屋稅ヲ賦課セサルコトヲ得
一 一時ノ使用ニ供スル家屋
二 賃貸價格一定額以下ノ家屋
三 公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル家屋
第十二條 府縣費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第九條乃至前條ノ例ニ依リ家屋稅ヲ賦課スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ府縣知事ノ職務ハ市長之ヲ行フ
第十三條 家屋稅及其ノ附加稅ノ賦課率及賦課ノ制限竝家屋ノ賃貸價格ノ算定及家屋稅調査委員ノ組織ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 營業稅ハ營業收益稅ノ賦課ヲ受ケサル營業者及營業收益稅ヲ賦課セサル營業ヲ爲ス者ニ之ヲ賦課ス
第十五條 營業稅ヲ賦課スヘキ營業ノ種類ハ營業收益稅法第二條ニ揭クルモノ及勅令ヲ以テ定ムルモノニ限ル
第十六條 府縣費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第十四條及前條ノ例ニ依リ營業稅ヲ賦課スルコトヲ得
第十七條 第十一條第三號ノ規定ハ營業稅ニ之ヲ準用ス
第十八條 營業稅ノ課稅標準竝營業稅及其ノ附加稅ノ賦課ノ制限ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條 雜種稅ヲ賦課スルコトヲ得ヘキモノノ種類ハ勅令ヲ以テ定ムルモノ竝內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケタルモノニ限ル
第二十條 第十一條第三號ノ規定ハ雜種稅ニ之ヲ準用ス
第二十一條 雜種稅ノ課稅標準竝雜種稅及其ノ附加稅ノ賦課ノ制限ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 市町村ハ本法ニ依リ戶數割ヲ賦課スルコトヲ得
第二十三條 戶數割ハ一戶ヲ構フル者ニ之ヲ賦課ス
戶數割ハ一戶ヲ構ヘサルモ獨立ノ生計ヲ營ム者ニ之ヲ賦課スルコトヲ得
第二十四條 戶數割ハ納稅義務者ノ資力ヲ標準トシテ之ヲ賦課ス
第二十五條 戶數割ノ課稅標準タル資力ハ納稅義務者ノ所得額及資產ノ狀況ニ依リ之ヲ算定ス
第二十六條 第十一條第三號ノ規定ハ戶數割ニ之ヲ準用ス
第二十七條 戶數割ノ賦課ノ制限、納稅義務者ノ資產ノ狀況ニ依リ資力ヲ算定シテ賦課スヘキ額其ノ他納稅義務者ノ資力算定ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條 北海道府縣以外ノ公共團體ニ對スル第七條ノ許可ノ職權ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
附 則
本法ハ大正十五年度分ヨリ之ヲ適用ス但シ家屋稅營業稅及雜種稅其ノ附加稅竝戶數割ニ關スル規定ハ大正十六年度分ヨリ之ヲ適用ス
明治十三年第十六號布告及同年第十七號布告ハ大正十五年度分限リ之ヲ廢止ス
第六條及第七條中營業收益稅トアルハ大正十五年度分特別地稅及其ノ附加稅ニ付テハ國稅營業稅トス
家屋稅ハ大正十八年度分迄ニ限リ第九條乃至第十二條ノ規定ニ拘ラス別ニ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ賦課スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル地方税ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年三月二十七日
内閣総理大臣兼内務大臣 若槻礼次郎
大蔵大臣 浜口雄幸
法律第二十四号
第一条 北海道、府県ハ本法ニ依リ特別地税、家屋税、営業税及雑種税ヲ賦課スルコトヲ得
第二条 特別地税ハ地租条例第十三条ノ二ノ規定ニ依リテ地租ヲ徴収セサル田畑ニ対シ地租条例第一条ノ地価ヲ標準トシテ之ヲ賦課ス
特別地税ノ徴収ニ関シテハ地租条例第十三条ノ規定ヲ準用ス
第三条 特別地税ノ賦課率ハ北海道ニ在リテハ地価百分ノ二・六以内、府県ニ在リテハ地価百分ノ三・七以内トス
特別地税ニ対シ市町村其ノ他ノ公共団体ニ於テ賦課スヘキ附加税ノ賦課率ハ前項ニ規定スル制限ノ百分ノ八十以内トス
第四条 府県費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第二条ノ例ニ依リ地価百分ノ二・九ノ外其ノ分賦金額以内ニ限リ前条第一項ニ規定スル制限ニ達スル迄特別地税ヲ賦課スルコトヲ得
北海道地方費又ハ府県費ノ一部ノ分賦ヲ受ケタル市町村ハ前条第二項ニ規定スル制限ノ外其ノ分賦金額以内ニ限リ特別地税附加税ヲ賦課スルコトヲ得但シ北海道、府県ノ賦課額ト市町村ノ賦課額トノ合算額ハ前条第一項ニ規定スル制限ヲ超ユルコトヲ得ス
第五条 特別地税又ハ其ノ附加税ト段別割トヲ併課スル場合ニ於テハ段別割ノ総額ハ第三条又ハ前条ノ規定ニ依リテ其ノ地目ノ土地ニ対シ賦課シ得ヘキ制限額ト特別地税額又ハ其ノ附加税額トノ差額ヲ超ユルコトヲ得ス
第六条 特別地税又ハ其ノ附加税ノ賦課カ第三条乃至前条ニ規定スル制限ニ達シタル場合ニ非サレハ明治四十一年法律第三十七号第五条ノ規定ニ依ル地租、営業収益税又ハ所得税ノ附加税ノ制限外課税ヲ為スコトヲ得ス
特別地税又ハ其ノ附加税ト段別割トヲ併課シタル場合ニ於テ一地目ニ対スル賦課カ前条ニ規定スル制限ニ達シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ特別地税又ハ其ノ附加税カ制限ニ達シタルモノト看做ス
第七条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ第三条乃至第五条ニ規定スル制限ヲ超過シ其ノ百分ノ十二以内ニ於テ特別地税又ハ其ノ附加税ヲ賦課スルコトヲ得
左ニ掲クル場合ニ於テハ特ニ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケ前項ニ規定スル制限ヲ超過シテ課税スルコトヲ得
一 内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケテ起シタル負債ノ元利償還ノ為費用ヲ要スルトキ
二 非常ノ災害ニ因リ復旧工事ノ為費用ヲ要スルトキ
三 水利ノ為費用ヲ要スルトキ
四 伝染病予防ノ為費用ヲ要スルトキ
前二項ノ規定ニ依リ制限ヲ超過シテ課税スルハ営業収益税及所得税ノ附加税ノ賦課カ明治四十一年法律第三十七号第二条及第三条ニ規定スル制限ニ達シタルトキニ限ル
第八条 特別地税及其ノ附加税ノ賦課率ハ当該年度ノ予算ニ於テ定メタル田畑ニ対スル地租附加税ノ賦課率ヲ以テ算定シタル地租附加税額ノ当該田畑ノ地価ニ対スル比率ヲ超ユルコトヲ得ス
第九条 家屋税ハ家屋ノ賃貸価格ヲ標準トシテ家屋ノ所有者ニ之ヲ賦課ス
第十条 家屋ノ賃貸価格ハ家屋税調査委員ノ調査ニ依リ北海道ニ在リテハ北海道庁長官、府県ニ在リテハ府県知事之ヲ決定ス
第十一条 左ニ掲クル家屋ニ対シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ家屋税ヲ賦課セサルコトヲ得
一 一時ノ使用ニ供スル家屋
二 賃貸価格一定額以下ノ家屋
三 公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課税ヲ不適当トスル家屋
第十二条 府県費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第九条乃至前条ノ例ニ依リ家屋税ヲ賦課スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ府県知事ノ職務ハ市長之ヲ行フ
第十三条 家屋税及其ノ附加税ノ賦課率及賦課ノ制限並家屋ノ賃貸価格ノ算定及家屋税調査委員ノ組織ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条 営業税ハ営業収益税ノ賦課ヲ受ケサル営業者及営業収益税ヲ賦課セサル営業ヲ為ス者ニ之ヲ賦課ス
第十五条 営業税ヲ賦課スヘキ営業ノ種類ハ営業収益税法第二条ニ掲クルモノ及勅令ヲ以テ定ムルモノニ限ル
第十六条 府県費ノ全部ノ分賦ヲ受ケタル市ハ第十四条及前条ノ例ニ依リ営業税ヲ賦課スルコトヲ得
第十七条 第十一条第三号ノ規定ハ営業税ニ之ヲ準用ス
第十八条 営業税ノ課税標準並営業税及其ノ附加税ノ賦課ノ制限ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九条 雑種税ヲ賦課スルコトヲ得ヘキモノノ種類ハ勅令ヲ以テ定ムルモノ並内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受ケタルモノニ限ル
第二十条 第十一条第三号ノ規定ハ雑種税ニ之ヲ準用ス
第二十一条 雑種税ノ課税標準並雑種税及其ノ附加税ノ賦課ノ制限ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 市町村ハ本法ニ依リ戸数割ヲ賦課スルコトヲ得
第二十三条 戸数割ハ一戸ヲ構フル者ニ之ヲ賦課ス
戸数割ハ一戸ヲ構ヘサルモ独立ノ生計ヲ営ム者ニ之ヲ賦課スルコトヲ得
第二十四条 戸数割ハ納税義務者ノ資力ヲ標準トシテ之ヲ賦課ス
第二十五条 戸数割ノ課税標準タル資力ハ納税義務者ノ所得額及資産ノ状況ニ依リ之ヲ算定ス
第二十六条 第十一条第三号ノ規定ハ戸数割ニ之ヲ準用ス
第二十七条 戸数割ノ賦課ノ制限、納税義務者ノ資産ノ状況ニ依リ資力ヲ算定シテ賦課スヘキ額其ノ他納税義務者ノ資力算定ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八条 北海道府県以外ノ公共団体ニ対スル第七条ノ許可ノ職権ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
附 則
本法ハ大正十五年度分ヨリ之ヲ適用ス但シ家屋税営業税及雑種税其ノ附加税並戸数割ニ関スル規定ハ大正十六年度分ヨリ之ヲ適用ス
明治十三年第十六号布告及同年第十七号布告ハ大正十五年度分限リ之ヲ廃止ス
第六条及第七条中営業収益税トアルハ大正十五年度分特別地税及其ノ附加税ニ付テハ国税営業税トス
家屋税ハ大正十八年度分迄ニ限リ第九条乃至第十二条ノ規定ニ拘ラス別ニ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ賦課スルコトヲ得