第一條 本法ニ於テ陸上交通事業トハ地方鐵道事業、軌道事業、自動車運輸事業其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業ヲ謂フ
第二條 主務大臣公益ノ增進ヲ圖リ陸上交通事業ノ健全ナル發達ニ資スル爲陸上交通事業ノ調整ヲ爲サントスルトキハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ調整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類及範圍、之ト密接ナル關係ヲ有スル兼業ノ處置竝ニ左ノ各號ニ依ル調整ノ方法ヲ決定スベシ
五 連絡上必要ナル線路其ノ他ノ設備ノ新設、變更又ハ共用
八 用品其ノ他ノ共同購入、共同修繕其ノ他調整上必要ト認ムル方法
主務大臣ハ前項ノ決定ニ依リ陸上交通事業經營者ニ對シ前項第一號ノ事項ノ實施ヲ勸吿シ又ハ同項第二號乃至第八號ノ事項ノ實施ヲ命ズベシ
第三條 陸上交通事業經營者前條第二項ノ勸吿ニ依リ主務大臣ノ指定スル期間內ニ協定ヲ爲シタルトキハ之ガ認可ヲ申請スベシ
陸上交通事業經營者前條第二項ノ命令ヲ受ケタルトキハ主務大臣ノ指定スル期間內ニ協定ヲ爲シ之ガ認可ヲ申請スベシ協定成立セザルトキハ主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ協議調ハザル事項ヲ裁定ス
主務大臣前項ノ裁定ヲ爲サントスルトキハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵スベシ但シ重要ナラザルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
主務大臣第二項ノ裁定ヲ爲シタルトキハ關係陸上交通事業經營者ニ之ヲ通知スベシ
第四條 交通事業調整委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 第二條第一項ノ規定ニ依リ決定シタル調整ノ區域內ニ於ケル陸上交通事業經營ノ免許又ハ特許ニシテ重要ナルモノハ主務大臣交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ之ヲ爲スベシ
第六條 第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施ニ因リ調整ノ區域內ニ於ケル主要ナル陸上交通事業ヲ包括シ經營スルニ至リタル會社ニシテ勅令ニ依リ指定スルモノノ定款ノ變更、社債ノ募集、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第七條 北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノ第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施ニ因リ陸上交通事業ヲ經營スル會社ノ株主若ハ債權者ト爲リ又ハ其ノ會社ニ事業ノ管理ヲ委託シタル場合ニ於テハ北海道廳長官、府縣知事又ハ市町村長其ノ他之ニ準ズベキ者ハ其ノ指名スル吏員ヲシテ商法ノ定ムル選任方法ニ依リ其ノ會社ノ取締役又ハ監査役タラシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市制第七十七條及第七十八條又ハ町村制第六十五條及第六十六條若ハ之ヲ準用スル北海道一級町村制第一條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ規定ニ依リ會社ノ取締役又ハ監査役ト爲リタル者吏員タル身分ヲ失ヒタルトキハ取締役又ハ監査役ノ職ヲ失フ
第八條 第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施ニ因リ左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 會社ノ設立又ハ資本增加
金錢出資ニ依ル拂込株金額又ハ增資拂込株金額ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込株金額又ハ增資拂込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
二 會社ノ設立若ハ資本增加又ハ陸上交通事業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動產ニ關スル權利ノ取得
北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ前項ニ規定スル不動產ニ關スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第九條 地方鐵道法、軌道法、自動車交通事業法又ハ之ニ基キテ發スル命令ニ依リ免許、特許、許可又ハ認可ヲ受クルコトヲ要スルモノニ付テハ第三條又ハ第六條ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該法令ノ規定ニ依ル免許、特許、許可又ハ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
第十條 第三條第二項ノ裁定アリタル場合ニ於テ第二條第一項第二號ノ讓受ノ價額、同項第三號ノ共同經營ニ於ケル收得若ハ負擔ノ金額ノ割合又ハ同項第四號ノ管理ノ報酬金額ニ付不服アル者ハ協定ノ相手方ヲ被吿トシ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ訴訟ハ第二條第二項ノ命令及第三條第二項ノ裁定ノ效力ヲ停止セズ
第十一條 第二條第二項ノ規定ニ依リ事業ヲ讓受ケタル者前條ノ規定ニ依リ出訴シタル場合ニ於テハ裁定ニ基ク讓受價額ト自己ノ見積價額トノ差額ニ相當スル金錢ヲ供託スルコトヲ得
第十二條 陸上交通事業經營者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
二 他人ヲシテ事業經營者ノ計算ニ於テ事業ノ管理ヲ爲サシムルコト