朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル船舶法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月七日
內閣總理大臣 侯爵 山縣有朋
遞信大臣 子爵 芳川顯正
法律第四十六號
船舶法
第一條 左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一 日本ノ官廳又ハ公署ノ所有ニ屬スル船舶
二 日本臣民ノ所有ニ屬スル船舶
三 日本ニ本店ヲ有スル商事會社ニシテ合名會社ニ在リテハ社員ノ全員、合資會社及ヒ株式合資會社ニ在リテハ無限責任社員ノ全員、株式會社ニ在リテハ取締役ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ屬スル船舶
四 日本ニ主タル事務所ヲ有スル法人ニシテ其代表者ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ屬スル船舶
舊商法ノ規定ニ從ヒテ設立シタル合資會社ニ在リテハ業務擔當社員ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ屬スル船舶ヲ以テ日本船舶トス
第二條 日本船舶ニ非サレハ日本ノ國旗ヲ揭クルコトヲ得ス
第三條 日本船舶ニ非サレハ不開港場ニ寄港シ又ハ日本各港ノ間ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ爲スコトヲ得ス但法律若クハ條約ニ別段ノ定アルトキ、海難若クハ捕獲ヲ避ケントスルトキ又ハ主務大臣ノ特許ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第四條 日本船舶ノ所有者ハ日本ニ船籍港ヲ定メ其船籍港ヲ管轄スル管海官廳ニ船舶ノ積量ノ測度ヲ申請スルコトヲ要ス
船籍港ヲ管轄スル管海官廳ハ他ノ管海官廳ニ船舶ノ積量ノ測度ヲ囑託スルコトヲ得
外國ニ於テ取得シタル船舶ヲ外國各港ノ間ニ於テ航行セシムルトキハ船舶所有者ハ日本ノ領事又ハ貿易事務官ニ其船舶ノ積量ノ測度ヲ申請スルコトヲ得
第五條 日本船舶ノ所有者ハ登記ヲ爲シタル後船籍港ヲ管轄スル管海官廳ニ備ヘタル船舶原簿ニ登錄ヲ爲スコトヲ要ス
前項ニ定メタル登錄ヲ爲シタルトキハ管海官廳ハ船舶國籍證書ヲ交付スルコトヲ要ス
第六條 日本船舶ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外船舶國籍證書又ハ假船舶國籍證書ヲ請受ケタル後ニ非サレハ日本ノ國旗ヲ揭ケ又ハ之ヲ航行セシムルコトヲ得ス
第七條 日本船舶ハ法令ノ定ムル所ニ從ヒ日本ノ國旗ヲ揭ケ且其名稱、船籍港、番號、積量、喫水ノ尺度其他ノ事項ヲ標示スルコトヲ要ス
第八條 日本船舶ノ名稱ハ船籍港ヲ管轄スル管海官廳ノ許可ヲ得ルニ非サレハ之ヲ變更スルコトヲ得ス
第九條 船舶所有者カ其船舶ヲ修繕シタル場合ニ於テ其積量ニ變更ヲ生シタルモノト認ムルトキハ遲滯ナク船籍港ヲ管轄スル管海官廳ニ其船舶ノ積量ノ改測ヲ申請スルコトヲ要ス
第四條第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十條 登錄シタル事項ニ變更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ二週間內ニ變更ノ登錄ヲ爲スコトヲ要ス
第十一條 船舶國籍證書ニ記載シタル事項ニ變更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ二週間內ニ其書換ヲ申請スルコトヲ要ス船舶國籍證書カ毀損シタルトキ亦同シ
第十二條 船舶國籍證書カ滅失シタルトキハ船舶所有者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ二週間內ニ更ニ之ヲ請受クルコトヲ要ス
第十三條 日本船舶カ外國ノ港ニ碇泊スル間ニ於テ船舶國籍證書カ滅失又ハ毀損シタルトキハ船長ハ其地ニ於テ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
日本船舶カ外國ニ航行スル途中ニ於テ前項ノ事由カ生シタルトキハ船長ハ最初ニ到著シタル地ニ於テ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
前二項ノ規定ニ從ヒテ假船舶國籍證書ヲ請受クルコト能ハサルトキハ其後最初ニ到著シタル地ニ於テ之ヲ請受クルコトヲ得
第十四條 日本船舶カ滅失若クハ沈沒シタルトキ、解撤セラレタルトキ又ハ日本ノ國籍ヲ喪失シタルトキハ船舶所有者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ二週間內ニ抹消ノ登錄ヲ爲シ且遲滯ナク船舶國籍證書ヲ返還スルコトヲ要ス船舶ノ存否カ六个月間分明ナラサルトキ亦同シ
第十五條 日本ニ於テ船舶ヲ取得シタル者カ其取得地ヲ管轄スル管海官廳ノ管轄區域內ニ船籍港ヲ定メサルトキハ其管海官廳ノ所在地ニ於テ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
第十六條 外國ニ於テ船舶ヲ取得シタル者ハ其取得地ニ於テ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
第十三條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十七條 外國ニ於テ交付スル假船舶國籍證書ノ有效期間ハ一年ヲ超ユルコトヲ得ス
日本ニ於テ交付スル假船舶國籍證書ノ有效期間ハ六个月ヲ超ユルコトヲ得ス
前二項ノ期間ヲ超ユルトキト雖モ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ船長ハ更ニ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
第十八條 船舶カ船籍港ニ到著シタルトキハ假船舶國籍證書ハ有效期間滿了前ト雖モ其效力ヲ失フ
第十九條 第十一條乃至第十四條ノ規定ハ假船舶國籍證書ニ之ヲ準用ス
第二十條 前十六條ノ規定ハ總噸數二十噸未滿又ハ積石數二百石未滿ノ船舶及ヒ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運轉シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運轉スル舟ニハ之ヲ適用セス
第二十一條 前條ニ揭ケタル船舶ノ船籍及ヒ其積量ノ測度ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 日本船舶ニ非スシテ國籍ヲ詐ル目的ヲ以テ日本ノ國旗ヲ揭ケタルトキハ船長ヲ百圓以上千圓以下ノ罰金ニ處シ情狀重キトキハ其船舶ヲ沒收ス但捕獲ヲ避ケントスル目的ヲ以テ日本ノ國旗ヲ揭ケタルトキハ此限ニ在ラス
日本船舶カ國籍ヲ詐ル目的ヲ以テ日本ノ國旗ニ非サル旗章ヲ揭ケタルトキ亦前項ニ同シ
第二十三條 第三條ノ規定ニ違反シタルトキハ船長ヲ二百圓以上二千圓以下ノ罰金ニ處シ船舶ヲ沒收ス
第二十四條 官吏ヲ欺キ船舶原簿ニ不實ノ登錄ヲ爲サシメタル者ハ二月以上三年以下ノ重禁錮ニ處シ百圓以上千圓以下ノ罰金ヲ附加ス
前項ノ罪ヲ犯サントシテ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ依リテ處斷ス
第二十五條 第六條ノ規定ニ違反シタルトキハ船長ヲ十圓以上千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條 第七條ノ規定ニ從ヒテ日本ノ國旗ヲ揭ケサルトキハ船長ヲ五圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十七條 第七條ニ定メタル事項ヲ船舶ニ標示セサルトキ又ハ第八條乃至第十二條若クハ第十四條ノ規定ニ違反シタルトキハ船舶所有者ヲ五圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十八條 第二十二條、第二十三條、第二十五條及ヒ第二十六條ノ規定ハ船長ニ代ハリテ其職務ヲ行フ者ニモ亦之ヲ適用ス
第二十九條 第二十二條、第二十三條、第二十五條及ヒ第二十六條ニ定メタル罪ニ付テハ刑法數人共犯ノ例ヲ適用セス
第三十條 第二十七條ノ場合ニ於テ刑法第七十八條乃至第八十條ノ規定ニ依リ船舶所有者ノ罪ヲ論スヘカラサルトキハ其法定代理人ヲ罰ス
第三十一條 第二十七條ノ規定ハ船舶管理人又ハ商事會社其他ノ法人ノ代表者若クハ淸算人ニ之ヲ適用ス
第三十二條 管海官廳ノ事務ハ外國ニ在リテハ日本ノ領事又ハ貿易事務官之ヲ行フ
附 則
第三十三條 本法ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十四條 船舶ノ登記ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治十九年法律第一號登記法中船舶ノ登記ニ關スル規定ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
第三十五條 商法第五編ノ規定ハ商行爲ヲ爲ス目的ヲ以テセサルモ航海ノ用ニ供スル船舶ニ之ヲ準用ス但官廳又ハ公署ノ所有ニ屬スル船舶ニ付テハ此限ニ在ラス
第三十六條 明治三年正月二十七日布吿商船規則、同十二年第五號布吿、同年第十九號布吿、同十四年第十二號布吿其他ノ法令ニシテ本法ノ規定ニ牴觸スルモノハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
第三十七條 本法施行ノ際登簿船免狀又ハ船鑑札ヲ受有スル船舶ノ所有者カ本法ノ規定ニ依リ船舶國籍證書ヲ請受クヘキトキハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ登錄ヲ爲シ且船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ從ヒテ船舶國籍證書ヲ請受クルマテハ登簿船免狀又ハ船鑑札ハ船舶國籍證書ト同一ノ效力ヲ有ス
第三十八條 本法施行ノ際登簿船假免狀ヲ受有スル船舶ノ所有者カ本法ノ規定ニ依リ船舶國籍證書ヲ請受クヘキ場合ニ於テハ其假免狀ハ有效期間ノ滿了ニ至ルマテハ假船舶國籍證書ト同一ノ效力ヲ有ス但船舶カ船籍港ニ到著シタルトキハ此限ニ在ラス
登簿船假免狀ノ有效期間カ滿了シタルトキト雖モ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ船長ハ假船舶國籍證書ヲ請受クルコトヲ得
第三十九條 第十四條ノ規定ハ本法施行前ニ同條ニ揭ケタル事由カ生シタルモ未タ登簿船原簿ノ削除ヲ請ハサル場合ニ之ヲ準用ス但同條ニ定メタル二週間ノ期間ハ船舶所有者カ本法施行前ニ事實ヲ知リタルトキト雖モ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
本法施行前ニ踪跡ヲ失ヒタル船舶ニシテ未タ登簿船原簿ノ削除ヲ請ハサルトキ亦同シ
前二項ノ規定ニ違反シタルトキハ船舶所有者ヲ五圓以上五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十條及ヒ第三十一條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十條 本法施行前ヨリ存否カ分明ナラサル船舶ニシテ未タ舊法ノ期間カ經過セサルモノニ付テハ第十四條ニ定メタル六个月ノ期間ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第四十一條 本法ノ施行ニ關スル細則ハ主務大臣之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル船舶法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月七日
内閣総理大臣 侯爵 山県有朋
逓信大臣 子爵 芳川顕正
法律第四十六号
船舶法
第一条 左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一 日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶
二 日本臣民ノ所有ニ属スル船舶
三 日本ニ本店ヲ有スル商事会社ニシテ合名会社ニ在リテハ社員ノ全員、合資会社及ヒ株式合資会社ニ在リテハ無限責任社員ノ全員、株式会社ニ在リテハ取締役ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
四 日本ニ主タル事務所ヲ有スル法人ニシテ其代表者ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
旧商法ノ規定ニ従ヒテ設立シタル合資会社ニ在リテハ業務担当社員ノ全員カ日本臣民ナルモノノ所有ニ属スル船舶ヲ以テ日本船舶トス
第二条 日本船舶ニ非サレハ日本ノ国旗ヲ掲クルコトヲ得ス
第三条 日本船舶ニ非サレハ不開港場ニ寄港シ又ハ日本各港ノ間ニ於テ物品又ハ旅客ノ運送ヲ為スコトヲ得ス但法律若クハ条約ニ別段ノ定アルトキ、海難若クハ捕獲ヲ避ケントスルトキ又ハ主務大臣ノ特許ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
第四条 日本船舶ノ所有者ハ日本ニ船籍港ヲ定メ其船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ船舶ノ積量ノ測度ヲ申請スルコトヲ要ス
船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ他ノ管海官庁ニ船舶ノ積量ノ測度ヲ嘱託スルコトヲ得
外国ニ於テ取得シタル船舶ヲ外国各港ノ間ニ於テ航行セシムルトキハ船舶所有者ハ日本ノ領事又ハ貿易事務官ニ其船舶ノ積量ノ測度ヲ申請スルコトヲ得
第五条 日本船舶ノ所有者ハ登記ヲ為シタル後船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ備ヘタル船舶原簿ニ登録ヲ為スコトヲ要ス
前項ニ定メタル登録ヲ為シタルトキハ管海官庁ハ船舶国籍証書ヲ交付スルコトヲ要ス
第六条 日本船舶ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書ヲ請受ケタル後ニ非サレハ日本ノ国旗ヲ掲ケ又ハ之ヲ航行セシムルコトヲ得ス
第七条 日本船舶ハ法令ノ定ムル所ニ従ヒ日本ノ国旗ヲ掲ケ且其名称、船籍港、番号、積量、喫水ノ尺度其他ノ事項ヲ標示スルコトヲ要ス
第八条 日本船舶ノ名称ハ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ノ許可ヲ得ルニ非サレハ之ヲ変更スルコトヲ得ス
第九条 船舶所有者カ其船舶ヲ修繕シタル場合ニ於テ其積量ニ変更ヲ生シタルモノト認ムルトキハ遅滞ナク船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ其船舶ノ積量ノ改測ヲ申請スルコトヲ要ス
第四条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十条 登録シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ変更ノ登録ヲ為スコトヲ要ス
第十一条 船舶国籍証書ニ記載シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ其書換ヲ申請スルコトヲ要ス船舶国籍証書カ毀損シタルトキ亦同シ
第十二条 船舶国籍証書カ滅失シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ更ニ之ヲ請受クルコトヲ要ス
第十三条 日本船舶カ外国ノ港ニ碇泊スル間ニ於テ船舶国籍証書カ滅失又ハ毀損シタルトキハ船長ハ其地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
日本船舶カ外国ニ航行スル途中ニ於テ前項ノ事由カ生シタルトキハ船長ハ最初ニ到著シタル地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
前二項ノ規定ニ従ヒテ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコト能ハサルトキハ其後最初ニ到著シタル地ニ於テ之ヲ請受クルコトヲ得
第十四条 日本船舶カ滅失若クハ沈没シタルトキ、解撤セラレタルトキ又ハ日本ノ国籍ヲ喪失シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ抹消ノ登録ヲ為シ且遅滞ナク船舶国籍証書ヲ返還スルコトヲ要ス船舶ノ存否カ六个月間分明ナラサルトキ亦同シ
第十五条 日本ニ於テ船舶ヲ取得シタル者カ其取得地ヲ管轄スル管海官庁ノ管轄区域内ニ船籍港ヲ定メサルトキハ其管海官庁ノ所在地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
第十六条 外国ニ於テ船舶ヲ取得シタル者ハ其取得地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
第十三条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十七条 外国ニ於テ交付スル仮船舶国籍証書ノ有効期間ハ一年ヲ超ユルコトヲ得ス
日本ニ於テ交付スル仮船舶国籍証書ノ有効期間ハ六个月ヲ超ユルコトヲ得ス
前二項ノ期間ヲ超ユルトキト雖モ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ船長ハ更ニ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
第十八条 船舶カ船籍港ニ到著シタルトキハ仮船舶国籍証書ハ有効期間満了前ト雖モ其効力ヲ失フ
第十九条 第十一条乃至第十四条ノ規定ハ仮船舶国籍証書ニ之ヲ準用ス
第二十条 前十六条ノ規定ハ総噸数二十噸未満又ハ積石数二百石未満ノ船舶及ヒ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス
第二十一条 前条ニ掲ケタル船舶ノ船籍及ヒ其積量ノ測度ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 日本船舶ニ非スシテ国籍ヲ詐ル目的ヲ以テ日本ノ国旗ヲ掲ケタルトキハ船長ヲ百円以上千円以下ノ罰金ニ処シ情状重キトキハ其船舶ヲ没収ス但捕獲ヲ避ケントスル目的ヲ以テ日本ノ国旗ヲ掲ケタルトキハ此限ニ在ラス
日本船舶カ国籍ヲ詐ル目的ヲ以テ日本ノ国旗ニ非サル旗章ヲ掲ケタルトキ亦前項ニ同シ
第二十三条 第三条ノ規定ニ違反シタルトキハ船長ヲ二百円以上二千円以下ノ罰金ニ処シ船舶ヲ没収ス
第二十四条 官吏ヲ欺キ船舶原簿ニ不実ノ登録ヲ為サシメタル者ハ二月以上三年以下ノ重禁錮ニ処シ百円以上千円以下ノ罰金ヲ附加ス
前項ノ罪ヲ犯サントシテ未タ遂ケサル者ハ刑法未遂犯罪ノ例ニ依リテ処断ス
第二十五条 第六条ノ規定ニ違反シタルトキハ船長ヲ十円以上千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十六条 第七条ノ規定ニ従ヒテ日本ノ国旗ヲ掲ケサルトキハ船長ヲ五円以上五百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十七条 第七条ニ定メタル事項ヲ船舶ニ標示セサルトキ又ハ第八条乃至第十二条若クハ第十四条ノ規定ニ違反シタルトキハ船舶所有者ヲ五円以上五百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十八条 第二十二条、第二十三条、第二十五条及ヒ第二十六条ノ規定ハ船長ニ代ハリテ其職務ヲ行フ者ニモ亦之ヲ適用ス
第二十九条 第二十二条、第二十三条、第二十五条及ヒ第二十六条ニ定メタル罪ニ付テハ刑法数人共犯ノ例ヲ適用セス
第三十条 第二十七条ノ場合ニ於テ刑法第七十八条乃至第八十条ノ規定ニ依リ船舶所有者ノ罪ヲ論スヘカラサルトキハ其法定代理人ヲ罰ス
第三十一条 第二十七条ノ規定ハ船舶管理人又ハ商事会社其他ノ法人ノ代表者若クハ清算人ニ之ヲ適用ス
第三十二条 管海官庁ノ事務ハ外国ニ在リテハ日本ノ領事又ハ貿易事務官之ヲ行フ
附 則
第三十三条 本法ハ商法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十四条 船舶ノ登記ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治十九年法律第一号登記法中船舶ノ登記ニ関スル規定ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス
第三十五条 商法第五編ノ規定ハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テセサルモ航海ノ用ニ供スル船舶ニ之ヲ準用ス但官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶ニ付テハ此限ニ在ラス
第三十六条 明治三年正月二十七日布告商船規則、同十二年第五号布告、同年第十九号布告、同十四年第十二号布告其他ノ法令ニシテ本法ノ規定ニ牴触スルモノハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス
第三十七条 本法施行ノ際登簿船免状又ハ船鑑札ヲ受有スル船舶ノ所有者カ本法ノ規定ニ依リ船舶国籍証書ヲ請受クヘキトキハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ登録ヲ為シ且船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ従ヒテ船舶国籍証書ヲ請受クルマテハ登簿船免状又ハ船鑑札ハ船舶国籍証書ト同一ノ効力ヲ有ス
第三十八条 本法施行ノ際登簿船仮免状ヲ受有スル船舶ノ所有者カ本法ノ規定ニ依リ船舶国籍証書ヲ請受クヘキ場合ニ於テハ其仮免状ハ有効期間ノ満了ニ至ルマテハ仮船舶国籍証書ト同一ノ効力ヲ有ス但船舶カ船籍港ニ到著シタルトキハ此限ニ在ラス
登簿船仮免状ノ有効期間カ満了シタルトキト雖モ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ船長ハ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
第三十九条 第十四条ノ規定ハ本法施行前ニ同条ニ掲ケタル事由カ生シタルモ未タ登簿船原簿ノ削除ヲ請ハサル場合ニ之ヲ準用ス但同条ニ定メタル二週間ノ期間ハ船舶所有者カ本法施行前ニ事実ヲ知リタルトキト雖モ其施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
本法施行前ニ踪跡ヲ失ヒタル船舶ニシテ未タ登簿船原簿ノ削除ヲ請ハサルトキ亦同シ
前二項ノ規定ニ違反シタルトキハ船舶所有者ヲ五円以上五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十条及ヒ第三十一条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十条 本法施行前ヨリ存否カ分明ナラサル船舶ニシテ未タ旧法ノ期間カ経過セサルモノニ付テハ第十四条ニ定メタル六个月ノ期間ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第四十一条 本法ノ施行ニ関スル細則ハ主務大臣之ヲ定ム