登記法
法令番号: 法律第一號
公布年月日: 明治19年8月13日
法令の形式: 法律
朕登記法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年八月十一日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
內務大臣 伯爵 山縣有朋
大藏大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 伯爵 山田顯義
法律第一號
登記法
第一章 總則
第一條 地所建物船舶ノ賣買讓與質入書入ノ登記ヲ請ントスル者ハ本法ニ從ヒ地所建物ハ其所在地船舶ハ其定繫場ノ登記所ニ登記ヲ請フ可シ
第二條 地所建物船舶ノ賣買讓與質入書入ノ登記ハ始審裁判所長之ヲ監督ス可シ
第三條 登記事務ハ治安裁判所ニ於テ之ヲ取扱フモノトス治安裁判所遠隔ノ地方ニ於テハ郡區役所其他司法大臣指定スル所ニ於テ之ヲ取扱ハシム
第四條 登記所ノ位置及其管轄ノ區域ハ司法大臣之ヲ定ム
第五條 登記官吏ハ登記事務取扱ニ付テハ始審裁判所長ノ監督ヲ受クルモノトス
第六條 登記簿ニ登記ヲ爲サヽル地所建物船舶ノ賣買讓與質入書入ハ第三者ニ對シ法律上其効ナキモノトス
第七條 地所建物船舶ノ賣買讓與質入書入ニ付キ登記ス可キ槪目左ノ如シ
第一 地所ハ郡區町村名、字、番地、地目、反別若クハ坪數、地券面ノ價格
第二 建物ハ郡區町村名、字、番地、地目、構造ノ種類、建坪、造作ノ有無
第三 西洋形船舶ハ汽船、風帆舶ノ區別、船名、番號、登簿噸數、公稱馬力、汽機及汽罐ノ種類端船其他必要ノ所屬品
第四 日本形船舶ハ船名、番號、積石數、間數、端船其他必要ノ所屬品
第五 登記ノ事由
第六 金額
第七 質入書入ハ其期限及利息
第八 所有者及登記ヲ受クル者ノ氏名住所
第九 一筆ノ地所又ハ一棟ノ建物ヲ區別シ賣買讓與質入書入ヲ爲ストキハ其事實
第十 二番以後ノ書入ヲ爲シ又ハ書入ニ爲シタルモノヲ質入ト爲シ質入ニ爲シタルモノヲ書入ト爲ストキハ其事實
第十一 登記ノ年月日
第八條 登記ヲ請フ者アルトキハ登記官吏直ニ前條ノ槪目ヲ審査シテ登記簿ニ登記シ本人ニ之ヲ示シ又ハ讀聞セタル上本人ヲシテ署名捺印セシメ且之ニ署名捺印ス可シ
第九條 地所建物船舶ニ關スル差押假差押差留假差留假處分及地所建物ノ收益差押ニ付テハ裁判所ノ命令書ニ依リ登記簿ニ其記入ヲ爲ス可シ
前項ノ記入ハ裁判所ノ命令アルトキニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス
第十條 登記ハ第十五條第二項及第十六條第十七條第十八條ヲ除クノ外契約者雙方ノ請求若クハ裁判所ノ命令アルトキニ非サレハ之ヲ爲シ又ハ變更シ又ハ取消スコトヲ得ス
第十一條 登記ノ謄本又ハ拔書又ハ一覽ヲ要スル者ハ其登記所ニ出頭シテ之ヲ請求スルコトヲ得
第十二條 登記官吏ノ職務執行上ニ關シ不服アル者ハ管轄始審裁判所ニ抗吿スルコトヲ得
第十三條 登記ニ關スル取扱ノ手續及登記簿ノ書式ハ司法大臣之ヲ定ム
第二章 賣買讓與
第十四條 地所建物船舶ノ賣買讓與ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者雙方出頭シ其證書ヲ示ス可シ
前項ノ場合ニ於テ其物件質入書入中ニ係ルトキハ買受人讓受人ニ於テ之ヲ了知セル旨ヲ申出其記入ヲ請フ可シ
第十五條 家督相續ニ因リ地所建物船舶ノ登記ヲ請フトキハ雙方出頭シ其證書ヲ示ス可シ
死亡者失踪者若クハ離緣戶主ノ遺留シタル地所建物船舶ヲ相續スル者登記ヲ請フトキハ親屬又親屬ナキトキハ近隣ノ戶主二名以上連署ノ書面ヲ差出シ且證明書類アルモノハ之ヲ示ス可シ
第十六條 行政官廳ノ公賣處分ニ因リ地所建物船舶ノ所有權ヲ得タル者登記ヲ請フトキハ落札達書及其代金完納ノ證書ヲ示ス可シ
第十七條 官有ノ地所建物船舶ノ拂下又ハ無代價下渡ヲ受ケ登記ヲ請フトキハ其指令ノ本書若クハ達書ヲ示ス可シ
第十八條 民有ノ地所建物船舶ヲ官有ト爲シタルトキハ其官廳ハ第七條ノ槪目ヲ示シテ登記ヲ求ム可シ
第十九條 裁判執行上ノ糶賣若クハ入札ニ因リ地所建物船舶ノ所有權ヲ得タル者アルトキハ裁判所ノ命令ニ依リ其登記ヲ爲ス可シ
第二十條 地所船舶賣買讓與ノ登記ヲ受ケ地券鑑札ノ下付若クハ書換ヲ請ントスル者ハ登記所ヨリ登記濟ノ證ヲ受ク可シ
第三章 質入書入
第二十一條 地所建物船舶ノ質入書入ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者雙方出頭シ其證書ヲ示ス可シ
貸借ノ爲メニ非スシテ義務ヲ果ス可キ保證ノ爲メ地所建物船舶ヲ質入書入ト爲シ其登記ヲ請フ者モ亦前項ノ規定ニ依ル可シ
第二十二條 書入ノ地所建物船舶ヲ重ネテ書入ト爲ストキハ第二債主ニ於テ之ヲ了知セル旨ヲ申出其記入ヲ請フ可シ書入ト爲リタル地所ヲ質入ト爲シ又ハ質入ト爲リタル地所ヲ書入ト爲ストキ亦同シ
第二十三條 質入書入契約ノ全部若クハ一部ノ解除又ハ變更ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者雙方出頭シ其證書ヲ示ス可シ
第二十四條 同一ノ地所建物船舶ニ付キ數個ノ登記ヲ爲ストキハ其登記ヲ請フ日時ノ前後ニ因リ登記ノ順序ヲ定ムルモノトス
第四章 登記料及手數料
第二十五條 地所建物船舶賣買ノ登記ニ付テハ其買受人左ノ賣買代價ノ區別ニ從ヒ每一件ニ其登記料ヲ納ム可シ
賣買代價 登記料
五圓未滿 五錢
五圓以上拾圓未滿 拾錢
拾圓以上貳拾五圓未滿 貳拾五錢
貳拾五圓以上五拾圓未滿 五拾錢
五拾圓以上百圓未滿 壹圓
百圓以上貳百圓未滿 貳圓
貳百圓以上三百圓未滿 三圓
三百圓以上四百圓未滿 四圓
四百圓以上五百圓未滿 五圓
五百圓以上七百五拾圓未滿 六圓
七百五拾圓以上千圓未滿 七圓
千圓以上千五百圓未滿 八圓
千五百圓以上貳千圓未滿 九圓
貳千圓以上五千圓未滿 拾圓
五千圓以上壹万圓マテ 拾貳圓
以上五千圓マテ每ニ貳圓ヲ增加ス
第二十六條 地所建物船舶讓與ノ登記ニ付テハ其讓渡人讓受人ニ於テ時價相當ノ價格ヲ定メ前條ニ揭クル金額ノ區別ニ從ヒ每一件ニ其讓受人ヨリ登記料ヲ納ム可シ
第二十七條 地所建物船舶質入書入ノ登記ニ付テハ其質入人書入人ハ第二十五條ニ揭クル金額ノ區別ニ從ヒ每一件ニ其登記料ノ半額ヲ納ム可シ但一件ニ付キ金五錢ヨリ下スコトヲ得ス
第二十八條 第二十一條第二項ノ登記ニ付テハ價格ヲ定メ前條ノ例ニ依リ其登記料ヲ納ム可シ
第九條第一項ノ記入ニ付テハ其價格ノ定マリタル物件ハ其價格又其價格ノ定マラサル物件ハ時價相當ノ價格ヲ定メ前條ノ例ニ依リ其登記料ヲ納ム可シ
第二十九條 第十五條ノ登記ニ付テハ時價相當ノ價格ヲ定メ第二十五條ニ揭クル金額ノ區別ニ從ヒ每一件ニ其登記料ノ五分一ヲ納ム可シ但一件ニ付キ金五錢ヨリ下スコトヲ得ス
第三十條 左ニ揭クル者ハ手數料トシテ金五錢ヲ納ム可シ
第一 登記事件ノ取消又ハ其變更ノ登記ヲ請フ者ハ每一件
第二 登記ノ謄本若クハ拔書ヲ請フ者ハ每一枚
第三 登記ノ一覽ヲ請フ者
第三十一條 左ニ揭クルモノハ登記料及手數料ヲ要セス
第一 官廳ノ請求ニ係ル登記
第二 公立ノ學校病院、公園及養育院ニ係ル登記
第三 社寺、堂宇及墳墓地ニ係ル登記
第四 人民共有ノ用惡水路溜池敷、堤敷、井溝敷及公衆ノ用ニ供スル道路ニ係ル登記
第三十二條 登記所ニ於テ第二十五條第二十六條第二十八條第二項及第二十九條ニ從ヒ屆出タル價格ヲ不相當ト認ムルトキハ其事件ニ關係ナキ者三名ヲ選ヒ之ヲ評價人ト爲シテ其價格ヲ評定セシム可シ
第三十三條 評價人ノ評定シタル價格屆出ノ價格ヨリ增加スルトキハ其評價ニ關スル費用ハ其登記料ヲ納ムル者之ヲ負擔ス可シ若シ其價格屆出ノ價格ト同價又ハ低下ナルトキハ該費用ハ其登記所ニ於テ之ヲ支辨ス可シ
第三十四條 評價人ニ選ハレタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ス
第三十五條 評價人ノ日當ハ登記所ノ見込ヲ以テ一日金貳拾錢ヨリ五拾錢マテヲ給ス可シ
第五章 罰則
第三十六條 詐僞ノ所爲ヲ以テ登記料ヲ減脫シ及之ニ通謀シタル者ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條 本法ニ依リ罰金ニ處スル者ハ刑法ノ不論罪及減輕再犯加重數罪俱發ノ例ヲ用ヒス
附 則
第三十八條 明治十年第二十八號布吿船舶賣買書入質手續同十三年第五十二號布吿土地賣買讓渡規則同十四年第三十號布吿地券證印稅則其他從前ノ法律規則中本法ニ牴觸スルモノハ本法施行ノ日ヨリ廢止ス
第三十九條 地所賣買讓與荒地起返開墾鍬下年期明等總テ地券下付書換ニ係ル手續及其手數料ハ大藏大臣之ヲ定ム
第四十條 登記所ノ登記簿ニ未タ登記セサル地所建物船舶ニ付キ登記ヲ請フ者ハ地所建物ハ其所在地船舶ハ其定繫場ノ戶長ノ證書ヲ以テ其所有者タルコト及其物件ニ故障ナキコトヲ示ス可シ
第四十一條 本法ハ明治二十年二月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕登記法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年八月十一日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
内務大臣 伯爵 山県有朋
大蔵大臣 伯爵 松方正義
司法大臣 伯爵 山田顕義
法律第一号
登記法
第一章 総則
第一条 地所建物船舶ノ売買譲与質入書入ノ登記ヲ請ントスル者ハ本法ニ従ヒ地所建物ハ其所在地船舶ハ其定繋場ノ登記所ニ登記ヲ請フ可シ
第二条 地所建物船舶ノ売買譲与質入書入ノ登記ハ始審裁判所長之ヲ監督ス可シ
第三条 登記事務ハ治安裁判所ニ於テ之ヲ取扱フモノトス治安裁判所遠隔ノ地方ニ於テハ郡区役所其他司法大臣指定スル所ニ於テ之ヲ取扱ハシム
第四条 登記所ノ位置及其管轄ノ区域ハ司法大臣之ヲ定ム
第五条 登記官吏ハ登記事務取扱ニ付テハ始審裁判所長ノ監督ヲ受クルモノトス
第六条 登記簿ニ登記ヲ為サヽル地所建物船舶ノ売買譲与質入書入ハ第三者ニ対シ法律上其効ナキモノトス
第七条 地所建物船舶ノ売買譲与質入書入ニ付キ登記ス可キ概目左ノ如シ
第一 地所ハ郡区町村名、字、番地、地目、反別若クハ坪数、地券面ノ価格
第二 建物ハ郡区町村名、字、番地、地目、構造ノ種類、建坪、造作ノ有無
第三 西洋形船舶ハ汽船、風帆舶ノ区別、船名、番号、登簿噸数、公称馬力、汽機及汽缶ノ種類端船其他必要ノ所属品
第四 日本形船舶ハ船名、番号、積石数、間数、端船其他必要ノ所属品
第五 登記ノ事由
第六 金額
第七 質入書入ハ其期限及利息
第八 所有者及登記ヲ受クル者ノ氏名住所
第九 一筆ノ地所又ハ一棟ノ建物ヲ区別シ売買譲与質入書入ヲ為ストキハ其事実
第十 二番以後ノ書入ヲ為シ又ハ書入ニ為シタルモノヲ質入ト為シ質入ニ為シタルモノヲ書入ト為ストキハ其事実
第十一 登記ノ年月日
第八条 登記ヲ請フ者アルトキハ登記官吏直ニ前条ノ概目ヲ審査シテ登記簿ニ登記シ本人ニ之ヲ示シ又ハ読聞セタル上本人ヲシテ署名捺印セシメ且之ニ署名捺印ス可シ
第九条 地所建物船舶ニ関スル差押仮差押差留仮差留仮処分及地所建物ノ収益差押ニ付テハ裁判所ノ命令書ニ依リ登記簿ニ其記入ヲ為ス可シ
前項ノ記入ハ裁判所ノ命令アルトキニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス
第十条 登記ハ第十五条第二項及第十六条第十七条第十八条ヲ除クノ外契約者双方ノ請求若クハ裁判所ノ命令アルトキニ非サレハ之ヲ為シ又ハ変更シ又ハ取消スコトヲ得ス
第十一条 登記ノ謄本又ハ抜書又ハ一覧ヲ要スル者ハ其登記所ニ出頭シテ之ヲ請求スルコトヲ得
第十二条 登記官吏ノ職務執行上ニ関シ不服アル者ハ管轄始審裁判所ニ抗告スルコトヲ得
第十三条 登記ニ関スル取扱ノ手続及登記簿ノ書式ハ司法大臣之ヲ定ム
第二章 売買譲与
第十四条 地所建物船舶ノ売買譲与ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者双方出頭シ其証書ヲ示ス可シ
前項ノ場合ニ於テ其物件質入書入中ニ係ルトキハ買受人譲受人ニ於テ之ヲ了知セル旨ヲ申出其記入ヲ請フ可シ
第十五条 家督相続ニ因リ地所建物船舶ノ登記ヲ請フトキハ双方出頭シ其証書ヲ示ス可シ
死亡者失踪者若クハ離縁戸主ノ遺留シタル地所建物船舶ヲ相続スル者登記ヲ請フトキハ親属又親属ナキトキハ近隣ノ戸主二名以上連署ノ書面ヲ差出シ且証明書類アルモノハ之ヲ示ス可シ
第十六条 行政官庁ノ公売処分ニ因リ地所建物船舶ノ所有権ヲ得タル者登記ヲ請フトキハ落札達書及其代金完納ノ証書ヲ示ス可シ
第十七条 官有ノ地所建物船舶ノ払下又ハ無代価下渡ヲ受ケ登記ヲ請フトキハ其指令ノ本書若クハ達書ヲ示ス可シ
第十八条 民有ノ地所建物船舶ヲ官有ト為シタルトキハ其官庁ハ第七条ノ概目ヲ示シテ登記ヲ求ム可シ
第十九条 裁判執行上ノ糶売若クハ入札ニ因リ地所建物船舶ノ所有権ヲ得タル者アルトキハ裁判所ノ命令ニ依リ其登記ヲ為ス可シ
第二十条 地所船舶売買譲与ノ登記ヲ受ケ地券鑑札ノ下付若クハ書換ヲ請ントスル者ハ登記所ヨリ登記済ノ証ヲ受ク可シ
第三章 質入書入
第二十一条 地所建物船舶ノ質入書入ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者双方出頭シ其証書ヲ示ス可シ
貸借ノ為メニ非スシテ義務ヲ果ス可キ保証ノ為メ地所建物船舶ヲ質入書入ト為シ其登記ヲ請フ者モ亦前項ノ規定ニ依ル可シ
第二十二条 書入ノ地所建物船舶ヲ重ネテ書入ト為ストキハ第二債主ニ於テ之ヲ了知セル旨ヲ申出其記入ヲ請フ可シ書入ト為リタル地所ヲ質入ト為シ又ハ質入ト為リタル地所ヲ書入ト為ストキ亦同シ
第二十三条 質入書入契約ノ全部若クハ一部ノ解除又ハ変更ニ付キ登記ヲ請フトキハ契約者双方出頭シ其証書ヲ示ス可シ
第二十四条 同一ノ地所建物船舶ニ付キ数個ノ登記ヲ為ストキハ其登記ヲ請フ日時ノ前後ニ因リ登記ノ順序ヲ定ムルモノトス
第四章 登記料及手数料
第二十五条 地所建物船舶売買ノ登記ニ付テハ其買受人左ノ売買代価ノ区別ニ従ヒ毎一件ニ其登記料ヲ納ム可シ
売買代価 登記料
五円未満 五銭
五円以上拾円未満 拾銭
拾円以上弐拾五円未満 弐拾五銭
弐拾五円以上五拾円未満 五拾銭
五拾円以上百円未満 壱円
百円以上弐百円未満 弐円
弐百円以上三百円未満 三円
三百円以上四百円未満 四円
四百円以上五百円未満 五円
五百円以上七百五拾円未満 六円
七百五拾円以上千円未満 七円
千円以上千五百円未満 八円
千五百円以上弐千円未満 九円
弐千円以上五千円未満 拾円
五千円以上壱万円マテ 拾弐円
以上五千円マテ毎ニ弐円ヲ増加ス
第二十六条 地所建物船舶譲与ノ登記ニ付テハ其譲渡人譲受人ニ於テ時価相当ノ価格ヲ定メ前条ニ掲クル金額ノ区別ニ従ヒ毎一件ニ其譲受人ヨリ登記料ヲ納ム可シ
第二十七条 地所建物船舶質入書入ノ登記ニ付テハ其質入人書入人ハ第二十五条ニ掲クル金額ノ区別ニ従ヒ毎一件ニ其登記料ノ半額ヲ納ム可シ但一件ニ付キ金五銭ヨリ下スコトヲ得ス
第二十八条 第二十一条第二項ノ登記ニ付テハ価格ヲ定メ前条ノ例ニ依リ其登記料ヲ納ム可シ
第九条第一項ノ記入ニ付テハ其価格ノ定マリタル物件ハ其価格又其価格ノ定マラサル物件ハ時価相当ノ価格ヲ定メ前条ノ例ニ依リ其登記料ヲ納ム可シ
第二十九条 第十五条ノ登記ニ付テハ時価相当ノ価格ヲ定メ第二十五条ニ掲クル金額ノ区別ニ従ヒ毎一件ニ其登記料ノ五分一ヲ納ム可シ但一件ニ付キ金五銭ヨリ下スコトヲ得ス
第三十条 左ニ掲クル者ハ手数料トシテ金五銭ヲ納ム可シ
第一 登記事件ノ取消又ハ其変更ノ登記ヲ請フ者ハ毎一件
第二 登記ノ謄本若クハ抜書ヲ請フ者ハ毎一枚
第三 登記ノ一覧ヲ請フ者
第三十一条 左ニ掲クルモノハ登記料及手数料ヲ要セス
第一 官庁ノ請求ニ係ル登記
第二 公立ノ学校病院、公園及養育院ニ係ル登記
第三 社寺、堂宇及墳墓地ニ係ル登記
第四 人民共有ノ用悪水路溜池敷、堤敷、井溝敷及公衆ノ用ニ供スル道路ニ係ル登記
第三十二条 登記所ニ於テ第二十五条第二十六条第二十八条第二項及第二十九条ニ従ヒ届出タル価格ヲ不相当ト認ムルトキハ其事件ニ関係ナキ者三名ヲ選ヒ之ヲ評価人ト為シテ其価格ヲ評定セシム可シ
第三十三条 評価人ノ評定シタル価格届出ノ価格ヨリ増加スルトキハ其評価ニ関スル費用ハ其登記料ヲ納ムル者之ヲ負担ス可シ若シ其価格届出ノ価格ト同価又ハ低下ナルトキハ該費用ハ其登記所ニ於テ之ヲ支弁ス可シ
第三十四条 評価人ニ選ハレタル者ハ正当ノ事由ナクシテ之ヲ辞スルコトヲ得ス
第三十五条 評価人ノ日当ハ登記所ノ見込ヲ以テ一日金弐拾銭ヨリ五拾銭マテヲ給ス可シ
第五章 罰則
第三十六条 詐偽ノ所為ヲ以テ登記料ヲ減脱シ及之ニ通謀シタル者ハ二円以上百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十七条 本法ニ依リ罰金ニ処スル者ハ刑法ノ不論罪及減軽再犯加重数罪俱発ノ例ヲ用ヒス
附 則
第三十八条 明治十年第二十八号布告船舶売買書入質手続同十三年第五十二号布告土地売買譲渡規則同十四年第三十号布告地券証印税則其他従前ノ法律規則中本法ニ牴触スルモノハ本法施行ノ日ヨリ廃止ス
第三十九条 地所売買譲与荒地起返開墾鍬下年期明等総テ地券下付書換ニ係ル手続及其手数料ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第四十条 登記所ノ登記簿ニ未タ登記セサル地所建物船舶ニ付キ登記ヲ請フ者ハ地所建物ハ其所在地船舶ハ其定繋場ノ戸長ノ証書ヲ以テ其所有者タルコト及其物件ニ故障ナキコトヲ示ス可シ
第四十一条 本法ハ明治二十年二月一日ヨリ之ヲ施行ス